JP3986427B2 - イリジウム化合物の異性化方法 - Google Patents

イリジウム化合物の異性化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配位子の配座による異性体が存在するイリジウム化合物類の異性化方法に関する。詳しくは、本発明は、有機電界発光素子の発光材料等として有用なオルソメタル化イリジウム化合物の異性化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光素子(以下、有機EL素子という。)は、低電圧で高輝度の発光を得ることが出来る為、有望な表示素子として注目されている。このような有機EL素子の発光材料として各種の物質が開発されてきており、なかでもオルソメタル化イリジウム化合物は蛍光発光に比して高い量子効率を特徴とする三重項励起状態からの燐光を発することなどから注目を集めている。(例えば、非特許文献1参照。)。
このようなオルソメタル化イリジウム化合物の合成法は、例えば以下に示す如く、これまでに種々報告されている。
(1)銀塩及び水の存在下に溶媒量の配位子と塩化イリジウム(III)水和物を高温で反応させる方法(例えば、非特許文献2参照。)
(2)配位子とイリジウム(III)アセチルアセトナートをグリセロール中高温で反応させる方法(例えば、非特許文献3参照。)
(3)配位子と塩化イリジウム(III)水和物を原料としてオルソメタル化イリジウム複核錯体を合成し、次いで塩基の存在下にアセチルアセトンを反応させてアセチルアセトナート錯体に誘導し、これをグリセロール中で配位子と高温で反応させてオルソメタル化イリジウム錯体を合成する方法(例えば、非特許文献4、特許文献1等参照。)
(4)このオルソメタル化イリジウム複核錯体にグリセロール中で配位子を高温で反応させてオルソメタル化イリジウム錯体を直接合成する方法(例えば、非特許文献5参照。)
【0003】
ところで、オルソメタル化イリジウム化合物には、下記のように配位子の配座による異性体[メリディオナル(meridional)体及びフェイシャル(facial)体]が存在し、例えばトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを例にとると、メリディオナル体、及びフェイシャル体は以下のような構造になる。
【化2】
Figure 0003986427
そこで、これら異性体の種類によって発光特性等の物性が異なることが議論されている(例えば、非特許文献6参照。)。
上記の合成法によって得られるオルソメタル化イリジウム化合物にはフェイシャル体であることが示唆されているものもあるが(非特許文献2,3,5参照。)、現在までに報告されている方法等で得られるオルソメタル化イリジウム化合物は、条件によってはメリディオナル体及びフェイシャル体の異性体混合物で得られることの方がむしろ多く、品質管理の面からも、また、より高い精度を要求される用途への使用を考える上からも、これら異性体混合物中の一方の異性体の比率を高め、より単品に近い状態のものとすることが望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−105055号公報
【非特許文献1】
Applied Physics Letters, 75,4(1999)
【非特許文献2】
Chem.Commun.,1494(2001)(V.V.Grushin.,et.al)
【非特許文献3】
Inorg.Chem.,30,1685(1991) (K.Dedeian , et.al.)
【非特許文献4】
ノノヤマ著、ブルテンオブザケミカルソサエティーオブジャパン、 第47巻3号、1974年、第767−768頁(M. Nonoyama, B ull.Chem.Soc.Jpn.,1974,47(3),767-768.)
【非特許文献5】
Inorg.Chem.,33,545(1994) (M.G.Colombo ,et.al)
【非特許文献6】
第136回 フォトポリマー懇話会 第123回有機エレクトロニクス研 究会 合同講演会 II-1 (2001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、オルソメタル化イリジウム化合物異性体混合物中の、メリディオナル体を異性化して、これをフェイシャル体に変換することにより、フェイシャル体の存在比率を高める方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、オルソメタル化イリジウム化合物が異性体混合物として含有される溶液又は懸濁液に光を照射することにより、該異性体混合物中のメリディオナル体をフェイシャル体に変換し、フェイシャル体の存在比率を所望の割合に高め得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【化3】
Figure 0003986427
(式中、環Aは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示し、環Bは置換基を有していてもよい含窒素アリール基を示す。また環Aと環Bとが結合して縮合環を形成してもよい。)
で表されるオルソメタル化イリジウム化合物が、メリディオナル体及びフェイシャル体の異性体混合物として含有される溶液又は懸濁液、或いは該オルソメタル化イリジウム化合物がメリディオナル体として含有される溶液又は懸濁液に光を照射して、該異性体混合物溶液又は懸濁液中のメリディオナル体、或いはメリディオナル体溶液又は懸濁液中のメリディオナル体をフェイシャル体に異性化させ、フェイシャル体の存在比率を高めることを特徴とするオルソメタル化イリジウム化合物の異性化方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る上記一般式(1)で表されるオルソメタル化イリジウム化合物において、環Aで示される置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基としては、例えば、炭素原子でイリジウム原子に結合する炭素数6〜14のアリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基等の基が挙げられる。
アリール基としては、例えば炭素数6〜14の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0009】
ヘテロアリール基としては、異種原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5員環或いは6員環の単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族複素環基が挙げられ、その具体例としては例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0010】
置換アリール基及び置換ヘテロアリール基としては、前記アリール基及びヘテロアリール基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された基が挙げられる。
これら置換基としてはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等や、前記アリール基又はヘテロアリール基の2個の水素原子が置換されたアルキレンジオキシ基等が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよく、例えば炭素数1〜15、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては例えば炭素数2〜5のアルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられる。
【0011】
アリール基としては例えば炭素数6〜14の単環式、多環式又は縮合環式のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては異種原子として1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、例えば5〜6員環の単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族複素環基が挙げられ、その具体例としては、例えばピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0012】
アルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく例えば炭素数1〜6のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等が挙げられる。
アシル基としては、直鎖状でも分岐状又は環状でもよく例えば炭素数1〜7のカルボン酸由来のアシル基が挙げられ、具体的にはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ピバロイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく例えば炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0013】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、前述したアルキル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基等が挙げられる。
アルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基等が挙げられる。
【0014】
また、一般式(1)において、環Bで示される含窒素アリール基としては、例えば、窒素原子でイリジウム原子に配位するヘテロ原子を含んでいても良い、好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜10の含窒素アリール基が挙げられ、更に縮合環を形成しても良い。具体例としては、例えばピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、ピラゾリル基等が挙げられる。
これら含窒素アリール基は環Aにおいて例示されたような置換基を有してもよい。
【0015】
本発明で用いられるオルソメタル化イリジウム化合物の、より好ましい化合物の例としては、例えば下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
【化4】
Figure 0003986427
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基を表し、環Aは前記と同じ。また、環Aは、該環Aと結合しているピリジル基と互いに結合して縮合環を形成してもよい。)
【0016】
一般式(2)において、R、R、R及びRで表される、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基の定義は、前記環Aで示される置換アリール基及び置換ヘテロアリール基の置換基のそれと同じであり、また、具体例も前記環Aで示される置換アリール基及び置換ヘテロアリール基の置換基のところで挙げたものと同じものが挙げられる。
【0017】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下のようなものが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【化5】
Figure 0003986427
【0018】
光照射は、光による反応を効率的に行うため、溶液又は懸濁液の状態で行われる。光照射が均一に行われるのであれば特に濃度に制限はないが、通常1mol/L以下の濃度で、好ましくは0.01mol/L以下の濃度で行われるのが望ましい。
溶媒は対象とするオルソメタル化イリジウム化合物を多少なりとも溶解し得るもので、且つこれと反応するようなことの無いものが使用される。具体的にはn−ヘキサン、n−ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、ピリジン、ピコリン等の含窒素芳香族化合物、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド等、種々の有機溶媒が挙げられるが、好ましくはオルソメタル化イリジウム化合物の溶解性が良い塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ピリジン等が挙げられ、より好ましくは塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0019】
照射光としては、可視光〜可視光よりも短波長の光が挙げられ、例えば太陽光でも異性化反応は進行するが、照射時間、変換効率等を考慮すると可視光よりも短波長の光が好ましく、例えば紫外線等がより好ましい。
従って、光源としては、例えば白熱球、水銀灯、キセノンランプ光源、重水素ランプ、UVランプ、窒素レーザ、色素レーザ、青色発光ダイオードレーザ、エキシマレーザ等が挙げられ、白熱球、キセノンランプ、水銀灯、UVランプ等がより好ましい。
照射方法は、いかなる照射方法でも良く、反応容器の外部から照射してもよいが、可能であれば反応容器内部から、即ち、溶液(又は懸濁液)中に光源を置いて照射するのがより好ましい。
【0020】
光照射を行う際に用いられる反応容器は光照射が可能な容器であればどのような容器でも良いが、ガラス容器、例えばパイレックス(登録商標)反応容器、もしくはUV透過性が高い石英反応装置が特に好ましい。
【0021】
本発明の方法では反応系内に水を加えることも好ましい方法であり、溶媒によっては、水を加えることにより異性化反応が促進される。加える水の量は溶媒によっても異なるが、有機溶媒に対し、水0.01wt%〜500wt%の範囲、好ましくは1wt%〜100wt%の範囲である。
【0022】
光照射時の条件については、温度条件としては光照射時に溶液或いは懸濁液を保つことができる温度であれば特に制限は無いが、通常、用いる溶媒の凝固点から溶媒の沸点までの間で、好ましくは−75℃〜溶媒の沸点、より好ましくは−5℃〜50℃である。また、照射時間は溶液又は懸濁液中のオルソメタル化イリジウム化合物の濃度によるが、通常0.5分〜7日間、好ましくは1分〜12時間、より好ましくは5分〜5時間である。
なお、溶媒は脱気して用いることが好ましい。
圧力条件については特に制限はないが、通常は、常圧下で行われる。
また、本発明の異性化方法はオルソメタル化イリジウム化合物を合成する反応の反応中或いは反応終了後に、該オルソメタル化イリジウム化合物を単離することなく行うこともできる。
例えば、オルソメタル化イリジウム化合物として、トリス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン)イリジウムを合成する場合を例にして説明すると以下のようになる。
即ち、(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)クロライドダイマー[Ir(COD)Cl]、2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン及びトリフルオロメタンスルホン酸銀の混合物を2−エトキシエタノールを溶媒として、例えば水銀灯を光源とする光を照射しながら加熱反応を行う、或いは、通常の方法により反応を行い、反応終了後、反応系内に生成したトリス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)フェニルピリジン)イリジウムを含む反応液に、水銀灯を光源とする光を照射する等の方法によっても行うことができる。
【0023】
光照射後、溶媒を除去或いは除去せずに、また、水分を含む場合には必要に応じて脱水処理を行ない、再結晶、再沈殿、溶媒抽出、ろ過、昇華、クロマトグラフィー等の通常用いられる精製方法により異性化反応物を得ることができる。これら精製方法の中でも、ろ過、クロマトグラフィー、再結晶、昇華等の操作が好ましい。なお、これらの精製操作は複数回行ってもよく、また適宜組み合わせて行ってもよい。
光照射及び光照射後の後処理は大気圧下でも、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下でも、また、減圧、真空下でも行うことができるが、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下がより好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、facはフェイシャル体を、また、merはメリディオナル体をそれぞれ示す。
【0025】
実施例1 トリス(2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン)イリジウムのメリディオナル体(以下、mer−Ir(Fppy)とする。)及びフェイシャル体(以下、fac−Ir(Fppy)とする。)混合物の異性化によるfac−Ir(Fppy)の製造
【化6】
Figure 0003986427
窒素雰囲気下、Ir(Fppy) 0.4203g(HPLCによる異性体比はfac:mer=4:6)を塩化メチレン270g及び水1gの混合液に溶解し、25℃で紫外光(セン特殊光源(株) キュアラブ HLR−400D 高圧水銀灯 400W)を照射した。紫外光の輻射熱で溶媒の塩化メチレンが還流状態になった。3時間照射を続け、室温まで放冷した後、硫酸マグネシウムを加えて水を除き、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン)により精製した。得られた画分にn−ヘプタンを加えて塩化メチレンを留去し、結晶が析出した時点で室温下に放置した。析出した結晶をろ取し、減圧下で乾燥を行い、0.3026gのfac−Ir(Fppy)(fac体純度99.1%)を得た。収率72.0%。
図1に異性化反応を経時的に追跡した結果を示す。
図1中、−◆−はフェイシャル体を示し、−●−はメリディオナル体を示す。
【0026】
また、光照射前及び光照射180分後における、反応系内に存在するfac−Ir(Fppy)及びmer−Ir(Fppy)の存在比をHPLCチャートで示す(図2)。
図2の(a)は光照射前のHPLCチャート、(b)は光照射180分後のHPLCチャートである。
【0027】
実施例2〜13
溶媒を種々変更し、下記の設定条件にて実施例1と同様にして光照射及び後処理を行った結果を表1に示す。なお、fac体の比率はHPLCで測定した。
設定条件:紫外光照射25分、試料1mg、溶媒約2g、反応温度0℃
(紫外光照射前のfac体比率は40%)
【0028】
【表1】
Figure 0003986427
【0029】
実施例14
HPLC純度95.7%のmer−Ir(Fppy)を用い、実施例1に準じて異性化反応を行った。
(但し、試料:4mg、溶媒:THF/水(2/1)40ml)
図3に異性化反応を経時的に追跡した結果を示す。
図3中、−◆−はフェイシャル体を示し、−●−はメリディオナル体を示す。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、オルソメタル化イリジウム化合物が異性体混合物として含有される溶液又は懸濁液、或いはオルソメタル化イリジウム化合物がメリディオナル体として存在する溶液又は懸濁液に光を照射することにより、該異性体混合物溶液又は懸濁液中の、或いはメリディオナル体溶液又は懸濁液中のメリディオナル体をフェイシャル体に変換して、フェイシャル体の存在比率を高める方法を提供するものであり、本発明の方法によれば、有機溶媒の種類及び水の添加量並びに光照射時間等を適宜選択することにより殆ど100%の変換率でメリディオナル体をフェイシャル体に変換することが出来る。
従って、品質管理の面からも、また、より高い精度を要求される用途への使用を考える上からも、本発明の方法が奏する効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた、異性化反応を経時的に追跡した結果を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1で得られた、光照射前及び光照射180分後における、反応系内に存在するフェイシャル体及びメリディオナル体の存在比を示すHPLCチャートで、(a)は光照射前のHPLCチャート、(b)は光照射180分後のHPLCチャートである。
【図3】図3は、実施例14で得られた、異性化反応を経時的に追跡した結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003986427
    (式中、環Aは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示し、環Bは置換基を有していてもよい含窒素アリール基を示す。また環Aと環Bとが結合して縮合環を形成してもよい。)
    で表されるオルソメタル化イリジウム化合物が、メリディオナル(meridional)体及びフェイシャル(facial)体の異性体混合物として含有される溶液又は懸濁液、或いは該オルソメタル化イリジウム化合物がメリディオナル体として含有される溶液又は懸濁液に光を照射して、該異性体混合物溶液又は懸濁液中のメリディオナル体、或いはメリディオナル体溶液又は懸濁液中のメリディオナル体をフェイシャル体に異性化させ、フェイシャル体の存在比率を高めることを特徴とするオルソメタル化イリジウム化合物の異性化方法。
  2. オルソメタル化イリジウム化合物の溶液又は懸濁液が塩化メチレン又はテトラヒドロフランの溶液又は懸濁液である請求項1に記載の異性化方法。
  3. 異性体混合物の溶液又は懸濁液中或いはメリディオナル体の溶液又は懸濁液中に更に水を存在させて光照射を行う、請求項1又は2に記載の異性化方法。
  4. 可視光よりも短波長の光を含む光を照射する請求項1〜3の何れかに記載の異性化方法。
  5. 紫外線を照射する請求項4に記載の異性化方法。
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