JP6722741B2 - 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 Download PDF

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Description

本発明は磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板に関するものであり、特に、磁気遮断器の接点材として好適なフェライト系ステンレス鋼板に関する。
ハイブリッド車や電気自動車には、車両に搭載された高電圧回路において電流遮断を確実に行うために、車両1台あたり複数個の磁気遮断器が搭載されている。特にこれらの車両では、大容量の電流を遮断する必要がある。この用途に使用される磁気遮断器としては、接点装置と、電磁式の開閉装置とを有するものが知られている。接点装置には、固定接点部を有する固定接点部材と、可動接点部を有する可動接点部材と、これらを収納する筐体とが備えられており、可動接点部材は開閉装置によって可動自在とされている。磁気遮断器によって高電圧回路を電流遮断する場合は、開閉装置によって可動接点部材を駆動させ、可動接点部と固定接点部とを非接触状態にすることで、電流遮断を行っている。
磁気遮断器による電流遮断は、車両の運転状況によって頻繁に行われる。このため、可動接点や固定接点には、耐衝撃性が求められる。また、磁気遮断器の一部には、電流遮断時に発生するアーク放電を速やかに消弧させるために、接点装置の筐体の内部に磁界を生じさせるものがある。すなわち、固定接点と可動接点を離間させる際に接点間に生じたアークを、磁界の作用によって、各接点の端まで移動させ、更にはアークを引き延ばさせることで、アーク電圧を上昇させて遮断を完了させている。このため、筐体内部に配置される固定接点部材及び可動接点部材は、磁化しやすい性質(磁気特性)に優れることが求められる。
固定接点部材や可動接点部材には、導電性金属(例えば銅または銅合金)そのもの、または、セラミックスに導電性金属を複合化したものが使用されている。しかし、銅または銅合金は磁気特性が十分ではない。また、セラミックスは耐衝撃性及び磁気特性が低いという問題がある。そこで、耐衝撃性及び磁気特性に優れる材料として、ステンレス鋼の適用が考えられる。
特許文献1には、磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板として、重量%にて、C≦0.01%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜1.0%、S≦0.004%、Cr:5〜13%、Ti:0.05〜0.5%、O≦0.004%、N≦0.015%を含有し、かつC+N≦0.015%であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であるフェライト系ステンレス鋼板が記載されている。
また、特許文献2には、磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板として、重量%で、C:0.015%以下、N:0.015%以下、Si:1.5%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10〜14%、Ti:0.05〜0.30%を含有するスラブを熱間圧延により熱延板としたのち、該熱延板に圧下率:20〜60%の冷間圧延を施し、ついで、800〜930℃で焼鈍することによって製造されるフェライト系ステンレス鋼板が記載されている。
特許第3629102号公報 特開平11−61255号公報
特許文献1及び2に記載されたフェライト系ステンレス鋼板は、銅、銅合金またはセラミックスに比べると、耐衝撃性及び磁気特性に優れる。しかし、磁気特性に関しては、磁気遮断器用の接点材料として満足できる程度の磁気特性を有するものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性及び磁気特性に優れ、磁気遮断器の接点部材として好適なフェライト系ステンレス鋼板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 質量%で、
C:0.020%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.035%以下、
S:0.0030%以下、
Cr:10.0〜18.0%、
N:0.020%以下、
Nb:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、
Al:0.10%以下を含み、
残部がFeおよび不純物からなり、
板表面における集合組織が下記の(i)および(ii)を満たし、
比透磁率μが500以上、保磁力Hcが400A/m以下であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(i)板表面における鋼板表面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である{110}±15°方位粒の面積率が3.0%超30%未満。
(ii)板表面において{110}±15°方位粒の面積率をA、{111}±15°方位粒の面積率をBとしたとき、0.10<A/B<0.80。
[2] さらに質量%で、
Sn:0.001〜0.5%、
B:0.005%以下
の1種または2種を含有することを特徴とする[1]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
[3] さらに質量%で、
Ni:1%以下、
Cu:1%以下、
Mo:1%以下、
Sb:0.2%以下、
V:0.5%以下、
W:0.5%以下、
Zr:0.5%以下、
Co:0.5%以下、
Mg:0.005%以下、
Ca:0.005%以下、
Ga:0.015%以下、
La:0.1%以下、
Y:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
REM:0.1%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
[4] 磁界内に配置される接点部材として用いられることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
本発明によれば、耐衝撃性及び磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を提供できる。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、磁気遮断器の接点部材用の材料として好適に用いることができる。
磁気遮断器の一例を示す断面模式図である。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、フェライト系ステンレス鋼板において、耐衝撃性及び磁気特性に影響を及ぼす合金元素について鋭意検討を行い,下記の新しい知見を得て本発明をなすに至った。
(a)上述のように、磁気遮断器の接点材料に求められる特性としては、耐衝撃性及び磁気特性がある。ステンレス鋼は、銅等の他の接点材料に比べて耐衝撃性及び磁気特性に優れるが、磁気特性については、磁気遮断器の接点部材として好適な特性を有するものは得られていない。磁気特性の指標となる比透磁率の値は外部磁場に依存し、車載用途での外部磁場は必ずしもステンレス鋼の飽和磁化に到達しない印加磁場力(例えば1000A/m)を想定し磁化の容易さを評価する必要がある。ステンレス鋼は一般に、耐食性を高めるために合金元素を含有させるが、合金元素を含有させるとFeの含有量が相対的に低下し、磁気特性が低下する。従って、磁気遮断器の接点材料として好適なステンレス鋼を実現するためには、合金元素の含有量を可能な限り低減させる必要があり、特にCr量については、含有量を18%以下に抑制することが好ましいことを知見した。
(b)ステンレス鋼の磁気特性は、結晶粒界の影響を受ける。結晶粒界は磁気の障壁となって磁気特性を低下させやすい。特にステンレス鋼では、結晶粒界にPやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させる。PやSの他に、結晶粒界に偏析して磁気特性を阻害する元素としてC、Nといった元素もある。本発明者らは、上述したP、S、C、Nの過度な低下によらず磁気特性の改善に有効な集合組織の制御を見出した。
(c)また、Ti及びNbを含有させることで、P、S、C、N等と化合してリン化物、硫化物、炭化物、窒化物等を形成させてP、S、C、N等を固定させて、磁気特性の劣化を抑制する効果があることを見出した。また、本発明者らは、TiやNbはそれ自体が粒界に偏析することで、PやSの粒界偏析を抑制して磁気特性の劣化を防止できることも見出した。
(d)また、ステンレス鋼では、結晶粒界にPやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させるが、本発明者らはSnに着目した。Snは粒界偏析元素であり、PやS等の粒界偏析を抑制して磁気特性の改善に有効な元素である。Snを所定の範囲で含有させることにより、磁気特性の更なる改善が見込まれることを見出した。
(e)磁気特性に関して、従来、磁気特性を改善させるためには、磁化容易方位である{110}方位の結晶粒を成長・粗大化させて磁気特性を改善していたが、結晶粒の粗大化によって鋼の靱性を低下させていた。本発明は、鋼の集合組織に着目し、{110}方位粒を3.0超〜30%未満の範囲で生成させて{111}や{211}方位粒を分断することで、磁気特性と靱性の両方を改善できることを見出した。
上記(a)〜(e)の知見に基づいて成された本発明の要旨は、以下の通りである。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、質量%で、C:0.020%以下、Si:1.00%以下、Mn:1.00%以下、P:0.035%以下、S:0.0030%以下、Cr:10.0〜18.0%、N:0.020%以下、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Al:0.10%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなり、板表面における集合組織が下記の(i)および(ii)を満たす磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板である。
(i)板表面における鋼板表面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である{110}±15°方位粒の面積率が3.0%超30%未満。
(ii)板表面において{110}±15°方位粒の面積率をA、{111}±15°方位粒の面積率をBとしたとき、0.10<A/B<0.80。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、さらに質量%で、Sn:0.001〜0.5%、B:0.005%以下の1種または2種を含有することが好ましい。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、さらに質量%で、Ni:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%以下、Sb:0.2%以下、V:0.5%以下、W:0.5%以下、Zr:0.5%以下、Co:0.5%以下、Mg:0.005%以下、Ca:0.005%以下、Ga:0.005%以下、La:0.1%以下、Y:0.1%以下、Hf:0.1%以下、REM:0.1%以下、の1種または2種以上を含有してもよい。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、磁界内に配置される接点部材として用いられることが好ましい。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
C:0.020%以下
Cは、含有量が多すぎると合金中に炭化物を形成ならびに粒界偏析して磁気特性を劣化させ、更には靱性を低下させて耐衝撃性を悪化させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.020%以下とする。ただし、炭素量を低減させるには精錬工程が煩雑になりコストが増大する。よってC量は0.001%以上とすることが好ましい。精錬コストも考慮した好ましい範囲は0.003〜0.015%であり、更に好ましい範囲は0.003〜0.010%である。
Si:1.00%以下
Siは、脱酸元素として有効であり、磁気特性の向上にも有効な元素だが、過剰に含有させると、Siは固溶強化元素として作用し、加工性の低下を招くため、上限を1.00%以下とする。磁気特性を確保するために下限を0.01%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、効果と製造性を考慮して0.05〜0.50%であり、0.05〜0.30%であってもよい。
Mn:1.00%以下
Mnは、脱酸元素として有効な元素であり、また、磁気特性を低下させるSの固定するために有効な元素でもある。一方、Mnは耐食性や耐酸化性の低下を招くため、上限を1.00%以下とする。脱酸やS固定の作用を確保するため、下限は0.01%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、効果と製造コストを考慮して0.05〜0.50%であり、0.05〜0.30%であってもよい。
P:0.035%以下
Pは、粒界偏析して磁気特性を低下させ、また、製造性を阻害する元素であり、その含有量は少ないほどよいため、上限を0.035%以下とする。但し、過度の低減は精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.005%以上とする。好ましい範囲は、製造コストを考慮して0.010〜0.030%であり、0.010〜0.020%であってもよい。
S:0.0030%以下
Sは、多量に含有させると合金中に硫化物を形成して磁気特性を劣化させ、また、粒界偏析することによっても磁気特性を劣化させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.0030%以下とする。但し、過度の低減は原料及び精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.0001%以上とする。好ましい範囲は、磁気特性の向上や製造コストを考慮して0.0002〜0.0015%であり、0.0002〜0.0008%であってもよい。
Cr:10.0〜18.0%
Crは、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の基本元素であり、耐食性及び磁気特性を確保するために必須の元素である。本実施形態の磁気遮断器の接点材料としての用途を想定した耐食性を確保するために下限を10.0%以上とする。上限は、磁気特性の向上の観点から18.0%以下とする。非磁性元素であるCrが18.0%を超えると磁気特性が劣化する。より好ましいCrの範囲は、10.0〜15.0%未満としてもよく、10.0〜12.0%でもよい。
N:0.020%以下
Nは、CやSと同様に、過剰に含有すると合金中に窒化物を形成して磁気特性を低下させ、また、Nが粒界偏析することでも磁気特性を低下させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.020%以下とする。但し、過度の低減は精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.001%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、磁気特性と製造コストを考慮して0.005〜0.015%である。
Nb:0.5%以下
Ti:0.5%以下
Nb、Tiは、粒界に偏析することでPやSの粒界偏析を抑制して磁気特性の改善を図る作用がある。また、Nb、Tiには、磁気特性を阻害するC,N,P,Sを固定するための安定化元素としての作用もある。Nb,Tiとも、これら2つの作用を発揮するが、Nbは特に前者の作用に有効に働き、Tiは後者の作用に有効に働くと推測される。これらの作用によりTi、Nbは、耐食性の改善に加えて、本発明の目標とする磁気特性の改善に有効な元素となる。含有する場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。但し、過度な含有は合金コストの上昇や加工性の低下に繋がり、また、靱性が低下して耐衝撃性が劣化するため、上限をそれぞれ0.5%以下とする。好ましい範囲は、磁気特性の向上効果と合金コストおよび製造性を考慮して、Nb、Tiについてそれぞれ0.05〜0.5%とする。より好ましい範囲はそれぞれ0.08〜0.3%であり、それぞれ0.1〜0.3%であってもよい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸元素として極めて有効な元素である。一方、鋼の靭性の低下を招くため、上限を0.10%以下とする。下限は、脱酸効果を考慮して0.005%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、製造性と性能を考慮して0.01〜0.07%であり、0.01〜0.05%であってもよい。
上記した元素以外は、Feおよび不純物からなる。但し、本発明の技術特徴が奏する効果を阻害しない範囲で、上記以外の以下に記載する元素を、選択的に含有させることができる。以下に限定理由を記載する。
Sn:0.001〜0.5%
Snは、耐食性に加えて、本発明の目標とする磁気特性を向上させるために有効な元素である。ステンレス鋼の結晶粒界には、PやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させる。Snは、自身が粒界偏析元素であり、PやS等の粒界偏析を抑制して磁気特性の改善に有効な元素である。Snを所定の範囲で含有させることにより、磁気特性の改善が見込まれるので、本発明では0.001〜0.5%の範囲で含有させる。Snを0.001%以上含有させることで、前出の効果が発現されて磁気特性が向上する。但し、過度な含有は、結晶粒界におけるSn濃度を増大させて磁気特性の低下につながり、また、靱性を低下させて耐衝撃性の低下を招くため、上限を0.5%以下とする。好ましくは0.005〜0.3%であり、0.010〜0.2%でもよい。
B:0.005%以下
Bは、粒界偏析元素であり、Snと同様に磁気特性を向上させるとともに熱間加工性を向上させる元素であり、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼に含有させることは有効である。Bの下限は磁気特性の向上を図るため0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、過度のBの含有は、伸びの低下をもたらし製造性を低下させるため、上限を0.005%以下とする。好ましくは0.0005〜0.002%とし、0.001〜0.002%でもよい。
Ni:1%以下
Cu:1%以下
Mo:1%以下
Ni、Cu、Moは、耐食性に有効な元素である。この効果を発揮させるため、Ni、Cu、Moはそれぞれ、0.05%以上の範囲で含有させてもよい。過度の含有は、ステンレス鋼の再結晶および結晶粒成長を阻害して磁気特性の低下を招くため、それぞれ上限は1%以下とする。より好ましい範囲はそれぞれ、0.1%以上0.8%以下であり、更に好ましくは0.3%以上0.6%以下である。
Sb:0.2%以下
V:0.5%以下
W:0.5%以下
Zr:0.5%以下
Co:0.5%以下
Sb、V、W、Zr、Coは、耐食性の改善とP、Sの粒界偏析を抑制して磁気特性の向上に有効な元素であり、必要に応じて含有させる。特にSbは強力な粒界偏析元素であり、SnやBと同様に、P、Sなど不純物元素の粒界偏析を排除する作用を持つ。これらの元素を含有させる場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。過度な含有は製造性や磁気特性の低下に繋がるため、Sbを0.2%以下、V、W、Zr、Coをそれぞれ0.5%以下とする。より好ましいSbの範囲は、0.02〜0.15%、更に好ましくは0.02〜0.1%以下である。V、W、Zr、Coのより好ましい範囲は0.02〜0.3%、更に好ましい範囲は0.02〜0.2%である。
Mg:0.005%以下
Mgは、溶鋼中でAlとともにMg酸化物を形成し脱酸剤として作用する他、TiNの晶出核として作用する。TiNは凝固過程においてフェライト相の凝固核となり、TiNの晶出を促進させることで、凝固時にフェライト相を微細生成させることができる。凝固組織を微細化させることにより、再結晶と結晶粒成長を促進して磁気特性を向上させることができる。含有させる場合は、これら効果を発現する0.0001%以上とする。但し、Mgが0.005%を超えると磁気特性が劣化するため、上限を0.005%以下とする。好ましくは0.0003〜0.002%とし、更に好ましくは0.0003〜0.001%する。
Ca:0.005%以下
Ga:0.015%以下
Ca、Gaは、鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて含有させる。含有させる場合は、これら効果を発現するためにCaは0.0003%以上、Gaは0.001%以上とする。しかし、過度の含有は磁気特性の劣化に繋がるため、上限をCaは0.005%以下、Gaは0.015%以下とする。Caは好ましくは0.0003〜0.0015%とし、更に好ましくは0.0003〜0.001%とする。Gaは好ましくは0.001〜0.013%、0.005〜0.010%とする。
La:0.1%以下
Y:0.1%以下
Hf:0.1%以下
REM:0.1%以下
La、Y、Hf、REMは、Ca、Gaと同様に鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて含有してもよい。含有させる場合は、効果が発現するためにそれぞれ0.001%以上とする。しかし、過度の含有は、磁気特性の劣化に繋がるため、上限をそれぞれ0.1%以下とする。好ましくはそれぞれ0.001〜0.05%とし、更に好ましくは0.001〜0.03%とする。
REM(希土類元素)は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、周期律表においてセリウム(Ce)からルテチウム(Lu)までの14元素(ランタノイド)の総称を指す。これらの元素は単独で含有させてもよいし、混合物であってもよい。
なお、残部に含まれる不純物とは、鋼板を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明の鋼板に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
次に本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の集合組織について説明する。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、板表面における集合組織が下記の(i)および(ii)を満たすものである。
(i)板表面における鋼板表面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である{110}±15°方位粒の面積率が3.0%超30%未満。
(ii)板表面において{110}±15°方位粒の面積率をA、{111}±15°方位粒の面積率をBとしたとき0.10<A/B<0.80。
{110}方位はGoss方位と呼ばれ、圧延方向が鉄の磁化容易軸に一致しているため良好な磁気特性を有している。本発明ではこれらGoss方位の過度な生成によらず、板表面において{110}±15°以下の方位粒の面積率を制御することが効果的であることを知見した。{110}±15°方位粒の面積率は、3.0%超30%未満の範囲で含むことにより、{111}及び{112}方位粒を分断して磁気特性の上昇に寄与することができる。特性と製造性の観点から、好ましい範囲は5.0〜25%、より好ましい範囲は10〜20%である。
また、板表面において{110}±15°方位粒の面積率をA、{111}±15°方位粒の面積率をBとしたとき、再結晶集合組織の主方位である{111}±15°方位粒との比率(A/B)を0.10超0.80未満の範囲に高めることが有効である。
A/Bは、加工性の低下から上限は0.80未満とする。製造性の低下からA/Bの上限は0.70未満としてもよい。特性と製造性の観点から、好ましいA/Bの範囲は0.20〜0.70、より好ましい範囲は0.40〜0.70である。
本発明において、「板表面」とは、鋼板の板厚tのt/8までの領域であり、鋼板の表面から当該鋼板の両側の面方向に1/8tの厚さまでの領域をいう。また、(111)±15°方位粒とは、鋼板表面の法線方向と{111}面方位との角度差が15°以内である結晶方位を持つ結晶粒をいう。
前記した磁気特性に及ぼす集合組織の影響については、電子線後方散乱回折法(以下、EBSD)を用いて解析することができる。EBSDは、試料表面のミクロ領域における結晶粒毎の結晶方位を高速に測定・解析するものである。磁気特性に寄与する結晶方位集団は、板厚中心部における{110}±15°方位粒と{111}±15°方位粒の2つの領域に分割した結晶方位マップを表示させて数値化することができる。例えば、鋼板表面に平行な面において、板幅方向850μm、圧延方向2250μmの測定領域で倍率100としてEBSDの測定を行い、鋼板表面に平行な面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である結晶粒(すなわち{110}±15°方位粒)の結晶方位マップを表示させてその面積率を表示することができる。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、磁気特性として、比透磁率が高く、保磁力が小さいことが好ましい。比透磁率と保磁力は、以下の測定条件により得られる数値により接点部材への適用性を評価する。測定条件は、外径Φ45mm、内径Φ33mmのリング状試験片を作製し、巻き線数100、印加磁化力1000A/mとし、室温にて磁気測定(B−H曲線)を行い、比透磁率(μ)と保磁力(Hc[A/m])を求める。印加磁化力は、飽和磁化に到達しない値として磁化の容易さを評価する。磁化の容易さは比透磁率が高いほど、ヒステリシス損は保磁力が小さいほど良好である。
比透磁率μは、500以上がよく、好ましくは600以上、より好ましくは700以上である。保磁力Hcは400A/m以下、好ましくは300A/m以下、より好ましくは250A/m以下である。
比透磁率が高く、保磁力が低いと、フェライト系ステンレス鋼を接点部材に適用した際に、磁化しやすくヒシテリスス損が小さいので好ましい。
次に、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、上記の化学成分を満足すれば、鋳造、熱間加工、冷間加工等の通常のプロセス条件で製造しても本発明の目標とする磁気特性を確保することが可能である。
より好ましくは、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、上記の化学組成を有する鋼を、熱間圧延後、熱処理を省略もしくは700℃以下で熱処理し、その後に圧延率40%以下の冷間圧延を行い、900℃超の熱処理を行うことで製造する。
熱間圧延後、熱処理を省略して冷間圧延を行うか、もしくは、700℃以下の均熱温度で熱処理してから冷間圧延を行う。熱間圧延後の熱処理を700℃超の均熱温度で実施すると、本発明において磁気特性を高めるために有効な{110}方位粒が減少する場合もある。磁気特性を高めるために有効な{110}±15°方位粒は、歪エネルギーの高い結晶粒界から再結晶しやすいため、熱間圧延後の熱処理を省略もしくは熱間圧延時の歪エネルギーが解消しない700℃以下で熱処理をした後、冷間圧延を施すことが好ましい。
熱処理する場合の均熱時間は、10秒〜10分とすることが好ましい。均熱時間が10秒以上であれば、冷間圧延のための材料の軟質化が図れるので好ましい。また、均熱時間が10分以下であれば、磁気特性を高めるために有効な{110}方位粒を消失させずに、磁気特性を高めるために有効な{110}±15°方位粒を歪エネルギーの高い結晶粒界から再結晶させやすくすることができる。
冷間圧延は、40%以下の圧下率で冷暗圧延することが好ましい。冷間圧延率が40%超となると、再結晶集合組織である{111}±15°方位粒の形成と成長により、{110}±15°方位粒が低下する場合もある。従って、冷間圧延の圧下率が40%以下とするとよい。
冷間圧延後の熱処理は、{110}±15°方位粒を成長させるために、900℃超の熱処理温度で熱処理することが好ましい。過度な温度上昇は、{110}±15°方位粒が低下・消失を招くため、熱処理温度の上限は1050℃であることが好ましい。また、熱処理時の雰囲気は特に規定するものではないが、大気中、LNG燃料雰囲気、BA雰囲気であることが好ましい。
冷間圧延後の熱処理の均熱時間は、1秒〜5分とすることが好ましい。Goss方位を生成させるために、均熱時間は1秒以上とすることが好ましい。また、均熱時間が5分以下であれば、{110}±15°方位粒が低下・消失を防止できる。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、磁界内に配置される接点部材として好適に用いることができる。
図1には、磁気遮断器の一例を示す。図1に示す磁気遮断器1は、リレー部10と駆動部20とを備える。磁気遮断器1は、リレー部10に備えられた可動接点部材13が駆動部20によって上下に駆動することで、一対の固定接点部材12に可動接点部材13が接触または非接触するように構成されている。固定接点部材12は外部回路に接続されている。そして、可動接点部材13と固定接点部材12とが接触状態にあるときには外部回路の電流が遮断されず、非接触状態にあるときには外部回路の電流を遮断するようになっている。以下、磁気遮断器1の構造について説明する。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、可動接点部材13及び固定接点部材12の素材に適用される。
リレー部10は、中空箱状のリレー部筐体11と、リレー部筐体11の上面11aを貫通する2つの柱状の固定接点部材12と、リレー部側筐体11の内部に配置された棒状の可動接点部材13と、可動接点部材13を固定接点部材12側に付勢するばね14とを備えている。可動接点部材13及び固定接点部材12は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。2つの固定接点部材12は、相互に離間して配置されている。柱状の固定接点部材12は、一端側に固定接点部12aが設けられ、他端側には外部端子部12bが設けられている。固定接点部12aは、リレー部筐体11の内部に挿入され、可動接点部材13に対向するように配置されている。外部端子部12bは、リレー部筐部材11の外側に配置されており、外部回路に接続される。
棒状の可動接点部材13は、上面に可動接点部13aを有している。可動接点部材13は、可動接点部13aが2つの固定接点部12bと対向するようにリレー部筐体11内に配置されている。可動接点部材13は、駆動部20の接続シャフト24に接続されている。図1では、可動接点部材13がその可動範囲の最下方に位置している状態を示している。この状態は、可動接点部13aと固定接点部12aが離間して外部回路の電流が遮断された状態にある。また、図1に示す一点鎖線は、可動接点部材13がその可動範囲の最上方に位置している状態を示している。この状態は、可動接点部13aと固定接点部12aが接触して外部回路の電流が遮断されていない状態にある。
リレー部筐体11の内部には、ばね14が配置されている。ばね14は、可動接点部材13を固定接点部材12に接触させるために、可動接点部材13を固定接点部材12側に付勢する。ばね14には、接続シャフト24が挿通されている。また、リレー部筐体11の内部には図示略の磁石によって磁界が形成されている。
駆動部20は、駆動部筐体21と、駆動部筐体21の内部に配置された電磁石コイル22と、電磁石コイル22の中空部22aに挿入された筒状のヨーク23と、ヨーク23に挿入された接続シャフト24と、ヨーク23を案内する中空筒状のガイド部材25とが備えられている。接続シャフト24は、駆動部筐体21を貫通して可動接点部材13に接続されている。
磁気遮断器1の動作を説明する。電磁石コイル22に通電しない場合は、ばね14によって可動接点部材13が固定接点部材12側に付勢され、可動接点部13aと固定接点部12aとが接触する。これにより、外部回路の電流が流される。一方、電磁石コイル22に通電して磁力を発生させると、ばね14の付勢力に抗してヨーク23が電磁石コイル22に吸引され、これにより、接続シャフト24を介して可動接点部材13が固定接点部材12から離間され、外部回路の電流が遮断される。リレー部筐体11の内部には図示略の磁石によって磁界が形成されており、電流遮断時に発生するアークは、リレー部筐体11の内部の磁界によって引き延ばされることで、たとえ大電流であっても確実に遮断される。
上記の磁気遮断器1の可動接点部材13及び固定接点部材12は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、従来の接点材料である銅合金等に比べて、耐衝撃性に優れるため、可動接点部材13と固定接点部材12との接触/非接触が何度も繰り返された場合であっても、可動接点部材13及び固定接点部材12の破損を防止できる。また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、磁気特性にも優れるため、可動接点部材13及び固定接点部材12は、リレー部筐体11の内部に発生させた磁界によって容易に磁化される。これにより、リレー部筐体11内部の磁界の分布が、可動接点部材13と固定接点部材12によって乱されることがなく、磁界による電流遮断時のアークの引き延ばしを阻害することがなく、電流を確実に遮断させることができる。
なお、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼板は、図1に示す磁気遮断器1に限定されるものではなく、磁界によってアークを消弧させる遮断器であれば、その接点材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
表1の成分組成を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製し、加熱温度1150〜1250℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚4.0mmの熱延鋼板を製造した。熱延鋼板を表2に示す条件にて焼鈍し、酸洗後に板厚1.5〜3.0mmまで冷間圧延し、880〜980℃の仕上げ焼鈍と酸洗を行った。このようにして、フェライト系ステンレス鋼を製造した。得られたフェライト系ステンレス鋼について、磁気特性および耐衝撃特性の評価に供した。
磁気特性の評価は、JIS C 2556準拠して以下の手順で実施した。
磁気特性の評価は、外径Φ45mm、内径Φ33mmのリング状試験片を作製し、巻き線数100、印加磁化力1000A/mとし、室温にて磁気測定(B−H曲線)を行い、比透磁率(μ)と保磁力(Hc[A/m])を求めた。印加磁場力は、飽和磁化に到達しない値として磁化の容易さを評価した。評価基準は以下の通りとした。評価ランク1〜3を合格とし、評価ランク4を不合格とした。
評価ランク
1:比透磁率が700以上かつ保磁力が250A/m以下を満たす。
2:比透磁率が600以上700未満かつ保磁力が250A/m超300A/m以下を満たす。
3:比透磁率が500以上600未満かつ保磁力が300A/m超400A/m以下を満たす。
4:比透磁率が500未満または保磁力が400A/m超の何れか一方または両方を満たす。
耐衝撃特性は、シャルピー衝撃試験によって評価した。シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242に準拠して実施した。試験片は板厚×10mm幅×55mm長さのVノッチ形状とし、試験温度は−40℃とした。衝撃値が20J/cm以上の場合を合格(○)とし、衝撃値が20J/cm未満の場合を不合格(×)とした。衝撃値が20J/cm以上の場合に延性的な破面形状が現れるのでこれを合格とし、衝撃値が20J/cm未満の場合は脆性的な破面形状が現れるため不合格とした。
集合組織は、電子線後方散乱回折法(以下、EBSD)を用いて解析した。磁気特性に寄与する結晶方位集団は、板厚中心部における{110}±15°方位粒と{111}±15°方位粒の2つの領域に分割した結晶方位マップを表示させて数値化した。すなわち、鋼板表面に平行な面において、板幅方向850μm、圧延方向2250μmの測定領域で倍率100としてEBSDの測定を行い、鋼板表面に平行な面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である結晶粒(すなわち{110}±15°方位粒)の結晶方位マップを表示させてその面積率を表示させ、測定した。
表2に試験結果をまとめて示す。
No.1〜13は、何れも本発明範囲の化学成分及び集合組織を有するフェライト系ステンレス鋼であり、磁気特性及び耐衝撃特性が良好であった。特に、熱間圧延後の鋼板に700℃以下で熱処理を行うか熱処理を省略し、40%以下の圧延率で冷間圧延を行い、更に、900℃超で熱処理を行ったNo.5、7、9、11は、同じ化学成分でありながら前記の製造条件から外れた条件で製造したNo.4、6、8、10に比べて、磁気特性が更に向上した。No.5、7、9は、より好ましい製造条件で製造したため、{110}±15°方位粒の面積率Aと{111}±15°方位粒の面積率Bの比A/Bが0.40〜0.70のより好ましい範囲になり、磁気特性がより向上したと推測される。
No.14〜19は、何れも本発明範囲の化学成分を有しないフェライト系ステンレス鋼であり、好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性または耐衝撃特性のいずれか一方または両方が劣った。
No.14は、C量が過剰であり、炭化物が粒界偏析し、更に好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.15は、Si量が過剰であり、好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性及び耐衝撃特性が劣った。
No.16は、Mn量及びAl量が過剰であり、好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性が劣った。
No.17は、P量が過剰であり、Pが結晶粒界に過剰に偏析し、好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.18は、S量が過剰であり、合金中に硫化物を形成し、またSが結晶粒界に過剰に偏析し、好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.19は、Cr量およびN量が過剰であり、非磁性元素であるCrが多くなり、また、合金中に窒化物を形成し、更にNが結晶粒界に過剰に偏析し、更に好ましい集合組織が形成されなかったため、磁気特性が劣り、耐衝撃性も劣った。
Figure 0006722741
Figure 0006722741
1…磁気遮断器、10…リレー部、12…固定接点部材、13…可動接点部材、20…駆動部。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    Si:1.00%以下、
    Mn:1.00%以下、
    P:0.035%以下、
    S:0.0030%以下、
    Cr:10.0〜18.0%、
    N:0.020%以下、
    Nb:0.5%以下、
    Ti:0.5%以下、
    Al:0.10%以下を含み、
    残部がFeおよび不純物からなり、
    板表面における集合組織が下記の(i)および(ii)を満たし、
    比透磁率μが500以上、保磁力Hcが400A/m以下であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
    (i)板表面における鋼板表面の法線方向と{110}面方位との角度差が15°以内である{110}±15°方位粒の面積率が3.0%超30%未満。
    (ii)板表面において{110}±15°方位粒の面積率をA、{111}±15°方位粒の面積率をBとしたとき、0.10<A/B<0.80。
  2. さらに質量%で、
    Sn:0.001〜0.5%、
    B:0.005%以下
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  3. さらに質量%で、
    Ni:1%以下、
    Cu:1%以下、
    Mo:1%以下、
    Sb:0.2%以下、
    V:0.5%以下、
    W:0.5%以下、
    Zr:0.5%以下、
    Co:0.5%以下、
    Mg:0.005%以下、
    Ca:0.005%以下、
    Ga:0.015%以下、
    La:0.1%以下、
    Y:0.1%以下、
    Hf:0.1%以下、
    REM:0.1%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
  4. 磁界内に配置される接点部材として用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
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