JP3629102B2 - 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ディスプレイ管サポートフレーム用等の電気電子部品に用いられる、軟磁性ステンレス鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでディスプレイ管サポートフレーム用等の電気電子部品に用いられる、いわゆる軟磁性ステンレス鋼板としては、磁気特性、例えば最大比透磁率を高めるため、例えば特開昭62−23962号公報ではフェライト系ステンレス鋼板にSi,Alを添加する例がある。しかしながら、Si,Alの過度の添加は、材料の加工性、特に伸びを悪くし、ディスプレイ管サポートフレーム用に曲げ等の加工を行うと割れが発生し問題となっている。一方、別な手段で磁気特性を高めるためには、例えば特開平2−182834号公報では、フェライト系ステンレス鋼板の最終焼鈍を2段階の温度範囲で行うことにより、ゴス方位({110}<001>)を強く集積させる集合組織を得、磁気特性を高める例がある。しかしながら、2段階の温度範囲で最終焼鈍を行うことは操業上困難であり、またコストアップにもなり望ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のことをかんがみ、磁気特性および加工性に優れたステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(2)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(3)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、B:0.0003〜0.02%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(4)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を添加し、
さらに、B:0.0003〜0.02%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(5)結晶粒径が60〜300μmであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
(6)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(7)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(8)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、B:0.0003〜0.02%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(9)重量%にて、
C ≦0.01%、 Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、 S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、 Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、 N ≦0.015%、
とし、かつC+N≦0.015%とし、
さらに、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を添加し、
さらに、B:0.0003〜0.02%を添加し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(10)冷延板焼鈍を行って、結晶粒径を60〜300μmに成長させることを特徴とする上記(6)〜(9)のいずれか一つに記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0005】
以下、本発明鋼の限定理由について詳細に説明する。
Cは、含有量が多くなりすぎると合金中に炭化物を形成し磁気特性を劣化させるため、その上限を0.01%とした。さらに好ましくは、0.007%以下が良い。
【0006】
Siは、脱酸剤として有効であり、また磁気特性を向上させる元素であるが、0.1%未満ではその効果が少なく、一方、0.6%を超えた添加では加工性、特に伸びを低下させる。従ってSiの範囲は、0.10〜0.60%とした。さらに好ましくは、0.30〜0.50%が良い。
【0007】
Mnは、脱硫,脱酸剤として有効であるが、0.1%未満ではその効果が少なく、また1.0%を超えると、耐食性が劣化する。従って、Mnの範囲は、0.10〜1.0%とした。さらに好ましくは、0.20〜0.50%が良い。
【0008】
Sは、含有量が多くなりすぎると合金中に硫化物を形成し磁気特性を劣化させるため、その上限を0.004%とした。さらに好ましくは、0.003%以下が良い。
【0009】
Crは、ステンレス鋼の耐食性を付与する基本的な元素であり、5.0%未満の含有ではその効果が少なく、一方、13.0%を超える含有では、磁気特性が劣化する。従ってCrの範囲は、5.0〜13.0%とした。さらに好ましくは、10.0〜11.5%が良い。
【0010】
Tiは、耐食性及び磁気特性を向上させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が少なく、また、0.5%を超える添加では、加工性、特に伸びを低下させる。従って、Tiの範囲は0.05〜0.5%とした。さらに好ましくは、0.1〜0.3%が良い。
【0011】
Oは、含有量が多くなりすぎると合金中に酸化物を形成し磁気特性を劣化させるため、その上限を0.004%とした。さらに好ましくは、0.003%以下が良い。
【0012】
Nは、含有量が多くなりすぎると合金中に窒化物を形成し磁気特性を劣化させるため、その上限を0.015%とした。さらに好ましくは、0.01%以下が良い。
【0013】
C及びNは、共存した状態で磁気特性を劣化させる性質があるため、その上限をC+N≦0.015%とした。さらに好ましくは、C+Nは0.010%以下が良い。
【0014】
Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vは、耐食性を改善させる元素であり、1種または2種以上を合計で0.05%未満ではその効果が少なく、また、1.0%を超える添加では、磁気特性を損なうので、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち1種または2種以上を添加する範囲を0.05〜1.0%とした。さらに好ましくは、0.1〜0.7%が良い。また、1種単独で添加する場合には、0.1〜0.5%が良い。
【0015】
Bは、磁気特性を向上させる元素であるが、0.0003%未満ではその効果が少なく、また、0.02%を超える添加では、熱間及び冷間での加工性を劣化させる。従って、Bの範囲は0.0003〜0.02%とした。さらに好ましくは、0.0005〜0.01%が良い。
【0016】
次に製造方法を規定した理由を述べる。
本発明の製造方法は、所定の化学成分のスラブを、熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワークロールを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて焼鈍を920〜1100℃の温度範囲で行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行い、表層および中心層における(111)面強度の和を10以下にさせる。
【0017】
重量%にて、C:0.003%、Si:0.42%、Mn:0.35%、S:0.0010%、Cr:11.1%、Ti:0.15%、O:0.0028%、N:0.0065%、C+N=0.0095%とし、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成を用いて、転炉で溶製し、連続鋳造法によりスラブとした。その後1250℃×2時間加熱後熱間圧延を行い、板厚3.2mmの熱延板を得た。その後、熱延板をショットブラストと硫酸によりデスケール処理を行い、ワークロ−ル直径を60〜500mmに種々変化させて冷間圧延を行い板厚1.2mmの冷延薄板を得、焼鈍を950℃×1分、大気中にて行った後、ソルト・電界硝酸により酸洗処理を行った。得られた最終焼鈍板から、30mm幅×300mm長の試験片を切り出し、歪取り焼鈍を800℃×10分、大気中にて行った。(111)面強度は、Mo管球を線源とするX線回折装置により印加電圧40kV,印加電流200mAの条件で測定した。表層における(111)面強度と中心層における(111)面強度との和は、表層と中心層でそれぞれのX線ピーク強度と純鉄製無方向性試料のX線ピーク強度の比として求めたものをたし合わせた。 磁気特性測定は、JIS C 2550に準じ、25cmエプスタイン法により試験片を8枚積層させ、最大比透磁率μmを測定した。
【0018】
(111)面強度の和と磁気特性の関係について図1に示す。磁気特性としては、最大比透磁率が4000以上の高い値である事が望まれており、そのためには表層および中心層における(111)面強度の和を10以下とする必要があることが分かる。表層および中心層における(111)面強度の和が10以下になると磁気特性が向上する機構の詳細は未だ明確でないが、(111)方位の結晶構造が磁化困難方位であるので、(111)面強度の和が10を超えると、磁化過程において、磁壁の移動障害となるためと考えられる。
【0019】
冷間圧延におけるワークロールの直径が200mm未満の場合には、表層と中心層への冷間圧延による歪導入が不均一に起こるため、冷間圧延後の再結晶焼鈍を行い、更に続いて製品形状加工後の歪取り焼鈍を行っても表層および中心層における(111)面強度の和が10以下にならない。従って、冷間圧延におけるワークロール直径を200mm以上とした。
【0020】
冷延板焼鈍において焼鈍温度が920℃未満の場合には、結晶粒径が60μm未満と小さくなり、結晶粒界が磁壁移動になると考えられるため、磁気特性が向上しない。一方、焼鈍温度が1100℃を超えた場合には結晶粒径が300μmを超えて製品形状に曲げ加工等を行うと、加工肌荒れが発生するため望ましくない。よって焼鈍温度範囲を920〜1100℃とした。さらに好ましくは930〜1050℃が良い。尚、焼鈍の保定時間は、30秒〜10分が好ましい。また、粒径の範囲は60〜300μmとした。さらに、好ましくは60〜220μmが良い。
【0021】
その後に調質圧延を行うと、表層と中心層への歪導入が不均一に起こるため、更に続いて製品形状加工後の歪取り焼鈍を行っても表層および中心層における(111)面強度の和が10以下にならない。従って、調質圧延は行わない方が良い。尚、割れ等を起こさずに加工成型を行うためには、伸びが34%以上の値である事が望まれている。
【0022】
その後、750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行う。750℃未満では、加工後の歪が残存するために高い磁気特性が得られない。また、1000℃を超えた場合には、歪除去の効果が飽和され、また工程にも負荷が加わるため望ましくない。よって、歪取り焼鈍温度範囲を、750〜1000℃とした。さらに、好ましくは、800〜900℃が良い。尚、歪取り焼鈍の保定時間は、30秒〜30分が好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の優位性を実施例と比較例を用いて,具体的に説明する。
表1及び表2に、本発明例と比較例の化学成分および焼鈍条件、結晶粒径、磁気特性等を示す。
【0024】
表1及び表2に示すような本発明鋼組成と比較鋼組成を、転炉で溶製し、連続鋳造法によりスラブとした。その後1200℃×2時間加熱後熱間圧延を行い、板厚3.2mmの熱延板を得た。その後、熱延板をショットブラストと硫酸によりデスケール処理を行い、1回または2回の冷間圧延にて所定板厚の冷延薄板を得、焼鈍を910〜1120℃×1分、大気中にて行った後、ソルト・電界硝酸により酸洗処理を行った。得られた焼鈍板から、JIS13B号試験片を採取し引張試験機により伸びを測定した。また、焼鈍板のL方向断面組織から、光学顕微鏡により比較法にて結晶粒径を測定した。続いて、調質圧延を省略したものと、調質圧延を実施したものから、30mm幅×300mm長の試験片を切り出し、歪取り焼鈍を740〜1030℃×6分、大気中にて行った。(111)面強度はX線回折装置により測定した。磁気特性測定は、最大比透磁率μmを測定した。また、耐食性は、塩水噴霧試験(JIS Z 2371)後の発銹状況により、良好な順番にA>B>C>D>Eの5ランクに評価した発銹試験から判断した。この際、耐銹性の優劣の判断基準として、Cランク以上の材料を耐食性良好と判断した。
【0025】
No.1〜40は本発明例、No.41〜81は比較例である。比較例No.41〜42、44、46、48〜49、51〜53、58〜75、77および79〜80は、ワークロール直径が200mm未満と本発明範囲から外れており、表層および中心層における(111)面強度の和が10を超えて大きくなり、磁気特性が劣化している。
【0026】
比較例No.41は、C量が本発明範囲を超えるものであり、この場合においては、結晶粒径が小さくなり磁気特性が低下している。比較例No.42は、Si量が本発明範囲より低く、結晶粒径が小さくなり磁気特性が著しく低下している。比較例No.43は、Si量が本発明範囲より高く、磁気特性は高いが、伸びが低い。比較例No.44は、Mn量が本発明範囲より低く、粒径が小さくなり磁気特性が著しく低下している。比較例No.45は、Mn量が本発明範囲より高く、耐食性が劣化している。比較例No.46は、S量が本発明範囲より高く、結晶粒径が小さくなり磁気特性が低下している。比較例No.47は、Cr量が本発明範囲より低く、磁気特性は高いが、耐食性が劣化している。比較例No.48は、Cr量が本発明範囲より高く、磁気特性が著しく低下している。比較例No.49は、Ti量が本発明範囲より低く、結晶粒径が小さくなり、磁気特性が著しく低下している。比較例No.50は、Ti量が本発明範囲より高く、磁気特性は高いが、伸びが低い。比較例No.51は、O量が本発明範囲より高く、結晶粒径が小さくなり、磁気特性が著しく低下している。比較例No.52は、N量が本発明範囲より高く、粒径が小となり、磁気特性が著しく低下している。比較例No.53は、C,N量単独では本発明範囲内ではあるが、C+N量が本発明範囲より高く、結晶粒径が小さくなり磁気特性が著しく低下している。
【0027】
比較例No.54は、化学成分範囲は本発明範囲内であるが、焼鈍温度が本発明範囲より低く、結晶粒径が小さくなり磁気特性が著しく低下している。比較例No.55は、化学成分範囲は本発明範囲内であるが、焼鈍温度が本発明範囲より高く、結晶粒径が大きくなり磁気特性は高いが、成品形状に成形加工した時に肌荒れが生じた。比較例No.56は、化学成分範囲は本発明範囲内であるが、歪取り焼鈍温度が本発明範囲より低く、加工後の歪みが残存しているために磁気特性が低い。比較例No.57は、化学成分範囲は本発明範囲内であるが、歪取り焼鈍温度が本発明範囲より高く、加工後の歪みは除去されているが、その効果は飽和し、また工程にも負荷が大と考えられるため望ましくない。
【0028】
比較例No.58及びNo.64は、Ni量が、比較例No.59,No.65及びNo.77は、Mo量が、比較例No.60,No.72及びNo.79は、Cu量が、比較例No.61、No.66及びNo.68は、Nb量が、比較例No.62及びNo.70は、Zr量が、比較例No.63は、V量が、比較例No.71は、Zr及びV量が、比較例No.74は、Cu,Nb及びZr量が、本発明範囲を超えるものであり、この場合においては、磁気特性が低下している。また、比較例No.67は、Ni,V単独では本発明範囲内ではあるが、Ni+Vの合計量が本発明範囲を超えており、磁気特性が低下している。比較例No.69は、Ni,Mo,Cu単独では本発明範囲内ではあるが、Ni+Mo+Cuの合計量が本発明範囲を超えており、磁気特性が低下している。比較例No.73は、Ni,Mo,Cu,Nb,V単独では本発明範囲内ではあるが、Ni+Mo+Cu+Nb+Vの合計量が本発明範囲を超えており、磁気特性が低下している。比較例No.75は、Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,V単独では本発明範囲内ではあるが、Ni+Mo+Cu+Nb+Zr+Vの合計量が本発明範囲を超えており、磁気特性が低下している。
【0029】
比較例No.76及びNo.78は、B量が本発明範囲を超えるものであり、この場合においては、伸びが低く、冷間での加工を劣化させている。比較例No.80は、Ni,Nb及びB量が本発明範囲を超えるものであり、磁気特性が低く、伸びが低い。比較例No.81は、Cu及びB量が本発明範囲を超えるものであり、磁気特性が低く、伸びが低い。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明によれば、磁気特性および加工性に優れたステンレス鋼板を得る事ができる。
【0039】
【図形の簡単な説明】
【0040】
【図1】表層および中心層の(111)面強度の和と最大比透磁率の関係を示す図表である。
Claims (10)
- 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち
1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
B:0.0003〜0.02%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち
1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を含有し、
さらに、
B:0.0003〜0.02%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。 - 結晶粒径が60〜300μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
- 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち
1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
B:0.0003〜0.02%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 重量%にて、
C ≦0.01%、
Si:0.1〜0.6%、
Mn:0.1〜1.0%、
S ≦0.004%、
Cr:5〜13%、
Ti:0.05〜0.5%、
O ≦0.004%、
N ≦0.015%
を含有し、かつ
C+N≦0.015%であり、
さらに、
Ni,Mo,Cu,Nb,Zr,Vのうち
1種または2種以上を合計で0.05〜1.0%を含有し、
さらに、
B:0.0003〜0.02%を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延を行い熱延板とし、続いてロール直径が200mm以上を有するワ−クロ−ルを用いて1回あるいは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を行い冷延板とし、続いて920〜1100℃の温度範囲で焼鈍を行い、続いて製品形状に成形加工し、続いて750〜1000℃の温度範囲で歪取り焼鈍を行うことを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 - 冷延板焼鈍を行って、結晶粒径を60〜300μmに成長させることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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