JP6732190B2 - ヘテロレプティックイリジウム錯体、ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 - Google Patents

ヘテロレプティックイリジウム錯体、ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光素子(有機電界発光素子、有機電気化学発光素子等)の発光材料として有用な新規イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた有機発光素子に関するものである。
近年、有機電界発光素子に代表される有機発光素子はディスプレイまたは照明技術として注目されており、実用化に向けた研究が活発に進められている。特に発光効率向上は重要な研究課題であり、現在では発光材料として、励起三重項状態からの発光を利用する燐光材料に注目が集まっている。
励起一重項状態からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であるため発光性励起子の生成確率が25%であるとされている。また、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率の限界は5%とされている。一方で、さらに励起三重項状態も利用できると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となる。このような背景から、これまで有機発光素子用の燐光材料の開発が活発に行われてきた。例えば、燐光材料として、2−フェニルピリミジン配位子を有するイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、溶解性に優れ、塗布プロセスに適した2−フェニルピリミジン系イリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2009−40728号公報 国際公開第2011/024737号パンフレット 国際公開2012/172482号公報 特開2004−189673号公報 特開2009−108041号公報 特開2014−101307号公報 国際公開2012/166608号公報 国際公開2010/056669号公報 国際公開2010/111755号公報 国際公開2012/158851号公報 国際公開2010/028151号公報
Tamayo A. B. J.Am.Chem.Soc.,2003,125,7377
また一方で、真空蒸着プロセスに適した燐光材料としては、一般的に熱安定性に優れ、特に昇華性が良好であることが望ましい。燐光材料が昇華性に優れていると、昇華精製によって化合物純度をより一層向上させることが可能であるし、また真空蒸着を用いて有機発光素子を安定して生産することが可能になるからである。今後、有機発光素子の実用化に向けて、熱安定性および昇華性に優れた燐光材料の開発が渇望されている。
本発明の目的は、有機電界発光素子および有機電気化学発光素子などに適用でき、熱的に安定で、かつ、昇華性に優れた新規イリジウム錯体を提供することである。
本発明者らは上記実状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表されるイリジウム錯体が室温で可視光領域に強い発光を示し、さらに熱的に安定でかつ昇華性に優れていることを見出した。そして、本発明のイリジウム錯体を用いて高い発光効率を示す有機発光素子を作製できることを実証し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
本発明に係るイリジウム錯体は、一般式(9)で表されるイリジウム錯体、一般式(10)で表されるイリジウム錯体及び一般式(12)で表されるイリジウム錯体の少なくとも1種以上であることを特徴とする。
Figure 0006732190
(一般式(9)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 14 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 15 〜R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 20 〜R 24 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
Figure 0006732190
(一般式(10)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 13 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 15 〜R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 20 〜R 24 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
Figure 0006732190
(一般式(12)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 13 、R 14 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 25 〜R 26 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
本発明に係るイリジウム錯体では、前記一般式(9)において、R 12 及びR 14 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、前記一般式(10)において、R 12 、R 13 及びR 15 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、又は前記一般式(12)において、R 12 〜R 14 及びR 17 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、R18が炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記一般式(10)又は前記一般式(12)において、12とR13とが結合して縮合環を形成していることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記一般式(9)において、R 12 及びR 14 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であり、前記一般式(10)において、R 12 ,R 13 及びR 15 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であり、前記一般式(12)において、R 12 〜R 14 及びR 17 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、R、R、R、R10がいずれも水素原子であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、mは2であり、nは1であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、mは1であり、nは2であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体は、フェイシャル体であることが好ましい。
本発明に係る発光材料は、本発明に係るイリジウム錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る有機発光素子は、本発明に係る発光材料を含むことを特徴とする。
本発明は、有機電界発光素子および有機電気化学発光素子などに適用でき、熱的に安定で、かつ昇華性に優れた新規イリジウム錯体を提供することができる。
本発明の新規なイリジウム錯体は、室温下で可視光領域に強い発光を示し、また熱的安定性および昇華性に優れていることから、各種用途の発光素子材料として好適に用いることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、可視光領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライトまたは照明光源などの分野に好適である。
フェイシャル体である本発明化合物(K−51)のTHF中、アルゴン雰囲気下での発光スペクトルである。 フェイシャル体である本発明化合物(K−123)とCBPとの共蒸着膜(5:95(質量%比))の発光スペクトルである。 フェイシャル体である本発明化合物(K−3)を用いて作製した有機電界発光素子のELスペクトルである。 フェイシャル体である本発明化合物(K−3)を用いて作製した有機電界発光素子の電圧−輝度を表した図である。 フェイシャル体である本発明化合物(K−3)を用いて作製した有機電界発光素子の電流密度−外部量子効率を表した図である。 フェイシャル体である本発明化合物(K−123)を用いて作製した有機電界発光素子のELスペクトルである。 フェイシャル体である本発明化合物(K−123)を用いて作製した有機電界発光素子の電圧−輝度を表した図である。 フェイシャル体である本発明化合物(K−123)を用いて作製した有機電界発光素子の電流密度−外部量子効率を表した図である。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明の一般式の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明に係るイリジウム錯体は一般式(1)で表され、これらイリジウム錯体を真空蒸着法等によって、有機発光素子の発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層に含有させることで、可視光領域に優れた発光を示す有機発光素子が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体は、具体的には一般式(2)で表される2−フェニルピリミジン誘導体配位子と、一般式(3)で表される2−フェニルピリジン誘導体配位子とを有する特定構造のヘテロレプティックイリジウム錯体である。
Figure 0006732190
Figure 0006732190
一般式(2)および(3)中、R〜R19は、一般式(1)中のR〜R19と同義であり、望ましい範囲も同じである。*はイリジウムとの結合位置である。
これまでに、一般式(4)で表される従来公知の2−フェニルピリミジン系ホモレプティックイリジウム錯体が知られているが、本発明者らの知見によるとこのイリジウム錯体は昇華性が乏しく、真空蒸着プロセスの際に分解を伴うため、昇華性の改善が大きな課題であった。
Figure 0006732190
(一般式(4)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R〜R11は、一般式(1)中のR〜R11と同義であり、望ましい範囲も同じである。)
本発明者らは、上記技術背景を踏まえ、熱的安定性および昇華性に優れた燐光材料の開発を鋭意進めてきたところ、一般式(1)で表される新規構造のヘテロレプティックイリジウム錯体が、室温下で可視光領域に非常に強い発光を示し、一般式(4)で表される従来公知のホモレプティックイリジウム錯体よりも熱的安定性および昇華性に特に優れていることを見出した。そして、一般式(1)で表されるイリジウム錯体が有機電界発光素子の燐光材料として好適に用いることができることを実証し、本発明に想到した。
一般式(4)で表されるホモレプティックイリジウム錯体については、同じシクロメタル化配位子を3つ有するという特徴を有するが、対称性が高いため固体状態での結晶性が良く、そのため錯体同士を結び付けるエネルギーが大きく、昇華温度が高くなる問題があった。一方、一般式(1)で表される本発明化合物は、異なったタイプのシクロメタル化配位子(一般式(2)および一般式(3)で表される配位子)を有するヘテロレプティックイリジウム錯体であり、対称性が低いため固体状態での結晶性が低く、錯体同士を結び付けるエネルギーが小さくなり、昇華性が良好になったものと本発明者らは考えている。
また、2−フェニルピリミジン系配位子の本質的な特徴として、ピリミジン環には窒素原子が2つ存在するため、中心金属であるイリジウムとの結合部位が複数存在する。本発明者らの知見によると、そのことが原因で複核錯体(ダイマーなど)が生成し、所望とするイリジウム錯体の収率を低下させることがあることがわかった。そこで、本発明では一般式(2)で表される特定構造の2−フェニルピリミジン系配位子を用いることによって、隣接するフェニル基の立体効果によって、Rの位置でのイリジウムとの結合を防ぎ、複核錯体が生成するのを抑制していることも特徴である。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の中でも、室温下、溶液中または薄膜状態での発光量子収率が、0.1以上であることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.6以上であることが特に好ましい。
溶液中の発光量子収率の測定は、溶存酸素を取り除くため、イリジウム錯体が溶解した溶液にアルゴンガスもしくは窒素ガスを通気した後に行うか、または、発光材料が溶解した溶液を凍結脱気した後に行うのが良い。発光量子収率の測定法としては、絶対法または相対法のどちらを用いてもよい。相対法においては、標準物質(キニン硫酸塩など)との発光スペクトルの比較によって、発光量子収率を測定することができる。絶対法においては、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920−02))を用いることで、固体状態または溶液中での発光量子収率の測定が可能である。溶液中での発光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記発光量子収率が達成されればよい。
薄膜状態での発光量子収率の測定は、例えば石英ガラスの上に本発明のイリジウム錯体を真空蒸着し、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920))を用いて行うことができる。薄膜での発光量子収率は、本発明のイリジウム錯体を単独で蒸着するか、または種々のホスト材料と共蒸着することによって測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、いずれかの条件において上記発光量子収率が達成されればよい。
本発明に係るイリジウム錯体は主に可視光領域(特に緑〜赤色領域)に発光を示すが、その波長領域は配位子の種類または構造に依存する。特に室温下、溶液中または薄膜での発光スペクトルの発光極大波長については、300nm〜900nmの範囲であることが好ましく、400nm〜800nmの範囲であることがより好ましく、400nm〜600nmの範囲であることが特に好ましく、500nm〜600nmの範囲であることがより特に好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体は8面体6配位錯体であり、幾何異性体としてフェイシャル体とメリジオナル体とが存在する。実際に、本発明に係るイリジウム錯体を合成する際に、フェイシャル体とメリジオナル体との混合物として得られることがある。これらの幾何異性体は、例えば、カラムクロマトグラフィーまたは昇華精製法によって分離することができる。一般式(5)および(6)で表されるイリジウム錯体、一般式(7)および(8)で表されるイリジウム錯体がそれぞれ幾何異性体の関係にある。なお一般式(5)および(7)で表されるイリジウム錯体がフェイシャル体であり、一般式(6)および(8)で表されるイリジウム錯体がメリジオナル体である。
Figure 0006732190
Figure 0006732190
Figure 0006732190
Figure 0006732190
(一般式(5)〜(8)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R〜R19は、一般式(1)中のR〜R19と同義であり、望ましい範囲も同じである。)
これまで、シクロメタル化イリジウム錯体のフェイシャル体とメリジオナル体との発光特性について種々の報告があるが、発光量子収率についてフェイシャル体の方が高いケース(例えば、Tamayo A. B. J.Am.Chem.Soc.,2003,125,7377(非特許文献1))もあれば、メリジオナル体の方が高いケース(例えば、国際公開2012/172482号公報(特許文献3))もあることが知られている。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の幾何異性体について、本発明者らがその発光特性を詳細に調べたところ、フェイシャル体の方がメリジオナル体と比較して、発光量子収率が圧倒的に高いことが判明した(実施例参照)。
したがって、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体はフェイシャル体であることが好ましい。本発明に係るイリジウム錯体にはフェイシャル体が50%以上含まれていることが好ましく、80%以上含まれていることがより好ましく、90%以上含まれていることが特に好ましく、99%以上含まれていることがより特に好ましい。なおフェイシャル体またはメリジオナル体については、NMR、質量分析またはX線結晶構造解析などで同定することができる。またその含有率についてはNMRまたはHPLCで定量することができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体のメリジオナル体については、フェイシャル体へ異性化させることができる。特に、式(A)および(B)に示すように光異性化させることが望ましい。
Figure 0006732190
Figure 0006732190
(式(A)および(B)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R〜R19は、一般式(1)中のR〜R19と同義であり、望ましい範囲も同じである。)
メリジオナル体の光異性化反応は、特開2004−189673号公報(特許文献4)、特開2009−108041号公報(特許文献5)、または特開2014−101307号公報(特許文献6)などを参考にして行うことができる。
メリジオナル体の光異性化反応についてさらに詳しく説明する。メリジオナル体、もしくはメリジオナル体を含む溶液に光照射し、フェイシャル体へ異性化させることを特徴とする。
光照射の方法としては、メリジオナル体に光が当たるようにすればよくその方法は問わない。メリジオナル体とフェイシャル体との混合物を含む反応溶液に光照射してもよい。
メリジオナル体の光異性化反応は溶液中で行われるのが好ましい。このような溶媒としては、メリジオナル体を溶解できる溶媒が好ましく、かつ、原料および生成物と反応しないものが使用される。具体的にはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン若しくはトリデカンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム若しくはジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、アセトン若しくはメチルエチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド若しくはN−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル若しくは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン若しくはトルエンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン若しくはジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ピリジン若しくはピコリンなどの含窒素芳香族化合物、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン若しくはジエチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル若しくはベンゾニトリルなどのニトリル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール若しくはエチレングリコールなどのアルコール類、またはジメチルスルホキシドなど、種々の有機溶媒が挙げられる。このうち、ハロゲン化脂肪族炭化水素、エーテル類またはジメチルスルホキシドが好ましい。具体的に好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドが挙げられ、より好ましくはジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドが挙げられ、特に好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。
メリジオナル体の光異性化反応は、光照射が均一に行われるのであれば特に濃度に制限はないが、通常1mol/L以下の濃度で、好ましくは0.01mol/L以下の濃度で行われるのが望ましい。濃度の下限は、特に限定されないが、0.0001mol/L以上であることが好ましい。
光照射を行う際に用いられる反応容器は光照射が可能な容器であればどのような容器でもよいが、ガラス容器、例えばパイレックス(登録商標)反応容器、もしくはUV透過性が高い石英反応容器が特に好ましい。
光照射時の条件については、温度条件としては特に制限は無いが、通常、用いる溶媒の凝固点から溶媒の沸点までの間で、好ましくは−75℃〜溶媒の沸点、より好ましくは−5℃〜50℃である。
光照射および光照射後の後処理は大気圧下でも、窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下でも、また、減圧若しくは真空下でも行うことができるが、光照射については、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのがより好ましい。
圧力条件については特に制限はないが、通常は、常圧下で行われる。
光照射に用いられる光の波長については、メリジオナル体が吸収できる波長であればよく、紫外光から可視光の範囲の光が好ましい。具体的には200〜800nmであることが好ましく、200〜600nmであることがより好ましく、300〜500nmであることが特に好ましく、300〜450nmであることがより特に好ましい。
光照射の方法としては、例えば、「光化学I」(著者:井上晴夫ほか、出版社:丸善株式会社)に記載の方法を参考にすればよく、反応容器の外部から照射する外部照射法、または、反応容器の内部から照射する内部照射法のどちらでもよい。
反応に必要な光照射時間については、イリジウム錯体の種類または反応条件に大きく依存するので、吸収スペクトル、発光スペクトル、HPLCまたは質量分析などの手法を用いて反応を追跡しながら、適宜決めればよい。具体的には、1分〜5日間が好ましく、1分〜72時間がより好ましく、1時間〜48時間が特に好ましく、1時間〜24時間がより特に好ましい。
光照射に用いるランプの種類については、特に制限はないが、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、レーザー、太陽光、白熱球、重水素ランプまたはUVランプなどが挙げられる。
一般式(1)に記載した記号(m、n、および、R〜R19)について以下に説明する。
一般式(1)中、mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。すなわち、mが1のときはnが2であり、mが2のときはnが1である。
〜R11、R13、R14およびR18は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
12、R15〜R17およびR19は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。
また隣接するR12〜R19は、各々結合して縮合環を形成してもよい。
炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。
炭素数1〜30のアルキル基として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、または3,5−テトラメチルシクロヘキシル基である。より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基である。特に好ましくはメチル基である。上記アルキル基は、アリール基、ハロゲン原子またはシアノ基でさらに置換されてもよく、特にフッ素で置換されたアルキル基は、イリジウム錯体の昇華性が向上するため好ましい。
炭素数6〜30のアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、特に好ましくは炭素数6〜12である。
炭素数6〜30のアリール基として、好ましくは、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、m−クウォーターフェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基である。より好ましくは、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、またはメシチル基である。特に好ましくはフェニル基である。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基でさらに置換されてもよく、アルキル基で置換されたフェニル基は、イリジウム錯体の昇華性が向上することから特に好ましい。
ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子、臭素原子またはフッ素原子である。より好ましくは臭素原子またはフッ素原子である。特に好ましくはフッ素原子である。
以下に、R〜R19についてさらに具体的に説明する。
としては、上記の中でも水素原子、炭素数1〜30のアルキル基がより好ましく、メチル基または水素原子が特に好ましく、水素原子がより特に好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。
としては、上記の中でも水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基がより好ましく、水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基が特に好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基がより特に好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。また、炭素数6〜30のアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、特に好ましくは炭素数6〜12である。
としては、上記の中でも水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基がより好ましく、水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基が特に好ましく、水素原子がより特に好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。また、炭素数6〜30のアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、特に好ましくは炭素数6〜12である。
、R、R、R10またはR11としては、上記の中でも水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基がより好ましく、メチル基または水素原子が特に好ましく、水素原子がより特に好ましい。R、R、R、および、R10の全てが水素原子であることが最も好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。また、RとR、RとR10が各々結合し、環構造(飽和環または不飽和環)を形成することは合成上の観点から好ましくない。
〜Rとしては、上記の中でも水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基がより好ましく、水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基が特に好ましく、水素原子またはメチル基がより特に好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。また、炭素数6〜30のアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、特に好ましくは炭素数6〜12である。
12、R15、R16、R17またはR19としては、上記の中でも水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子がより特に好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。
13、R14またはR18としては、上記の中でも水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、または炭素数6〜30のアリール基より好ましく、水素原子、メチル基、または炭素数6〜30のアリール基が特に好ましい。これら置換基として望ましい範囲は前記の通りである。すなわち、炭素数1〜30のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜15、特に好ましくは炭素数1〜10、より特に好ましくは炭素数1〜6である。また、炭素数6〜30のアリール基は、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜15、特に好ましくは炭素数6〜12である。
隣接するR12〜R19は、各々結合して縮合環を形成してもよい。具体的には、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR17、R17とR18、R18とR19が各々結合して環構造を形成することが可能であるが、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16のいずれかが各々結合して環構造を形成することが好ましく、R12とR13、R15とR16が各々結合して環構造を形成することがより好ましい。
このように環構造を形成することで、イリジウム錯体の安定性の向上、および発光波長を長波長化させることができる。R12とR13、R14とR15のいずれかが縮合環を形成すると、本発明のイリジウム錯体は赤色領域(例えば600〜650nm)に発光を示し、R13とR14、R15とR16のいずれかが縮合環を形成すると、本発明のイリジウム錯体は黄色領域(例えば540〜590nm)に発光を示す。上記、縮合環の中でも6員環を形成することが好ましく、ベンゼン環を形成することがより好ましい。
隣接するR12〜R19は、各々結合して縮合環を形成する場合、以下の構造(L−1)〜(L−4)のいずれかであることが好ましい。
Figure 0006732190
構造式(L−1)〜(L−4)中、R〜R19は、一般式(1)中のR〜R19と同義であり、望ましい範囲も同じである。R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R〜Rとして好ましくは、水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはメチル基である。
また、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体のR〜R19へ置換基を導入する方法によって、イリジウム錯体の発光波長を制御することが可能である。例えば、R16またはR18へフッ素原子を導入すると発光は短波長シフトする。また、R17へトリフルオロメチル基またはシアノ基を導入すると発光は短波長シフトする。
また、R〜R19へハロゲン原子(臭素原子またはヨウ素原子が望ましい)を導入すると、式(C)で示されるように広く市販されているボロン酸化合物を用いた鈴木カップリング反応を利用して、炭素−炭素結合を形成し、種々の置換基(アルキル基、アリール基等)を容易に導入することができるため、新たなイリジウム錯体を合成するための前駆体としても有用である。
Figure 0006732190
一般式(1)で表わされるイリジウム錯体の中でも、R13が炭素数6〜30のアリール基である場合、特に一般式(9)で表わされるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006732190
一般式(1)で表わされるイリジウム錯体の中でも、R14が炭素数6〜30のアリール基である場合、特に一般式(10)で表わされるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006732190
一般式(1)で表わされるイリジウム錯体の中でも、R18が炭素数6〜30のアリール基である場合、特に一般式(11)で表わされるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006732190
一般式(1)で表わされるイリジウム錯体の中でも、R15とR16とが結合して縮合環を形成している場合、特に一般式(12)で表わされるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006732190
一般式(1)で表わされるイリジウム錯体の中でも、R12とR13とが結合して縮合環を形成している場合、特に一般式(13)で表わされるイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006732190
一般式(9)〜(13)に記載した記号(R〜R30)について以下に説明する。
〜R19は、一般式(1)中のR〜R19と同義であり、望ましい範囲も同様である。
20〜R30は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記置換基の定義と望ましい範囲は、一般式(1)中のR〜R19と同様である。R20〜R30として好ましくは、水素原子、または炭素数1〜30のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(1)で示される本発明のイリジウム錯体を製造するには、例えば以下の式(D)または式(E)のルートがある。
Figure 0006732190
Figure 0006732190
一般式(1)で示される本発明のイリジウム錯体については、この他にも、国際公開2012/166608号公報(特許文献7)、国際公開2010/056669号公報(特許文献8)、国際公開2010/111755号公報(特許文献9)、または国際公開2012/158851号公報(特許文献10)などの公知文献を参考に合成できる。
一般的には、ヘテロレプティックイリジウム錯体を合成する際には、異なったシクロメタル化配位子を導入する際に、配位子のスクランブリングが生じやすく、生じた不純物の極性が似ているため、分離精製が非常に困難であることが開示されている(例えば、国際公開2010/028151号公報(特許文献11)を参照。)。具体的な反応例を式(F)および(G)に示す。
Figure 0006732190
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一方、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、合成の際に、予想外にも配位子のスクランブリングが生じにくいことが明らかになった。また、合成の際に配位子のスクランブリングが生じても、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて副生成物を容易に分離できることを見出した。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、一般式(2)および(3)で表される2種類の配位子(2−フェニルピリジン誘導体配位子、2−フェニルピリミジン誘導体配位子)を有しており、それらの配位子の極性が大きく異なるため、配位子のスクランブリングによって生じた副生成物についても、分離精製が容易になったものと本発明者らは考えている。
また、一般式(3)で表される2−フェニルピリジン誘導体配位子のR12〜R19に炭素数6〜30のアリール基を導入した場合、一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体を合成する際に、配位子のスクランブリングの起きやすさが異なることがわかった。すなわち、2−フェニルピリジン誘導体配位子のピリジン環上(例えば、R13またはR14)に該アリール基を導入する方が、フェニル基上(例えば、R18)に導入した場合と比較して、配位子のスクランブリングがより生じにくいことがわかった。
すなわち、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の中でも、合成上好ましいものは、一般式(1)中、R12〜R19が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であるイリジウム錯体、R13が炭素数6〜30のアリール基であるイリジウム錯体(好ましくは、一般式(9)で表されるイリジウム錯体)、R14が炭素数6〜30のアリール基であるイリジウム錯体(好ましくは、一般式(10)で表されるイリジウム錯体)、および、R15とR16が結合して縮合環を形成しているイリジウム錯体(好ましくは、一般式(12)で表されるイリジウム錯体)である。
本発明に係るイリジウム錯体は、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水若しくは有機溶媒を添加することによる晶析、または反応混合物からの溶媒を留去する操作などを単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華またはカラムクロマトグラフィーなどを単独あるいは組み合わせて行うことができる。
以下に、本発明に係る、一般式(1)で示されるイリジウム錯体の代表例を表1A〜表13に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006732190
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なお、上述したように本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、室温下で燐光を発光することが可能であるため、発光材料または有機発光素子の発光物質として利用できる。また本発明のイリジウム錯体からなる発光材料を用いて有機発光素子(好ましくは有機電界発光素子)を作製することができる。
また、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。さらに消費電力が低い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の使用に際しては、該イリジウム錯体が熱的に安定で昇華性に優れているため、真空蒸着によって層形成を行うのが望ましい。
次に本発明の一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製される有機電界発光素子について説明する。有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、発光層の発光材料として、一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含有することが好ましい。また一般的に発光層は発光材料とホスト材料とから構成される。
本発明の有機電界発光素子における代表的な素子構成としては、例えば以下の構成があるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)を設けてもよい。また発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)を設けてもよい。
以下、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について説明する。
<発光層>
発光層は、電極から注入された電子および正孔が再結合し、励起子を経由して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚としては、2nm〜1000nmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲であり、更に好ましくは3〜150nmの範囲である。
本発明では、発光層は、発光材料とホスト材料とを含有することが好ましい。
発光材料としては、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体が単独もしくは複数種含まれていてもよく、その他の発光材料が含まれてもよい。発光層に含有される化合物のうち、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の合計含有量は、質量比で1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましく、5〜20%であることが特に好ましい。
その他の発光材料としては、具体的には、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、希土類錯体系化合物、イリジウム錯体、または白金錯体などが挙げられる。
ホスト材料は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物である。また、発光層に含有される化合物のうち、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。発光層に含有される化合物のうち、ホスト材料の含有量の上限は、質量比で99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが特に好ましい。
ホスト材料の励起状態エネルギー(T準位)は、同一層内に含有される本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の励起状態エネルギー(T準位)よりも高いことが好ましい。
ホスト材料は、単独または複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷移動調整が可能であり有機電界発光素子を高効率化することができる。
本発明で用いることができるホスト材料としては、特に制限はなく、低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよい。
ホスト材料として、具体的には、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体若しくはルブレン等)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、若しくは有機プラチナ錯体等)、またはポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体若しくはポリ(アセチレン)誘導体などの高分子誘導体が挙げられる。
<電子輸送層>
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは2〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、または正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送性材料として、具体的には、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体若しくはベンズオキサゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、または芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体若しくはトリフェニレン等)等が挙げられる。
<正孔阻止層>
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト材料も正孔阻止層の材料として好ましく用いられる。
<電子注入層>
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことである。
電子注入層の膜厚は0.1〜5nmの範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜1nmの範囲である。
電子注入層に好ましく用いられる材料として、具体的には、金属(ストロンチウム若しくはアルミニウム等)、アルカリ金属化合物(フッ化リチウム若しくはフッ化ナトリウム等)、アルカリ土類金属化合物(フッ化マグネシウム若しくはフッ化カルシウム等)、金属酸化物(酸化アルミニウム等)、または金属錯体(リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等)などが挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。さらに電子注入材料としては、フェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)、またはフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)などが挙げられる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは5〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)としては、正孔の注入性または輸送性、または電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送性材料として、具体的には、ポルフィリン誘導体;フタロシアニン誘導体;オキサゾール誘導体;フェニレンジアミン誘導体;スチルベン誘導体;トリアリールアミン誘導体;カルバゾール誘導体;インドロカルバゾール誘導体;アントラセン若しくはナフタレンなどのアセン系誘導体;フルオレン誘導体;フルオレノン誘導体;ポリビニルカルバゾール若しくは芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマー;ポリシラン;導電性ポリマーまたはオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
<電子阻止層>
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、より好ましくは5〜30nmの範囲である。
また、前述の正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
<正孔注入層>
本発明では、正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことである。
正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)若しくはポリチオフェンなどの導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体に代表されるシクロメタル化錯体、またはトリアリールアミン誘導体などが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機電界発光素子において慣用されている、アルカリガラス、無アルカリガラス若しくは石英ガラスなどのガラス、または透明プラスチックなどが挙げられる。
陽極を構成する材料として、具体的には、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム若しくはタングステンなどの金属単体またはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)若しくは酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはポリフェニレンスルフィドなどの導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
陰極を構成する材料として、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫またはクロムなどの金属単体が挙げられる。また、これらの金属を組み合わせて合金にしてもよい。例えば、リチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、またはマグネシウム−インジウムなどの合金が使用できる。さらに、酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構造でもよく、多層構造でもよい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む有機発光素子は、真空蒸着法、溶液塗布法若しくはレーザーなどを用いた転写法、またはスプレー法によって作製することができる。特に、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む発光層を、真空蒸着法によって形成することが望ましい。
真空蒸着法によって正孔輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を形成する場合の真空蒸着条件は特に限定されないが、10−4〜10−5Pa程度の真空下で50〜500℃程度のボート温度、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度の蒸着速度で蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を複数の材料を使用して形成する場合、材料を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
以降、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。なお、実施例に対応する化合物を「本発明化合物」といい、比較例に対応する化合物を「比較化合物」という。
<実施例I−1>
本発明化合物(K−3)の合成
Figure 0006732190
IrCl・nHO(0.366g)と配位子(L−a)0.524g(2.01mmol)とをDMF20mlに溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した後、マイクロ波(2450MHz)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を約5mLまで減圧留去し、水を加えることで固体を析出させた。この固体をジクロロメタンとヘキサンとを用いて再結晶を行い、続いてメタノールとヘキサンとで洗浄することで中間体(A)を得た。収量0.5658g(収率75.7%)。上記の方法で合成した中間体(A)0.6025g(0.4mmol)をジクロロメタン30mlおよびメタノール10mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.2019g(0.79mmol)を加え、50℃で5時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、2−フェニルピリジン0.3524g(2.44mmol)、エタノール50mlを加え、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−3)を得た。収量0.3536g(収率50.7%)。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−3)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−3)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.70(dd、2H)、8.36(dd、2H)、8.13(d、1H)、8.01(d、1H)、7.87(d、1H)、7.77−7.83(m、3H)、7.65(d、4H)、7.39(t、4H)、7.25(dd、2H)、7.17(dd、2H)、7.10(dd、1H)、6.86−6.95(m、4H)、6.77(t、1H)、2.49−2.57(m、4H)、1.09(m、6H)
ESI−MS:m/z=865.9
なお本反応の副生成物として、本発明化合物(K−147)が極微量得られた(収率0.7%)。本発明化合物(K−147)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−147)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.68(d、1H)、8.34(d、1H)、8.08−8.12(m、2H)、7.85(d、1H)、7.72−7.80(m、5H)、7.68(d、1H)、7.63(d、2H)、7.37(t、2H)、7.23(t、1H)、7.13(d、1H)、7.05−7.09(m、2H)、6.82−6.90(m、5H)、6.70−6.75(m、2H)、2.52(q、2H)、1.07(t、3H)
ESI−MS:m/z=760.6
以上のことから、本発明化合物(K−3)を合成する際に、配位子のスクランブリングは生じにくいことが明らかになった。また(K−3)と(K−147)との分離精製は容易であることがわかった。
<実施例I−2>
本発明化合物(K−51)の合成
Figure 0006732190
中間体(A)0.4005g(0.27mmol)をジクロロメタン30mlおよびメタノール10mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.1613g(0.63mmol)を加え、50℃で15時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、2,5−ジフェニルピリジン0.2316g(1.00mmol)、エタノール30mlを加え、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−51)を得た。収量0.2913g(収率57.3%)。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−51)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−51)はフェイシャル体であった。なお本発明化合物(K−51)を合成する際に、配位子のスクランブリングは生じていなかった。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.66(dd、2H)、8.35(dd、2H)、8.03(d、1H)、7.95(dd、1H)、7.89(d、1H)、7.75(d、1H)、7.72(d、2H)、7.62−7.65(m、5H)、7.31−7.41(m、9H)、7.20−7.28(m、4H)、6.87−6.99(m、5H)、2.48−2.56(m、4H)、1.10−1.19(m、6H)
ESI−MS:m/z=941.7
<実施例I−3>
本発明化合物(K−59)の合成
Figure 0006732190
中間体(A)0.4045g(0.27mmol)をジクロロメタン15mlおよびメタノール5mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.1832g(0.71mmol)を加え、50℃で5時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、4−メチル−2,5−ジフェニルピリジン0.3321g(1.35mmol)およびエタノール20mlを加え、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−59)を得た。収量0.2313g(収率44.5%)。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−59)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−59)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.65(s、1H)、8.57(s、1H)、8.37(s、2H)、7.88(s、1H)、7.74(d、1H)、7.63−7.67(m、6H)、7.49(s、1H)、7.36−7.42(m、7H)、7.22−7.28(m、4H)、7.16(d、2H)、6.84−6.98(m、5H)、2.56(q、2H)、2.47(q、2H)、2.44(s、3H)、1.17(t、3H)、1.08(t、3H)
ESI−MS:m/z=957.0
なお本反応の副生成物として、本発明化合物(K−203)が極微量得られた(収率0.8%)。本発明化合物である(K−59)と(K−203)との分離精製は容易であった。本発明化合物(K−203)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−203)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.52(d、1H)、8.30(d、1H)、7.85(s、1H)、7.80(s、1H)、7.70(dd、2H)、7.63(dd、3H)、7.49(d、2H)、7.31−7.41(m、8H)、7.25(dd、1H)、7.16−7.20(m、3H)、7.03−7.06(m、2H)、6.81−6.93(m、7H)、2.44−2.49(m、5H)、2.32(s、3H)、1.06(t、3H)
ESI−MS:m/z=942.0
以上のことから、本発明化合物(K−59)を合成する際、配位子のスクランブリングは生じにくいことが明らかになった。また(K−59)と(K−203)との分離精製は容易であることがわかった。
<実施例I−4>
本発明化合物(K−99)の合成
Figure 0006732190
中間体(A)0.2486g(0.15mmol)をジクロロメタン30mlおよびメタノール10mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.0919g(0.36mmol)を加え、50℃で3時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、メタノール10mlおよびエタノール10mlを加え、アルゴンバブリングを30分間行った。この溶液を80℃付近まで昇温した後、2,4−ジフェニルピリジン0.1163g(0.50mmol)を加え、アルゴン雰囲気下で2日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、本発明化合物(K−99)を得た。収量0.2129g(収率75.4%)。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−99)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−99)はフェイシャル体であった。なお本発明化合物(K−99)を合成する際、配位子のスクランブリングは生じていなかった。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.65(dd、2H)、8.35(dd、2H)、8.19(d、1H)、7.82(d、1H)、7.71−7.74(m、3H)、7.64−7.69(m、6H)、7.47−7.55(m、3H)、7.39(t、4H)、7.24−7.28(m、3H)、7.18−7.22(m、2H)、6.92−6.99(m、2H)、6.86−6.88(m、3H)、2.56(q、2H)、2.52(q、2H)、1.18(t、3H)、1.14(t、3H)
ESI−MS:m/z=942.7
<実施例I−5>
本発明化合物(K−123)の合成
Figure 0006732190
中間体(A)0.5004g(0.33mmol)をジクロロメタン15mlおよびメタノール5mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.1816g(0.71mmol)を加え、50℃で5時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、ベンゾ[h]キノリン0.1712g(0.96mmol)およびエタノール20mlを加え、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−123)を得た。フェイシャル体の収量は0.1322g(収率22.5%)であり、メリジオナル体の収量は0.1536g(収率26.2%)であった。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。
フェイシャル体の本発明化合物(K−123)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.69(d、1H)、8.58(d、1H)、8.37(d、1H)、8.33(d、1H)、8.19(dd、1H)、7.98(dd、1H)、7.86(d、1H)、7.79(d、1H)、7.57−7.68(m、5H)、7.47(d、1H)、7.33−7.43(m、6H)、7.23−7.30(m、4H)、7.01−7.07(m、3H)、6.60(d、1H)、2.58(q、2H)、2.37(q、2H)、1.21(t、3H)、1.01(t、3H)
ESI−MS:m/z=889.6
メリジオナル体の本発明化合物(K−123)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.45(dd、2H)、8.38(d、1H)、8.30−8.32(m、2H)、8.20(dd、1H)、7.96(d、1H)、7.87(d、1H)、7.63−7.69(m、5H)、7.51−7.55(m、2H)、7.35−7.43(m、7H)、7.23−7.31(m、4H)、6.90(d、1H)、6.71(d、1H)、2.27−2.39(m、4H)0.99(t、3H)、0.92(q、3H)
ESI−MS:m/z=889.6
<実施例I−6>
本発明化合物(K−147)の合成
Figure 0006732190
中間体(C)0.200g(0.19mmol)をジクロロメタン10mlおよびメタノール10mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.1072g(0.42mmol)を加え、50℃で15時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(D)に、配位子(L−a)0.1458g(0.56mmol)およびエタノール20mlを加え、アルゴン雰囲気下で15時間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させヘキサンを加えて再結晶した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−147)を得た。収量0.0717g(収率24.8%)。化合物の同定はH−NMRとESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−147)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−147)はフェイシャル体であった。なお本発明化合物(K−147)を合成する際、配位子のスクランブリングは生じていなかった。
H−NMR(400MHz/アセトン−d)δ:8.68(d、1H)、8.34(d、1H)、8.08−8.12(m、2H)、7.85(d、1H)、7.72−7.80(m、5H)、7.68(d、1H)、7.63(d、2H)、7.37(t、2H)、7.23(t、1H)、7.13(d、1H)、7.05−7.09(m、2H)、6.82−6.90(m、5H)、6.70−6.75(m、2H)、2.52(q、2H)、1.07(t、3H)
ESI−MS:m/z=760.6
<実施例I−7>
本発明化合物(K−295)の合成
Figure 0006732190
中間体(A)0.2001g(0.13mmol)をジクロロメタン15mlおよびメタノール5mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀0.0713g(0.28mmol)を加え、50℃で15時間攪拌させた。室温まで冷却し、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去し得られた中間体(B)に、エタノール30mlを加え、アルゴンバブリングを30分間行った。この溶液を75℃付近まで昇温した後、2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン0.0711g(0.37mmol)を含むエタノール5mLを滴下し、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒)を用いて精製し、本発明化合物(K−295)を得た。収量0.0908g(収率38.8%)。化合物の同定はH−NMRおよびESI−MSを用いて行った。本発明化合物(K−295)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−295)はフェイシャル体であった。なお本発明化合物(K−295)を合成する際、配位子のスクランブリングは生じていなかった。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.55(t、2H)、8.35−8.38(m、2H)、8.29(d、1H)、8.13(dd、1H)、8.05(d、1H)、7.74(td、1H)、7.63−7.65(m、4H)、7.56(d、1H)、7.33−7.42(m、5H)、7.23−7.30(m、3H)、6.99−7.02(m、1H)、6.72(d、1H)、6.43−6.56(m、3H)、2.50(m、4H)、1.12(m、6H)
ESI−MS:m/z=902.6
また上記以外の本発明化合物の合成と分析データを以下に示す。
<実施例I−8>
本発明化合物(K−75)の合成
実施例I−1において、2−フェニルピリジンの代わりに、2−(ビフェニル−4−イル)ピリジンを用いた以外は同様に合成し、フェイシャル体である本発明化合物(K−75)を得た。フェイシャル体である本発明化合物(K−75)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.64(dd、2H)、8.35(dd、2H)、8.00(d、1H)、7.77(d、1H)、7.68−7.75(m、3H)、7.63−7.65(m、4H)、7.59(d、1H)、7.37−7.40(m、6H)、7.18−7.28(m、8H)、7.14(d、1H)、7.02(dd、1H)、6.98(d、1H)、6.94(d、1H)2.49−2.58(m、4H)、1.12−1.20(m、6H)
ESI−MS:m/z=942.7
なお本反応の副生成物として、フェイシャル体である本発明化合物(K−219)が得られた。本発明化合物(K−219)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.51(d、2H)、8.35(dd、1H)、8.29(d、1H)、8.16(d、1H)、8.10(dd、1H)、8.03(d、1H)、7.88(d、1H)、7.74(dd、1H)、7.70(d、1H)、7.65(d、4H)、7.34−7.42(m、7H)、7.20−7.30(m、8H)、7.00(t、1H)、6.81(d、1H)、6.63(d、1H)、2.51(q、2H)、2.44(q、2H)、1.13(t、3H)、1.04(t、3H)
ESI−MS:m/z=942.1
<実施例I−9>
本発明化合物(K−99)の合成
実施例I−4において、反応溶液を80℃に昇温後に2,4−ジフェニルピリジンを添加する操作を、昇温せずに室温下で添加する操作に変更する以外は、同様に行うことで、メリジオナル体である本発明化合物(K−99)を得た。メリジオナル体である本発明化合物(K−99)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/ジクロロメタン−d)δ:8.51−8.52(m、2H)、8.36(s、1H)、8.30(d、1H)、8.22(d、1H)、8.09−8.11(m、2H)、7.91(d、1H)、7.77(d、1H)、7.73−7.02(m、21H)、6.82(d、1H)、6.61(d、1H)、2.51(q、2H)、2.45(q、2H)、1.13(t、3H)、1.06(t、3H)
ESI−MS:m/z=942.7
<実施例I−10>
本発明化合物(K−2)の合成
ステップ1 配位子(L−b)の合成
Figure 0006732190
2−クロロ−5−メチルピリミジン5.18g(40.3mmol)、3−ビフェニルボロン酸9.26g(46.8mmol)、2M炭酸カリウム水溶液95mlおよび1,2−ジメトキシエタン70mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.25g(1.95mmol)を加え、アルゴン雰囲気下で24時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、配位子(L−b)を得た。収量8.40g(収率84.7%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。配位子(L−b)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.66−8.68(m,3H),8.39(d,1H),7.70−7.72(m,3H),7.56(t,1H),7.46(t,2H),7.37(t,1H),2.36(s,3H).
ステップ2 本発明化合物(K−2)の合成
Figure 0006732190
3塩化イリジウムn水和物4.11g(11.6mmol)と配位子(L−b)6.00g(24.4mmol)とDMF225mlと純水25mlとを投入し、アルゴンガスを30分間通気した後、マイクロ波(2450MHz)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を約10mlまで減圧留去し、メタノールと純水とを加えることで固体を析出させ、中間体(E)を得た。収量8.00g(収率95.8%)。上記方法で合成した中間体(E)5.82g(4.05mmol)をジクロロメタン500mlおよびメタノール500mlの混合溶媒に分散させ、この分散液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この分散液にトリフルオロメタンスルホン酸銀2.24g(8.72mmol)を加え、室温で16時間撹拌させた。セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去して、中間体(F)を得た。収量6.93g(収率95.5%)。中間体(F)5.00g(5.58mmol)に、2−フェニルピリジン1.94g(12.50mmol)、メタノール75ml、エタノール175mlを加え、アルゴン雰囲気下で14時間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させメタノールを加えて再結晶した。その後、さらにもう一度ジクロロメタンとメタノールとで再結晶し、本発明化合物(K−2)を得た。収量0.725g(収率15.5%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。本発明化合物(K−2)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−2)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/DMSO−d)δ:8.74(dd,2H),8.23(t,2H),8.19(d,1H),7.96(d,1H),7.86(t,1H),7.82(d,1H),7.76(d,1H),7.59−7.64(m,5H),7.40(t,4H),7.26−7.29(m,2H),7.13−7.21(m,3H),6.87(t,1H),6.70−6.77(m,3H),6.65(d,1H),2.21(s,3H),2.16(s,3H).
<実施例I−11>
本発明化合物(K−301)の合成
ステップ1 配位子(L−c)の合成
Figure 0006732190
2−ブロモピリミジン10.3g(64.8mmol)、3−ブロモフェニルボロン酸14.0g(69.7mmol)、2M炭酸カリウム水溶液150mlおよびテトラヒドロフラン110mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.65g(3.16mmol)を加え、アルゴン雰囲気下で16時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、これに4−ターシャル−ブチルフェニルボロン酸13.5g(75.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.82g(1.57mmol)、を加え、再度アルゴン雰囲気下で16時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製して、配位子(L−c)を得た。収量14.0g(収率74.9%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。配位子(L−c)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.83(d,2H),8.71(s,1H),8.41(d,1H),7.73(d,1H),7.66(d,2H),7.56(t,1H),7.49(d,2H),7.21(t,1H),1.38(s,9H).
ステップ2 本発明化合物(K−301)の合成
Figure 0006732190
3塩化イリジウムn水和物2.59g(7.33mmol)と配位子(L−c)4.30g(14.9mmol)とDMF135mlと純水15mlを投入し、アルゴンガスを30分間通気した後、マイクロ波(2450MHz)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却し、溶媒を約10mlまで減圧留去し、メタノールを加えることで固体を析出させ、中間体(G)を得た。収量4.26g(収率72.4%)。上記方法で合成した中間体(G)3.02g、ジクロロメタン125mlおよびメタノール125mlの混合溶媒に溶解させ、この溶液にアルゴンガスを30分間通気した。その後、この溶液にトリフルオロメタンスルホン酸銀1.01g(3.93mmol)を加え、50℃で16時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却した後、セライト層を通してろ過を行い、ろ液を減圧留去して、中間体(H)を得た。収量3.62g(収率98.1%)。中間体(H)2.51g(2.56mmol)に、2−フェニルピリジン0.89g(5.73mmol)、メタノール30ml、エタノール70mlを加え、アルゴン雰囲気下で2日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、本発明化合物(K−301)を得た。収量0.162g(収率6.9%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。本発明化合物(K−301)の分析データを以下に示す。本方法で得られた(K−301)はフェイシャル体であった。
H−NMR(400MHz/DMSO−d)δ:8.56(m,2H),8.25(dd,2H),8.21(d,1H),8.09(dd,1H),7.82−7.89(m,2H),7.77(dd,1H),7.74(d,1H),7.54−7.57(m,4H),7.41−7.44(m,4H),7.28(t,2H),7.15−7.21(m,3H),6.88(t,1H),6.75−6.79(m,3H),6.70(d,1H),1.30(s,9H),1.30(s,9H).
<実施例I−12>
本発明化合物(K−302)の合成
Figure 0006732190
中間体(F)0.841g(0.939mmol)に、2−フェニルキノリン0.465g(2.27mmol)、エタノール50mlを加え、アルゴン雰囲気下で3日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン25mlに溶解し、これにUVランプ(波長:365nm)を3時間照射し、溶媒を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、本発明化合物(K−302)を得た。収量0.0007g(収率0.08%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。本発明化合物(K−302)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/DMSO−d)δ:8.75(t,2H),8.44(s,2H),8.27(d,1H),8.21(d,1H),8.14(d,1H),8.07(d,1H),7.96(d,1H),7.74(d,1H),7.64−7.66(m,3H),7.57(d,2H),7.34−7.46(m,5H),7.22−7.30(m,3H),7.17(dd,1H),7.07(dd,1H),6.95(t,1H),6.76(t,1H),6.61(d,1H),6.50(dd,2H),2.24(s,3H),2.06(s,3H).
<実施例I−13>
本発明化合物(K−303)の合成
Figure 0006732190
3塩化イリジウムn水和物3.00g(8.23mmol)、2−フェニルキノリン3.74g、2−エトキシエタノール80ml、純水20mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下で18時間加熱還流させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、ろ過し、メタノールと純水で洗浄して、中間体(I)を得た。収量3.63g(収率69.3%)。中間体(I)2.62g(2.06mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀1.15g(4.48mmol)、メタノール140mlおよびジクロロメタン220mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間撹拌させた。反応溶液をセライト層を通してろ過し、ろ液を減圧留去して、中間体(J)を得た。収量3.31g(収率98.8%)。中間体(J)1.26g(1.55mmol)に、配位子(L−b)0.920g(3.74mmol)、エタノール80mlを加え、アルゴン雰囲気下で2日間加熱還流させた。室温まで冷却し、溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタンに溶解し、これにUVランプ(波長:365nm)を3時間照射し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させメタノールを加えて再結晶した。その後さらにもう一度ジクロロメタンとメタノールで再結晶し、本発明化合物(K−303)を得た。収量0.619g(収率47.2%)。化合物の同定はH−NMRを用いて行った。本発明化合物(K−303)の分析データを以下に示す。
H−NMR(400MHz/DMSO−d)δ:8.69(d,1H),8.52(q,2H),8.41(q,2H),8.10(d,1H),8.03(d,1H),8.01(d,1H),7.89−7.95(m,3H),7.72(d,1H),7.59(d,1H),7.54(d,2H),7.39(t,1H),7.34(t,2H),7.29(t,1H),7.22(t,1H),7.15(t,1H),7.06(dd,1H),6.94(t,1H),6.87(t,1H),6.62−6.72(m,3H),6.38−6.46(m,3H),2.10(s,3H).
次に本発明に係るメリジオナル体の光異性化反応を利用したフェイシャル体の製造方法について記載する。
<実施例II−1>
メリジオナル体である本発明化合物(K−99)の光異性化反応
メリジオナル体である本発明化合物(K−99)0.5mgをジクロロメタン−d0.75mLに溶解させ、NMRチューブに入れた。これにUVランプ(波長:365nm)を15時間照射した。H−NMRで分析したところ、メリジオナル体は消失し、完全にフェイシャル体(K−99)に光異性化していることがわかった。
次に本発明に係るイリジウム錯体の発光特性について記載する。
<実施例III−1>
(K−3)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−3)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:530nm)を示した。発光量子収率は0.61であった。
<実施例III−2>
(K−51)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−51)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、図1に示すように、強い発光(発光極大波長:539nm)を示した。発光量子収率は0.83であった。
<実施例III−3>
(K−59)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−59)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:531nm)を示した。発光量子収率は0.61であった。
<実施例III−4>
(K−75)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−75)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:528nm)を示した。発光量子収率は0.74であった。
<実施例III−5>
(K−75)のTHF中での発光特性
メリジオナル体である本発明化合物(K−75)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:578nm)を示した。発光量子収率は0.20であった。
<実施例III−6>
(K−99)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−99)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:565nm)を示した。発光量子収率は0.74であった。
<実施例III−7>
(K−123)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−123)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:550nm)を示した。発光量子収率は0.72であった。
<実施例III−8>
(K−123)のTHF中での発光特性
メリジオナル体である本発明化合物(K−123)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:578nm)を示した。発光量子収率は0.26であった。
<実施例III−9>
(K−2)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−2)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:541nm)を示した。発光量子収率は0.70であった。
<実施例III−10>
(K−301)のTHF中での発光特性
フェイシャル体である本発明化合物(K−301)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:538nm)を示した。発光量子収率は0.70であった。
<実施例III−11>
(K−303)のクロロホルム中での発光特性
本発明化合物(K−303)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:622nm)を示した。発光量子収率は0.65であった。
<比較例III−1>
比較化合物(1)のTHF中の発光特性
フェイシャル体である比較化合物(1)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:350nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:527nm)を示した。発光量子収率は0.64であった。
Figure 0006732190
以上のことから、本発明化合物はTHFまたはクロロホルム中で非常に強く発光することがわかった。またフェイシャル体とメリジオナル体との発光特性を比較すると、フェイシャル体の方が発光量子収率は2倍以上も高く、フェイシャル体の方が発光材料として優れていることがわかった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の熱的安定性および昇華性を確認するため、昇華精製実験について説明する。
<実施例IV−1>
(K−3)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(K−3)107mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、(K−3)は全て昇華した。昇華残渣はなかった。なお、(K−3)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。
<実施例IV−2>
(K−51)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(K−51)166mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、昇華残渣が微量残った(投入量の2.8%)。なお、(K−51)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。
<実施例IV−3>
(K−59)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(K−59)124mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、(K−59)は全て昇華した。昇華残渣はなかった。なお、(K−59)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。
<実施例IV−4>
(K−99)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(K−99)84mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、(K−99)は全て昇華した。昇華残渣はなかった。なお、(K−99)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。
<実施例IV−5>
(K−123)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(K−123)146mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、昇華残渣が微量残った(投入量の1.7%)。なお、(K−123)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。
<比較例IV−1>
比較化合物(1)の昇華精製
フェイシャル体である比較化合物(1)107mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜335℃の条件下で、18時間かけて昇華精製したところ、昇華残渣が多く残った(投入量の10.2%)。なお、比較化合物(1)の昇華精製前後の純度をHPLCを用いて分析し、熱的安定性が良好であることを確認した。一方、昇華残渣をHPLCで分析したところ、純度は93.1%であり、昇華精製前の純度99.8%から大きく低下していた。比較化合物(1)は上記の本発明化合物と比較すると、昇華速度が非常に遅く、本発明化合物と同条件下で昇華精製すると分解反応が進行することがわかった。
次に本発明に係るイリジウム錯体の薄膜中での発光特性について記載する。
<実施例V−1>
(K−3)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−3)と公知ホスト材料である4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(以降、CBPという。)(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:535nm)を示した。発光量子収率は0.88であった。
<実施例V−2>
(K−51)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−51)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:539nm)を示した。発光量子収率は0.87であった。
<実施例V−3>
(K−59)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−59)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:535nm)を示した。発光量子収率は0.86であった。
<実施例V−4>
(K−99)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−99)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:550nm)を示した。発光量子収率は0.89であった。
<実施例V−5>
(K−123)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−123)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、図2に示すように、強い発光(発光極大波長:544nm)を示した。発光量子収率は0.85であった。
<実施例V−6>
(K−2)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である本発明のイリジウム錯体(K−2)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:540nm)を示した。発光量子収率は0.88であった。
<実施例V−7>
(K−303)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(K−303)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:600nm)を示した。発光量子収率は0.88であった。
<比較例V−1>
比較化合物(1)のCBPとの共蒸着膜中の発光特性
フェイシャル体である比較化合物(1)と公知ホスト材料であるCBP(E−3)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、強い発光(発光極大波長:526nm)を示した。発光量子収率は0.82であった。
以上のことから、本発明化合物とCBPとの共蒸着膜中での発光量子収率は0.85以上と非常に高く、本発明化合物は薄膜状態にすることで発光材料として好適に用いることができることが明らかになった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製した有機電界発光素子の特性について記載する。
<実施例VI−1>
本発明化合物(K−3)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
陽極として、酸化錫インジウム(ITO)を100nmの膜厚で線幅2mmの櫛形にパターニングして成膜された無アルカリガラス基板(厚木ミクロ社製)を透明導電性支持基板として用いた。これを超純水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。次いで、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
上記透明導電性支持基板上に、以下の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層)を1×10−4Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で順次製膜し、次いでマスク交換して線幅2mmの電極層(電子注入層および金属電極層)を順次製膜して、有機電界発光素子(素子形状;2mm×2mmの正方形、素子面積;0.04cm)を作製した。次いで、素子が大気に曝されないよう窒素雰囲気のグローブボックス内で封止する作業を行った。厚さ3mmのガラス板の中央部に1.5mmの掘り込みを付けた封止ガラス(泉陽商事社製)の周囲にUV硬化性エポキシ樹脂デナタイトR(ナガセケミテック社製)を塗布して蒸着済素子に被せ圧着した後、素子部分をアルミニウム板で覆ってマスキングしシャッター付きUV照射装置で1分間照射後1分間遮蔽のサイクルを5回繰り返して封止した。
正孔注入層(10nm):化合物(E−1)
正孔輸送層(40nm):化合物(E−2)
発光層(20nm):本発明化合物(K−3)(質量濃度15%)と化合物(E−3)(質量濃度85%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−4)
電子輸送層(30nm):化合物(E−5)
電子注入層(0.5nm):化合物(E−6)
金属電極層(150nm):Al
化合物(E−1)〜(E−6)の構造式を以下に示す。
Figure 0006732190
得られた有機電界発光素子を浜松ホトニクス社製のEL外部量子収率計測用積分球ユニットA10094のサンプルホルダーにセットし、Keithley社製ソースメーター2400を用いて、直流定電圧を印加し、発光させ、その輝度、発光波長およびCIE色度座標を、浜松ホトニクス社製マルチチャンネル分光器PMA−12を用いて測定した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.360,0.607)、図3に示すように発光ピーク波長が531nmの緑色発光が得られ、図4に示すように最高輝度は134000cd/m、図5に示すように最大外部量子効率は13.4%と非常に良好な発光特性が得られた。
<実施例VI−2>
本発明化合物(K−123)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例VI−1で用いた本発明化合物(K−3)の代わりに本発明化合物(K−123)を用いて、本発明化合物(K−123)と化合物(E−3)との質量濃度をそれぞれ10%と90%に変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.399,0.578)、図6に示すように発光ピーク波長が545nmの黄緑色発光が得られ、図7に示すように最高輝度は103000cd/m、図8に示すように最大外部量子効率は13.0%と非常に良好な発光特性が得られた。
<実施例VI−3>
本発明化合物(K−51)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例VI−1で用いた本発明化合物(K−3)の代わりに本発明化合物(K−51)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.408,0.574)、発光ピーク波長が538nmの黄緑色発光が得られ、最高輝度は115400cd/m、最大外部量子効率は13.1%と非常に良好な発光特性が得られた。
<実施例VI−4>
本発明化合物(K−99)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例VI−1で用いた本発明化合物(K−3)の代わりに本発明化合物(K−99)(フェイシャル体)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.425,0.554)、発光ピーク波長が551nmの黄色発光が得られ、最高輝度は95000cd/m、最大外部量子効率は13.5%と非常に良好な発光特性が得られた。
以上述べてきたように、本発明に係わる一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、熱的安定性および昇華性に優れ、高い発光量子収率を示す新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する有機発光素子を作ることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、可視光領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の分野に好適である。

Claims (11)

  1. 一般式(9)で表されるイリジウム錯体、一般式(10)で表されるイリジウム錯体及び一般式(12)で表されるイリジウム錯体の少なくとも1種以上であることを特徴とするイリジウム錯体。
    Figure 0006732190
    (一般式(9)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 14 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 15 〜R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 20 〜R 24 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
    Figure 0006732190
    (一般式(10)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 13 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 15 〜R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 20 〜R 24 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
    Figure 0006732190
    (一般式(12)中、Nは窒素原子を表し、Irはイリジウム原子を表す。R 〜R 11 、R 13 、R 14 およびR 18 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 12 、R 17 およびR 19 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。R 25 〜R 26 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。上記アルキル基はアリール基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。上記アリール基はアルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基で置換されてもよい。また隣接するR 12 〜R 19 は、各々結合して縮合環を形成してもよい。mは1または2の整数であり、nは1または2の整数であり、m+nは3である。)
  2. 前記一般式(9)において、R 12 及びR 14 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、
    前記一般式(10)において、R 12 、R 13 及びR 15 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であり、又は
    前記一般式(12)において、R 12 〜R 14 及びR 17 〜R 19 が水素原子または炭素数1〜30のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  3. 18が炭素数6〜30のアリール基であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  4. 前記一般式(10)又は前記一般式(12)において、12とR13とが結合して縮合環を形成していることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  5. 前記一般式(9)において、R 12 及びR 14 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であり、
    前記一般式(10)において、R 12 ,R 13 及びR 15 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であり、
    前記一般式(12)において、R 12 〜R 14 及びR 17 〜R 19 の少なくとも1つがハロゲン原子であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  6. 、R、R、R10がいずれも水素原子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体。
  7. mは2であり、nは1であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体。
  8. mは1であり、nは2であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体。
  9. フェイシャル体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体。
  10. 請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体を含むことを特徴とする発光材料。
  11. 請求項10に記載の発光材料を含むことを特徴とする有機発光素子。
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