JP3429023B2 - 軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステンレス鋼板 - Google Patents
軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステンレス鋼板Info
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Description
食性に優れるだけでなく、良好なプレス成形性をも兼ね
備えた電磁ステンレス鋼板に関し、とくに電磁リレー
材、磁気シールド材および磁気ヨーク材等の用途に用い
て好適なものである。
材としては、従来、純鉄系の材料に耐候性や耐食性の面
から亜鉛クロメート処理を施したものや、ニッケル、ク
ロム等の表面処理を施したものが用いられてきたが、近
年、環境問題や公害問題の観点からめっきレスのものが
指向されている。
として、種々の電磁ステンレス鋼が開発され、特にかよ
うな電磁ステンレス鋼としては、13〜18Cr−1〜3Si系
の合金鋼(特許第 439,764号)が広く利用されている。
の電磁ステンレス鋼は、耐候性や耐食性には優れるもの
の、透磁率が3000〜4000以下と低く電磁リレー用材料と
しては十分とは言えず、また磁気シールド材、ヨーク材
としてはプレス成形加工で折れや割れが発生するところ
に問題を残していた。この発明は、上記の問題を有利に
解決するもので、耐候性や耐食性に優れるのは言うまで
もなく、透磁率等の軟磁気特性に優れ、さらにはプレス
成形性も良好な電磁ステンレス鋼板を提案することを目
的とする。
問題を解決すべく、電磁ステンレス鋼の成分組成に関
し、広範囲にわたって検討を加えたところ、フェライト
系電磁ステンレス鋼にTiおよびBを複合添加すると、
(1) 合金中のC,Nに効果的に作用し、磁気特性及び耐
食性が大幅に改善され、(2) また結晶粒が微細かつ整粒
となり各結晶粒の粗大化が極力抑制される結果、プレス
成形加工における折れや割れ感受性が大幅に低減する、
ことの知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚する
ものである。
エリクセン値が10.0mm以上で、かつ透磁率が5000以上で
あることを特徴とする、軟磁気特性およびプレス成形性
に優れた電磁ステンレス鋼板(第1発明)である。
よび不可避的不純物の組成になり、エリクセン値が10.0
mm以上で、かつ透磁率が5000以上であることを特徴とす
る、軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステン
レス鋼板(第2発明)である。
ついて説明する。基本組成を10%Cr鋼とし、この基本鋼
にTiを0.15%含有させたものおよびTiを含有させないも
のそれぞれに、Bを0.02%まで添加したときの、軟磁気
特性、耐食性および成形加工性について調査した。各合
金鋼はそれぞれ、Ar気流中で5kgずつ誘導溶解してか
ら、65mmφのインゴットを作製し、ついで各インゴット
を1050℃で厚み:10mmに熱間鍛造したのち、1mm厚まで
冷間圧延し、供試材とした。かくして得られた各供試鋼
を 950℃で磁気焼鈍した後の透磁率および保磁力につい
て調べた結果を図1(a),(b)に、また孔食電位お
よびエリクセン値について調べた結果を図2(a),
(b)にそれぞれ示す。
Cr−0.15Ti鋼は、B添加量が 0.002〜0.004 %で透磁率
が極大、保磁力が極小を示し、磁気特性の著しい改善が
認められ、またB添加量が 0.002〜0.006 %で孔食電位
が極大を示し、耐食性も著しく改善されることが判明し
た。さらにB量が0.0002〜0.01%の範囲ではエリクセン
値も高い値を呈することが判明した。これに対し、Tiを
含まない10Cr鋼は、Bを添加しても、透磁率、保磁力、
孔食電位およびエリクセン値いずれも劣化するだけであ
った。
ことによって、磁気特性のみならず、耐食性さらには成
形加工性を大幅に向上させることができる。上記の改善
機構については、まだ明瞭に解明されてはいないけれど
も、微量のTi,Bが同時にフェライト系ステンレスに添
加されると、鋼中のC,Nに効果的に作用し、炭、窒化
物が粒内に微細均一に分散すると共に、Tiが(Fe,Cr)2
B,FeB等の析出を抑制し、さらにはBが粒界に効果的
に作用して磁気特性や耐食性を向上させることによるも
のと推察される。とはいえ、Ti,Bの添加量が一定量以
上になると(Fe,Cr)2B,FeB等が析出し、逆に磁気特
性や耐食性は阻害されるようになる。なお、Tiが含まれ
ていない場合には、添加されたBによって(Fe,Cr)
2B,FeB,BN等が析出するので、磁気特性や耐食性
はむしろ劣化するものと考えられる。
範囲に限定した理由は次のとおりである。 C:0.02%以下 Cは、ステンレス鋼中で耐食性を初めとして、磁気特性
やプレス加工性を著しく劣化させるので、0.01%以下に
抑制することが望ましいが、ステンレス鋼の製造時には
やむなく混入するものなので、実操業を鑑み0.02%以下
とした。
ェライト系ステンレス鋼の磁気特性の改善にも有効に寄
与し、また電気抵抗を増加し高周波領域のレスポンス特
性の改善にも有用な元素である。しかしながら含有量が
0.01%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.00%を超
えると硬度の著しい上昇を招きしプレス加工性を阻害す
るので、含有量は0.01〜1.00%の範囲に限定した。
素であるが、一方で磁気特性を阻害するので、1.00%以
下に制限した。
および電気抵抗に最も効果的な元素の一つである。特に
後述するTi, Bと共存させることによって、磁気焼鈍後
の酸化被膜を非常に緻密で強力なものとして、優れた耐
食性を堅持し、また磁気特性も向上させる。しかしなが
ら含有量が 7.0%に満たないとその効果に乏しく、一方
15.0%を超えるとプレス加工性の劣化を招くだけでな
く、高価ともなるので、 7.0〜15.0%の範囲に限定し
た。
共存することにより、鋼中のC,Nに効果的に作用し、
C,Nを均一に微細分散させることによって磁気特性お
よび耐食性の向上に貢献する。しかも、プレス成形前の
結晶粒を微細かつ整粒としてプレス成形性を飛躍的に向
上させる有用元素でもある。しかしながら含有量が0.02
%未満ではその効果が充分ではなく、一方0.25%を超え
てもその効果は飽和に達し、かえって製造上弊害が生じ
るので、含有量は0.02〜0.25%の範囲に限定した。
金中のC,Nに効果的に作用して、磁気特性および耐食
性を改善するだけでなく、結晶粒を微細化してプレス成
形性の改善にも有効に寄与する。しかしながら含有量が
0.0002%未満ではその効果は十分でなく、一方0.01%を
超えると熱間、冷間での加工性が阻害されるので、0.00
02〜0.01%の範囲で含有させるものとした。
特性およびプレス加工性を著しく劣化させる元素であ
り、極力低減することが望ましいが、0.02%以下の範囲
で許容される。
発明では、その他にも耐食性さらには靭性、プレス成形
性および磁気特性等の向上を目的として、Mo, Cu, Ni,
NbおよびVのうちから選んだ少なくとも一種を、以下の
範囲で適宜添加することができる。 Mo:3.00%以下, Cu:2.00%以下, Ni:3.00%以下, N
b:1.00%以下およびV:1.00%以下 Mo, Cu, Ni, NbおよびVはいずれも、本合金の耐食性改
善に有用なだけでなく、プレス成形性の向上にも有効に
寄与するが、いずれも上記した上限量を超えるとかえっ
てプレス成形性の劣化を招くだけでなく、高価ともなる
ので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとする。
は、常法に従い、以下に述べる工程で製造することがで
きる。すなわち、通常の転炉又は電気炉等で溶解後、A
OD,COD等で精錬したのち、連続鋳造又は造塊−分
塊法によって鋼片とし、ついで熱間圧延後、焼鈍・酸洗
を施したのち、冷延圧延を施して所定形状の冷延板とす
る。
7)をそれぞれ、Ar気流中で5kgづつ誘導溶解し、65mm
φのインゴットとした。ついで各インゴットを1050℃で
10mm厚まで熱間鍛造後、1mm厚まで冷間圧延して供試材
とした。かくして得られた供試材の軟磁気特性、耐食性
およびプレス成形性について調べた結果を、表2に示
す。
mm、厚み:1mmのリング試料を作製し、 750〜1050℃で
磁気焼鈍後、B−Hループトレーサーで直流磁気特性を
測定した。エクセリン試験は、一辺:100 mm、厚み:1
mmの試験片を作製し、磁気焼鈍後、試験に供した。耐食
性は、径:15mm、長さ:15mmの試験片を作製し、800 番
までサンドペーパーで研磨後、真空中にて 950℃, 2h
の磁気焼鈍を行ったのち、 3.5%NaCl水溶液(30℃)中
で孔食電位を測定した。
有しない従来鋼No.12(SUS410) およびNo.13(13Cr−2Si)
はいずれも、プレス成形性、磁気特性および耐食性全て
について良好な結果は得られなかった。またCrが下限量
に満たない、比較鋼No.14 は、プレス成形性は良好であ
ったが、特に耐食性に劣っていた。No.15 鋼は、C、Ti
が過剰に含まれているため、プレス成形性、磁気特性、
耐食性いずれも劣っていた。No.16 鋼は、Cr, Mo, Cu,
Niが過剰に含まれているために、耐食性は良好であった
が、プレス成形性、磁気特性に劣っていた。No.17 鋼
は、N、Bが過剰に含まれているために、プレス成形
性、磁気特性、耐食性いずれにも劣っていた。
ずれも、高いエリクセン値示し、また磁気特性もHc≦0.
80A/cm, μm ≧5000, B25≧1.25Tと良好で、しかも耐
食性については、50mv以上という優れた孔食電位が得ら
れた。
に優れるだけでなく、耐食性さらにはプレス成形性にも
優れた電磁ステンレス鋼板を得ることができ、電磁リレ
ー材、磁気シールド材、ヨーク材等として産業界に貢献
するところ大である。
の関係を示すグラフである。
(b)との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.02wt%以下、 Si:0.01〜1.00wt
%、 Mn:0.01〜1.00wt%、 Cr:7.0 〜15.0wt%、 Ti:0.02〜0.25wt%、 B:0.0002〜0.01wt%、 N:0.02wt%以下 を含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、
エリクセン値が10.0mm以上で、かつ透磁率が5000以上で
あることを特徴とする、軟磁気特性およびプレス成形性
に優れた電磁ステンレス鋼板。 - 【請求項2】C:0.02wt%以下、 Si:0.01〜1.00wt
%、 Mn:0.01〜1.00wt%、 Cr:7.0 〜15.0wt%、 Ti:0.02〜0.25wt%、 B:0.0002〜0.01wt%、 N:0.02wt%以下 を含み、かつ Mo:3.00wt%以下、 Cu:2.00wt%以下、 Ni:3.00wt%以下、 Nb:1.00wt%以下、 V:1.00wt%以下 のうちから選んだ少なくとも一種を含有し、残部はFeお
よび不可避的不純物の組成になり、エリクセン値が10.0
mm以上で、かつ透磁率が5000以上であることを特徴とす
る、軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステン
レス鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09780693A JP3429023B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | 軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステンレス鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09780693A JP3429023B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | 軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステンレス鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306552A JPH06306552A (ja) | 1994-11-01 |
JP3429023B2 true JP3429023B2 (ja) | 2003-07-22 |
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ID=14202020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09780693A Expired - Lifetime JP3429023B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | 軟磁気特性およびプレス成形性に優れた電磁ステンレス鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
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---|---|---|---|---|
JP5546911B2 (ja) * | 2009-03-24 | 2014-07-09 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 耐熱性と加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 |
JP6722740B2 (ja) * | 2018-10-16 | 2020-07-15 | 日鉄ステンレス株式会社 | 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
JP6722741B2 (ja) * | 2018-10-16 | 2020-07-15 | 日鉄ステンレス株式会社 | 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 |
-
1993
- 1993-04-23 JP JP09780693A patent/JP3429023B2/ja not_active Expired - Lifetime
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