本発明の一実施の形態に係る車両用変速機は、内燃機関に対向する隔壁および隔壁に対向する側壁を有し、底部にオイルが貯留される変速機ケースと、軸線方向に延びるオイル通路を有して変速機ケースに収容され、内燃機関の動力が伝達される入力軸と、入力軸に設けられ、低速変速段用の入力ギヤおよび低速変速段用の入力ギヤよりも変速比が小さい高速変速段用の入力ギヤと、変速機ケースに収容され、軸線方向に延びるオイル通路を有するカウンタ軸と、カウンタ軸に設けられ、低速変速段用の入力ギヤに噛み合う低速変速段用のカウンタギヤと、高速変速段用の入力ギヤに噛み合う高速変速段用のカウンタギヤおよびファイナルドライブギヤと、隔壁に設けられ、カウンタ軸の軸線方向の一端部を回転自在に支持する隔壁側カウンタ軸受部と、側壁に設けられ、カウンタ軸の軸線方向の他端部を回転自在に支持する側壁側カウンタ軸受部と、記変速機ケースに収容され、ファイナルドライブギヤに噛み合い、かつ、下部がオイルに浸かるファイナルドリブンギヤを有し、左右の車輪に動力を伝達するディファレンシャル装置と、 ファイナルドリブンギヤの回転によって掻き上げられたオイルが導入されるオイルガターとを備えた車両用変速機であって、低速変速段用の入力ギヤおよび低速変速段用のカウンタギヤが隔壁側に設置されており、高速変速段用の入力ギヤおよび高速変速段用のカウンタギヤが側壁側に設置されており、側壁に対面する隔壁の壁面に、壁面のうちのファイナルドリブンギヤに対向する壁面側部位から隔壁側カウンタ軸受部に向かって延び、カウンタ軸のオイル通路に連通する凹状のオイル溝が形成されており、オイルガターが、オイル導入部、オイル通路部およびオイル排出部を含んで構成されており、オイル導入部は、オイル溝の上方において隔壁の壁面に沿った方向でファイナルドリブンギヤに向かって開口しており、オイル通路部は、カウンタ軸の上方においてオイル導入部からカウンタ軸の軸線方向の他端部に向かって延びており、オイル排出部は、オイル導入部からオイル通路部に導かれるオイルを側壁側カウンタ軸受部に供給する。
これにより、車両の走行速度に応じて潤滑の必要のあるカウンタギヤとカウンタ軸との間にオイルを供給することができ、変速機ケースに貯留されるオイル量を低減できる。
以下、本発明に係る車両用変速機の実施例について、図面を用いて説明する。
(第1の実施例)
図1から図9は、本発明に係る第1の実施例の車両用変速機を示す図である。図1から図9において、上下左右前後方向は、車両に搭乗した運転者から見た方向である。
まず、構成を説明する。
図1において、車両の図示しないエンジンルームには内燃機関としてのエンジン1と、エンジン1に連結される変速機2とが設けられている。エンジン1の出力は、変速機2から左右のドライブシャフト41L、41Rを介して左右の車輪42L、42R(図7参照)に伝達される。
図1、図2において、変速機2は、変速機ケース3を備えており、変速機ケース3は、クラッチハウジング4およびトランスミッションケース5を備えている。
図2において、クラッチハウジング4は、エンジン1側に対向する面が開口している。クラッチハウジング4は、トランスミッションケース5に対向する面に隔壁4Aが形成されており、隔壁4Aは、車幅方向においてエンジン1に対向している。
変速機ケース3の内部は、隔壁4Aによってクラッチハウジング4の内部の空間とトランスミッションケース5の内部の空間とに仕切られている。トランスミッションケース5は、車幅方向において隔壁4Aに対向する側壁5Aを有し、トランスミッションケース5の底部にはオイルO(図3参照)が貯留されている。
図2、図7において、クラッチハウジング4の内部にはクラッチ6が収容されている。
トランスミッションケース5の内部には変速機構7およびディファレンシャル装置8が収容されている。
変速機2は、クラッチ6を介してエンジン1の動力を変速機構7に入力し、図示しないシフタ軸の作動により変速機構7において変速を行い、変速された回転をディファレンシャル装置8により、ドライブシャフト41L、41Rに伝達する。
図1、図7において、変速機構7は、入力軸9、第1のカウンタ軸10、第2のカウンタ軸11を備えており、図7に示すように、入力軸9、第1のカウンタ軸10、第2のカウンタ軸11にはそれぞれの軸線方向に延びるオイル通路9L、10L、11Lが形成されている。
図7において、入力軸9、第1のカウンタ軸10、第2のカウンタ軸11にはそれぞれの放射オイル通路9R、10R、11Rが形成されている。放射オイル通路9R、10R、11Rは、オイル通路9L、10L、11Lと入力軸9、第1のカウンタ軸10、第2のカウンタ軸11の外部とを連通している。
図5、図7において、隔壁4Aは、隔壁側入力軸受部12A、第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aを有する。第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aは、隔壁側入力軸受部12Aの下方に形成されており、第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aは、第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aの上方に形成されている。
図6、図7において、側壁5Aは、側壁側入力軸受部12B、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bを有する。側壁側カウンタ軸受部13Bは、側壁側入力軸受部12Bの下方に形成されており、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bは、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bの上方に形成されている。
図5、図7において、隔壁側入力軸受部12Aは、開口12aを有する。入力軸9の軸線方向の一端部9aは、開口12aを通してクラッチハウジング4に挿入されてクラッチ6に連結されており、入力軸9にはクラッチ6を介してエンジン1の動力が伝達される。
図7において、入力軸9の軸線方向の一端部9aは、隔壁側入力軸受部12Aに軸受15Aを介して回転自在に支持されており、入力軸9の軸線方向の他端部9bは、側壁側入力軸受部12Bに軸受15Bを介して回転自在に支持されている。本実施例の入力軸9の軸線方向の他端部9bは 本発明の入力軸の軸線方向の端部を構成する。
第1のカウンタ軸10の軸線方向の一端部10aは、第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aに軸受16Aを介して回転自在に支持されており、第1のカウンタ軸10の軸線方向の他端部10bは、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bに軸受16Bを介して回転自在に支持されている。
第2のカウンタ軸11の軸線方向の一端部11Aは、第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに軸受17Aを介して回転自在に支持されており、第2のカウンタ軸11の軸線方向の他端部11bは、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに軸受17Bを介して回転自在に支持されている。
本実施例の第1のカウンタ軸10は、入力軸9の下方に設置されており、第2のカウンタ軸11は、第1のカウンタ軸10の上方に設置されている。本実施例の第1のカウンタ軸10は、本発明のカウンタ軸および第1のカウンタ軸を構成し、カウンタ軸11は、本発明のカウンタ軸および第2のカウンタ軸を構成する。
本実施例の第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aは、本発明の隔壁側カウンタ軸受部および第1の隔壁側カウンタ軸受部を構成し、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bは、本発明の側壁側カウンタ軸受部および第1の側壁側カウンタ軸受部を構成する。
本実施例の第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aは、本発明の隔壁側カウンタ軸受部および第2の隔壁側カウンタ軸受部を構成し、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bは、本発明の側壁側カウンタ軸受部および第2の側壁側カウンタ軸受部を構成する。本実施例の側壁側入力軸受部12Bは、本発明の側壁側入力軸受部を構成する。
図2、図7において、入力軸9には1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、5速段用の入力ギヤ9C、3速段用の入力ギヤ9Dおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eが設けられている。
1速段用の入力ギヤ9Aおよび2速段用の入力ギヤ9Bは、入力軸9に一体に形成されており、5速段用の入力ギヤ9C、3速段用の入力ギヤ9Dおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eは、入力軸9に相対回転不能にスプライン嵌合されている。
1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、5速段用の入力ギヤ9C、3速段用の入力ギヤ9Dおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eは、入力軸9の軸線方向において、隔壁4Aから側壁5Aに向かって1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、5速段用の入力ギヤ9C、4速−6速段用の入力ギヤ9Eの順に設置されている。
図4、図7において、第1のカウンタ軸10には、1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10Dが設けられている。
図7において、1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10Dは、第1のカウンタ軸10に対して相対回転自在に設けられており、それぞれ同一の変速段を構成する1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、3速段用の入力ギヤ9Dおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eに噛み合っている。
1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10Dは、第1のカウンタ軸10の軸線方向において、隔壁4Aから側壁5Aに向かって1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10Dの順に設置されている。
第1のカウンタ軸10にはファイナルドライブギヤ10Fが固定されており、ファイナルドライブギヤ10Fは、1速段用のカウンタギヤ10Aと隔壁4Aとの間に設置されている。
1速段用のカウンタギヤ10Aにはリバース専用ギヤ10Eが設けられている。リバース専用ギヤ10Eは、1速段用のカウンタギヤ10Aに取付けられており、1速段用のカウンタギヤ10Aと一体で回転する。第2のカウンタ軸11には後進段用のリバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cが設けられている。
リバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cは、第2のカウンタ軸11に相対回転自在に設けられており、それぞれ同一の変速段を構成するリバース専用ギヤ10E、5速段用の入力ギヤ9Cおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eに噛み合っている。
後進段用のリバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cは、第2のカウンタ軸11の軸線方向において、隔壁4Aから側壁5Aに向かって後進段用のリバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cの順に設置されている。
第2のカウンタ軸11にはファイナルドライブギヤ11Fが固定されており、ファイナルドライブギヤ11Fは、リバースギヤ11Aと隔壁4Aとの間に設置されている。
本実施例の変速機2において、1速段用のカウンタギヤ10Aから6速段用のカウンタギヤ11Cは、変速段が大きくなるにつれて変速比が順次小さくなる。本実施例の1速段用の入力ギヤ9Aおよび2速段用の入力ギヤ9Bは、本発明の低速変速段用の入力ギヤを構成し、3速段用の入力ギヤ9D、5速段用の入力ギヤ9Cおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eは、本発明の高速変速段用の入力ギヤを構成する。
本実施例の1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、リバース専用ギヤ10Eおよびリバースギヤ11Aは、本発明の低速変速段用のカウンタギヤを構成し、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10D、5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cは、本発明の高速変速段用のカウンタギヤを構成する。
図7に示すように、低速変速段側の1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bと、後進段用のリバースギヤ11Aとは、入力軸9、第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向において、入力軸9、第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向中央部Cよりも隔壁4A側に設置されている。
第1のカウンタ軸10の軸線方向において、1速段用のカウンタギヤ10Bは、2速段用のカウンタギヤ10Cよりも隔壁4A側に設置されている。
高速変速段側の3速段用の入力ギヤ9D、5速段用の入力ギヤ9C、4速−6速段用の入力ギヤ9E、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10D、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cは、入力軸9、第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向において、入力軸9、第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向中央部Cよりも側壁5A側に設置されている。
第2のカウンタ軸11の軸線方向において、6速段用のカウンタギヤ11Cは、側壁5Aに最も近づけて設置されている。本実施例の6速段用のカウンタギヤ11Cは、本発明の最高速段用のカウンタギヤを構成する。
ディファレンシャル装置8は、ファイナルドリブンギヤ31が固定されたデフケース32と、ピニオンシャフト33と、ピニオンシャフト33に回転自在に支持された一対のピニオンギヤ34(図示1つ)と、ピニオンギヤ34に噛み合う一対のサイドギヤ35L、35Rとを有する。
サイドギヤ35L、35Rは、左右のドライブシャフト41L、41Rに連結されている。ファイナルドリブンギヤ31は、第1のカウンタ軸10のファイナルドライブギヤ10Fと第2のカウンタ軸11のファイナルドライブギヤ11Fに噛み合っている。
ディファレンシャル装置8は、左右のドライブシャフト41L、41Rの差動を許容しつつ、ファイナルドリブンギヤ31の動力をドライブシャフト41L、41Rを介して車輪42L、42Rに伝達する。
第1のカウンタ軸10にはハブスリーブ21A、21Bが設けられている。ハブスリーブ21Aは、1速段用のカウンタギヤ10Aと2速段用のカウンタギヤ10Bとの間に設けられており、図示しないシフトフォーク等を有する図示しない変速機構によって第1のカウンタ軸10の軸線方向に移動する。
ハブスリーブ21Bは、3速段用のカウンタギヤ10Cと4速段用のカウンタギヤ10Dとの間に設けられており、変速機構によって第1のカウンタ軸10の軸線方向に移動する。
ハブスリーブ21A、21Bのいずれか一方が第1のカウンタ軸10の軸線方向の一方または他方に移動すると、1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dのいずれか1つが第1のカウンタ軸10に結合される。
これにより、1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、3速段用の入力ギヤ9Dおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eのいずれか1つが、第1のカウンタ軸10に結合された1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dのいずれか1つに動力を伝達する。
1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dのいずれか1つに動力が伝達されると、第1のカウンタ軸10のファイナルドライブギヤ10Fからディファレンシャル装置8のファイナルドリブンギヤ31に動力が伝達され、車両が前進走行する。
第2のカウンタ軸11にはハブスリーブ22A、22Bが設けられている。ハブスリーブ22Aは、リバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間に設けられており、変速機構によって第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動する。
ハブスリーブ22Bは、5速段用のカウンタギヤ11Bと6速段用のカウンタギヤ11Cとの間に設けられており、変速機構によって第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動する。ハブスリーブ22Aが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動すると、リバースギヤ11Aが第2のカウンタ軸11に結合される。
これにより、1速段用の入力ギヤ9Aから1速段用のカウンタギヤ10A、リバース専用ギヤ10E、リバースギヤ11Aを介してファイナルドライブギヤ11Fからディファレンシャル装置8のファイナルドリブンギヤ31に動力が伝達され、車両が後進走行される。
ハブスリーブ22Bが第2のカウンタ軸11の軸線方向または他方に移動すると、5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cが第2のカウンタ軸11に結合される。
5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cが第2のカウンタ軸11に結合されると、5速段用の入力ギヤ9Cまたは4速−6速段用の入力ギヤ9Eから第2のカウンタ軸11に結合された5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cに動力が伝達される。
5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cに動力が伝達されると、第2のカウンタ軸11のファイナルドライブギヤ11Fからディファレンシャル装置8のファイナルドリブンギヤ31に動力が伝達され、車両が前進走行する。図3に示すように、ファイナルドリブンギヤ31の下部31aは、オイルOに浸かっており、オイルOは、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられる。
図1において、トランスミッションケース5の上部にはオイルガター51が設けられており、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられたオイルは、オイルガター51に導入されてオイルガター51に一時的に貯留される。
側壁5Aに対面する隔壁4Aの壁面4dには、凹状の第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bが形成されている(図5参照)。第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bは、壁面4dのうちのファイナルドリブンギヤ31に対向する壁面側部位4eから第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに向かって延びている。
第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bは、それぞれ第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lと第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lに連通している。第1のオイル溝36Aは、第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aの下方を通過するように第2のオイル溝36Aの下方に形成されている。
ここで、ファイナルドリブンギヤ31に対向する隔壁4Aの壁面側部位4eとは、図5に示すように、左側(クラッチハウジング4側)からトランスミッションケース5を目視したときに、ファイナルドリブンギヤ31によって覆われている壁面4dの範囲あるいは、壁面4dの一部分である。
図5において、隔壁側入力軸受部12Aには切欠き部36Cが形成されている。切欠き部36Cは、斜め上方に向かって開口しており、トランスミッションケース5の内部と隔壁側入力軸受部12Aの内方とを連通している。
図6において、側壁側入力軸受部12B、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bにはそれぞれ切欠き部37Aから切欠き部37Cが形成されている。切欠き部37Aから切欠き部37Cは、それぞれ斜め上方に向かって開口しており、トランスミッションケース5の内部と側壁側入力軸受部12B、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bの内方とを連通している。
側壁側入力軸受部12Bの下部には切欠き部37Dが形成されている。切欠き部37Dは、斜め下方において切欠き部37Bに向かって開口しており、トランスミッションケース5の内部と側壁側入力軸受部12Bの内方とを連通している。
側壁5Aには凹状の連通溝38が形成されており、連通溝38は、切欠き部37B、37Dを介して側壁側入力軸受部12Bの内方と第1の側壁側カウンタ軸受部13Bの内方とを連通している。本実施例の連通溝38は、本発明の連通路を構成する。
図1、図2、図4において、オイルガター51は、底壁51Aと底壁51Aの両端から上方に延びる側壁51B、51Cとを備えており、オイル導入部52、オイル通路部53およびオイル排出部54を含んで構成されている。オイル導入部52は、第2のオイル溝36Bの上方において隔壁4Aの壁面4dに沿った方向でファイナルドリブンギヤ31に向かって開口している(図5参照)。
オイル通路部53は、第2のカウンタ軸11の上方においてオイル導入部52から第1のカウンタ軸10の軸線方向の他端部10bおよび第2のカウンタ軸11の軸線方向の他端部11bに向かって延びている。オイル排出部54は、オイル導入部52からオイル通路部53に導かれるオイルを第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに供給する。
図1、図5において、オイル通路部53は、オイル導入部52から斜め上方に延びる上流側オイル通路部53Aを備えており、オイル導入部52は、オイル通路部53の上流側の開口端から構成されている。なお、上流、下流とはオイルの流れる方向に対して上流、下流を表わしている。
図2において、オイル通路部53は、中間側オイル通路部53Bを有する。中間側オイル通路部53Bは、上流側オイル通路部53Aの下流端53aから第2のカウンタ軸11の軸線方向に沿い、側壁5Aに向かって斜め下方に延びている。
オイル通路部53は、下流側オイル通路部53Cを有する。下流側オイル通路部53Cは、中間側オイル通路部53Bの下流端53bから第2のカウンタ軸11の軸線方向と直交する方向において、図3に示すように、下方に向かって傾斜している。
図3において、オイル排出部54は、第1のオイル排出部54Aおよび第2のオイル排出部54Bを有する。図6において、第1のオイル排出部54Aは、下流側オイル通路部53Cから下方に傾斜し、側壁側入力軸受部12Bの切欠き部37Aに対して上下方向で対向している。
第2のオイル排出部54Bは、下流側オイル通路部53Cから下方に傾斜し、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bの切欠き部37Cに対して上下方向で対向している。
このように下流側オイル通路部53Cは、中間側オイル通路部53Bの下流端53bから第1のオイル排出部54Aおよび第2のオイル排出部54Bに延びている。
上流側オイル通路部53Aおよび中間側オイル通路部53Bは、変速機2の水平軸E1に対する上流側オイル通路部53Aの傾斜角θ1(図5参照)が、変速機2の水平軸E1に対する中間側オイル通路部53Bの傾斜角θ2(図4参照)よりも大きくなるように設置されている。
図7において、第1のカウンタ軸10の軸線方向において、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間にはワッシャ71が設けられている。第1のカウンタ軸10には複数の嵌合穴10mが形成されており、嵌合穴10mは、第1のカウンタ軸10の上下に形成されている。
ワッシャ71の内周面にはワッシャ71から内方に突出する図示しない複数の突起が形成されており、突起は、嵌合穴10mに嵌合している。これにより、ワッシャ71は、第1のカウンタ軸10の周方向におよび軸線方向に移動しないように第1のカウンタ軸10に固定される。
ワッシャ71には2速段用のカウンタギヤ10Bおよび3速段用のカウンタギヤ10Cの軸線方向の側面が当接している。これにより、ワッシャ71は、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとが第1のカウンタ軸10の軸線方向に移動することを規制することができる。
これに加えて、ワッシャ71は、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間に第1のカウンタ軸10の軸線方向の隙間を確保し、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとが強く干渉することを防止することができる。
第2のカウンタ軸11の軸線方向において、5速段用のカウンタギヤ11Bとハブスリーブ22Aとの間にはスペーサ72が設けられており、リバースギヤ11Aは、ハブスリーブ22Aおよびスペーサ72を介して5速段用のカウンタギヤ11Bに隣接している。
第2のカウンタ軸11の軸線方向において、リバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間にはサークリップ73が設けられている。第2のカウンタ軸11には複数の嵌合穴11mが形成されており、嵌合穴11mは、第2のカウンタ軸11の上下に形成されている。
サークリップ73の内周面にはサークリップ73から内方に突出する図示しない複数の突起が形成されており、突起は、嵌合穴11mに嵌合している。これにより、サークリップ73は、第2のカウンタ軸11の周方向におよび軸線方向に移動しないように第2のカウンタ軸11に固定される。
サークリップ73には5速段用のカウンタギヤ11Bおよびスペーサ72の軸線方向の側面が当接している。これにより、サークリップ73は、5速段用のカウンタギヤ11Bが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動することを規制するとともに、スペーサ72を介してリバースギヤ11Aが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動することを規制することができる。
これに加えて、サークリップ73は、スペーサ72を介してリバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間に第2のカウンタ軸11の軸線方向の隙間を確保し、リバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとが強く干渉することを防止することができる。
次に、作用を説明する。
図1から図6において、車両の前進時のファイナルドリブンギヤ31の回転方向を反時計回転方向R1(図6では、時計回転方向R1)とし、車両の後進時のファイナルドリブンギヤ31の回転方向を時計回転方向R2(図6では、反時計回転方向R1)とする。
1速段から4速段のいずれか1つの変速段が成立したときには、1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dのいずれか1つが第1のカウンタ軸10に結合され、5速段または6速段の変速段が成立したときには5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cが第2のカウンタ軸11に結合される。
例えば、1速段が成立するときには、1速段用のカウンタギヤ10Aが第1のカウンタ軸10に結合されるので、1速段用の入力ギヤ9Aから1速段用のカウンタギヤ10Aを介して第1のカウンタ軸10に動力が伝達される。
1速段用の入力ギヤ9Aから1速段用のカウンタギヤ10Aに動力が伝達される際には、1速段用の入力ギヤ9Aが1速段用のカウンタギヤ10Aを強く押圧することで、1速段用のカウンタギヤ10Aの内周面と第1のカウンタ軸10の外周面とが強く干渉し、1速段用のカウンタギヤ10Aの内周面と第1のカウンタ軸10の外周面とに応力が集中する。
このため、1速段用のカウンタギヤ10Aの内周面と第1のカウンタ軸10の外周面との間にオイルを供給して1速段用のカウンタギヤ10Aの内周面と第1のカウンタ軸10の外周面とに応力が集中することを防止する必要がある。
一方、車両の前進走行時にはファイナルドリブンギヤ31の回転によってオイルOが掻き上げられる。
車両の低速走行時にはファイナルドリブンギヤ31の回転数が車両の高速走行時の回転数に比べて低い。これにより、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルの量が少なくなり、図3に示すように、トランスミッションケース5の天井面5B(図4、図6参照)から下方に離れた領域でオイルが流れ易くなる。
これに対して、車両の高速走行時にはファイナルドリブンギヤ31の回転数が車両の低速走行時の回転数に比べて高い。これにより、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルの量が多くなり、トランスミッションケース5の天井面5Bに沿ってオイルが流れ易くなる。
車両の低速走行時には、図5に示すように、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられたオイルO1、O2は、トランスミッションケース5の天井面5B(図5で仮想線で示す)から下方に離れた領域でオイルが流れる。
このオイルO1、O2は、それぞれ第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bを通して、オイルガター51よりも第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに優先して導入される。
車両の前進時における低速走行時には1速段用のカウンタギヤ10Aが第1のカウンタ軸10に結合され、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bが第1のカウンタ軸10に結合されている。
車両の前進時における低速走行時において、第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aに導入されるオイルO1は、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lに導入されて第1のカウンタ軸10の軸線方向に沿って側壁5A側に流れる。
オイル通路10Lを流れるオイルは、第1のカウンタ軸10の遠心力によってオイル通路10Lから放射オイル通路10Rを通して結合状態にある1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間に供給される。
これにより、1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間がオイルによって潤滑される。
このため、1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間に応力が集中することを防止できる。
1速段用のカウンタギヤ10Aは、2速段用のカウンタギヤ10Bに対して隔壁4A側に設置されている。これにより、1速段が成立したときには、オイル通路10Lを流れるオイルは、2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間よりも1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間に優先して供給される。
車両の後進時における低速走行時において、変速段を1速段または2速段と後進段との間で切換えられる状況が多く発生する。このため、リバースギヤ11Aの潤滑は、1速段または2速段に切り換えられたときに、第2の隔壁側カウンタ軸受部13Aに導入されるオイルO2を利用する。
第2の隔壁側カウンタ軸受部13Aに導入されるオイルO2は、第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lに導入されて第2のカウンタ軸11の軸線方向に沿って側壁5A側に流れる。
オイル通路11Lを流れるオイルは、第2のカウンタ軸11の遠心力によってオイル通路11Lから放射オイル通路11Rを通して結合状態にあるリバースギヤ11Aと第2のカウンタ軸11との間に供給される。
リバースギヤ11Aは、5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cに対して隔壁4A側に設置されている。これにより、後進段が成立したときには、オイル通路11Lを流れるオイルは、5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間および6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間よりもリバースギヤ11Aと第2のカウンタ軸11との間に優先して供給される。
これにより、リバースギヤ11Aと第2のカウンタ軸11との間がオイルによって潤滑される。このため、リバースギヤ11Aと第2のカウンタ軸11との間に応力が集中することを防止できる。
車両の前進時における高速走行時には、3速段用のカウンタギヤ10Cまたは4速段用のカウンタギヤ10Dが第1のカウンタ軸10に結合されるか、または、5速段用のカウンタギヤ11Bまたは6速段用のカウンタギヤ11Cが第2のカウンタ軸11に結合される。
車両の前進時における高速走行時において、図5に示すように、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルO3は、トランスミッションケース5の天井面5Bに沿って流れる。
オイルO3の多くは、オイル導入部52を通して上流側オイル通路部53Aに導入される。上流側オイル通路部53Aに導入されるO3は、中間側オイル通路部53Bを通して下流側オイル通路部53Cに流れた後、第1のオイル排出部54Aおよび第2のオイル排出部54Bに導入される。
図6において、第1のオイル排出部54Aに導入されたオイルは、オイルO4で示すように、第1のオイル排出部54Aから切欠き部37Aに排出され、側壁側入力軸受部12Bに導入される。
側壁側入力軸受部12Bに導入されるオイルO4は、オイル通路9Lに導入された後、入力軸9の軸線方向に沿って隔壁4A側に流れる。オイル通路9Lを流れるオイルO4は、入力軸9の遠心力によってオイル通路9Lから放射オイル通路9Rを通して3速段用の入力ギヤ9C、5速段用の入力ギヤ9Cおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eと入力軸9との間に供給される。
これにより、3速段用の入力ギヤ9C、5速段用の入力ギヤ9Cおよび4速−6速段用の入力ギヤ9Eと入力軸9との間のスプライン嵌合部が潤滑される。
側壁側入力軸受部12Bと第1の側壁側カウンタ軸受部13Bは、連通溝38を介して連通されている。これにより、側壁側入力軸受部12Bに導入されるオイルO4は、図6においてオイルO5に示すように、側壁側入力軸受部12Bの切欠き部37Dから連通溝38を通して切欠き部37Bに排出された後、切欠き部37Bを通して第1の側壁側カウンタ軸受部13Bに導入される。
第1の側壁側カウンタ軸受部13Bに導入されるオイルO5は、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lに導入されて第1のカウンタ軸10の軸線方向に沿って隔壁4A側に流れる。
オイル通路10Lを流れるオイルは、第1のカウンタ軸10の遠心力によってオイル通路10Lから放射オイル通路10Rを通して結合状態にある3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間、あるいは4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間に供給される。
これにより、3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間、あるいは4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間がオイルによって潤滑される。
このため、3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間、あるいは4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間に応力が集中することを防止できる。
4速段用のカウンタギヤ10Dは、3速段用のカウンタギヤ10Cに対して側壁5A側に設置されている。これにより、4速段が成立したときには、オイル通路10Lを流れるオイルは、3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間よりも4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間に優先して供給される。
また、3速段用のカウンタギヤ10Cには第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aからオイル通路10Lに導入されるオイルが、4速段用のカウンタギヤ10Dに優先して供給される。
一方、第2のオイル排出部54Bに導入されたオイルは、図6においてオイルO6で示すように、第2のオイル排出部54Bから切欠き部37Cに排出され、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに導入される。第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに導入されるオイルO6は、オイル通路11Lに導入されて第2のカウンタ軸11の軸線方向に沿って隔壁4A側に流れる。
オイル通路11Lを流れるオイルは、第2のカウンタ軸11の遠心力によってオイル通路11Lから放射オイル通路11Rを通して結合状態にある5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間、あるいは6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間に供給される。
これにより、5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間、あるいは6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間がオイルによって潤滑される。
このため、5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間、あるいは6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間に応力が集中することを防止できる。
6速段用のカウンタギヤ11Cは、5速段用のカウンタギヤ11Bに対して側壁5A側に設置されている。これにより、6速段が成立したときには、オイル通路11Lを流れるオイルは、5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間よりも6速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間に優先して供給される。
また、5速段用のカウンタギヤ11Bには第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aからオイル通路11Lに導入されるオイルが、6速段用のカウンタギヤ11Bに優先して供給される。
このように本実施例の変速機2によれば、低速変速段を構成する1速段用の入力ギヤ9A、2速段用の入力ギヤ9B、1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bが隔壁4A側に設置されている。
高速変速段を構成する3速段用の入力ギヤ9D、5速段用の入力ギヤ9C、4速−6速段用の入力ギヤ9E、3速段用のカウンタギヤ10C、4速段用のカウンタギヤ10D、5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cが側壁5A側に設置されている。
側壁5Aに対面する隔壁4Aの壁面4dに、ファイナルドリブンギヤ31に対向する壁面4dの壁面側部位4eから第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに向かって延び、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lおよび第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lにそれぞれ連通する凹状の第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bが形成されている。
これに加えて、本実施例の変速機2によれば、オイルガター51が、オイル導入部52、オイル通路部53およびオイル排出部54を含んで構成されている。オイル導入部52は、第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bの上方において隔壁4Aの壁面4dに沿った方向でファイナルドリブンギヤ31に向かって開口している。
オイル通路部53は、第2のカウンタ軸11の上方においてオイル導入部52から第2のカウンタ軸11の軸線方向の他端部11bに向かって延びており、オイル排出部54は、オイル導入部52からオイル通路部53に導かれるオイルを第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに供給する。
本実施例の変速機2は、このような構成により、車両の低速走行時や高速走行時にかかわらず、車両の車速、あるいはファイナルドリブンギヤ31の回転数に応じて潤滑が必要な1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間、および5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間にオイルを積極的に供給できる。
このため、トランスミッションケース5に貯留されるオイルの量を低減して、ファイナルドリブンギヤ31が浸かるオイルOの油面を下げることができる。この結果、ファイナルドリブンギヤ31の攪拌抵抗の低減を図ることができる上に、オイルの貯留量を低減して、変速機2の重量を低減できる。
また、本実施例の変速機2によれば、入力軸9の下方に設置される第1のカウンタ軸10および第1のカウンタ軸10の上方に設置される第2のカウンタ軸11を有する。
第1のカウンタ軸10には、低速変速段用のカウンタギヤとして、1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bが設けられており、第2のカウンタ軸11には、高速変速段用のカウンタギヤとして、5速段用のカウンタギヤ11Bと複数のカウンタギヤの中で最も変速比が小さい最高速段用である6速段用のカウンタギヤ11Cとが設けられている。
第1のカウンタ軸10の軸線方向において、1速段用のカウンタギヤ10Aが2速段用のカウンタギヤ10Bよりも隔壁4A側に設置され、第2のカウンタ軸11の軸線方向において、6速段用のカウンタギヤ11Cが側壁5Aに最も近づけて設置されている。
これにより、車両の低速走行時にファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルの量が少ない場合に、第2のカウンタ軸11の下方に設置される第1のカウンタ軸10の軸線方向の一端部10aを通してオイル通路10Lにオイルを導入できる。
このため、オイル通路10Lを通して1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bにオイルを速やかに、かつ確実に供給できる。
さらに、車両の高速走行時にファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられ、トランスミッションケース5の天井面5Bに沿って流れる大量のオイルをオイルガター51で確実に捕捉できる。
これにより、第1のカウンタ軸10の上方に設置される第2のカウンタ軸11の軸線方向の他端部11bを通してオイル通路11Lにオイルを導入できる。このため、オイル通路11Lを通して6速段用のカウンタギヤ11Cにオイルを速やかに、かつ確実に供給できる。
これに加えて、カウンタ軸を第1のカウンタ軸10と第2のカウンタ軸11との2軸から構成することで、第1のカウンタ軸10と第2のカウンタ軸11の軸線方向におけるオイルガター51の全長を短くでき、オイルガター51の構成を簡略化できる上に、オイル通路10L、11Lの全長を短くできる。
これにより、オイルガター51に導入されたオイルを6速段用のカウンタギヤ11Cに速やかに供給できる。
また、本実施例の変速機2によれば、第1のカウンタ軸10には、第1のカウンタ軸10の軸線方向において、隔壁4Aから側壁5Aに向かって1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10B、3速段用のカウンタギヤ10Cおよび4速段用のカウンタギヤ10Dが順次設置されている。
第2のカウンタ軸11には、第2のカウンタ軸11の軸線方向において、隔壁4Aから側壁5Aに向かって後進段用のリバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11B、6速段用のカウンタギヤ11Cが順次設置されている。
5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cは、第2のカウンタ軸11の軸線方向中央部Cよりも側壁5A側に設置されており、後進段用のリバースギヤ11Aは、第2のカウンタ軸11の軸線方向中央部Cよりも隔壁4A側に設置されている。
これにより、車両の低速走行時にファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルを、第1のオイル溝36Aから第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aを通して第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lに供給し、オイル通路10Lを通して1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bに速やか供給できる。
さらに、車両の高速走行時にファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられるオイルを、オイルガター51から第2の側壁側カウンタ軸受部14Bを通してオイル通路11Lに導入し、オイル通路11Lを通して5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cに速やかに供給できる。
これに加えて、車両の後進時には1速段または2速段と後進段との切換えを行うことで、第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aを通して第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lに溜まったオイルを後進時に利用でき、リバースギヤ11Aにオイルを速やかに、かつ確実に供給できる。
また、本実施例の変速機2によれば、第1のカウンタ軸10の軸線方向の一端部10aを回転自在に支持する第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aと、第2のカウンタ軸11の軸線方向の一端部11Aを回転自在に支持する第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aとを有する。
オイル溝は、ファイナルドリブンギヤ31に対向する隔壁4Aの壁面4dから第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aに向かって延びる第1のオイル溝36Aと、ファイナルドリブンギヤ31に対向する隔壁4Aの壁面4dから第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに向かって延びる第2のオイル溝36Bを有する。
第1のオイル溝36Aは、第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aの下方を通過するように第2のオイル溝36Bの下方に形成されている。
これにより、車両の低速走行時にファイナルドリブンギヤ31の回転により掻き上げられるオイルの量が少ない場合に、第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bから第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aを通して第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lおよび第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lにオイルを効率よく導入できる。
この結果、リバースギヤ11A、1速段用のカウンタギヤ10Aおよび2速段用のカウンタギヤ10Bにオイルを確実に供給できる。
また、本実施例の変速機2によれば、オイルガター51のオイル通路部53は、オイル導入部52から斜め上方に延びる上流側オイル通路部53Aを有する。さらに、上流側オイル通路部53Aの下流端53aから第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向に沿い、かつ、側壁5Aに向かって斜め下方に延びる中間側オイル通路部53Bを有する。これに加えて、中間側オイル通路部53Bの下流端53bから下方に向かって傾斜し、オイル排出部54に延びる下流側オイル通路部53Cを有する。
変速機2の水平軸E1に対する上流側オイル通路部53Aの傾斜角θ1は、変速機2の水平軸E1に対する中間側オイル通路部53Bの傾斜角θ2よりも大きく設定されている。
これにより、車両の低速走行時にオイル導入部52を通して上流側オイル通路部53Aにオイルが導入された場合に、オイルを傾斜角θ1が大きい上流側オイル通路部53Aの傾斜面に沿ってファイナルドリブンギヤ31側に戻すことができる。
このため、車両の低速走行時に、オイルがオイルガター51を通して第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに流れ難くできる。この結果、車両の低速走行時にオイルを第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに優先して導入することができ、1速段用のカウンタギヤ10A、2速段用のカウンタギヤ10Bおよびリバースギヤ11Aにより多くのオイルを供給できる。
また、本実施例の変速機2によれば、側壁5Aが、第1のカウンタ軸10の軸線方向の他端部10bを回転自在に支持する第1の側壁側カウンタ軸受部13Bと、第2のカウンタ軸11の軸線方向の他端部11bを回転自在に支持する第2の側壁側カウンタ軸受部14Bと、入力軸9の軸線方向の他端部9bを回転自在に支持する側壁側入力軸受部12Bとを有する。
オイルガター51のオイル排出部54は、側壁側入力軸受部12Bに向かって開口する第1のオイル排出部54Aと、第2の側壁側カウンタ軸受部14Bに向かって開口する第2のオイル排出部54Bとを有する。これに加えて、側壁5Aに、側壁側入力軸受部12Bと第1の側壁側カウンタ軸受部13Bとを連通する連通溝38が形成されている。
これにより、カウンタ軸が第1のカウンタ軸10と第2のカウンタ軸11との2軸から構成された場合であっても、オイルガター51の構成を簡素化して、第1の側壁側カウンタ軸受部13Bおよび第2の側壁側カウンタ軸受部14Bから第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lおよび第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lにオイルを導入できる。
なお、本実施例の変速機2は、第1のカウンタ軸10に1速段用のカウンタギヤ10Aから4速段用のカウンタギヤ10Dを設けているが、第1のカウンタ軸10には少なくとも1速段用のカウンタギヤ10Aが設けられていればよい。
また、第2のカウンタ軸11にリバースギヤ11A、5速段用のカウンタギヤ11Bおよび6速段用のカウンタギヤ11Cを設けているが、第2のカウンタ軸11には少なくともリバースギヤ11Aおよび6速段用のカウンタギヤ11Cが設けられていればよい。
さらに、最高速段用のカウンタギヤが6速段用のカウンタギヤ11Cから構成されているが、7速段以上のカウンタギヤを設け、数字の最も大きい変速段用のカウンタギヤから最高速段用のカウンタギヤを構成してもよい。
また、図8、図9に示す上流側オイル通路部53Aに、図8に示すような分岐通路部53Dを設けてもよい。図8において、オイルガター51には、上流側オイル通路部53Aから分岐し、上流側オイル通路部53Aから第2のオイル溝36Bに向かって斜め下方に傾斜する分岐通路部53Dが設けられている。
このようにすれば、車両の低速走行時に、オイル導入部52から上流側オイル通路部53Aに導入されたオイルO3を、上流側オイル通路部53Aの傾斜面に沿ってからオイル導入部52に戻す一方、オイルO7に示すように、分岐通路部53Dの傾斜面に沿って第2のオイル溝36Bに戻すことができる。
これにより、車両の低速走行時に、分岐通路部53Dの傾斜面に 沿って戻されたオイルO7を第2のオイル溝36Bを通して第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに導入することができ、リバースギヤ11Aにより多くのオイルを供給できる。
(第2の実施例)
図10は、本発明に係る第2の実施例の車両用変速機を示す図であり、第1の実施例と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図10において、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lには仕切壁75が形成されており、仕切壁75は、第1のカウンタ軸10の軸線方向においてオイル通路10Lを遮る。これにより、オイル通路10Lは、仕切壁75を挟んで左右に独立して形成される。
仕切壁75は、第1のカウンタ軸10の軸線方向において、低速変速段用のカウンタギヤである2速段用のカウンタギヤ10Bと高速変速段用のカウンタギヤである3速段用のカウンタギヤ10Cとの間に形成されている。
仕切壁75は、2速段用のカウンタギヤ10Bに対して側壁5A側に設けられており、3速段用のカウンタギヤ10Cに対して隔壁4A側に設けられている。本実施例のオイル通路10Lは、本発明の第1のオイル通路を構成し、仕切壁75は、本発明の仕切壁および第1の仕切壁を構成する。
第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lには仕切壁76が形成されており、仕切壁76は、第2のカウンタ軸11の軸線方向においてオイル通路11Lを遮る。これにより、オイル通路11Lは、仕切壁76を挟んで左右に独立して形成される。
仕切壁76は、リバースギヤ11Aに対して側壁5A側に設けられており、5速段用のカウンタギヤ11Bに対して隔壁4A側に設けられている。本実施例のオイル通路11Lは、本発明の第2のオイル通路を構成し、仕切壁76は、本発明の仕切壁および第2の仕切壁を構成する。
第1のカウンタ軸10の軸線方向において、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間にはワッシャ71が設けられている。第1のカウンタ軸10の仕切壁75にはワッシャ71の突起が嵌合される複数の嵌合穴75mが形成されており、嵌合穴75mは、仕切壁75の上下に形成されている。これにより、ワッシャ71は、第1のカウンタ軸10の周方向におよび軸線方向に移動しないように仕切壁75に固定される。
ワッシャ71には2速段用のカウンタギヤ10Bおよび3速段用のカウンタギヤ10Cの軸線方向の側面が当接している。これにより、ワッシャ71は、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとが第1のカウンタ軸10の軸線方向に移動することを規制することができる。
これに加えて、ワッシャ71は、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間に第1のカウンタ軸10の軸線方向の隙間を確保し、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとが強く干渉することを防止することができる。
第2のカウンタ軸11の仕切壁76にはサークリップ73の突起が嵌合する複数の嵌合穴76mが形成されており、嵌合穴76mは、仕切壁76の上下に形成されている。これにより、サークリップ73は、第2のカウンタ軸11の周方向におよび軸線方向に移動しないように仕切壁76に固定される。
サークリップ73には5速段用のカウンタギヤ11Bおよびスペーサ72の軸線方向の側面が当接している。これにより、サークリップ73は、5速段用のカウンタギヤ11Bが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動することを規制するとともに、スペーサ72を介してリバースギヤ11Aが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動することを規制することができる。
これに加えて、サークリップ73は、スペーサ72を介してリバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間に第2のカウンタ軸11の軸線方向の隙間を確保し、リバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとが強く干渉することを防止することができる。
本実施例のワッシャ71は、本発明の第1の規制部材を構成し、サークリップ73は、本発明の第2の規制部材を構成する。嵌合穴75mは、本発明の第1の取付け部を構成し、嵌合穴76mは、本発明の第2の取付け部を構成する。
次に、作用を説明する。
車両の前進時の低速走行時において、1速段が成立するときには、1速段用のカウンタギヤ10Aが第1のカウンタ軸10に結合され、2速段が成立するときには、2速段用のカウンタギヤ10Bが第1のカウンタ軸10に結合される。さらに、後進段が成立するときには、リバースギヤ11Aが第2のカウンタ軸11に結合される。
車両の低速走行時にはファイナルドリブンギヤ31の回転数が車両の高速走行時の回転数に比べて低いので、ファイナルドリブンギヤ31の回転によって掻き上げられたオイルO1、O2は、それぞれ第1のオイル溝36Aおよび第2のオイル溝36Bを通して、オイルガター51よりも第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aおよび第2の隔壁側カウンタ軸受部14Aに優先して導入される(図5参照)。
車両の前進時における低速走行時において、第1の隔壁側カウンタ軸受部13Aに導入されるオイルO1は、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lに導入されて第1のカウンタ軸10の軸線方向に沿って側壁5A側に流れる。
オイル通路10Lを流れるオイルは、第1のカウンタ軸10の遠心力によってオイル通路10Lから放射オイル通路10Rを通して結合状態にある1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間に供給される。
これにより、1速段用のカウンタギヤ10Aと第1のカウンタ軸10との間、あるいは2速段用のカウンタギヤ10Bと第1のカウンタ軸10との間がオイルによって潤滑される。
第2の隔壁側カウンタ軸受部13Aに導入されるオイルO2は、第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lに導入されて第2のカウンタ軸11の軸線方向に沿って側壁5A側に流れる。
オイル通路11Lを流れるオイルは、第2のカウンタ軸11の遠心力によってオイル通路11Lから放射オイル通路11Rを通して結合状態にあるリバースギヤ11Aと第2のカウンタ軸11との間に供給される。
ところで、オイル通路10Lに仕切壁75が形成されていないと、オイル通路10Lを流れるオイルが放射オイル通路10Rを通して3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間および4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間に供給されてしまう。
さらに、オイル通路11Lに仕切壁76が形成されていないと、オイル通路11Lを流れるオイルが放射オイル通路11Rを通して5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間および6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間に供給されてしまう。
寒冷時等において車両が長期間放置されている場合や長時間停止されている場合にはオイルが冷たい外気によって冷却されて粘度が高くなる。粘度の高いオイルが3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間および4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間に供給されると、3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間および4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間の摺動抵抗が大きくなる。
また、粘度の高いオイルが5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間および6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間に供給されると、5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間および6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間の摺動抵抗が大きくなる。
このため、第1のカウンタ軸10および第2カウンタ軸11の回転時の負荷が大きくなり、エンジン1は、回転負荷の大きい第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11を駆動するために、燃費が増大してしまうことになる。
本実施例の変速機2によれば、第1のカウンタ軸10のオイル通路10Lに、第1のカウンタ軸10の軸線方向においてオイル通路10Lを遮る仕切壁75が形成されている。仕切壁75は、第1のカウンタ軸10の軸線方向において2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間に形成されており、2速段用のカウンタギヤ10Bに対して側壁5側に設けられている。
これにより、寒冷時に車両が長期間放置されている状態や長時間停止されている状態からエンジン1を始動したときに、粘度の高いオイルが仕切壁75によって遮られ、第1のオイル通路10Lの1速段用のカウンタギヤ10A側および2速段用のカウンタギヤ10B側から3速段用のカウンタギヤ10C側に流れることを防止できる。このため、エンジン1を始動後の車両の前進低速走行時に、3速段用のカウンタギヤ10Cと第1のカウンタ軸10との間および4速段用のカウンタギヤ10Dと第1のカウンタ軸10との間の摺動抵抗が大きくなることを防止できる。
また、本実施例の変速機2によれば、第2のカウンタ軸11のオイル通路11Lに、第2のカウンタ軸11の軸線方向においてオイル通路11Lを遮る仕切壁76が形成されている。仕切壁76は、第2のカウンタ軸11の軸線方向においてリバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間に形成されており、5速段用のカウンタギヤ11Bに対して隔壁4A側に設けられている。
これにより、寒冷時に車両が長期間放置されている状態や長時間停止されている状態からエンジン1を始動したときに、粘度の高いオイルが仕切壁76によって遮られ、オイル通路11Lのリバースギヤ11A側から5速段用のカウンタギヤ11B側に流れることを防止できる。
このため、車両の後進時に5速段用のカウンタギヤ11Bと第2のカウンタ軸11との間および6速段用のカウンタギヤ11Cと第2のカウンタ軸11との間の摺動抵抗が大きくなることを防止できる。
この結果、車両の後進時に第1のカウンタ軸10および第2カウンタ軸11の回転時の負荷が大きくなることを防止して、エンジン1の燃費が増大することを防止できる。
また、本実施例の変速機2によれば、第1のカウンタ軸10に、2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとが第1のカウンタ軸10の軸線方向に移動することを規制するワッシャ71が設けられている。
さらに、第2のカウンタ軸11に、リバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとが第2のカウンタ軸11の軸線方向に移動することを規制するサークリップ73が設けられている。
これに加えて、仕切壁75に、ワッシャ71が取付けられる嵌合穴75mが設けられており、仕切壁76に、サークリップ73が取付けられる嵌合穴76mが設けられている。
これにより、剛性の高い仕切壁75、76に嵌合穴75m、76mを形成したとしても、第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の剛性が低下することを防止できる。
さらに、仕切壁75を2速段用のカウンタギヤ10Bと3速段用のカウンタギヤ10Cとの間に形成し、仕切壁76をリバースギヤ11Aと5速段用のカウンタギヤ11Bとの間に形成することで、仕切壁75、76を第1のカウンタ軸10および第2のカウンタ軸11の軸線方向の中央部に設けることができる。
これにより、入力軸9の動力を、入力ギヤ9A、9B、9D、9Eからカウンタギヤ10A、10B、10C、10Dを介して第1のカウンタ軸10に伝達した場合に、第1のカウンタ軸10が軸線方向に対して直交する方向に変形することを防止できる。
これに加えて、入力軸9の動力を、入力ギヤ、9A、9C、9Eから、リバース専用ギヤのギヤ10E、リバースギヤ11A、カウンタギヤ11B、11Cを介して第2のカウンタ軸11に伝達した場合には、第2のカウンタ軸11が軸線方向に対して直交する方向に変形することを防止できる。
このため、オイル通路10L、11Lを流れるオイルがオイル通路10L、11Lの内部でばたついて挙動が不安定になることを防止できる。この結果、オイルを第1のカウンタ軸10とカウンタギヤ10A、10B、10C、10Dとの間および第2のカウンタ軸11とリバースギヤ11A、カウンタギヤ11B、11Cとの間に円滑に供給することができる。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。