JP6731288B2 - 切換弁および薪割装置 - Google Patents

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Description

この発明は、切換弁および薪割装置に関する。
薪割装置には、カッタヘッドを油圧式のシリンダによって駆動して薪を破砕するものがある。このような薪割装置は、油圧ポンプからシリンダへ圧油を供給するが、シリンダの伸縮を作業者の手動操作行えるように、油圧ポンプとシリンダとの間に手動操作によって切換可能な3位置の切換弁を備えている。
切換弁は、ハウジング内に軸方向へ移行可能なスプールと、スプールを操作するためのレバーと、スプールを中立位置へ位置決めするばねとを備えている。そして、切換弁は、中立位置では、油圧ポンプをタンクへ連通させてアンロードするとともに、シリンダ内の伸側の作動室と圧側の作動室を閉鎖して、シリンダを停止させる。
スプールが中立位置から一方側へ移動させられると、切換弁は、圧側の作動室を油圧ポンプに連通する一方、伸側の作動室をタンクに連通させて、シリンダを伸長作動させる。すると、カッタヘッドは、シリンダによって薪側へ移動して薪が破砕される。
反対に、スプールが中立位置から他方側へ移動させられると、切換弁は、伸側の作動室を油圧ポンプに連通する一方、圧側の作動室をタンクに連通して、シリンダを収縮作動させる。すると、カッタヘッドは、破砕した薪から遠ざかる方向へ移動して次の薪を薪割装置へ設置するための空隙を設ける。
このように、スプールを手動操作して切換弁を順次切換えて薪を連続破砕できるが、カッタヘッドを薪から遠ざける場合に、作業者が絶えずばねの附勢力に抗してレバーを操作し、スプールを他方側へ押し続けるのでは作業効率が悪く、作業者の負担も大きい。
そこで、薪割装置には、デテント機構を採用してスプールを他方側の位置で保持できるようにした切換弁が採用される場合がある。このような切換弁は、デテント機構でシリンダを収縮させる位置へスプールを保持するので、シリンダを収縮させる間中に作業者がレバーを押し続ける必要がなく、また、シリンダが最収縮すると油圧ポンプの圧力の利用でデテント機構によるスプールの保持を解除するようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
ところが、前述の切換弁では、デテント機構によるスプールの保持を解除するための特別な機構が必要であり、装置が複雑化してしまう。そこで、ばねでスプールを中立位置へ戻す構造と、スプール自体にパイロット圧を作用させてデテント機構によるスプールの保持を解除する構造(たとえば、特許文献2参照)とを併用する構造が考えられる。
特開平6−272788号公報 特開2004−347009号公報
このようにすると、スプールにパイロット圧を作用させてデテント機構の解除ができるとともに、スプールを中立位置へ復帰させえるが、このような構造を採用すると、高圧のパイロット圧がスプールを中立位置へ戻すまで継続して作用し続けるため、附勢するばねの附勢力と相まって、スプールが勢いよく中立位置へ戻される。
このようにデテント機構が解除されてスプールが中立位置へ復帰する際に、スプールが勢いよく中立位置へ戻されると、スプールが中立位置を乗り越えて戻ってしまう。これを防止するにはばねの附勢力を大きくしておく必要があるから、スプールの位置を切換えるレバーの操作に大きな力を要し操作性の悪化を招いてしまう。
また、デテント機構の解除時におけるスプールの中立位置への移動速度が速くなるので、スプール周りのシール条件が悪化して、切換弁のシールが難しくなる問題もある。この切換弁の場合、手動でスプールを中立位置からハウジングから引き出す操作を行うが、手動によるスプールの移動速度に比較してばねによるスプールの中立位置への移動速度は速い。スプールとスプールを収容するハウジングとの間をシールする場合、スプールのハウジングに対する移動速度が速くなればなるほどスプール外周に付着する油膜が厚くなる。したがって、手動操作時にハウジング内へスプールが引き入れられる際の油膜は、ばねでハウジング外へスプールが戻される際の油膜よりも薄いので、ハウジング内の油が外へ持ち出されてしまう現象が生じ、シール条件は良好とは言い難い。
さらに、ばねの附勢力が大きいために、デテント機構の解除時にスプールの中立位置への移動速度が速く、レバーがスプールとともに勢いよく振られるため、作業者にレバーが接触すると危険もある。
そこで、本発明は、前記した点を改善するために創案されたものであって、軽快な操作性と良好なシール条件を実現するとともに安全な切換弁の提供と前記切換弁を搭載した薪割装置の提供を目的とする。
前記した目的を解決するために、本発明の切換弁は、ハウジング内に軸方向移動自在に挿入されるスプールと、スプールを附勢して中立位置へ位置決めするばねと、ばねの附勢力に抗してスプールを停止位置にて保持する保持装置と、ポンプ圧をスプールへ作用させて保持装置による保持を解除してスプールを停止位置から中立位置へ戻す圧力室に絞り部を有してポンプ圧を導くパイロット通路とを備えている。このように構成された切換弁では、スプールが停止位置から中立位置へ復帰する際に、容積が拡大する圧力室への液体の供給が絞り部によって抑制されて、スプールの移動とともに圧力室内を減圧できる。よって、スプールの中立位置への移動が進むにつれて、圧力室が減圧されて圧力室内の圧力によるスプールを中立位置へ戻す方向へ押す力を徐々に小さくできる。
また、請求項2に記載の切換弁では、前記パイロット通路は、前記スプールに設けられている。また、請求項に記載の切換弁では、パイロット通路に絞り部に並列して圧力室から排出される液体の流れのみを許容するチェック弁を設けている。このように切換弁が構成されると、作業者のスプールの停止位置側への操作力を軽減でき、作業負担が軽くなる。
さらに、請求項に記載の切換弁では、パイロット通路に圧力室へ向かう液体の流れに対して絞り部を有効とし、圧力室から排出される液体の流れに対して絞り部に並列される通路を有効とするシャトル弁を設けている。このように切換弁が構成されると、作業者のスプールの停止位置側への操作力を軽減でき、作業負担が軽くなる。
また、請求項に記載の切換弁では、スプールが中立位置にある場合、圧力室がタンクに通じてアンロードされるようになっている。スプールを中立位置から停止位置へ移動させる際に、スプールが圧力室を圧縮するが、圧力室内は移動前にタンク圧となっていて圧縮されても高圧になり難い。したがって、スプールの移動の際に、圧力室の圧力によってスプールを押し返す力は十分小さくなって、作業者のスプールの切換時における作業負担が軽減される。
さらに、請求項に記載の切換弁では、スプールの外径が他部よりも小径な小径部を有しており、ハウジングと小径部との間で圧力室が形成され、パイロット通路が圧力室に対向する小径部から開口するようになっている。このように切換弁が構成されると、パイロット通路の開口の縁に特別な加工をせずともスプールの周囲を封止するシールを攻撃しないので、加工工数の削減とシール性を向上できる。
さらに、請求項に記載の切換弁では、パイロット通路がスプールの外周から開口して径方向へ設けられる径方向孔を有し、前記径方向孔に絞り部が設けられる。このように切換弁が構成されると、絞り部の長さを短くでき加工も容易となる。
また、請求項の薪割装置は、内部に二つの作動室を有して伸長時にカッタヘッドを薪へ近づけ収縮時にカッタヘッドを薪から遠ざけるように駆動するシリンダと、シリンダへ液体を供給するポンプと、タンクと、切換弁とを備え、切換弁がスプールが中立位置にあるとポンプをタンクへ連通するとともに各作動室を閉鎖し、スプールが停止位置にあるとシリンダを収縮させ、ポンプと圧力室を連通させるようになっている。このような薪割装置にあっては、切換弁の操作でスプールを停止位置にすれば保持装置によって保持されて、シリンダは最収縮するまで収縮作動を続けて、最収縮するとスプールが中立位置へ復帰する。よって、作業者は、シリンダの収縮作動中に、両手を使って新しい薪を用意して薪割装置にセットできるようになるので、効率的に薪割作業を行える。
よって、本発明の切換弁によれば、軽快な操作性と良好なシール条件を実現するとともに安全性が向上し、また、薪割装置によれば効率的に薪割作業を行えるとともに操作性を向上できる。
一実施の形態における切換弁を用いた薪割装置の側面図である。 スプールを中立位置に配置した状態における一実施の形態における切換弁の断面図である。 ベッドを起こした状態における一実施の形態における切換弁を用いた薪割装置の側面図である。 スプールを停止位置に配置した状態における一実施の形態の切換弁の断面図である。 スプールを停止位置とは逆側に配置した状態における一実施の形態の切換弁の断面図である。 薪割装置における油圧回路図である。 パイロット通路をハウジングに設けた切換弁の断面図である。 チェック弁を設けた切換弁の断面図である。 シャトル弁を設けた切換弁の断面図である。
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における切換弁Vは、図1に示すように、薪割装置Wに適用されており、薪割装置WのカッタヘッドHを駆動するシリンダCの駆動の制御に利用されている。
具体的には、切換弁Vは、図2に示すように、ハウジング1と、ハウジング1内に軸方向移動自在に挿入されるスプール2と、スプール2を附勢して中立位置へ位置決めするばね3と、ばね3の附勢力に抗してスプール2を停止位置にて保持する保持装置4と、スプール2を中立位置へ戻す方向へ圧力を作用させる圧力室Rへ絞り部を有してポンプ圧を導くパイロット通路5とを備えて構成されている。
また、本実施の形態の切換弁Vが適用される薪割装置Wは、本例では、図1に示すように、履帯を回転駆動して走行可能なクローラ100と、クローラ100に設けた架台101と、架台101に対してヒンジ連結されて架台101に対して起伏可能に設けたベッド102と、ベッド102の一端側に配置されて取り付けられたテレスコピック型のシリンダCと、シリンダCによってベッド102の長手方向に沿って往復動されるカッタヘッドHと、ベッド102の他端に設けたストッパ103と、シリンダCへ圧油を供給するポンプPと、作動油を貯留するタンクTと、シリンダCとポンプPおよびタンクTとの間に設けた切換弁Vとを備えて構成されている。
この薪割装置Wは、図1に示すように、ベッド102を水平に保持できるととともに、図3に示すように、ベッド102を水平姿勢から矢印方向へ回転して垂直に起して保持できるようになっている。そして、この薪割装置Wで薪を破砕する際、ベッド102を水平姿勢とする場合では、図1の破線で示すように、薪104の端部をストッパ103に当接させて薪104をベッド102に載置し、カッタヘッドHを駆動して薪104へ接近させる。すると、薪104は、ストッパ103とカッタヘッドHに挟み込まれ、さらに、カッタヘッドHをストッパ103側へ駆動すると薪104にせん断力が作用して破砕される。他方、薪割装置Wで薪を破砕する際、ベッド102を垂直姿勢とする場合では、図3の破線で示すように、薪104の端部をストッパ103に載置し、カッタヘッドHを駆動して薪104へ接近させる。すると、薪104は、ストッパ103とカッタヘッドHに挟み込まれ、さらに、カッタヘッドHをストッパ103側へ駆動すると薪104にせん断力が作用して破砕される。このように、本例の薪割装置Wでは、ベッド102を水平姿勢とする伏した状態でも、ベッド102を垂直姿勢とする起こした状態でも、薪104を破砕できる。なお、本例では、薪割装置Wの作動媒体を作動油としているが、シリンダCの駆動に利用できれば作動油以外の液体を用いてもよい。
つづいて、切換弁Vについて詳細に説明する。ハウジング1は、スプール2が挿入される弁孔10と、外方から開口して弁孔10に通じるタンクポート11と、同じく外方から開口して弁孔10に通じるポンプポート12と、リリーフ弁6が挿入されるリリーフ弁孔13と、外方から弁孔10に通じるAポート14とBポート15とを備えている。
弁孔10は、本例では、図2に示すように、ハウジング1を左右に貫いており、途中の径が大径とされて形成される七つの環状凹部10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hと二つのシール収容凹部10a,10iを備えている。タンクポート11は、直接あるいは連通路11aを介して図2中で左方から一番目の環状凹部10b、四番目の環状凹部10eおよび七番目の環状凹部10hに連通されている。具体的には、タンクポート11は、環状凹部10eに開口し、連通路11aは、環状凹部10bから開口して環状凹部10hに通じ、途中がタンクポート11に接続されている。
また、ポンプポート12は、途中で分岐して図2中で左方から三番目の環状凹部10dと五番目の環状凹部10fに開口している。また、Aポート14は、図2中で左方から六番目の環状凹部10gに開口しており、Bポート15は、図2中で左方から二番目の環状凹部10cに開口している。
また、リリーフ弁孔13は、ポンプポート12に接続されて図2中一番目の環状凹部10bに開口する迂回路16の途中に設けられている。リリーフ弁6は、リリーフ弁孔13内に設けた環状の弁座61と、リリーフ弁孔13内に軸方向移動自在に挿入されて弁座61に対して離着座するポペット62と、ポペット62を弁座61へ向けて附勢する弁ばね63とを備えて構成されている。したがって、このリリーフ弁6は、ポンプポート12側からの圧力の作用によってポペット62を弁座61から離間する方向へ押す力が弁ばね63の附勢力に打ち勝つと開弁してポンプポート12をタンクポート11へ連通する。
スプール2は、本例では、円柱状とされてハウジング1の弁孔10内に軸方向移動自在に挿入されており、弁孔10の環状凹部以外の内周に摺接する外径とされて他所よりも大径な五つのランド部2a,2b,2c,2d,2eを備えている。
さらに、スプール2の図2中の左方から一番目のランド部2aの左側には、ハウジング1との間に圧力室Rを形成する小径部2fが設けられており、小径部2fの外径は、小径部2fよりも図2中左端側の左端部2gの外径よりも小径とされている。スプール2におけるランド部2a,2b間、ランド部2b,2c間、ランド部2c,2d間、ランド部2d,2e間の外径は、ランド部2a,2b,2c,2d,2eよりも小径とされている。
さらに、スプール2は、スプール2の図2中左方から二番目のランド部2bと三番目のランド部2cとの間から小径部2fへ通じるパイロット通路5が設けられている。パイロット通路5は、途中に絞り部としてオリフィス5gを備えており、ランド部2b,2c間の空間を圧力室Rへ連通している。具体的には、パイロット通路5は、スプール2の図2中左端から軸方向へ沿って開口する軸方向孔5aと、スプール2のランド部2b,2c間の部位の側方から径方向に沿って開口する径方向孔5bと、小径部2fから径方向へ沿って開口する径方向孔5cを備えている。そして、径方向孔5bの途中の内径を小径にしてオリフィス5gが設けられている。このように径方向孔5bに絞り部であるオリフィス5gを設けるようにすれば、オリフィスの長さを短くでき、オリフィスを設置する加工が容易となる。
また、軸方向孔5aの左端側の内周には、螺子溝5fが設けられており、螺子溝5fには、保持装置4が螺着されており、軸方向孔5aの左端が閉塞されている。保持装置4の螺着によっても径方向孔5cが閉塞されないように配慮されており、パイロット通路5によるランド部2b,2c間の空間と圧力室Rとの連通が確保されている。
このように構成されたスプール2は、弁孔10内に挿入されるとランド部2a,2b,2c,2d,2eが弁孔10の環状凹部以外の部位に摺接する。また、スプール2の左端側は、ハウジング1の図2中左方のシール収容凹部10aに装着されたシール筒18内に摺動自在に挿入されている。シール筒18は、内周と外周にそれぞれスプール2の外周に摺接するOリング18aと弁孔10の内周面に密着するOリング18bを備えている。また、スプール2の右端側は、ハウジング1の図2中右方のシール収容凹部10iに装着された環状のシール部材17内に摺動自在に挿入されている。これらシール筒18とシール部材17によって、スプール2とハウジング1との間がシールされ、弁孔10内から作動油の漏洩が防止されている。
また、スプール2の図2中で右端は、弁孔10からハウジング外へ突出しており、スプール2を軸方向へ移動させる操作を容易とするレバー7にヒンジ連結されている。レバー7は、操作桿7aと、操作桿7aの上端に設けた持手7bと、操作桿7aの下端とハウジング1の左端とにヒンジ連結されたリンク7cとを備えており、操作桿7aの下端の近傍がスプール2にヒンジ連結されている。そのため、レバー7を図2中左方へ倒すように押し込むと、スプール2をハウジング1に対して図2中左方側へ移動して図4に示す位置へ移動させられる。反対にレバー7を図2中右方へ倒すように引くと、スプール2をハウジング1に対して図2中右方側へ移動して図5に示す位置へ移動させられる。このように、スプール2は、レバー7の操作によってハウジング1内で軸方向に移動できるので、手動操作でスプール2の位置の切換ができる。
なお、スプール2がレバー7の押込みによって図2中左方へ移動限界まで移動しても、ランド部2aの左端がシール筒18の右端には接触せず、圧力室Rの容積が無くならないように配慮されている。
スプール2が図2中左方へ移動限界まで移動して小径部2fがシール筒18内に侵入しても、小径部2fの外径はシール筒18の内径よりも小径とされている。また、Oリング18aの設置位置も小径部2fに開口する径方向孔5cに対向しない位置に設定されている。よって、圧力室Rは常時パイロット通路5に連通状態に維持されている。
保持装置4は、スプール2の軸方向孔5aに螺着される取付部材21と、内周に環状溝22aを有して取付部材21の外周に配置される筒部材22と、取付部材21内に収容されて環状溝22a内に出入り可能な四つの小径球23と、取付部材21内に収容される保持用ばね24によって附勢されて各小径球23を互いが離間するように押しつける大径球25とを備えて構成されている。
取付部材21は、スプール2に螺着される軸部21aと、軸部21aより大径な筒部21bとを備えており、筒部21b内には保持用ばね24が収容されている。筒部21bには、本例では、放射状に設けた四つの孔21cが設けられており、この孔21cには、それぞれ、小径球23が収容されている。
筒部材22は、ハウジング1の図2中左端に取り付けられる筒状のケース9に固定され、取付部材21は、筒部材22内に軸方向移動自在に挿入されている。よって、取付部材21は、スプール2の軸方向への移動に伴って筒部材22に対して軸方向へ移動できる。
また、筒部材22の内周に設けた環状溝22aの幅は、小径球23の直径よりも少し短く、小径球23は、一部分を環状溝22a内に侵入させ得る。大径球25は、小径球23よりも取付部材21側に配置されていて全ての小径球23に接している。また、大径球25の直径は、小径球23の直径よりも大径とされており、全部の小径球23が環状溝22aに最大限に侵入しても大径球25が各小径球23の間を通り抜けて小径球23よりも図2中左側に移動しないようになっている。また、保持用ばね24は、取付部材21の筒部21b内で圧縮状態で収容されており、大径球25は常に保持用ばね24の附勢力によって各小径球23を互いに離間させる方向である取付部材21の径方向であって外周側へ向う方向へ押しつけている。
保持装置4は、以上のように構成されており、レバー7を左方へ倒してスプール2を左方へ移動させると、図4に示すように、スプール2の移動に伴って取付部材21が筒部材22内で移動する。そして、取付部材21の孔21cが筒部材22の環状溝22aに対向すると、保持用ばね24により附勢された小径球23が環状溝22a内に侵入し、保持装置4は、スプール2を移動できないように保持する。このときのスプール2のハウジング1に対する位置、つまり、図4に示したスプール2の位置が停止位置とされる。この保持状態からスプール2に図2中右方へ押す力が作用し、小径球23が環状溝22aの周縁から力を受けて大径球25を押圧して保持用ばね24が押し縮められると、小径球23が環状溝22aから抜け出てスプール2の保持状態が解除される。保持が解除された状態では、スプール2はハウジング1に対して移動できるようになる。このように、本例の保持装置4は、デテント装置とされているが、スプール2にある程度の大きさの軸方向の力が加わると保持状態が解除されるものであればよいので、他の装置を採用してもよい。
つづいて、ばね3は、スプール2と保持装置4の筒部材22との間に介装されており、スプール2を図2に示すように中立位置に位置決めするよう附勢している。詳細には、ばね3は、スプール2の図2中左端に嵌合されて装着される筒状のばね受19と、取付部材21に当接する筒状のばね受20との間に介装されている。ばね受19は、筒状であって、図2中右端の外周に設けたフランジ状の受部19aと、図2中左端の内周に設けたフランジ状のストッパ部19bとを備えている。ばね受20は、筒状であって、図2中左端の外周に設けられて筒部材22の右端に当接する受部20aと、図2中右端の内周に設けられたフランジ状のストッパ部20bとを備えている。そして、ばね3は、ばね受19の受部19aとばね受20の受部20aとの間に介装されている。ばね受19のストッパ部19bとばね受20のストッパ部20bとは対向しており、ばね3が圧縮されて所定の長さまで縮むと両ストッパ部19b,20bが当接して、それ以上ばね3が圧縮しないように規制する。また、ばね受19のストッパ部19bは、スプール2の図2中左端に当接しており、これによりばね3の附勢力をスプール2に作用させている。ばね受20のストッパ部20bは、取付部材21の外周であって軸部21aと筒部21bとの境の段部21dに当接しており、これによりばね3の附勢力を取付部材21に作用させている。
また、ばね受19の受部19aは、ケース9の内周に設けた段部9aに対向しておりスプール2が中立位置にある状態では前記段部9aに当接するようになっている。さらに、ばね受20の受部20aは、スプール2が中立位置にある状態では、保持装置4における筒部材22の図2中端に当接するようになっている。そして、筒部材22は、ケース9に取り付けられているので、スプール2が中立位置にある状態ではばね受19とばね受20のそれ以上の軸方向への離間ができない。また、ばね3は、圧縮状態でばね受19,20間に介装されおり、ばね受19とばね受20を離間する方向へ附勢するため、ケース9と筒部材22とでばね受19とばね受20の離間が規制されるとばね3はそれ以上伸長できなくなる。この状態では、スプール2を図2中左方へ移動させるとばね受19がスプール2とともに左方へ移動するので、ばね3は縮められてスプール2の移動を妨げる附勢力を発揮する。反対にスプール2を図2中右方へ移動させるとばね受20が取付部材21とともに右方へ移動するので、ばね3は縮められてスプール2の移動を妨げる附勢力を発揮する。よって、スプール2を中立位置から左右のいずれに移動させてもばね3が縮められて附勢力が大きくなり、スプール2を元の中立位置へ戻す附勢力を発揮する。以上より、ばね3は、スプール2を附勢して中立位置へ位置決めしている。
そして、スプール2が中立位置にある場合、図2に示すように、ランド部2aが弁孔10の環状凹部10b,10c間の内周に対向して環状凹部10bおよび環状凹部10cの連通を絶つ。ランド部2bが弁孔10の環状凹部10c,10d間の内周に対向して環状凹部10cと環状凹部10dの連通を絶つ。また、ランド部2dが弁孔10の環状凹部10f,10g間の内周に対向して環状凹部10fと環状凹部10gの連通を絶つ。さらに、ランド部2eが弁孔10の環状凹部10g,10h間の内周に対向して環状凹部10gと環状凹部10hの連通を絶つ。なお、ランド部2cは、環状凹部10eに対向しており、環状凹部10d、環状凹部10eおよび環状凹部10fは、相互に連通される。よって、図2に示すように、環状凹部10d、環状凹部10eおよび環状凹部10fが相互に連通されるので、タンクポート11とポンプポート12とが連通される。他方、Bポート15が開口する環状凹部10cは、ランド部2a,2bに阻まれて隣の環状凹部10b,10dのどちらとも連通できず、Bポート15は、タンクポート11、ポンプポート12およびAポート14のいずれとも連通されず遮断される。また、Aポート14が開口する環状凹部10gは、ランド部2d,2eに阻まれて隣の環状凹部10f,10hのどちらとも連通できず、Aポート14は、タンクポート11、ポンプポート12およびBポート15のいずれとも連通されず遮断される。
さらに、レバー7を左方へ倒して図4に示す位置までスプール2を移動させると、ばね受19とばね受20が接近しばね受19のストッパ部19bとばね受20のストッパ部20bとが当接して、それ以上のスプール2と筒部材22の接近が規制される。この状態では、スプール2は、図4に示す位置からそれ以上は左方へは移動できず、ばね受19とばね受20とでスプール2の図4中左方への移動限界が設定されている。また、前述したが、図4に示すスプール2の位置は停止位置であり、この停止位置にスプール2が配置されると保持装置4がスプール2を保持する。この停止位置にスプール2が配置された状態でレバー7から手を放しても保持装置4がスプール2を保持しており、ばね3がスプール2を中立位置へ戻そうとする附勢力のみでは保持装置4の保持を解除できず、スプール2は停止位置に保持されたままとなる。
そして、スプール2が停止位置にある場合、図4に示すように、ランド部2bが弁孔10の環状凹部10c,10d間の内周に対向して環状凹部10cと環状凹部10dの連通を絶つ。ランド部2cが弁孔10の環状凹部10d,10e間の内周に対向して環状凹部10dと環状凹部10eの連通を絶つ。また、ランド部2dが弁孔10の環状凹部10e,10f間の内周に対向して環状凹部10eと環状凹部10fの連通を絶つ。さらに、ランド部2eが弁孔10の環状凹部10g,10h間の内周に対向して環状凹部10gと環状凹部10hの連通を絶つ。よって、図4に示すように、環状凹部10bと環状凹部10cはスプール2のランド部2a,2b間の空間によって連通されてタンクポート11とBポート15が連通される。さらに、環状凹部10fと環状凹部10gはスプール2のランド部2d,2e間の空間によって連通されてポンプポート12とAポート14が連通される。
反対に、レバー7を右方へ倒して図5に示す位置までスプール2を移動させると、ばね受19とばね受20が接近しばね受19のストッパ部19bとばね受20のストッパ部20bとが当接して、それ以上のスプール2と筒部材22の接近が規制される。この状態では、スプール2は、図5に示す位置からそれ以上は右方へは移動できず、ばね受19とばね受20とでスプール2の図5中右方への移動限界が設定されている。この位置にスプール2が配置された状態でレバー7かを作業者が手を放すとスプール2は、ばね3の附勢力によって押されて中立位置へ復帰する。
そして、スプール2が図5に示す位置にある場合、ランド部2aが弁孔10の環状凹部10b,10c間の内周に対向して環状凹部10bと環状凹部10cの連通を絶つ。ランド部2bが弁孔10の環状凹部10d,10e間の内周に対向して環状凹部10dと環状凹部10eの連通を絶つ。また、ランド部2cが弁孔10の環状凹部10e,10f間の内周に対向して環状凹部10eと環状凹部10fの連通を絶つ。さらに、ランド部2dが弁孔10の環状凹部10f,10g間の内周に対向して環状凹部10fと環状凹部10gの連通を絶つ。よって、図5に示すように、環状凹部10cと環状凹部10dはスプール2のランド部2a,2b間の空間によって連通されてポンプポート12とBポート15が連通される。さらに、環状凹部10gと環状凹部10hはスプール2のランド部2d,2e間の空間によって連通されてタンクポート11とAポート14が連通される。
このように構成された切換弁Vは、図6に示すように、タンクポート11がタンクTに接続され、ポンプポート12がポンプPの吐出側に接続され、Aポート14がシリンダCの伸側室ERに接続され、Bポート15がシリンダCの圧側室CRに接続される。ポンプPは、吸込側がタンクTに接続されていて、タンクT内に貯留されている作動油を吸込んで切換弁V側へ吐出する。シリンダCは、筒状のアウターシェル200と、アウターシェル200内に摺動自在に挿入されてアウターシェル200内を二つの作動室である伸側室ERと圧側室CRに仕切るピストン201と、アウターシェル200の外方から伸側室ER内に挿入されるとともにピストン201に連結されるロッド202とを備えている。
そして、切換弁Vのスプール2を中立位置に配置すると、タンクポート11とポンプポート12とが連通されてポンプPが吐出した作動油はタンクTへ戻されてシリンダCには供給されない。また、Aポート14とBポート15がともに遮断されるので、シリンダCの伸側室ERと圧側室CRが閉鎖され、シリンダCは、伸縮不能なロック状態となる。
切換弁Vのスプール2の位置を図5に示す位置へ配置すると、タンクポート11とAポート14が連通され、ポンプポート12とBポート15が連通される。すると、伸側室ERはタンクTに連通され、圧側室CRはポンプPに連通される。ポンプPが吐出した作動油は、圧側室CRに供給されてピストン201を図6中左方へ押して移動させ、ピストン201の移動によって容積が小さくなる伸側室ERでは、作動油がタンクTへ排出される。よって、シリンダCは、ロッド202がアウターシェル200から退出する伸長作動を呈する。スプール2を図5に示す位置へ配置した状態に維持するには、ばね3の附勢力に抗してレバー7を引き続ける必要がある。よって、作業者がレバー7を引く操作を行っている間は、シリンダCは伸長作動を呈し続けて、カッタヘッドHを薪104側へ接近させる。シリンダCが伸長作動を続けて、最伸長状態となると、ピストン201がアウターシェル200の頂部に当接して移動が規制される。すると、ポンプPから圧側室CRへ作動油を供給しても、それ以上、ピストン201は移動できないので、圧側室CR内の圧力が高まり、リリーフ弁6の開弁圧に達するとリリーフ弁6が開弁して迂回路16を開放してポンプポート12をタンクポート11に連通させる。よって、シリンダCが最伸長した状態となっても作業者がレバー7を引き続けてしまい、ポンプPから圧側室CRに作動油が供給され続けても、圧側室CR内の圧力がリリーフ弁6の開弁圧に制御されてシリンダCを過剰圧力から保護できる。
切換弁Vのスプール2の位置を図4に示す停止位置へ配置すると、タンクポート11とBポート15が連通され、ポンプポート12とAポート14が連通される。すると、伸側室ERはポンプPに連通され、圧側室CRはタンクTに連通される。ポンプPが吐出した作動油は、伸側室ERに供給されてピストン201を図6中右方へ押して移動させ、ピストン201の移動によって容積が小さくなる圧側室CRでは、作動油がタンクTへ排出される。よって、シリンダCは、ロッド202がアウターシェル200内へ侵入する収縮作動を呈する。このように切換弁Vは、ポンプP、タンクTと作動室である伸側室ERと圧側室CRとの接続状態を切換可能である。
そして、スプール2を図4に示す停止位置へ配置した状態では、保持装置4がばね3の附勢力に抗してスプール2を停止位置に保持するので、作業者がレバー7から手を放してもシリンダCは収縮作動を呈し続けて、カッタヘッドHを薪104から遠ざける。シリンダCが収縮作動を続けて、最収縮状態となると、ピストン201がアウターシェル200の底部に当接して移動が規制される。すると、ポンプPから伸側室ERへ作動油を供給しても、それ以上、ピストン201は移動できないので、伸側室ER内の圧力およびポンプPの吐出圧力が高まってポンプポート12の圧力も高くなる。
ここで、スプール2が停止位置にあると、スプール2に設けたパイロット通路5におけるランド部2b,2c間の開口は、ポンプポート12に連通される環状凹部10dに対向し、ポンプポート12を圧力室Rに連通する。よって、ポンプポート12の圧力、すなわち、ポンプ圧が圧力室Rに伝搬して、シリンダCが最収縮すると圧力室R内の圧力が上昇する。圧力室R内の圧力は、ランド部2aの図2中左端に作用するとともにスプール2の小径部2fよりも図2中左側の左端部2gの右端に作用する。ランド部2aの外径よりも左端部2gの外径は小径であるため、スプール2は、圧力室R内の圧力によって図2中右方へ押される。圧力室R内の圧力が上昇すると、この圧力によってスプール2を右方へ押す力は大きくなり、ばね3の附勢力と前記圧力による力の合力で保持装置4を解除できるようになると保持装置4のスプール2の保持が解除されてスプール2は、中立位置へ復帰する。スプール2が停止位置から中立位置へ復帰する際には、スプール2の移動によって圧力室Rの容積が拡大する。パイロット通路5の途中に絞り部としてオリフィス5gが設けられているため、圧力室Rに対するパイロット通路5を介しての作動油供給が抑制され、スプール2の移動とともに圧力室R内が減圧される。つまり、スプール2の中立位置への移動が進むにつれて、圧力室Rが減圧されて圧力室R内の圧力によるスプール2を中立位置へ戻す方向へ押す力は小さくなっていく。スプール2を停止位置から中立位置へ復帰させる力は、圧力室R内の圧力による力とばね3の附勢力の合力であるため、保持装置4によるスプール2の保持が解除された後は、スプール2を中立位置へ復帰させる力は、徐々に弱まっていく。このように、スプール2には、高圧のポンプ圧が作用し続けないので、中立位置へ勢いよく高速で戻らず、適度な速度で中立位置へ復帰する。
以上のように、本発明の切換弁Vは、ハウジング1内に軸方向移動自在に挿入されるスプール2と、スプール2を附勢して中立位置へ位置決めするばね3と、ばね3の附勢力に抗してスプール2を停止位置にて保持する保持装置4と、ポンプ圧をスプール2へ作用させて保持装置4による保持を解除してスプール2を停止位置から中立位置へ戻す圧力室Rに、絞り部5gを有してポンプ圧を導くパイロット通路5とを備えている。
このように構成された切換弁Vでは、保持装置4によるスプール2の保持が解除されてスプールが中立位置へ復帰する際に、スプール2が勢いよく中立位置へ戻らないので、スプール2が中立位置へ復帰する際に中立位置を乗り越えない。そのため、ばね3の附勢力を特に大きく設定する必要が無くなるので、スプール2の位置を切換えるレバー7の操作に大きな力は不要であり操作性が向上する。
また、切換弁Vは、保持装置4の保持の解除に特別な構造を要せず、スプール2に中立位置へ戻す方向に圧力を作用させる圧力室Rへパイロット通路5を通じてポンプ圧を導入すればよいので、切換弁Vの構造が複雑とならず安価となる。
さらに、本発明の切換弁Vにあっては、保持装置4のスプール2の保持の解除時におけるスプール2の中立位置への移動速度が低速に抑えられるので、スプール2の周囲のシール条件が良化して、切換弁Vのシールが容易となる利点もある。つまり、手動でスプール2を中立位置からハウジング1から引き出す操作を行う際のスプール2の移動速度と、スプール2が停止位置から中立位置へ復帰する際のスプール2の移動速度との差が小さくなるので、スプール2の移動時にハウジング1外へ持ち出されてしまう作動油量を極少なくできる。
また、ばね3の附勢力を大きくする必要がないため、保持装置4のスプール2の保持の解除時にスプール2の中立位置への移動速度が低くなり、レバー7も勢いよく振られなくなる。よって、作業者は、安全に切換弁Vを操作できる。
なお、絞り部は、本例では、オリフィス5gとされているが、チョークとされてもよい。また、パイロット通路5は、スプール2に設けられているが、ハウジング1に設けてもよい。具体的には、図7に示すように、ハウジング1に対してポンプポート12に連通される環状凹部10d,10fの一方を圧力室Rに通じるようにパイロット通路51を設ければよく、パイロット通路51に絞り部としてオリフィス51a等を設ければよい。
また、本例の切換弁Vでは、スプール2が中立位置にある場合、パイロット通路5がタンクポート11に連通されるようになっているので、パイロット通路5に通じる圧力室RもタンクTに通じてアンロードされて、圧力室R内部に圧力が残留しないようになっている。スプール2を中立位置から停止位置へ移動させるべくレバー7を操作する際に、スプール2が圧力室Rを圧縮するが、圧力室R内は移動前にタンク圧となっていて圧縮されても高圧になり難い。したがって、スプール2の移動の際に、圧力室Rの圧力によってスプール2を押し返す力は十分小さいので、レバー7の操作力が小さくて済む。よって、作業者のスプール2の切換時における作業負担が軽減される。
さらに、本例の切換弁Vでは、スプール2が外径が他部よりも小径な小径部2fを有しており、ハウジング1と小径部2fとの間で圧力室Rが形成され、パイロット通路5がスプール2に設けられて圧力室Rに対向する小径部2fから開口するようになっている。このように切換弁Vが構成されると、パイロット通路5の開口の縁に特別な加工をせずともスプール2の周囲を封止するシール筒18の内周面やシール筒18に設けたOリング18bを攻撃しないので、加工工数の削減とシール性を向上できる。
また、本例の薪割装置Wは、内部に二つの作動室である伸側室ERと圧側室CRを有して伸長時にカッタヘッドHを薪104へ近づけ収縮時にカッタヘッドHを薪104から遠ざけるように駆動するシリンダCと、シリンダCへ液体を供給するポンプPと、タンクTと、切換弁Vとを備え、切換弁Vがスプール2が中立位置にあるとポンプPをタンクTへ連通するとともに伸側室ERと圧側室CRを閉鎖し、スプール2が停止位置にあるとシリンダCを収縮させるようになっている。このような薪割装置Wにあっては、切換弁Vの操作でスプール2を停止位置にすれば保持装置4によって保持されて、シリンダCは最収縮するまで収縮作動を続けて、最収縮するとスプール2が中立位置へ復帰する。よって、作業者は、シリンダCの収縮作動中に、両手を使って新しい薪104を用意して薪割装置Wにセットできるようになるので、効率的に薪割作業を行えるとともに操作性を向上できる。
なお、前述の切換弁Vでは、パイロット通路5に絞り部としてオリフィス5gを設けているのみであったが、図8に示すように、オリフィスに並列して圧力室Rから排出される液体の流れのみを許容するチェック弁30を設けてもよい。この例では、パイロット通路5の軸方向孔5a内に弁座部材31とこの弁座部材31に離着座可能な弁体32とを共に収容している。弁座部材31は、円柱状であって図8中左端から開口して側方へ抜ける通路31aを備えており、図8中左端の通路31aの開口の周囲を弁座31bとしている。通路31aは、弁座部材31が軸方向孔5a内に装着されると、小径部2fに通じる径方向孔5cに対向して圧力室Rに通じ、パイロット通路5の一部を形成する。
弁体32は、円柱状であって外周に設けられて弁座31bに着座可能なフランジ32aと、フランジ32aに設けた切欠で形成したオリフィス32bとを備えている。弁体32は、フランジ32aが弁座部材31の弁座31bに当接した状態では、オリフィス32bのみを有効とし、弁座部材31から後退して離座するとパイロット通路5を大きく開放する。
このように構成された切換弁Vでは、圧力室Rが圧縮される際には、チェック弁30が開弁して圧力室R内の圧力上昇を抑制する一方、圧力室Rへの作動油の供給に対してはオリフィス32bが有効に機能する。よって、スプール2を中立位置から停止位置へ移動させる際には、チェック弁30が開弁して圧力室R内の圧力は上昇せず、スプール2は圧力室R内の圧力による抵抗なくスムーズに移動し得る。反対に、スプール2が停止位置から中立位置へ移動する際には、圧力室Rの容積が増大しポンプポート12側からの圧力は高圧であるのでチェック弁30は閉弁してオリフィス32bのみが有効となる。よって、スプール2が停止位置から中立位置へ移動する際には、圧力室Rの圧力はスプール2の移動が進むにつれて減少するため、スプール2が中立位置へ勢いよく高速で戻されずに済む。よって、このようにオリフィス32bにチェック弁30を並列させると、スプール2の戻り側への速度を低下させる作用に加えて、作業者のスプール2の停止位置側への操作力を軽減でき、作業負担が軽くなる。また、弁座部材31は、長尺とされており、軸方向孔5a内への取付作業が容易であるが、弁座部材を短尺の環状として軸方向孔5a内に設置してもよい。
また、図9に示すように、パイロット通路5に圧力室Rへ向かう液体の流れに対して絞り部を有効とし、圧力室Rから排出される液体の流れに対して絞り部に並列される通路を有効とするシャトル弁40を設けてもよい。この例では、パイロット通路5の軸方向孔5aを図9中左方側を大径にして段部5dを設け、段部5dよりも左方へリング41を設け、リング41と段部5dとの間に円柱状のシャトル弁40を収容している。シャトル弁40は、リング41と段部5dとの間で軸方向に移動できるようになっている。軸方向孔5aの段部5dと段部5dよりも左方には、絞り部に並列される通路として溝5eが設けられており、シャトル弁40には、軸方向に貫くオリフィス40aを設けてこれを絞り部としている。
このように構成された切換弁Vでは、圧力室Rが圧縮される際には、シャトル弁40が段部5dに当接して溝5eを通じて圧力室Rがランド部2c,2d間の空間に連通される。溝5eの断面積は、オリフィス40aの断面積に比して大きくしてあり、流れに然程抵抗を与えないようになっている。よって、圧力室Rが圧縮される際には、圧力室R内の圧力上昇が抑制される。他方、圧力室Rへの作動油の供給に対してはシャトル弁40がリング41に当接するので、オリフィス40aが有効に機能する。よって、スプール2を中立位置から停止位置へ移動させる際には、オリフィス40aは無効とされて断面積の大きな溝5eを作動油が通過するので圧力室R内の圧力は上昇せず、スプール2は圧力室R内の圧力による抵抗なくスムーズに移動し得る。反対に、スプール2が停止位置から中立位置へ移動する際には、圧力室Rの容積が増大しポンプポート12側からの圧力は高圧であるのでシャトル弁40はオリフィス40aのみを有効となる。よって、スプール2が停止位置から中立位置へ移動する際には、圧力室Rの圧力はスプール2の移動が進むにつれて減少するため、スプール2が中立位置へ勢いよく高速で戻されずに済む。よって、このように絞り部としてのオリフィス40aと通路としての溝5eの有効無効をシャトル弁40で切換えるようにしても、スプール2の戻り側への速度を低下させる作用に加えて、作業者のスプール2の停止位置側への操作力を軽減でき、作業負担が軽くなる。また、リング41は、長尺にして軸方向孔5a内への取付作業を容易としてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
1・・・ハウジング、2・・・スプール、3・・・ばね、4・・・保持装置、5,51・・・パイロット通路、5b・・・径方向孔、5g,32b,40a,51a・・・オリフィス(絞り部)、11・・・タンクポート、30・・・チェック弁、40・・・シャトル弁、104・・・薪、2f・・・小径部、C・・・シリンダ、CR・・・圧側室(作動室)、ER・・・伸側室(作動室)、H・・・カッタヘッド、P・・・ポンプ、R・・・圧力室、T・・・タンク

Claims (8)

  1. ハウジング内に軸方向移動自在に挿入されて手動操作によって位置の切換が可能なスプールと、
    前記スプールを附勢して中立位置へ位置決めするばねと、
    前記ばねの附勢力に抗して前記スプールを停止位置にて保持する保持装置と、
    前記ハウジングと前記スプールとの間に設けられて、ポンプ圧を前記スプールへ作用させて前記保持装置による保持を解除して前記スプールを前記停止位置から前記中立位置へ戻す圧力室と、
    前記スプールが前記停止位置にあると、途中に絞り部を有して前記圧力室へ前記ポンプ圧を導くパイロット通路とを備えた
    ことを特徴とする切換弁。
  2. 前記パイロット通路は、前記スプールに設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の切換弁。
  3. 前記パイロット通路に、前記絞り部に並列して前記圧力室から排出される液体の流れのみを許容するチェック弁を設けた
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切換弁。
  4. 前記パイロット通路に、前記圧力室へ向かう液体の流れに対して前記絞り部を有効とし、前記圧力室から排出される液体の流れに対して前記絞り部に並列される通路を有効とするシャトル弁を設けた
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切換弁。
  5. 前記ハウジングは、タンクに連通されるタンクポートを有し、
    前記スプールが前記中立位置にある場合に前記パイロット通路は前記圧力室を前記タンクポートに連通する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の切換弁。
  6. 前記スプールは、外径が他部よりも小径な小径部を有し、
    前記ハウジングと前記小径部との間で前記圧力室が形成されており、
    前記パイロット通路は、前記圧力室に対向する小径部から開口する
    ことを特徴とする請求項2、請求項2に従属する請求項3、請求項2に従属する請求項4又は請求項2に従属する請求項5に記載の切換弁。
  7. 前記パイロット通路は、前記スプールの外周から開口して径方向へ設けられる径方向孔を有し、
    前記径方向孔に前記絞り部設けられる
    ことを特徴とする請求項に記載の切換弁。
  8. 内部に二つの作動室を有して伸長時に薪を破砕するカッタヘッドを薪へ近づけ収縮時にカッタヘッドを前記薪から遠ざけるように駆動するシリンダと、
    前記シリンダへ液体を供給するポンプと、
    タンクと、
    前記ポンプ、前記タンクと前記各作動室との接続を切換可能に設けた請求項1からのいずれか一項に記載の切換弁とを備え、
    前記切換弁は、前記スプールが前記中立位置にあると前記ポンプを前記タンクへ連通するとともに各作動室を閉鎖し、前記スプールが前記停止位置にあると前記ポンプを一方の作動室へ連通するとともに前記タンクを他方の作動室へ連通して前記シリンダを収縮させ、前記ポンプと前記圧力室を連通させる
    ことを特徴とする薪割装置。
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