JP2019157950A - 制御弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】チェック弁の応答性を向上する。【解決手段】制御弁100は、スプール12の両端に臨む第1、第2パイロット室14,15と、第1、第2パイロット室14,15のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路18と、第1パイロット室14と信号圧通路18とを連通する連通溝19と、第2パイロット室15と信号圧通路18とを連通する連通孔20と、連通孔20に介装され、第2パイロット室15から信号圧通路18への流通のみを許容するチェック弁21と、スプール12に形成され、チェック弁21を収容する弁収容部40と、を備え、弁収容部40は、Oリング70により連通孔20とチェック弁21の背面側の空間S2とに区画され、スプール12には、空間S2と連通溝19とを連通するドレン通路22が形成される。【選択図】図2
Description
本発明は、制御弁に関する。
パイロット圧の作用で切り換わり、そのパイロット圧を他の機器に導く制御弁が知られている(特許文献1参照)。この制御弁は、バルブハウジングに摺動自在に組み込まれたスプールと、スプールの両端に臨んで配置された第1パイロット室及び第2パイロット室と、を備え、第1パイロット室及び第2パイロット室のいずれか一方に導かれるパイロット圧の作用でスプールが移動する。
バルブハウジングには、第1パイロット室または第2パイロット室のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路が形成される。スプールには、第1パイロット室にパイロット圧が導かれスプールが移動したときに第1パイロット室と信号圧通路とを連通する連通溝と、第2パイロット室にパイロット圧が導かれスプールが移動したときに第2パイロット室と信号圧通路とを連通する連通孔と、が形成される。連通孔には、第2パイロット室から信号圧通路への流通のみを許容するチェック弁が介装される。
第1パイロット室には、スプールの一端部にばね力を付与するセンタリングスプリングが収装されている。スプールの一端部の開口には、第1パイロット室内に延在するロッドの基端部がねじ締結されている。第1パイロット室内には、ロッドの外周に沿って摺動可能な一対のバネ受部材が収容され、センタリングスプリングが一対のバネ受部材の間に介装される。
上記特許文献1に記載の制御弁では、スプールの一端部にロッドの基端部がねじ締結されているため、第1パイロット室にパイロット圧が導かれたときに、スプールの一端部とロッドとの結合部(ねじ締結部)を通じて、第1パイロット室からチェック弁側に作動油が入り込むおそれがある。チェック弁側に作動油が入り込むと、チェック弁の背面(シート部に着座する着座部とは反対側の面)と、ロッドの基端部の端面との間の空間の圧力が上昇する。
その後、第1パイロット室がタンクに接続されると、チェック弁の背面とロッドの基端部の端面との間の空間の圧力は、スプールの一端部とロッドとの結合部(ねじ締結部)を通じてタンクに抜けることになる。しかしながら、チェック弁の背面と基端部の端面との間の空間の圧力がタンク圧に低下するまでには時間を要する。このため、第2パイロット室にパイロット圧が導かれたときに、チェック弁の背面側の空間の圧力がこもった状態であると、第2パイロット室の圧力に応じたチェック弁の開弁動作が阻害され、チェック弁の応答性が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、チェック弁の応答性を向上することを目的とする。
第1の発明は、制御弁であって、バルブハウジングに摺動自在に組み込まれたスプールと、スプールの両端に臨んで配置された第1パイロット室及び第2パイロット室と、バルブハウジングに形成され、第1パイロット室または第2パイロット室のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路と、スプールに形成され、スプールが中立位置にあるときに第1パイロット室と信号圧通路とを連通する連通溝と、スプールに形成され、第2パイロット室と信号圧通路とを連通する連通孔と、連通孔に介装され、第2パイロット室から信号圧通路への流通のみを許容するチェック弁と、スプールに形成され、チェック弁を収容する弁収容部と、を備え、連通溝は、第1パイロット室にパイロット圧が導かれスプールが移動したときには第1パイロット室と信号圧通路とを連通する一方、第2パイロット室にパイロット圧が導かれスプールが移動したときには第1パイロット室と信号圧通路との連通を遮断し、弁収容部は、シール部材により連通孔とチェック弁の背面側の空間とに区画され、スプールには、空間と連通溝とを連通するドレン通路が形成されることを特徴とする。
第1の発明では、第2パイロット室にパイロット圧が導かれ、第1パイロット室がタンクに連通したときに、シール部材によって区画されるチェック弁の背面側の空間が、ドレン通路、連通溝及び第1パイロット室を介してタンクに連通する。これにより、第2パイロット室にパイロット圧が導かれたときに、シール部材によって区画されるチェック弁の背面側の空間の圧力をタンク圧まで直ちに低下させることができる。
第2の発明は、弁収容部が、スプールの一端面に開口し、弁収容部の開口が、第1パイロット室内に臨む閉塞部材により閉塞され、閉塞部材が、弁収容部の開口にねじ締結されることを特徴とする。
第2の発明では、閉塞部材によりチェック弁の移動量を規制することができる。
第3の発明は、チェック弁が、連通孔を開閉するポペット部と、シール部材が設けられるスペーサ部と、を有し、ポペット部が、連通孔に設けられるシート部に着座する着座部と、着座部とは反対側に開口する第1内部通路と、外周面に開口し第1内部通路に連通する第1貫通孔と、を有し、スペーサ部が、第1内部通路に対向して開口する第2内部通路と、外周面に開口し第2内部通路に連通する第2貫通孔と、を有し、連通孔が、スペーサ部の第2貫通孔とバルブハウジングの信号圧通路とを連通する連通路を有することを特徴とする。
第3の発明では、第2パイロット室のパイロット圧をポペット部の第1内部通路及びスペーサ部の第2内部通路を通じて、信号圧通路に導くことができる。
本発明によれば、チェック弁の応答性を向上することができる。
図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る制御弁100について説明する。
制御弁100は、アクチュエータに対する作動流体の給排を切り換え、アクチュエータの動作を制御するものである。作動流体として作動油を用いる例について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
図1は、制御弁100を示す断面図である。図1に示すように、制御弁100は、バルブハウジング1と、バルブハウジング1に摺動自在に組み込まれたスプール12と、スプール12の両端のそれぞれに臨んで配置された第1パイロット室14及び第2パイロット室15と、第1パイロット室14内に収装されスプール12の一端部にばね力を付与する付勢部材としてのセンタリングスプリング13と、を備える。
スプール12の一端部には第1パイロット室14内に延在するロッド30が結合される。第1パイロット室14内にはロッド30の外周に沿って摺動可能な一対のバネ受部材31,32が収容され、センタリングスプリング13は一対のバネ受部材31,32の間に介装される。
バルブハウジング1には、アクチュエータに連通する一対のアクチュエータポート16,17が形成される。
第1パイロット室14及び第2パイロット室15の双方にパイロット圧が作用していないときには、第1パイロット室14及び第2パイロット室15は大気圧に維持されたタンクに連通する。これにより、スプール12はセンタリングスプリング13の付勢力によって中立位置に保持される。この状態では、アクチュエータポート16,17を通じてのアクチュエータへの作動油の給排が遮断され、アクチュエータは停止した状態を保つ。
作業者のレバー操作によって第1パイロット室14及び第2パイロット室15の一方にパイロット圧が導かれると、そのパイロット圧の作用でスプール12がセンタリングスプリング13のばね力に抗して移動し、アクチュエータが動作する。この際、第1パイロット室14及び第2パイロット室15の他方はタンクに連通する。
具体的には、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれ第2パイロット室15がタンクに連通すると、スプール12がセンタリングスプリング13のばね力に抗して図1中右方向に移動する。スプール12が図1中右方向に移動すると、アクチュエータポート17がポンプポート3を介して油圧供給源としてのポンプに連通し、アクチュエータポート16がタンクポート4を介してタンクに連通する。これにより、ポンプから吐出された作動油がアクチュエータポート17を通じてアクチュエータへ供給されると共に、アクチュエータからアクチュエータポート16を通じてタンクへ作動油が排出され、アクチュエータが一方向へ動作する。
第2パイロット室15にパイロット圧が導かれ第1パイロット室14がタンクに連通すると、スプール12がセンタリングスプリング13のばね力に抗して図1中左方向に移動する。スプール12が図1中左方向に移動すると、アクチュエータポート16がポンプポート3を介してポンプに連通し、アクチュエータポート17がタンクポート4を介してタンクに連通する。これにより、ポンプから吐出された作動油がアクチュエータポート16を通じてアクチュエータへ供給されると共に、アクチュエータからアクチュエータポート17を通じてタンクへ作動油が排出され、アクチュエータが他方向へ動作する。
バルブハウジング1には、第1パイロット室14または第2パイロット室15のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路18が形成される。
スプール12の一端部の外周面には、第1パイロット室14に開口する連通溝19が環状に形成される。連通溝19は、スプール12が中立位置にあるときに第1パイロット室14と信号圧通路18とを連通する。
連通溝19は、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれスプール12が図1中右方向に移動したときには、信号圧通路18との連通状態を保ち、第1パイロット室14と信号圧通路18とを連通する。一方、連通溝19は、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれスプール12が図1中左方向に移動したときには、信号圧通路18から離隔し、第1パイロット室14と信号圧通路18との連通を遮断する。
スプール12には、第2パイロット室15と信号圧通路18とを連通する連通孔20が形成される。連通孔20には、第2パイロット室15から信号圧通路18への流通のみを許容するチェック弁21が介装される。
連通孔20には、スプール12の一端面(図1中左端面)に開口する弁収容部40が形成され、この弁収容部40にチェック弁21が収容される。連通孔20は、スプール12の他端面(図1中右端面)から軸方向に沿って延在する第1通路20aと、弁収容部40の一部と、弁収容部40からスプール12の外周に亘って延在する第2通路20bと、を有する。なお、軸方向とは、スプール12の中心軸方向、すなわちスプール12の移動方向である。
弁収容部40の開口は、第1パイロット室14内に臨む閉塞部材としてのロッド30により閉塞される。ロッド30は、弁収容部40の開口にねじ締結される。
図2は、スプール12の一端部を拡大して示す拡大断面図であり、チェック弁21が開弁している状態を示す。図2に示すように、チェック弁21は、連通孔20を開閉するポペット部50と、ポペット部50の開方向への移動量を規制するスペーサ部60と、スペーサ部60と弁収容部40との間をシールするシール部材としてのOリング70と、を有する。
弁収容部40は、ポペット部50が収容される第1収容孔41と、スペーサ部60が収容される第2収容孔42と、ロッド30の基端部33が収容される第3収容孔43と、を有する。第1収容孔41、第2収容孔42及び第3収容孔43は、それぞれ円形状の開口断面を有し、それぞれ同軸に形成される。
ロッド30の基端部33の外周には、第3収容孔43の内周に形成された雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。つまり、ロッド30の基端部33の外周と弁収容部40の第3収容孔43の内周とが、ロッド30と弁収容部40のねじ締結部11を構成する。
第1収容孔41は、ポペット部50が摺動する摺動孔41aと、ポペット部50が着座するシート部41bと、を有する。摺動孔41aの内径は、第2収容孔42の内径よりも小さい。
ポペット部50は、連通孔20に設けられるシート部41bに着座する円錐台形状の着座部51と、摺動孔41aに沿って摺動自在な摺動部54と、着座部51と摺動部54とを接続する円筒部55と、着座部51とは反対側の端面である背面50aに開口する第1内部通路52と、円筒部55の外周面に開口し第1内部通路52に連通する第1貫通孔53と、を有する。円筒部55の外径は、摺動部54の外径よりも小さい。このため、円筒部55の外周面と、第1収容孔41の摺動孔41aの内周面との間には、作動油の流通路が形成される。
スペーサ部60は、ポペット部50に当接する当接部61と、第2収容孔42に沿って摺動自在な摺動部62と、を有する。当接部61及び摺動部62は、それぞれ円形状の断面を有し、それぞれ同軸に形成される。
スペーサ部60は、ポペット部50が開弁状態であるときに、その先端面60aがポペット部50に当接し、先端面60aとは反対側の背面60bがロッド30の基端部33に当接する。
ポペット部50は、背面50aがスペーサ部60の先端面60aに当接し、スペーサ部60の背面60bがロッド30の基端部33に当接することにより、開方向への移動量が規制される。つまり、ロッド30の基端部33が、チェック弁21の移動量を規制する。スペーサ部60の先端面60aにポペット部50の背面50aが当接した状態では、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときのポペット部50の開き量が十分に確保される。
スペーサ部60の当接部61には、ポペット部50の第1内部通路52に対向して開口する第2内部通路64と、当接部61の外周面に開口し第2内部通路64に連通する第2貫通孔65が形成される。当接部61の外径は、摺動部62の外径よりも小さい。このため、当接部61の外周面と、第2収容孔42の内周面との間には、作動油の流通路が形成される。
摺動部62には、円環状の溝62aが形成され、この溝62aにOリング70が装着される。スペーサ部60に設けられるOリング70は、第2収容孔42と、スペーサ部60との間の隙間を埋めるように配置される。したがって、弁収容部40は、Oリング70によって、ポペット部50側、すなわちスペーサ部60の先端面60a側(図2中右側)の空間S1と、ロッド30の基端部33側、すなわちスペーサ部60の背面60b側(図2中左側)の空間S2とに区画される。空間S1は、上述の連通孔20の一部を構成する。
空間S1を区画する第2収容孔42の内周面には、上述した第2通路20bの一端が接続される。つまり、スプール12に形成される第2通路20bは、スペーサ部60の第2貫通孔65とバルブハウジング1の信号圧通路18(図1参照)とを連通する連通路である。
スプール12には、Oリング70によって区画されるスペーサ部60の背面60b側の空間S2と、連通溝19とを連通するドレン通路22が形成される。ドレン通路22の一端は第3収容孔43の内周面に開口し、ドレン通路22の他端は連通溝19の底面に開口する。ドレン通路22は、後述するように、スペーサ部60の背面60b側、すなわちチェック弁21の背面側の空間S2における圧ごもりを防止するために設けられる。
次に、制御弁100の動作について説明する。
図1に示すように、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれてスプール12がパイロット圧の作用で図1中右方向に移動すると、アクチュエータポート17がポンプに連通し、アクチュエータポート16がタンクに連通する。この際、連通溝19は信号圧通路18との連通状態を保っているため、第1パイロット室14のパイロット圧は連通溝19を通じて信号圧通路18に導かれる。
連通孔20にはチェック弁21が介装されているため、第1パイロット室14のパイロット圧が信号圧通路18、連通孔20及び第2パイロット室15を通じてタンクに抜けてしまうことはない。図3に示すように、チェック弁21は、第1パイロット室14のパイロット圧が連通溝19、信号圧通路18(図1参照)及び第2通路20bを通じてポペット部50に作用し、ポペット部50の着座部51がシート部41bに着座することにより、閉弁状態となる。
スプール12が図1中右方向に移動した後、第1パイロット室14がタンクに連通すると、スプール12が図1に示す中立位置に復帰する。第1パイロット室14は連通溝19を介して信号圧通路18に連通しているため、信号圧通路18の圧力は連通溝19及び第1パイロット室14を通じてタンクに抜ける。したがって、信号圧通路18に圧力がこもったりせず、信号圧通路18に接続された他の機器が誤動作することはない。
第2パイロット室15にパイロット圧が導かれてスプール12がパイロット圧の作用で図1中左方向に移動すると、アクチュエータポート16がポンプに連通し、アクチュエータポート17がタンクに連通する。この際、第2パイロット室15に導かれたパイロット圧は、連通孔20の第1通路20aを通じてチェック弁21に作用し、チェック弁21のポペット部50を押し開いて信号圧通路18に導かれる。
具体的には、第2パイロット室15のパイロット圧は、図2に示すように、スプール12の第1通路20a、チェック弁21の着座部51とシート部41bとの間、摺動孔41aとポペット部50の円筒部55の外周との間、ポペット部50の第1貫通孔53、ポペット部50の第1内部通路52、スペーサ部60の第2内部通路64、スペーサ部60の第2貫通孔65、スペーサ部60の当接部61の外周と第2収容孔42との間、スプール12の第2通路20bを通じて、信号圧通路18に導かれる。このように、本実施形態では、第2パイロット室15のパイロット圧をポペット部50の第1内部通路52及びスペーサ部60の第2内部通路64を通じて、信号圧通路18(図1参照)に導くことができる。
このとき、連通溝19は信号圧通路18から離隔しているため、第2パイロット室15のパイロット圧が信号圧通路18を通じて第1パイロット室14からタンクに抜けてしまうことはない。
スプール12が図1中左方向に移動した後、第2パイロット室15がタンクに連通すると、スプール12が図1に示す中立位置に復帰する。これにより、連通溝19が信号圧通路18と連通するため、信号圧通路18の圧力は連通溝19及び第1パイロット室14を通じてタンクに抜ける。したがって、信号圧通路18に圧力がこもったりせず、信号圧通路18に接続された他の機器が誤動作することはない。
次に、本実施形態のドレン通路22が設けられない場合について説明する。第1パイロット室14にパイロット圧が導かれると、ポペット部50がシート部41bに着座し、チェック弁21が閉弁状態となる。このとき、スプール12の一端部とロッド30との結合部であるねじ締結部11を通じて、第1パイロット室14からチェック弁21側に作動油が入り込むおそれがある。第1パイロット室14にパイロット圧が導かれ、第2パイロット室15がタンクに連通している状態、すなわち、第1パイロット室14の圧力が第2パイロット室15の圧力(タンク圧)よりも高い状態が維持されると、スペーサ部60の背面60b側の空間S2の圧力が上昇する。
その結果、スペーサ部60は、閉弁状態のポペット部50に向かって軸方向に移動し、ポペット部50をシート部41bに押し付けるようにポペット部50を押圧する。その後、第1パイロット室14がタンクに連通すると、スペーサ部60の背面60b側の空間S2の圧力は、スプール12の一端部とロッド30とのねじ締結部11を通じてタンクに抜けることになる。しかしながら、スペーサ部60の背面60b側の空間S2の圧力がタンク圧に低下するまでには時間を要する。したがって、空間S2の圧力がタンク圧にまで低下していない状態(圧がこもった状態)において、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときに、第2パイロット室15の圧力に応じたポペット部50の開弁動作がスペーサ部60により阻害され、チェック弁21の応答性が悪化してしまう。
これに対し、本実施形態では、スペーサ部60の背面60b側の空間S2と連通溝19とを連通するドレン通路22が、スプール12に形成される。ドレン通路22が形成されることで、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれた状態から、第1パイロット室14がタンクに連通すると、ドレン通路22、連通溝19及び第1パイロット室14を介して、スペーサ部60の背面60b側の空間S2とタンクとが連通する。ドレン通路22を作動油が通過する際の通過抵抗は、ねじ締結部11を作動油が通過する際の通過抵抗に比べて小さい。このため、第1パイロット室14がタンクに連通すると、ドレン通路22を通じて、空間S2からタンクに速やかに圧力が抜けることになる。
このように、本実施形態では、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれ、第1パイロット室14がタンクに連通したときに、Oリング70によって区画されるチェック弁21の背面側の空間S2が、ドレン通路22、連通溝19及び第1パイロット室14を介してタンクに連通する。これにより、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときに、Oリング70によって区画されるチェック弁21の背面側の空間S2の圧力を、タンク圧まで直ちに低下させることができる。その結果、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときには、スペーサ部60がポペット部50と共に図中左方向へとスムーズに移動し、第2パイロット室15のパイロット圧が信号圧通路18を通じて他の機器に直ちに導かれることになる。このように、本実施形態によれば、チェック弁21の応答性をドレン通路22が形成されない場合に比べて向上することができる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
スプール12には、チェック弁21と弁収容部40との間をシールするOリング70によって区画されるスペーサ部60の背面60b側の空間S2と、連通溝19とを連通するドレン通路22が形成される。これにより、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれ、第1パイロット室14がタンクに連通したときに、Oリング70によって区画されるチェック弁21の背面側の空間S2が、ドレン通路22、連通溝19及び第1パイロット室14を介してタンクに連通する。
これにより、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれたときに、第1パイロット室14のパイロット圧がねじ締結部11を通じて空間S2に導かれ、空間S2の圧力がタンク圧よりも上昇した場合であっても、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときには、空間S2の圧力が速やかにタンクに抜ける。したがって、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときに、チェック弁21の背面側の空間S2の圧力をタンク圧まで直ちに低下させることができる。つまり、本実施形態によれば、空間S2の圧ごもりに起因してチェック弁21の開弁動作に遅れが生じることを防止することができ、チェック弁21の応答性を向上することができる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
ドレン通路22の本数は、1本でもよいし、複数本であってもよい。
ドレン通路22の本数は、1本でもよいし、複数本であってもよい。
<変形例2>
上記実施形態では、ドレン通路22が、第3収容孔43と連通溝19とを連通する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ドレン通路22は、スペーサ部60の背面60b側の空間S2と、連通溝19とを連通する構成であればよい。例えば、ドレン通路22の一端を第2収容孔42の内周面に開口させてもよい。
上記実施形態では、ドレン通路22が、第3収容孔43と連通溝19とを連通する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ドレン通路22は、スペーサ部60の背面60b側の空間S2と、連通溝19とを連通する構成であればよい。例えば、ドレン通路22の一端を第2収容孔42の内周面に開口させてもよい。
<変形例3>
上記実施形態では、ポペット部50とスペーサ部60とが別体である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ポペット部50とスペーサ部60とは接着、あるいは一体成形により、分離不能な一部品として形成してもよい。ポペット部50とスペーサ部60とが一体成形される場合、第1内部通路52及び第2内部通路64は、スペーサ部60の背面側から形成され、その開口部はプラグ等により閉塞される。
上記実施形態では、ポペット部50とスペーサ部60とが別体である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ポペット部50とスペーサ部60とは接着、あるいは一体成形により、分離不能な一部品として形成してもよい。ポペット部50とスペーサ部60とが一体成形される場合、第1内部通路52及び第2内部通路64は、スペーサ部60の背面側から形成され、その開口部はプラグ等により閉塞される。
<変形例4>
上記実施形態では、ねじ締結部11を通じて第1パイロット室14からスペーサ部60の背面60b側の空間S2に作動油が入り込むことにより上昇した空間S2の圧力を、第1パイロット室14がタンクに連通したときに、直ちにタンクに逃がす例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1パイロット室14にパイロット圧が導かれたときに、スペーサ部60の背面60b側の空間S2の圧力が上昇する形態の種々の制御弁に本発明を適用することができる。
上記実施形態では、ねじ締結部11を通じて第1パイロット室14からスペーサ部60の背面60b側の空間S2に作動油が入り込むことにより上昇した空間S2の圧力を、第1パイロット室14がタンクに連通したときに、直ちにタンクに逃がす例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1パイロット室14にパイロット圧が導かれたときに、スペーサ部60の背面60b側の空間S2の圧力が上昇する形態の種々の制御弁に本発明を適用することができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、および効果をまとめて説明する。
制御弁100は、バルブハウジング1に摺動自在に組み込まれたスプール12と、スプール12の両端に臨んで配置された第1パイロット室14及び第2パイロット室15と、バルブハウジング1に形成され、第1パイロット室14または第2パイロット室15のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路18と、スプール12に形成され、スプール12が中立位置にあるときに第1パイロット室14と信号圧通路18とを連通する連通溝19と、スプール12に形成され、第2パイロット室15と信号圧通路18とを連通する連通孔20と、連通孔20に介装され、第2パイロット室15から信号圧通路18への流通のみを許容するチェック弁21と、スプール12に形成され、チェック弁21を収容する弁収容部40と、を備え、連通溝19は、第1パイロット室14にパイロット圧が導かれスプール12が移動したときには第1パイロット室14と信号圧通路18とを連通する一方、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれスプール12が移動したときには第1パイロット室14と信号圧通路18との連通を遮断し、弁収容部40は、シール部材としてのOリング70により連通孔20とチェック弁21の背面側の空間S2とに区画され、スプール12には、空間S2と連通溝19とを連通するドレン通路22が形成される。
この構成では、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれ、第1パイロット室14がタンクに連通したときに、Oリング70によって区画されるチェック弁21の背面側の空間S2が、ドレン通路22、連通溝19及び第1パイロット室14を介してタンクに連通する。これにより、第2パイロット室15にパイロット圧が導かれたときに、Oリング70によって区画されるチェック弁21の背面側の空間S2の圧力をタンク圧まで直ちに低下させることができる。空間S2の圧ごもりに起因してチェック弁21の開弁動作に遅れが生じることを防止することができるので、チェック弁21の応答性を向上することができる。
制御弁100は、弁収容部40が、スプール12の一端面に開口し、弁収容部40の開口が、第1パイロット室14内に臨む閉塞部材としてのロッド30により閉塞され、ロッド30が、弁収容部40の開口にねじ締結される。
この構成では、ロッド30によりチェック弁21の移動量を規制することができる。
制御弁100は、チェック弁21が、連通孔20を開閉するポペット部50と、Oリング70が設けられるスペーサ部60と、を有し、ポペット部50が、連通孔20に設けられるシート部41bに着座する着座部51と、着座部51とは反対側に開口する第1内部通路52と、外周面に開口し第1内部通路52に連通する第1貫通孔53と、を有し、スペーサ部60が、第1内部通路52に対向して開口する第2内部通路64と、外周面に開口し第2内部通路64に連通する第2貫通孔65と、を有し、連通孔20が、スペーサ部60の第2貫通孔65とバルブハウジング1の信号圧通路18とを連通する連通路としての第2通路20bを有する。
この構成では、第2パイロット室15のパイロット圧をポペット部50の第1内部通路52及びスペーサ部60の第2内部通路64を通じて、信号圧通路18に導くことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
1・・・バルブハウジング、12・・・スプール、14・・・第1パイロット室、15・・・第2パイロット室、18・・・信号圧通路、19・・・連通溝、20・・・連通孔、20b・・・第2通路(連通路)、21・・・チェック弁、22・・・ドレン通路、30・・・ロッド(閉塞部材)、40・・・弁収容部、41b・・・シート部、50・・・ポペット部、51・・・着座部、52・・・第1内部通路、53・・・第1貫通孔、60・・・スペーサ部、64・・・第2内部通路、65・・・第2貫通孔、70・・・Oリング(シール部材)、100・・・制御弁、S2・・・空間
Claims (3)
- バルブハウジングに摺動自在に組み込まれたスプールと、
前記スプールの両端に臨んで配置された第1パイロット室及び第2パイロット室と、
前記バルブハウジングに形成され、前記第1パイロット室または前記第2パイロット室のパイロット圧を他の機器の信号圧として導く信号圧通路と、
前記スプールに形成され、前記スプールが中立位置にあるときに前記第1パイロット室と前記信号圧通路とを連通する連通溝と、
前記スプールに形成され、前記第2パイロット室と前記信号圧通路とを連通する連通孔と、
前記連通孔に介装され、前記第2パイロット室から前記信号圧通路への流通のみを許容するチェック弁と、
前記スプールに形成され、前記チェック弁を収容する弁収容部と、を備え、
前記連通溝は、前記第1パイロット室にパイロット圧が導かれ前記スプールが移動したときには前記第1パイロット室と前記信号圧通路とを連通する一方、前記第2パイロット室にパイロット圧が導かれ前記スプールが移動したときには前記第1パイロット室と前記信号圧通路との連通を遮断し、
前記弁収容部は、シール部材により前記連通孔と前記チェック弁の背面側の空間とに区画され、
前記スプールには、前記空間と前記連通溝とを連通するドレン通路が形成される
ことを特徴とする制御弁。 - 請求項1に記載の制御弁において、
前記弁収容部は、前記スプールの一端面に開口し、
前記弁収容部の開口は、前記第1パイロット室内に臨む閉塞部材により閉塞され、
前記閉塞部材は、前記弁収容部の開口にねじ締結される
ことを特徴とする制御弁。 - 請求項1または請求項2に記載の制御弁において、
前記チェック弁は、
前記連通孔を開閉するポペット部と、
前記シール部材が設けられるスペーサ部と、を有し、
前記ポペット部は、
前記連通孔に設けられるシート部に着座する着座部と、
前記着座部とは反対側に開口する第1内部通路と、
外周面に開口し前記第1内部通路に連通する第1貫通孔と、を有し、
前記スペーサ部は、
前記第1内部通路に対向して開口する第2内部通路と、
外周面に開口し前記第2内部通路に連通する第2貫通孔と、を有し、
前記連通孔は、前記スペーサ部の前記第2貫通孔と前記バルブハウジングの前記信号圧通路とを連通する連通路を有する
ことを特徴とする制御弁。
Priority Applications (5)
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2018
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