図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態の流体圧制御装置について説明する。
流体圧制御装置は、油圧ショベル等の油圧作業機器の動作を制御するものであり、本実施の形態では、図1に示す油圧ショベルのアーム(負荷)1を駆動するシリンダ2の伸縮動作を制御する場合について説明する。
まず、図2を参照して、油圧制御装置の油圧回路について説明する。図2は油圧制御装置の油圧回路図である。
シリンダ2は、シリンダ2内を摺動自在に移動するピストンロッド3によって、ロッド側圧力室2aと反ロッド側圧力室2bとに画成される。
油圧ショベルにはエンジン(図示せず)が搭載され、そのエンジンに油圧源であるポンプ4及びパイロットポンプ5が接続される。
ポンプ4から吐出された作動油(作動流体)は、シリンダ2に対する作動流体の給排を切り換える制御弁6に供給される。
制御弁6とシリンダ2のロッド側圧力室2aとは第1メイン通路7によって接続され、制御弁6とシリンダ2の反ロッド側圧力室2bとは第2メイン通路8によって接続される。
制御弁6は、油圧ショベルの乗務員が操作レバー10を手動操作することによって、パイロットポンプ5からパイロット弁9を通じてパイロット室6a,6bに供給されるパイロット圧によって操作される。
具体的には、パイロット室6aにパイロット圧が供給された場合には、制御弁6は位置aに切り換わり、ポンプ4から第1メイン通路7を介してロッド側圧力室2aに作動油が供給されると共に、反ロッド側圧力室2bの作動油が第2メイン通路8を介してタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は収縮動作し、アーム1は、図1に示す矢印80の方向へと上昇する。
また、パイロット室6bにパイロット圧が供給された場合には、制御弁6は位置bに切り換わり、ポンプ4から第2メイン通路8を介して反ロッド側圧力室2bに作動油が供給されると共に、ロッド側圧力室2aの作動油が第1メイン通路7を介してタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は伸長動作し、アーム1は、図1に示す矢印81の方向へと下降する。
また、パイロット室6a,6bにパイロット圧が供給されない場合には、制御弁6は位置cに切り換わり、シリンダ2に対する作動油の給排が遮断され、アーム1は停止した状態を保つ。
このように、制御弁6は、シリンダ2を収縮動作させる収縮位置a、シリンダ2を伸長動作させる伸長位置b、及びシリンダ2の負荷を保持する遮断位置cの3つの切り替え位置を備える。
ここで、図1に示すように、バケット13を持ち上げた状態で、制御弁6を遮断位置cに切り換えアーム1の動きを止めた場合、バケット13とアーム1等の自重によって、シリンダ2には伸長する方向の力が作用する。このように、アーム1を駆動するシリンダ2においては、ロッド側圧力室2aが、制御弁6が遮断位置cの場合に負荷圧が作用する負荷側圧力室となる。ここで、負荷の下降とは、負荷側圧力室が収縮する方向への移動を指し、負荷の上昇とは、負荷側圧力室が拡張する方向への移動を指す。
なお、ブーム14を駆動するシリンダ15においては、反ロッド側圧力室15bが負荷側圧力室となる。
負荷側であるロッド側圧力室2aに接続された第1メイン通路7には、負荷保持機構20が介装される。負荷保持機構20は、制御弁6が遮断位置cの場合に、ロッド側圧力室2aの負荷圧を保持するものであり、図1に示すように、シリンダ2の表面に固定される。
負荷保持機構20は、第1メイン通路7に介装されたオペレートチェック弁21と、シリンダ2を伸長動作させアーム1を下降させる際に、メータアウト側となる第1メイン通路7の作動油の流れを制御するメータアウト制御弁22とを備える。
オペレートチェック弁21は、第1メイン通路7を開閉する弁体24と、弁体24の背面に画成された背圧室25と、弁体24に形成されロッド側圧力室2aの作動油を背圧室25へと常時導く絞り通路26とを備える。
第1メイン通路7は、弁体24によって、ロッド側圧力室2aとオペレートチェック弁21とをつなぐシリンダ側第1メイン通路7aと、オペレートチェック弁21と制御弁6とをつなぐ制御弁側第1メイン通路7bとに分けられる。
弁体24には、制御弁側第1メイン通路7bの圧力が作用する第1受圧面24aと、シリンダ側第1メイン通路7aを通じてロッド側圧力室2a側の圧力が作用する第2受圧面24bとが形成される。
背圧室25には、弁体24を閉弁方向へと付勢するスプリング27が収装される。このように、背圧室25の圧力とスプリング27の付勢力とは、弁体24を弁座28に着座させるように作用する。
弁体24が弁座28に着座した状態は、オペレートチェック弁21が、ロッド側圧力室2aから制御弁6への作動油の流れを遮断する逆止弁としての機能を発揮している状態である。つまり、オペレートチェック弁21は、ロッド側圧力室2a内の作動油の漏れを防止して負荷圧を保持し、アーム1の停止状態を保持する。
また、負荷保持機構20は、ロッド側圧力室2aの作動油をオペレートチェック弁21をバイパスして第1メイン通路7へと導くバイパス通路30と、背圧室25の作動油を第1メイン通路7へと導く背圧通路31とを備える。
メータアウト制御弁22は、バイパス通路30及び背圧通路31に介装され、パイロット弁9を通じてパイロット室23に供給されるパイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、バイパス通路30及び背圧通路31に対する制御弁側第1メイン通路7bの連通を切り換える。
メータアウト制御弁22は、バイパス通路30に連通する第1供給ポート32、背圧通路31に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側第1メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートを備える。
また、メータアウト制御弁22は、遮断位置x、第1連通位置y、第2連通位置zの3つの切り換え位置を備える。
パイロット室23には、制御弁6のパイロット室6bにパイロット圧を供給したときに、同時に同じ圧力のパイロット圧が供給される。つまり、制御弁6を伸長位置bに切り換えた場合に、メータアウト制御弁22も第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換えられる。
具体的に説明すると、パイロット室23にパイロット圧が供給されない場合には、スプリング36の付勢力によって、メータアウト制御弁22は遮断位置xを保つ。遮断位置xでは、第1供給ポート32及び第2供給ポート33の双方が遮断される。
パイロット室23に所定圧力未満のパイロット圧が供給された場合には、メータアウト制御弁22は第1連通位置yに切り換わる。第1連通位置yでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通する。これにより、ロッド側圧力室2aの作動油はバイパス通路30から制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。このとき、絞り37によって作動油の流れに抵抗が付与される。なお、第2供給ポート33は遮断された状態を保つ。
パイロット室23に所定圧力以上のパイロット圧が供給された場合には、メータアウト制御弁22は第2連通位置zに切り換わる。第2連通位置zでは、第1供給ポート32が排出ポート34と連通すると共に、第2供給ポート33も排出ポート34と連通する。これにより、背圧室25の作動油は背圧通路31から制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。
バイパス通路30におけるメータアウト制御弁22の上流には、リリーフ通路40が分岐して接続される。リリーフ通路40には、ロッド側圧力室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して作動油の通過を許容し、ロッド側圧力室2aの作動油を逃がすリリーフ弁41が介装される。リリーフ弁41を通過した作動油は、排出通路76を通じてタンクTへ排出される。排出通路76にはオリフィス42が介装され、オリフィス42の上流側の圧力はパイロット室23に導かれる。このように、リリーフ弁41を通過した作動油はパイロット室23に導かれ、その圧力によってメータアウト制御弁22は第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換わるように設定される。
また、制御弁側第1メイン通路7bには第1メインリリーフ弁43が接続され、第2メイン通路8には第2メインリリーフ弁44が接続される。第1メインリリーフ弁43,第2メインリリーフ弁44は、アーム1に大きな外力が作用したときに、シリンダ2のロッド側圧力室2a,反ロッド側圧力室2bに生じる高圧を逃がすためのものである。
次に、主に図3及び図4を参照して、負荷保持機構20の構成について具体的に説明する。図3及び図4は、油圧制御装置における負荷保持機構20の断面図である。なお、図3及び図4において、図2で示した符号と同一の符号を付したものは、図2で示した構成と同じ構成のものである。
負荷保持機構20は、オペレートチェック弁21、メータアウト制御弁22、及びリリーフ弁41を組み込んだボディ60を備える。
ボディ60には摺動孔52(図3参照)が形成され、摺動孔52には弁体24が摺動自在に組み込まれる。弁体24には、制御弁6に連通する制御弁側第1メイン通路7bの圧力が作用する第1受圧面24aと、ロッド側圧力室2aに連通するシリンダ側第1メイン通路7aの圧力が作用する第2受圧面24bとが形成される。
摺動孔52の開口端はバネ受部材53によって閉塞され、バネ受部材53と弁体24との間で背圧室25が画成される。背圧室25内には、弁体24を閉弁方向へと付勢するスプリング27が収装される。弁体24には、ロッド側圧力室2aの作動油を背圧室25へと常時導く絞り通路26が形成される。これにより、弁体24の背面には背圧室25の圧力が作用し、弁体24には閉弁方向の力が作用する。
背圧室25の圧力とスプリング27の付勢力とによって、弁体24が弁座28に着座した状態では、シリンダ側第1メイン通路7aと制御弁側第1メイン通路7bとの連通が遮断される。
また、ボディ60には、シリンダ側第1メイン通路7aに連通し、ロッド側圧力室2aの作動油が導かれるバイパス通路30(図4参照)が形成される。
ボディ60にはスプール孔60aが形成され、スプール孔60aの内周には略円筒形状のスリーブ61が挿入される。そして、スリーブ61の内周には、メータアウト制御弁22のスプール56が摺動自在に組み込まれる。
スプール56の一端部の側方には、キャップ57によって閉塞されたスプリング室54が画成される。スプリング室54には、スプール56の一端部を付勢するスプリング36が収装される。なお、スプリング室54は、図示しない通路を介してタンクTに連通している。
また、スプール56の他端部の側方には、キャップ58によって閉塞されたパイロット室23が画成される。パイロット室23は、キャップ58の円筒部58aの中空部と、ボディ60にスプール孔60aと連通して形成されたピストン孔60bとから構成される。パイロット室23には、キャップ58の頭部58bに形成された貫通孔58cを通じてパイロット圧が供給される。
パイロット室23には、背面にパイロット圧が作用すると共に、先端面がスプール56の他端部に対峙するピストン59が摺動自在に収装される。
ピストン59は、キャップ58の円筒部58a内に摺動自在に収装され、パイロット圧が作用する第1ピストン50と、ピストン孔60bに摺動自在に収装され、第1ピストン50とスプール56の双方に対峙する第2ピストン51とを備える。このように、ピストン59は、第1ピストン50と第2ピストン51とに分割して構成される。
第1ピストン50は、背面にパイロット圧が作用する本体部50Aと、第2ピストン51に対峙し、本体部50Aと比較して小径な小径部50Bとを備える。
第2ピストン51は、背面に第1ピストン50の小径部50Bが当接可能な本体部51Aと、スプール56に対峙し、本体部51Aと比較して小径な小径部51Bとを備える。このように、第1ピストン50と第2ピストン51は、第1ピストン50の小径部50Bを介して当接可能である。
第1ピストン50の小径部50Bは、第2ピストン51の本体部51Aと比較しても小径である。また、第1ピストン50の本体部50Aと第2ピストン51の本体部51Aとは、互いに同一径に形成される。
第1ピストン50の本体部50Aの背面にパイロット圧が作用することによって、第1ピストン50は前進して、小径部50Bの先端面が第2ピストン51の背面に当接する。第2ピストン51は、第1ピストン50によって押圧されて前進し、スプール56の他端部に当接してスプール56を移動させる。このように、スプール56は、第1ピストン50に作用するパイロット圧に基づいて発生する第2ピストン51の推力を受けて移動する。
なお、第1ピストン50及び第2ピストン51は、双方とも本体部50A,51Aと小径部50B,51Bとを備えるものであるため、双方を同一形状の部材にすることが可能となる。このように構成すれば、第1ピストン50と第2ピストン51を共通化することができるため、製造コストを抑えることができる。
また、小径部50Bを、第1ピストン50の本体部50Aに形成するのではなく、第2ピストン51の本体部51Aの背面に形成するようにしてもよい。つまり、第2ピストン51は、本体部51Aの両端にそれぞれ小径部50B,51Bが形成される構成とし、第1ピストン50は本体部50Aのみから構成されるようにしてもよい。このように構成しても、第1ピストン50と第2ピストン51は、小径部50Bを介して当接可能となる。
スプール56は、一端部に作用するスプリング36の付勢力と、他端部に作用するピストン59の推力とのバランスした位置にて停止し、そのスプール56の停止位置にてメータアウト制御弁22の切り換え位置が設定される。
スリーブ61には、バイパス通路30に連通する第1供給ポート32、背圧通路31(図2参照)に連通する第2供給ポート33、及び制御弁側第1メイン通路7bに連通する排出ポート34の3つのポートが形成される。
スプール56の外周面は部分的に環状に切り欠かれ、その切り欠かれた部分とスリーブ61の内周面とで、第1圧力室64、第2圧力室65、第3圧力室66、及び第4圧力室67が形成される。
第1圧力室64は、排出ポート34に常時連通している。
第3圧力室66は、第1供給ポート32に常時連通すると共に、スプール56のランド部72外周に溝状に形成された複数の絞り37によって第2圧力室65に常時連通している。したがって、第2圧力室65には、ロッド側圧力室2aの作動油が、バイパス通路30、第1供給ポート32、第3圧力室66、及び絞り37を介して常時導かれる。
第4圧力室67は、スプール56に軸方向に形成された導圧通路68を介して第2圧力室65に常時連通している。
パイロット室23にパイロット圧が供給されない場合には、スプリング36の付勢力によってスプール56に形成された弁体70が、スリーブ61の内周に形成された弁座71に押し付けられ、第1圧力室64と第2圧力室65との連通が遮断される。したがって、第1供給ポート32と排出ポート34との連通が遮断される。これにより、ロッド側圧力室2aの作動油が排出ポート34へと漏れることはなく、弁体70によってロッド側圧力室2aの負荷圧が保持される。この状態が、メータアウト制御弁22の遮断位置xに相当する。
また、パイロット室23にパイロット圧が供給され、スプール56に作用するピストン59の推力がスプリング36の付勢力よりも大きくなった場合には、スプール56はスプリング36の付勢力に抗して移動する。これにより、弁体70が弁座71から離れ、第1圧力室64と第2圧力室65とが連通し、第1供給ポート32が排出ポート34と連通する。第1供給ポート32と排出ポート34との連通によって、ロッド側圧力室2aの作動油が、絞り37を介して制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。この状態が、メータアウト制御弁22の第1連通位置yに相当する。
また、パイロット室23に供給されるパイロット圧が大きくなると、スプール56はスプリング36の付勢力に抗してさらに移動し、第2供給ポート33に第4圧力室67が連通する。これにより、第2供給ポート33が、第4圧力室67、導圧通路68、第2圧力室65、及び第1圧力室64を介して排出ポート34と連通する。第2供給ポート33と排出ポート34との連通によって、背圧室25の作動油が制御弁側第1メイン通路7bへと導かれる。この状態が、メータアウト制御弁22の第2連通位置zに相当する。
ボディ60には、第1供給ポート32に連通するバルブ組付室75(図4参照)が形成される。バルブ組付室75にはリリーフ弁41が収装され、リリーフ弁41の開弁動作によって、ロッド側圧力室2aは排出通路76に接続される。排出通路76には通過する作動油に対して抵抗を付与するオリフィス42が介装され、オリフィス42の上流側の圧力はパイロット室23に導かれる。
具体的には、リリーフ弁41を通過してパイロット室23に導かれる作動油は、第1ピストン50と第2ピストン51の間の領域に導かれる。したがって、第1ピストン50と第2ピストン51は互いに離れる方向に移動するため、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力は第2ピストン51の背面全体に作用する。したがって、リリーフ弁41の開弁動作時には、スプール56は、第2ピストン51の推力を受けてスプリング36を圧縮する方向へと移動し、メータアウト制御弁22は第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換わる。
なお、パイロット室23における第2ピストン51の先端側は、通路77(図3参照)を介して排出通路76におけるオリフィス42の下流側に接続される。つまり、大気圧のタンクTに接続される。したがって、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力に基づいて発生する第2ピストン51の推力は、効率良くスプール56に伝達される。
次に、油圧制御装置の動作について説明する。
制御弁6が遮断位置cの場合には、ポンプ4が吐出する作動油はシリンダ2に供給されない。また、このとき、メータアウト制御弁22のパイロット室23にはパイロット圧が供給されないため、メータアウト制御弁22も遮断位置xの状態となる。
このため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側圧力室2aの圧力に維持される。ここで、弁体24における閉弁方向の受圧面積(弁体24の背面の面積)は、開弁方向の受圧面積である第2受圧面24bの面積よりも大きいため、背圧室25の圧力とスプリング27の付勢力とによって、弁体24は弁座28に着座した状態となる。このように、オペレートチェック弁21によって、ロッド側圧力室2a内の作動油の漏れが防止され、アーム1の停止状態が保持される。
操作レバー10を操作して、パイロット弁9から制御弁6のパイロット室6aへとパイロット圧を供給すると、制御弁6は、パイロット圧に応じた量だけ収縮位置aへと切り換わる。制御弁6が収縮位置aへと切り換わると、ポンプ4の吐出する作動油の圧力は、オペレートチェック弁21の第1受圧面24aへと作用する。このとき、メータアウト制御弁22は、パイロット室23にパイロット圧が供給されず、遮断位置xの状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25は、ロッド側圧力室2aの圧力に維持される。このため、第1受圧面24aに作用する荷重が、背圧室25の圧力による弁体24の背面に作用する荷重とスプリング27の付勢力との合計荷重よりも大きくなった場合には、弁体24は弁座28から離れる。このようにしてオペレートチェック弁21が開弁すれば、ポンプ4から吐出する作動油は、ロッド側圧力室2aに供給され、シリンダ2は収縮する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印80の方向へと上昇する。
操作レバー10を操作して、パイロット弁9から制御弁6のパイロット室6bへとパイロット圧を供給すると、制御弁6は、パイロット圧に応じた量だけ伸長位置bへと切り換わる。また、これと同時に、パイロット室23へもパイロット圧が供給されるため、メータアウト制御弁22は、供給されるパイロット圧に応じて第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換わる。
パイロット室23に供給されるパイロット圧が所定圧力未満の場合には、メータアウト制御弁22は第1連通位置yに切り換わる。この場合、第2供給ポート33と排出ポート34との連通は遮断された状態であるため、オペレートチェック弁21の背圧室25はロッド側圧力室2aの圧力に維持され、オペレートチェック弁21は閉弁状態となる。これにより、シリンダ側第1メイン通路7aと制御弁側第1メイン通路7bとの連通は遮断される。
しかし、第1供給ポート32が排出ポート34と連通するため、ロッド側圧力室2aの作動油は、バイパス通路30から絞り37を介して制御弁側第1メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。また、反ロッド側圧力室2bには、ポンプ4の吐出する作動油が供給されるため、シリンダ2は伸長する。これにより、アーム1は、図1に示す矢印81の方向へと下降する。
ここで、メータアウト制御弁22を第1連通位置yに切り換えるのは、バケット13に取り付けた搬送物を、目的の位置に下ろすクレーン作業を行う場合が主である。クレーン作業では、シリンダ2を低速で伸長動作させてアーム1を矢印81の方向へとゆっくりと下降させる必要があるため、制御弁6は、伸長位置bにわずかに切り換えられるだけである。このため、制御弁6のパイロット室6bに供給される圧力は小さく、メータアウト制御弁22のパイロット室23に供給されるパイロット圧は所定圧力未満となり、メータアウト制御弁22は第1連通位置yまでしか切り換わらない。したがって、ロッド側圧力室2aの作動油は、絞り37を介して排出されることになり、アーム1は、クレーン作業に適した低速で下降する。
また、メータアウト制御弁22が第1連通位置yの場合において、制御弁側第1メイン通路7bが破裂などして作動油が外部へと漏れるような事態が発生しても、ロッド側圧力室2aから排出される作動油の流量は絞り37によって規制されるため、バケット13の落下速度は速くならない。このため、バケット13が地面に落下する前に、メータアウト制御弁22を遮断位置xに切り換えることができ、バケット13の落下を防止することができる。
このように、絞り37は、オペレートチェック弁21の閉弁時におけるシリンダ2の下降速度を抑えると共に、制御弁側第1メイン通路7bの破裂時におけるバケット13の落下速度を抑えるためのものである。
パイロット室23に供給されるパイロット圧が所定圧力以上の場合には、メータアウト制御弁22は第2連通位置zに切り換わる。この場合、第2供給ポート33が排出ポート34と連通するため、オペレートチェック弁21の背圧室25の作動油は、背圧通路31から制御弁側第1メイン通路7bへと導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。これにより、絞り通路26の前後にて差圧が発生し、背圧室25内の圧力が小さくなるため、弁体24に作用する開弁方向の力が閉弁方向の力よりも大きくなり、弁体24が弁座28から離れ、オペレートチェック弁21の逆止弁としての機能が解除される。
このように、オペレートチェック弁21は、制御弁6からロッド側圧力室2aへの作動油の流れを許容すると共に、背圧室25の圧力に応じてロッド側圧力室2aから制御弁6への作動油の流れを許容するように動作する。
オペレートチェック弁21が開弁すると、ロッド側圧力室2aの作動油は、第1メイン通路7を通り、タンクTへと排出されるため、シリンダ2は素早く伸長する。つまり、メータアウト制御弁22を第2連通位置zに切り換えると、ロッド側圧力室2aから排出される作動油の流量が多いため、反ロッド側圧力室2bに供給される作動油の流量が多くなり、シリンダ2の伸長速度は速くなる。これにより、アーム1は、矢印81の方向へと素早く下降する。
このように、メータアウト制御弁22を第2連通位置zに切り換えるのは、掘削作業等を行う場合であり、制御弁6は、伸長位置bに大きく切り換えられる。このため、制御弁6のパイロット室6bに供給される圧力は大きく、メータアウト制御弁22のパイロット室23に供給されるパイロット圧は所定圧力以上となり、メータアウト制御弁22は第2連通位置zまで切り換わる。
制御弁6が遮断位置cに設定され、アーム1の動きが停止しているときに、アーム1に大きな外力が加わった場合には、シリンダ2のロッド側圧力室2a又は反ロッド側圧力室2bの圧力が上昇する。ロッド側圧力室2aの圧力が所定圧力に達した場合には、リリーフ弁41が開弁動作し、ロッド側圧力室2aの作動油がオリフィス42を介して排出される。そして、オリフィス42の上流側の圧力は、メータアウト制御弁22のパイロット室23に導かれ、第2ピストン51の背面全体に作用し、メータアウト制御弁22のスプール56は、第2ピストン51の推力を受けてスプリング36を圧縮する方向へと移動する。これにより、メータアウト制御弁22は、第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換わり、シリンダ側第1メイン通路7aと制御弁側第1メイン通路7bとが連通する。この連通によって、ロッド側圧力室2aの高圧が、第1メインリリーフ弁43を介してタンクTに排出される。
ここで、従来のメータアウト制御弁では、リリーフ弁から排出された作動油の圧力は、スプールの端部に直接作用するものであった。この場合、スプールには、スプール端部の受圧面積分に相当する推力しか発生しない。
これに対して、本実施の形態では、リリーフ弁41の開弁動作時には、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力は、スプール56と比較して径の大きい第2ピストン51に作用し、スプール56は第2ピストン51の推力を受けて移動する。このように、スプール56は、径の大きい第2ピストン51を介して移動するものであるため、スプール56の移動量及び移動速度を従来と比較して大きくすることができる。したがって、ロッド側圧力室2aの圧力が異常に上昇した場合でも、その圧力上昇を確実に防止することが可能となる。
また、反ロッド側圧力室2bの圧力が所定圧力に達した場合には、第2メインリリーフ弁44が開弁動作し、反ロッド側圧力室2bの高圧が、第2メインリリーフ弁44を介してタンクTに排出される。
以上のように、メータアウト制御弁22は、パイロット圧によって制御弁6と連動して動作し、アーム1を上昇させる際には遮断位置xに設定されて作動油の流通を遮断し、アーム1を下降させる際には第1連通位置y又は第2連通位置zに切り換わりメータアウト側である第1メイン通路7の作動油の流れを制御する。
次に、シリンダ2を低速で伸長動作させてアーム1を動作させる場合について詳しく説明する。
シリンダ2を低速で伸長動作させてアーム1を動作させる場合、例えば、バケット13を地面に食い込ませ水平方向にゆっくりと引く場合には、上述のように、制御弁6は伸長位置bにわずかに切り換えられるだけであり、また、メータアウト制御弁22は第1連通位置yに設定される。このため、ロッド側圧力室2aから排出される作動油の流量は、メータアウト制御弁22の絞り37及び制御弁6によって絞られる。
このため、バケット13を地面に食い込ませ水平方向にゆっくりと引く間、ロッド側圧力室2aの圧力が上昇する。この状態で、バケット13が障害物に引っ掛かったような場合には、さらにロッド側圧力室2aの圧力が上昇し、リリーフ弁41が開弁動作してしまう場合がある。
リリーフ弁41を通過してパイロット室23に導かれる作動油は、第1ピストン50と第2ピストン51の間の領域に導かれる。ここで、パイロット室23内では、第1ピストン50がパイロット圧を受けて小径部50Bが第2ピストン51の背面に当接して、第2ピストン51がスプリング36の付勢力に抗してスプール56を押圧している状態である。そのため、リリーフ弁41を通過してパイロット室23に導かれた作動油は、第1ピストン50の本体部50Aと第2ピストン51の間である小径部50Bの周囲に導かれる。したがって、リリーフ弁41を通過してパイロット室23に導かれた作動油の圧力は、第1ピストン50の本体部50Aの環状の先端面50aに作用し、第1ピストン50を後退させる方向の力として作用することになる。このように、リリーフ弁41が開弁動作することによって、第1ピストン50が第2ピストン51を押圧する推力は減少してしまう。
しかし、リリーフ弁41を通過してパイロット室23に導かれる作動油の圧力は、第2ピストン51の背面における小径部50Bが当接していない環状面51aにも作用し、第2ピストン51を前進させる方向の推力として作用する。したがって、スプール56は、パイロット圧が作用する第1ピストン50の推力と、リリーフ弁41を通過する作動油の圧力が作用する第2ピストン51の推力とを受けることになる。
このため、シリンダ2を低速で伸長動作させているときに、バケット13が障害物に引っ掛かってリリーフ弁41が開弁動作してしまうような状態が発生しても、ピストン59の推力は、スプール56に確実に作用するため、メータアウト制御弁22の制御性は良好に保たれる。したがって、バケット13が障害物に引っ掛かった状態でも、シリンダ2を引き続き伸長させることができる。つまり、リリーフ弁41を通過した作動油の圧力によってピストン59の推力が打ち消されて、最悪の場合には、メータアウト制御弁22が第1連通位置yから遮断位置xに戻ってしまい、シリンダ2の動作が不能になってしまうような事態を防止することができる。
ここで、第1ピストン50の本体部50Aと第2ピストン51とは同一径であるため、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力が作用する第1ピストン50の先端面50aと第2ピストン51の環状面51aとは同じ面積となる。したがって、リリーフ弁41から排出された作動油が及ぼす第1ピストン50を後退させる方向の力と第2ピストン51を前進させる方向の力とは同一ということになる。このため、スプール56に作用するピストン59の推力は、第1ピストン50に作用するパイロット圧に基づく推力とみなすことができる。したがって、シリンダ2を低速で伸長動作させているときに、バケット13が障害物に引っ掛かってリリーフ弁41が開弁動作してしまうような状態が発生しても、メータアウト制御弁22は、リリーフ弁41を通過する作動油の圧力には関係なく、パイロット圧に基づいて制御される。
以上の本実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
制御弁6が遮断位置cに設定されアーム1の動きが停止しているときに、アーム1に大きな外力が加わり、反ロッド側圧力室2bの圧力が上昇し、リリーフ弁41が開弁動作した場合には、第1ピストン50にはパイロット圧が作用していなため、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力によって、第1ピストン50と第2ピストン51は互いに離れる方向に移動する。したがって、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力は第2ピストン51の背面全体に作用し、スプール56は、第2ピストン51の推力を受けてスプリング36を圧縮する方向へと確実に移動する。
また、制御弁6が伸長位置bで、メータアウト制御弁22が第1連通位置yに設定され、シリンダ2を低速で伸長動作させているときに、リリーフ弁41が開弁動作してしまうような状態が発生した場合には、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力によって、第1ピストン50が第2ピストン51を押圧する推力は減少してしまう。しかし、リリーフ弁41から排出された作動油の圧力は、第2ピストン51を前進させる方向の推力として作用する。したがって、シリンダ2を低速で伸長動作させているときに、リリーフ弁41が開弁動作してしまうような状態が発生しても、メータアウト制御弁22の制御を良好に行うことができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。