JP2018030169A - 溶接継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に850MPa以上の強度を有する鋼板を用いた溶接継手における溶接継手部の疲労強度を向上させる。
【解決手段】2枚の鋼板が溶接された溶接継手であって、少なくとも1箇所の溶接止端部近傍の鋼板表面に、溶接止端部に沿って切欠きが設けられたことを特徴とする重ね隅肉溶接継手。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶接継手に関する。
近年、自動車分野では車体重量軽減による燃費向上の観点から、高強度鋼板の適用による鋼材の薄厚化が進められている。鋼板の溶接継手には、重ね隅肉溶接継手、突合せ溶接継手、T字溶接継手などがある。図1に、例として、重ね隅肉溶接継手を示す。重ね隅肉溶接継手は、2枚の鋼板を重ね、一方の鋼板の端部(端面とその近傍部分)をもう一方の鋼板の表面に重ね、溶接されたものである。
自動車などの構造体に鋼板の溶接継手を適用する場合、その疲労強度が問題となる。溶接継手の場合、疲労き裂は、形状不連続によって応力が集中する溶接止端部(溶接継手の溶接ワイヤ側であって、鋼板表面と溶接金属の界面)から発生することが多く、板厚方向に進展して破壊に至る。溶接止端部を起点とする破壊は、止端部の曲率半径やフランク角などの止端部形状が原因で、そこに応力が集中するために生じる。
溶接継手の疲労特性を向上させる方法は、いくつか提案されている。
特許文献1には、重ね溶接継手を構成する下側鋼板の溶接部近傍位置を、溶接部と平行に、鋼板が溶融しない程度に加熱することを特徴とする重ね溶接継手の疲労特性向上方法が開示されている。
特許文献2には、下板の表面上に、重ねすみ肉溶接ビードの止端部が形成される箇所を想定し、その箇所に高エネルギーを照射して溶融・凝固部を形成した後、溶融・凝固部に止端部が重なるように重ねすみ肉アーク溶接することを特徴とする重ねすみ肉アーク溶接継手の製造方法が開示されている。
特開平10−193164号公報 特開2011−062718号公報
近年、自動車分野では、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板の適用が期待されている。しかしながら、本発明者らの検討の結果、溶接継手に用いられる鋼板の引張強度が概ね850MPa以上になると、溶接継手部の曲げによる疲労限が母材強度の上昇に伴って増加せず、逆に低下に転じる傾向が見られることが分かった。図2に、重ね隅肉溶接継手の継手疲労限、母材疲労限と母材強度の関係の一例を示す。この傾向は、鋼板を溶接するときに形成される溶接止端部に応力が集中することに起因すると推定される。
本発明は上記の課題を解決し、溶接継手における溶接継手部の疲労強度を向上させることを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段について鋭意検討した。溶接継手部の疲労による亀裂の発生は、金属板を溶接するときに形成される溶接止端部に応力が集中することにより発生すると考えられる。
本発明者らは、溶接継手部の曲げによる疲労限は母材強度の上昇に伴って増加せず逆に低下に転じるが、母材の曲げによる疲労限は母材強度の上昇に伴って増加する点に注目した。そこで、母材の強度を利用して、溶接止端部への応力集中を緩和することを発想した。
本発明は上記の発想に基づきなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)2枚の金属板が溶接された溶接継手であって、少なくとも1箇所の溶接止端部近傍の金属板表面に、上記溶接止端部に沿って切欠きが設けられたことを特徴とする溶接継手。
(2)前記切欠きの前記溶接止端部に沿う方向の長さが、前記溶接止端部の上記長さよりも短いことを特徴とする前記(1)の溶接継手。
(3)前記切欠きの長さが前記溶接止端部の長さの50%以上であることを特徴とする前記(2)の溶接継手。
(4)前記切欠きの応力集中係数αnotch、前記溶接継手に切欠きを設けない場合の溶接止端部の応力集中係数αwが、αw>αnotchを満たすことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの溶接継手。
(5)前記金属板は引張強度が850MPa以上の鋼板であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかの溶接継手。
(6)前記(5)に記載の溶接継手であって、2枚の鋼板が重ね隅肉溶接されたことを特徴とする重ね隅肉溶接継手。
(7)前記切欠きの応力集中係数αnotch、溶接止端半径から求められる溶接止端部の巨視的な応力集中係数αtoeが、αtoe×X>αnotchを満たすことを特徴とする前記(6)に記載の重ね隅肉溶接継手。
ここで、前記鋼板の引張強度をTS(MPa)としたとき、X=1/(−2.604×10-4×TS+0.743)である。
本発明によれば、溶接継手において溶接止端部への応力集中を緩和することができるので、部材全体として疲労強度を向上させることが可能である。
従来の重ね隅肉溶接継手を示す図である。 従来の重ね隅肉溶接継手における継手疲労限、母材疲労限と母材強度の関係を示す図である。 本発明の溶接継手の概略を示す図である。 金属板の切欠きの存在により溶接止端部に生じる応力緩和を説明する図である。 切欠き縁からの距離と切欠き中心位置からの距離の関係を説明する図であり(a)は半円切欠きの場合、(b)はU字やV字切欠きの場合について説明する図である。 本発明の溶接継手の他の例の概略を示す図であり、(a)は切欠き中心軸を通る断面図、(b)は上面図である。 平面曲げ試験で疲労により破断した溶接継手の外観であり、(a)は従来の溶接継手、(b)は本発明の切欠きを設けた溶接継手である。
図3に、本発明の溶接継手の一例として、本発明を適用した重ね隅肉溶接継手の概略を示す。本発明の溶接継手は、溶接止端部34の近傍の、下板32の表面に、切欠き部35を備えることを特徴としている。
切欠きを有する部材では、切欠き底36において応力集中が生じるが、切欠き縁37においては応力、変形の緩和が生じる。この現象を利用し、溶接止端部34の応力集中を緩和させ、継手の疲労強度を向上させた点が、本発明の特徴である。
切欠きを設けた場合、切欠きが設けられた金属板そのものの疲労限は、切欠きのない金属板に対して低下する。しかしながら、図2に示すように、継手の疲労限は母材の引張強さが850MPa以上になると母材の疲労限に対し著しく低下するので、母材の疲労限が切欠きにより低下したとしても、継手の疲労限を上げることによって、部材全体(継手全体)としての疲労限を上げることができる。したがって、本発明は母材の引張強さが850MPa以上の鋼板に用いると、好ましい。
以下、金属板として引張強度850MPa以上の鋼板を用いた場合を例に、本発明をさらに詳細に説明する。
平面曲げ載荷の場合、溶接止端部の巨視的な応力集中係数αtoeは、溶接止端半径から求めることができる。
重ね合わせる金属板が、引張強度850MPa以上の鋼板の場合、本発明者らの検討により、溶接止端部の応力集中係数αwは、αw=αtoe×Xで表すことができることが分かった。ここで、Xは引張強度850MPa以上の鋼板に特有の因子による影響係数(以下「ハイテン影響係数」という)であり、引張強度をTS(MPa)として、以下の式1で表すことができる。
X=1/(−2.604×10-4×TS+0.743) (式1)
また、切欠きを設けた金属板の応力集中係数αbは、切欠き底の応力集中係数αnotchと等しく、以下の式2で表すことができる。切欠きの応力集中係数は、ハンドブックや便覧に多くの形状について示されているので、それを用いることができる。
αb=αnotch … (式2)
金属板の切欠きの存在により、溶接止端部には応力緩和が生じる(図4)。この場合の溶接止端部の応力集中係数は、切欠きの影響係数をCoefとして、Coef×αwと表すことができる。以下の式3に示すように、Coef×αwと、αbがαw未満であれば、溶接継手を含む部材全体として、応力集中を低減できることとなる。Coefは歪みゲージを用いて溶接止端部の応力を測定することにより、実験的に求めることができる。
αw>Coef×αw
αw>αb … (式3)
式3を変形して、以下の式4が得られる。
1>Coef
αw>αnotch … (式4)
すなわち、αnotchがαw未満となる切欠きを設ければよいことがわかる。重ね合わせる金属板が、引張強度850MPa以上の鋼板の場合は、式4は、αtoe×X>αnotchと表せる。このような切欠きを設ければ、理論上止端部の応力は低減されるので、1>Coefは満たされる。しかしながら、より効果的に応力を緩和するためには、αnotchとCoef×αWの双方をできるだけ小さくすることが望ましい。
以下、重ね隅肉溶接継手の場合について、さらに具体的に説明する。
薄板重ね隅肉溶接継手の場合、平面曲げ載荷による溶接止端部の巨視的な応力集中係数は、一般的には1.5程度であり、概ね2以下である。
重ね合わせる金属板が、引張強度850MPa以上の鋼板の場合、溶接止端部の応力集中係数αwは、αw=αtoe×Xで表すことができるため、αtoe=1.5、X=2とすると、αw=3である。
ついで、式4、αnotch<αwとなる範囲を決定する。αnotchはハンドブックや数値解析等から求めればよい。一例として、断面が半円形となる切欠きを設ける場合、切欠きの曲率半径をρ(mm)、切欠きを設ける鋼板の板厚をt(mm)とすると、αnotch<αwとなる条件は、ρ/t<0.3と求まる。
上述のとおり、ρ/t<0.3を満たす切欠きを導入すれば、切欠き位置が止端部からかなり離れていても緩和量は0とはならず、理論上は止端部の応力は低減できる。しかし、より効果的に応力が緩和するには、αnotchとCoef×αWの双方をできるだけ小さくすることが望ましい。
本発明者らの検討により、止端部から切欠き縁までの距離をx(mm)とすると、x/tは以下の式5で表せることがわかった。
ここで、A、B、Cは、それぞれ、切欠きの影響係数Coefを用いて、以下の式6で表される。なお、以下の式6では、Coefをkで表している。
A=2.010×102k5−3.382×102k4+2.058×102k3−4.724×10k2+6.018k
B=−1.624×102k5+2.917×102k4−1.980×102k3+5.593×10k2−9.922k
C=1.308×10k3−1.240×102k2+5.361k
… (式6)
上記の式から、切欠きの大きさとCoefが決まればx/tが決まることが分かる。より効果的に応力を緩和するための好ましい条件は、上述のとおりαnotchとCoef×αWの双方をできるだけ小さくすることであるから、αnotch=Coef×αwとなる時のx/tが最も効果的に応力を緩和することができる。
αnotch=Coef×αwとなる点を求めて近似すると、x/t<2.3ρ/tであれば、効果的に応力を緩和する好ましい条件を満たすことができる。
なお、式5のxは切欠き縁からの距離を表しているので、切欠き中心位置からの距離をx’とすると、切欠きの深さd(mm)を用いて、以下の式7のように書きなおすことができる。式7を用いれば、切欠きが半円形ではなくU字やV字型の場合であっても、適切な距離を求めることが可能である(図5参照)。
なお、鋼板に切欠きを設けることにより、その大きさが大きくなるにつれて鋼板の曲げ剛性は低下する。すなわち、溶接継手の疲労特性と曲げ剛性はトレードオフの関係にある。しかしながら、部材の用途によっては、曲げ剛性の低下よりも疲労特性が重要となる場合があり、そのような場合は切欠きを設けても、なお利益がある。本発明は、用途により、その適用を検討すればよい。
切欠きは、必ずしも溶接止端部に沿って全長に設ける必要はなく、一部にのみ設けてもよい。図6に、溶接止端部に沿った全長に渡り切欠きを設けずに、金属板61に、肩部63を残すように切欠き62を設けた場合の模式図を示す。(a)は切欠き中心軸を通る板幅方向の断面図、(b)は上面図である。このようにすることにより、切欠きを板幅全体に渡って設けた場合に比べて、剛性の低下を抑えることができる。
部材の剛性は、部材幅B、部材厚さt、切欠き幅b、切欠き深さ(切欠き半径)ρから、断面2次モーメントIを算出することで求めることができる。すなわち、切欠き幅bをパラメータとして剛性を調節することができる。
溶接止端部の応力集中緩和効果は、(b)に応力緩和範囲69を示すように、切欠き縁65から溶接止端部67までの距離xと切欠き半径ρの和であるx+ρと同等と考えてよい。切欠き幅bは、止端部の応力集中緩和効果と剛性を総合的に考慮して決定する。
溶接止端部の一部が応力緩和範囲の外に存在したとしても、溶接ままの状態と比較すると疲労亀裂の発生起点が減少するため、疲労強度は向上する。疲労特性向上の効果を得るためには、切欠きは溶接止端部の長さの50%以上の長さで設けることが好ましい。
部材に肩部63が存在することによって曲げの中立軸((a)のN.A.)は、切欠きを全幅に渡って設けた場合と比べ、板厚方向に上昇する。そのため、切欠き底66に生じる応力は切欠きを全幅に渡って設けた場合よりも低減される。
一方、切欠きの端部64には応力集中が生じるので、切欠き底66よりも切欠き端部64の方が応力集中が高くなる。この場合、上述した式4の切欠きの応力集中係数αnotchは切欠き端部64の応力集中係数として考える必要がある。軸力引張が作用する場合には、切欠き端部64と切欠き底66の双方の応力集中に留意し、より大きい方をαnotchとする。
切欠き端部64の応力集中係数はハンドブック等を参考にして推定することができる。あるいは、実際の部材の切欠き端部にひずみゲージを貼付して応力を測定することもできる。
溶接継手が複数の溶接止端部を有する場合、切欠きは、少なくとも1箇所の溶接止端部近傍の金属板表面に、溶接止端部に沿って形成すれば本発明の効果は得られ、すべての溶接止端部近傍に切欠きが形成される必要はない。部材の用途に応じて、どの溶接止端部に沿って切欠きを形成するかを決めればよい。
以上、本発明について、金属板として引張強度850MPa以上の鋼板を用いた重ね隅肉溶接継手を例に説明した。以上の説明により、本発明の技術思想が、引張強度850MPa以上の鋼板を用いた重ね隅肉溶接継手に限定されるものではなく、同様の思想により継手強度の向上が見込める他の金属板にも適用可能であることは明らかである。
また、本発明における切欠きとは、金属板表面に設けた溝状の凹みのことを指す。本発明では、溶接止端部近傍の金属板表面に、溶接止端部に沿って溝状のくぼみを設ける。溝状のくぼみを作る方法としては機械加工、放電加工、プレス成形、エッチングなど手段を問わない。切欠き(溝状のくぼみ)の曲率半径ρと深さdは、切欠き形成後、切欠きの長手方向に対して、垂直に金属板を切断し、切断面を拡大鏡で撮影して測定することができる。また、プローブ(測定子)を用いた接触式の三次元形状測定機や、レーザを用いた非接触式の三次元形状測定機によっても、切欠きの曲率半径ρと深さdを測定することができる。
[実施例1]
引張強度1051MPa、引張強度1236MPaの2種類の鋼板を用いて、それぞれ同種の鋼板を重ねしろ10mmで2枚重ね合わせ、JIS:YGW16相当の溶接ワイヤを用いて重ね隅肉溶接継手を作製した。その後、溶接止端部近傍に沿って、下板となる鋼板の全幅に切欠きを設けた。切欠きはエンドミルを用いて作製した。作製した重ね隅肉溶接継手No.1、No.2の詳細を表1に示す。
ここで、曲率半径ρと深さdは、エンドミル加工装置の設定入力で設定し、切欠き加工後にも、キーエンス製の非接触式三次元測定機(VR-3000)を用いて曲率半径ρと深さdを測定し、設定値と同じであることを確認した。
あわせて、同じ鋼板を用いて、それぞれ、切欠きを設けない重ね隅肉溶接継手を作製した。
作製した溶接継手に対して、長さ90mm、幅20mmの平面曲げ疲労試験片を作製し、平面曲げ疲労試験を実施した。試験は両振り(応力比−1)で行い、周波数は25Hz、疲労限は1000万回未破断の場合の応力振幅とした。
試験の結果疲労限を比較すると、切欠きを設けた本発明の重ね隅肉溶接継手の繰り返し回数は、切欠きを設けなかった場合と比較して、No.1で1.4倍、No.2で1.45倍となり、本発明の重ね隅肉溶接継手では疲労限が向上していることが確認できた。
[実施例2]
引張強度1051MPa、引張強度1281MPaの2種類の鋼板を用いて、それぞれ同種の鋼板を重ねしろ10mmで2枚重ね合わせ、JIS:YGW16相当の溶接ワイヤを用いて重ね隅肉溶接継手を作製した。その後、溶接止端部近傍に沿って、幅b[mm]の切欠きを設けた。切欠きは放電加工を用いて作製した。作製した重ね隅肉溶接継手No.1、No.2、No.3の詳細を表2に示す。
ここで、曲率半径ρと深さdは、放電加工装置の設定入力で設定し、切欠き加工後にも、キーエンス製の非接触式三次元測定機(VR-3000)を用いて曲率半径ρと深さdを測定し、設定値と同じであることを確認した。
あわせて、同じ鋼板を用いて、それぞれ、切欠きを設けない重ね隅肉溶接継手を作製した。
作製した溶接継手に対して、長さ90mm、幅20mmの平面曲げ疲労試験片を作製し、平面曲げ疲労試験を実施した。試験は両振り(応力比−1)で行い、周波数は25Hz、疲労限は1000万回未破断の場合の応力振幅とした。
試験の結果疲労限を比較すると、切欠きを設けた本発明の重ね隅肉溶接継手の繰り返し回数は、切欠きを設けなかった場合と比較して、No.1で1.2倍、No.2で1.32倍、No.3で1.38倍となり、本発明の重ね隅肉溶接継手では疲労限が向上していることが確認できた。
参考として、切欠きを設けない重ね隅肉溶接継手、切欠きを設けた重ね隅肉溶接継手について、それぞれ破断が生じるまで平面曲げ疲労試験を実施した際の破断の様子を図7に示す。(a)は切欠きを設けない重ね隅肉溶接継手であり、応力が集中する溶接止端部で破断が生じており、(b)は切欠きを設けた重ね隅肉溶接継手であり、破断は溶接止端部よりも溶接金属側にずれた位置に生じているのが分かる。なお、上記の実施例にも示されているように、破断に至るまでの曲げ回数は(b)の方が多かった。
本発明によれば、重ね隅肉溶接継手において溶接止端部への応力集中を緩和することができるので、部材全体として疲労強度を向上させることが可能である。本発明の重ね隅肉溶接継手は、自動車の部材等に好適であり、産業上の利用可能性は大きい。
11 鋼板(上板)
12 鋼板(下板)
13 溶接金属
14 溶接止端部
31 金属板(上板)
32 金属板(下板)
33 溶接金属
34 溶接止端部
35 切欠き部
36 切欠き底
37 切欠き縁
61 金属板
62 切欠き
63 肩部
64 切欠き端部
65 切欠き縁
66 切欠き底
67 溶接止端部
68 溶接ビード
69 応力緩和範囲

Claims (7)

  1. 2枚の金属板が溶接された溶接継手であって、
    少なくとも1箇所の溶接止端部近傍の金属板表面に、上記溶接止端部に沿って切欠きが設けられたことを特徴とする溶接継手。
  2. 前記切欠きの前記溶接止端部に沿う方向の長さが、前記溶接止端部の上記長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の溶接継手。
  3. 前記切欠きの長さが前記溶接止端部の長さの50%以上であることを特徴とする請求項2に記載の溶接継手。
  4. 前記切欠きの応力集中係数αnotch、前記溶接継手に切欠きを設けない場合の溶接止端部の応力集中係数αwが、αw>αnotchを満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接継手。
  5. 前記金属板は引張強度が850MPa以上の鋼板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶接継手。
  6. 請求項5に記載の溶接継手であって、2枚の鋼板が重ね隅肉溶接されたことを特徴とする重ね隅肉溶接継手。
  7. 前記切欠きの応力集中係数αnotch、溶接止端半径から求められる溶接止端部の巨視的な応力集中係数αtoeが、αtoe×X>αnotchを満たすことを特徴とする請求項6に記載の重ね隅肉溶接継手。
    ここで、前記鋼板の引張強度をTS(MPa)としたとき、X=1/(−2.604×10-4×TS+0.743)である。
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