JP6863590B2 - 赤色発光性イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 - Google Patents

赤色発光性イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 Download PDF

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Description

本開示は、有機発光素子(有機電界発光素子、有機電気化学発光素子等)の発光材料として有用な赤色発光性の新規イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた有機発光素子に関するものである。
近年、有機電界発光素子に代表される有機発光素子はディスプレイまたは照明技術として注目されており、実用化に向けた研究が活発に進められている。特に発光効率向上は重要な研究課題であり、現在では発光材料として、励起三重項状態からの発光を利用する燐光材料に注目が集まっている。
励起一重項状態からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であるため発光性励起子の生成確率が25%であるとされている。また、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率の限界は5%とされている。一方で、これに励起三重項状態をも利用できると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となる。このような背景から、これまで燐光材料の開発が活発に行われてきた。
例えば、有機発光素子に使用される赤色燐光材料として、化2に示すジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子を有するイリジウム錯体が報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。しかしながら、このイリジウム錯体の発光には橙色成分が多く含まれており、色純度の良好な赤色を得ることは困難である。したがって、橙色成分を減らすために、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子を有するイリジウム錯体の発光スペクトルを長波長シフトさせることが強く求められている。非特許文献1には、このイリジウム錯体(化2)はジクロロメタン中で608nmに発光極大波長を有することが記載されている。
Figure 0006863590
また、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子を有するイリジウム錯体の発光を長波長シフトさせるために、化3に示すジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子にアリール基を導入したイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。当該文献には、このイリジウム錯体(化3)はジクロロメタン中で640nmに発光極大波長を有することが記載されている。
Figure 0006863590
さらに、特許文献1と同様に、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子にアリール基を導入した化4に示すイリジウム錯体が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。当該文献には、このイリジウム錯体(化4)はトルエン中で614nmに発光極大波長を有することが記載されている。
Figure 0006863590
特開2008−179607号公報 特表2011−511821号公報
Adv.Mater.2003年、15巻、224−228頁
前述したように、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子を有するイリジウム錯体は、橙赤色領域に発光を示すが、今後は赤色領域に強く発光を示し、かつ昇華性に優れたイリジウム錯体の開発が強く望まれている。
しかし、特許文献1,2のように、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子を用いて、色純度の良好な赤色燐光材料を開発するためには、ジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子の特定位置にアリール基を導入しなければならず、赤色燐光材料の分子設計指針は大きく限定されていた。
また、真空蒸着法を用いて有機電界発光素子を製造するためには、使用する燐光材料については昇華性が高いことが求められているが、特許文献1,2及び非特許文献1に記載されたイリジウム錯体の昇華性は、実用上十分に満足できるレベルとはいえない。したがって、今後の実用化に向けて、昇華性が良好な赤色燐光材料が渇望されている。
本開示の目的は、有機電界発光素子や有機電気化学発光素子等に適用でき、赤色領域に良好な発光特性を示す、昇華性に優れた新規イリジウム錯体を提供することである。
本発明者らは上記実状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、意外にも、ジベンゾ[f,h]キノキサリン骨格を有する配位子を1つと、2−フェニルピリジン骨格を有する配位子を2つ有する特定構造のイリジウム錯体が、赤色領域に高効率発光することを見出した。具体的には、一般式(1)で表される新規イリジウム錯体が、前記特許文献1および2に示された方法、すなわちジベンゾ[f,h]キノキサリン配位子の特定位置にアリール基を導入することなく、非特許文献1に示されるイリジウム錯体(化2)よりも発光が長波長シフトし、色純度の良好な赤色発光を示すことを見出した。さらに、本発明化合物はイリジウム錯体(化2)よりも熱安定性ならびに昇華性が良好であることを見出し、本発明に想到した。以上の実験結果は、従来公知技術から予測しえないものであり、本発明者らの数多くの緻密な実験による研究成果である。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
本発明に係るイリジウム錯体は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0006863590
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R10〜R17は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR10〜R17は各々結合し環構造を形成してもよい。)
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R〜Rが、各々独立に、水素原子、または、アルキル基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R10〜R17が、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R10〜R17の少なくとも1つが、アルキル基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R10〜R17の少なくとも1つが、アリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体は、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
Figure 0006863590
(一般式(2)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R18〜R27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR18〜R27は各々結合し環構造を形成してもよい。)
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R18〜R27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R18〜R27のうち、少なくとも一つが、アルキル基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R18〜R27のうち、少なくとも一つが、アリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体は、下記一般式(4)で表されることが好ましい。
Figure 0006863590
(一般式(4)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R38〜R47は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR38〜R47は各々結合し環構造を形成してもよい。)
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R38〜R47は、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R38〜R47のうち、少なくとも一つが、アルキル基であることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体では、前記R38〜R47のうち、少なくとも一つが、アリール基であることが好ましい。
本発明に係る発光材料は、本発明に係るイリジウム錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る有機発光素子は、本発明に係る発光材料を含むことを特徴とする。
本開示は、有機電界発光素子および有機電気化学発光素子などに適用でき、熱安定性と昇華性に優れ、高効率に赤色発光を示す新規イリジウム錯体を提供することができる。
本開示の新規イリジウム錯体は、室温下で色純度の良好な赤色発光を示し、また熱的安定性及び昇華性に優れていることから、各種用途の発光素子材料として好適に用いることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、赤色領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライトまたは照明光源などの分野に好適である。
本発明化合物(Ir−10)のTHF中、アルゴン雰囲気下での発光スペクトルである。 本発明化合物(Ir−10)を用いて作製した有機電界発光素子の発光スペクトルである。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明の一般式の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明に係るイリジウム錯体は下記一般式(1)で表される。
Figure 0006863590
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R10〜R17は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR10〜R17は各々結合し環構造を形成してもよい。)
本発明に係るイリジウム錯体は、例えばこれらイリジウム錯体を真空蒸着法によって、有機発光素子の発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層に含有させることで、赤色領域に良好な発光を示す有機発光素子が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
一般式(1)に記載した記号(N、Ir、R〜R17)について以下に説明する。
一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。
一般式(1)中、Irはイリジウムを表す。
一般式(1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表し、水素原子、または、アルキル基が好ましい。
一般式(1)中、R10〜R17は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表し、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、または、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、アルキル基、または、アリール基が特に好ましく、水素原子、または、アルキル基がより特に好ましい。
前記アルキル基は、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが最も好ましい。
前記アルキル基は、直鎖状のアルキル基でも分岐状のアルキル基でも構わない。
前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
前記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、または3,5−テトラメチルシクロヘキシル基がある。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基である。より好ましくは、メチル基またはt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
前記アリール基は、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。
前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。好ましくは、前記アリール基は、無置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、塩素原子、臭素原子、または、ヨウ素原子で置換されても良い。特にアルキル基で置換されたアリール基は、イリジウム錯体の昇華性が向上することから特に好ましい。
前記アリール基として、例えば、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、m−クウォーターフェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基がある。好ましくは、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、またはメシチル基である。
前記アルコキシ基は、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが最も好ましい。
前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
前記アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロキシ基、イソプロキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等があり、メトキシ基が好ましい。
前記ヘテロ環基は、炭素数1〜30のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数1〜20のヘテロ環基であることがより好ましく、炭素数1〜10のヘテロ環基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のヘテロ環基であることが最も好ましい。
前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
前記ヘテロ環基として、例えば、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−ピラジル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、5−ピリダジニル基、キノリニル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾピリジニル基、1−インドリル基、2−ベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、1−イソキノリル基、1−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、1−フェナジニル基、2−チエニル基、1−ジベンゾフラニル基、1,3,5−トリアジニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基である。
前記アリールオキシ基は、炭素数6〜30のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることが特に好ましい。
前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。
前記アリールオキシ基として、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等があり、フェノキシ基が好ましい。
前記ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはフッ素原子である。より好ましくは臭素原子またはフッ素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
〜R17のさらに望ましい形態について、以下、具体的に説明する。
、R〜Rとしては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
10およびR13としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
11およびR12としては、水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
14としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
15としては、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、水素原子またはメチル基がより特に好ましい。
16としては、水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、水素原子、メチル基、または、t−ブチル基がより特に好ましい。
17としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
10〜R17のうち、少なくとも一つが、アルキル基であることが好ましい。
10〜R17のうち、少なくとも一つが、アリール基であることが好ましい。
隣り合ったR10〜R17は各々結合し環構造を形成してもよく、R10とR11、R11とR12、または、R12とR13が各々結合し環構造を形成することが好ましく、R10とR11、または、R12とR13が結合し環構造を形成することが特に好ましい。
前記環構造とは飽和環または不飽和環を表し、不飽和環が好ましい。不飽和環としては、炭素環またはヘテロ環が好ましく、炭素環であることがより好ましい。飽和環または不飽和環は、5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることが特に好ましく、ベンゼン環であることが最も好ましい。当該ベンゼン環はアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されることも好ましい。
すなわち望ましい一形態としては、R10とR11、R11とR12、または、R12とR13が各々結合しベンゼン環を形成することが好ましく、R10とR11、または、R12とR13が結合しベンゼン環を形成することがより好ましい。
一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体の中でも、R10とR11が環構造を形成した望ましい構造は、具体的に一般式(2)で表される。
Figure 0006863590
一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体の中でも、R11とR12が環構造を形成した望ましい構造は、具体的に一般式(3)で表される。
Figure 0006863590
一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体の中でも、R12とR13が環構造を形成した望ましい構造は、具体的に一般式(4)で表される。
Figure 0006863590
一般式(2)〜(4)中のR〜Rは、一般式(1)中のR〜Rと同義であり、望ましい範囲も同様である。
一般式(2)〜(4)中のR18〜R47は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表し、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、または、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、アルキル基、または、アリール基が特に好ましく、水素原子、または、アルキル基がより特に好ましい。これらの置換基として望ましい範囲については、一般式(1)中のR〜R17と同様である。
隣り合ったR18〜R47は各々結合し環構造を形成してもよい。
前記環構造とは飽和環または不飽和環を表し、不飽和環が好ましい。不飽和環としては、炭素環またはヘテロ環が好ましく、炭素環であることがより好ましい。飽和環または不飽和環は、5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることが特に好ましく、ベンゼン環であることが最も好ましい。当該ベンゼン環はアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)で置換されることも好ましい。
18〜R47のさらに望ましい形態について、以下、具体的に説明する。
18、R19、R21、R23、R28〜R33、R38〜R43としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
20、R22としては、水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、水素原子またはメチル基がより特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
24、R34、R44としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
25、R27、R35、R37、R45、R47としては、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基、または、t−ブチル基が特に好ましい。
26、R36、R46としては、水素原子、アルキル基またはアリール基が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましく、水素原子、メチル基、または、t−ブチル基がより特に好ましい。
18〜R27の少なくとも1つがアルキル基であることが好ましく、R23、R25、R27の少なくとも1つがアルキル基であることがより好ましく、R25がアルキル基であることが特に好ましい。R23、R25、R27の少なくとも1つがアルキル基であると、特に良好な色純度の赤色発光を得ることができる。
28〜R37の少なくとも1つがアルキル基であることが好ましい。
28〜R37の少なくとも1つがアリール基であることが好ましい。
38〜R47の少なくとも1つがアルキル基であることが好ましい。
38〜R47の少なくとも1つがアリール基であることが好ましい。
一般式(2)〜(4)で表されるイリジウム錯体の中でも、色純度の良好な赤色発光を得るためには、一般式(2)および(4)で表されるイリジウム錯体が好ましい。
一般式(2)で表されるイリジウム錯体のうち、以下に示す<1>〜<15>のいずれかの形態が特に望ましい。
<1> R23がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<2> R25がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<3> R23、および、R25がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<4> R25、および、R27がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<5> R23、R25、および、R27がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<6> R20がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<7> R20、および、R23がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<8> R20、および、R25がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<9> R20、R23、および、R25がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<10> R20、R25、および、R27がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<11> R20、R23、R25、および、R27がアルキル基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<12> R20がアリール基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<13> R22がアリール基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<14> R25がアリール基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
<15> R26がアリール基である一般式(2)で表されるイリジウム錯体。
一般式(4)で表されるイリジウム錯体のうち、以下に示す<16>〜<19>のいずれかの形態が特に望ましい。
<16> R45がアリール基である一般式(4)で表されるイリジウム錯体。
<17> R45がアルキル基である一般式(4)で表されるイリジウム錯体。
<18> R46がアルキル基である一般式(4)で表されるイリジウム錯体。
<19> R45、および、R47がアルキル基である一般式(4)で表されるイリジウム錯体。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の中でも、室温下、溶液中または薄膜状態での発光量子収率が、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることが特に好ましい。
溶液中の発光量子収率の測定は、溶存酸素を取り除くため、イリジウム錯体が溶解した溶液にアルゴンガスもしくは窒素ガスを通気した後に行うか、または、発光材料が溶解した溶液を凍結脱気した後に行うのが良い。発光量子収率の測定法としては、絶対法または相対法のどちらを用いてもよい。相対法においては、標準物質(キニン硫酸塩など)との発光スペクトルの比較によって、発光量子収率を測定することができる。絶対法においては、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920−02))を用いることで、固体状態または溶液中での発光量子収率の測定が可能である。溶液中での発光量子収率は種々の溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、DMF、DMSOなど)を用いて測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記発光量子収率が達成されればよい。
薄膜状態での発光量子収率の測定は、例えば石英ガラスの上に本発明のイリジウム錯体を真空蒸着し、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920))を用いて行うことができる。薄膜での発光量子収率は、本発明のイリジウム錯体を単独で蒸着するか、または種々のホスト材料と共蒸着し測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、いずれかの条件において上記発光量子収率が達成されればよい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は主に赤色領域に発光を示すが、その波長領域は配位子の種類または構造に依存する。特に室温下、溶液中または薄膜での発光スペクトルの発光極大波長(発光極大波長が複数ある場合は、最も短波長側の発光極大波長)については、580nm〜700nmの範囲であることが好ましく、600nm〜680nmの範囲であることがより好ましく、610nm〜650nmの範囲であることが特に好ましく、615nm〜640nmの範囲であることがより特に好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は主に赤色領域に発光を示すが、溶液中、薄膜中、または、有機発光素子中における発光スペクトルのCIE色座標は、Xが0.62〜0.68であり、かつ、Yが0.32〜0.38であることが好ましい。さらに、Xが0.64〜0.66であり、かつ、Yが0.34〜0.36であると、色純度の良好な赤色であるため特に好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の配位子であるジベンゾ[f,h]キノキサリンについては、Adv.Mater.2003年、15巻、224−228頁(非特許文献1)、特開2008−179607号公報(特許文献1)、特許公表2011−511821号公報(特許文献2)を参考に合成することができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、例えば式(A)の方法で合成することができる。
Figure 0006863590
本発明に係る一般式(2)で表されるイリジウム錯体は、例えば式(B)の方法で合成することができる。
Figure 0006863590
本発明に係る一般式(3)で表されるイリジウム錯体は、例えば式(C)の方法で合成することができる。
Figure 0006863590
本発明に係る一般式(4)で表されるイリジウム錯体は、例えば式(D)の方法で合成することができる。
Figure 0006863590
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水若しくは有機溶媒を添加することによる晶析、または反応混合物からの溶媒を留去する操作などを単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華またはカラムクロマトグラフィーなどを単独あるいは組み合わせて行うことができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、幾何異性体(フェイシャル体、メリジオナル体)が存在するが、本発明の目的を達成できればどちらの幾何異性体でも良く、これらの幾何異性体の混合物でも構わない。
以下に、本発明に係る、一般式(1)で示されるイリジウム錯体の代表例を表1〜表7に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006863590
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Figure 0006863590
Figure 0006863590
Figure 0006863590
Figure 0006863590
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なお、前述したように本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、室温下で高効率に赤色燐光を発光することが可能であるため、発光材料または有機発光素子の発光物質として利用できる。また本発明のイリジウム錯体からなる発光材料を用いて有機発光素子(好ましくは有機電界発光素子)を作製することができる。
また、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。さらに消費電力が低い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。
次に本発明の一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製される有機電界発光素子について説明する。有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、発光層の発光材料として、一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含有することが好ましい。また一般的に発光層は発光材料とホスト材料とから構成される。
本発明の有機電界発光素子における代表的な素子構成としては、例えば以下の構成があるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)を設けてもよい。また発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)を設けてもよい。
以下、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について説明する。
<発光層>
発光層は、電極から注入された電子および正孔が再結合し、励起子を経由して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚としては、2〜1000nmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲であり、更に好ましくは3〜150nmの範囲である。
本発明では、発光層は、発光材料とホスト材料とを含有することが好ましい。
発光材料としては、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体が単独もしくは複数種含まれていてもよく、その他の発光材料が含まれてもよい。発光層に含有される化合物のうち、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の合計含有量は、質量比で1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましく、5〜20%であることが特に好ましい。
その他の発光材料としては、具体的には、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、希土類錯体系化合物、イリジウム錯体、または白金錯体などが挙げられる。
ホスト材料は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。発光層に含有される化合物のうち、ホスト材料の含有量の上限は、質量比で99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが特に好ましい。
ホスト材料の励起状態エネルギー(T準位)は、同一層内に含有される本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の励起状態エネルギー(T準位)よりも高いことが好ましい。
ホスト材料は、単独または複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷移動調整が可能であり有機電界発光素子を高効率化することができる。
本発明で用いることができるホスト材料としては、特に制限はなく、低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよい。
ホスト材料として、具体的には、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体若しくはルブレン等)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、若しくは有機プラチナ錯体等)、またはポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体若しくはポリ(アセチレン)誘導体などの高分子誘導体が挙げられる。
<電子輸送層>
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは2〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、または正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送性材料として、具体的には、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体若しくはベンズオキサゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、または芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体若しくはトリフェニレン等)等が挙げられる。
<正孔阻止層>
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト材料も正孔阻止層の材料として好ましく用いられる。
<電子注入層>
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことである。
電子注入層の膜厚は0.1〜5nmの範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜1nmの範囲である。
電子注入層に好ましく用いられる材料として、具体的には、金属(ストロンチウム若しくはアルミニウム等)、アルカリ金属化合物(フッ化リチウム若しくはフッ化ナトリウム等)、アルカリ土類金属化合物(フッ化マグネシウム若しくはフッ化カルシウム等)、金属酸化物(酸化アルミニウム等)、または金属錯体(リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等)などが挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。さらに電子注入材料としては、フェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)、またはフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)などが挙げられる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。正孔輸送層は複数あってもよい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは5〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)としては、正孔の注入性または輸送性、または電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送性材料として、具体的には、ポルフィリン誘導体;フタロシアニン誘導体;オキサゾール誘導体;フェニレンジアミン誘導体;スチルベン誘導体;トリアリールアミン誘導体;カルバゾール誘導体;インドロカルバゾール誘導体;アントラセン若しくはナフタレンなどのアセン系誘導体;フルオレン誘導体;フルオレノン誘導体;ポリビニルカルバゾール若しくは芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマー;ポリシラン;導電性ポリマーまたはオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
<電子阻止層>
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、より好ましくは5〜30nmの範囲である。
また、前述の正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
<正孔注入層>
本発明では、正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことである。
正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)若しくはポリチオフェンなどの導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体に代表されるシクロメタル化錯体、またはトリアリールアミン誘導体などが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機電界発光素子において慣用されている、アルカリガラス、無アルカリガラス若しくは石英ガラスなどのガラス、または透明プラスチックなどが挙げられる。
陽極を構成する材料として、具体的には、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム若しくはタングステンなどの金属単体またはこれらの合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)若しくは酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはポリフェニレンスルフィドなどの導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
陰極を構成する材料として、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫またはクロムなどの金属単体が挙げられる。また、これらの金属を組み合わせて合金にしてもよい。例えば、リチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、またはマグネシウム−インジウムなどの合金が使用できる。さらに、酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構造でもよく、多層構造でもよい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む有機発光素子は、真空蒸着法、溶液塗布法若しくはレーザーなどを用いた転写法、またはスプレー法によって作製することができる。特に、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む発光層を、真空蒸着法によって形成することが望ましい。
真空蒸着法によってホール輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を形成する場合の真空蒸着条件は特に限定されないが、10−4〜10−5Pa程度の真空下で50〜500℃程度のボート温度、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度で蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を複数の材料を使用して形成する場合、材料を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
以降、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
<実施例I−1>
本発明化合物(Ir−2)の合成
ステップ1 化合物(A)の合成
Figure 0006863590
9,10−フェナントレンキノン86.7g、1,2−ジアミノプロパン35.8g、およびエチレングリコール460mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W〜1kW)を40分間照射した。反応溶液を150℃程度まで冷却させた後、2−エトキシエタノール300mlおよびDMF200mlの混合溶媒中に投入した。これに純水1000mlを投入し、析出物をろ過にて回収した。これをアセトンと純水を用いて3回再結晶させた。得られた固体をアルミナカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)を用いて精製し、化合物(A)を収率40%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.27(dd,1H),9.19(dd,1H),8.78(s,1H),8.63(d,2H),7.71−7.80(m,4H),2.85(s,3H).
ステップ2 化合物(B)の合成
Figure 0006863590
3塩化イリジウムn水和物25.68g、2−フェニルピリジン35.3g、2−エトキシエタノール400mlおよび純水60mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ過することで回収した。得られた固体をメタノールと純水で洗浄して、化合物(B)を収率97%で得た。
ステップ3 化合物(C)の合成
Figure 0006863590
化合物(B)10.00g、トリフルオロメタンスルホン酸銀5.03g、メタノール500mlおよびジクロロメタン1000mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(C)を収率100%で得た。
ステップ4 (Ir−2)の合成
Figure 0006863590
化合物(C)1.63g、化合物(A)2.72g、メタノール24mlおよびエタノール56mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて3回再結晶させ、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、(Ir−2)を収率7%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.17(d,1H),8.60(d,1H),8.07(d,1H),7.94(d,1H),7.89(d,1H),7.76(t,1H),7.65−7.72(m,5H),7.64(s,1H),7.56(t,1H),7.42(d,1H),7.29(d,1H),7.05(d,1H),6.93−6.98(m,2H),6.86−6.92(m,3H),6.71−6.77(m,2H),6.66(d,1H),2.70(s,3H).
<実施例I−2>
本発明化合物(Ir−10)の合成
ステップ1 化合物(D)の合成
Figure 0006863590
3塩化イリジウムn水和物3.70g、2−(4−tert−ブチルフェニル)ピリジン4.71g、DMF135mlおよび純水15mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、メタノールおよび純水を投入した。析出物をろ取し、純水およびメタノールで洗浄して、化合物(D)を収率84%で得た。
ステップ2 化合物(E)の合成
Figure 0006863590
化合物(D)3.85g、トリフルオロメタンスルホン酸銀1.59g、メタノール200mlおよびジクロロメタン250mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、室温で14時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(E)を収率100%で得た。
ステップ3 (Ir−10)の合成
Figure 0006863590
化合物(E)2.00g、化合物(A)2.72g、メタノール30mlおよびエタノール70mlを加え、アルゴン雰囲気下、95℃で24時間加熱反応させた。反応溶液の液温を50℃まで冷却後、アセトンを50ml投入した。反応溶液を室温まで冷却させた後に、析出物をろ取し、メタノールで洗浄した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて3回再結晶させ、(Ir−10)を収率32%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:9.10(dd,1H),8.74(d,1H),8.14(d,1H),8.11(d,1H),8.05(d,1H),7.81(m,2H),7.80(s,1H),7.71−7.76(m,2H),7.65−7.68(m,3H),7.59(d,1H),7.18−7.23(m,2H),6.95−6.98(m,2H),6.86(dd,1H),6.81(dd,1H),6.79(d,1H),6.65(d,1H),2.72(s,3H),1.03(s,9H),0.88(s,9H).
<実施例I−3>
本発明化合物(Ir−32)の合成
ステップ1 化合物(F)の合成
Figure 0006863590
3塩化イリジウムn水和物3.00g、2−フェニルキノリン3.74g、2−エトキシエタノール80mlおよび純水20mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(F)を収率69%で得た。
ステップ2 化合物(G)の合成
Figure 0006863590
化合物(F)2.62g、トリフルオロメタンスルホン酸銀1.15g、メタノール140mlおよびジクロロメタン220mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(G)を収率99%で得た。
ステップ3 (Ir−32)の合成
Figure 0006863590
化合物(G)2.00g、化合物(A)2.50g、メタノール30mlおよびエタノール70mlを加え、アルゴン雰囲気下、95℃で24時間加熱反応させた。反応溶液の溶媒を減圧留去した後、得られた固体をジクロロメタンとメタノールとアセトンを用いて再結晶させた。さらにジクロロメタンに溶解させ、不溶物をろ過にて除去した。ろ液にヘキサンを加え、析出物をろ取し、ヘキサンで洗浄した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)を用いて精製し、(Ir−32)を収率17%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.11(dd,1H),8.49(d,1H),8.24(q,2H),8.17(d,1H),8.10(d,1H),8.02(d,1H),7.93(d,2H),7.90(d,1H),7.78(s,1H),7.74(d,1H),7.69(t,1H),7.61(t,1H),7.56(d,1H),7.50(d,1H),7.23(d,1H),7.14(t,1H),7.09(t,1H),6.99(t,1H),6.92(t,1H),6.82(t,1H),6.70−6.76(m,3H),6.63(d,1H),6.58(t,1H),6.26(d,1H),2.63(s,3H).
<実施例I−4>
本発明化合物(Ir−62)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物21.7g、1−フェニルイソキノリン28.4g、DMF440mlおよび純水60mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、1000W)を30分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、沈殿をろ取し、純水およびメタノールで洗浄して、(Ir−62−A)を収率95%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−62−A)を12.2g、トリフルオロメタンスルホン酸銀5.15g、メタノール400mlおよびジクロロメタン1250mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去して、(Ir−62−B)を収率94%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−62−B)を1.99gと、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン2.46g、エタノール100mlを加え、アルゴン雰囲気下、100℃で48時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)で精製し、(Ir−62)を収率29.8%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:9.10(d,1H),8.92−8.98(m,2H),8.74(d,1H),8.21(d,2H),8.14(d,1H),7.74−7.99(m,9H),7.50−7.56(m,3H),7.42(d,1H),7.19(t,1H),6.90−6.98(m,3H),6.79−6.86(m,2H),6.63(t,1H),6.54(d,1H),2.62(s,3H).
<実施例I−5>
本発明化合物(Ir−63)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物1.40g、1−(p−トリル)イソキノリン2.17g、2−エトキシエタノール34mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−63−A)を収率62%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−63−A)500mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀212.7mg、メタノール1mlおよびジクロロメタン48mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−63−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−63−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン459.3mg、エタノール24mlを加え、アルゴン雰囲気下、90℃で87時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−63)を収率22.3%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.18(d,1H),8.94−9.17(m,2H),8.62(d,1H),8.14(d,2H),8.06(d,1H),7.62−7.82(m,9H),7.46(d,1H),7.29(d,1H),7.24(t,1H),7.20(d,1H),7.07(d,1H),6.99(d,1H),6.86(s,1H),6.85(d,1H),6.79(d,1H),6.57(s,1H),2.60(s,3H),2.16(s,3H),2.00(s,3H).
<実施例I−6>
本発明化合物(Ir−33)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物1.40g、3−メチル−2−フェニルキノリン2.73g、2−エトキシエタノール34mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−33−A)を収率41%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−33−A)995.3mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀423.4mg、メタノール1mlおよびジクロロメタン136mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−33−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−33−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン914.1mg、エタノール51mlを加え、アルゴン雰囲気下、90℃で72時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−33)を収率42.0%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.98(d,1H),8.42(d,1H),8.24(s,1H),8.06−8.11(m,3H),7.88(d,1H),7.79(d,1H),7.76(s,1H),7.65(t,1H),7.56(t,1H),7.40(d,1H),7.32(d,1H),7.31(s,1H),7.27(t,1H),7.17(t,1H),6.99(t,1H),6.93−6.96(m,2H),6.88(t,1H),6.74−6.81(m,2H),6.51−6.59(m,3H),6.44(d,1H),3.12(s,3H),3.01(s,3H),2.60(s,3H).
<実施例I−7>
本発明化合物(Ir−38)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物1.41g、2−(3−(t−ブチル)フェニル)キノリン2.61g、2−エトキシエタノール34mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−38−A)を収率55%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−38−A)1.3g、トリフルオロメタンスルホン酸銀490.7mg、メタノール1.2mlおよびジクロロメタン202mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−38−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−38−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン1.06g、エタノール55mlを加え、アルゴン雰囲気下、90℃で72時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて2回再結晶させ、(Ir−38)を収率23.1%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/DMSO−d)δ:9.01(d,1H),8.62(d,1H),8.53(d,2H),8.48(d,2H),8.30(d,1H),7.97−8.08(m,5H),7.91(s,1H),7.78−7.81(m,2H),7.70(t,1H),7.50(d,1H),7.32(t,1H),7.18(t,1H),7.08(t,1H),6.88(t,1H),6.78(d,1H),6.72(t,1H),6.54−6.59(m,2H),6.30(d,1H),5.91(d,1H),2.63(s,3H),1.28(s,9H),1.23(s,9H).
<実施例I−8>
本発明化合物(Ir−55)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物1.40g、2−(3−(t−ブチル)フェニル)−3−メチルキノリン2.17g、2−エトキシエタノール34mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−55−A)を収率38%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−55−A)1.256g、トリフルオロメタンスルホン酸銀415.6mg、メタノール1.1mlおよびジクロロメタン39mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−55−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−55−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン650mg、エタノール55mlを加え、アルゴン雰囲気下、90℃で72時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)で精製し、(Ir−55)を収率31.6%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.98(d,1H),8.41(d,1H),8.25(s,1H),8.18(d,1H),8.14(s,1H),8.11(s,1H),7.87(d,1H),7.81(d,1H),7.76(s,1H),7.63(t,1H),7.55(t,1H),7.39(d,1H),7.35(d,1H),7.28(t,1H),7.23(s,1H),7.16(t,1H),6.82−6.96(m,4H),6.64(d,1H),6.55(t,1H),6.41(d,1H),6.29(d,1H),3.13(s,3H),3.04(s,3H),2.59(s,3H),1.35(s,9H),1.26(s,9H).
<実施例I−9>
本発明化合物(Ir−58)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物424mg、2,6−ジフェニルキノリン745mg、2−エトキシエタノール11mlおよび純水3.6mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−58−A)を収量452mg得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−58−A)452.1mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀147.3mg、メタノール1mlおよびジクロロメタン30mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−58−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−58−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン279.9mg、2−エトキシエタノール6ml、DMF6mlを加え、アルゴン雰囲気下、130℃で62時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)で精製し、さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチルとヘキサン)で精製し、(Ir−58)を収率1%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.10(d,1H),8.51(d,1H),8.35(d,1H),8.33(d,1H),8.26(d,1H),8.16−8.19(m,2H),7.93−8.01(m,5H),7.86(s,1H),7.71(t,1H),7.63(d,1H),7.62(t,1H),7.51(d,2H),7.44(d,2H),7.26−7.39(m,6H),7.16(t,1H),7.07−7.11(m,2H),6.99(t,1H),6.92(t,1H),6.79(t,1H),6.74(d,1H),6.59(d,1H),6.55(t,1H),6.17(d,1H),2.67(s,3H).
<実施例I−10>
本発明化合物(Ir−60)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物1.40g、2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリン3.21g、2−エトキシエタノール34mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、120℃で20時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、析出物をろ取し、メタノールと純水で洗浄して、化合物(Ir−60−A)を収量332mgで得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−60−A)624.4mg、トリフルオロメタンスルホン酸銀203.1mg、メタノール0.5mlおよびジクロロメタン18mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過した後、溶媒を減圧留去して、化合物(Ir−60−B)を収率99%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた(Ir−60−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン438.6mg、エタノール24mlを加え、アルゴン雰囲気下、90℃で72時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)で精製し、(Ir−60)を収率9.7%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:9.10(d,1H),8.56(d,1H),8.41(d,1H),8.31(d,1H),8.29(d,1H),8.21(d,1H),8.10(d,1H),8.09(s,1H),8.06(d,1H),8.05(s,1H),7.93(s,1H),7.79(d,1H),7.72(t,1H),7.58−7.65(m,3H),7.33(d,2H),7.27(t,1H),7.20(t,1H),7.09−7.17(m,3H),6.94−7.00(m,3H),6.76−6.87(m,5H),6.56(s,1H),2.64(s,3H),1.64(s,3H),1.57(s,3H),1.49(s,3H),1.43(s,3H).
<実施例I−11>
本発明化合物(Ir−77)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物0.857g、3−フェニルイソキノリン1.13g、DMF40mlおよび純水10mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を45分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、沈殿をろ取し、純水およびメタノールで洗浄して、(Ir−77−A)を収率88.8%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−77−A)を全量と、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.578g、メタノール40mlおよびジクロロメタン60mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去して、(Ir−77−B)を収率100%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−77−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン2.10g、メタノール18ml、エタノール42mlを加え、アルゴン雰囲気下、95℃で48時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)で精製し、(Ir−77)を収率19.3%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:9.12(d,1H),8.72(d,1H),8.63(d,2H),8.55(d,2H),8.12(d,1H),7.92−8.05(m,3H),7.69−7.92(m,8H),7.42−7.49(m,2H),7.16(t,1H),6.91(d,1H),6.86(t,1H),6.81(t,1H),6.66−6.73(m,2H),6.53(t,1H),6.28(d,1H),2.69(s,3H).
<実施例I−12>
本発明化合物(Ir−95)の合成
Figure 0006863590
<ステップ1>
3塩化イリジウムn水和物2.00g、3−ビフェニルイソキノリン5.70g、DMF66mlおよび純水10mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、400W)を25分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、純水を投入した後、沈殿をろ取し、純水、メタノールおよびアセトンで洗浄して、(Ir−95−A)を収率91.5%で得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物(Ir−95−A)を1.11gと、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.370g、メタノール55mlおよびジクロロメタン55mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で24時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去して、(Ir−95−B)を収率89.7%で得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(Ir−95−B)を全量と、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン1.38g、メタノール15ml、エタノール35mlを加え、アルゴン雰囲気下、95℃で48時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジクロロメタンに溶解しセライトろ過した。ろ液にメタノールを投入し、析出物をろ取した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルムとヘキサン)で精製し、(Ir−95)を収率15.3%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:9.02−9.13(m,2H),9.02(d,1H),8.76(d,1H),8.44(s,2H),8.17(d,1H),7.97−8.03(m,2H),7.75−7.92(m,7H),7.57−7.71(m,7H),7.48(d,1H),7.38−7.44(m,4H),7.18−7.31(m,4H),7.10(d,1H),7.01(d,1H),6.96(d,1H),6.70(d,1H),2.64(s,3H).
<比較例I−1>
比較化合物(1)の合成
Figure 0006863590
ステップ1 化合物(H)の合成
Figure 0006863590
3塩化イリジウムn水和物8.06g、化合物(A)13.08g、DMF161mlおよび純水11mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、500W〜700W)を45分間照射した。反応溶液を減圧留去した後、メタノールおよびアセトンを投入し、析出物をろ取した。純水、メタノール、アセトンで洗浄して、化合物(H)を収率56%で得た。
ステップ2 比較化合物(1)の合成
化合物(H)4.24g、2,4−ペンタンジオナトナトリウム5.43g、2−エトキシエタノール150mlおよびDMF100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、450W)を15分間照射した。反応溶液に純水125mlを投入し懸濁させ、ろ過にて析出物を回収して、比較化合物(1)を収率70%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:9.18(d,2H),8.75(s,2H),8.71(d,2H),8.05(d,2H),7.81−7.90(m,4H),6.99(t,2H),6.25(d,2H),5.39(s,1H),3.03(s,6H),1.81(s,6H).
次に本発明に係るイリジウム錯体の溶液中の発光特性について記載する。
<実施例II−1>
本発明化合物(Ir−2)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−2)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:630nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.34)であった。発光量子収率は0.17であった。
<実施例II−2>
本発明化合物(Ir−10)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−10)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:632nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.34)であった。発光量子収率は0.27であった。発光スペクトルを図1に示す。
<実施例II−3>
本発明化合物(Ir−62)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−62)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:619nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.66,0.34)であった。発光量子収率は0.59であった。
<実施例II−4>
本発明化合物(Ir−63)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−63)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:625nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.66,0.34)であった。発光量子収率は0.61であった。
<実施例II−5>
本発明化合物(Ir−38)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−38)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:615nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.35)であった。発光量子収率は0.71であった。
<実施例II−6>
本発明化合物(Ir−60)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−60)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:630nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.35)であった。発光量子収率は0.69であった。
<実施例II−7>
本発明化合物(Ir−77)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−77)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:656nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.66,0.33)であった。発光量子収率は0.22であった。
<実施例II−8>
本発明化合物(Ir−95)のクロロホルム中の発光特性
本発明化合物(Ir−95)をクロロホルムに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、赤色発光(発光極大波長:625nm)を示した。CIE色度は(x,y)=(0.66,0.33)であった。発光量子収率は0.47であった。
<比較例II−1>
比較化合物(1)の発光特性
比較化合物(1)の溶液中の発光特性については、Adv.Mater.2003年、15巻、224−228頁(非特許文献1)に記載がある。すなわち、ジクロロメタン中での発光極大波長は608nmであり、橙赤色発光を示すことが示されている。
<比較例II−2>
比較化合物(2)の発光特性
Figure 0006863590
比較化合物(2)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、微弱な深赤色発光(発光極大波長:687nm)を示した。発光量子収率は0.028であった。
<比較例II−3>
比較化合物(3)の発光特性
Figure 0006863590
比較化合物(3)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、微弱な深赤色発光(発光極大波長:691nm)を示した。発光量子収率は0.017であった。
実施例II−1〜実施例II−8より、本発明化合物はいずれも室温下、THFまたはクロロホルム中で赤色発光を示すことが明らかとなった。本発明化合物の発光スペクトルは、比較化合物(1)よりも長波長シフトし、またそのCIE色度から純赤色発光を実現できたことが明らかとなった。一方、比較化合物(2)および(3)の発光は微弱な深赤色であり、本発明化合物の方が優れた赤色発光特性を示すことが明らかになった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の熱的安定性および昇華性を確認するため、昇華精製実験について説明する。
<実施例III−1>
本発明化合物(Ir−2)の昇華精製
本発明化合物(Ir−2)116mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜320℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は99.5%であった。なお昇華残渣はなく、昇華精製による分解は観測されなかった。0.5%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測され、マテリアルバランスは99.5%であった。
<実施例III−2>
本発明化合物(Ir−10)の昇華精製
本発明化合物(Ir−10)139mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度315〜320℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は88%であった。昇華残渣は投入量の12%と少なかった。昇華精製による分解は観測されず、マテリアルバランスは100%であった。
<実施例III−3>
本発明化合物(Ir−38)の昇華精製
本発明化合物(Ir−38)187mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜320℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は85%であった。昇華残渣は投入量の2%と少なかった。昇華精製による分解は観測されず、マテリアルバランスは87%であった。
<実施例III−4>
本発明化合物(Ir−77)の昇華精製
本発明化合物(Ir−77)159mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜330℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は93%であった。昇華残渣は投入量の4%と少なかった。昇華精製による分解は観測されず、マテリアルバランスは97%であった。
<実施例III−5>
本発明化合物(Ir−95)の昇華精製
本発明化合物(Ir−95)125mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度340〜360℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は84%であった。昇華残渣は投入量の9%と少なかった。昇華精製による分解は観測されず、マテリアルバランスは93%であった。
<比較例III−1>
比較化合物(1)の昇華精製
比較化合物(1)4.23gを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度300〜320℃の条件下で、32時間かけて昇華精製したところ、昇華精製品の収率は26%であった。昇華残渣は投入量の70%と非常に多かった。昇華残渣をHPLCで分析したところ、分解反応も進行していることがわかった。さらにマテリアルバランスは96%であり、これは分解により生じた低沸点成分が留去されたことによる結果であると推測された。
実施例IIIおよび比較例IIIの昇華精製の結果を比較すると、本発明化合物は、比較化合物(1)と比較して、収率良く昇華精製できることが明らかになった。今回、比較化合物(1)で使用されているアセチルアセトン配位子を、強固なイリジウム−炭素結合を有するシクロメタル化配位子に変更することで、燐光材料の熱安定性と昇華性が劇的に改善され、昇華残渣は大きく減少することが明らかになった。
次に本発明に係るイリジウム錯体の薄膜中の発光特性について記載する。
<実施例IV−1>
本発明化合物(Ir−10)の薄膜中の発光特性
本発明化合物(Ir−10)と4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(以降、CBPという)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、色純度の良好な赤色発光(発光極大波長:630nm)を示した。発光量子収率は0.61であった。
<実施例IV−2>
本発明化合物(Ir−62)の薄膜中の発光特性
本発明化合物(Ir−62)と4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(以降、CBPという)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、色純度の良好な赤色発光(発光極大波長:619nm)を示した。発光量子収率は0.69であった。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.34)であった。
<実施例IV−3>
本発明化合物(Ir−63)の薄膜中の発光特性
本発明化合物(Ir−63)と4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(以降、CBPという)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、色純度の良好な赤色発光(発光極大波長:627nm)を示した。発光量子収率は0.74であった。CIE色度は(x,y)=(0.65,0.34)であった。
<比較例IV−1>
比較化合物(1)の発光特性
比較化合物(1)の発光特性については、Adv.Mater.2003年、15巻、224−228頁(非特許文献1)に記載がある。すなわち、CBP薄膜中での発光極大波長は600〜614nmであり、橙赤色発光を示すことが示されている。
実施例IV−1〜実施例IV−3より、本発明化合物は室温下、CBP薄膜中で赤色発光を示すことが明らかとなった。本発明化合物は、比較化合物(1)よりも発光波長が長波長シフトし、色純度の良好な赤色発光を実現できていることが明らかとなった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製した有機電界発光素子の特性について記載する。
本実施例で使用した化合物(E−1)〜(E−6)の構造式を以下に示す。
Figure 0006863590
<実施例V−1>
本発明化合物(Ir−10)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
陽極として、酸化錫インジウム(ITO)を100nmの膜厚で線幅2mmの櫛形にパターニングして成膜された無アルカリガラス基板(厚木ミクロ社製)を透明導電性支持基板として用いた。これを超純水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。次いで、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
上記透明導電性支持基板上に、以下の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、ホスト材料層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層)を1×10−4Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で順次製膜し、次いでマスク交換して線幅2mmの電極層(電子注入層および金属電極層)を順次製膜して、有機電界発光素子を作製した。次いで、素子が大気に曝されないよう窒素雰囲気のグローブボックス内で封止する作業を行った。厚さ3mmのガラス板の中央部に1.5mmの掘り込みを付けた封止ガラス(泉陽商事社製)の周囲にUV硬化性エポキシ樹脂デナタイトR(ナガセケミテック社製)を塗布して蒸着済素子に被せ圧着した後、素子部分をアルミニウム板で覆ってマスキングしシャッター付きUV照射装置で1分間照射後1分間遮蔽のサイクルを5回繰り返して封止した。
正孔注入層(10nm):化合物(E−1)
正孔輸送層(40nm):化合物(E−2)
発光層(20nm):本発明化合物(Ir−10)(質量濃度15%)と化合物(E−3)(質量濃度85%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−4)
電子輸送層(30nm):化合物(E−5)
電子注入層(0.5nm):化合物(E−6)
金属電極層(100nm):Al
得られた有機電界発光素子を浜松ホトニクス社製のEL外部量子収率計測用積分球ユニットA10094のサンプルホルダーにセットし、Keithley社製ソースメーター2400を用いて、直流定電圧を印加し、発光させ、その輝度、発光波長およびCIE色度座標を、浜松ホトニクス社製マルチチャンネル分光器PMA−12を用いて測定した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.64,0.36)、発光ピーク波長が625nmの純赤色発光が得られ、最高輝度は23200cd/m、外部量子効率は9.4%(1000cd/mのとき)の発光特性が得られた。発光スペクトルを図2に示す。
<実施例V−2>
本発明化合物(Ir−62)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた(Ir−10)の代わりに(Ir−62)を用いて、発光層における本発明化合物(Ir−62)の質量濃度20%とした以外は同様の条件で有機電界発光素子を作製し、素子特性を評価した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.65,0.35)、発光ピーク波長が613nmの純赤色発光が得られ、最高輝度は28900cd/m、外部量子効率は8.5%(1000cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−3>
本発明化合物(Ir−63)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた(Ir−10)の代わりに(Ir−63)を用いて、発光層における本発明化合物(Ir−63)の質量濃度20%とした以外は同様の条件で有機電界発光素子を作製し、素子特性を評価した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.65,0.34)、発光ピーク波長が621nmの純赤色発光が得られ、最高輝度は16300cd/m、外部量子効率は8.3%(1000cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−4>
本発明化合物(Ir−95)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた(Ir−10)の代わりに(Ir−95)を用いた以外は同様の条件で有機電界発光素子を作製し、素子特性を評価した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.66,0.34)、発光ピーク波長が621nmの純赤色発光が得られ、最高輝度は23700cd/m、外部量子効率は8.0%(1000cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<比較例V−1>
比較化合物(1)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた(Ir−10)の代わりに比較化合物(1)を用いた以外は同様の条件で有機電界発光素子を作製し、素子特性を評価した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.61,0.39)、発光ピーク波長が604nmの橙色発光が得られ、最高輝度は34200cd/mの発光特性が得られた。したがって、比較化合物(1)を用いた場合、色純度の良好な赤色発光素子を作製できないことが明らかになった。
以上述べてきたように、本発明に係わる一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、熱的安定性および昇華性に特に優れ、赤色領域に高い発光量子収率を示す新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する有機発光素子を作ることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の分野に好適である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(2)で表されることを特徴とするイリジウム錯体。
    Figure 0006863590
    (一般式(2)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R18〜R27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR18〜R27は各々結合し環構造を形成してもよい。)
  2. 18〜R27は、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、アリール基であることを特徴とする請求項に記載のイリジウム錯体。
  3. 18〜R27のうち、少なくとも一つが、アルキル基であることを特徴とする請求項またはに記載のイリジウム錯体。
  4. 18〜R27のうち、少なくとも一つが、アリール基であることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
  5. 下記一般式(4)で表されることを特徴とするイリジウム錯体。
    Figure 0006863590
    (一般式(4)中、Nは窒素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、ハロゲン原子を表す。R38〜R47は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、シアノ基、または、ハロゲン原子を表す。前記アルキル基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリール基は、アルキル基(トリフルオロメチル基を除く)、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子(フッ素原子は除く)で置換されてもよく、アラルキル基で置換されることはない。前記アルコキシ基は、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記ヘテロ環基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。前記アリールオキシ基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、または、ハロゲン原子で置換されてもよい。隣り合ったR38〜R47は各々結合し環構造を形成してもよい。)
  6. 38〜R47は、各々独立に、水素原子、アルキル基、または、アリール基であることを特徴とする請求項に記載のイリジウム錯体。
  7. 38〜R47のうち、少なくとも一つが、アルキル基であることを特徴とする請求項またはに記載のイリジウム錯体。
  8. 38〜R47のうち、少なくとも一つが、アリール基であることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載のイリジウム錯体。
  9. 請求項1〜のいずれか一つに記載のイリジウム錯体を含むことを特徴とする発光材料。
  10. 請求項に記載の発光材料を含むことを特徴とする有機発光素子。
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