JP6480485B2 - 雌雄コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、雌雄コネクタに関する。
従来、互いに嵌合される雌コネクタと雄コネクタにおいては、そのそれぞれの合成樹脂製のハウジングに金属製の筒状のシールドシェルを設けることによって、シールドシェルの内方の端子や電線に対してのノイズの侵入を抑制する、という技術が知られている。この種の雌雄コネクタについては、例えば、下記の特許文献1に開示されている。
特開2014−103021号公報 特開2006−331996号公報
ところで、従来の雌コネクタと雄コネクタとの間において、それぞれのシールドシェルは、コネクタ嵌合方向に対する直交方向で一方の外周面側と他方の内周面側とが互いに接触することによって、電気的に接続される。このため、それぞれのシールドシェルは、雌コネクタと雄コネクタとを嵌合させているときに、相互間で摺動しながら自らも嵌合されていくことになる。また、そもそも、この雌コネクタと雄コネクタとの間においては、雌端子と雄端子についても、互いに摺動しながら嵌合されていく。このような嵌合構造を備えた雌雄コネクタは、コネクタ嵌合後のガタが抑えられる一方で、嵌合させる際に大きな挿入力を加える必要がある。また、このことは、雌コネクタと雄コネクタとの間を取り外す際に、大きな抜去力が必要とされることを示している。
尚、上記の特許文献2には、一方のコネクタのハウジングを他方のコネクタのハウジングへとコネクタ嵌合方向に押し付けるロックレバーを備え、嵌合させる際にロックレバーを使用することで挿入力を軽減させる、という技術が開示されている。また、この特許文献2には、コネクタ嵌合後のガタの抑制構造も儲けられている。その抑制構造は、それぞれのコネクタのハウジングにおけるコネクタ嵌合方向側の端部の傾斜面と、それぞれの傾斜面側同士を当接させた状態で一方のコネクタのハウジングを他方のコネクタのハウジングに押し付ける弾性部材と、を備えている。一方のコネクタにおいては、コネクタ嵌合方向への相対移動が可能なアウタハウジングとインナハウジングの2分割構造のハウジングを設けると共に、アウタハウジングとインナハウジングの間に弾性部材を配置し、インナハウジングを他方のコネクタのハウジングに向けて押動させるように構成している。そして、この一方のコネクタにおいて、インナハウジングにおけるコネクタ嵌合方向側の端部の外周面は、コネクタ嵌合方向に対する直交断面の外周縁の大きさがコネクタ嵌合方向に進むに連れて小さくなるよう傾斜させている。また、他方のコネクタのハウジングにおけるコネクタ嵌合方向側の端部の内周面は、コネクタ嵌合方向に対する直交断面の内周縁の大きさがコネクタ嵌合方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させている。
本発明は、コネクタ挿抜に際しての挿抜力を軽減しつつ、コネクタ嵌合後のガタを抑えることが可能な雌雄コネクタを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、第1コネクタと第2コネクタとを備え、以下の点を特徴としている。第1コネクタには、相互間での挿入と共に互いに嵌合可能な雌端子と雄端子の内の一方の端子と、前記一方の端子を保持するインナハウジングと、前記インナハウジングとの間でコネクタ挿抜方向への相対移動が可能なアウタハウジングと、前記インナハウジングに一体化された筒状の一方のシールドシェルと、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間に配置し、コネクタ嵌合後の前記インナハウジング又は前記一方のシールドシェルの内の少なくとも一方に対して相手方コネクタに向けた自らのコネクタ挿入方向への弾発力を作用させる弾性部材と、を設ける。前記相手方コネクタとしての第2コネクタには、前記雌端子と前記雄端子の内の他方の端子と、前記他方の端子を保持するハウジングと、前記ハウジングに一体化された筒状の他方のシールドシェルと、を設ける。前記一方のシールドシェルは、コネクタ挿入に伴い自らのコネクタ挿入方向側で前記他方のシールドシェルに突き当て、かつ、コネクタ嵌合後に前記弾性部材の前記弾発力で前記他方のシールドシェルに押し付ける。
ここで、前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルは、その内の一方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の外周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第1テーパ面とし、かつ、その内の他方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の内周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第2テーパ面とし、コネクタ挿入に伴い前記第1テーパ面側と前記第2テーパ面側とを突き当てることが望ましい。
また、前記第1テーパ面は、前記外周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の外周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて小さくなるよう傾斜させ、かつ、前記第2テーパ面は、前記内周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させることが望ましい。
また、前記第1テーパ面と前記第2テーパ面の内の少なくとも一方には、突き当て対象となる相手方のテーパ面に向けて膨出させた膨出部を少なくとも1つ設けることが望ましい。
また、前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の一方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、コネクタ挿抜方向で傾斜させたテーパ面を有し、前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の他方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、前記テーパ面に向けて膨出させた膨出部を少なくとも1つ有し、前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルは、コネクタ挿入に伴い前記テーパ面と前記膨出部とを突き当てることが望ましい。
また、前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の他方における自らのコネクタ挿入方向側の端部は、コネクタ挿抜方向に沿ってコネクタ挿入方向側に延出させることが望ましい。
本発明に係る雌雄コネクタは、それぞれのシールドシェルを突き当てる構造になっており、コネクタ嵌合の際に従来のようなシールドシェルの間の摺動を伴わないので、コネクタ嵌合に際しての挿入力を軽減することができる。また、この雌雄コネクタは、第1コネクタと第2コネクタとの間の取り外しに際しても、シールドシェルの間の摺動を伴わないので、抜去力が軽減される。このように、この雌雄コネクタにおいては、コネクタ挿抜に際しての挿抜力を軽減することができる。更に、この雌雄コネクタは、弾性部材によってシールドシェルの間の突き当て状態を保つことができると共に、この弾性部材で、コネクタ嵌合後における第1コネクタと第2コネクタとの間のガタの発生を抑えることができる。従って、この雌雄コネクタは、コネクタ挿抜に際しての挿抜力を軽減しつつ、コネクタ嵌合後のガタを抑えることができる。
図1は、実施形態の雌コネクタと雄コネクタの嵌合状態を示す斜視図である。 図2は、実施形態の雌コネクタと雄コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。 図3は、図1のX1−X1線断面図である。 図4は、実施形態の雌コネクタを開口側から見た正面図である。 図5は、実施形態の雌コネクタの分解斜視図である。 図6は、図4のX2−X2線断面図である。 図7は、実施形態の雌コネクタの内部構成部品の分解斜視図である。 図8は、実施形態の雌コネクタのインナハウジングとシールドシェルの分解斜視図である。 図9は、実施形態の雄コネクタを開口側から見た正面図である。 図10は、図9のX3−X3線断面図である。 図11は、実施形態の雄コネクタの分解斜視図である。 図12は、実施形態の雄コネクタのハウジングとシールドシェルの分解斜視図である。 図13は、変形例の雌コネクタを開口側から見た正面図である。 図14は、変形例の雌コネクタの分解斜視図である。 図15は、変形例の雌コネクタの内部構成部品の分解斜視図である。 図16は、変形例の雌コネクタのインナハウジングとシールドシェルの分解斜視図である。 図17は、変形例の雄コネクタの分解斜視図である。 図18は、変形例の雄コネクタの内部構成部品の分解斜視図である。 図19は、変形例の雌コネクタと雄コネクタの嵌合状態を示す断面図である。 図20は、図19のA部拡大図である。
以下に、本発明に係る雌雄コネクタの実施形態の概要を示した後、その実施形態の具体例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本実施形態の雌雄コネクタは、相互間での挿入と共に互いに嵌合可能な雌端子と雄端子の内の一方の端子が設けられた第1コネクタと、その雌端子と雄端子の内の他方の端子が設けられた第2コネクタと、を備える。その第1コネクタと第2コネクタは、自らを相手方コネクタに挿入することで相手方コネクタに嵌合し、雌端子と雄端子とを物理的且つ電気的に接続させる。一方、この第1コネクタと第2コネクタは、自らを相手方コネクタから抜去させることで雌端子と雄端子の物理的且つ電気的な接続が解消される。その挿入方向(嵌合方向)と抜去方向は、互いに逆向きになっている。以下においては、その挿入方向を「コネクタ挿入方向」と称し、その嵌合方向を「コネクタ嵌合方向」と称し、その抜去方向を「コネクタ抜去方向」と称する。これらの各方向は、自らの相手方コネクタに対する向きを示すものとする。また、これらの双方向の向きを特定しない場合には、これを「コネクタ挿抜方向」と称する。
この雌雄コネクタにおいて、第1コネクタには、更に、その一方の端子を保持するインナハウジングと、このインナハウジングとの間でコネクタ挿抜方向への相対移動が可能なアウタハウジングと、インナハウジングに一体化された筒状の一方のシールドシェルと、アウタハウジングとインナハウジングとの間に配置し、コネクタ嵌合後のインナハウジング又は一方のシールドシェルの内の少なくとも一方に対して相手方コネクタに向けた自らのコネクタ挿入方向への弾発力を作用させる弾性部材と、を設けている。また、第2コネクタには、更に、他方の端子を保持するハウジングと、このハウジングに一体化された筒状の他方のシールドシェルと、を設けている。
この雌雄コネクタにおいて、一方のシールドシェルは、コネクタ挿入に伴い自らのコネクタ挿入方向側で他方のシールドシェルに突き当て、かつ、コネクタ嵌合後に弾性部材の弾発力で他方のシールドシェルに押し付けるように構成する。このように、この雌雄コネクタは、それぞれのシールドシェルをコネクタ挿入に伴い互いに突き当てるものであり、従来のように、内周面側と外周面側とを摺動させながらシールドシェル同士を嵌合させるものではないので、コネクタ嵌合させる際の挿入力を軽減することができる。更に、この雌雄コネクタは、それぞれのシールドシェルをコネクタ嵌合後に互いに押し付け合うことが可能なので、それぞれのシールドシェルの間の電気的な接続状態を確保することができると共に、それぞれのシールドシェルの間で第1コネクタと第2コネクタとの間でのコネクタ嵌合後のガタの発生を抑えることができる。
ここで、それぞれのシールドシェルは、例えば、各々のコネクタ挿入方向側の端面同士を突き当てるものであってもよく、各々のコネクタ挿入方向側の端部に突き当て部を設けたものであってもよい。但し、それぞれのシールドシェルは、互いの電気的な接続状態を良好なものとするため、突き当て部を有することが好ましい。例えば、それぞれのシールドシェルは、その内の一方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の外周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第1テーパ面とし、かつ、その内の他方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の内周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第2テーパ面とし、コネクタ挿入に伴い第1テーパ面側と第2テーパ面側とを突き当てるように構成する。より具体的に、一方の突き当て部としての第1テーパ面は、外周面における自らのコネクタ挿入方向に対する直交断面の外周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて小さくなるよう傾斜させる。そして、他方の突き当て部としての第2テーパ面は、内周面における自らのコネクタ挿入方向に対する直交断面の内周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させる。これにより、それぞれのシールドシェルにおいては、コネクタ嵌合後に第1テーパ面が第2テーパ面に楔の如く食い込むことになる。このため、この雌雄コネクタにおいては、コネクタ嵌合後のシールドシェル間で、コネクタ挿抜方向におけるガタの発生が抑えられると共に、コネクタ挿抜方向に対する直交方向でのガタの発生も抑えることができる。
以下に、この雌雄コネクタについての具体例の1つを図1から図12に示す。以下においては、第1コネクタを雌コネクタとして説明すると共に、第2コネクタを雄コネクタとして説明する。また、以下においては、その雌コネクタに第1テーパ面を設け、雄コネクタに第2テーパ面を設けるものとして説明する。
図1から図3の符号1,2は、それぞれ本実施形態の雌コネクタと雄コネクタとを示す。
雌コネクタ1は、金属等の導電性材料によって雌型に成形された端子(雌端子)10と、この雌端子10を内方側で保持する雌ハウジング20と、を備える(図4から図8)。更に、この雌コネクタ1は、その雌ハウジング20に一体化されたシールドシェル30を備える。また更に、この雌コネクタ1は、雄コネクタ2との間で液体の浸入を抑えるシール部材40を備える。この雌コネクタ1においては、雌端子10が同じ向きに2つ並べて配置されている。一方、雄コネクタ2は、金属等の導電性材料によって雄型に成形された端子(雄端子)110と、この雄端子110を内方側で保持する雄ハウジング120と、この雄ハウジング120に一体化されたシールドシェル130と、を備える(図9から図12)。この雄コネクタ2においては、雄端子110が同じ向きに2つ並べて配置されている。
雌端子10は、雄端子110に対して物理的且つ電気的に接続される端子接続部11と、電線50に対して物理的且つ電気的に接続される電線接続部12と、を有する(図7)。雄端子110は、雌端子10と同じように、雌端子10に対して物理的且つ電気的に接続される端子接続部111と、電線150に対して物理的且つ電気的に接続される電線接続部112と、を有する(図11)。この例示では、雄端子110の端子接続部111がコネクタ挿抜方向に軸線方向を合わせた円柱状に形成されており、この形状に合わせて雌端子10の端子接続部11が円筒状に形成されている。また、それぞれの電線接続部12,112は、各々の電線50,150をコネクタ抜去方向へと引き出すことができるように形成されている。この例示の電線接続部12,112には、加締め等の圧着によって電線50,150の端末の芯線51,151が固定される。
雌ハウジング20と雄ハウジング120は、合成樹脂材料等の絶縁性材料によって各々所定の形状に成形される。この例示の雌ハウジング20と雄ハウジング120は、後で詳述するように、両端を開口させた筒状のフードと、このフードの内方で端子を保持する端子保持体と、を有する。フードは、その内部空間を端子の収容室として利用するものであり、この内部空間に端子保持体を一体化させた状態で配置している。このフードにおいては、両端の開口を繋ぐ筒軸方向がコネクタ挿抜方向になっており、その内方のコネクタ挿入方向側の端部(相手方コネクタ側の端部)に端子接続部11(111)が配置され、かつ、その内方のコネクタ抜去方向側の端部に電線接続部12(112)が配置される。フードの内方の端子保持体は、そのような端子の配置が可能になるように形成する。
具体的に、雌ハウジング20は、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bの2分割構造になっている(図5)。
アウタハウジング20Aは、先に示したフードを成すものであり、両端を開口させた筒状に成形されている。この例示では、角筒状に成形している。
インナハウジング20Bは、それぞれの雌端子10が収容される端子収容部21を有する(図6及び図8)。その端子収容部21は、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に成形されており、その内方にそれぞれの雌端子10毎の収容室(図示略)が形成されている。この例示の端子収容部21は、角筒状に成形している。また、この例示の収容室には、雌端子10の電線接続部12と、この電線接続部12に接続された電線50の端末と、が収容される。
その雌端子10と電線50は、端子収容部21におけるコネクタ抜去方向側の端部の開口側(具体的には、シールドシェル30のコネクタ抜去方向側の端部の開口)から挿入される。このため、電線50は、そのシールドシェル30の開口から外部に引き出されることになる。その開口は、合成樹脂材料等の絶縁性材料によって成形されたシールド接続体60で閉塞される(図7)。シールド接続体60は、その開口に嵌め込まれる少なくとも1つの成形体から成り、それぞれの電線50を挿通させる貫通孔を有している。また、このシールド接続体60は、導電性材料から成る編組55を保持すると共に、この編組55をシールドシェル30に対して物理的且つ電気的に接続させる。編組55は、それぞれの電線50を覆うことでノイズの侵入を抑えるものであり、筒状且つ網目状に編み込まれている。このシールド接続体60には、端子収容部21の内方へのシールド接続体60側からの液体の浸入を抑えるべく、シール部材70が配置されている。そのシール部材70は、電線50毎に設けている。
更に、インナハウジング20Bは、端子収容部21のコネクタ挿入方向側の端部の開口に、先に示した端子保持体としての端子保持部22を雌端子10毎に2つ並べて配置している(図7及び図8)。その端子保持部22は、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に成形されており、その端子収容部21の開口から筒軸方向に沿って延出させている。そして、この端子保持部22は、その内方をコネクタ抜去方向側の端部の開口を介して端子収容部21の収容室に連通させている。このため、この例示の端子保持部22では、その内方に端子接続部11を収容し且つ保持することになる。この端子保持部22のコネクタ挿入方向側の端部には、両端を開口させた筒状の蓋部材23が取り付けられる(図7)。雄端子110は、その蓋部材23と端子保持部22の開口を介して挿入され、その挿入の進行と共に雌端子10の端子接続部11の内方に挿入される。尚、端子収容部21のコネクタ挿入方向側の端部の開口は、端子保持部22との連通部分を除いて閉塞されている。
また更に、このインナハウジング20Bには、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状部24が設けられている(図5、図7及び図8)。そして、その筒状部24には、シール部材40の保持部25が設けられている。その筒状部24と保持部25については、後で詳述する。
雌ハウジング20においては、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bが各々係合部を有しており、それぞれの係合部から成る係合機構26によってアウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとが互いに固定される(図4)。この例示のインナハウジング20Bは、アウタハウジング20Aに対して、コネクタ挿入方向側の端部の開口から筒軸方向に沿って内方に挿入される。係合機構26は、その挿入動作に伴いそれぞれの係合部同士を係合させることによって、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとを一体化させる。例えば、この係合機構26は、一方の係合部を爪形状に形成し、他方の係合部を爪部が引っ掛かる形状に形成する。図4及び図5に示す係合機構26においては、爪形状の係合部26aをインナハウジング20Bの端子収容部21の外壁面に設け、その爪部が引っ掛かる係合部26bをアウタハウジング20Aに設けている。尚、図5においては、アウタハウジング20Aの係合部26bの図示を省略している。この例示では、この係合機構26を2箇所に設けている。
この雌ハウジング20においては、インナハウジング20Bにシールドシェル30が一体化される(図7及び図8)。
シールドシェル30は、ノイズ対策のために設けられたものであり、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に金属等の導電性材料で成形される(図8)。このシールドシェル30は、インナハウジング20Bの端子収容部21等に対して一体化されるので、その端子収容部21の形状に合わせて角筒状に成形している。また、このシールドシェル30は、雄コネクタ2との嵌合完了後に、この雄コネクタ2のシールドシェル130に対して物理的且つ電気的に接続される。
シールドシェル30は、そのインナハウジング20Bに対して、コネクタ挿入方向側の端部の外周側と内周側の内の少なくとも一方を環状の露出面として露出させた状態で一体化させる。その露出面としては、雄コネクタ2のシールドシェル130との接点部として利用されるもの(以下、「電気接続面」という。)を少なくとも設ける。その電気接続面とは、先に示した突き当て部に相当する部分である。この例示のシールドシェル30においては、コネクタ挿入方向側の端部をテーパ状に形成し、その外周側のテーパ面(第1テーパ面)31を電気接続面として利用する。その第1テーパ面31は、そのテーパ状部分の外周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の外周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて小さくなるよう傾斜させたものである。この例示のシールドシェル30においては、第1テーパ面31よりもコネクタ抜去方向側の外周面についてもインナハウジング20Bから露出させており、この環状の露出面をシール側露出面32として利用している。この例示のシールドシェル30において、コネクタ挿入方向側の端部は、そのシール側露出面32に対して内方側に窄ませている。このため、第1テーパ面31は、そのシール側露出面32よりも内方側に設けられている。
ここで、第1テーパ面31は、その環状の壁面を接点とするものであってもよく、その環状の壁面から膨出させた少なくとも1つの膨出部を接点とするものであってもよい。この例示の第1テーパ面31には、4箇所に膨出部31aを設けており(図7及び図8)、これらを接点として利用する。
この例示のシールドシェル30は、その外周面に第1テーパ面31とシール側露出面32を設ける一方で、その内周面で端子収容部21の外周面を覆うように配置し、自らの内周面を端子収容部21の外周面に接触させた状態で一体化させる。この雌コネクタ1においては、インナハウジング20Bとシールドシェル30の一体化について、互いを嵌合させるなどして行ってもよく、シールドシェル30に対するインナハウジング20Bのインサート成形によって行ってもよい。この例示では、インサート成形を用いている。
このシールドシェル30は、その内方に雌端子10又は/及び電線50が挿通状態で配置されており、その雌端子10又は/及び電線50へのノイズの侵入を抑える。この例示のシールドシェル30は、上記のような端子収容部21に対する位置関係によって、雌端子10の電線接続部12と、この電線接続部12に接続された電線50の端末と、が内方に収容されている。
このシールドシェル30は、シール側露出面32に対してコネクタ抜去方向側で連接する環状の連接壁面33を有している(図6及び図8)。先に示したインナハウジング20Bの筒状部24は、その連接壁面33に対して周方向に渡って接触させる。このため、この筒状部24は、角筒状に成形される。この例示では、シールドシェル30の外周面にシール側露出面32を設けており、同じ外周面上に連接壁面33が設けられるので、シールドシェル30の外側に筒状部24が配置される。つまり、この例示のシールドシェル30は、筒軸方向に対する直交方向において、内方側の端子収容部21と外方側の筒状部24との間に介在させている。先に示したように、この例示のインナハウジング20Bは、インサート成形によってシールドシェル30と一体化される。そのインサート成形に際して、インナハウジング20Bを成すべく注入された合成樹脂材料は、例えばシールドシェル30に設けた貫通孔34(図8)を介して、シールドシェル30の内方と外方とに充填され、各々端子収容部21と筒状部24を成す。
シール部材40は、嵌合された雌コネクタ1と雄コネクタ2におけるシールドシェル30,130の間の接点部への液体の浸入を抑えるために利用する。このため、このシール部材40は、インナハウジング20B又はシールドシェル30と雄ハウジング120又はシールドシェル130との間に介在させる筒状のシール部41を有している(図6及び図7)。この例示のシール部41は、内周面側をシールドシェル30のシール側露出面32に密着させ、外周面側を雄ハウジング120の内周面に密着させることで、シールドシェル30,130の間の接点部への液体の浸入を抑えている。
このシール部材40は、インナハウジング20Bで保持させる。このため、このインナハウジング20Bには、先に示したように保持部25を設けている(図7)。その保持部25は、筒状部24における筒軸方向に対する直交方向側で且つシールドシェル30の連接壁面33に対向するものとは逆側の壁面に設ける。この例示では、コネクタ挿抜方向に対する直交方向で互いに対向する位置に3箇所ずつ保持部25を設けている。一方、シール部材40には、その保持部25に保持される被保持部42を設けている(図5、図6及び図7)。この例示の被保持部42は、それぞれの保持部25の位置に合わせて配置されている。この例示では、空間や溝として形成した保持部25に被保持部42を嵌め込むなどして、この保持部25で被保持部42が保持される。
この例示の雌コネクタ1においては、アウタハウジング20Aとインナハウジング20B及びシールドシェル30との間に、コネクタ挿入方向側の端部を開口させた筒状の空間Sが形成される(図6)。雄コネクタ2は、その開口から筒状の空間Sに挿入されながら、雌コネクタ1と嵌合する。この例示の空間Sは、角筒状に形成される。
この例示の雄コネクタ2は、先に示したように、雄端子110と雄ハウジング120とシールドシェル130とを備える。
雄ハウジング120は、端子収容部121と端子保持部122とを有する(図9から図12)。
端子収容部121は、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に成形されており、その内方にそれぞれの雄端子110毎の収容室121aが形成されている(図9)。その収容室121aには、雄端子110の端子接続部111が収容される。この端子収容部121は、コネクタ挿入方向側の端部が先のフードの一部(フード部)を兼ねており、雌コネクタ1の角筒状の空間Sに挿入される。このため、この例示の端子収容部121は、その空間Sの形状に合わせた角筒状に成形している。そのフード部の内周面には、コネクタ嵌合後に、シール部材40のシール部41における外周面側が密着する。
端子保持部122は、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に成形されており、端子収容部121のコネクタ抜去方向側の端部の開口に配置される。この端子保持部122は、その内方にそれぞれの雄端子110毎の収容室(図示略)が形成されており、その収容室に雄端子110の電線接続部112と電線接続部112に接続された電線150の端末とが収容される。その収容室においては、雄端子110の被保持部113(図11)が嵌合され、これに伴い保持される。
シールドシェル130は、ノイズ対策のために設けられたものであり、コネクタ挿抜方向に筒軸方向を合わせ且つ両端を開口させた筒状に金属等の導電性材料で成形される(図9から図12)。このシールドシェル130は、雄ハウジング120に対して一体化されるので、この雄ハウジング120の形状に合わせて角筒状に成形している。
このシールドシェル130は、雄ハウジング120の内方に配置されると共に、コネクタ抜去方向側の端部を雄ハウジング120から突出させている。この例示のシールドシェル130の内方には、雄端子110又は/及び電線150が挿通状態で配置されており、その雄端子110又は/及び電線150へのノイズの侵入を抑える。この例示のシールドシェル130は、雄端子110と電線150の端末とが内方に収容されている。このため、雄ハウジング120は、端子収容部121の収容室121aと端子保持部122の収容室とがシールドシェル130の内方に配置されるように形成する一方、端子収容部121と端子保持部122のそれぞれの筒状の外周側がシールドシェル130の外方に配置されるように形成する。この例示では、雄ハウジング120とシールドシェル130を一体化させることによって、そのような雄ハウジング120とシールドシェル130の相互間の配置を実現させる。この雄コネクタ2においては、雄ハウジング120とシールドシェル130を嵌合させるなどして一体化させてもよく、シールドシェル130に対する雄ハウジング120のインサート成形によって一体化させてもよい。
ここで、シールドシェル130は、その雄ハウジング120に対して、コネクタ挿入方向側の端部の外周側と内周側の内の少なくとも一方を環状の露出面として露出させた状態で一体化させる。その露出面としては、電気接続面を少なくとも設ける。その電気接続面は、雌コネクタ1のシールドシェル30の電気接続面(第1テーパ面31)に対して物理的且つ電気的に接続させる部位である。この例示のシールドシェル130においては、コネクタ挿入方向側の端部をテーパ状に形成し、その端部の内周側のテーパ面(第2テーパ面)131を電気接続面として利用する(図10から図12)。その第2テーパ面131は、そのテーパ状部分の内周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させたものである。この第2テーパ面131は、その環状の壁面を接点とするものであってもよく、その環状の壁面から膨出させた少なくとも1つの膨出部を接点とするものであってもよい。この例示の第2テーパ面131は、環状の壁面そのものを接点としている。この例示のシールドシェル130において、コネクタ挿入方向側の端部は、シールドシェル130の大部分を成す主体部132の内周面に対して外方側に徐々に拡げている。このため、第2テーパ面131は、その主体部132の内周面よりも外方側に設けられている。
この例示の雄ハウジング120は、インサート成形によってシールドシェル130と一体化される。そのインサート成形に際して、雄ハウジング120を成すべく注入された合成樹脂材料は、例えばシールドシェル130に設けた貫通孔133(図12)を介して、シールドシェル130の内方と外方とに充填される。内方に充填された合成樹脂材料は、端子収容部121の収容室121a側と端子保持部122の収容室側を成す。一方、外方に充填された合成樹脂材料は、端子収容部121と端子保持部122のそれぞれの筒状の外周側を成す。
雄端子110と電線150は、このシールドシェル130におけるコネクタ抜去方向側の端部の開口側(具体的には、シールドシェル130のコネクタ抜去方向側の端部の開口)から挿入される。このため、電線150は、そのシールドシェル130の開口から外部に引き出されることになる。その開口は、合成樹脂材料等の絶縁性材料によって成形されたシールド接続体160で閉塞される(図11)。シールド接続体160は、その開口に嵌め込まれる少なくとも1つの成形体から成り、それぞれの電線150を挿通させる貫通孔を有している。また、このシールド接続体160は、導電性材料から成る編組155を保持すると共に、この編組155をシールドシェル130に対して物理的且つ電気的に接続させる。編組155は、それぞれの電線150を覆うことでノイズの侵入を抑えるものであり、筒状且つ網目状に編み込まれている。このシールド接続体160には、端子収容部121の内方へのシールド接続体160側からの液体の浸入を抑えるべく、シール部材170が配置されている。そのシール部材170は、電線150毎に設けている。
この雌雄コネクタにおいては、コネクタ挿入に伴い第1テーパ面31側と第2テーパ面131側とを互いのコネクタ挿入方向で突き当てさせることによって、それぞれのシールドシェル30,130の間を物理的且つ電気的に接続させる。この例示では、第1テーパ面31の4つの膨出部31aを突き当て対象となる第2テーパ面131に向けて膨出させており、その膨出部31aを第2テーパ面131に接触させる。このため、第1テーパ面31と第2テーパ面131は、各々が略平行になるように(換言するならば、略同等の傾斜角を有するように)形成する。
ところで、この雌雄コネクタにおいては、コネクタ嵌合後の第1テーパ面31側と第2テーパ面131側との間の突き当て状態を保つべく、その突き当て状態の保持機構を設けている。そして、この雌雄コネクタでは、その保持機構を利用して、雌コネクタ1と雄コネクタ2との間のコネクタ嵌合後のガタの発生も抑えている。
この雌雄コネクタでは、そのガタ抑制機構を兼ねた保持機構を設けるべく、雌コネクタ1において、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとをコネクタ挿抜方向への相対移動が行えるように構成する。そのアウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとの間には、その相対移動の方向を規制するべく、ガイド機構(図示略)を設けてもよい。
更に、この雌コネクタ1においては、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとの間に弾性部材80を配置し(図5)、コネクタ嵌合後のインナハウジング20Bに対して、雄コネクタ2に向けた自らのコネクタ挿入方向への弾発力を作用させる。この例示では、インナハウジング20Bの角筒状の筒状部24の四隅に、コネクタ抜去方向に突出させた軸部27を1本ずつ設ける。そして、その四隅には、軸部27が内方に挿通され、かつ、この軸部27に対して相対的にコネクタ挿抜方向へと伸縮する弦巻バネを弾性部材80として1つずつ設ける。
弾性部材80は、遅くともコネクタ嵌合後(つまり、遅くとも第1テーパ面31側と第2テーパ面131側とが突き当たった後)に、コネクタ挿入方向側の一端が筒状部24に係止され、かつ、コネクタ抜去方向側の他端がアウタハウジング20Aの内壁面に係止されて、アウタハウジング20Aとインナハウジング20Bとの間で押し縮められるように配置する。従って、この雌雄コネクタにおいては、コネクタ嵌合後に、第2テーパ面131側が第1テーパ面31側を押動することで発生した弾性部材80の弾発力によって、第1テーパ面31側が第2テーパ面131側に押し付けられるので、コネクタ嵌合後の第1テーパ面31側と第2テーパ面131側との間の突き当て状態を保つことができる。更に、この雌雄コネクタにおいては、そのシールドシェル30,130の間の突き当て状態の保持に伴い、その間でのコネクタ挿抜方向及びコネクタ挿抜方向に対する直交方向のガタの発生を抑制することができるので、雌コネクタ1と雄コネクタ2との間の同方向におけるガタの発生も抑えることができる。
以上示したように、本実施形態の雌雄コネクタは、それぞれのシールドシェル30,130を突き当てる(この例示では第1テーパ面31側と第2テーパ面131側とを突き当てる)構造になっており、コネクタ嵌合の際に従来のようなシールドシェル30,130の間の摺動を伴わないので、コネクタ嵌合に際しての挿入力を軽減することができる。また、この雌雄コネクタは、雌コネクタ1と雄コネクタ2との間の取り外しに際しても、シールドシェル30,130の間の摺動を伴わないので、抜去力が軽減される。このように、この雌雄コネクタにおいては、コネクタ挿抜に際しての挿抜力を軽減することができる。従って、この雌雄コネクタは、従来のような挿抜力を補助するレバー機構を設けずともよいので、部品点数の削減や原価の低減、体格の小型化が可能になる。
更に、この雌雄コネクタにおいては、シールドシェル30,130の間の摺動を伴わないので、第1テーパ面31側や第2テーパ面131側に安価なメッキ(錫メッキ等)を施したとしても、そのメッキの剥がれを抑え、シールドシェル30,130の間の電気的な接続状態を保つことができる。よって、この雌雄コネクタは、そのメッキに要する原価の低減を図ることができる。
また、この雌雄コネクタは、雌コネクタ1と雄コネクタ2との間のガタ抑制機構を兼ねたシールドシェル30,130の間の突き当て状態の保持機構を備えている。このため、この雌雄コネクタは、振動等の外力が入力した際にもコネクタ嵌合状態が設計通りの状態のまま維持されるので、雌端子10と雄端子110との間及びシールドシェル30,130の間の電気的な接続状態を各々保つことができる。よって、この雌雄コネクタは、雌雄間を電気的に繋ぐコネクタ本来の機能を維持することができると共に、シールドシェル30,130によるシールド性能を確保することができる。
[変形例]
前述した実施形態の雌雄コネクタでは、雌コネクタと雄コネクタのそれぞれのシールドシェルが自らのコネクタ挿入方向側の端部にテーパ面を有しており、弾性部材の弾発力を利用して、互いのテーパ面同士を突き当てている。このため、それぞれのシールドシェルにおいては、内方に配置される端子や電線等の配置スペースを最低限確保した上で、そのようなテーパ面を設けることになる。従って、シールドシェル30のような外周面をテーパ面(第1テーパ面31)とするシールドシェルにおいては、自らのコネクタ挿入方向での端面が成す内周縁の大きさを最小の配置スペース(端子等の配置に最低限必要とされるスペース)分以上確保しなければならない。よって、雌雄コネクタは、径方向の体格という観点で、小型化を図る余地がある。
本変形例の雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタと同様の効果を得つつ、実施形態の雌雄コネクタよりも径方向の体格の小型化を図り得るものである。この雌雄コネクタは、前述した実施形態と同じように、互いに嵌合される雌雄何れかの第1コネクタと第2コネクタとを備えるものであり、その各々が筒状のシールドシェルを備えている。それぞれのシールドシェルの内の一方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、コネクタ挿抜方向で傾斜させたテーパ面を有するものとして形成する。これに対して、それぞれのシールドシェルの内の他方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、相手方のテーパ面に向けて膨出させた膨出部を少なくとも1つ有するものとして形成する。そして、それぞれのシールドシェルは、コネクタ挿入に伴いテーパ面と膨出部とを突き当てるように形成する。このように、本変形例の雌雄コネクタは、何れか一方のシールドシェルのみがテーパ面を有していればよく、これ故に、径方向の体格の小型化を図ることができる。以下に、本変形例の雌雄コネクタの一例について具体的に説明する。
図13及び図14の符号3は、本変形例の雌雄コネクタにおける雌コネクタを示す。本変形例の雌コネクタ3は、形状や配置に多少の相違はあるが、実施形態の雌コネクタ1と同様の構成部品から成るものである。このため、ここでは、本変形例の要点となる構成部品(シールドシェル30B)を除いて、実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
この雌コネクタ3は、同じ向きに2つ並べられた端子(雌端子)10と、アウタハウジング20A及びインナハウジング20Bの2分割構造から成る雌ハウジング20と、その雌ハウジング20(インナハウジング20B)にインサート成形等で一体化されたシールドシェル30Bと、シール部材40と、を備えており、そのシールドシェル30Bに対して後述する相手方のシールドシェル130Bに向けた弾性部材80の弾発力が作用するように構成されている(図14)。
シールドシェル30Bは、実施形態のシールドシェル30と同じように、角筒状に成形されており、その内方に雌端子10の電線接続部12と電線50の端末とが挿通状態で配置される(図15)。このシールドシェル30Bは、角筒状の主体部31Bと、この主体部31Bよりもコネクタ挿入方向側に設けた角筒状の端部32Bと、を有している(図16)。このシールドシェル30Bは、その端部32Bの外周側を環状の露出面32Bとして露出させた状態でインナハウジング20Bに一体化している(図15及び図16)。但し、その端部32Bは、コネクタ挿抜方向に沿ってコネクタ挿入方向側に延出させており、実施形態のシールドシェル30のようなテーパ状にはしていない。
このシールドシェル30Bにおいては、その環状の露出面32Bが実施形態のシールドシェル30の電気接続面に相当するものとなるが、この露出面32Bをシールドシェル130Bに直接突き当てず、この露出面32Bに設けた複数のインデント等の膨出部35B(図13から図16)をシールドシェル130Bに突き当てる。膨出部35Bは、露出面32Bから径方向の外側に向けて膨出させた部位であり、雌コネクタ3と雄コネクタ4の嵌合完了後に、シールドシェル130Bの後述するテーパ面132Bに当接させるように形成する。この例示の膨出部35Bは、露出面32Bの四隅に1つずつ設けている。
ここで、この例示の膨出部35Bは、シールドシェル30Bの内周面側から外周面側に押し出されており、その内周面側に凹部35Bが設けられている(図16)。インナハウジング20Bをシールドシェル30Bに対して一体成形する際には、その膨出部35Bにおける内周面側の凹部35Bの中にまで合成樹脂材料を流入させる。インナハウジング20Bにおいては、その凹部35Bの中の合成樹脂材料によって、この凹部35Bの形状に応じた膨出部20Bが形成される(図16)。このため、雌コネクタ3においては、その凹部35Bの中の膨出部20Bによって、シールドシェル30Bとインナハウジング20Bとの間の接合強度を向上させることができる。
このシールドシェル30Bにおいては、その内方への雌端子10の電線接続部12と電線50の端末の配置を可能にするべく、主体部31Bと端部32Bのそれぞれの内方の空間の大きさを設定する。このシールドシェル30Bは、電線接続部12等の配置が可能になる範囲内でコネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁の大きさを小さくすることによって、径方向の体格の小型化を図ることができる。特に、このシールドシェル30Bは、端部32Bを実施形態のシールドシェル30のようにテーパ形状にしておらず、コネクタ挿抜方向に沿って延在させているので、そのシールドシェル30よりも径方向の体格の小型化が可能になる。
尚、この雌コネクタ3においては、シールドシェル30Bのコネクタ挿入方向側の端面よりも更にコネクタ挿入方向側にシール部材40を配置している。
図17の符号4は、本変形例の雌雄コネクタにおける雄コネクタを示す。本変形例の雄コネクタ4は、形状や配置に多少の相違はあるが、実施形態の雄コネクタ2と同様の構成部品から成るものである。このため、ここでは、本変形例の要点となる構成部品(シールドシェル130B)を除いて、実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
この雄コネクタ4は、同じ向きに2つ並べられた端子(雄端子)110と、雄ハウジング120と、この雄ハウジング120にインサート成形等で一体化されたシールドシェル130Bと、を備える(図17)。
シールドシェル130Bは、実施形態のシールドシェル130と同じように、角筒状に成形されており、その内方に雄端子110と電線150の端末とが挿通状態で配置される(図17)。このシールドシェル130Bは、角筒状の主体部131Bと、この主体部131Bよりもコネクタ挿入方向側に設けた角筒状の端部132Bと、を有している(図18)。このシールドシェル130Bは、その端部132Bの内周側を環状の露出面として露出させた状態で雄ハウジング120に一体化している(図17及び図18)。
このシールドシェル130Bにおいては、実施形態のシールドシェル130と同じように、その端部132Bをテーパ状に形成し、その端部132Bの内周側のテーパ面132B(図17及び図18)を電気接続面として利用する。この例示の端部132Bは、コネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁と外周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させたものである。
それぞれのシールドシェル30B,130Bは、雌コネクタ3と雄コネクタ4の嵌合完了後に、膨出部35Bとテーパ面132Bとが互いに突き当たるように形成する(図19)。一方、それぞれのシールドシェル30B,130Bは、コネクタ挿入に際して、端部32B(膨出部35Bを除いた部分)のテーパ面132Bへの接触を可能な限り避けることが望ましい。そこで、シールドシェル130Bは、主体部131Bにおけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁の大きさを次のように設定する。この主体部131Bの内周縁は、シールドシェル30Bの端部32Bにおけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の外周縁よりも大きく、かつ、それぞれの膨出部35Bにおける径方向の外側部分よりも小さくなるように形成する。これにより、それぞれのシールドシェル30B,130Bは、コネクタ挿入に際して、端部32B(膨出部35Bを除いた部分)のテーパ面132Bへの接触を可能な限り回避しつつ、雌コネクタ3と雄コネクタ4の嵌合完了後に、膨出部35Bとテーパ面132Bとを互いに突き当てることができる。その際、それぞれの膨出部35Bは、弾性部材80の弾発力によって、テーパ面132Bに押し付けられている。また、それぞれのシールドシェル30B,130Bにおいては、主体部131Bの内方への膨出部35Bの進入を防ぎ、膨出部35Bとテーパ面132Bとが互いに突き当たった状態でコネクタ嵌合が完了する。このため、それぞれのシールドシェル30B,130Bにおいては、端部32B(膨出部35Bを除いた部分)とテーパ面132Bとの接触を可能な限り回避しつつ、膨出部35Bと主体部131Bとの間の摺動や端部32Bと主体部131Bとの間の摺動を回避できるので、コネクタ挿抜時の挿抜力の増加やメッキ剥がれを抑えることができる。
ここで、この雌雄コネクタでは、それぞれのシールドシェル30B,130Bの保護を図るべく、実施形態と同様に、雌ハウジング20(インナハウジング20B)と雄ハウジング120を次のように成形することが望ましい。インナハウジング20Bには、シールドシェル30Bのコネクタ挿入方向側の端面(つまり、端部32Bのコネクタ挿入方向側の端面)を覆う保護部20Bを設ける(図19及び図20)。また、雄ハウジング120には、シールドシェル130Bのコネクタ挿入方向側の端面(つまり、端部132Bのコネクタ挿入方向側の端面)を覆う保護部120aを設ける(図19)。これにより、雌コネクタ3と雄コネクタ4との間においては、シールドシェル130Bにおけるコネクタ挿入方向の端面に対してのシールドシェル30Bの膨出部35Bの接触が回避され、かつ、シールドシェル30Bにおけるコネクタ挿入方向の端面に対してのテーパ面132Bの接触が回避される。よって、この雌雄コネクタにおいては、この点からも、それぞれのシールドシェル30B,130Bの保護を図ることができる。
以上示したように、本変形例の雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタと同じように、コネクタ挿抜時にシールドシェル30B,130Bの間の摺動を伴わないので、コネクタ嵌合に際しての挿入力やコネクタ抜去に際しての抜去力を軽減することができる。よって、本変形例の雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタと同じように、従来のような挿抜力を補助するレバー機構を設けずともよいので、部品点数の削減や原価の低減、体格の小型化が可能になる。
更に、本変形例の雌雄コネクタは、膨出部35Bやテーパ面132Bのメッキの剥がれを抑えることができるので、実施形態の雌雄コネクタと同じように、そのメッキに要する原価の低減を図りつつ、シールドシェル30B,130Bの間の電気的な接続状態を保つことができる。
また更に、本変形例の雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタと同じように、雌コネクタ3と雄コネクタ4との間のガタ抑制機構を兼ねたシールドシェル30B,130Bの間の突き当て状態の保持機構(弾性部材80の弾発力を利用したもの)を備えている。このため、この雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタと同じように、耐振動性能に優れたものとなっており、雌端子10と雄端子110との間及びシールドシェル30B,130Bの間の電気的な接続状態を各々保つことができるので、雌雄間を電気的に繋ぐコネクタ本来の機能を維持することができると共に、シールドシェル30B,130Bによるシールド性能を確保することができる。
また、本変形例の雌雄コネクタは、先に示したようにシールドシェル30Bの径方向の体格を小型化できるので、このシールドシェル30Bに合わせて相手方のシールドシェル130Bの径方向の体格を決めることで、このシールドシェル130Bについても径方向の体格の小型化が可能になる。よって、本変形例の雌雄コネクタは、実施形態の雌雄コネクタよりも径方向の体格を小型化できる。
1,3 雌コネクタ(第1コネクタ)
2,4 雄コネクタ(第2コネクタ)
10 雌端子
20 雌ハウジング
20A アウタハウジング
20B インナハウジング
20B 保護部
27 軸部
30,30B シールドシェル
31 第1テーパ面
31a 膨出部
32B 端部
35B 膨出部
50 電線
80 弾性部材
110 雄端子
120 雄ハウジング(ハウジング)
120a 保護部
130,130B シールドシェル
131 第2テーパ面
132B 端部
132B テーパ面
150 電線

Claims (6)

  1. 相互間での挿入と共に互いに嵌合可能な雌端子と雄端子の内の一方の端子と、前記一方の端子を保持するインナハウジングと、前記インナハウジングとの間でコネクタ挿抜方向への相対移動が可能なアウタハウジングと、前記インナハウジングに一体化された筒状の一方のシールドシェルと、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間に配置し、コネクタ嵌合後の前記インナハウジング又は前記一方のシールドシェルの内の少なくとも一方に対して相手方コネクタに向けた自らのコネクタ挿入方向への弾発力を作用させる弾性部材と、を設けた第1コネクタと、
    前記雌端子と前記雄端子の内の他方の端子と、前記他方の端子を保持するハウジングと、前記ハウジングに一体化された筒状の他方のシールドシェルと、を設けた前記相手方コネクタとしての第2コネクタと、
    を備え、
    前記一方のシールドシェルは、コネクタ挿入に伴い自らのコネクタ挿入方向側で前記他方のシールドシェルに突き当て、かつ、コネクタ嵌合後に前記弾性部材の前記弾発力で前記他方のシールドシェルに押し付けることを特徴とした雌雄コネクタ。
  2. 前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルは、その内の一方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の外周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第1テーパ面とし、かつ、その内の他方における自らのコネクタ挿入方向側の端部の内周面の少なくとも一部をコネクタ挿抜方向で傾斜させた第2テーパ面とし、コネクタ挿入に伴い前記第1テーパ面側と前記第2テーパ面側とを突き当てることを特徴とした請求項1に記載の雌雄コネクタ。
  3. 前記第1テーパ面は、前記外周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の外周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて小さくなるよう傾斜させ、かつ、前記第2テーパ面は、前記内周面におけるコネクタ挿抜方向に対する直交断面の内周縁の大きさが自らのコネクタ挿入方向に進むに連れて大きくなるよう傾斜させることを特徴とした請求項2に記載の雌雄コネクタ。
  4. 前記第1テーパ面と前記第2テーパ面の内の少なくとも一方には、突き当て対象となる相手方のテーパ面に向けて膨出させた膨出部を少なくとも1つ設けることを特徴とした請求項2又は3に記載の雌雄コネクタ。
  5. 前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の一方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、コネクタ挿抜方向で傾斜させたテーパ面を有し、
    前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の他方は、自らのコネクタ挿入方向側の端部に、前記テーパ面に向けて膨出させた膨出部を少なくとも1つ有し、
    前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルは、コネクタ挿入に伴い前記テーパ面と前記膨出部とを突き当てることを特徴とした請求項1に記載の雌雄コネクタ。
  6. 前記一方のシールドシェルと前記他方のシールドシェルの内の他方における自らのコネクタ挿入方向側の端部は、コネクタ挿抜方向に沿ってコネクタ挿入方向側に延出させることを特徴とした請求項5に記載の雌雄コネクタ。
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