JP3276303B2 - 初期発銹の起こりにくい耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

初期発銹の起こりにくい耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、初期発銹の起こ
りにくい耐銹性に優れたTi含有フェライト系ステンレス
鋼帯または鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼の特性を改善
する手段としては、高純度化したり、これに加えて、炭
素や窒素を炭化物、窒化物として固定するため、Nb, Ti
等の安定化元素を添加するのが有用であり、かかる手段
によって製造した種々の鋼が開発されている。
【0003】特にTiを安定化元素として適量添加したフ
ェライト系ステンレス鋼は、加工性が良好であり、再結
晶温度が低く、溶接部の耐銹性が優れているといった種
々の利点を有することで知られている。
【0004】しかし、一般に、前記フェライト系ステン
レス鋼は、Ti窒化物を形成し、これらが凝集してクラス
ターを生じやすく、このクラスターに起因して表面傷が
発生し、その結果、耐銹性を劣化させるという欠点があ
る。
【0005】また、Ti酸化物やAl酸化物の凝集によっ
て、鋳込み時にはノズル詰まりが発生しやすいことか
ら、これを防止するため、精錬時に少量のCaを添加する
場合が多い。即ち、Caを添加することによって低融点の
Ca系介在物(CaO-Al2O3-TiO2, CaO-Al2O3等) を生成させ
て、前記Ti酸化物やAl酸化物の凝集を抑制してノズル詰
まりを防止するのである。しかしながら、このようなCa
系介在物は一般にS吸収能が高いためCaSとして析出し
やすく、そのため、製品鋼板の表面にCaSが形成されて
初期発銹が起こりやすく、耐銹性が劣化する傾向があ
る。
【0006】前記Ti窒化物に起因して発生する表面傷に
ついては、TiとNの含有量の積をTiN の溶解度積以下に
規定することによって抑制することが可能であるが、前
記Ca系介在物に起因した耐銹性の劣化については、いま
だ対策が十分に検討されているとは言えない。
【0007】ところで耐食性を向上するための従来技術
としては、例えば特開昭58-71356号公報や特開昭60-130
60号公報に記載がある。
【0008】特開昭58-71356号公報には、Ca系のフラッ
クス等の吹込み等により低P,低S化する高純化精錬技
術に着目し、この技術によって低P,低S化することに
より不動態皮膜を強固にし、不動態破壊抵抗を強めるこ
とによって耐銹性の向上を図ったフェライト系ステンレ
ス鋼が開示されており、さらに、低P,低S化に加えて
Mo, Ni, Cu等を加えると耐食性の向上が顕著であること
も同時に開示されている。
【0009】また、特開昭60-13060号公報には、炭素・
窒素安定化元素のNbを適量添加することによって、耐食
性の改善を図ったステンレス鋼光輝焼鈍材母材の開示さ
れており、これに加えて、Mo, Ni, Cuを添加すれば耐食
性がより一層向上されることについても開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これらの公報に開示さ
れた技術はいずれも、Mo, Ni, Cuを添加することによっ
て一般的な耐食性について向上を図るためのものである
が、例えばCa添加精錬を経て製造した鋼板の場合に、鋼
中に不可避的に析出するCaS が溶解することに起因した
耐銹性の劣化を改善する技術ではなく、かかる技術で
は、初期発銹を有効に抑制することはできなかった。
【0011】そのため、発明者らは、前記鋼板において
生じがちな初期発銹を有効に抑制するための検討を行っ
た。まず鋼中に析出するCaS 量に比例すると考えられる
Ca含有量とS含有量の積が初期の発銹にどのような影響
を与えるかについて調べた。
【0012】図1は、Ca,S含有量の異なる種々の冷延
焼鈍板(0.6mm厚) を通常の製造工程で作製し、これを切
り出して30mm角のサンプルを作製し、各サンプルを塩水
噴霧試験(5%NaCl溶液、35℃、4 時間) したときのも
のであり、縦軸がCa含有量とS含有量の積[%Ca]×
[%S]、横軸が初期初錆個数(個/30mm 角) としてプ
ロットしたものである。
【0013】この図から、Ca含有量とS含有量の積が2.
0 ×10-6以上になると初期発錆の個数が急激に増加する
ことが分かる。尚、上記塩水噴霧試験後の各サンプルに
ついてEPMA分析により観察したところ、初期発錆起点が
主としてCaS に起因していることを確認できた。また、
鋳込み時のノズル詰まりを防止するために添加するCa量
は、通常 0.0003 〜0.0030wt%程度であり、このため、
通常のCa精錬を行った鋼は、S量にも依るが、[%Ca]
×[%S]≧2.0 ×10-6の範囲に該当する場合が多いこ
とも判明した。
【0014】このため、Ca含有量とS含有量の積が2.0
×10-6以上となるフェライト系ステンレス鋼において、
特にCaS の析出に起因した初期の発銹を抑制する手段を
開発する必要性が生じたことから、発明者らはかかる手
段を開発するための検討を行った。
【0015】そして、発明者らは、Ti添加フェライト系
ステンレス鋼の化学組成を適切な範囲に制御し、Ca含有
量とS含有量の積に応じてCu, Ni, Moを所定の割合で適
量添加すれば、初期発錆を有効に改善できることを見い
出し、この発明を完成するに至ったのである。特にCuに
ついてはスクラップからの戻りからその有効利用が可能
となる。
【0016】この発明の目的は、鋳込み時のノズル詰ま
り対策などのために精錬時にCaを添加して製造するTi含
有フェライト系ステンレス鋼の製造性改善を念頭にお
き、このような製造条件で製造した場合に生じがちな初
期発銹を抑制して耐銹性を向上させたフェライト系ステ
ンレス鋼を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため、この発明は、重量比で、C:0.02 %以下,Si:1.0
%以下,Mn:1.0 %以下, P:0.04 %以下, S:0.02 %以
下,Al:0.3 %以下,Cr:11〜35%, Ca:0.0003 〜0.0030
%, N:0.04 %以下, 8 ≦[%Ti]/ ([%C]+[%
N]) ≦ 25,そしてMo,Cu,Niの 1種又は2 種以上を含有
し、Ca含有量とS含有量の積[%Ca]×[%S]が2.0
×10-6以上であるフェライト系ステンレス鋼において、
Mo,Cu,Niの含有量が、以下に示す(1) 式を満たすことを
特徴とする初期発銹の起こりにくい耐銹性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼である。 式: 0.15≦K×(0.7[%Mo]+[%Cu]+0.5 [%Ni]) /([%Ca]×[%S] ) ≦0.60 … (1) 但し、K=4.0 ×10 -6 、[ ]は各成分の重量%であ
る。
【0018】また、耐食性や加工性をより一層向上させ
る必要がある場合には、上記構成に加えて、さらにNb:
0.5%以下,Zr:0.5 %以下, W:0.5%以下,Ta:0.5 %以
下, V:0.5%以下の1種または2種以上を含有させるこ
とが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、この発明においてフェライ
ト系ステンレス鋼の化学組成を上記要旨構成の通りに限
定した理由について説明する。
【0020】C:0.02wt%以下,N:0.04wt%以下 C及びNは、いずれも添加量が少ないほどr値や伸びを
向上させ加工性改善に有効であるとともに、耐食性改善
にも有効な成分であるため、これらの添加範囲をそれぞ
れ0.02wt%以下,0.04wt%以下とした。また、これらの
下限については、加工性、耐食性改善という観点からす
ると小さいほど好ましいので特に定めないが、実際の製
造を考慮すると、Cが0.0005wt% 以上, Nが0.0010wt
%以上にすることが好ましい。
【0021】Si:1.0 wt%以下 Siは、脱酸のため有効な成分であるが、過剰添加は冷間
加工性や延性の低下を招くので、その添加範囲を1.0 wt
%以下とし、好ましくは0.03〜0.5 wt%とした。
【0022】Mn:1.0 wt%以下 Mnは、鋼中に存在するSを析出固溶し、熱間圧延性を保
つために有効な成分である。しかしながら過剰の添加は
冷間加工性の低下や耐食性低下を招くのでその添加範囲
は1.0 wt%以下、好ましくは0.05wt%以下とした。
【0023】P:0.04wt%以下 Pは、熱間加工性を低下させるとともに、不動態皮膜を
不安定にして孔食の発生に対して有害な成分である。特
に0.04wt%を超えるとその影響が顕著になるので、Pの
添加範囲は0.04wt%以下、好ましくは0.03wt%以下とし
た。
【0024】Ca:0.0003 〜0.0030wt% Caは、製鋼鋳造時においてTi系介在物( 例えばTi3O5)に
よるノズル詰まりを抑制する効果を有する成分である。
しかしながら過剰に添加するとCa系介在物が脆化破壊の
起点となりうるため、Ca添加範囲は 0.0003 〜0.0030wt
% 、好ましくは0.0005〜0.0030wt%とした。
【0025】S:0.02wt %以下 Sは、MnとともにMnS を形成し、初錆起点となるととも
に、結晶粒界に偏析し、粒界脆化を促進する有害成分で
あり、特に0.02wt%を超えて添加されると不動態皮膜が
脆弱になり耐食性の低下傾向が顕著になるので、S添加
範囲は0.02wt%以下、好ましくは0.008 wt%以下とし
た。
【0026】Al:0.30wt%以下 Alは、脱酸のため有効な成分であるが、過剰添加はAl系
の非金属介在物の増加により表面傷を招く原因となり加
工性も低下させることから、Al添加範囲は0.30wt%以
下、好ましくは0.10wt%以下とした。
【0027】Cr:11〜35wt% Crは、耐食性改善に有効な元素であるが、11wt%未満で
は十分な耐食性が得られない。一方、35wt%を超えての
添加は冷間加工性の低下を招くことになる。従って、Cr
添加範囲は11〜35wt%、好ましくは11〜30wt%とした。
【0028】Ti量: 8 ≦[%Ti]/ ([%C]+[%
N]) ≦ 25 を満足する範囲内とする。Tiは、炭窒化物
形成元素であり、溶接や熱処理時、Cr炭窒化物の粒界析
出を抑制し、耐食性向上に有効な成分である。また鋼中
の固溶C,Nを炭窒化物とするので延性、加工性向上に
も有効な成分である。[%Ti]/ ([%C]+[%
N]) 比が8 未満であると、C,Nを十分に固定でき
ず、Cr系炭窒化物の析出に起因した耐食性の劣化が著し
くなる。一方、[%Ti]/([%C]+[%N]) 比が
25を超えると、加工生が著しく劣化する。そのため、
[%Ti]/([%C]+[%N]) 比を上記範囲内とし
た。
【0029】Cu, Ni, Mo:それぞれの添加量は下記(1)
式を満たす範囲内とする。鋳込み時のノズル詰まりを防
止するためには、Caが通常 0.0003 〜0.0030wt%程度の
添加が必要であり、この場合、S量にも依るが通常は
[%Ca]×[%S]≧2.0 ×10-6となる場合が多く、こ
の場合に、初期発銹が起こりやすいということは既に前
述した(図1参照)。
【0030】そして、かかる場合に、Cu, Ni, Moを鋼中
に析出するCaS 量に対応させてCu,Ni, Moの1種又は2
種以上を添加すること、具体的には、以下に示す(1) 式
を満たす範囲で添加することによって、鋼中( 具体的に
は鋼板表面) に発生する初期発銹を有効に防止できるこ
とを見出し、この発明を完成するに至ったのである。
【0031】式: 0.15≦K×(0.7[%Mo]+[%Cu]+0.5 [%Ni]) /([%Ca]×[%S] ) ≦0.60 … (1) 但し、K=4.0 ×10 -6 、[ ]は各成分の重量%であ
る。 ( 以下、K×(0.7[%Mo]+[%Cu]+0.5 [%Ni])
/([%Ca]×[%S]) を説明の便宜上、単に「A
値」ということとする。)
【0032】ここで、(1) 式を完成するに至った経緯を
説明する。まず、[%Ca]×[%S]≧2.0 ×10-6を満
たすCa量とS量とを含有させ、さらにMo,Cu,Ni成分を単
独又は複合添加した種々の鋼を製造し、各鋼について初
期発銹の起こりやすさを調べた。
【0033】その結果、Mo,Cu,Ni成分は単独で添加した
場合も複合添加した場合とも、前記成分の添加量の増加
とともに初期発銹の抑制効果が向上することが判明し
た。また、Mo,Cu,Niの添加量に相違があるものの、Mo,C
u,Niはいずれも初期発銹を有効に抑制する効果を有する
同効成分であることが判明した。そして、このときのM
o,Cu,Ni成分が同一の効果を生じる添加量を検討した結
果、(1) 式に示す比率であることも判明した。
【0034】また、係数Kは、初期発銹の個数を調査し
た実験結果から経験的に求めた値であり、具体的には4.
0 ×10 -6 である。
【0035】そして、このようにして得られたA値と初
期発銹の起こりやすさとの関係を調べた結果を図2に示
す。この図から、A値は0.15以上で初期発銹が合格レベ
ル( この発明では、初期発錆個数が160 個以下/30mm 角
のとき合格レベルとした。) にまで抑制されており、ま
た、0.60を超えるような量のMo,Cu,Niを添加しても初期
発銹の抑制効果は飽和傾向にあることがわかる。加え
て、0.60を超えるような量のMo,Cu,Niの添加は、コスト
の上昇を招くことになるため好ましくない。従って、A
値は0.15〜0.60の範囲に限定することとした。
【0036】このようなことから、この発明では、上記
(1) 式を満たすことを必須の発明特定事項とすることと
し、これを採用することによって、初めて上述したよう
な顕著な効果を奏することが可能となったのである。
【0037】尚、Mo,Cu,Niの添加量の適正範囲は、鋼種
によって変化するが、具体的には、Cuが0.3wt %以下、
Niが0.6wt %以下、及びMoが0.40wt% 以下の範囲内
で、上記(1) 式を満たすことが好ましい。すなわち、M
o,Cu,Niの添加量の適正範囲を超えて過剰に添加して
も、CaS に起因した初期発銹の抑制効果は飽和する傾向
にあるからである。
【0038】また、Zr, W,Ta, V,Nb成分は、Tiと同
様、炭窒化物形成元素であり、耐食性、加工性向上に有
効な成分であることから、耐食性や加工性をより一層向
上させる必要がある場合には、上記構成に加えて、さら
に必要に応じて添加することができる。
【0039】尚、Zr, W,Ta, V,Nbは、いずれも0.5
wt%を超える量を添加してもその効果が飽和するととも
に加工性が低下するため、各成分の添加量の上限はいず
れも0.5 wt%とすることが好ましく、さらにTi添加量と
の兼ね合いからこれらの成分の添加量の合計が0.2wt %
以下にすることがより好ましい。
【0040】上述したところは、この発明の実施形態の
一例を示したにすぎず、請求の範囲において、種々の変
更を加えることができる。
【0041】
【実施例】以下、この発明に従うフェライト系ステンレ
ス鋼板を製造し、性能を評価したので説明する。表1及
び表2に示す化学組成の鋼を転炉2次精練し、連続鋳造
製法で製造されたスラブを1250℃に加熱後、熱間圧延に
より板厚4mmの熱延板とした。この熱延板を焼鈍(850
〜1025℃)−酸洗−冷間圧延−焼鈍(800 〜945 ℃)−
酸洗といった製造工程で0.6mm 厚の冷延焼鈍板を製造
し、この鋼板表面を♯800 研磨後、各種実験に供した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】上記製造工程で製造した各鋼板について、
塩水噴霧試験( 5 %NaCl溶液、35℃、4 時間) を行い、
その後鋼板表面に発生した初期発銹を観察して評価し
た。評価は、塩水噴霧試験後の各鋼板を30mm角のサンプ
ルに切り出し、50℃のクエン酸二アンモニウム水溶液中
に2 時間浸漬した後、ブラシで表面の錆落しを行い、顕
微鏡観察(20〜100 倍) によって初期発錆個数を数え、
この個数により行った。
【0045】各鋼板の初期発錆個数を表2に示す。尚、
初期発錆個数は、160 個以下の場合に、錆がほとんど目
立たない程度であったので、この発明では、初期発錆個
数が160 個以下の場合を合格レベルとした。
【0046】また、上記各鋼板について、海岸環境にお
ける3月間の大気暴露試験も併せて実施し、一般的な耐
食性についても評価した。評価は、試験後の鋼板表面の
発錆状況を目視で観察することによって行い、A〜Fラ
ンクで評価した。すなわち、Aは錆がみとめられない場
合、Bはサンプルに近づいてよく観察しないとしみさび
が見えない場合、Cは30cm程度離れても錆が確認できる
場合、Dは目立ったしみ錆が確認される場合、Eは表面
に著しいしみさびが発生し、一部赤錆がある場合、そし
てFは錆が著しく、多くの赤錆起点がある場合とし、こ
の発明では、A及びBを合格レベルとした。
【0047】表2の評価結果から、高価なMo,Ni,Cu成分
のトータル添加量が多くA値がこの発明の適正範囲より
も大きい比較鋼No.14,15や、Ca量が少なく[%Ca]×
[%S]の値がこの発明の限定範囲よりも小さい比較鋼
No.27 〜29は、いずれも鋼板表面に発生した初期発錆個
数は160 個以下であり初期発銹が抑制されており、加え
て、一般的な耐食性についても発錆ランク評価でA 又は
Bと良好であるが、この発明の鋼No.1〜13及び18〜26
も、上記比較鋼と同等レベルに初期発銹が抑制されてお
り、加えて、一般的な耐食性も良好であることがわか
る。
【0048】一方、Ti添加量がこの発明の適正外である
比較鋼No.16,17,33 、及びA値がこの発明の適正範囲外
である比較鋼No.30 〜32はいずれも初期発銹を満足レベ
ルまで抑制することができず、一般的な耐食性について
もかなり悪かった。
【0049】
【発明の効果】この発明は、Ti添加フェライト系ステン
レス鋼についてノズル詰まり対策として添加されたCa系
の介在物に起因した初期発錆を防止するため、ステンレ
ス鋼の発錆起点となる孔食の成長を抑制することが期待
される微量Cu, Mo, Niの適量添加量を[%Ca]×[%
S]との関係から調査し、特に初期発錆を生じやすい
[%Ca]×[%S ]≧2.0 ×10-6の条件においても、高
価なCu, Mo, Ni合金成分を過剰に添加することなく、初
期発錆を有効に抑制することができ、これによって、耐
銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供すること
が可能になった。この発明は、特に連続鋳造したTi添加
フェライト系ステンレス鋼に有用な技術であり、工業上
の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】A値が0.15未満の鋼について求めた初期発錆個
数に及ぼす[%Ca]×[%S]の関係を示す図である。
【図2】[%Ca]×[%S]≧2.0 ×10-6のCa, Sを含
有するフェライト系ステンレス鋼について調査したA値
と初期発錆個数の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所内 (72)発明者 斉藤 和男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究所内 (56)参考文献 特開 平10−17999(JP,A) 特開 平9−241809(JP,A) 特開 平8−260106(JP,A) 特開 平8−260104(JP,A) 特開 平8−60306(JP,A) 特開 平7−34205(JP,A) 特開 平4−371518(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、C:0.02 %以下,Si:1.0 %以
    下,Mn:1.0 %以下,P:0.04 %以下, S:0.02 %以下,A
    l:0.3 %以下,Cr:11〜35%, Ca:0.0003 〜0.0030%,
    N:0.04 %以下, 8 ≦[%Ti]/ ([%C]+[%
    N]) ≦ 25,そしてMo,Cu,Niの1種又は2種以上を含有
    し、Ca含有量とS含有量の積[%Ca]×[%S]が2.0
    ×10-6以上であるフェライト系ステンレス鋼において、 Mo,Cu,Niの含有量が、以下に示す(1) 式を満たすことを
    特徴とする初期発銹の起こりにくい耐銹性に優れたフェ
    ライト系ステンレス鋼。 式: 0.15≦K×(0.7[%Mo]+[%Cu]+0.5 [%Ni]) /([%Ca]×[%S] )≦0.60 … (1) 但し、K=4.0 ×10 -6 、[ ]は各成分の重量%であ
    る。
  2. 【請求項2】 重量比で、C:0.02 %以下,Si:1.0 %以
    下,Mn:1.0 %以下,P:0.04 %以下, S:0.02 %以下,A
    l:0.3 %以下,Cr:11〜35%, Ca:0.0003 〜0.0030%,
    N:0.04 %以下, 8 ≦[%Ti]/ ([%C]+[%
    N]) ≦ 25,そしてMo,Cu,Niの1種又は2種以上を含有
    し、さらに、Nb:0.5%以下,Zr:0.5 %以下,W:0.5%以
    下,Ta:0.5 %以下, V:0.5%以下の1種または2種以上
    を含有し、Ca含有量とS含有量の積[%Ca]×[%S]
    が2.0 ×10-6以上であるフェライト系ステンレス鋼にお
    いて、 Mo,Cu,Niの含有量が、以下に示す(1) 式を満たすことを
    特徴とする初期発銹の起こりにくい耐銹性に優れたフェ
    ライト系ステンレス鋼。式: 0.15≦K×(0.7[%Mo]+[%Cu]+0.5 [%Ni]) /([%Ca]×[%S] )≦0.60 … (1) 但し、K=4.0 ×10 -6 、[ ]は各成分の重量%であ
    る。
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