本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係るコネクタユニット1は、図1に示すように、例えば、自動車等に使用されるワイヤハーネスWH等に適用される。ここでは、コネクタユニット1は、ワイヤハーネスWHを構成する電線W1と電線W2とを接続する電線対電線接続用の接続機構である。ここで、電線W1、W2は、例えば、複数の導電性の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部とを含んで構成される。このコネクタユニット1は、コネクタとしてのメスコネクタ10と、コネクタとしてのオスコネクタ20とを備え、メスコネクタ10とオスコネクタ20が相互に嵌合しコネクタ接合されることで、それぞれが備えるオス端子21(図7参照)、メス端子11(図3参照)が電気的に接続され、相互間に電気的な接続部位が形成される。
以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、軸方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸方向Xは、典型的には、オスコネクタ20、メスコネクタ10が備える筒状のオスハウジング23、筒状のメスハウジング13の軸方向であり、さらに言えば、オスコネクタ20、メスコネクタ10が備えるオス端子21、メス端子11の延在方向に沿った方向である。オスコネクタ20とメスコネクタ10とは、軸方向Xに対して対向して配置され嵌合される。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
メスコネクタ10は、ワイヤハーネスWHを構成する電線W1の末端に接続されるメス型のコネクタである。メスコネクタ10は、図2、図3に示すように、端子としてのメス端子11と、当該メス端子11を包囲する導電部材としてのメスシェル12と、メス端子11及びメスシェル12が設けられるハウジングとしてのメスハウジング13と、オーリング14と、メスシールラバー15と、メスパッキン16とを備える。なお、以下の説明では、メスコネクタ10において、軸方向Xのオスコネクタ20側を前側といい、反対側を軸方向Xの後側という場合がある。
メス端子11は、コネクタ用のメス型の端子金具であり、電線W1の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。メス端子11は、オスハウジング23がメスハウジング13の後述する嵌合空間部13aに嵌合した状態で、オスコネクタ20のオス端子21と電気的に接続される。
メスシェル12は、メス端子11から外部に放射される電磁的なノイズや、メス端子11が外部から影響を受ける電磁的なノイズを遮蔽するものである。メスシェル12は、メス端子11を包囲し後述するオスコネクタ20のオスシェル22(図6参照)と電気的に接続される筒状の部材である。メスシェル12は、図4に示すように、例えば、金属板が筒状に丸められて形成された部材である。メスシェル12は、軸方向Xから見た場合に略矩形状に形成されており、4つの角部がアール(丸み)を帯びて形成される。メスシェル12は、本体部12fと、本体部12fに設けられ接点部としてのメス接点部12cと、本体部12fに設けられ突出部としてのメス突出部12dとを有する。本体部12fは、外周面において高さ方向Zで対向する外周上面部12aと外周下面部12bとを有する。メス接点部12cは、オスコネクタ20のオスシェル22と電気的に接続される部分である。メス接点部12cは、例えば、複数個設けられ、本実施形態では2つ設けられる。各メス接点部12cは、本体部12fの外周面に設けられ、例えば、外周上面部12aと外周下面部12bとにそれぞれ1つずつ設けられる。各メス接点部12cは、高さ方向Zに沿って対向して設けられ、メス突出部12dよりも軸方向Xの前側(オスコネクタ20側)に位置する。各メス接点部12cは、メスシェル12の外周面から軸方向Xに交差する方向に突出し、例えば、高さ方向Zから見た場合に球面形状に形成される。なお、各メス接点部12cは、軸方向Xに沿って各メス接点部12cの両側にスリットを設け、各メス接点部12cに高さ方向Zに対して弾性力を持たせるようにしてもよい。また、メスシェル12は、図示しない編組線等の導線を介してグランドに接続され、ノイズをグランドに逃がす。
メス突出部12dは、メスシェル12とメスハウジング13とを一体化成形するときに樹脂止めとして用いられる部分である。メス突出部12dは、各メス接点部12cに対応して設けられ、本実施形態では2つ設けられる。各メス突出部12dは、外周上面部12aと外周下面部12bとにそれぞれ1つずつ設けられ、各メス接点部12cよりも軸方向Xの後側(後述の基部13d側)に位置する。各メス突出部12dは、軸方向Xに交差する方向に突出した凸部であり、図5に示すように、メスハウジング13の開口部13b側から軸方向Xに沿って見た場合に、各メス接点部12cが各メス突出部12dの外形線L1よりも本体部12f側に位置する。つまり、各メス突出部12dは、メスハウジング13の開口部13b側から軸方向Xに沿って見た場合に、各メス接点部12cの外形線L3が当該各メス突出部12dの外形線L1の内側に位置する。さらに言えば、各メス突出部12dは、メスハウジング13の開口部13b側から軸方向Xに沿って見た場合に、各メス突出部12dの全体が各メス接点部12cよりも突出している。ここで、外形線L1は、各メス突出部12dの凸部の形状を表す線であり、メス突出部12dと外周上面部12a(外周下面部12b)との境界線は含まない。
メスハウジング13は、メス端子11が設けられるメス型のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。メスハウジング13は、メスシェル12と一体形成されると共にメス端子11を保持し、後述するオスハウジング23がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合可能な部材である。メスハウジング13は、インサート成形によりメスシェル12と一体化されて形成される。メスハウジング13は、基部13dと、基部13dから軸方向Xに沿って延在し筒状に形成された筒部としてのメスハウジング筒部13cと、メスハウジング筒部13cにおける基部13dとは反対側の端部に設けられた開口部13bと、各メス端子11を挿入して保持するためのメス端子挿入室13eとを有する。メス端子挿入室13eは、キャビティと呼ばれることもある。
メスハウジング筒部13cは、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが嵌合した状態では外部から水等の液体や粉塵等が内部に入り込むことを防止し、作業時には作業者の手指がメス端子11に触指すること、および、外力によってメス端子11が傷ついたり変形したりすることを防止するものである。メスハウジング筒部13cは、軸方向Xに沿って延在された部材であり、軸方向Xから見た場合にメスシェル12と大きさは異なるが同等の形状に形成される。つまり、メスハウジング筒部13cは、軸方向Xから見た場合に略矩形状に形成されており、4つの角部がアール(丸み)を帯びて形成される。メスハウジング筒部13cは、オスハウジング23の一部が嵌合される嵌合空間部13aを有する。嵌合空間部13aは、メスハウジング筒部13cの内側と基部13dとで区画される内部空間である。嵌合空間部13aには、メスシェル12の各メス接点部12cと各メス端子11とが配置され、各メス接点部12cが嵌合空間部13a内で露出し各メス端子11が後述するメス端子挿入室13e内に収容される。メスハウジング筒部13cは、各メス端子11及びメスシェル12の各メス接点部12cを覆うことにより外部からの水等の液体や粉塵等の固形物を防御する。開口部13bは、メスハウジング筒部13cの一方側が開口された部分であり、軸方向Xに沿って開口部13bからオスコネクタ20の各オス端子21及び各メス接点部12cが挿入される。
基部13dは、メスハウジング筒部13cの開口部13bとは反対側に位置し、電線W1が挿通可能に閉塞された部分である。基部13dは、メスシェル12の一方側を埋設してメスシェル12を一体化する。基部13dに一体化されたメスシェル12は、他方側が軸方向Xに沿って延在してメスハウジング筒部13cの内部に露出する。例えば、基部13dは、メスシェル12の各メス接点部12cをメスハウジング筒部13cの内部で露出すると共に開口部13bとは反対側のメスシェル12の端部を外部に露出し、メスシェル12の軸線とメスハウジング13の軸線とが同一軸線上に位置した状態でメスシェル12と一体化する。なお、外部に露出したメスシェル12の端部を外部露出部12eとも称し、例えば、外部露出部12eは、グランドと接続される。基部13dは、基部13dの軸方向Xの前側からメスシェル12の外周面に沿ってメスハウジング13の開口部13b側に延在しメスシェル12を支持する筒状のシェル支持筒部13fと、メスシェル12の内側に設けられ軸方向Xの後側から電線W1が挿通する電線挿通室13gと、オーリング装着用の筒状の筒壁部13hとを有する。電線挿通室13gは、軸方向Xに沿って設けられ、軸方向Xの後側から電線W1が挿入可能な空間部である。電線挿通室13gは、メスコネクタ10に設けられる複数のメス端子11の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。電線挿通室13gは、電線W1が軸方向Xに沿って軸方向Xの後側から挿入される。
メス端子挿入室13eは、メス端子11を軸方向Xに沿って挿入可能であり当該メス端子11を保持する空間部である。メス端子挿入室13eは、電線挿通室13gの軸方向Xの前側からメスハウジング筒部13cの内部に軸方向Xに沿って延在して中空状に形成され、メス端子11を収容する。メス端子挿入室13eは、電線挿通室13gと連通しメス端子11の外形形状に応じて当該メス端子11が挿入可能な大きさ、形状の空間部として形成される。メス端子挿入室13eは、軸方向Xの後側に図示しないメス端子挿入開口部が形成され、軸方向Xの前側にオス端子挿入開口部13iが形成される。メス端子挿入開口部は、メス端子11が挿入される開口部として軸方向Xの後側に向けて開口する。オス端子挿入開口部13iは、メス端子11に電気的に接続されるオスコネクタ20のオス端子21が挿入される開口部として軸方向Xの前側に向けて開口する。メス端子挿入室13eは、メスコネクタ10に設けられる複数のメス端子11の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。メス端子挿入室13eは、メス端子挿入開口部を介してメス端子11が挿入されメス端子11を保持する。
オーリング装着用の筒壁部13hは、メスシェル12の外部露出部12eと共にオーリング装着溝13jを構成する。オーリング装着溝13jは、オーリング14を装着する部分であり、メスシェル12の外部露出部12eと基部13dとの境界を含む部分である。オーリング装着溝13jは、筒状の外部露出部12eと、外部露出部12eの周囲を囲うように設けられた筒状の筒壁部13hと、外部露出部12eと筒壁部13hとで挟まれる基部13dの軸方向Xの後側の端面とから構成される。オーリング装着溝13jは、外部露出部12eと筒壁部13hとの幅がオーリング14の直径よりも狭い。オーリング14は、ゴム等の弾性部材から形成され、オーリング装着溝13jに押しつぶされて装着され、水等の液体等がメスシェル12の外部露出部12eと基部13dとの境界から嵌合空間部13a内に浸入することを防止する。
メスシールラバー15は、ゴム等の弾性部材から形成され、メスシェル12の開口部と同等の形状に形成され、圧縮されてメスシェル12の外部露出部12eの内側に装着される。メスシールラバー15は、電線W1を挿通するための孔部15aを有する。孔部15aは、複数、ここでは2つ設けられる。各孔部15aは、メスコネクタ10に設けられる複数のメス端子11の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。各孔部15aは、拡径されて電線W1が挿入される。これにより、メスシールラバー15は、メスシェル12の外部露出部12eの内側から水等の液体等が嵌合空間部13a内に浸入することを防止することができる。
メスパッキン16は、ゴム等の弾性部材から筒状に形成され、シェル支持筒部13fに装着される。メスパッキン16は、周方向に沿って設けられた突起部16aを有する。突起部16aは、リング状に形成されメスパッキン16の径方向に突出し、複数個、この例では軸方向Xに並んで2つ設けられる。メスパッキン16は、シェル支持筒部13fに装着された状態でオスハウジング23の開口部23b側がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合され、オスハウジング23の開口部23bの内側が突起部16aに当接する(図9参照)。これにより、メスパッキン16は、オスハウジング23とメスハウジング13との隙間から水等の液体等がオスハウジング23の内部に浸入することを防止することができる。
次に、オスコネクタ20について説明する。オスコネクタ20は、図6、図7、図8に示すように、ワイヤハーネスWHを構成する電線W2の末端に接続されるオス型のコネクタである。オスコネクタ20は、端子としてのオス端子21と、当該オス端子21を包囲する導電部材としてのオスシェル22と、オス端子21及びオスシェル22が設けられるハウジングとしてのオスハウジング23と、オーリング24と、オスシールラバー25とを備える。なお、以下の説明では、オスコネクタ20において、軸方向Xのメスコネクタ10側を前側といい、反対側を軸方向Xの後側という場合がある。
オス端子21は、コネクタ用のオス型の端子金具であり、電線W2の末端に接続され全体が導電性の金属によって構成される。オス端子21は、オスハウジング23に保持された状態で軸方向Xに沿って延在する。オス端子21は、オスハウジング23がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合し、メスハウジング13のメス端子11と電気的に接続される。
オスシェル22は、オス端子21から外部に放射される電磁的なノイズや、オス端子21が外部から影響を受ける電磁的なノイズを遮蔽するものである。オスシェル22は、オス端子21を包囲しメスコネクタ10のメスシェル12と電気的に接続される筒状の部材である。オスシェル22は、例えば、金属板が筒状に丸められて形成された部材である。オスシェル22は、メスシェル12と大きさは異なるが同等の形状に形成され、軸方向Xから見た場合に略矩形状に形成されており、4つの角部がアール(丸み)を帯びて形成される。オスシェル22は、メスシェル12よりも一回り大きく形成される。オスシェル22は、図8に示すように、本体部22gと、本体部22gに設けられ接点部としてのオス接点部22cと、本体部22gに設けられ突出部としてのオス突出部22dとを有する。本体部22gは、内周面において高さ方向Zで対向する内周上面部22aと内周下面部22bとを有する。オス接点部22cは、メスコネクタ10のメスシェル12と電気的に接続される部分である。オス接点部22cは、オスハウジング23がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合された状態で、メスシェル12のメス接点部12cと対応する位置に設けられる。オス接点部22cは、例えば、複数個設けられ、本実施形態では2つ設けられる。各オス接点部22cは、本体部22gの内周面に設けられ、例えば、内周上面部22aと内周下面部22bとにそれぞれ1つずつ設けられる。各オス接点部22cは、高さ方向Zの同一軸上に設けられ、オス突出部22dよりも軸方向Xの前側(メスコネクタ10側)に位置する。各オス接点部22cは、本体部22gの内周面と面一に形成され、オスハウジング23がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合された状態で、メスシェル12の各メス接点部12cが接触する部分である。
オス突出部22dは、オスシェル22とオスハウジング23とを一体化成形するときに樹脂止めとして用いられる部分である。オス突出部22dは、各オス接点部22cに対応して設けられ、本実施形態では2つ設けられる。各オス突出部22dは、内周上面部22aと内周下面部22bとにそれぞれ1つずつ設けられ、各オス接点部22cよりも軸方向Xの後側(基部23d側)に位置する。各オス突出部22dは、軸方向Xに交差する方向に突出した凸部であり、オスハウジング23の開口部23b側から軸方向Xに沿って見た場合に、各オス接点部22cが各オス突出部22dの外形線L2よりも本体部22g側に位置する。つまり、各オス突出部22dは、オスハウジング23の開口部23b側から軸方向Xに沿って見た場合に、各オス接点部22cが各オス突出部22dの外形線L2の両端部P1の間に位置する。さらに言えば、各オス突出部22dは、オスハウジング23の開口部23b側から軸方向Xに沿って見た場合に、当該各オス突出部22dの外形線L2が各オス接点部22cを跨いでいる。ここで、外形線L2は、各オス突出部22dの凸部の形状を表す線であり、オス突出部22dと内周上面部22a(内周下面部22b)との境界線は含まない。
オスハウジング23は、オス端子21が設けられるオス型のコネクタハウジングであり、絶縁性の合成樹脂材等によって形成される。オスハウジング23は、オスシェル22と一体形成されてオス端子21を保持し、メスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合可能な部材である。オスハウジング23は、インサート成形によりオスシェル22と一体化されて形成される。オスハウジング23は、基部23dと、基部23dから軸方向Xに沿って延在し筒状に形成された筒部としてのオスハウジング筒部23cと、オスハウジング筒部23cにおける基部23dとは反対側の端部に設けられた開口部23bと、各オス端子21を挿入して保持するためのオス端子挿入室23eとを有する。オス端子挿入室23eは、キャビティと呼ばれることもある。
オスハウジング筒部23cは、メスコネクタ10とオスコネクタ20とが嵌合した状態では外部から水等の液体や粉塵等が内部に入り込むことを防止し、作業時には作業者の手指がオス端子21に触指すること、および、外力によってオス端子21が傷ついたり変形したりすることを防止するものである。オスハウジング筒部23cは、軸方向Xに沿って延在された部材であり、軸方向Xから見た場合にオスシェル22と大きさは異なるが同等の形状に形成される。つまり、オスハウジング筒部23cは、軸方向Xから見た場合に略矩形状に形成されており、4つの角部がアール(丸み)を帯びて形成される。オスハウジング筒部23cは、オスハウジング23の一部がメスハウジング13の嵌合空間部13aに挿入される挿入空間部23aを有する。挿入空間部23aは、オスハウジング筒部23cの内側と基部23dとで区画される内部空間である。挿入空間部23aには、オスシェル22の各オス接点部22cと各オス端子21とが配置され、各オス接点部22c及び各オス端子21の先端部(軸方向Xの前側端部)21aが挿入空間部23a内で露出する。オスハウジング筒部23cは、各オス端子21及びオスシェル22の各オス接点部22cを覆うことにより外部からの水等の液体や粉塵等の固形物を防御する。開口部23bは、オスハウジング筒部23cの一方側が開口された部分であり、軸方向Xに沿って開口部23bからメスコネクタ10の各メス端子11及び各メス接点部12cが挿入される。
基部23dは、電線W2が挿通可能にオスハウジング筒部23cの他方側が閉塞された部分である。基部23dは、オスシェル22の一方側を埋設してオスシェル22を一体化する。基部23dに一体化されたオスシェル22は、他方側が軸方向Xに沿って延在してオスハウジング筒部23cの内部に露出する。例えば、基部23dは、オスシェル22の各オス接点部22cをオスハウジング筒部23cの内部で露出すると共にオスハウジング23の開口部23bとは反対側のオスシェル22の端部を外部に露出し、オスシェル22の軸線とオスハウジング23の軸線とが同一軸線上に位置した状態でオスシェル22と一体化する。なお、外部に露出したオスシェル22の端部を外部露出部22eとも称する。基部23dは、オスシェル22を支持するシェル支持部23fと、オスシェル22の内側に設けられ軸方向Xの後側から電線W2が挿通する電線挿通室23gと、オーリング装着用の筒状の筒壁部23hとを有する。電線挿通室23gは、軸方向Xに沿って設けられ、軸方向Xの後側から電線W2が挿入可能な空間部である。電線挿通室23gは、オスコネクタ20に設けられる複数のオス端子21の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。電線挿通室23gは、電線W2が軸方向Xに沿って軸方向Xの後側から挿入される。
オス端子挿入室23eは、オス端子21を軸方向Xに沿って挿入可能であり当該オス端子21を保持する空間部である。オス端子挿入室23eは、電線挿通室23gの軸方向Xの前側からオスハウジング筒部23cの内部に軸方向Xに沿って延在して中空状に形成され、オス端子21を収容する。オス端子挿入室23eは、電線挿通室23gと連通しオス端子21の外形形状に応じて当該オス端子21が挿入可能な大きさ、形状の空間部として形成される。オス端子挿入室23eは、軸方向Xの後側に図示しないオス端子挿入開口部が形成され、軸方向Xの前側にオス端子挿出開口部23jが形成される。オス端子挿入開口部は、オス端子21が挿入される開口部として軸方向Xの後側に向けて開口する。オス端子挿出開口部23jは、オス端子21の先端部21aが軸方向Xに沿って挿通される開口部として軸方向Xの前側に向けて開口する。オス端子挿入室23eは、オスコネクタ20に設けられる複数のオス端子21の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。オス端子挿入室23eは、オス端子挿入開口部を介してオス端子21が挿入されオス端子21を保持する。オス端子21は、例えば、挿入空間部23a内に露出する先端部21aとは反対側の端部(軸方向Xの後側端部)が、オス端子挿入室23e内に保持され当該端部に電線W2が接続される。オス端子21は、軸方向Xの後側からオス端子挿入室23e内に挿入されて保持され、軸方向Xの前側の先端部21aが挿入空間部23a内に露出する。
オーリング装着用の筒壁部23hは、オスシェル22の外部露出部22eと共にオーリング装着溝23kを構成する。オーリング装着溝23kは、オーリング24を装着する部分であり、オスシェル22の外部露出部22eと基部23dとの境界を含む部分である。オーリング装着溝23kは、筒状の外部露出部22eと、外部露出部22eの周囲を囲うように設けられた筒状の筒壁部23hと、外部露出部22eと筒壁部23hとで挟まれる基部23dの軸方向Xの後側の端面とから構成される。オーリング装着溝23kは、外部露出部22eと筒壁部23hとの幅がオーリング24の直径よりも狭い。オーリング24は、ゴム等の弾性部材から形成され、オーリング装着溝23kに押しつぶされて装着され、水等の液体等がオスシェル22の外部露出部22eと基部23dとの境界から挿入空間部23a内に浸入することを防止する。
オスシールラバー25は、ゴム等の弾性部材から形成され、オスシェル22の開口部と同等の形状に形成され、圧縮されてオスシェル22の外部露出部22eの内側に装着される。オスシールラバー25は、電線W2を挿通するための孔部25aを有する。孔部25aは、複数、ここでは2つ設けられる。各孔部25aは、オスコネクタ20に設けられる複数のオス端子21の数に応じて複数、ここでは幅方向Yに並んで2つ設けられる。各孔部25aは、拡径されて電線W2が挿入される。これにより、オスシールラバー25は、オスシェル22の外部露出部22eの内側から水等の液体等が挿入空間部23a内に浸入することを防止することができる。
コネクタユニット1は、図9に示すように、オスハウジング23がメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合することで、オス端子21がオス端子挿入開口部13iに挿入され、オス端子21が当該オス端子挿入開口部13i内のメス端子11と電気的に接続される。また、コネクタユニット1は、メスシェル12がオスシェル22の内部に進入し、オスシェル22のオス接点部22cとメスシェル12のメス接点部12cとが高さ方向Zに重なる場所に位置し、オス接点部22cとメス接点部12cとが電気的に接続される。また、コネクタユニット1は、オスハウジング23の開口部23bの内側がメスハウジング13のメスパッキン16に当接し、オスハウジング23とメスハウジング13との隙間から水等の液体等がオスハウジング23の内部に浸入することを防止する。
コネクタユニット1において、メスコネクタ10のメス突出部12dは、図2に示すように、メスハウジング13の合成樹脂材がメスシェル12の各メス接点部12c側に及ばないように金型2により樹脂切りする部分に設けられている。これにより、メスコネクタ10は、インサート成形される場合、例えば、金型2がメスハウジング13の軸方向Xに開閉されるときに金型2が各メス接点部12cの高さ方向Zに離間した状態で通過するので、金型2が各メス接点部12cに接触せず良好なメス接点部12cを確保することができる。ここで、インサート成形とは、金型2にインサート部品であるメスシェル12を装填した後、金型2に合成樹脂材を注入してメスシェル12を溶融した合成樹脂材で固化し、合成樹脂材とメスシェル12とを一体化した複合部品を形成することである。なお、メス突出部12dは、オスハウジング23をメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合するときに、オスハウジング23が軸方向Xに進む位置を決める位置決めとして機能させてもよい。この場合、オスハウジング23は、軸方向Xの前側の端部がメス突出部12dに当接するまで軸方向Xに進む。
また、オス突出部22dは、図6に示すように、合成樹脂材がオスシェル22の各オス接点部22c側に及ばないように金型3により樹脂切りする部分に設けられる。これにより、オスコネクタ20は、インサート成形される場合、例えば、金型3がオスハウジング23の軸方向Xに開閉されるときに金型3が各オス接点部22cの高さ方向Zに離間した状態で通過するので、金型3が各オス接点部22cに接触せず良好なオス接点部22cを確保することができる。なお、オス突出部22dは、オスハウジング23をメスハウジング13の嵌合空間部13aに嵌合するときに、メスハウジング13が軸方向Xに進む位置を決める位置決めとして機能させてもよい。この場合、メスハウジング13は、軸方向Xの前側の端部がオス突出部22dに当接するまで軸方向Xに進む。
以上のように、実施形態に係るメスコネクタ10は、メスハウジング筒部13cと、メスシェル12がオスコネクタ20と電気的に接続されるメス接点部12cと、メス接点部12cよりも基部13d側に位置するメス突出部12dと、を有し、メス突出部12dは、開口部13b側から軸方向Xに沿って見た場合に、メス接点部12cが当該メス突出部12dの外形線L1よりも本体部12f側に位置する。また、実施形態に係るオスコネクタ20は、オスハウジング筒部23cと、オスシェル22がメスコネクタ10と電気的に接続されるオス接点部22cと、オス接点部22cよりも基部23d側に位置するオス突出部22dと、を有し、オス突出部22dは、開口部23b側から軸方向Xに沿って見た場合に、オス接点部22cが当該オス突出部22dの外形線L2よりも本体部22g側に位置する。これにより、メスコネクタ10は、インサート成形される場合、防水等のためにフードとしてメスハウジング筒部13cを形成するので金型2がメスハウジング13の軸方向Xに開閉され、このときにオス突出部22dにより金型2がメスシェル12のメス接点部12cの高さ方向Zに離間した状態で通過し、金型2がメス接点部12cに接触せず良好なメス接点部12cを確保することができる。同様に、オスコネクタ20は、インサート成形される場合、金型3がオスハウジング23の軸方向Xに開閉されるときにオス突出部22dにより金型3がオスシェル22のオス接点部22cの高さ方向Zに離間した状態で通過し、金型3がオス接点部22cに接触せず良好なオス接点部22cを確保することができる。また、メスコネクタ10及びオスコネクタ20は、メスハウジング13のメスハウジング筒部13c、オスハウジング23のオスハウジング筒部23cをメスシェル12のメス接点部12c、オスシェル22のオス接点部22cのフードとして機能させることができ、水等の液体や粉塵等の固形物からメス接点部12cを保護することができる。また、メスコネクタ10及びオスコネクタ20は、オーリング14、メスシールラバー15、メスパッキン16、オーリング24、オスシールラバー25により防水することができるので、メス接点部12c及びオス接点部22cの接触性の信頼を向上することができる。また、メスコネクタ10は、金型2がメスハウジング13の軸方向Xに開閉されるので、メス端子挿入室13eも同時に形成することができ製造プロセスを簡素化できる。同様に、オスコネクタ20は、金型3がオスハウジング23の軸方向Xに開閉されるので、オス端子挿入室23eも同時に形成することができ製造プロセスを簡素化できる。
また、メスシェル12は、メス端子11を包囲しオスコネクタ20のオスシェル22とメス接点部12cで接続される筒状のシェルである。また、オスシェル22は、オス端子21を包囲しメスコネクタ10のメスシェル12とオス接点部22cで接続される筒状のシェルである。これにより、メスシェル12及びオスシェル22は、お互いが電気的に接続されて1つのシェルを構成することができる。従って、メスシェル12及びオスシェル22は、1つのシェルによって、メス端子11及びオス端子21から外部に放射される電磁的なノイズや、メス端子11及びオス端子21が外部から影響を受ける電磁的なノイズを良好に遮蔽することができる。
また、メス接点部12cは、メスハウジング13の軸方向Xと交差する方向に突出し、メス突出部12dは、開口部13b側から軸方向Xに沿って見た場合に、メス接点部12cの外形線L3が当該メス突出部12dの外形線L1の内側に位置する。これにより、メス接点部12cは、凸状に形成されてもメス突出部12dのほうが突出しているので、インサート成形される場合に金型2がメス接点部12cに接触せず良好なメス接点部12cを確保することができる。
また、オス接点部22cは、本体部22gの周面と面一に形成され、オス突出部22dは、開口部23b側から軸方向Xに沿って見た場合に、オス接点部22cが当該オス突出部22dの外形線L2の両端部P1の間に位置する。これにより、オス突出部22dは、平面状に形成されたオス接点部22cよりも突出することができるので、インサート成形される場合に金型3がオス接点部22cに接触せず良好なオス接点部22cを確保することができる。
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。メスシェル12のメス接点部12cとオスシェル22のオス接点部22cとは、個数が2つに限定されない。メス接点部12c、オス接点部22cは、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。この場合、メス突出部12d、オス突出部22dは、上述したように、メス接点部12c、オス接点部22cに対応して設けられる。
また、オス突出部22dは、軸方向Xに交差する方向に突出した点状の凸部である例について説明したが、これに限定されない。例えば、オス突出部22dは、図10に示すように、オスシェル22Aの内周面の周方向に沿ってリング状に設けられ、オスハウジング23の軸線に向けて突出したオス突出部22fでもよい。
また、導電部材としてメスシェル12、オスシェル22、22Aを例に挙げて説明したが、図示しないメス端子、オス端子を導電部材としてもよい。この場合、メス端子がインサート部品としてメスハウジングとインサート成形され、オス端子がインサート部品としてオスハウジングとインサート成形される。
また、コネクタユニット1は、2極のメスコネクタ10と2極のオスコネクタ20とを有するコネクタユニットについて説明したが、これに限定されない。例えば、コネクタユニット1は、各コネクタが単極であってもよいし、3極以上であってもよい。
また、コネクタユニット1は、その開口形状が4つの角部がアール(丸み)を帯びた略矩形状である例について説明したが、これに限定されない。例えば、コネクタユニット1は、軸方向Xから見た場合にメスハウジング筒部13c及びオスハウジング筒部23cの開口形状が真円形状であってもよい。