JP6546763B2 - 流体圧シリンダ - Google Patents

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Description

本発明は、流体圧シリンダに関するものである。
特許文献1には、再生弁によってロッドチャンバとボトムチャンバとが連通されてロッドチャンバからボトムチャンバへ圧油が再生される油圧シリンダが開示されている。
特開2010−230061号公報
特許文献1に開示のような従来の再生弁は、油圧シリンダに隣接して配置されるか、あるいは、油圧シリンダの近傍に配置される。また、再生弁と油圧シリンダのロッド側室及び反ロッド側室とは、油圧配管によって接続される。
しかしながら、油圧配管によって再生弁とロッド側室及び反ロッド側室とを接続した場合には、油圧配管で生じる圧力損失によって、作動油の再生効率が低下するおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体圧シリンダにおける再生効率を向上させることを目的とする。
第1の発明は、流体圧シリンダであって、シリンダチューブと、シリンダチューブ内をロッド側室と反ロッド側室とに区画すると共にシリンダチューブの内周面に沿って摺動するピストンと、ピストンに連結されシリンダチューブに挿入されるピストンロッドと、ロッド側室の作動流体を反ロッド側室に導いて再生させる再生機構と、を備え、再生機構は、ピストンに形成されロッド側室内の作動流体を反ロッド側室へ導く再生通路と、ピストン内に設けられ再生通路を通過する作動流体の流れを制御する再生弁と、を有することを特徴とする。
第1の発明では、再生通路がピストンに形成されると共に再生弁がピストン内に設けられるため、再生弁とロッド側室及び反ロッド側室とを配管によって接続する必要がない。よって、再生通路における圧力損失が低減される。
第2の発明は、再生機構が、ピストン内に設けられロッド側室から反ロッド側室への再生通路を通じた作動流体の通過を許容すると共に反ロッド側室からロッド側室への再生通路を通じた作動流体の通過を遮断するチェック弁をさらに備えることを特徴とする。
第2の発明では、反ロッド側室から再生通路を通じてロッド側室に導かれる内部リークがチェック弁により防止されると共に、チェック弁に接続される配管も不要となる。よって、再生通路における圧力損失が低減される。
第3の発明は、シリンダチューブに取り付けられロッド側室から排出される作動流体の流量を制御するスローリターン弁をさらに備えることを特徴とする。
第3の発明によれば、スローリターン弁がシリンダチューブに取り付けられるため、流体圧シリンダの構成をコンパクトにすることができる。
第4の発明は、再生弁が、再生通路の一部が形成される筒状のスリーブと、スリーブ内に移動自在に設けられ再生通路の開閉を切り換える弁体と、を有することを特徴とする。
第4の発明では、ピストンには再生通路の全ては形成されずに、ピストンとは別部材であるスリーブに再生通路の一部が形成される。したがって、再生通路の全てをピストンに形成する場合と比較して、再生通路の加工を容易に行うことができる。
第5の発明は、再生弁が、スリーブ内に設けられ再生通路の連通を遮断する方向に弁体を付勢する付勢部材をさらに有し、ピストンロッドには、弁体に作用することにより弁体を付勢部材の付勢力に抗して移動させるパイロット圧を導くパイロット通路が形成されることを特徴とする。
第5の発明では、ピストンロッドに形成されるパイロット通路を通じてピストン内の再生弁にパイロット圧が導かれる。
第6の発明は、ピストンロッドの外周に設けられるクッションベアリングと、ピストンロッドの伸長ストローク端付近でクッションベアリングの進入を許容するベアリング受容部と、伸長ストローク端付近でクッションベアリングがベアリング受容部の内側に進入した際に、クッションベアリングとベアリング受容部との間に形成され通過する作動流体の流れに抵抗を付与するクッション通路と、をさらに備え、クッションベアリングには、クッション通路を通過した作動流体を再生通路に導く導入通路が形成されることを特徴とする。
第6の発明では、クッション通路を通過した作動流体を再生通路に導くように導入通路が形成されるため、ロッド側室から排出される作動流体がクッション通路を通過せずに再生通路に導かれることがない。したがって、流体圧シリンダのクッション作用を妨げることなく、ロッド側室の作動流体を再生通路に導くことができる。
本発明によれば、流体圧シリンダの再生効率を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの平面図であり、一部を断面で示す。 本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの部分拡大断面図であり、伸長ストローク端付近の状態を示す。 図1におけるA矢視図である。 本発明の実施形態に係る流体圧シリンダが備えるスローリターン弁を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る流体圧シリンダが備える再生機構の油圧回路図である。 本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの再生機構が備えるチェック弁を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る流体圧シリンダの再生機構が備える再生弁を示す拡大断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体圧シリンダについて説明する。以下では、流体圧シリンダが油圧ショベルのアーム(負荷)を駆動する油圧シリンダ100である場合について説明する。
まず、図1から図4を参照して、油圧シリンダ100の構成について説明する。
図1に示すように、油圧シリンダ100は、筒状のシリンダチューブ1と、シリンダチューブ1の内周面に沿って摺動するピストン10と、ピストン10に連結されシリンダチューブ1に挿入されるピストンロッド20と、ピストンロッド20の外周に設けられる筒状のクッションベアリング30と、を備える。
シリンダチューブ1の内部は、ピストン10によってロッド側室2と反ロッド側室3とに区画される。油圧シリンダ100は、油圧源(作動流体圧源)であるポンプ(図示省略)からロッド側室2または反ロッド側室3に導かれる作動油圧によって伸縮作動する。シリンダチューブ1の内周とピストン10の外周との間は、シール部材11(図2参照)によって封止される。これにより、シリンダチューブ1の内周とピストン10の外周との間を通じたロッド側室2と反ロッド側室3との連通が遮断される。
シリンダチューブ1の一端部には、油圧ショベルのブームに連結するための基端側クレビス1Aが設けられる。また、ピストンロッド20の端部には、アーム(負荷)に連結するための負荷側クレビス20Aが設けられる。
シリンダチューブ1の他端部における開口端には、図2に示すように、ピストンロッド20を摺動自在に支持する円筒状のシリンダヘッド15が設けられる。シリンダヘッド15は、シリンダチューブ1の内側に挿入されるベアリング受容部16を有する。シリンダヘッド15には、ロッド側室2に連通する給排口15Aが形成される。給排口15Aを通じて、ロッド側室2に作動油が給排される。なお、シリンダチューブ1には、反ロッド側室に連通する給排口(図示省略)が形成される。
図2及び図3に示すように、ピストンロッド20には、後述する再生弁80にパイロット圧を導くパイロット通路101と、後述する再生弁80のばね収容室87内の作動油を排出するドレン通路107と、が形成される。図3に示すように、パイロット通路101には、負荷側クレビス20Aに設けられるパイロットポート101A及びパイロット連絡通路101Bを通じて、パイロット圧が導かれる。また、ドレン通路107に導かれた作動油は、負荷側クレビス20Aに設けられるドレンポート107A及びドレン連絡通路107Bを通じてタンク(図示省略)へ排出される。なお、図1では、パイロット通路101、パイロットポート101A、及びパイロット連絡通路101Bのみを図示し、ドレン通路107、ドレンポート107A、及びドレン連絡通路107Bは図示を省略して括弧内の符号で示す。
図2に示すように、ピストンロッド20は、シリンダヘッド15の内周に摺接する本体部21と、本体部21より外径が小さく形成される小径部22と、本体部21と小径部22の間に形成される環状の段差部23と、ピストンロッド20の先端に形成されるねじ部24と、を備える。
クッションベアリング30及びピストン10は、ピストンロッド20の小径部22の外周に軸方向に並んで設けられる。クッションベアリング30は、ピストン10とピストンロッド20の段差部23との間に設けられる。
ピストンロッド20のねじ部24には、ナット35が螺合する。ナット35は、ピストン10に当接する環状のフランジ部36と、六角ヘッドとして形成される頭部37と、を有する。クッションベアリング30及びピストン10は、ナット35がピストンロッド20のねじ部24に所定の締付トルクで締結されることにより、ナット35とピストンロッド20の段差部23との間で軸方向に挟持される。このようにして、ピストン10とピストンロッド20とが連結される。
クッションベアリング30の外径は、ピストンロッド20の本体部21の外径よりも大きく、かつ、ベアリング受容部16の内径よりも小さく形成される。これにより、クッションベアリング30は、ピストンロッド20の伸長ストローク端付近でベアリング受容部16の内側に進入する。クッションベアリング30がベアリング受容部16の内側に進入することにより、クッションベアリング30とベアリング受容部16との間でクッション通路5が形成される。クッション通路5を通過する作動油の流れには、抵抗が付与される。作動油がクッション通路5を通過することにより、ロッド側室2にはクッション圧が作用する。これにより、油圧シリンダ100では、伸長ストローク端付近で伸長速度が減速するクッション作用が発揮される。
クッションベアリング30には、後述する再生通路110にロッド側室2の作動油を導く導入通路30Aが形成される。導入通路30Aは、クッションベアリング30におけるピストンロッド20の段差部23に対向する端面、言い換えればピストン10に対向する端面とは反対側の端面に開口して形成されロッド側室2に連通する。このため、ピストンロッド20の伸長ストローク端付近でクッション通路5が形成された際に、ロッド側室2内の作動油がクッション通路5を通過せずに導入通路30Aに導かれることがない。つまり、ロッド側室2のクッション圧が再生通路110に導かれることがないため、油圧シリンダ100のクッション機能を阻害せずに、ロッド側室2内の作動油が導入通路30Aを通じて再生通路110に導かれる。
また、油圧シリンダ100は、ロッド側室2からタンクに排出される作動油の流量を制御するスローリターン弁40をさらに備える。スローリターン弁40は、シリンダチューブ1に取り付けられシリンダヘッド15の給排口15Aに接続して設けられる。スローリターン弁40は、ロッド側室2から排出される作動油の流れに抵抗を付与して流量を制御する一方、作動油がロッド側室2に供給される場合には最大開度で作動油の通過を許容する。
スローリターン弁40は、図4に示すように、着座部42を有する筒状のハウジング41と、ハウジング41内に移動自在に設けられる絞りポペット43と、絞りポペット43を着座部42に向けて付勢する第一コイルばね47と、を有する。
ハウジング41の着座部42は、ハウジング41の内周から径方向内側に突出して環状に形成される。
絞りポペット43は、着座部42に当接する当接部44と、ハウジング41の内周面に摺接する筒状の摺接部45と、当接部44と摺接部45との間に形成され摺接部45より外径が小さく形成される小径筒部46と、軸方向に貫通して当接部44に形成され通過する作動油の流れに抵抗を付与する絞り44Aと、径方向に貫通して小径筒部46に形成される連通路46Aと、を有する。
ロッド側室2から作動油が排出される場合には、作動油は給排口15Aを通じてハウジング41内に導かれる。この際、第一コイルばね47の付勢力及び作動油の圧力により絞りポペット43は着座部42に当接するため、連通路46Aを通じて排出される作動油の流れは遮断される。したがって、ロッド側室2から排出される作動油は絞り44Aを通過して抵抗が付与される。これにより、ロッド側室2から排出される作動油の流量が制御される。
一方、ロッド側室2に作動油が供給される場合には、供給される作動油の圧力により、絞りポペット43は第一コイルばね47の付勢力に抗して移動する。よって、当接部44と着座部42とが離間し、連通路46A及び給排口15Aを通じてロッド側室2へ作動油が供給される。このように、スローリターン弁40は、ロッド側室2へ最大開度で作動油の通過を許容する。
次に、図5を参照して、油圧シリンダ100においてロッド側室2から排出される作動油を再生する構成について説明する。
油圧シリンダ100は、ロッド側室2の作動油を反ロッド側室3に導いて再生させる再生機構50をさらに備える。
図5に示すように、再生機構50は、ピストン10に形成されロッド側室2の作動油を反ロッド側室3へ導く再生通路110と、ロッド側室2から再生通路110を通じて反ロッド側室3へ向かう作動油の流れを許容すると共に反ロッド側室3から再生通路110を通じてロッド側室2へ向かう作動油の流れを遮断するチェック弁60と、ピストン10内に設けられ再生通路110を通過する作動油の流れを制御する再生弁80と、を有する。
再生弁80は、再生通路110を通じてロッド側室2から反ロッド側室3へ向かう作動油の流れを遮断する遮断ポジション80Aと、ロッド側室2から反ロッド側室3へ向かう作動油の流れを許容する連通ポジション80Bと、を有する。再生弁80は、パイロット室102にパイロット圧が導かれることにより、連通ポジション80Bに切り換わる。
油圧シリンダ100が伸長作動する際には、反ロッド側室3に接続される第一メイン通路105を通じてポンプから吐出される作動油が反ロッド側室3に供給され、ロッド側室2に接続される第二メイン通路106を通じて作動油がロッド側室2からタンクに排出される。
ここで、油圧シリンダ100は、スローリターン弁40を備えるため、ロッド側室2から排出される作動油の流れには、絞り44Aによって抵抗が付与される。よって、ロッド側室2には絞り44Aによる背圧が作用し、ロッド側室2の圧力は増加する。
また、ピストン10の断面積に相当する反ロッド側室3の受圧面積は、ピストン10の断面積とピストンロッド20の断面積との差分に相当するロッド側室2の受圧面積よりも大きくなる。このため、油圧シリンダ100の伸長作動時において反ロッド側室3にポンプからの作動油が供給されると、ロッド側室2の圧力は受圧面積差に基づいて反ロッド側室3の圧力よりも大きくなる。
これにより、ロッド側室2の圧力は、反ロッド側室3の圧力よりも大きくなる。この状態で油圧シリンダ100を伸長させる作業者のレバー操作に応じて再生弁80が連通ポジション80Bに切り換えられると、比較的高圧のロッド側室2内における作動油の一部がチェック弁60を開弁し、低圧の反ロッド側室3に導かれて作動油の再生が行われる。これにより、油圧シリンダ100を高速で伸長作動させることができる。なお、反ロッド側室3に導かれない作動油は、給排口15A及びスローリターン弁40を通じて、タンクへ排出される。
次に、図2、図6、及び図7を参照して、再生機構50の各構成について、具体的に説明する。
図2に示すように、再生通路110は、油圧シリンダ100のピストン10に形成される。再生通路110は、ロッド側室2に連通するロッド側通路111と、反ロッド側室3に連通する反ロッド側通路112と、ピストン10の内周面に開口する第一、第二内側通路113,114と、第一、第二内側通路113,114を連通する環状通路115と、を有する。
ロッド側通路111は、クッションベアリング30に形成される導入通路30Aを通じてロッド側室2に連通する。ロッド側通路111と第一内側通路113とは、ピストン10に形成される第一収容孔10Aを通じて連通する。
反ロッド側通路112は、ピストン10の外周に設けられるシール部材11よりも反ロッド側室3側のピストン10の外周面に開口して形成されて反ロッド側室3に連通する。反ロッド側通路112と第二内側通路114とは、ピストン10に形成される第二収容孔10Bを通じて連通する。第一収容孔10A及び第二収容孔10Bは、ピストン10の両端面のうち反ロッド側室3に対向する端面に開口してそれぞれ形成される。
環状通路115は、ピストン10の内周面に周方向に沿って環状に形成される。
チェック弁60は、ピストン10の第一収容孔10Aに設けられる。図6に示すように、チェック弁60は、第一収容孔10A内に設けられる筒状のケース61と、ケース61内に移動自在に設けられるポペット弁体65と、第一収容孔10Aの開口を塞ぐ第一プラグ70と、ポペット弁体65を閉弁方向に付勢する付勢部材としての第二コイルばね75と、を有する。
ケース61は、環状のポペットシート部62と、ポペット弁体65が収容されると共に一部が第一プラグ70に挿入される筒部63と、内外周面を貫通して筒部63に形成される筒部貫通孔63Aと、を有する。
ポペット弁体65は、筒状のポペット筒部66と、円錐台状に形成されポペットシート部62に当接するポペット当接部67と、を有する。ポペット弁体65は、第二コイルばね75の付勢力によりケース61のポペットシート部62に向けて、つまり閉弁方向に向けて押し付けられる。ポペット弁体65のポペット当接部67の外周面がポペットシート部62に当接することにより、ロッド側通路111と第一内側通路113との連通が遮断される。
第二コイルばね75は、ポペット弁体65と第一プラグ70との間に圧縮状態で介装される。第二コイルばね75の一端部は、ポペット弁体65の内周に収容される。第二コイルばね75の他端部は、第一プラグ70に形成されるばね収容凹部70Aに収容される。
第一プラグ70は、ねじ等によって固定されずに第一収容孔10A内に収容される。第一プラグ70の端面がナット35に当接することにより、第一収容孔10Aからのチェック弁60の抜けが防止される。
このように、ピストン10内にチェック弁60が設けられることにより、反ロッド側室3から再生通路110を通じてロッド側室2へ作動油が流れる内部リークが防止される。
再生弁80は、ピストン10の第二収容孔10B内に設けられる。再生弁80は、図7に示すように、第二収容孔10B内に設けられる筒状のスリーブ81と、スリーブ81内に移動自在に設けられ再生通路110の開閉を切り換える弁体としてのスプール90と、第二収容孔10Bの開口を塞ぐ第二プラグ86と、スプール90を閉弁方向に向けて付勢する付勢部材としての第三コイルばね85と、を有する。
スリーブ81は、軸方向に並んで設けられる第一スリーブ82及び第二スリーブ83によって構成される。第一スリーブ82は、第二スリーブ83に対向する端面に形成される凹部82Aを有する。これにより、第一スリーブ82と第二スリーブ83との境界には、段差が形成される。第一スリーブ82と第二スリーブ83との間の段差は、スプール90が当接可能な環状のシート部84である。
第一スリーブ82には、径方向に貫通して形成され第二内側通路114に連通する第一スリーブ通路116が形成される。第二スリーブ83には、径方向に貫通して形成され反ロッド側通路112に連通する第二スリーブ通路117が形成される。
スプール90は、第一スリーブ82の内周面に摺接する第一ランド部91と、第二スリーブ83の内周面に摺接する第二ランド部92と、第一ランド部91と第二ランド部92との間に形成され第一ランド部91及び第二ランド部92よりも小さい外径を有する小径軸部93と、第一ランド部91から径方向外側に突出して形成されスリーブ81のシート部84に当接する環状部94と、第一ランド部91の端面から第二収容孔10Bの底部に向かって突出して形成される突出部95と、を有する。
小径軸部93は第一、第二ランド部91,92の外径よりも小さいため、小径軸部93の外周には外周通路119が形成される。
環状部94の外径は、スリーブ81のシート部84の内径よりも大きく形成される。これにより、環状部94はシート部84に当接する。環状部94がスリーブ81のシート部84に当接することにより、第二内側通路114と反ロッド側通路112との連通が遮断される。
突出部95は、外径が第一ランド部91の外径よりも小さく形成される。これにより、第一ランド部91と突出部95との間には、ばね段差部95Aが形成される。
第三コイルばね85は、スプール90の突出部95によって内周が支持され、スプール90のばね段差部95Aと第二収容孔10Bの底部との間に区画されるばね収容室87に圧縮状態で介装される。第三コイルばね85は、スプール90の環状部94がスリーブ81のシート部84に当接する方向(閉弁方向)にスプール90を付勢する。
第二プラグ86は、ねじ等によって固定されずに第二収容孔10B内に収容される。第二プラグ86の端面がナット35に当接することにより、第二収容孔10Bからの再生弁80の抜けが防止される。
第二プラグ86には、スプール90の第二ランド部92の一部が収容される収容凹部86Aが形成される。スプール90の第二ランド部92と第二プラグ86の収容凹部86Aとの間には、パイロット室102が形成される。
パイロット通路101とパイロット室102とは、ピストン10と第二プラグ86とにわたって形成されるパイロット供給路103によって連通する。パイロット通路101からパイロット供給路103を通じてパイロット室102にパイロット圧が導かれることにより、スプール90が第三コイルばね85の付勢力に抗して移動する。これにより、スプール90の環状部94とスリーブ81のシート部84とが離間し、第二内側通路114と反ロッド側通路112とが連通する。
ばね収容室87とドレン通路107とは、ピストン10と第一スリーブ82とにわたって形成されるドレン排出路108によって連通する。このため、ばね収容室87の作動油は、ドレン通路107及びドレン排出路108を通じてタンクに排出される。これにより、スプール90の移動がばね収容室87内の作動油の圧力によって妨げられず、スプール90が第三コイルばね85を圧縮する方向に移動することができる。
次に、図2を参照して、作動油の再生時における再生弁80及びチェック弁60の動作について詳細に説明する。
油圧シリンダ100の伸長作動時では、ロッド側室2内の作動油は、クッションベアリング30の導入通路30A及び再生通路110のロッド側通路111を通じてチェック弁60のポペットシート部62の内側に導かれる。ポペットシート部62の内側に導かれる作動油の圧力により、ポペット弁体65が第二コイルばね75の付勢力に抗して図2中左側へ移動する。これにより、ポペット弁体65とポペットシート部62とが離間し、ポペットシート部62の内側に導かれた作動油は、筒部貫通孔63Aと第一収容孔10Aの内部を通過して、第一内側通路113に導かれる。第一内側通路113に導かれた作動油は、環状通路115を通じて第二内側通路114に導かれる。このようにして、ロッド側室2の作動油は、導入通路30A及びロッド側通路111を通じてチェック弁60を開弁し、第一内側通路113、環状通路115、第二内側通路114を通じて再生弁80へ導かれる。
油圧シリンダ100を伸長作動させる作業者のレバー操作がなされていない場合には、パイロット室102にパイロット圧は導かれず、再生弁80は第三コイルばね85の付勢力により遮断ポジション80Aになる。具体的には、パイロット室102にパイロット圧が導かれていない状態では、スプール90が第三コイルばね85によって付勢されて、環状部94がスリーブ81のシート部84に当接して、再生弁80が遮断ポジション80Aをとる。
作業者のレバー操作に応じてパイロット室102にパイロット圧が導かれると、スプール90は第三コイルばね85の付勢力に抗して図2中右方向に移動し、スプール90の環状部94とスリーブ81のシート部84とが離間する。よって、第二内側通路114と反ロッド側通路112とが、第一スリーブ通路116、外周通路119、及び第二スリーブ通路117を通じて、互いに連通する。このようにして、再生弁80は、遮断ポジション80Aから連通ポジション80Bに切り換わる。再生弁80に導かれた作動油は、第一スリーブ通路116及び第二スリーブ通路117を通じ、反ロッド側通路112を通過して、反ロッド側室3に導かれる。
以上のように、ロッド側室2内の作動油が再生通路110を通じて反ロッド側室3に導かれ、作動油の再生が行われる。
油圧シリンダ100の伸長ストローク端付近では、図2に示すように、クッションベアリング30とベアリング受容部16とによって、クッション通路5が形成される。導入通路30Aは、クッション通路5を通過した作動油をロッド側通路111に導くように、ピストン10とは反対側のクッションベアリング30の端面に開口して形成される。このため、作動油がクッション通路5を通過し抵抗が付与されてクッション作用が発揮されると共に、ロッド側室2の作動油が導入通路30Aに導かれ、作動油の再生が行われる。
言い換えれば、油圧シリンダ100は、例えば、ロッド側通路111が導入通路30Aを介さずに直接ロッド側室2に連通する構成や、導入通路30Aがピストン10に近い位置におけるクッションベアリング30の外周に開口して形成される構成を備えるものではない。このため、作動油がクッション通路5を通過せずにロッド側室2に導かれてクッション作用が発揮されないという事態を防止できる。したがって、クッション作用を妨げることなく、ロッド側室2の作動油をロッド側通路111に導くことができる。
ここで、再生弁80がスリーブ81を有さず、再生通路110がピストン10にのみ形成される場合には、ピストン10に外力が作用すると、ピストン10がわずかに弾性変形し、再生弁80のスプール90によって再生通路110を完全に遮断できなくなるおそれがある。この場合には、再生弁80内で内部リークが発生し、油圧シリンダ100の制御性の低下や、負荷保持状態で油圧シリンダ100が完全に停止しなくなるおそれがある。
これに対し、油圧シリンダ100の再生弁80はスプール90を移動自在に収容するスリーブ81を有し、スリーブ81には再生通路110の一部を構成する第一、第二スリーブ通路116,117が形成される。スプール90は、スリーブ81のシート部84に当接することにより、再生通路110を遮断する。このように、ピストン10とは別部材のスリーブ81におけるシート部84にスプール90が当接して再生通路110を遮断するため、ピストン10に外力が作用しても、スリーブ81が弾性変形することはなく、スプール90によって再生通路110を確実に遮断することができる。
油圧シリンダ100の収縮作動時には、パイロット圧が再生弁80のパイロット室102に導かれず、再生弁80は遮断ポジション80Aに切り換わる。これにより、再生通路110は遮断されるため、ロッド側室2に供給された作動油が再生通路110を通じて反ロッド側室3に導かれる内部リークが防止される。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
油圧シリンダ100では、再生通路110がピストン10に形成されると共に再生弁80がピストン10内に設けられるため、再生弁80とロッド側室2及び反ロッド側室3とを配管によって接続する必要がない。よって、再生通路110における圧力損失が低減される。したがって、油圧シリンダ100によれば、作動油の再生効率を向上させることができる。
また、作動油の再生効率を向上させることができるため、油圧シリンダ100を伸長作動させる際のポンプの負荷を低減することができる。
また、油圧シリンダ100では、ピストン10内にチェック弁60が設けられるため、チェック弁60に接続される油圧配管も不要となる。したがって、油圧配管による圧力損失をより低減することができ、作動油の再生効率をより向上させることができる。
また、ピストン10よりも小さい別部品のスリーブ81に再生通路110の一部である第一、第二スリーブ通路116,117を形成することにより、再生通路110の全てをピストン10に形成する場合と比較して、再生通路110の加工を容易に行うことができる。つまり、第一、第二スリーブ通路116,117が形成されたスリーブ81をピストン10に収容することにより、再生通路110を容易に構成することができるため、ピストン10に複雑な再生通路110を形成する必要がない。また、加工が容易であるため、再生通路110の加工精度を向上させることができる。
また、導入通路30Aは、ピストン10とは反対側のクッションベアリング30の端面に開口するため、ロッド側通路111には、クッション通路5を通過した作動油が導かれる。これにより、クッション機能を損なうことなく、作動油の再生を行うことができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
油圧シリンダ100は、筒状のシリンダチューブ1と、シリンダチューブ1内をロッド側室2と反ロッド側室3とに区画すると共にシリンダチューブ1の内周面に沿って摺動するピストン10と、ピストン10に連結されシリンダチューブ1に挿入されるピストンロッド20と、ロッド側室2の作動油を反ロッド側室3に導いて再生させる再生機構50と、を備え、再生機構50は、ピストン10に形成されロッド側室2内の作動油を反ロッド側室3へ導く再生通路110と、ピストン10内に設けられ再生通路110を通過する作動油の流れを制御する再生弁80と、を有する。
この構成では、再生通路110がピストン10に形成されると共に再生弁80がピストン10内に設けられるため、再生弁80とロッド側室2及び反ロッド側室3とを配管によって接続する必要がない。よって、再生通路110における圧力損失が低減される。したがって、油圧シリンダ100の再生効率を向上させることができる。
また、油圧シリンダ100は、再生機構50が、ピストン10内に設けられロッド側室2から反ロッド側室3への再生通路110を通じた作動油の通過を許容すると共に反ロッド側室3からロッド側室2への再生通路110を通じた作動油の通過を遮断するチェック弁60をさらに備える。
この構成では、チェック弁60により反ロッド側室3からロッド側室2に導かれる内部リークが防止されると共に、チェック弁60に接続される配管も不要となる。よって、再生通路110における圧力損失が低減される。したがって、油圧シリンダ100の再生効率をさらに向上させることができる。
また、油圧シリンダ100は、シリンダチューブ1に取り付けられロッド側室2から排出される作動油の流量を制御するスローリターン弁40をさらに備える。
この構成によれば、スローリターン弁40がシリンダチューブ1に取り付けられるため、油圧シリンダ100の構成をコンパクトにすることができる。
また、油圧シリンダ100は、再生弁80が、再生通路110の一部である第一、第二スリーブ通路116,117が形成される筒状のスリーブ81と、スリーブ81内に移動自在に設けられ再生通路110の開閉を切り換えるスプール90と、を有する。
この構成では、ピストン10には再生通路110の全ては形成されずに、ピストン10よりも小さいスリーブ81に再生通路110の一部である第一、第二スリーブ通路116,117が形成される。したがって、再生通路110の加工を容易に行うことができる。
また、油圧シリンダ100は、再生弁80が、スリーブ81内に設けられ再生通路110の連通を遮断する方向にスプール90を付勢する第三コイルばね85をさらに有し、ピストンロッド20には、スプール90に作用することによりスプール90を第三コイルばね85の付勢力に抗して移動させるパイロット圧を導くパイロット通路101が形成される。
この構成では、ピストンロッド20に形成されるパイロット通路101を通じてピストン10内の再生弁80にパイロット圧が導かれる。
また、油圧シリンダ100は、ピストンロッド20の外周に設けられるクッションベアリング30と、ピストンロッド20の伸長ストローク端付近でクッションベアリング30の進入を許容するベアリング受容部16と、伸長ストローク端付近でクッションベアリング30がベアリング受容部16の内側に進入した際に、クッションベアリング30とベアリング受容部16との間に形成され通過する作動油の流れに抵抗を付与するクッション通路5と、をさらに備え、クッションベアリング30には、クッション通路5を通過した作動油を再生通路110のロッド側通路111に導く導入通路30Aが形成される。
この構成では、導入通路30Aがクッション通路5を通過した作動油を再生通路110のロッド側通路111に導くように形成されるため、ロッド側室2から排出される作動油がクッション通路5を通過せずにロッド側通路111に導かれることがない。この構成によれば、油圧シリンダ100のクッション作用を妨げることなく、ロッド側室2の作動油を再生通路110のロッド側通路111に導くことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、油圧ショベルのアームを伸縮する油圧シリンダ100について説明した。油圧シリンダ100は、アームを伸縮するものに限らず、油圧ショベルのブームを伸縮するものでもよい。また、油圧シリンダ100は、その他の建設機械に用いられるものでもよい。さらに、建設機械に限らず、例えば油圧プレス機に用いられるものでもよい。このように、油圧シリンダ100は、再生機構50によって伸長作動時に作動油が再生させるものであれば、その他の機械や設備にも使用することができる。
また、上記実施形態では、油圧シリンダ100は、クッションベアリング30を備え、クッション通路5によってクッション作用を発揮するものである。これに代えて、油圧シリンダ100は、クッションベアリング30を備えていなくてもよい。この場合には、ロッド側通路111は、ロッド側室2に連通するようにピストン10に形成すればよい。
100…油圧シリンダ、1…シリンダチューブ、2…ロッド側室、3…反ロッド側室、5…クッション通路、10…ピストン、15…シリンダヘッド、16…ベアリング受容部、20…ピストンロッド、30…クッションベアリング、30A…導入通路、40…スローリターン弁、50…再生機構、60…チェック弁、80…再生弁、81…スリーブ、85…第三コイルばね(付勢部材)、90…スプール(弁体)、101…パイロット通路、102…パイロット室、110…再生通路、116…第一スリーブ通路(再生通路の一部)、117…第二スリーブ通路(再生通路の一部)

Claims (6)

  1. 筒状のシリンダチューブと、
    前記シリンダチューブ内をロッド側室と反ロッド側室とに区画すると共に前記シリンダチューブの内周面に沿って摺動するピストンと、
    前記ピストンに連結され前記シリンダチューブに挿入されるピストンロッドと、
    前記ロッド側室の作動流体を前記反ロッド側室に導いて再生させる再生機構と、を備え、
    前記再生機構は、
    前記ピストンに形成され前記ロッド側室内の作動流体を前記反ロッド側室へ導く再生通路と、
    前記ピストン内に設けられ前記再生通路を通過する作動流体の流れを制御する再生弁と、を有することを特徴とする流体圧シリンダ。
  2. 前記再生機構は、前記ピストン内に設けられ前記ロッド側室から前記反ロッド側室への前記再生通路を通じた作動流体の通過を許容すると共に前記反ロッド側室から前記ロッド側室への前記再生通路を通じた作動流体の通過を遮断するチェック弁をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。
  3. 前記シリンダチューブに取り付けられ前記ロッド側室から排出される作動流体の流量を制御するスローリターン弁をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧シリンダ。
  4. 前記再生弁は、
    前記再生通路の一部が形成される筒状のスリーブと、
    前記スリーブ内に移動自在に設けられ前記再生通路の開閉を切り換える弁体と、を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の流体圧シリンダ。
  5. 前記再生弁は、前記スリーブ内に設けられ前記再生通路の連通を遮断する方向に前記弁体を付勢する付勢部材をさらに有し、
    前記ピストンロッドには、前記弁体に作用することにより前記弁体を前記付勢部材の付勢力に抗して移動させるパイロット圧を導くパイロット通路が形成されることを特徴とする請求項4に記載の流体圧シリンダ。
  6. 前記ピストンロッドの外周に設けられるクッションベアリングと、
    前記ピストンロッドの伸長ストローク端付近で前記クッションベアリングの進入を許容するベアリング受容部と、
    伸長ストローク端付近で前記クッションベアリングが前記ベアリング受容部の内側に進入した際に、前記クッションベアリングと前記ベアリング受容部との間に形成され通過する作動流体の流れに抵抗を付与するクッション通路と、をさらに備え、
    前記クッションベアリングには、前記クッション通路を通過した作動流体を前記再生通路に導く導入通路が形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の流体圧シリンダ。
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