JP6656636B2 - フッ素置換イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 - Google Patents

フッ素置換イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた発光材料および有機発光素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光素子(有機電界発光素子、有機電気化学発光素子等)の発光材料として有用な青色発光性の新規イリジウム錯体ならびに該化合物を用いた有機発光素子に関するものである。
近年、有機電界発光素子に代表される有機発光素子はディスプレイまたは照明技術として注目されており、実用化に向けた研究が活発に進められている。特に発光効率向上は重要な研究課題であり、現在では発光材料として、励起三重項状態からの発光を利用する燐光材料に注目が集まっている。
励起一重項状態からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子との生成比が1:3であるため発光性励起子の生成確率が25%であるとされている。また、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率の限界は5%とされている。一方で、これに励起三重項状態をも利用できると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となる。このような背景から、これまで燐光材料の開発が活発に行われてきた。現在、有機発光素子は主に真空蒸着法で製造されていることから、近年では、特に熱的安定性が高く昇華性に優れた青色燐光材料を開発することは、有機発光素子を実用化する上で極めて重要な技術課題となっている。
化7に示すフッ素置換されたピリジルピリジンイリジウム錯体が開示されており、良好な青色発光特性を示すことが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
Figure 0006656636
また特許文献1には、イリジウム−窒素結合を有するピリジン環の4位にメチル基が導入された化8に示すフッ素置換ピリジルピリジンイリジウム錯体についても開示されている。ピリジン環の4位へのメチル基の導入は、主にイリジウム錯体の発光を短波長シフトさせるために行われたものである。
Figure 0006656636
特開2005−220136号公報 特開2007−161673号公報 特開2011−256116号公報 特開2012−1517号公報
Narae Jungら、Bull.Korean Chem.Soc.2012年、33巻、183−188頁
しかしながら、上記青色発光性イリジウム錯体の昇華性については、実用上十分に満足できるものとはいえず、今後の実用量産化に向けてさらなる改善が求められている。このように、フッ素置換されたピリジルピリジンイリジウム錯体は良好な青色発光特性を示すが、実用量産化に向けて、これまで以上に昇華性に優れたイリジウム錯体の開発が強く望まれている。
本発明の目的は、有機電界発光素子や有機電気化学発光素子等に適用でき、特に昇華性が高く、青色領域に良好な発光特性を示す新規イリジウム錯体を提供することである。
本発明者らは上記実状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、フッ素置換されたピリジルピリジンイリジウム錯体において、イリジウム−窒素結合を有するピリジン環の5位にアルキル基を導入した一般式(1)で表される新規イリジウム錯体が、ピリジン環上に置換基が導入されていない従来公知のイリジウム錯体、および、ピリジン環の4位にアルキル基を導入した従来公知のイリジウム錯体よりも昇華性に特に優れ、良好な青色発光特性を示すことを見出した。以上の実験結果は、従来公知技術から予測できないものであり、本発明者らの数多くの緻密な実験による研究成果である。そして本発明の一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いることで、高い発光効率を示す青色有機発光素子を作製できることを実証し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
本発明に係るイリジウム錯体は、下記一般式(1)で表され、モノアニオン性2座配位子が、一般式(2)〜(5)のいずれかで表されることを特徴とする。
Figure 0006656636
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Fはフッ素原子を表す。Irはイリジウムを表す。Rはアルキル基を表す。m=2または3であり、n=0または1であり、かつ、m+n=3である。Lはモノアニオン性2座配位子を表す。)
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
(一般式(2)〜(5)中、Nは窒素原子を表す。Oは酸素原子を表す。R〜R23は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のヘテロ環基、シアノ基、トリフルオロメチル基、または、ハロゲン原子を表す。*はイリジウムとの結合部位を表す。)
本発明に係るイリジウム錯体では、Rがメチル基、イソプロピル基、または、ノルマルペンチル基のいずれかであることが好ましい。
本発明に係るイリジウム錯体は、下式(6)〜(15)のいずれかで表されることを特徴とする。
Figure 0006656636
本発明に係る発光材料は、本発明に係るイリジウム錯体を含むことを特徴とする。
本発明に係る有機発光素子は、本発明に係る発光材料を含むことを特徴とする。
本発明は、有機電界発光素子および有機電気化学発光素子などに適用でき、特に昇華性に優れ、高効率に青色発光を示す新規イリジウム錯体を提供することができる。
本発明の新規イリジウム錯体は、室温下で強く青色発光を示し、また熱的安定性及び昇華性に優れていることから、実用量産化に適した材料であり、各種用途の発光素子材料として好適に用いることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、青色領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライトまたは照明光源などの分野に好適である。
実施例III−2に示した、本発明化合物(Ir−5)のTHF中、アルゴン雰囲気下での発光スペクトルである。 実施例IV−9に示した、本発明化合物(Ir−42)とmCPとの共蒸着膜(5:95(質量%比))の発光スペクトルである。 実施例V−10に示した、本発明化合物(Ir−1)を用いて作製した有機電界発光素子のELスペクトルである。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明の一般式の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明に係るイリジウム錯体は。前記一般式(1)で表される。
Figure 0006656636
(一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Fはフッ素原子を表す。Irはイリジウムを表す。Rはアルキル基を表す。m=2または3であり、n=0または1であり、かつ、m+n=3である。Lはモノアニオン性2座配位子を表す。)
本発明に係るイリジウム錯体は、例えばこれらイリジウム錯体を真空蒸着法によって、有機発光素子の発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物層に含有させることで、青色領域に発光を示す有機発光素子が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
一般式(1)に記載した記号(N、F、Ir、m、n、R、L)について以下に説明する。
一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。
一般式(1)中、Fはフッ素原子を表す。
一般式(1)中、Irはイリジウムを表す。
一般式(1)中、m=2または3であり、n=0または1であり、かつ、m+n=3である。すなわち、m=3のときはn=0であり、m=2のときはn=1である。この中でも、m=3、n=0が好ましい。
一般式(1)中、Rはアルキル基を表す。その中でも炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であると昇華性がさらに良好であり特に好ましい。さらに炭素数2〜6のアルキル基であると、本発明のイリジウム錯体の溶媒に対する溶解性が向上し、製造過程における操作性が改善するためより特に好ましい。
として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基がある。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基である。より好ましくは、メチル基、n−ペンチル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは、n−ペンチル基、または、イソプロピル基であり、より特に好ましくは、イソプロピル基である。
一般式(1)中、Lはモノアニオン性2座配位子を表す。モノアニオン性2座配位子の中でも、一般式(2)〜(5)で表されるものが好ましい。
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
(一般式(2)〜(5)中、Nは窒素原子を表す。Oは酸素原子を表す。R〜R23は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のヘテロ環、シアノ基、トリフルオロメチル基、または、ハロゲン原子を表す。*はイリジウムとの結合部位を表す。)
一般式(2)〜(5)中、前記アルキル基は、炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが最も好ましい。
前記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、または3,5−テトラメチルシクロヘキシル基がある。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、または1−メチルペンチル基である。より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
一般式(2)〜(5)中、前記アルコキシ基は、炭素数1〜30のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが最も好ましい。
前記アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等があり、メトキシ基が好ましい。
一般式(2)〜(5)中、前記アリール基は、炭素数6〜30のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましい。
前記アリール基として、例えば、フェニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、m−クウォーターフェニル基、1−ナフチル基、または2−ナフチル基がある。好ましくは、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、またはメシチル基である。特にアルキル基で置換されたフェニル基は、イリジウム錯体の昇華性が向上することから特に好ましい。
一般式(2)〜(5)中、前記アリールオキシ基は、炭素数6〜30のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアリールオキシ基であることが特に好ましい。
前記アリールオキシ基として、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等があり、フェノキシ基が好ましい。
一般式(2)〜(5)中、前記ヘテロ環基は、炭素数1〜30のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数1〜20のヘテロ環基であることがより好ましく、炭素数1〜10のヘテロ環基であることが特に好ましく、炭素数1〜5のヘテロ環基であることが最も好ましい。
前記ヘテロ環基として、例えば、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2−ピラジル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、5−ピリダジニル基、キノリニル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾピリジニル基、1−インドリル基、2−ベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、1−イソキノリル基、1−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、1−フェナジニル基、2−チエニル基、1−ジベンゾフラニル基、1,3,5−トリアジニル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基である。
一般式(2)〜(5)中、ハロゲン原子は、好ましくは塩素原子、臭素原子またはフッ素原子である。より好ましくは臭素原子またはフッ素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
〜R13は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、シアノ基、トリフルオロメチル基、または、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、フッ素原子がより好ましく、水素原子、または、フッ素原子が特に好ましい。特に、R10とR12の少なくとも一方がフッ素原子であると、より良好な青色発光を得ることができる。
14〜R20は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、水素原子、または、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
21およびR23は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャルブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
22は、各々独立に、水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の中でも、室温下、溶液中または薄膜状態での発光量子収率が、0.01以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましく、0.7以上であることが最も好ましい。
溶液中の発光量子収率の測定は、溶存酸素を取り除くため、イリジウム錯体が溶解した溶液にアルゴンガスもしくは窒素ガスを通気した後に行うか、または、発光材料が溶解した溶液を凍結脱気した後に行うのが良い。発光量子収率の測定法としては、絶対法または相対法のどちらを用いてもよい。相対法においては、標準物質(キニン硫酸塩など)との発光スペクトルの比較によって、発光量子収率を測定することができる。絶対法においては、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920−02))を用いることで、固体状態または溶液中での発光量子収率の測定が可能である。溶液中での発光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記発光量子収率が達成されればよい。
薄膜状態での発光量子収率の測定は、例えば石英ガラスの上に本発明のイリジウム錯体を真空蒸着し、市販の装置(例えば、浜松ホトニクス株式会社製、絶対PL量子収率測定装置(C9920))を用いて行うことができる。薄膜での発光量子収率は、本発明のイリジウム錯体を単独で蒸着するか、または種々のホスト材料と共蒸着し測定できるが、本発明に係わるイリジウム錯体は、いずれかの条件において上記発光量子収率が達成されればよい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は主に可視光領域(特に青色領域)に発光を示すが、その波長領域は配位子の種類または構造に依存する。特に室温下、溶液中または薄膜での発光スペクトルの発光極大波長(発光極大波長が複数ある場合は、最も短波長側の発光極大波長)については、350nm〜550nmの範囲であることが好ましく、400nm〜500nmの範囲であることがより好ましく、420nm〜480nmの範囲であることが特に好ましく、440nm〜480nmの範囲であることがより特に好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、特開2005−220136号公報(特許文献1)、特開2007−161673号公報(特許文献2)、特開2011−256116号公報(特許文献3)、特開2012−1517号公報(特許文献4)などを参考に製造することができる。
上記反応における加熱手段は特に制約されないが、オイルバス、マントルヒーター、サンドバス、ブロックヒーター又は熱媒循環式ジャケットなどの従来の外部加熱方式又はマイクロ波照射方式のいずれも適用することができる。マイクロ波の波長に特に制限はないが、2000〜3000MHz、好ましくは2400〜2500MHz、特に好ましくは2450MHzである。マイクロ波発振装置としては、市販されている有機合成用反応装置などすべて適用できる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体については、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水若しくは有機溶媒を添加することによる晶析、または反応混合物からの溶媒を留去する操作などを単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華またはカラムクロマトグラフィーなどを単独あるいは組み合わせて行うことができる。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体のうち、m=3、n=0のケースについては、幾何異性体(フェイシャル体、メリジオナル体)が存在し、フェイシャル体であることが好ましい。メリジオナル体を熱異性化または光異性化し、フェイシャル体を得ることが好ましい。
非特許文献1(Narae Jungら、Bull.Korean Chem.Soc.2012年、33巻、183−188頁)の184頁の記載によると、特許文献1に開示された従来公知のイリジウム錯体(化7参照)のメリジオナル体の光異性化反応の効率は非常に低いことが知られている(<10%)。それに対し、一般式(1)で表される本発明のイリジウム錯体は、光異性化反応が効率良く進行することが明らかになった(本願の実施例I参照)。
以下に、本発明に係る、一般式(1)で示されるイリジウム錯体の代表例を表1〜表5に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
Figure 0006656636
本発明に係るイリジウム錯体の一例は、下式(6)〜(15)のいずれかで表される。
Figure 0006656636
なお、前述したように本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、室温下で高効率に燐光を発光することが可能であるため、発光材料または有機発光素子の発光物質として利用できる。また本発明のイリジウム錯体からなる発光材料を用いて有機発光素子(好ましくは有機電界発光素子)を作製することができる。
また、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いることで、発光効率の高い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。さらに消費電力が低い有機発光素子、発光装置、または照明装置を実現することができる。
次に本発明の一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製される有機電界発光素子について説明する。有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に複数層の有機化合物を積層した素子であり、発光層の発光材料として、一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含有することが好ましい。また一般的に発光層は発光材料とホスト材料とから構成される。
本発明の有機電界発光素子における代表的な素子構成としては、例えば以下の構成があるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)を設けてもよい。また発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)を設けてもよい。
以下、本発明の有機電界発光素子を構成する各層について説明する。
<発光層>
発光層は、電極から注入された電子および正孔が再結合し、励起子を経由して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚としては、2〜1000nmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜200nmの範囲であり、更に好ましくは3〜150nmの範囲である。
本発明では、発光層は、発光材料とホスト材料とを含有することが好ましい。
発光材料としては、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体が単独もしくは複数種含まれていてもよく、その他の発光材料が含まれてもよい。発光層に含有される化合物のうち、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の合計含有量は、質量比で1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましく、5〜20%であることが特に好ましい。
その他の発光材料としては、具体的には、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、希土類錯体系化合物、イリジウム錯体、または白金錯体などが挙げられる。
ホスト材料は、発光層において主に電荷の注入および輸送を担う化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、特に好ましくは80%以上である。発光層に含有される化合物のうち、ホスト材料の含有量の上限は、質量比で99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが特に好ましい。
ホスト材料の励起状態エネルギー(T準位)は、同一層内に含有される本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の励起状態エネルギー(T準位)よりも高いことが好ましい。
ホスト材料は、単独または複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷移動調整が可能であり有機電界発光素子を高効率化することができる。
本発明で用いることができるホスト材料としては、特に制限はなく、低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよい。
ホスト材料として、具体的には、トリアリールアミン誘導体、フェニレン誘導体、縮合環芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体若しくはルブレン等)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体、有機イリジウム錯体、若しくは有機プラチナ錯体等)、またはポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体若しくはポリ(アセチレン)誘導体などの高分子誘導体が挙げられる。
<電子輸送層>
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは2〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、または正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
電子輸送性材料として、具体的には、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムなどの有機アルミニウム錯体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体若しくはベンズオキサゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、または芳香族炭化水素環誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体若しくはトリフェニレン等)等が挙げられる。
<正孔阻止層>
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有する層であり、好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
正孔阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、前述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、前述のホスト材料も正孔阻止層の材料として好ましく用いられる。
<電子注入層>
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことである。
電子注入層の膜厚は0.1〜5nmの範囲が好ましい。より好ましくは0.1〜1nmの範囲である。
電子注入層に好ましく用いられる材料として、具体的には、金属(ストロンチウム若しくはアルミニウム等)、アルカリ金属化合物(フッ化リチウム若しくはフッ化ナトリウム等)、アルカリ土類金属化合物(フッ化マグネシウム若しくはフッ化カルシウム等)、金属酸化物(酸化アルミニウム等)、または金属錯体(リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等)などが挙げられる。また、前述の電子輸送材料を用いることも可能である。さらに電子注入材料としては、フェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB)、またはフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)などが挙げられる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。正孔輸送層は複数あってもよい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は2〜5000nmの範囲であり、より好ましくは5〜500nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)としては、正孔の注入性または輸送性、または電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
正孔輸送性材料として、具体的には、ポルフィリン誘導体;フタロシアニン誘導体;オキサゾール誘導体;フェニレンジアミン誘導体;スチルベン誘導体;トリアリールアミン誘導体;カルバゾール誘導体;インドロカルバゾール誘導体;アントラセン若しくはナフタレンなどのアセン系誘導体;フルオレン誘導体;フルオレノン誘導体;ポリビニルカルバゾール若しくは芳香族アミンを主鎖または側鎖に導入した高分子材料またはオリゴマー;ポリシラン;導電性ポリマーまたはオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
<電子阻止層>
電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有する層であり、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、より好ましくは5〜30nmの範囲である。
また、前述の正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
<正孔注入層>
本発明では、正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)とは、駆動電圧低下または発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことである。
正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)若しくはポリチオフェンなどの導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体に代表されるシクロメタル化錯体、またはトリアリールアミン誘導体などが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、例えば、従来の有機電界発光素子において慣用されている、アルカリガラス、無アルカリガラス若しくは石英ガラスなどのガラス、または透明プラスチックなどが挙げられる。
陽極を構成する材料として、具体的には、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム若しくはタングステンなどの金属単体またはこれらの合金;酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)若しくは酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはポリフェニレンスルフィドなどの導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
陰極を構成する材料として、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫またはクロムなどの金属単体が挙げられる。また、これらの金属を組み合わせて合金にしてもよい。例えば、リチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、またはマグネシウム−インジウムなどの合金が使用できる。さらに、酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構造でもよく、多層構造でもよい。
本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む有機発光素子は、真空蒸着法、溶液塗布法若しくはレーザーなどを用いた転写法、またはスプレー法によって作製することができる。特に、本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を含む発光層を、真空蒸着法によって形成することが望ましい。
真空蒸着法によってホール輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を形成する場合の真空蒸着条件は特に限定されないが、10−4〜10−5Pa程度の真空下で50〜500℃程度のボート温度、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度で蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層または電子輸送層などの各層を複数の材料を使用して形成する場合、材料を入れたボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
以降、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
<実施例I−1>
本発明化合物(Ir−1)の合成
ステップ1 化合物(A)の合成
Figure 0006656636
2−ブロモ−5−メチルピリジン50.10g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸55.70g、2M炭酸カリウム水溶液725mlおよびテトラヒドロフラン610mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)28.0g、を加え、アルゴン雰囲気下、65〜75℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(A)を収率81%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.65(q,1H),8.54(s,1H),7.75(d,1H),7.60(d,1H),6.96(dd,1H),2.40(s,3H).
ステップ2 化合物(B)の合成
Figure 0006656636
3塩化イリジウムn水和物6.67g、化合物(A)8.66g、DMF200ml、および純水40mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、800W)を45分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これに純水を投入後、これをろ過し、純水で洗浄した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、不溶物をろ過にて除去した後、ろ液にヘキサンを加え再結晶させ、化合物(B)を収率99%で得た。
ステップ3 (Ir−1)の合成
Figure 0006656636
化合物(B)2.46g、化合物(A)19.53gおよびエチレングリコール240mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、800W)を1時間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−1)を得た。これをジクロロメタン80mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を8時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−1)を収率19.3%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.24(d,3H),7.67(d,3H),7.22(s,3H),6.16(t,3H),2.22(s,9H).
<実施例I−2>
本発明化合物(Ir−5)の合成
ステップ1 化合物(C)の合成
Figure 0006656636
2,5−ジブロモピリジン25.25g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸16.98g、2M炭酸カリウム水溶液240mlおよびテトラヒドロフラン200mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)8.13g、を加え、アルゴン雰囲気下、55〜75℃で29時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエンおよび酢酸エチル)を用いて精製し、化合物(C)を収率86%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.77(d,1H),8.69(q,1H),7.94(dd,1H),7.79(d,1H),6.99(dd,1H).
ステップ2 化合物(D)の合成
Figure 0006656636
化合物(C)4.50g、1−ペンチルボロン酸3.91g、リン酸三カリウム水溶液17.6g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´,6´−ジメトキシビフェニル0.83gおよびトルエン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.47g、を加え、アルゴン雰囲気下、125℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(D)を収率25%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.66(q,1H),8.53(d,1H),7.77(dd,1H),7.61(dd,1H),6.96(dd,1H),2.66(t,2H),1.63−1.70(m,2H),1.33−1.37(m,4H),0.91(t,3H).
ステップ3 (Ir−5)の合成
Figure 0006656636
酢酸イリジウム0.53g、化合物(D)1.1gおよびジグリム50mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、150℃で24時間、さらに180℃にて24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−5)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を8時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールと純水を用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−5)を収率9%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.26(d,3H),7.68(d,3H),7.17(s,3H),6.22(t,3H),2.43(s,6H),1.44(t,6H),1.21−1.25(m,12H),0.83(t,9H).
<実施例I−3>
本発明化合物(Ir−7)の合成
ステップ1 化合物(E)の合成
Figure 0006656636
化合物(C)4.52g、イソブチルボロン酸3.44g、リン酸三カリウム水溶液18.0g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´,6´−ジメトキシビフェニル0.83gおよびトルエン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.48g、を加え、アルゴン雰囲気下、125℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(E)を収率 34%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.67(q,1H),8.50(d,1H),7.78(dd,1H),7.58(dd,1H),6.97(dd,1H),2.54(d,2H),1.87−1.97(m,1H),0.95(d,6H).
ステップ2 化合物(F)の合成
Figure 0006656636
3塩化イリジウムn水和物0.10g、化合物(E)0.14g、DMF10ml、および純水2mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を20分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、ジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去し、化合物(F)を収率100%で得た。
ステップ3 (Ir−7)の合成
Figure 0006656636
化合物(F)0.19g、化合物(E)1.1gおよびジグリム16mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、180℃にて18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去し、メリジオナル体の(Ir−7)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を6時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−7)を収率53%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.26(d,3H),7.64(dd,3H),7.17(d,3H),6.22(t,3H),2.35(dd,3H),2.21(dd,3H),1.64−1.74(m,3H),0.78(t,18H).
<実施例I−4>
本発明化合物(Ir−13)の合成
Figure 0006656636
化合物(B)1.00g、2,4−ペンタンジオナトナトリウム0.23gおよび2−エトキシエタノール100mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、400W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これにメタノール10ml,純水10mlを投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−13)を収率14%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.22(s,2H),8.16(d,2H),7.73(d,2H),5.61(s,2H),5.31(s,1H),2.46(s,6H),1.85(s,6H).
<実施例I−5>
本発明化合物(Ir−19)の合成
Figure 0006656636
化合物(F)0.297g、2,4−ペンタンジオナトナトリウム0.076gおよび2−エトキシエタノール20mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(300W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、純水20mlを投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させた。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−19)を収率38%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:8.17(s,2H),8.16(d,2H),8.00(d,2H),5.65(s,2H),5.33(s,1H),2.58−2.68(m,4H),1.84−1.91(m,2H),1.76(s,6H),0.88(d,6H),0.86(d,6H).
<実施例I−6>
本発明化合物(Ir−25)の合成
Figure 0006656636
化合物(B)2.42g、ピコリン酸ナトリウム0.83gおよび2−エトキシエタノール150mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を12分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧留去した。これに純水100mlを投入し懸濁させた後、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとアセトン)を用いて精製し、(Ir−25)を収率59%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.56(s,1H),8.39(d,1H),8.21(d,1H),8.16(d,1H),8.02−8.06(m,1H),7.77(d,1H),7.70−7.73(m,2H),7.49−7.53(m,1H),7.14(s,1H),5.80(t,1H),5.52(t,1H),2.41(s,3H),2.20(s,3H).
<実施例I−7>
本発明化合物(Ir−31)の合成
Figure 0006656636
化合物(F)0.314g、ピコリン酸ナトリウム0.086gおよび2−エトキシエタノール26mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンに溶解し、食塩水で洗浄した後、有機層を回収し減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、析出物を除去した後、ろ液の溶媒を減圧留去した。さらにこれをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−31)を収率0.6%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.53(s,1H),8.36(d,1H),8.23(d,1H),8.18(d,1H),8.03(t,1H),7.78(d,1H),7.68(d,2H),7.49−7.53(m,1H),7.14(s,1H),5.79(s,1H),5.54(s,1H),2.54(t,1H),2.29−2.37(m,3H),1.82−1.89(m,1H),1.66−1.72(m,1H),0.77−0.88(m,12H).
<実施例I−8>
本発明化合物(Ir−37)の合成
ステップ1 化合物(G)の合成
Figure 0006656636
化合物(B)5.00g、トリフルオロメタンスルホン酸銀2.11g、メタノール125mlおよびジクロロメタン375mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で18時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去して、化合物(G)を収率100%で得た。
ステップ2 (Ir−37)の合成
Figure 0006656636
化合物(G)1.00g、2−フェニルピリジン0.56g、エタノール75mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で16時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−37)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を3時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、フェイシャル体の(Ir−37)を収率16%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:8.24(d,1H),8.15(t,2H),7.93(t,1H),7.83−7.88(m,3H),7.44−7.48(m,2H),7.35(s,1H),7.24(t,1H),6.93(t,1H),6.84(t,1H),6.48(d,1H),6.02(d,2H),2.17(s,3H),2.14(s,3H).
<実施例I−9>
本発明化合物(Ir−42)の合成
Figure 0006656636
化合物(G)1.00g、2,4−ジフルオロフェニルピリジン0.62g、メタノール15mlおよびエタノール35mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜95℃で23時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた。さらにこれをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−42)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を7時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、フェイシャル体の(Ir−42)を収率23%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:8.28(d,1H),8.17(dd,2H),8.00(t,1H),7.89(d,2H),7.55(d,1H),7.38(s,1H),7.33(s,1H),7.30(t,1H),6.78(t,1H),5.99−6.03(m,3H),2.17(s,3H),2.16(s,3H).
<実施例I−10>
本発明化合物(Ir−49)の合成
Figure 0006656636
化合物(G)1.05g、1−フェニルピラゾール0.45g、メタノール15mlおよびエタノール35mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で33時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、ろ過にて固体を取り出した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−49)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を2時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−49)を収率22%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/(CDSO)δ:8.79(d,1H),8.13(d,2H),7.85(d,2H),7.61(d,1H),7.52(s,1H),7.38(s,1H),7.06(d,1H),6.95(t,1H),6.77(t,1H),6.66(t,1H),6.43(d,1H),6.11(s,1H),6.06(s,1H),2.19(s,3H),2.16(s,3H).
<比較例I−1>
比較化合物(1)の合成
ステップ1 化合物(H)の合成
Figure 0006656636
2−ブロモ−6−メチルピリジン10.00g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸10.60g、2M炭酸カリウム水溶液170mlおよびテトラヒドロフラン130mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)6.61g、を加え、アルゴン雰囲気下、65〜75℃で21時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(H)を収率59%で得た。H−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(400MHz/CDCl)δ:8.69(q,1H),7.64−7.71(m,2H),7.17(d,1H),6.97(dd,1H),2.62(s,3H).
ステップ2 比較化合物(1)の合成
Figure 0006656636
酢酸イリジウム0.255g、化合物(H)0.508gおよびジグリム25mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、160℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。これをH−NMRで分析したところ、比較化合物(1)が生成されていることは確認できなかった。
<比較例I−2>
比較化合物(2)の合成
Figure 0006656636
ステップ1 化合物(I)の合成
Figure 0006656636
2−クロロ−3−メチルピリジン24.9g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸40.8g、2M炭酸カリウム水溶液450mlおよびテトラヒドロフラン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)19g、を加え、アルゴン雰囲気下、70〜95℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去した。これをH−NMRで分析したところ、化合物(I)が生成されていることは確認できなかった。このため、比較化合物(2)を合成することはできなかった。
比較例I−1および2より、フッ素置換されたピリジルピリジン配位子のピリジン環の3位または6位がアルキル基で置換されていると、所望とするイリジウム錯体もしくは配位子の合成が困難になることが明らかになった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の熱的安定性および昇華性を確認するため、昇華精製実験について説明する。
<実施例II−1>
(Ir−1)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−1)104mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は99.1%であり、昇華残渣は0.9%と非常に少なかった。マテリアルバランスは100%であった。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<実施例II−2>
(Ir−5)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−5)107mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は98.4%であり、昇華残渣は0.9%と非常に少なかった。マテリアルバランスは99.3%であった。残り0.7%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<実施例II−3>
(Ir−7)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−7)133mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は95.5%であり、昇華残渣は1.3%と非常に少なかった。マテリアルバランスは96.8%であった。残り3.2%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<比較例II−1>
比較化合物(3)の昇華精製
Figure 0006656636
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載のフェイシャル体である比較化合物(3)63.7mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は73.3%であり、昇華残渣は18.7%と非常に多かった。マテリアルバランスは92.0%であった。残り8.0%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<実施例II−4>
(Ir−25)の昇華精製
本発明化合物(Ir−25)202mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は97.1%であり、昇華残渣は0.2%と非常に少なかった。マテリアルバランスは97.3%であった。残り2.7%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<比較例II−2>
比較化合物(4)の昇華精製
Figure 0006656636
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載の比較化合物(4)200mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は0.2%であり、昇華残渣は投入量の99.4%と非常に多かった。マテリアルバランスは99.6%であった。残り0.4%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<比較例II−3>
比較化合物(5)の昇華精製
Figure 0006656636
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載の比較化合物(5)597mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度260〜315℃の条件下で、14時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は31.0%であり、昇華残渣は64.6%と非常に多かった。マテリアルバランスは95.6%であった。残り4.4%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
<実施例II−5>
(Ir−49)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−49)139mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は99.6%であり、昇華残渣は0.4%と非常に少なかった。マテリアルバランスは100%であった。なお昇華精製による分解は観測されなかった。
実施例IIおよび比較例IIの昇華精製の結果を比較すると、フッ素置換されたピリジルピリジンイリジウム錯体に関して、イリジウム−窒素結合を有するピリジン環の5位にアルキル基を導入することにより、昇華性が劇的に改善され、昇華残渣は大きく減少することが明らかになった。
次に本発明に係るイリジウム錯体の溶液中の発光特性について記載する。
<実施例III−1>
本発明化合物(Ir−1)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−1)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、471nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
<実施例III−2>
本発明化合物(Ir−5)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−5)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、472nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。発光スペクトルを図1に示す。
<実施例III−3>
本発明化合物(Ir−7)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−7)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、472nm)を示した。発光量子収率は0.93であった。
<実施例III−4>
本発明化合物(Ir−13)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−13)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:460、484nm)を示した。発光量子収率は0.91であった。
<実施例III−5>
本発明化合物(Ir−19)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−19)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:459、487nm)を示した。発光量子収率は0.89であった。
<実施例III−6>
本発明化合物(Ir−25)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−25)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:450,478nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
<実施例III−7>
本発明化合物(Ir−31)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−31)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:450,479nm)を示した。発光量子収率は0.87であった。
<実施例III−8>
本発明化合物(Ir−37)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−37)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:472、502nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
<実施例III−9>
本発明化合物(Ir−42)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−42)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:453、482nm)を示した。発光量子収率は0.82であった。
<実施例III−10>
本発明化合物(Ir−49)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−49)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:480nm)を示した。発光量子収率は0.77であった。
実施例III−1〜実施例III−10より、本発明のイリジウム錯体はいずれも室温下、THF中で高効率に青色発光を示すことが明らかとなった。
次に本発明に係るイリジウム錯体の薄膜中での発光特性について記載する。
<実施例IV−1>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と1,3-ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(以降、mCPという)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:441,473nm)を示した。発光量子収率は0.43であった。
<実施例IV−2>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(以降、UGH−2という)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.69であった。
<実施例IV−3>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と2,7−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(以降、PPO27という)とを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:451,481nm)を示した。発光量子収率は0.64であった。
<実施例IV−4>
本発明化合物(Ir−5)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−5)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.34であった。
<実施例IV−5>
本発明化合物(Ir−7)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−7)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.31であった。
<実施例IV−6>
本発明化合物(Ir−13)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−13)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:459,487nm)を示した。発光量子収率は0.79であった。
<実施例IV−7>
本発明化合物(Ir−19)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−19)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:455,485nm)を示した。発光量子収率は0.85であった。
<実施例IV−8>
本発明化合物(Ir−37)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−37)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:472,503nm)を示した。発光量子収率は0.92であった。
<実施例IV−9>
本発明化合物(Ir−42)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−42)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:454,482nm)を示した。発光量子収率は0.76であった。発光スペクトルを図2に示す。
<実施例IV−10>
本発明化合物(Ir−49)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−49)とmCPとを、真空度1×10−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:478nm)を示した。発光量子収率は0.75であった。
実施例IV−1〜実施例IV−10より、本発明のイリジウム錯体はいずれも昇華性が高く、真空蒸着による製膜が可能であることが明らかになった。また本発明のイリジウム錯体を含む有機薄膜に励起光を照射することにより、高効率に青色発光を示すことが明らかとなった。
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製した有機電界発光素子の特性について記載する。
本実施例で使用した化合物(E−1)〜(E−9)の構造式を以下に示す。
Figure 0006656636
<実施例V−1>
本発明化合物(Ir−1)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
陽極として、酸化錫インジウム(ITO)を100nmの膜厚で線幅2mmの櫛形にパターニングして成膜された無アルカリガラス基板(厚木ミクロ社製)を透明導電性支持基板として用いた。これを超純水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。次いで、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
上記透明導電性支持基板上に、以下の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、ホスト材料層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層)を1×10−4Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で順次製膜し、次いでマスク交換して線幅2mmの電極層(電子注入層および金属電極層)を順次製膜して、有機電界発光素子を作製した。次いで、素子が大気に曝されないよう窒素雰囲気のグローブボックス内で封止する作業を行った。厚さ3mmのガラス板の中央部に1.5mmの掘り込みを付けた封止ガラス(泉陽商事社製)の周囲にUV硬化性エポキシ樹脂デナタイトR(ナガセケミテック社製)を塗布して蒸着済素子に被せ圧着した後、素子部分をアルミニウム板で覆ってマスキングしシャッター付きUV照射装置で1分間照射後1分間遮蔽のサイクルを5回繰り返して封止した。
第1正孔輸送層(40nm):化合物(E−1)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(20nm):本発明化合物(Ir−1)(質量濃度15%)と化合物(E−2)(質量濃度85%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−3)
電子輸送層(30nm):化合物(E−4)
電子注入層(0.5nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
得られた有機電界発光素子を浜松ホトニクス社製のEL外部量子収率計測用積分球ユニットA10094のサンプルホルダーにセットし、Keithley社製ソースメーター2400を用いて、直流定電圧を印加し、発光させ、その輝度、発光波長およびCIE色度座標を、浜松ホトニクス社製マルチチャンネル分光器PMA−12を用いて測定した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.25)、発光ピーク波長が444,474nmの青色発光が得られ、最高輝度は3900cd/m、外部量子効率は6.0%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−2>
本発明化合物(Ir−25)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−25)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.25)、発光ピーク波長が451,481nmの青色発光が得られ、最高輝度は5500cd/m、外部量子効率は4.8%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−3>
本発明化合物(Ir−37)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−37)を用いて、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.41)、発光ピーク波長が474,504nmの青色発光が得られ、最高輝度は8700cd/m、外部量子効率は9.0%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−4>
本発明化合物(Ir−42)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−42)を用いて、本発明化合物(Ir−42)と化合物(E−2)との重量濃度をそれぞれ10%と90%に変更し、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.15,0.24)、発光ピーク波長が455,483nmの青色発光が得られ、最高輝度は8400cd/m、外部量子効率は5.4%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−5>
本発明化合物(Ir−49)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−49)を用いて、本発明化合物(Ir−49)と化合物(E−2)との重量濃度をそれぞれ10%と90%に変更し、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.28)、発光ピーク波長が480nmの青色発光が得られ、最高輝度は3400cd/m、外部量子効率は6.8%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−6>
本発明化合物(Ir−5)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1の発光素子を以下のような構成に変更し、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。
正孔注入層(10nm):化合物(E−6)
第1正孔輸送層(40nm):化合物(E−1)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(30nm):本発明化合物(Ir−5)(質量濃度20%)と化合物(E−2)(質量濃度80%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−3)
電子輸送層(30nm):化合物(E−4)
電子注入層(1nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.28)、発光ピーク波長が444,473nmの青色発光が得られ、最高輝度は4300cd/m、外部量子効率は3.8%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−7>
本発明化合物(Ir−7)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−7)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.31)、発光ピーク波長が444,474nmの青色発光が得られ、最高輝度は3800cd/m、外部量子効率は4.1%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−8>
本発明化合物(Ir−13)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−13)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.30)、発光ピーク波長が459,487nmの青色発光が得られ、最高輝度は27,000cd/m、外部量子効率は7.9%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−9>
本発明化合物(Ir−19)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−19)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.29)、発光ピーク波長が457,486nmの青色発光が得られ、最高輝度は17,600cd/m、外部量子効率は8.7%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。
<実施例V−10>
本発明化合物(Ir−1)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1の発光素子を以下のような構成に変更し、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。
正孔注入層(10nm):化合物(E−6)
第1正孔輸送層(30nm):化合物(E−7)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(30nm):本発明化合物(Ir−1)(質量濃度15%)と化合物(E−8)(質量濃度85%)とを共蒸着
電子輸送層(30nm):化合物(E−9)
電子注入層(1nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.26)、発光ピーク波長が451,482nmの青色発光が得られ、最高輝度は5600cd/m、外部量子効率は17.2%(100cd/mのとき)の発光特性が得られた。発光スペクトルを図3に示す。
以上述べてきたように、本発明に係わる一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、熱的安定性および昇華性に特に優れ、青色領域に高い発光量子収率を示す新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する有機発光素子を作ることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、青色領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の分野に好適である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表され、
    モノアニオン性2座配位子が、一般式(2)〜(5)のいずれかで表されることを特徴とするイリジウム錯体。
    Figure 0006656636
    (一般式(1)中、Nは窒素原子を表す。Fはフッ素原子を表す。Irはイリジウムを表す。R はアルキル基を表す。m=2または3であり、n=0または1であり、かつ、m+n=3である。Lはモノアニオン性2座配位子を表す。)
    Figure 0006656636
    Figure 0006656636
    Figure 0006656636
    Figure 0006656636
    (一般式(2)〜(5)中、Nは窒素原子を表す。Oは酸素原子を表す。R 〜R 23 は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数1〜30のヘテロ環基、シアノ基、トリフルオロメチル基、または、ハロゲン原子を表す。*はイリジウムとの結合部位を表す。)
  2. がメチル基、イソプロピル基、または、ノルマルペンチル基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム錯体。
  3. 下式(6)〜(15)のいずれかで表されることを特徴とするイリジウム錯体。
    Figure 0006656636
  4. 請求項1〜のいずれか1つに記載のイリジウム錯体を含むことを特徴とする発光材料。
  5. 請求項に記載の発光材料を含むことを特徴とする有機発光素子。
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