図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体圧制御装置について説明する。
流体圧制御装置は、油圧ショベル等の油圧作業機器の動作を制御するものであり、本実施形態では、図1に示す油圧ショベルのアーム(負荷)1を駆動するシリンダ2の伸縮作動を制御する油圧制御装置100について説明する。
まず、図2を参照して、油圧制御装置100の油圧回路について説明する。
シリンダ2は、筒状のシリンダチューブ2cと、シリンダチューブ2cに摺動自在に挿入されシリンダチューブ2c内をロッド側室2aと反ロッド側室2bに区画するピストン2dと、一端がピストン2dに連結され、他端側がシリンダチューブ2cの外部へ延びてアーム1に連結されるロッド2eと、を備える。
油圧ショベルにはエンジンが搭載され、そのエンジンの動力によって流体圧供給源としてのポンプ4及びパイロット圧供給源としてのパイロットポンプ5が駆動する。
油圧制御装置100は、ポンプ4からシリンダ2への作動油の供給を制御する制御弁6と、パイロットポンプ5から制御弁6に導かれるパイロット圧を制御するパイロット制御弁9と、を備える。
制御弁6とシリンダ2のロッド側室2aとは第1メイン通路7によって接続され、制御弁6とシリンダ2の反ロッド側室2bとは第2メイン通路8によって接続される。
制御弁6は、油圧ショベルのオペレータが操作レバー10を手動操作することに伴ってパイロットポンプ5からパイロット制御弁9を通じてパイロット室6a,6bに導かれるパイロット圧によって動作する。
具体的には、パイロット室6aにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置6Aに切り換わり、ポンプ4から第1メイン通路7を通じてロッド側室2aに作動油が供給されると共に、反ロッド側室2bの作動油が第2メイン通路8を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は収縮作動し、アーム1は、図1に示す矢印98の方向へと上昇する。
一方、パイロット室6bにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置6Bに切り換わり、ポンプ4から第2メイン通路8を通じて反ロッド側室2bに作動油が供給されると共に、ロッド側室2aの作動油が第1メイン通路7を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は伸長作動し、アーム1は、図1に示す矢印99の方向へと下降する。
パイロット室6a,6bにパイロット圧が導かれない場合には、制御弁6は位置6Cとなり、シリンダ2に対する作動油の給排が遮断され、アーム1は停止した状態を保つ。
このように、制御弁6は、シリンダ2を収縮作動させる収縮位置6A、シリンダ2を伸長作動させる伸長位置6B、及びシリンダ2の負荷を保持する中立位置6Cの3ポジションを有し、シリンダ2に対する作動油の給排を切り換え、シリンダ2の伸縮作動を制御する。
ここで、図1に示すように、バケット13を持ち上げた状態で、制御弁6を中立位置6Cに切り換えアーム1の動きを止めた場合には、バケット13及びアーム1等の自重によって、シリンダ2には伸長する方向の力が作用する。このように、アーム1を駆動するシリンダ2においては、ロッド側室2aが、制御弁6が中立位置6Cの場合に負荷圧が作用する負荷側圧力室となる。
負荷側圧力室であるロッド側室2aに接続された第1メイン通路7には、負荷保持機構20が設けられる。負荷保持機構20は、制御弁6が中立位置6Cの場合に、ロッド側室2aの負荷圧を保持するものであり、図1に示すように、シリンダチューブ2cの表面に固定される。
なお、ブーム14を駆動するシリンダ15においては、反ロッド側室15bが負荷側圧力室となるため、ブーム14に負荷保持機構20を設ける場合には、反ロッド側室15bに接続されたメイン通路に負荷保持機構20が設けられる(図1参照)。
負荷保持機構20は、第1メイン通路7に設けられたオペレートチェック弁21と、パイロット制御弁9を通じてパイロット室23に導かれるパイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、オペレートチェック弁21の作動を切り換えるための切換弁22と、を備える。
オペレートチェック弁21は、第1メイン通路7を開閉する弁体24と、弁体24が着座するシート部28と、弁体24の背面に画成された背圧室25と、弁体24に形成されロッド側室2aの作動油を背圧室25へと常時導く通路26と、を備える。通路26には絞り26aが設けられる。
第1メイン通路7は、ロッド側室2aとオペレートチェック弁21を接続するシリンダ側メイン通路7aと、オペレートチェック弁21と制御弁6を接続する制御弁側メイン通路7bと、を有する。
弁体24には、制御弁側メイン通路7bの圧力が作用する第1受圧面24aと、シリンダ側メイン通路7aを通じてロッド側室2aの圧力が作用する第2受圧面24bと、が形成される。
背圧室25には、弁体24を閉弁方向に付勢する付勢部材としてのスプリング27が収容される。背圧室25の圧力とスプリング27の付勢力とは、弁体24をシート部28に着座させる方向に作用する。
弁体24がシート部28に着座した状態は、オペレートチェック弁21は、ロッド側室2aから制御弁6への作動油の流れを遮断する逆止弁としての機能を発揮する。つまり、オペレートチェック弁21は、ロッド側室2a内の作動油の漏れを防止して負荷圧を保持し、アーム1の停止状態を保持する。
負荷保持機構20は、さらに、ロッド側室2aの作動油をオペレートチェック弁21をバイパスして制御弁側メイン通路7bへと導くバイパス通路30と、背圧室25の作動油を制御弁側メイン通路7bへと導く背圧通路31と、を備える。
切換弁22は、バイパス通路30及び背圧通路31に設けられ、制御弁側メイン通路7bに対するバイパス通路30及び背圧通路31の連通を切り換え、シリンダ2を伸長作動させる際にメータアウト側となる第1メイン通路7の作動油の流れを制御する。
切換弁22は、バイパス通路30に連通する第1供給ポート32、背圧通路31に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートを有する。また、切換弁22は、遮断位置22A、第1連通位置22B、第2連通位置22Cの3ポジションを有する。
パイロット室23には、制御弁6のパイロット室6bにパイロット圧が導かれたときに、同時に同じ圧力のパイロット圧が導かれる。つまり、制御弁6を伸長位置6Bに切り換えた場合に、切換弁22も第1連通位置22B又は第2連通位置22Cに切り換わる。
具体的に説明すると、パイロット室23にパイロット圧が導かれない場合には、スプリング36の付勢力によって、切換弁22は遮断位置22Aを保つ。遮断位置22Aでは、第1供給ポート32及び第2供給ポート33の双方が遮断される。
パイロット室23に第1所定圧力以上第2所定圧力未満のパイロット圧が導かれた場合には、切換弁22は第1連通位置22Bに切り換わる。第1連通位置22Bでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通する。これにより、ロッド側室2aの作動油はバイパス通路30から切換弁22を通じて制御弁側メイン通路7bへと導かれる。つまり、ロッド側室2aの作動油はオペレートチェック弁21をバイパスして制御弁側メイン通路7bへと導かれる。このとき、絞り37によって作動油の流れに抵抗が付与される。第1連通位置22Bでは、第2供給ポート33は遮断された状態を保つ。
パイロット室23に第2所定圧力以上のパイロット圧が導かれた場合には、切換弁22は第2連通位置22Cに切り換わる。第2連通位置22Cでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通すると共に、第2供給ポート33も排出ポート34と連通する。これにより、背圧室25の作動油は、背圧通路31から切換弁22を通じて制御弁側メイン通路7bへと導かれる。このとき、背圧室25の作動油は、絞り37をバイパスして制御弁側メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。これにより、絞り26aの前後にて差圧が発生し、背圧室25内の圧力が小さくなるため、弁体24に作用する閉弁方向の力が小さくなり、弁体24がシート部28から離れ、オペレートチェック弁21の逆止弁としての機能が解除される。
バイパス通路30における切換弁22の上流には、リリーフ通路40が分岐して接続される。リリーフ通路40には、ロッド側室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して作動油の通過を許容し、ロッド側室2aの作動油を逃がすリリーフ弁41が設けられる。リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油は、タンクTへ排出される。
制御弁側メイン通路7bには、制御弁側メイン通路7bの圧力が所定圧力に達した場合に開弁するリリーフ弁43が接続される。第2メイン通路8には、第2メイン通路8の圧力が所定圧力に達した場合に開弁するリリーフ弁44が接続される。リリーフ弁43,リリーフ弁44は、アーム1に大きな外力が作用したときに、シリンダ2のロッド側室2a,反ロッド側室2bに生じる高圧を逃がすためのものである。
次に、主に図3を参照して、切換弁22について詳細に説明する。図3は負荷保持機構20の断面図であり、パイロット室23にパイロット圧が導かれておらず切換弁22が遮断位置22Aである状態を示す。なお、図3において、図2で示した符号と同一の符号を付したものは、図2で示した構成と同一の構成である。
切換弁22はハウジング80に組み込まれる。ハウジング80にはスプール収容穴81が形成され、スプール収容穴81には略円筒形状のスリーブ61が挿入される。スリーブ61内には、スプール56が摺動自在に組み込まれる。
スプール56の一端面56aの側方には、キャップ57によってスプリング室54が区画される。スプリング室54は、スリーブ61の端面に形成された切り欠き61aを通じて第1ドレン通路76aに接続される。第1ドレン通路76aはタンクTに接続される。したがって、スプリング室54に漏れ込んだ作動油はタンクTへ排出される。
スプリング室54には、スプール56を付勢する付勢部材としてのスプリング36が収容される。スプリング室54には第1バネ受部材45と第2バネ受部材46が収容され、スプリング36は第1バネ受部材45と第2バネ受部材46との間に圧縮状態で設けられる。第1バネ受部材45は、端面がスプール56の一端面56aに当接すると共に、中空部にスプール56の一端面56aに突出して形成されたピン部56cが挿入された環状部材である。第2バネ受部材46は、キャップ57の底部近傍に配置された円板状部材である。スプリング36は、第1バネ受部材45を介してスプール56を閉弁方向に付勢する。
キャップ57の底部には、調節ボルト47が貫通して螺合する。スプリング室54内での第2バネ受部材46の軸方向位置は、先端部が第2バネ受部材46の背面に当接する調節ボルト47によって設定される。調節ボルト47をねじ込むことによって、第2バネ受部材46は第1バネ受部材45に近づく方向に移動する。したがって、調節ボルト47のねじ込み量を調節することによって、スプリング36の初期のスプリング荷重を調整することができる。調節ボルト47はナット48によって固定される。
ハウジング80には、スプール収容穴81と連通するピストン収容穴82が形成される。ピストン収容穴82の開口部は、プラグ58によって閉塞される。ピストン収容穴82には、ピストン50が摺動自在に収容される。ピストン収容穴82には、他の部位と比較して小径な小径部82aが形成され、ピストン50は小径部82aの内周面に沿って摺動する。ピストン収容穴82内には、ピストン50によって、パイロット室23とドレン室51が形成される。パイロット室23は、ピストン50とプラグ58によって区画され、ドレン室51は、ピストン50とスプール56によって区画される。
パイロット室23には、ハウジング80に形成されたパイロット通路52を通じてパイロット圧が導かれる。ピストン50は、背面にパイロット室23のパイロット圧を受けてスプール56にスプリング36の付勢力に抗する推力を付与する。パイロット通路52は、ハウジング80の外面にパイロットポート52aとして開口する。パイロットポート52aとパイロット制御弁9とは、パイロットホース53(図1参照)を介して接続される。
ドレン室51は、ハウジング80に形成された第2ドレン通路76bに接続される。第2ドレン通路76bはタンクTに接続される。したがって、ドレン室51に漏れ込んだ作動油はタンクTへ排出される。
第1ドレン通路76aと第2ドレン通路76bは合流して合流ドレン通路77を構成し、合流ドレン通路77はタンクTに接続される。合流ドレン通路77は、ハウジング80の外面にドレンポート77aとして開口する。ドレンポート77aとタンクTとは、ドレンホース78(図1参照)を介して接続される。
スプリング室54及びドレン室51のそれぞれは、第1ドレン通路76a及び第2ドレン通路76bを通じてタンクTに接続される。したがって、切換弁22が遮断位置22Aの際には、スプール56の両端には大気圧が作用し、スプール56が意図せずに移動するような事態が防止される。
ピストン50は、外周面がピストン収容穴82の内周面に沿って摺動する摺動部50aと、摺動部50aと比較して小径に形成され、スプール56の他端面56bに対向する先端部50bと、摺動部50aと比較して小径に形成され、プラグ58の先端面に対向する基端部50cと、を備える。
摺動部50aの外周面には、環状の複数のラビリンス溝59が形成される。ラビリンス溝59内に導かれる油圧によって、ピストン収容穴82に対してピストン50が同心に保持されるため、摺動部50aの外周面とピストン収容穴82の内周面とのカジリが防止される。摺動部50aの外周面には、ラビリンス溝59よりもドレン室51側にシールリング96が設けられる。シールリング96については、後に詳しく説明する。
パイロット通路52を通じてパイロット室23内にパイロット圧油が供給されると、基端部50cの背面と摺動部50aの環状背面とにパイロット圧が作用する。これにより、ピストン50は、前進し、先端部50bがスプール56の他端面56bに当接してスプール56を移動させる。このように、スプール56は、ピストン50の背面に作用するパイロット圧に基づいて発生するピストン50の推力を受け、スプリング36の付勢力に抗して移動する。基端部50cの背面がプラグ58の先端面に当接している場合であっても、摺動部50aの環状背面にパイロット圧が作用するため、ピストン50は前進可能である。
ピストン50の一端部はパイロット室23に臨み、他端部はタンクTに接続されたドレン室51に臨んでいるため、パイロット室23のパイロット圧に基づいて発生するピストン50の推力は効率良くスプール56に伝達される。
スプール56は、一端面56aに作用するスプリング36の付勢力と他端面56bに作用するピストン50の推力とのバランスで移動する。このスプール56の移動によって、切換弁22の切り換え位置が設定される。
スリーブ61には、バイパス通路30(図2参照)に連通する第1供給ポート32、背圧通路31(図2参照)に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートが形成される。
スプール56の外周面は部分的に環状に切り欠かれ、その切り欠かれた部分とスリーブ61の内周面とで、第1圧力室64、第2圧力室65、第3圧力室66、及び第4圧力室67が形成される。
第1圧力室64は、排出ポート34に常時連通している。
第3圧力室66は、第1供給ポート32に常時連通している。スプール56のランド部72の外周には、スプール56がスプリング36の付勢力に抗して移動することによって、第3圧力室66と第2圧力室65を連通する複数の絞り37が形成される。
第4圧力室67は、スプール56に軸方向に形成された導圧通路68を通じて第2圧力室65に常時連通している。
パイロット室23にパイロット圧が導かれない場合には、スプリング36の付勢力によってスプール56に形成されたポペット弁70が、スリーブ61の内周に形成された弁座71に押し付けられ、第2圧力室65と第1圧力室64の連通が遮断される。したがって、第1供給ポート32と排出ポート34との連通が遮断される。これにより、ロッド側室2aの作動油が排出ポート34へと漏れることはない。この状態が、切換弁22の遮断位置22Aに相当する。スプリング36の付勢力によってポペット弁70が弁座71に着座した状態では、第1バネ受部材45の端面とスリーブ61の端面との間には僅かな隙間が存在するため、ポペット弁70はスプリング36の付勢力によって弁座71に対して確実にシートされる。
パイロット室23にパイロット圧が導かれ、スプール56に作用するピストン50の推力がスプリング36の付勢力よりも大きくなった場合には、スプール56はスプリング36の付勢力に抗して移動する。これにより、ポペット弁70が弁座71から離れると共に、第3圧力室66と第2圧力室65が複数の絞り37を通じて連通するため、第1供給ポート32は第3圧力室66、第2圧力室65、及び第1圧力室64を通じて排出ポート34と連通する。第1供給ポート32と排出ポート34の連通によって、ロッド側室2aの作動油が、絞り37を通じて制御弁側メイン通路7bへと導かれる。この状態が、切換弁22の第1連通位置22Bに相当する。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が大きくなると、スプール56はスプリング36の付勢力に抗してさらに移動し、第2供給ポート33に第4圧力室67が連通する。これにより、第2供給ポート33は、第4圧力室67、導圧通路68、第2圧力室65、及び第1圧力室64を通じて排出ポート34と連通する。第2供給ポート33と排出ポート34の連通によって、背圧室25の作動油が制御弁側メイン通路7bへと導かれる。この状態が、切換弁22の第2連通位置22Cに相当する。
次に、主に図2を参照して、油圧制御装置100の動作について説明する。
制御弁6が中立位置6Cの場合には、ポンプ4が吐出する作動油はシリンダ2に供給されない。このとき、切換弁22のパイロット室23にはパイロット圧が導かれないため、切換弁22も遮断位置22Aの状態となる。
このため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側室2aの圧力に維持される。ここで、弁体24における閉弁方向の受圧面積(弁体24の背面の面積)は、開弁方向の受圧面積である第2受圧面24bの面積よりも大きいため、背圧室25の圧力による弁体24の背面に作用する荷重とスプリング27の付勢力とによって、弁体24はシート部28に着座した状態となる。このように、オペレートチェック弁21によって、ロッド側室2a内の作動油の漏れが防止され、アーム1の停止状態が保持される。
操作レバー10が操作され、パイロット制御弁9から制御弁6のパイロット室6aへとパイロット圧が導かれると、制御弁6は、パイロット圧に応じた量だけ収縮位置6Aへと切り換わる。制御弁6が収縮位置6Aへと切り換わると、ポンプ4の吐出圧がオペレートチェック弁21の第1受圧面24aへと作用する。このとき、切換弁22は、パイロット室23にパイロット圧が導かれず遮断位置22Aの状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側室2aの圧力に維持される。第1受圧面24aに作用する荷重が、背圧室25の圧力による弁体24の背面に作用する荷重とスプリング27の付勢力との合計荷重よりも大きくなった場合には、弁体24はシート部28から離れる。このようにしてオペレートチェック弁21が開弁すれば、ポンプ4から吐出された作動油はロッド側室2aに供給され、シリンダ2は収縮する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印98の方向へと上昇する。
操作レバー10が操作され、パイロット制御弁9から制御弁6のパイロット室6bへとパイロット圧が導かれると、制御弁6はパイロット圧に応じた量だけ伸長位置6Bへと切り換わる。これと同時に、パイロット室23へもパイロット圧が導かれるため、切換弁22は、供給されるパイロット圧に応じて第1連通位置22B又は第2連通位置22Cに切り換わる。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が第1所定圧力以上第2所定圧力未満の場合には、切換弁22は第1連通位置22Bに切り換わる。この場合、第2供給ポート33と排出ポート34との連通は遮断された状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25はロッド側室2aの圧力に維持され、オペレートチェック弁21は閉弁状態となる。
一方、第1供給ポート32は排出ポート34と連通するため、ロッド側室2aの作動油は、バイパス通路30から絞り37を通過して制御弁側メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。また、反ロッド側室2bには、ポンプ4から吐出される作動油が供給されるため、シリンダ2は伸長する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印99の方向へと下降する。
ここで、切換弁22を第1連通位置22Bに切り換えるのは、主として、バケット13に取り付けた搬送物を、目的の位置に下ろすクレーン作業を行う場合である。クレーン作業では、シリンダ2を低速で伸長作動させてアーム1を矢印99の方向へとゆっくりと下降させる必要があるため、制御弁6は、伸長位置6Bにわずかに切り換えられるだけである。このため、制御弁6のパイロット室6bに導かれるパイロット圧は小さく、切換弁22のパイロット室23に導かれるパイロット圧は第1所定圧力以上第2所定圧力未満となり、切換弁22は第1連通位置22Bまでしか切り換わらない。したがって、ロッド側室2aの作動油は絞り37を通過して排出されることになり、アーム1はクレーン作業に適した低速で下降する。
また、切換弁22が第1連通位置22Bの場合において、制御弁側メイン通路7bが破裂などして作動油が外部へと漏れるような事態が発生したとしても、ロッド側室2aから排出される作動油の流量は絞り37によって制限されるため、バケット13の落下速度は抑制される。この機能をメータリング制御という。このため、バケット13が地面に落下する前に、切換弁22を遮断位置22Aに切り換えることができ、バケット13の急落下を防止することができる。
このように、絞り37は、オペレートチェック弁21の閉弁時におけるシリンダ2の下降速度を抑えると共に、制御弁側メイン通路7bの破裂時におけるバケット13の落下速度を抑えるためのものである。
パイロット室23に導かれるパイロット圧が第2所定圧力以上の場合には、切換弁22は第2連通位置22Cに切り換わる。この場合、第2供給ポート33が排出ポート34と連通するため、オペレートチェック弁21の背圧室25の作動油は、背圧通路31を通じて制御弁側メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。これにより、絞り26aの前後で差圧が発生し、背圧室25内の圧力が小さくなるため、弁体24に作用する閉弁方向の力が小さくなり、弁体24がシート部28から離れ、オペレートチェック弁21の逆止弁としての機能が解除される。
このように、オペレートチェック弁21は、制御弁6からロッド側室2aへの作動油の流れを許容する一方、背圧室25の圧力に応じてロッド側室2aから制御弁6への作動油の流れを許容するように動作する。
オペレートチェック弁21が開弁すると、ロッド側室2aの作動油は第1メイン通路7を通りタンクTへと排出されるため、シリンダ2は素早く伸長する。つまり、切換弁22を第2連通位置22Cに切り換えると、ロッド側室2aから排出される作動油の流量が多くなるため、反ロッド側室2bに供給される作動油の流量が多くなり、シリンダ2の伸長速度は速くなる。これにより、アーム1は矢印99の方向へと素早く下降する。
切換弁22を第2連通位置22Cに切り換えるのは、掘削作業等を行う場合であり、制御弁6は伸長位置6Bに大きく切り換えられる。このため、制御弁6のパイロット室6bに導かれるパイロット圧は大きく、切換弁22のパイロット室23に導かれるパイロット圧は第2所定圧力以上となり、切換弁22は第2連通位置22Cまで切り換わる。
次に、主に図4を参照して、ピストン50の外周面に設けられるシールリング96について説明する。図4は、シールリング96周辺の断面図である。
ピストン50とハウジング80の間、具体的には、ピストン50の摺動部50aの外周面とピストン収容穴82の内周面との間には、ピストン50の摺動性確保のため、環状の隙間90が設けられる。この隙間90は、油圧制御装置100の動作中に、パイロット圧油中に含まれる空気をパイロット室23からドレン室51へ排出するための通路としても機能する。
ピストン50とハウジング80の間に隙間90が設けられることによって、油圧ショベルが停止した状態が続くと、ドレン室51側の作動油中に含まれる空気が隙間90を通じてパイロット室23側へと移動してしまう。具体的に説明すると、アーム1を駆動するシリンダ2に設けられる負荷保持機構20は、図1に示すように、油圧ショベルのなかで最も高い位置に設けられる。したがって、油圧ショベルが停止した状態が続くと、ドレン室51、第2ドレン通路76b、合流ドレン通路77、ドレンホース78に空気が溜まる。その溜まった空気は、隙間90を通じてパイロット室23、パイロット通路52、パイロットホース53に移動してしまう。
このようにして、ドレン室51側からパイロット室23側へ空気が移動してしまうと、油圧ショベルの始動時には、パイロット室23側へ移動した空気の影響で、オペレータの入力操作に対してパイロット室23のパイロット圧の上昇が遅れ、パイロット室23側の空気が隙間90を通じてドレン室51へ排出されてからパイロット室23のパイロット圧の昇圧が完了する。このように、パイロット室23側の空気は、油圧ショベルの始動時に、オペレータの入力操作に対する応答遅れの発生の原因となる。
この対策として、ドレン室51側から隙間90を通じてパイロット室23側への空気の移動を抑制するために、ピストン50の摺動部50aの外径又はピストン収容穴82の内径を調整して、隙間90の径方向の寸法を小さくすることが考えられる。しかし、この方法では、ピストン50の摺動性に悪影響を及ぼし、切換弁22の第1連通位置22B又は第2連通位置22Cへの切り換えが設定通りに行われないおそれがある。
そこで、本実施形態では、ドレン室51側から隙間90を通じてパイロット室23側への空気の移動を抑制するために、ピストン50の摺動部50aの外周面に環状のシールリング96が設けられる。
ピストン50の摺動部50aの外周面には、全周に亘って環状溝91が形成される。シールリング96は、環状溝91内に収容される。シールリング96は、テフロンやナイロン等の樹脂製であり、弾性を有さない。シールリング96には、環状溝91への装着性を考慮してC字状に拡径可能なように、切断面(図示せず)が形成される。
シールリング96は、ピストン50の移動範囲全体に亘って、ピストン収容穴82の小径部82aの内周面に対向するように設けられる。つまり、シールリング96は、ピストン50の移動範囲全体に亘って、小径部82aから外れることがない。
シールリング96の外周面96aの軸方向の両側には、シールリング96とピストン収容穴82の小径部82aの内周面との摺動抵抗を低減するために、テーパ部96eが形成される。
図3では、シールリング96は、ラビリンス溝59よりもドレン室51側に設けられている。しかし、シールリング96は、ラビリンス溝59よりもパイロット室23側に設けてもよい。
シールリング96の軸方向長さL1は、環状溝91の軸方向長さM1よりも小さい(L1<M1)。また、シールリング96の径方向長さL2は、環状溝91の底面91aとピストン収容穴82の内周面との間の径方向長さM2よりも小さい(L2<M2)。よって、シールリング96は、環状溝91内に収容された状態では、軸方向及び径方向に僅かに移動することができる。シールリング96の外周面96aとピストン収容穴82の内周面との間には隙間92が存在し、シールリング96の内周面96bと環状溝91の底面91aとの間には隙間93が存在し、シールリング96のドレン室51側の端面96cと環状溝91の一方の内側面91bとの間には隙間94が存在し、シールリング96のパイロット室23側の端面96dと環状溝91の他方の内側面91cとの間には隙間95が存在する。このように、シールリング96は隙間90を閉塞しない。
シールリング96の径方向長さL2は、環状溝91の深さM3よりも大きい(L2>M3)。したがって、シールリング96は、環状溝91内に収容された状態では、その外周縁が環状溝91から突出して隙間90を狭める。具体的には、隙間92の径方向長さG1と隙間93の径方向長さG2との和は、隙間90の径方向長さG3よりも小さい(G1+G2<G3)。さらに具体的には、隙間92の径方向長さG1と隙間93の径方向長さG2との和は、隙間90の径方向長さG3の半分程度である。
このように、シールリング96は隙間90を狭めるため、パイロット室23にパイロット圧が導かれていない状態では、ドレン室51からパイロット室23への空気の流れを絞るように作用する。したがって、シールリング96は、油圧ショベルが停止した状態では、ドレン室51側から隙間90を通じてパイロット室23側への空気の移動を抑制するように作用する。よって、油圧ショベルの停止状態が長時間続いた場合であっても、ドレン室51側からパイロット室23側への空気の移動を極力抑えることができる。
シールリング96のドレン室51側の端面96cには、径方向に延びるスリット97が形成される。スリット97は、シールリング96の外周面96aと内周面96bに亘って形成される。スリット97は、シールリング96の端面96cに複数形成してもよい。
パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態では、シールリング96は、端面96dにパイロット圧を受けて、端面96cが環状溝91の内側面91bに押圧される。しかし、シールリング96は、樹脂製であるため、径方向に変形して隙間92,93を閉塞することはない。また、シールリング96の端面96cが環状溝91の内側面91bに当接することによって隙間94は閉塞されるが、端面96cにはスリット97が形成されているため、隙間93と隙間90の連通はスリット97を通じて維持される。したがって、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態では、シールリング96は、パイロット室23からドレン室51への作動油の流れを許容する。具体的には、パイロット室23から、隙間90、隙間92、隙間90を通じてドレン室51へと流れる経路と、パイロット室23から、隙間90、隙間95、隙間93、スリット97、隙間90を通じてドレン室51へと流れる経路と、によってパイロット室23からドレン室51への作動油の流れが許容される。
このように、シールリング96はパイロット室23からドレン室51への作動油の流れを許容するため、パイロット室23側に空気が存在していたとしても、油圧ショベルの始動時には、上記2つの経路によってパイロット室23からドレン室51へと空気が排出される。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
以上のように、パイロット室23にパイロット圧が導かれていない状態では、シールリング96はドレン室51からパイロット室23への空気の流れを絞るため、ドレン室51側からパイロット室23側への空気の移動が抑制される。また、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態では、シールリング96はパイロット室23からドレン室51への作動油の流れを許容するため、パイロット室23側の空気がドレン室51へ排出される。したがって、油圧ショベルの停止状態が長時間続いた場合であっても、ドレン室51側からパイロット室23側への空気の移動を極力抑えることができる。また、パイロット室23側に空気が存在していたとしても、油圧ショベルの始動時には、パイロット室23からドレン室51へと空気を排出することができる。よって、油圧ショベルの始動時において、空気の影響に起因する、オペレータの入力操作に対する応答遅れを抑制することができる。
以下に、図5及び6を参照して、本実施形態の変形例について説明する。以下の変形例の説明では、上記実施形態と同一の構成には、図5及び6中に同一の符号を付して説明を省略する。
(1)上記実施形態では、シールリング96の外周面96aとピストン収容穴82の内周面との間に隙間92が存在し、シールリング96の内周面96bと環状溝91の底面91aとの間に隙間93が存在するように、シールリング96が環状溝91内に収容される形態について説明した。これに代わり、シールリング96を、内周面96bが環状溝91の底面91aに接触するように、環状溝91内に収容するようにしてもよい。この場合には、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態で、スリット97を通じたパイロット室23からドレン室51への作動油の流れを許容するために、シールリング96の内周面96bにも、隙間95と隙間94を連通するように軸方向にスリットを形成する必要がある。また、シールリング96を、外周面96aがピストン収容穴82の内周面に接触するように、環状溝91内に収容するようにしてもよい。この場合には、隙間92を通じたパイロット室23とドレン室51の連通は遮断される。
(2)上記実施形態では、シールリング96がピストンの外周面に設けられる形態について説明した。これに代わり、本変形例では、図5に示すように、シールリング96はハウジング80の内周面に設けられる。具体的には、シールリング96が収容される環状溝91は、ピストン収容穴82の小径部82aの内周面に形成される。シールリング96の軸方向長さL1は、環状溝91の軸方向長さM1よりも小さい(L1<M1)。また、シールリング96の径方向長さL2は、環状溝91の底面91aとピストン50の摺動部50aの外周面との間の径方向長さM2よりも小さい(L2<M2)。シールリング96の内周面96bとピストン50の摺動部50aの外周面との間には隙間92が存在し、シールリング96の外周面96aと環状溝91の底面91aとの間には隙間93が存在し、シールリング96のドレン室51側の端面96cと環状溝91の一方の内側面91bとの間には隙間94が存在し、シールリング96のパイロット室23側の端面96dと環状溝91の他方の内側面91cとの間には隙間95が存在する。シールリング96の径方向長さL2は、環状溝91の深さM3よりも大きい(L2>M3)。したがって、シールリング96は、環状溝91内に収容された状態では、その外周縁が環状溝91から突出して隙間90を狭める。具体的には、隙間92の径方向長さG1と隙間93の径方向長さG2との和は、隙間90の径方向長さG3よりも小さい(G1+G2<G3)。シールリング96の内周面96bの軸方向の両側には、シールリング96とピストン50の摺動部50aの外周面との摺動抵抗を低減するために、テーパ部96eが形成される。以上の変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。また、ピストン収容穴82の内周面に筒状のスリーブを挿入して、そのスリーブの内周面にシールリング96を設けるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、リリーフ弁41から排出されたリリーフ圧油がタンクTへ排出され、リリーフ圧油は切換弁22の作動に影響を及ぼさない形態について説明した。これに代わり、本変形例では、図6に示すように、リリーフ通路40におけるリリーフ弁41の下流にオリフィス42が設けられ、リリーフ弁41から排出されたオリフィス42上流のリリーフ圧油がパイロット室23に導かれ、このリリーフ圧油の圧力によって、切換弁22が第2連通位置22Cまで切り換わるように構成される。この構成では、第1ドレン通路76aは、リリーフ通路40のオリフィス42下流に接続されてタンクTに接続され、第2ドレン通路76bは、リリーフ通路40のオリフィス42上流に接続されてタンクTに接続される。
(4)上記実施形態では、ピストン50の摺動部50aの外周面には、シールリング96が収容される環状溝91及びラビリンス溝59が形成される。これに代えて、ラビリンス溝59を廃止し、摺動部50aの外周面には、環状溝91以外の環状溝は形成されないように構成してもよい。つまり、摺動部50aの外周面は、環状溝91以外の部分は、外径が一定に形成される。この構成では、環状溝91内の隙間94,95に導かれる油圧によって、ピストン収容穴82に対してピストン50が同心に保持されるため、摺動部50aの外周面とピストン収容穴82の内周面とのカジリが防止される。このように、環状溝91がラビリンス溝59の機能も発揮するため、ラビリンス溝59を廃止することができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
負荷1を駆動するシリンダ2の伸縮作動を制御する流体圧制御装置100であって、流体圧供給源4からシリンダ2への作動流体の供給を制御する制御弁6と、パイロット圧供給源5から制御弁6に導かれるパイロット圧を制御するパイロット制御弁9と、制御弁6が中立位置6Cの場合に負荷1による負荷圧が作用するシリンダ2の負荷側圧力室2aと制御弁6とを接続するメイン通路7と、メイン通路7に設けられる負荷保持機構20と、を備え、負荷保持機構20は、制御弁6から負荷側圧力室2aへの作動流体の流れを許容する一方、背圧に応じて負荷側圧力室2aから制御弁6への作動流体の流れを許容するオペレートチェック弁21と、パイロット制御弁9を通じて導かれるパイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、オペレートチェック弁21の作動を切り換えるための切換弁22と、を備え、切換弁22は、パイロット制御弁9を通じてパイロット圧が導かれるパイロット室23と、パイロット室23のパイロット圧に応じて移動するスプール56と、スプール56を閉弁方向に付勢する付勢部材36と、パイロット圧を受けてスプール56に付勢部材36の付勢力に抗する推力を付与するピストン50と、ピストン50が収容されるピストン収容穴82が形成されたハウジング80と、ピストン収容穴82内であってスプール56とピストン50によって区画されたドレン室51と、ピストン50の外周面又はピストン収容穴82の内周面に形成された環状溝91に収容されたシールリング96と、を備え、シールリング96は、パイロット室23にパイロット圧が導かれていない状態では、ドレン室51からパイロット室23への空気の流れを絞ると共に、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態では、パイロット室23からドレン室51への作動流体の流れを許容する。
この構成では、パイロット室23にパイロット圧が導かれていない状態では、シールリング96はドレン室51からパイロット室23への空気の流れを絞るため、ドレン室51側からパイロット室23側への空気の移動が抑制される。また、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態では、シールリング96はパイロット室23からドレン室51への作動流体の流れを許容するため、パイロット室23側の空気がドレン室51へ排出される。よって、空気の影響による応答遅れを抑制することができる。
また、シールリング96は、ピストン50の外周面に形成された環状溝91に収容され、シールリング96の外周面96aとピストン収容穴82の内周面との隙間92の径方向長さG1とシールリング96の内周面96bと環状溝91の底面91aとの隙間93の径方向長さG2との和は、ピストン50の外周面とピストン収容穴82の内周面との隙間90の径方向長さG3よりも小さい。
また、シールリング96は、ピストン収容穴82の内周面に形成された環状溝91に収容され、シールリング96の内周面96bとピストン50の外周面との隙間92の径方向長さG1とシールリング96の外周面96aと環状溝91の底面91aとの隙間93の径方向長さG2との和は、ピストン50の外周面とピストン収容穴82の内周面との隙間90の径方向長さG3よりも小さい。
これらの構成では、パイロット室23にパイロット圧が導かれていない状態において、ドレン室51側からパイロット室23側への空気の移動が抑制される。
また、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態で環状溝91の内面91bに接触するシールリング96の端面96cには、パイロット室23からドレン室51への作動流体の流れを許容するスリット97が形成される。
この構成では、パイロット室23側に空気が存在していたとしても、作業機器の始動時には、スリット97を通じてパイロット室23からドレン室51へと空気が排出される。
また、シールリング96は樹脂製である。
この構成では、シールリング96は樹脂製であるため、パイロット室23にパイロット圧が導かれた状態でも、変形によってパイロット室23からドレン室51への作動流体の流れが遮断されることを防止できる。
また、シールリング96は、ピストン50の外周面に形成された環状溝91に収容され、ピストン50は、ピストン収容穴82の内周面に沿って摺動する摺動部50aを有し、環状溝91は、摺動部50aの外周面に形成され、摺動部50aの外周面には、環状溝91以外の環状溝は形成されていない。
この構成では、環状溝91がラビリンス溝の機能も発揮するため、ピストン50の摺動部50aの外周面にラビリンス溝を設ける必要がない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。