JP2020008070A - 車両用変速機の潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転部材の攪拌抵抗を低減しつつ、潤滑に用いられるオイルを確保することができる車両用変速機の潤滑構造を提供すること。【解決手段】変速機1において、クラッチ装置41の下方に、仕切用リブ95A、93C、周壁96およびクラッチカバー93の円筒部93Bによって囲まれるオイル溜まり97が形成されており、オイル溜まり97は、クラッチ装置41の回転方向Rに対向して開口する開口部98と、左隔壁95に開口され、オイル溜まり97に貯留されるオイルを中間軸8に供給するオイル供給孔108aとを有する。【選択図】図7

Description

本発明は、車両用変速機の潤滑構造に関する。
車両用変速機は、軸上に軸受や変速用の歯車等の潤滑部を備えており、潤滑部を潤滑油によって潤滑する必要がある。従来の車両用変速機の潤滑構造としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載される車両用変速機の潤滑構造は、被駆動歯車が軸受を介して第1の軸に遊嵌されており、被駆動歯車に隣接するミッションケースの壁に、被駆動歯車の直下の外周部に位置して被駆動歯車の回転方向と逆方向に開口する油留め凹所が形成されている。
油留め凹所は、ミッションケースの壁に形成された連通穴を通してミッションケースの壁の反対側に設けられた第2の軸の端面に臨んでいる。第2の軸には、第2の軸の端面に開口して軸方向に延び、かつ第2の軸上の潤滑部に連通する潤滑油連通路が設けられている。
これにより、連通孔から第2の軸の開口を通して潤滑油連通路に潤滑油が供給され、潤滑油連通路を通って潤滑部に潤滑油が導かれることにより、潤滑部が潤滑油によって潤滑される。
実開昭64−12962号公報
このような従来の車両用変速機の潤滑構造は、被駆動歯車の直下の外周部に位置して油留め凹所が形成されているが、油留め凹所は、被駆動歯車を下方から覆う形状となっておらず、被駆動歯車の回転方向に僅かな長さしか延びていない。
これにより、ミッションケースの底部に潤滑油を溜める空間を確保できない上に、オイルと被駆動歯車とを仕切ることができない。このため、ミッションケースの底部に貯留されるオイルの量が増大した場合に、被駆動歯車の攪拌抵抗が増大するおそれがある。
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、回転部材の攪拌抵抗を低減しつつ、潤滑に用いられるオイルを確保することができる車両用変速機の潤滑構造を提供することを目的とするものである。
本発明は、変速機構を収容する変速機構収容室と、前記変速機構収容室と壁部を介して分離され、回転部材を収容する回転部材収容室とを有する変速機ケースを備え、前記回転部材収容室が、前記壁部と、前記回転部材の外周部を取り囲むようにして前記壁部から外方に突出する周壁と、前記周壁に接触する外周縁部を有し、前記回転部材を外方から覆うようにして前記周壁に取付けられたカバー部材とによって形成される車両用変速機の潤滑構造であって、前記壁部に、前記周壁の底部よりも上方において前記壁部から前記カバー部材に向かって突出し、前記回転部材を下方から取り囲むケース側仕切部が形成されており、前記カバー部材に、前記カバー部材から前記壁部に向かって突出し、前記回転部材を下方から取り囲むようにして前記ケース側仕切部に接触するカバー側仕切部が形成されており、前記回転部材の下方に、前記ケース側仕切部、前記カバー側仕切部、前記周壁および前記カバー部材の外縁部によって囲まれるオイル溜まりが形成されており、前記オイル溜まりは、前記回転部材の回転方向に対向して開口する開口部と、前記壁部に開口され、前記オイル溜まりと前記変速機構収容室とを連通するオイル供給孔とを有することを特徴とする。
このように上記の本発明によれば、回転部材の攪拌抵抗を低減しつつ、潤滑に用いられるオイルを確保することができる。
図1は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の後面図である。 図2は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の構成図である。 図3は、本発明の一実施例に係る車両用変速機のトランスミッションケースの左側面図である。 図4は、クラッチカバーを取り外したトランスミッションケースの左側面図である。 図5は、クラッチカバーおよびクラッチ装置を取り外したトランスミッションケースの左側面図である。 図6は、トランスミッションケースの右面図である。 図7は、図3のVII−VII方向矢視断面図である。 図8は、図3のVIII−VIII方向矢視断面図である。 図9は、クラッチカバーの右側面図である。
本発明の一実施の形態に係る車両用変速機の潤滑構造は、変速機構を収容する変速機構収容室と、変速機構収容室と壁部を介して分離され、回転部材を収容する回転部材収容室とを有する変速機ケースを備え、回転部材収容室が、壁部と、回転部材の外周部を取り囲むようにして壁部から外方に突出する周壁と、周壁に接触する外周縁部を有し、回転部材を外方から覆うようにして周壁に取付けられたカバー部材とによって形成される車両用変速機の潤滑構造であって、壁部に、周壁の底部よりも上方において壁部からカバー部材に向かって突出し、回転部材を下方から取り囲むケース側仕切部が形成されており、カバー部材に、カバー部材から壁部に向かって突出し、回転部材を下方から取り囲むようにしてケース側仕切部に接触するカバー側仕切部が形成されており、回転部材の下方に、ケース側仕切部、カバー側仕切部、周壁およびカバー部材の外縁部によって囲まれるオイル溜まりが形成されており、オイル溜まりは、回転部材の回転方向に対向して開口する開口部と、壁部に開口され、オイル溜まりと変速機構収容室とを連通するオイル供給孔とを有する。
これにより、回転部材の攪拌抵抗を低減しつつ、潤滑に用いられるオイルを確保することができる。
以下、本発明の一実施例に係る車両用変速機の潤滑構造について、図面を用いて説明する。
図1から図9は、本発明の一実施例に係る車両用変速機の潤滑構造を示す図である。図1から図9において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用変速機を基準とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両用変速機の高さ方向が上下方向である。
まず、構成を説明する。
図1において、自動車等の車両に搭載される車両用変速機(以下、単に変速機1という)は、トルクコンバータハウジング(以下、トルコンハウジングという)91と、トランスミッションケース92(図3から図6参照)と、クラッチカバー93(図3参照)とを有する。本実施例のトルコンハウジング91およびトランスミッションケース92は、本発明の変速機ケースを構成する。
トルコンハウジング91の右端部には図示しないボルトによってエンジン2が連結されており、トルコンハウジング91の左端部にはボルト75Aによってトランスミッションケース92が取付けられている。
エンジン2は、クランク軸3(図2参照)を回転自在に支持する図示しないシリンダブロックを有し、シリンダブロックの左端部にトルコンハウジング91が連結されている。つまり、トルコンハウジング91の右端部にシリンダブロックが連結されている。
図2において、トルコンハウジング91の内部にはトルクコンバータ収容室91Aが設けられており、トルクコンバータ収容室91Aにはトルクコンバータ4が収容されている。
トランスミッションケース92の内部には変速機構収容室92Aが設けられており、変速機構収容室92Aには平行軸歯車機構からなる常時噛合式の変速機構77が収容されている。
図1において、トランスミッションケース92の左端部にはボルト75Bによってクラッチカバー93が連結されている。クラッチカバー93の内部にはクラッチ収容室78が設けられており、クラッチ収容室78にはクラッチ装置41が収容されている(図2参照)。本実施例のクラッチ装置41は、本発明の回転部材を構成する。
本実施例の変速機1は、前進7速、後進1速の変速段を有する。図2において、変速機構77は、エンジン2のクランク軸3からトルクコンバータ4を介して動力が伝達される入力軸5と、それぞれ入力軸5と平行に設置される前進用アイドル軸6、後進用アイドル軸7、中間軸8および出力軸9とを備えている。
本実施例のエンジン2は、クランク軸3が車幅方向に延びるように設置される横置きエンジンから構成されている。トルクコンバータ4は、エンジン2と変速機1との間でオイルを介して動力を伝達する流体継手である。
入力軸5は、軸中心に油路が形成された主入力軸11と、主入力軸11の外周部に主入力軸11と同軸上に設けられた中空の副入力軸12とを有する。主入力軸11は副入力軸12に挿入され、主入力軸11と副入力軸12とはニードルベアリングを介して相対回転自在に配置されている。
主入力軸11の一端部11aにはトルクコンバータ4が連結されており、エンジン2の動力は、トルクコンバータ4を介して主入力軸11に伝達される。
変速機構77は、遊星歯車機構21を有する。遊星歯車機構21は、主入力軸11と副入力軸12の外周部に主入力軸11と同軸上に設けられており、副入力軸12に対してエンジン2側に設置されている。
遊星歯車機構21は、主入力軸11と副入力軸12の一端部12aとを連結し、主入力軸11の回転を減速しながら副入力軸12に伝達可能に構成されている。具体的には、遊星歯車機構21は、キャリア22、サンギヤ23およびリングギヤ24を備えている。
キャリア22は、プラネタリピニオン22Aを自転自在、かつ、公転自在に支持している。サンギヤ23は、プラネタリピニオン22Aに噛み合っており、後述するブレーキ装置31によって回転不能とされる状態と回転が許容される状態とに切換えられる。
リングギヤ24は、主入力軸11にスプライン嵌合されており、主入力軸11と一体で回転する。リングギヤ24は、プラネタリピニオン22Aに噛み合っており、リングギヤ24の動力は、キャリア22に伝達される。
キャリア22と副入力軸12の一端部12aとの間にはワンウェイクラッチ25が設置されており、ワンウェイクラッチ25は、キャリア22から副入力軸12に副入力軸12の回転速度を上昇させる方向の動力を伝達し、副入力軸12からキャリア22にキャリア22の回転速度を上昇させる方向の動力を伝達しないように構成されている。これにより、ワンウェイクラッチ25は、主入力軸11から副入力軸12に動力を伝達可能とし、副入力軸12から主入力軸11に動力を伝達不能とする。
変速機構77は、ブレーキ装置31を有する。ブレーキ装置31は、主入力軸11の径方向外方に主入力軸11と同軸上に設置されており、筒状のブレーキケース32を備えている。ブレーキケース32は、トルコンハウジング91の仕切壁94に固定されており、仕切壁94から遊星歯車機構21に向かって突出するように配置されている。仕切壁94は、トルクコンバータ収容室91Aと変速機構収容室92Aとを仕切り、変速機構収容室92Aの右隔壁を構成する。
ブレーキケース32には一対の摩擦プレート34、35および筒状のクラッチハブ36が収容されている。クラッチハブ36は、筒状に形成されてサンギヤ23と一体に設けられており、サンギヤ23からブレーキケース32の内部に延びている。本実施例のクラッチハブ36は、サンギヤ23の一部を構成しており、サンギヤ23の一部は、ブレーキケース32に収容されている。
摩擦プレート34は、クラッチハブ36の外周部にスプライン嵌合されており、クラッチハブ36と一体で回転し、かつ、主入力軸11の軸方向に移動自在となっている。
摩擦プレート35は、ブレーキケース32の内周部にスプライン嵌合されており、ブレーキケース32に対して主入力軸11の回転方向に回転不能で、かつ、主入力軸11の軸方向に移動自在となっている。摩擦プレート34、35は、主入力軸11の軸方向に交互に設置されている。
ブレーキ装置31において、摩擦プレート35のうちのトルクコンバータ4側に位置する摩擦プレート35がピストン37によって押圧されると、摩擦プレート34と摩擦プレート35とが摩擦接触し、サンギヤ23をブレーキケース32に固定する。これにより、サンギヤ23が回転不能となる。ピストン37は、オイルが作用することにより、摩擦プレート35を遊星歯車機構21側に押圧する。
サンギヤ23が回転不能となると、主入力軸11からリングギヤ24を介してキャリア22に動力が伝達される。そして、キャリア22が回転し、キャリア22からワンウェイクラッチ25を介して副入力軸12に動力が伝達される。
遊星歯車機構21は、プラネタリピニオン22A、サンギヤ23およびリングギヤ24のギヤ比を任意に設定することにより、主入力軸11の回転を減速して副入力軸12に伝達できる。すなわち、遊星歯車機構21は、減速機として機能する。
ブレーキ装置31において、ピストン37に油圧が作用しなくなると、図示しないリターンスプリングの付勢力によって摩擦プレート35が移動し、摩擦プレート35が摩擦プレート34から引き離される。
このため、サンギヤ23の回転が許容される。サンギヤ23の回転が許容されると、プラネタリピニオン22Aは空転してキャリア22は回転しなくなり、遊星歯車機構21を介する動力伝達経路では主入力軸11から副入力軸12に動力が伝達されない。
主入力軸11の他端部11bと副入力軸12の他端部12bにはクラッチ装置41が設けられている。クラッチ装置41は、トランスミッションケース92の左隔壁95の外面95a側に設置されており(図4参照)、クラッチドラム42とクラッチハブ43とを有する。
クラッチドラム42は、主入力軸11とスプライン嵌合して一体で回転し、クラッチハブ43は、副入力軸12とスプライン嵌合して一体で回転する。クラッチドラム42には環状の摩擦プレート44が設けられており、摩擦プレート44は、クラッチドラム42と一体で回転し、かつ、主入力軸11の軸方向に移動自在となっている。
クラッチドラム42とクラッチハブ43との間には環状のスペーサ90(図7、図8参照)が設けられており、クラッチドラム42とクラッチハブ43とは、スペーサ90を介して軸方向に位置決めされている。
図7、図8において、クラッチハブ43には複数の摩擦プレート45が設けられており、摩擦プレート44と摩擦プレート45とは、主入力軸11の軸方向において交互に設置されている。
クラッチ装置41は、摩擦プレート44と摩擦プレート45とが摩擦接触すると、クラッチドラム42とクラッチハブ43とが一体で回転し、エンジン2の動力を主入力軸11から副入力軸12に伝達する。
クラッチ装置41は、摩擦プレート44と摩擦プレート45とが離隔すると、主入力軸11から副入力軸12にエンジン2の動力を伝達しなくなる。
図2に示すように、副入力軸12の軸方向においてトルクコンバータ4とクラッチ装置41の間には4速段用の変速ギヤ51、5速段用の変速ギヤ52、入力アイドルギヤ53および同期装置54が設けられている。
4速段用の変速ギヤ51および5速段用の変速ギヤ52は、副入力軸12に相対回転自在に支持されており、入力アイドルギヤ53は、副入力軸12にスプライン嵌合され、副入力軸12と一体で回転する。
同期装置54は、ハブ56およびスリーブ57を有する。ハブ56は、副入力軸12にスプライン嵌合されており、副入力軸12と一体で回転する。スリーブ57は、ハブ56にスプライン嵌合されており、副入力軸12の軸方向に移動自在となっている。
スリーブ57は、シフト操作によって4速段または5速段に操作されると、中立位置から図示しないシフトフォークによって4速段用の変速ギヤ51または5速段用の変速ギヤ52側に移動される。
例えば、自動によるシフト操作が行われる場合には、スリーブ57は、図示しないアクチュエータによって駆動される。アクチュエータは、運転者によって操作されるシフトレバーがドライブレンジにシフトされた状態において、予めスロットル開度と車速とをパラメータとして設定された変速マップに基づいて同期装置54および後述する同期装置68、69を操作して変速段の制御を行う。また、アクチュエータは、シフトレバーがリバースレンジにシフトされた状態において後述する同期装置88を操作する。
スリーブ57が中立位置から4速段用の変速ギヤ51側に移動すると、4速段用の変速ギヤ51がスリーブ57に嵌合することにより、スリーブ57を介して副入力軸12と4速段用の変速ギヤ51とが連結され、4速段用の変速ギヤ51が副入力軸12と一体で回転する。
スリーブ57が中立位置から5速段用の変速ギヤ52側に移動すると、5速段用の変速ギヤ52がスリーブ57に嵌合することにより、スリーブ57を介して副入力軸12と5速段用の変速ギヤ52とが連結され、5速段用の変速ギヤ52が副入力軸12と一体で回転する。
主入力軸11の軸方向においてスリーブ57と4速段用の変速ギヤ51との間およびスリーブ57と5速段用の変速ギヤ52との間にはそれぞれシンクロナイザリング58A、58Bが介装されている。
シンクロナイザリング58Aは、スリーブ57が中立位置から4速段の変速ギヤ51側に移動したときに、スプラインがスリーブ57のスプラインに嵌合し、さらに、4速側の変速ギヤ51のテーパ面に摩擦接触することにより、4速段用の変速ギヤ51の回転をスリーブ57の回転に同期させる。
シンクロナイザリング58Bは、スリーブ57が中立位置から5速段の変速ギヤ52側に移動したときに、スプラインがスリーブ57のスプラインに嵌合し、さらに、5速側の変速ギヤ52のテーパ面に摩擦接触することにより、5速段用の変速ギヤ52の回転をスリーブ57の回転に同期させる。
前進用アイドル軸6の一端部および他端部は、軸受101A、101Bを介して左隔壁95および仕切壁94に回転自在に支持されている。前進用アイドル軸6の一端部は、トルクコンバータ4側であり、他端部は、クラッチ装置41側である。
前進用アイドル軸6にはアイドルギヤ61とアイドルギヤ61よりも小径のアイドルギヤ62とが設けられている。アイドルギヤ61は、前進用アイドル軸6の軸方向においてクラッチ装置41側に設けられており、入力アイドルギヤ53に噛み合っている。
アイドルギヤ61は、前進用アイドル軸6にスプライン嵌合されており、前進用アイドル軸6と一体で回転する。これにより、アイドルギヤ61は、入力アイドルギヤ53からの動力を前進用アイドル軸6に伝達可能となっている。
アイドルギヤ62は、前進用アイドル軸6の軸方向においてトルクコンバータ4側に設けられており、前進用アイドル軸6と一体で形成されて前進用アイドル軸6と一体で回転する。
中間軸8の一端部および他端部は、軸受102A、102Bを介して左隔壁95および仕切壁94に回転自在に支持されている。中間軸8の一端部は、トルクコンバータ4側であり、他端部は、クラッチ装置41側である。
中間軸8にはクラッチ装置41側からトルクコンバータ4側に向かって1−2速段用の変速ギヤ63、3速段用の変速ギヤ64、6速段用の変速ギヤ65、7速段用の変速ギヤ66およびアイドルギヤ67が設けられている。変速ギヤ63から変速ギヤ66は、クラッチ装置41側からトルクコンバータ4側に向かうに従って径が順に大きくなる。
変速ギヤ63から変速ギヤ66は、中間軸8に相対回転自在に設けられており、アイドルギヤ67は、中間軸8と一体で回転するように中間軸8にスプライン嵌合されている。アイドルギヤ67は、前進用アイドル軸6のアイドルギヤ62に噛み合っており、アイドルギヤ67にはアイドルギヤ62から動力が伝達される。
1−2速段用の変速ギヤ63と3速段用の変速ギヤ64との間には同期装置68が設けられており、6速段用の変速ギヤ65と7速段用の変速ギヤ66との間には同期装置69が設けられている。
同期装置68は、シフト操作によって1速段または2速段にシフトされると、1−2速段用の変速ギヤ63を中間軸8に連結する。これにより、1−2速段用の変速ギヤ63は、中間軸8と一体で回転する。
同期装置68は、シフト操作によって3速段にシフトされると、3速段用の変速ギヤ64を中間軸8に連結する。これにより、3速段用の変速ギヤ64は、中間軸8と一体で回転する。
同期装置69は、シフト操作によって6速段にシフトされると、6速段用の変速ギヤ65を中間軸8に連結する。これにより、6速段用の変速ギヤ65は、中間軸8と一体で回転する。
同期装置69は、シフト操作によって7速段にシフトされると、7速段用の変速ギヤ66を中間軸8に連結する。これにより、7速段用の変速ギヤ66は、中間軸8と一体で回転する。同期装置68、69は、同期装置54と同様に動作するので、具体的な構成の説明は省略する。
出力軸9の一端部および他端部は、軸受103A、103Bを介して左隔壁95および仕切壁94に回転自在に支持されている。出力軸9の一端部は、トルクコンバータ4側であり、他端部は、クラッチ装置41側である。
出力軸9にはクラッチ装置41側からトルクコンバータ4側に向かって1−2−4速段用の出力ギヤ70、3−5速段用の出力ギヤ71、6速段用の出力ギヤ72、7速段用の出力ギヤ73および前進用のファイナルドライブギヤ74が設けられている。出力ギヤ70から出力ギヤ73は、クラッチ装置41側からトルクコンバータ4側に向かうに従って径が順に小さくなる。
出力ギヤ70から出力ギヤ73は、出力軸9にスプライン嵌合されており、出力軸9と一体で回転する。前進用のファイナルドライブギヤ74は、出力軸9と一体に形成されて出力軸9と一体で回転する。
1−2−4速段用の出力ギヤ70は、4速段用の変速ギヤ51と1−2速段用の変速ギヤ63とに噛み合っている。1−2−4速段用の出力ギヤ70は、1−2速段用の変速ギヤ63よりも大径に形成されており、4速段用の変速ギヤ51は、1−2−4速段用の出力ギヤ70よりも小径で、かつ、1−2速段用の変速ギヤ63よりも大径に形成されている。
3−5速段用の出力ギヤ71は、3速段用の変速ギヤ64と5速段用の変速ギヤ52とに噛み合っている。3−5速段用の出力ギヤ71は、3速段用の変速ギヤ64よりも大径に形成されており、5速段用の変速ギヤ52は、3−5変速段用の出力ギヤ71よりも大径に形成されている。
6速段用の出力ギヤ72は、6速段用の変速ギヤ65に噛み合っており、6速段用の変速ギヤ65よりも小径に形成されている。7速段用の出力ギヤ73は、7速段用の変速ギヤ66に噛み合っており、7速段用の変速ギヤ66よりも小径に形成されている。
このように、各ギヤ51、52、63、64、65、66、70、71、72、73の径を設定することにより、各変速段に応じたギヤ比が設定される。
前進用のファイナルドライブギヤ74は、ディファレンシャル装置81のファイナルドリブンギヤ81Aに噛み合っている。これにより、出力軸9の動力は、前進用のファイナルドライブギヤ74およびファイナルドリブンギヤ81Aを経てディファレンシャル装置81に伝達される。
ディファレンシャル装置81には図示しない左右のドライブシャフトを介して図示しない左右の駆動輪が連結されており、ディファレンシャル装置81は、エンジン2の動力を差動機構81Bによって左右のドライブシャフトに分配して左右の駆動輪に伝達する。
後進用アイドル軸7の一端部および他端部は、軸受104A、104Bを介して左隔壁95および仕切壁94に回転自在に支持されている。後進用アイドル軸7の一端部は、トルクコンバータ4側であり、他端部は、クラッチ装置41側である。後進用アイドル軸7にはアイドルギヤ84とアイドルギヤ84よりも小径のアイドルギヤ85とが設けられている。
アイドルギヤ84は、クラッチ装置41側に設けられており、後進用アイドル軸7にスプライン嵌合されて後進用アイドル軸7と一体で回転する。アイドルギヤ85は、後進用アイドル軸7のトルクコンバータ4側に設けられており、後進用アイドル軸7と一体に形成されて後進用アイドル軸7と一体で回転する。
後進軸10の一端部および他端部は、軸受105A、105Bを介して左隔壁95および仕切壁94に回転自在に支持されている。後進軸10の一端部は、トルクコンバータ4側であり、他端部は、クラッチ装置41側である。
後進軸10には後進ギヤ86と、後進ギヤ86よりも小径に形成された後進用のファイナルドライブギヤ87とが設けられている。なお、軸受105Aが支持される左隔壁95は、軸受101A等が支持される左隔壁95よりもトルクコンバータ4側に位置している。
後進ギヤ86は、後進軸10に相対回転自在に設けられている。後進用のファイナルドライブギヤ87は、後進軸10と一体に形成されており、後進軸10と一体で回転する。後進ギヤ86は、アイドルギヤ85に噛み合っており、後進用のファイナルドライブギヤ87は、ファイナルドリブンギヤ81Aに噛み合っている。
後進軸10には同期装置88が設けられている。同期装置88は、シフト操作によって後進段にシフトされると、後進ギヤ86を後進軸10に連結する。これにより、後進ギヤ86は、後進軸10と一体で回転する。
このとき、後進用のファイナルドライブギヤ87からファイナルドリブンギヤ81Aに動力が伝達され、ファイナルドリブンギヤ81Aが前進時と反対方向に回転し、車両が後進される。なお、同期装置88は、同期装置54と同様に動作するので、具体的な構成の説明は省略する。
図2において、主入力軸11は、軸受27を介してブレーキケース32に転自在に支持されている。図7において、左隔壁95に開口部95bが形成されており、開口部95bには主入力軸11と副入力軸12が貫通した状態で配置されている。副入力軸12の他端部12bは、軸受26を介して左隔壁95の開口部95bに回転自在に支持されている。
軸受26は、副入力軸12の外周部に取付けられた内輪部材26Aと、複数のボール部材26Bを介して内輪部材26Aに回転自在に支持された外輪部材26Cとを有する。
外輪部材26Cにはサークリップ28Aが嵌合している。左隔壁95の開口部95bには環状溝95cが形成されており、環状溝95cにはサークリップ28Aが嵌合されている。これにより、軸受26は、左隔壁95に固定されて副入力軸12の軸方向に位置決めされる。
副入力軸12の外周部にはサークリップ28Bが嵌合しており、内輪部材26Aのクラッチ装置41側の側面は、サークリップ28Bに接触している。内輪部材26Aの入力アイドルギヤ53側の側面は、入力アイドルギヤ53に接触している。
これにより、副入力軸12は、軸受26およびサークリップ28A、28Bによって軸方向に位置決めされて左隔壁95に取付けられ、軸方向への移動が規制される。
図5において、左隔壁95にはU字形状の切り欠き部15Aが形成されている。切り欠き部15Aは、サークリップ28Aの一部、および、軸受26の複数のボール部材26Bをクラッチ収容室78に露出させ、トランスミッションケース92の変速機構収容室92Aとクラッチ収容室78とを軸受26(詳細には、ボール部材26Bの間)を介して連通している。
なお、切り欠き部15Aは、サークリップ28Aの取付用の図示しない工具が挿通されて、サークリップ28Aの取付作業に使用される。サークリップ28Aの取付用の工具は、環状溝95cに嵌合されたサークリップ28Aを環状溝95c内で拡径して、サークリップ28Aへの外輪部材26Cの挿入と嵌合をさせるために用いられる。
図7において、クラッチ装置41にはコンセントリックスレーブシリンダ(Concentric Slave Cylinder、以下「CSC」という)47が設けられている。
CSC47は、主入力軸11の軸方向において左隔壁95とクラッチハブ43との間に設置されている。
CSC47は、左隔壁95に嵌合によって主入力軸11と同軸上に位置決めされて取付けられる環状のシリンダ部47Aと、シリンダ部47Aの内部に配置された環状のピストン47Bとを有する。なお、主入力軸11と副入力軸12は、同軸上に設けられているので、主入力軸11の径方向と副入力軸12の径方向とは同じ方向である。
左隔壁95には図示しない隔壁側油路が形成されており、油路には図示しないオイル供給管を通してオイルが供給される。シリンダ部47Aの内部には図示しないシリンダ側油路が形成されており、シリンダ側油路には隔壁側油路からオイルが供給される。
ピストン47Bは、隔壁側油路からシリンダ側油路に供給される油圧によってシリンダ部47Aからクラッチハブ43側に突出するように移動する。
主入力軸11の軸方向において、CSC47とクラッチドラム42およびクラッチハブ43との間にはスラスト軸受48、プレスフランジ49およびサポートリング50が設置されている。
スラスト軸受48は、外輪部材48Aと、外輪部材48Aにボール部材48Bを介して回転自在に連結された内輪部材48Cとを有する。
プレスフランジ49は、環状に形成されており、径方向の内端部49bが外輪部材48Aの外周面を覆うようにして外輪部材48Aに固定されている。プレスフランジ49の径方向の外端部49aは、外輪部材48Aから主入力軸11の径方向の外方に延び、主入力軸11の軸方向においてCSC47に最も近い摩擦プレート44に対向している。
プレスフランジ49は、径方向の外端部49aに対して径方向の内端部49bがクラッチハブ43に向かって突出する筒状に形成されている。
サポートリング50は、環状に形成されており、径方向の外端部50aが主入力軸11の軸方向において内輪部材48CのCSC47側の側面に固定され、径方向の内端部50bがピストン47Bに取付けられている。
CSC47において、隔壁側油路からシリンダ側油路に供給される油圧によってピストン47Bがシリンダ部47Aからクラッチハブ43側に突出すると、サポートリング50がクラッチドラム42側に移動してスラスト軸受48を押して移動させ、プレスフランジ49が摩擦プレート44を押すことで摩擦プレート44を摩擦プレート45に押し付ける。このとき、プレスフランジ49は、スラスト軸受48によって主入力軸11の軸周りに回転が許容され、クラッチドラム42側に移動する。
摩擦プレート44が摩擦プレート45に押し付けられると、摩擦プレート44と摩擦プレート45とが摩擦接触してクラッチドラム42とクラッチハブ43とが一体で回転し、主入力軸11から副入力軸12に動力が伝達される。
クラッチドラム42は、径方向の内端部42aが主入力軸11にスプライン嵌合されている。クラッチドラム42の径方向の外端部42bは、筒状に形成されている。クラッチドラム42の径方向の外端部42bの内周面には複数の摩擦プレート44がスプライン嵌合されている。
摩擦プレート44は、クラッチドラム42と一体で回転し、かつ、主入力軸11の軸方向に移動自在となっている。
クラッチハブ43は、径方向の内端部43aが副入力軸12にスプライン嵌合されている。クラッチハブ43の径方向の外端部43bの外周面には摩擦プレート45がスプライン嵌合されており、摩擦プレート45は、クラッチハブ43と一体で回転し、かつ、主入力軸11の軸方向に移動自在となっている。
摩擦プレート44、45に対してクラッチドラム42側にはリテーナプレート16が設けられており、リテーナプレート16は、片面で摩擦プレート45に接触する。リテーナプレート16は、摩擦プレート44、45よりも主入力軸11の軸方向の厚みが大きく形成されており、摩擦プレート44、45の倒れを防止する。
摩擦プレート44の間には環状のリターンスプリング17が設けられている。リターンスプリング17は、主入力軸11の軸方向に対して隣接する摩擦プレート44間の距離が大きくなるように摩擦プレート44を付勢している。
これにより、CSC47のピストン47Bに油圧が作用しなくなると、リターンスプリング17の付勢力によって摩擦プレート44が移動され、摩擦プレート44が摩擦プレート45から引き離される。このため、主入力軸11から副入力軸12に動力が伝達されなくなる。
クラッチドラム42の径方向の外端部42bの内周面には環状のスナップリング18が嵌合されている。スナップリング18は、CSC47側の摩擦プレート44に接触することにより、リターンスプリング17の付勢力によって摩擦プレート44、45がクラッチドラム42から抜け出ることを防止する。
クラッチカバー93とクラッチドラム42の間には軸受112が設けられており、クラッチドラム42は、軸受112によってクラッチカバー93に回転自在に支持されている。
変速機構収容室92Aとクラッチ収容室78とは左隔壁95によって分離されている。図5、図7において、クラッチ収容室78は、左隔壁95と、周壁96と、クラッチカバー93とによって囲まれた空間から構成されている。本実施例の左隔壁95は、本発明の壁部を構成し、クラッチカバー93は、本発明のカバー部材を構成する。
周壁96は、左隔壁95から主入力軸11の軸方向にトランスミッションケース92の外方に突出しており、クラッチ装置41の外周部を取り囲むように略環状に形成されている(図4参照)。周壁96の突出方向は、左隔壁95から左方に離れる方向である。
図4に示すように、クラッチ装置41の外周部、すなわち、クラッチドラム42の径方向の外端部42bと周壁96の内周面との距離は、後述するオイル供給孔106aから109aの直径と同程度の隙間となるように、クラッチドラム42の径方向の外端部42bが周壁96の内周面に近接している。
クラッチドラム42の径方向の外端部42bに対して周壁96は近接位置に配置されているので、クラッチ装置41の外周部に付着したオイルが遠心力で外周部から飛散することなく外周部の回転に連れまわることになる。
図9に示すように、クラッチカバー93は、カバー本体93Aおよび円筒部93Bを備えている。図7に示すように、カバー本体93Aは、主入力軸11の軸方向で左隔壁95に対向し、主入力軸11から径方向の外方に延びた略円板形状に形成されている。
カバー本体93Aは、その径方向の中心位置(主入力軸11の回転軸心位置)に、クラッチドラム42に取付けられた軸受112の内径に挿入されて軸受112を支持する支持軸部が、左隔壁95に向かって突出した状態に形成されている。
円筒部93Bは、カバー本体93Aの径方向の外端部から屈曲して左隔壁95に向かって延びており、先端が周壁96に接触する合わせ面となっている。図9に示すように、円筒部93Bには複数のボルト挿通孔93aが周方向に離隔して形成されている。本実施例の円筒部93Bは、本発明のクラッチカバーの外縁部を構成する。
図5において、周壁96には複数のボルト孔溝96aが周方向に離隔して形成されており、円筒部93Bには周壁96のボルト孔溝96aに対応した位置にボルト挿通孔93aが形成されている。
クラッチカバー93は、ボルト挿通孔93aを通してボルト孔溝96aにボルト75B(図1参照)が締結されることにより、周壁96に固定される。これにより、クラッチカバー93は、クラッチ装置41を外方から覆うようにして周壁96に取付けられ、左隔壁95と周壁96と共に変速機構収容室92Aと分離されたクラッチ収容室78を形成する。
図7において、クラッチカバー93は、カバー本体93Aの径方向の中心から径方向の外方に広がる平面部93Sと、平面部93Sの径方向の外端から円筒部93Bに向かうに従って左隔壁95側に傾斜する傾斜部93Tとを有する。
これにより、主入力軸11の軸方向において、クラッチカバー93は、左隔壁95と平面部93Sとの間隔が大きく、平面部93Sから径方向の外端に向かうに従って左隔壁95との間隔が徐々に小さくなる。つまり、クラッチカバー93は、平面部93Sから径方向の外端に向かうに従ってクラッチドラム42に接近する。
すなわち、クラッチ収容室78の内部空間は、左隔壁95と平面部93Sとの間の空間が広く、この空間に対して傾斜部93Tと左隔壁95との間の空間が狭い。
図5において、左隔壁95には筒状の軸受保持部106、107、108、109が形成されており、軸受保持部106から軸受保持部109は、左隔壁95からクラッチカバー93に向かって膨出している(図7、図8参照)。なお、図7、図8には軸受保持部106が図示されていないが、軸受保持部106は、軸受保持部107から軸受保持部109と同じ形状である。
すなわち、軸受保持部106から軸受保持部109は、左隔壁95からクラッチ収容室78の内部に膨出している。これにより、主入力軸11の軸方向に対する軸受保持部106から軸受保持部109の膨出方向の先端とクラッチ装置41との間の隙間L1は、左隔壁95とクラッチ装置41との間の隙間L2よりも小さく形成されている(図8参照)。
変速機構収容室92A側において、軸受保持部106から軸受保持部109の内部にはそれぞれ軸受101Aから軸受104Aが収容されている(図7、図8においては軸受102A、103A、104Aを示す)。
すなわち、前進用アイドル軸6、後進用アイドル軸7、中間軸8および出力軸9の他端部(クラッチ装置41側の端部)は、軸受101Aから軸受104Aを介して軸受保持部106から軸受保持部109に回転自在に支持されている。
軸受保持部106から軸受保持部109のうち、軸受保持部108が最も下方に位置し、軸受保持部107が最も上方に位置している。すなわち、変速機構77を構成する軸の中で中間軸8が最も下方に位置しており、後進用アイドル軸7が最も上方に位置している。
本実施例の中間軸8は、本発明の第1の回転軸を構成し、前進用アイドル軸6および出力軸9は、本発明の第2の回転軸を構成する。また、本実施例のギヤ61からギヤ67およびギヤ70からギヤ73は、本発明のギヤ部材を構成する。
図5において、左隔壁95には仕切用リブ95Aが設けられている。図7、図8に示すように、仕切用リブ95Aは、周壁96の底部96bよりも上方において左隔壁95からクラッチカバー93に向かって突出しており、クラッチ装置41を下方から取り囲んでいる(図4参照)。
図5において、仕切用リブ95Aは、一端部(前端部)95fから他端部(後端部)95rに向い、クラッチ装置41の回転方向、すなわち、クラッチ装置41の回転方向R(図4参照)に沿って湾曲して延びている。つまり、仕切用リブ95Aは、クラッチ装置41の外周部に沿って形成されている。仕切用リブ95Aの一端部95fは、周壁96の前側部と離隔しており、他端部95rは、周壁96に連結されている。
仕切用リブ95Aの一端部95fは、主入力軸11の回転中心軸11p、すなわち、クラッチ装置41の回転中心軸11pよりも下方に位置している。また、前後方向で、一端部95fは、クラッチ装置41の前端とほぼ同じ位置まで延びている。
また、仕切用リブ95Aの他端部95rは、クラッチ装置41の回転中心軸11pよりも下方に位置し、前後方向で、クラッチ装置41の後端とほぼ同じ位置で周壁96に連結されている。
図9に示すように、クラッチカバー93には、左隔壁95と同様に、仕切用リブ95Aに対応した位置に仕切用リブ93Cが形成されている。図7において仕切用リブ93Cは、クラッチカバー93のカバー本体93Aから左隔壁95に向かって突出しており、仕切用リブ95Aと共にクラッチ装置41を下方から取り囲んでいる。
図9において、仕切用リブ93Cは、一端部(前端部)93fから他端部(後端部)93rに向い、クラッチ装置41の回転方向、すなわち、クラッチ装置41の回転方向Rに沿って湾曲して延びている。つまり、仕切用リブ93Cは、クラッチ装置41の外周部に沿って形成されている。仕切用リブ93Cの一端部93fは、円筒部93Bの前側部と離隔しており、仕切用リブ93Cの延びる方向の他端部93rは、円筒部93Bに連結されている。
図7に示すように、仕切用リブ93Cの突出方向の先端は、仕切用リブ95Aの突出方向の先端に接触しており、クラッチ装置41の下方には仕切用リブ95A、93C、周壁96の底部96bおよび円筒部93Bの底部93bによって囲まれるオイル溜まり97が形成されている。つまり、仕切用リブ95A、93Cは、オイル溜まり97の上壁を構成し、クラッチ装置41とオイル溜まり97を分離している。
すなわち、クラッチカバー93が左隔壁95に取付けられた状態において、仕切用リブ93Cと仕切用リブ95Aとは、主入力軸11の軸方向に並んで設置されて連続しているとともに、周壁96と円筒部93Bとは、主入力軸11の軸方向に並んで設置されて連続している。
本実施例のクラッチ収容室78では、オイルが供給されることにより、オイル溜まり97にはクラッチ装置41を潤滑および冷却したオイルが流れ込んで貯留される。本実施例の仕切用リブ95Aは、本発明のケース側仕切部を構成し、仕切用リブ93Cは、本発明のカバー側仕切部を構成する。
図2において、仕切壁94には環状のオイルポンプ79(ハッチングで示す)が設けられている。オイルポンプ79は、トルクコンバータ4のポンプ軸4aに係合して回転駆動される図示しないインナロータと、インナロータを取り囲むように径方向の外方に配置された図示しないアウタロータとを備えている。
オイルポンプ79は、例えば、トロコイド式のオイルポンプから構成されており、アウタロータに形成された内歯とインナロータに形成された外歯とが接触することにより、外歯と内歯との間にオイルを収容する図示しない作動室が形成されている。
オイルポンプ79において、エンジン2の動力がトルクコンバータ4のポンプ軸4aからインナロータに伝達されることにより、インナロータとアウタロータとが一方向に回転すると、作動室の容積増加および容積減少が連続して発生することにより、オイルを吸入および吐出する。
トランスミッションケース92にはオイルが貯留されており、トランスミッションケース92の底部には図示しないオイルストレーナが設けられている。オイルポンプ79は、トランスミッションケース92に貯留されるオイルをオイルストレーナから吸い込む。オイルストレーナはフィルタが内蔵されており、オイルポンプ79は、オイルストレーナで異物が除去されたオイルを吸い込む。
仕切壁94とブレーキケース32にはオイルポンプ79によって吸い込まれるオイルが流れる図示しないオイル通路が形成されており、オイル通路を流れるオイルは、図示しない吸入ポートから作動室に吸入された後、図示しない吐出ポートからオイル通路に吐出される。
主入力軸11の内部にはオイル通路11Aが形成されており、オイル通路11Aは、主入力軸11の軸方向に沿って延び、両端が閉止されている。主入力軸11にはオイル通路11Aから径方向に延び、オイル通路11Aと主入力軸11の外部とを連通する放射孔11cが形成されている(図7参照)。
オイル通路11Aに供給されるオイルは、主入力軸11の回転時の遠心力によって放射孔11cから主入力軸11と副入力軸12との間に流出後、副入力軸12の他端部からクラッチ収容室78に供給される。
クラッチ装置41は、クラッチ収容室78に供給されるオイルによって摩擦プレート44、45およびスラスト軸受48等の潤滑部が潤滑および冷却される。
図5、図9において、オイル溜まり97には開口部98が形成されており、開口部98は、クラッチ装置41の回転方向に対向して開口している。すなわち、開口部98は、仕切用リブ95A、93Cの延びる方向の一端部95f、93fと、周壁96およびクラッチカバー93の円筒部93Bとの間において、クラッチ装置41の回転方向Rに対向するように開口している。
また、本発明の開口部98は、クラッチ装置41の前方に配置され、上側に向けて開口している。クラッチ装置41は回転方向R方向に回転しており、クラッチ装置41の前方側部分は、上から下に回動しているので、クラッチ装置41に連れまわされてクラッチ装置41の前方を落下するオイルを効率よく受け止め、落下するオイルをオイル溜まり97に導くことができる。
図5において、主入力軸11や前進用アイドル軸6等の軸方向から見て、仕切用リブ95Aは、主入力軸11よりも下方に設置されている軸受保持部106、108、109と重なるように配置されている。つまり、仕切用リブ95Aは、軸受保持部106、108、109の外面95a側への突出部分を連結するように形成されている。
換言すれば、仕切用リブ95Aは、主入力軸11よりも下方に設置されている軸受保持部106、108、109を横切るように形成されており、軸受保持部106、108、109に連結されている。これにより、仕切用リブ95Aは、軸受保持部106、108、109からクラッチ装置41に向かって突出している。
軸受保持部106から軸受保持部109にはそれぞれオイル供給孔106a、107a、108a、109aが形成されている。オイル供給孔106aからオイル供給孔109aは、クラッチ収容室78と変速機構収容室92Aとを連通している。
軸受保持部108に形成されたオイル供給孔108aは、仕切用リブ95Aよりも下方において中間軸8の回転中心軸8pよりも上方で、かつ、仕切用リブ95Aと周壁96の底部96bとの間のオイル溜まり97に位置して、オイル溜まり97に開口している。これにより、オイル溜まり97に貯留されるオイルは、オイル供給孔108aから変速機構収容室92Aに排出される。
オイル供給孔106a、109aは、仕切用リブ95Aよりも上方において前進用アイドル軸6の回転中心軸6pと出力軸9の回転中心軸9pよりも上方に位置している。オイル供給孔106a、109aは、仕切用リブ95Aに隣接して形成されており、図6に示すように軸方向でクラッチ装置41側から見て、クラッチドラム42の外端部42bと仕切用リブ95Aの間からその一部が見えるように配置されている。
これにより、仕切用リブ95Aの上方のクラッチ収容室78を流れるオイルは、オイル供給孔106a、109aから変速機構収容室92Aに排出される。クラッチ収容室78に供給されたオイルは、その粘性等により回転方向Rに回転するクラッチドラム42に連れまわされ、回転方向Rに流れる。
流れるオイルには遠心力が作用するため、オイルは仕切用リブ95Aに押しつけられて圧が高められ、仕切用リブ95Aに隣接して形成されたオイル供給孔106a、109aに効率良く流れ込む。
オイル供給孔107aは、後進用アイドル軸7の回転中心軸7pよりも上方に位置している。これにより、仕切用リブ95Aの上方のクラッチ収容室78を流れるオイルは、オイル供給孔107aから変速機構収容室92Aに排出される。
図6に示すように、軸受保持部106から軸受保持部109の内部であって変速機構収容室92A側の面には、上方が開いたU字形状のリブ106b、107b、108b、109bが形成されている。
また、各軸の回転中心軸6pから回転中心軸9pがその内部に位置するようにU字形状のリブ106b、107b、108b、109bが形成されている。リブ106bからリブ109bは、軸受保持部106、107、108、109の膨出方向の先端の背面から変速機構収容室92Aに向かって突出している。
オイル供給孔106aからオイル供給孔109aは、リブ106bからリブ109bの上端の内方、すなわち、リブ106bからリブ109bの内部に位置している。クラッチ収容室78の内部のオイルは、オイル供給孔106a、107a、108a、109aから変速機構収容室92Aに排出されたときに、リブ106bからリブ109bの内部に流れ込む。
オイル供給孔106aからオイル供給孔109aは、各軸の回転中心軸6pから回転中心軸9pよりも上方に位置しているので、オイル供給孔106a、107a、108a、109aから変速機構収容室92Aに排出されたオイルは、リブ106bからリブ109bによって導かれて確実に各軸の回転中心軸に集められる。
主入力軸11の軸方向において、リブ106bからリブ109bは、前進用アイドル軸6、後進用アイドル軸7、中間軸8および出力軸9のそれぞれの他端部との間に微小な隙間を介して対向している。リブ106bからリブ109bにて集められたオイルは、前進用アイドル軸6、後進用アイドル軸7、中間軸8および出力軸9に供給される。
図2において、前進用アイドル軸6にはオイル通路6Aが形成されている。オイル通路6Aは、前進用アイドル軸6の軸心を軸方向に延びており、軸の両端部で開口している。前進用アイドル軸6の軸方向において前進用アイドル軸6の他端部は、リブ106bに対向しており、オイル通路6Aは、オイル供給孔106aのやや下方の位置でオイル供給孔106aに対向している。
オイル供給孔106aを通過したオイルは、軸受保持部106内の軸受101Aと左隔壁95の間に流れ込み、一部は軸受101Aを通過して流れ出し、残部はリブ106bに導かれて前進用アイドル軸6のオイル通路6Aに流れ込む。
オイル通路6Aを流れるオイルは、前進用アイドル軸6の回転時の遠心力によって反対側の軸端の開口に到達して軸受保持部内の軸受101Bと仕切壁94の間の空間に流れ、軸受101Bを通過して流れ出す。軸受101A、101Bがオイルによって潤滑および冷却される。
中間軸8にはオイル通路8Aが形成されている。オイル通路8Aは、中間軸8の軸心を軸方向に延びており、軸の一端部で閉塞し、左隔壁95側となる軸の他端部で開口している。中間軸8の軸方向において中間軸8の他端部は、リブ108bに対向しており、中間軸8の他端部においてオイル通路8Aは、オイル供給孔108aのやや下方の位置でオイル供給孔108aに対向している。
オイル供給孔108aを通過したオイルは、軸受保持部108内の軸受102Aと左隔壁95の間に流れ込み、一部は軸受102Aを通過して流れ出し、残部はリブ108bに導かれて中間軸8のオイル通路8Aに流れ込む。
中間軸8にはオイル通路8Aに連通する図示しない複数の放射孔が形成されている。 オイル通路8Aを流れるオイルは、中間軸8の回転時の遠心力によって1−2速段用の変速ギヤ63と中間軸8との間に設置されたニードルベアリング、同期装置68に供給され、ニードルベアリングおよび同期装置68が潤滑および冷却される。
さらに、オイル通路8Aを流れるオイルは、3速段用の変速ギヤ64と中間軸8の間に設置されたニードルベアリング、6速段用の変速ギヤと中間軸8の間に設置されるニードルベアリングおよび同期装置69に供給され、これらニードルベアリングや同期装置69が潤滑および冷却される。
さらに、オイル通路8Aを流れるオイルは、7速段用の変速ギヤ66と中間軸8の間に設置されたニードルベアリングに供給され、これらニードルベアリングがオイルによって潤滑および冷却される。
なお、中間軸8には潤滑部となる軸受102A、変速ギヤ63から変速ギヤ66および同期装置68、69からなる潤滑部が多く設置されている。このため、中間軸8の一端部を閉塞することにより、オイル通路8Aに多くのオイルを保持して、潤滑部を効果的に潤滑および冷却している。軸受102Bは、変速機構収容室92Aの低い位置に配置されているため、変速機構収容室92A内を流動するオイルで潤滑および冷却される。
出力軸9にはオイル通路9Aが形成されている。オイル通路9Aは、出力軸9の軸心を軸方向に延びており、軸の両端部で開口している。出力軸9の軸方向において出力軸9の他端部は、リブ109bに対向しており、出力軸9の他端部においてオイル通路9Aは、オイル供給孔109aのやや下方の位置でオイル供給孔109aに対向している。
オイル供給孔109aを通過したオイルは、軸受保持部109内の軸受103Aと左隔壁95の間に流れ込み、一部は軸受103Aを通過して流れ出し、残部はリブ109bに導かれて出力軸9のオイル通路9Aに流れ込む。
出力軸9にはオイル通路9Aに連通する図示しない複数の放射孔が形成されている。 オイル通路9Aを流れるオイルは、出力軸9の回転時の遠心力によって反対側の軸端の開口に到達して軸受保持部内の軸受103Bと仕切壁94の間の空間に流れ、軸受103Bを通過して流れ出す。このため、軸受103A、103Bがオイルによって潤滑および冷却される。
本実施例の軸受保持部108は、本発明の第1の軸受保持部を構成し、軸受保持部106、109は、本発明の第2の軸受保持部を構成する。オイル供給孔106a、109aは、本発明の他のオイル供給孔を構成し、前進用アイドル軸6、中間軸8および出力軸9は、本発明の回転軸を構成する。
後進用アイドル軸7にはオイル通路7Aが形成されている。オイル通路7Aは、後進用アイドル軸7の軸心を軸方向に延びており、軸の両端部で開口している。後進用アイドル軸7の軸方向において後進用アイドル軸7の他端部は、リブ107bに対向しており、後進用アイドル軸7の他端部においてオイル通路7Aは、オイル供給孔107aのやや下方の位置でオイル供給孔107aに対向している。
オイル供給孔107aを通過したオイルは、軸受保持部107内の軸受104Aと左隔壁95の間に流れ込み、一部は軸受104Aを通過して流れ出し、残部はリブ107bに導かれて後進用アイドル軸7のオイル通路7Aに流れ込む。
オイル通路7Aを流れるオイルは、後進用アイドル軸7の回転時の遠心力によって反対側の軸端の開口に到達して軸受保持部内の軸受104Bと仕切壁94の間の空間に流れ、軸受104Bを通過して流れ出す。このため、軸受104A、104Bがオイルによって潤滑および冷却される。
図5において、上部の周壁96の内面にはガイドリブ96Aが設けられている。ガイドリブ96Aは、周壁96に接続されているとともに周壁96からクラッチ装置41の回転方向Rに沿って延び、周壁96と共にクラッチ装置41の回転方向に対向するように開口するオイル受け部99を形成している。
周壁96は、オイル受け部99に対応する位置で径方向に膨らみ、ガイドリブ96Aとの間にオイル受け部99の空間を形成している。オイル受け部99の空間の一番奥となる位置にオイル供給孔107aが開口している。
図9において、クラッチカバー93の上部に位置する円筒部93Bの内面には、ガイドリブ93Dが設けられている。ガイドリブ93Dは、ガイドリブ96Aに対応しており、主入力軸11の軸方向においてガイドリブ96Aに接触するとともに円筒部93Bからクラッチ装置41の回転方向に沿って延び、円筒部93Bと共にクラッチ装置41の回転方向に対向するように開口するオイル受け部99を形成している。
クラッチ装置41の回転方向Rは、クラッチ装置41を左方向から見て反時計回転方向である。円筒部93Bは、オイル受け部99に対応する位置で径方向に膨らみ、ガイドリブ93Dとの間にオイル受け部99の空間を形成している。
クラッチ収容室78の内部のオイルは、クラッチ装置41の回転により、周壁96および円筒部93Bに沿って流れ、ガイドリブ96A、93Dによって捕捉されてオイル受け部99からオイル供給孔107aに案内される。
オイル受け部99の部分で周壁96および円筒部93Bが外側に膨らんでいるので、クラッチ装置41の回転でオイルに作用する遠心力にてオイルを効率的にオイル受け部99に流れ込ませることができる。また、ガイドリブ96A、93Dがクラッチ装置41の近傍に配置されているので、クラッチ装置41に連れまわるオイルを掻きとり、効率的にオイル受け部99に流れ込ませることができる。
さらに、オイル受け部99の部分の左隔壁95には、筒状の軸受保持部107が形成されており、左隔壁95がクラッチ装置41に向かって膨出しているので、クラッチ装置41に連れまわるオイルが通過できる幅が狭められていることから、オイルをオイル受け部99に向けて集めることが可能となるとともに、クラッチ装置41の回転でオイルをオイル受け部99に押し込むことが可能となる。なお、オイル供給孔107aに案内されるオイルは、後進用アイドル軸7のオイル通路7Aに供給される。
図5に示すように、周壁96の内方において左隔壁95の前部側にはオイル排出口111が形成されており、オイル排出口111は、オイル溜まり97の上部に位置している。オイル排出口111は、オイル溜まり97と変速機構収容室92Aとを連通しており、オイル溜まり97から変速機構収容室92Aにオイルを排出する。
詳細には、オイル排出口111は、仕切用リブ95Aの一端部95fよりも前側で、一端部95fよりも下側に位置している。そして、上下方向では、オイル排出口111は、仕切用リブ95Aと同じ高さに配置されていて、他端部95rと周壁96との連結部と同等の高さとなっている。
また、オイル排出口111は、オイル供給孔108aよりも高い位置に配置されている。この位置は、オイルの貯留量と潤滑を考慮して決定されている。オイル排出口111は、開口部98に対してクラッチ装置41の径方向外方側に配置されており、オイル排出口111とクラッチ装置41の間に開口部98が配置されている。
左隔壁95にはオイル規制用リブ96Bが形成されている。オイル規制用リブ96Bは、主入力軸11の軸方向から見て、オイル排出口111の上方に位置する周壁96からオイル排出口111を覆うようにして周壁96の底部96bに向かって延び、周壁96の底部96bに向かうに従って周壁96の底部96bとの隙間が徐々に狭くなる。
この狭くなったオイル規制用リブ96Bと周壁96の間が、オイル排出口111とオイル溜まり97の連通路となる。なお、オイル規制用リブ96Bは、オイル排出口111と仕切用リブ95Aの間に立設され、上下方向でオイル排出口111の上側から下側まで延びている。
つまり、オイル排出口111は、オイル規制用リブ96Bが形成された上下位置範囲に開口している。また、オイル規制用リブ96Bは、開口部98付近の周壁96に接続されており、仕切用リブ95Aに沿って形成されている。
図9に示すように、オイル規制用リブ96Bに対応するように、クラッチカバー93にはオイル規制用リブ93Eが形成されている。オイル規制用リブ93Eは、クラッチカバー93から左隔壁95に向かって突出し、突出方向の先端部がオイル規制用リブ96Bに接触している。
これにより、オイル規制用リブ93Eは、オイル規制用リブ96Bと同様に、主入力軸11の軸方向から見て、オイル排出口111の上方に位置する円筒部93Bからオイル排出口111の左側の空間を覆うようにして円筒部93Bの底部93bに向かって突出する。さらに、オイル規制用リブ93Eは、円筒部93Bの底部93bに向かうに従って円筒部93Bの底部93bとの隙間が徐々に狭くなる。
オイル規制用リブ96B、93Eは、上下方向において仕切用リブ95Aの一端部95fと周壁96の底部96bとの間に位置しており、オイル溜まり97の開口部98よりも下方に位置している。すなわち、開口部98は、オイル排出口111よりも上方に開口している。
これにより、クラッチ装置41の回転によってクラッチ収容室78からオイル溜まり97に流れるオイルは、オイル規制用リブ96B、93Eに遮られ、開口部98からオイル排出口111に指向することが規制される。さらに、オイル規制用リブ96B、93Eは、開口部98からオイル溜まり97に流れ込むオイルの向きを変えて、オイルをオイル溜まり97の奥側(後側)に流し込む。
次に、作用を説明する。
オイルポンプ79からオイル通路11Aに導入されたオイルは、主入力軸11の回転時の遠心力や油圧によってオイル通路11Aから放射孔11cを通して主入力軸11と副入力軸12との間に排出された後、副入力軸12の他端部12bからクラッチ収容室78に供給される。
クラッチ装置41は、クラッチ収容室78に供給されるオイルによって摩擦プレート44、45およびスラスト軸受48等の潤滑部が潤滑および冷却される。
ところで、クラッチ装置41の潤滑効率や冷却を高めるためにクラッチ収容室78に多くのオイルを供給すると、クラッチ収容室78の内部の油面が上昇して、クラッチ装置41の攪拌抵抗が増大して車両の燃費性能が低下するおそれがある。
これに対して、本実施例の変速機1の潤滑構造によれば、トランスミッションケース92の左隔壁95に、周壁96の底部96bよりも上方において左隔壁95からクラッチカバー93に向かって突出し、クラッチ装置41を下方から取り囲む仕切用リブ95Aが形成されている。
さらに、クラッチカバー93には、円筒部93Bの底部93bよりも上方においてクラッチカバー93から左隔壁95に向かって突出し、クラッチ装置41を下方から取り囲むようにして仕切用リブ95Aに接触する仕切用リブ93Cが形成されている。
これに加えて、クラッチ装置41の下方に、仕切用リブ95A、93C、周壁96およびクラッチカバー93の円筒部93Bによって囲まれるオイル溜まり97が形成されている。オイル溜まり97は、クラッチ装置41の回転方向Rに対向して開口する開口部98と、オイル溜まり97内の左隔壁95に開口され、オイル溜まり97に貯留されるオイルを中間軸8に供給するオイル供給孔108aとを有する。
これにより、クラッチ収容室78に供給されるオイルは、その粘性等により回転方向Rに回転するクラッチドラム42に連れまわされ、周壁96に沿って回転方向Rに流れる。流れるオイルは、ガイドリブ96A、93D、および、仕切用リブ95A、93Cに達する。
ガイドリブ96A、93Dに達したオイルは、クラッチドラム42から切り離され、流れの勢いでオイル受け部99に突入して圧が高められ、オイル受け部99の最奥部に開口するオイル供給孔107aに効率良く流れ込む。仕切用リブ95A、93Cに達したオイルは、仕切用リブ95A、93Cの一端部95f、93fでクラッチドラム42から切り離されてクラッチドラム42の径方向外方に開口する開口部98に案内される。
開口部98に流れ込んだオイルは、その後、オイル規制用リブ96B、93Eにてオイル溜まり97の奥側(後ろ側)に向かうように流の向きを指向されて流れ込みオイル溜まり97に貯留される(図5にオイルOの流れを示す)。
このため、クラッチ収容室78に供給されたオイルをクラッチドラム42で捕捉してオイル溜まり97に効率よく貯留できる。なお、クラッチドラム42の外周面は、摩擦プレート44と係合するためのスプラインの凹凸が現出しており、その凹凸形状で周囲のオイルを連れまわり易くなっている。
具体的には、オイルOは、クラッチドラム42の回転によって回転方向Rに流動し、流動するときの勢い(慣性流動)とオイルの自重とによって、上向きに開口する開口部98に突入し、開口部98を通してオイル溜まり97に貯留される。
このとき、オイル溜まり97に貯留されるオイルは、クラッチドラム42の慣性流動によるオイルの押し込み力によって圧力が高められる。これは、仕切用リブの他端部(後端部)95r、93rが周壁等に連結されてオイル溜まり97の下流端が閉じていることによる。
また、クラッチ収容室78は、仕切用リブ95A、93Cによってオイル溜まり97と仕切られるため、オイル溜まり97に流れ込んだオイルがクラッチ装置41側に戻ることがない。このため、クラッチドラム42は、仕切用リブ95A、93C上のオイルを攪拌することになる。
しかし、クラッチドラム42で攪拌されるこのオイルは、仕切用リブ95A、93Cが存在しない場合のオイルの量に比べると、少ない量であり、クラッチドラム42の攪拌抵抗、すなわち、クラッチ装置41の攪拌抵抗を低減でき、車両の燃費性能を向上させることができる。
一方、オイル溜まり97に貯留されたオイルは、中間軸8を保持する軸受保持部108のオイル供給孔108aから変速機構収容室92Aに流れ込む。オイル供給孔108aを通過したオイルは、リブ108bでガイドされ、中間軸8のオイル通路8Aに導入される。
オイル通路8Aに導入されたオイルは、中間軸8の回転時の遠心力によって中間軸8に設置された軸受102A、102B、複数のニードルベアリング、同期装置68、69に供給される。
これにより、軸受102A、102B、複数のニードルベアリングおよび同期装置68、69がオイルによって潤滑および冷却される。オイル通路8Aの一端部の開口端から排出されるオイルは、自重によって変速機構収容室92Aの底部に戻る。
すなわち、本実施例の変速機1の潤滑構造は、オイル溜まり97に潤滑部を潤滑および冷却するためのオイルを確保して、オイル溜まり97から中間軸8の潤滑部にオイルを供給することができる。また、オイル溜まり97に貯留されるオイルは、高圧状態にあるため、軸受保持部108のオイル供給孔108aから変速機構収容室92Aに円滑に排出される。
また、本実施例の変速機1の潤滑構造によれば、仕切用リブ95A、93Cは、クラッチ装置41の回転方向Rに沿って延びている。換言すれば、クラッチドラム42の外形形状、すなわち、クラッチドラム42の円形形状と同一の形状となるように湾曲している。
これにより、クラッチドラム42を仕切用リブ95A、93Cに近づけてクラッチドラム42と仕切用リブ95A、93Cとの隙間を小さくすることにより、クラッチ装置41の回転時にクラッチドラム42の径方向の外端部42bに付着するオイル量を少なくできる。このため、オイル量が少なくなる分だけクラッチドラム42の攪拌抵抗をより効果的に低減できる。
また、クラッチドラム42と仕切用リブ95A、93Cとの隙間を小さくすることにより、クラッチ装置41の回転時にクラッチドラム42の径方向の外端部42bにて送り出すオイル量を増やし、効率よくオイル受け部99、オイル溜まり97にオイルを送り込むことができる。
また、クラッチ装置41の回転時にクラッチドラム42の径方向の外端部42bに付着するオイルを仕切用リブ95A、93Cの一端部95f、93fによってクラッチドラム42の径方向の外端部から掻き落として開口部98からオイル溜まり97に案内できる。
これにより、オイル溜まり97に潤滑用のオイルをより多く送り込むことができる上に、仕切用リブ95A、93C上に貯留されるオイルの量を少なくしてクラッチドラム42の攪拌抵抗をより効果的に低減できる。
また、オイル溜まり97において、仕切用リブ95Aの他端部95rと周壁96の底部96bとの間隔に対して、仕切用リブ95Aの一端部95fと周壁96の底部96bとの間隔は、広くなっている。
これにより、開口部98からオイル溜まり97により多くのオイルを案内して貯留でき、クラッチ装置41の攪拌抵抗の低減を図りながら、オイル溜まり97により多くの潤滑用のオイルを確保できる。
一方、クラッチ収容室78において、左隔壁95に、左隔壁95からクラッチカバー93に向かって膨出し、軸受101A、103Aを介して前進用アイドル軸6および出力軸9の他端部を回転自在に支持する複数の軸受保持部106、109が形成されている。
軸受保持部106、109の膨出方向の先端とクラッチ装置41との間の隙間は、左隔壁95とクラッチ装置41との間の隙間よりも小さく形成されており、仕切用リブ95Aは、主入力軸11や前進用アイドル軸6等の軸方向から見て複数の軸受保持部106、109に重なっている。
軸受保持部106、109は、仕切用リブ95Aの上方においてクラッチ収容室78を流動するオイルを前進用アイドル軸6および出力軸9に供給するオイル供給孔106a、109aを有する。
これにより、クラッチ装置41の回転時に、軸受保持部106、109と左隔壁95との間の段差にて、クラッチ装置41と左隔壁95(軸受保持部)との間のオイルが通過可能な隙間を小さくできる。このため、クラッチ装置41と左隔壁95との間の空間により多くのオイルを集めて流し込むことができ、オイル供給孔106a、109aに対するオイルの押し込み圧力を高めることができる。
したがって、クラッチ収容室78からオイル供給孔106a、109aを通してより多くのオイルを変速機構収容室92Aに排出して前進用アイドル軸6および出力軸9に供給できる。
変速機構収容室92Aに排出されるオイルは、リブ106b、109bにてガイドされ、前進用アイドル軸6のオイル通路6Aと出力軸9のオイル通路9Aとに導入される。
オイル通路6Aに導入されたオイルは、前進用アイドル軸6の回転時の遠心力によって前進用アイドル軸6に設置された軸受101A、101Bに供給され、軸受101A、101Bがオイルによって潤滑および冷却される。
オイル通路9Aに導入されたオイルは、出力軸9の回転時の遠心力によって出力軸9に設置された軸受103A、103Bに供給され、軸受103A、103Bがオイルによって潤滑および冷却される。
オイル通路6A、9Aの一端部の開口端から排出されるオイルは、自重によって変速機構収容室92Aの底部に戻る。
このため、クラッチ収容室78に供給されたオイルをクラッチ収容室78から積極的に変速機構収容室92Aに排出できる上に、前進用アイドル軸6および出力軸9の潤滑部の供給および冷却に利用できる。
したがって、クラッチ収容室78に多くのオイルが貯留されることを抑制でき、クラッチ装置41の攪拌抵抗をより効果的に低減できる。
一方、クラッチ収容室78に供給されるオイルは、クラッチドラム42が回転方向Rに回転するのに伴って周壁96に沿って移動する。このオイルの一部は、ガイドリブ96A、93Dで形成されたオイル受け部99に収容された後にオイル供給孔107aに流れ込む。
オイル供給孔107aに案内されたオイルは、オイル供給孔107aから変速機構収容室92Aに排出される。変速機構収容室92Aに排出されるオイルは、リブ107bにてガイドされ、後進用アイドル軸7のオイル通路7Aに導入される。
オイル通路7Aに導入されたオイルは、後進用アイドル軸7の回転時の遠心力によって後進用アイドル軸7に設置された軸受104A、104Bに供給され、軸受104A、104Bがオイルによって潤滑および冷却される。
オイル通路7Aの一端部の開口端から排出されるオイルは、自重によって変速機構収容室92Aの底部に戻る。
また、軸受保持部107の膨出方向の先端とクラッチ装置41の間の隙間は、左隔壁95とクラッチ装置41との間の隙間よりも小さく形成されている。
これにより、クラッチ装置41の回転時に、軸受保持部107と左隔壁95との間の段差にて、クラッチ装置41と左隔壁95(軸受保持部107)との間のオイルが通過可能な隙間を小さくできる。このため、軸受保持部107と左隔壁95との間の空間により多くのオイルを集めて流し込むので、オイル供給孔107aに対するオイルの押し込み圧力を高めることができる。
このため、クラッチ収容室78からオイル供給孔107aを通してより多くのオイルを変速機構収容室92Aに排出して後進用アイドル軸7に供給できる。
また、クラッチ収容室78に供給されるオイルは、クラッチドラム42が回転方向Rに回転するのに伴って主入力軸11よりも上方でやや後方に形成されている軸受保持部107の下面に衝突する。
オイルが軸受保持部107の下面に衝突すると、クラッチドラム42の径方向の外端部42bに付着したオイルの一部が径方向の外端部42bから掻き落とされてその勢いを失いクラッチ装置41の回転方向Rに対する慣性力によって軸受保持部107よりも前方に流下する。
軸受保持部107の前斜め下方には切り欠き部15Aが形成されているので、軸受保持部107の下面に衝突して流下するオイルは、切り欠き部15Aを通して軸受26に供給される。これにより、主入力軸11のオイル通路11Aからオイルの供給が困難な軸受26がオイルによって潤滑および冷却される。
また、本実施例の変速機1によれば、左隔壁95からクラッチ収容室78に複数の軸受保持部106から軸受保持部109が突出しているので、クラッチ収容室78の容積を小さくできる。
これにより、クラッチ収容室78の内部のオイル量が少ない場合でも、クラッチ収容室78のオイルをクラッチ装置41付近に集めることができ、クラッチドラム42によってオイルを確実に掻き上げることができる。なお、クラッチカバー93の傾斜部93Tも同様の効果がある。そして、量の少ないオイルを掻き上げることによって、オイルの油面を常に下げることができ、クラッチ装置41の攪拌抵抗をより効果的に低減できる。
また、軸受保持部106から軸受保持部109は、回転中心軸6p、7p、8p、9p部分が左隔壁95から最も突出しており、回転中心軸6p、7p、8p、9p側から径方向外方に向かうに従って突出量が減少し左隔壁95に近づいていく。
これにより、クラッチ装置41の回転によって軸受保持部106から軸受保持部109の左方を通過するオイルを、クラッチ装置41の外端部42bの周辺に集めてクラッチ装置41の回転で流動させて周壁96やガイドリブ96A、93Dにオイルを集めることができ、周壁96に沿ってオイルをオイル溜まり98やオイル供給孔107aに容易に導くことができる。
また、本実施例の変速機1の潤滑構造によれば、左隔壁95に、オイル溜まり97と変速機構収容室92Aとを連通し、オイル溜まり97から変速機構収容室92Aにオイルを排出するオイル排出口111が形成されている。
さらに、左隔壁95とクラッチカバー93に、クラッチ収容室78からオイル溜まり97に流れるオイルがオイル排出口111に指向することを規制するオイル規制用リブ96B、93Eが形成されている。
これにより、開口部98からオイル溜まり97に流れるオイルが、直接オイル排出口111に向かうことを防止でき、オイル排出口111から優先して変速機構収容室92Aに排出されることを防止できる。このため、オイル溜まり97に潤滑用のオイルを確保することができる。したがって、中間軸8に設置された潤滑部の潤滑性を向上できる。
これに加えて、オイル規制用リブ96Bは、主入力軸11の軸方向から見て、オイル排出口111の上方に位置する周壁96からオイル排出口111を覆うようにして周壁96の底部96bに向かって突出し、周壁96の底部96bに向かうに従って周壁96の底部96bとの隙間が徐々に狭くなる。
また、オイル規制用リブ93Eは、オイル規制用リブ96Bと同様に、主入力軸11の軸方向から見て、オイル排出口111の上方に位置する円筒部93Bからオイル排出口111を覆うようにして円筒部93Bの底部93bに向かって突出し、円筒部93Bの底部93bに向かうに従って円筒部93Bの底部93bとの隙間が徐々に狭くなる。
このため、オイル規制用リブ96B、93Eによって、オイルがオイル排出口111に指向することを規制できることに加えて、開口部98からオイル溜まり97に流れ込むオイルをオイル溜まり97の奥側(後側)に流し込むことができる。
なお、オイル排出口111を通過して変速機構収容室92Aに戻るオイルは、開口部98からオイル規制用リブ96B、93Eよりも奥側(後側)のオイル溜まり97に流れ込んだオイルであって、開口部98から流れ込み、オイル規制用リブ96B、93Eを廻り込んで、オイル排出口111に達する。
つまり、オイル排出口111を通過するオイルは、開口部98からオイル規制用リブ96B、93Eに沿って後下方に流れてオイル溜まり97に流れ込み、オイル溜まり97内で流れる方向が変わり、オイル規制用リブ96B、93Eを廻り込んで前上方に向きを変えてオイル排出口111に達する。
このため、オイル溜まり97にオイルを積極的に貯留することができ、オイル溜まり97に潤滑用のオイルをより効果的に貯留できる。さらに、クラッチドラム42の慣性流動によるオイルの押し込み力によってオイル溜まり97に貯留されるオイルを高圧に維持できる。
また、本実施例の変速機1の潤滑構造によれば、開口部98は、オイル排出口111よりも上方に開口している。これにより、オイル溜まり97に貯留されたオイルを、オイル排出口111から変速機構収容室92Aに確実に排出でき、クラッチ収容室78においてオイルの油面が過度に高くなることを防止できる。このため、クラッチ装置41の攪拌抵抗が増大することを確実に防止できる。
また、本実施例のクラッチカバー93は、カバー本体93Aの径方向の内端から径方向の外方に延びる平面部93Sと、平面部93Sの径方向の外端から円筒部93Bに向かうに従って左隔壁95側に傾斜する傾斜部93Tとを有する。
これにより、主入力軸11の軸方向において、クラッチカバー93は、その径方向において左隔壁95と平面部93Sとの隙間を大きく、平面部93Sの径方向の中心から径方向の外端に向かうに従って左隔壁95との隙間を徐々に小さくできる。
このため、クラッチ装置41の回転時において、オイルを傾斜部93Tの傾斜に沿って周壁96やガイドリブ93D、96Aに効率よく集めることができる。また、クラッチ装置41の外端部42bの周辺にオイルを集めてクラッチ装置41の回転で流動させることができる。したがって、オイルをオイル溜まり97やオイル供給孔107aに容易に案内できる。
本実施例では、回転部材をクラッチ装置41から構成しているが、これに限定されるものではなく、変速機1に設置された回転部材であれば、その他の回転部材にも適用可能である。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1...変速機(車両用変速機)、6...前進用アイドル軸(第2の回転軸)、8...中間軸(第1の回転軸)、9...出力軸(第2の回転軸)、41...クラッチ装置(回転部材)、61...アイドルギヤ(ギヤ部材)、62...アイドルギヤ(ギヤ部材)、63...1−2速段用の変速ギヤ(ギヤ部材)、64...3速段用の変速ギヤ(ギヤ部材)、65...6速段用の変速ギヤ(ギヤ部材)、66...7速段用の変速ギヤ(ギヤ部材)、67...アイドルギヤ(ギヤ部材)、70...1−2−4速段用の出力ギヤ(ギヤ部材)、71...3−5速段用の出力ギヤ(ギヤ部材)、72...6速段用の出力ギヤ(ギヤ部材)、73...7速段用の出力ギヤ(ギヤ部材)、77...変速機構、78...クラッチ収容室(回転部材収容室)、91...トルコンハウジング(変速機ケース)、92...トランスミッションケース(変速機ケース)、92A...変速機構収容室、93...クラッチカバー(カバー部材)、93C...仕切用リブ(カバー側仕切部)、93E,96B...オイル規制用リブ、95...左隔壁(壁部)、95A...仕切用リブ(ケース側仕切部)、96...周壁、96b...底部(周壁の底部)、98...開口部、106...軸受保持部(第2の軸受保持部)、106a...オイル供給孔(他のオイル供給孔)、108...軸受保持部(第1の軸受保持部)、108a...オイル供給孔、109...軸受保持部(第2の軸受保持部)、109a...オイル供給孔(他のオイル供給孔)、111...オイル排出口

Claims (5)

  1. 変速機構を収容する変速機構収容室と、前記変速機構収容室と壁部を介して分離され、回転部材を収容する回転部材収容室とを有する変速機ケースを備え、
    前記回転部材収容室が、前記壁部と、前記回転部材の外周部を取り囲むようにして前記壁部から外方に突出する周壁と、前記周壁に接触する外周縁部を有し、前記回転部材を外方から覆うようにして前記周壁に取付けられたカバー部材とによって形成される車両用変速機の潤滑構造であって、
    前記壁部に、前記周壁の底部よりも上方において前記壁部から前記カバー部材に向かって突出し、前記回転部材を下方から取り囲むケース側仕切部が形成されており、
    前記カバー部材に、前記カバー部材から前記壁部に向かって突出し、前記回転部材を下方から取り囲むようにして前記ケース側仕切部に接触するカバー側仕切部が形成されており、
    前記回転部材の下方に、前記ケース側仕切部、前記カバー側仕切部、前記周壁および前記カバー部材の外縁部によって囲まれるオイル溜まりが形成されており、
    前記オイル溜まりは、前記回転部材の回転方向に対向して開口する開口部と、前記壁部に開口され、前記オイル溜まりと前記変速機構収容室とを連通するオイル供給孔とを有することを特徴とする車両用変速機の潤滑構造。
  2. 前記ケース側仕切部および前記カバー側仕切部は、前記回転部材の回転方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速機の潤滑構造。
  3. 前記変速機構は、ギヤ部材を有し、互いに平行に設置された第1の回転軸と第2の回転軸とを備えており、
    前記壁部に、前記壁部から前記カバー部材に向かって膨出し、軸受を介して前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との軸方向端部を回転自在に支持する複数の軸受保持部が形成されており、
    前記ケース側仕切部は、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸の軸方向から見て前記複数の軸受保持部の突出方向の先端に重なるように形成されており、
    前記複数の軸受保持部は、前記ケース側仕切部よりも下方に位置する前記オイル供給孔を有し、前記オイル溜まりに貯留されるオイルを前記オイル供給孔から前記第1の回転軸に供給する第1の軸受保持部と、前記ケース側仕切部よりも上方に位置する他のオイル供給孔を有し、前記回転部材収容室内のオイルを前記他のオイル供給孔から前記第2の回転軸に供給する第2の軸受保持部とを含んで構成され、
    前記回転部材の軸方向における前記第1の軸受保持部および前記第2の軸受保持部の膨出方向の先端と前記回転部材との間の隙間は、前記壁部と前記回転部材との間の隙間よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用変速機の潤滑構造。
  4. 前記壁部に、前記オイル溜まりと前記変速機構収容室とを連通し、前記オイル溜まりから前記変速機構収容室にオイルを排出するオイル排出口が形成されており、
    前記壁部と前記カバー部材に、前記回転部材収容室から前記オイル溜まり部に流れるオイルが前記オイル排出口に指向することを規制するオイル規制用リブが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用変速機の潤滑構造。
  5. 前記開口部は、前記オイル排出口よりも上方に開口していることを特徴とする請求項4に記載の車両用変速機の潤滑構造。
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