JP2004307977A - 冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材 - Google Patents

冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材 Download PDF

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Abstract

【課題】冷間伸線加工性および耐食性に優れた非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.1〜1.0%、Mn:2.0〜5.0%、P:0.03〜0.15%,S:0.1〜0.25%、B:0.001〜0.02%、Ni:7〜12%、Cr:19〜22%、Cu:0.1〜3.5%,N:0.05〜0.22%、O:0.005〜0.015%,Al:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、Mの値が−100(%)以下である。更に、必要に応じて、質量%で、 Mo:0.1〜2.5%,Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%、Zr:0.0005〜0.01%の1種以上を含有する。
【選択図】 なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、快削元素として硫黄(S)を適量に含有して被削性に優れ、さらに冷間伸線加工性と耐食性にも優れた非磁性の硫黄快削ステンレス鋼に関するものであり、例えば、耐食性,強度及び非磁性が要求される小物のシャフト,ネジ等の部品や、時計,カメラ,OA機器等の精密部品等の素材として利用される冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼は強靭であるため切削時に切子がバイトに絡み付いて切屑処理性が悪く、また、バイトの磨耗が大きく工具寿命が短いなど切削性に劣る(以下、切屑処理性と切削性(工具寿命)の両方を被削性と呼ぶ)。そのため、被削性が必要な場合は、S,Pb,Bi,Te等が添加されており、特にSは、安価で環境に優しく、経済性に優れるため、最も多く使用されてきた。
【0003】
前記元素を添加した快削ステンレス鋼は、電子機器等の部品用などとして非磁性が要求される場合があり、オーステナイト系S快削ステンレス鋼の成分を調整することで、高強度と非磁性が得られることが提案されている(特許文献1,特許文献2)。また、オーステナイト系S快削ステンレス鋼の成分調整と低い伸線加工率で高強度が得られることが提案されている(特許文献3)。さらに、オーステナイト系S快削ステンレス鋼の成分を調整することで、高耐食性と非磁性が得られることが提案されている(特許文献4)。
【0004】
一方、小物部品等を製造するためには、細線まで冷間伸線加工を施す必要があるが、一般にS快削鋼は冷間伸線加工性に劣るため、伸線減面率で30%程度しか冷間伸線加工できない。そのため、細線まで冷間伸線加工を施す場合は、中間の溶体化処理と冷間伸線加工を何回も繰り返す必要があるため製造コストが高くなるという問題がある。また、S快削ステンレス鋼は、耐食性に劣るという欠点をも持つため、高温・多湿の環境下で使用される機器部品においては発銹(耐久性)の問題がある。
【0005】
このように、従来の非磁性のS快削ステンレス鋼では、冷間伸線加工性と耐食性の両特性を満足することで、耐久性を含めた部品の一貫コストの低減を図る提案は見あたらない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−199852号公報
【特許文献2】
特開平06−306544号公報
【特許文献3】
特開2001−234295号公報
【特許文献4】
特開2000−192202号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は冷間伸線加工を必要とする非磁性のS快削ステンレス鋼線材において、耐食性と冷間伸線加工性を向上させることで、耐食性に優れる非磁性の機械部品を安価に提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、Pb等の毒性の強い元素を使用せずにSを使用したオーステナイト系ステンレス鋼に強力な粒界偏析元素としてP,Bを適量添加し、且つ、耐食性向上元素であるCr,Nの量を制御し、さらに脱酸形態を制御することで、非磁性S快削ステンレス線材の冷間伸線加工性と耐食性の両特性を向上できることを見出した。本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
【0009】
(1)質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.1〜1.0%、Mn:2.0〜5.0%、P:0.03〜0.15%,S:0.1〜0.25%、B:0.001〜0.02%、Ni:7〜12%、Cr:19〜22%、Cu:0.1〜3.5%,N:0.05〜0.22%、O:0.005〜0.015%,Al:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、下記Mの値が−100(%)以下であることを特徴とする冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材である。
M=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo
(2)質量%で、 Mo:0.1〜2.5%を含有することを特徴とする前記(1)に記載の冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材である。
(3)質量%で、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%、Zr:0.0005〜0.01%の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)乃至(2)の何れかに記載の冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、先ず、本発明の請求項1記載の限定理由について説明する。
【0011】
Cは、鋼線に強度を適度に付与して、切屑処理性を向上させるために、0.02%以上添加する。しかしながら、0.08%を超えて添加すると、冷間伸線加工性が劣化する。そのため、上限を0.08%に限定する。好ましい範囲は、0.03〜0.07%である。
【0012】
Siは、弱脱酸元素であり、また、脱酸元素であるMnと合わせて添加して、熱間線材圧延において展伸し易いMn・Si系酸化物を形成させて、冷間伸線加工性を向上させるために、0.1%以上添加する。しかしながら、1.0%を超えると、Siの固溶強化に起因して冷間伸線加工性が劣化する。そのため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は、0.2〜0.5%である。
【0013】
Mnは、弱脱酸元素であり、上記Siと合わせて酸化物を制御して、冷間伸線加工性を向上させるとともに、Mの値を下げて非磁性を確保するために2.0%以上添加する。しかしながら、5.0%を超えて添加すると、Mnの固溶強化に起因して冷間伸線加工性及び切削性(工具寿命)が劣化する。そのため、上限を5.0%に限定する。好ましい範囲は、2.5〜4%である。
【0014】
Pは、強力な粒界偏析元素であり、鋼を脆化させる元素であるために通常は約0.03%未満に抑えられているが、S快削ステンレス鋼においては、同じ偏析元素であるS,Bとともに添加することで、被削性と冷間伸線加工性の両特性を飛躍的に向上させることができる。そのため、0.03%以上積極的に添加する。しかしながら、0.15%を超えて添加すると逆に冷間伸線加工性が劣化する。そのため、上限を0.15%に限定する。好ましい範囲は、0.05〜0.1%の範囲である。
【0015】
Sは、P同様に強力な粒界偏析元素であり、また、硫化物を形成して被削性を向上させるために0.1%以上添加する。しかしながら、0.25%を超えて添加すると冷間伸線加工性および耐食性が劣化する。そのため、上限を0.25%に限定する。好ましい範囲は、0.15〜0.2%である。
【0016】
Bは、強力な粒界偏析元素であり、PとともにSの粒界偏析を軽減して冷間伸線加工性を向上させるため、0.001%以上積極的に添加する。しかしながら、0.02%を超えて添加するとボライドが生成し、逆に冷間伸線加工性や耐食性が劣化する。そのため、上限を0.02%に限定する。好ましい範囲は、0.003〜0.01%である。
【0017】
Niは、鋼の靱性を向上させて冷間伸線加工性を向上させるとともにMの値を下げてオーステナイト組織を安定化させ、非磁性を確保するため7%以上添加する。しかしながら、12%を超えて添加してもその効果は飽和するし、逆に切削時に溶着し易くなり切屑処理性が劣化する。そのため、上限を12%に限定した。好ましい範囲は、8〜10%である。
【0018】
Crは、耐食性を向上させるために19%以上添加する。しかしながら、22%を超えて添加すると冷間伸線加工性が劣化する。そのため、上限を22%に限定する。好ましい範囲は、19.5〜21%である。
【0019】
Cuは、加工硬化を抑え、冷間伸線加工性を向上させるために0.1%以上添加する。しかしながら、3.5%を超えて添加すると凝固時にCuがマトリックスに固溶しないため溶融脆化を引き起こすなどの製造性が著しく劣化する。そのため、上限を3.5%に限定する。好ましい範囲は、0.3〜2.0%である。
【0020】
Nは、耐食性を向上させ、且つ、冷間伸線加工後の非磁性を保つとともに粒界ボライドの生成を抑制するために0.05%以上添加する。しかしながら、0.22%を超えて添加すると冷間伸線加工性および切削性(工具寿命)が著しく劣化する。そのため、上限を0.22%に限定する。好ましい範囲は、0.1〜0.2%である。
【0021】
Oは、Si,Mn,Al量を規制して弱脱酸にて脱酸生成物をSi・Mn系酸化物に制御し、粗大酸化物を抑制して冷間伸線加工性を向上させるために、0.005%以上とする。しかしながら、0.015%を超えると逆に粗大酸化物が生成し、冷間伸線加工性が著しく劣化する。そのため、上限を0.015%に限定する。好ましい範囲は、0.006〜0.01%である。
【0022】
Alは、強脱酸元素であり、粗大酸化物が生成して冷間伸線加工性が劣化するため、0.005%以下に限定する。好ましくは、0.003%以下である。
【0023】
Mの値は、冷間伸線加工後も非磁性を確保するために、−100(%)以下に限定する。好ましくは、−110(%)以下である。
【0024】
次に請求項2に記載の限定理由について説明する。
【0025】
Moは、耐食性を更に向上させるため、必要に応じて0.1%以上添加する。しかしながら、2.5%を超えて添加すると、冷間伸線加工性および切削性(工具寿命)が劣化する。そのため、上限を2.5%に限定する。好ましい範囲は、0.5〜2.0%である。
【0026】
次に請求項3に記載の限定理由について説明する。
【0027】
Ca,Mg,Zrは、脱酸生成物である酸化物を微細分散させて冷間伸線加工性を向上させるため、必要に応じて、各々、0.0005%以上添加する。しかしながら、0.01%を超えて添加すると、粗大酸化物が生成し、冷間伸線加工性や耐食性が劣化する。そのため、上限を0.01%に限定する。好ましい範囲は、各々、0.001〜0.006%である。
【0028】
【実施例】
表1、2に供試材の化学成分を示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004307977
【0030】
【表2】
Figure 2004307977
【0031】
本発明例A〜Cおよび比較例V〜Yは、0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−20%Cr−0.6%Cu−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、強化元素として主に冷間伸線加工性および切削性に影響を及ぼすC量(%)とN量(%)を変化させたものである。
【0032】
本発明例A,D,Eと比較例Z,AA〜ADは、0.05%C−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−20%Cr−0.6%Cu−0.18%Nを基本成分とし、脱酸生成物を生成させて主に冷間伸線加工性に影響を及ぼすSi量(%),Mn量(%),Al量(%),O量(%)を変化させたものである。
【0033】
本発明例A,F〜Hと比較例AE〜AJは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−9.3%Ni−20%Cr−0.6%Cu−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、粒界偏析元素であり、主に冷間伸線加工性と切削性に影響を及ぼすP量(%),S量(%),B量(%)を変化させたものである。
【0034】
本発明例A,I,Jと比較例AK,ALは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−20%Cr−0.6%Cu−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、主に磁性と切削性に影響を及ぼすNi量(%)を変化させたものである。
【0035】
本発明例A,K,Lと比較例AM,ANは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−0.6%Cu−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、主に耐食性と冷間伸線加工性に影響を及ぼすCr量(%)を変化させたものである。
【0036】
本発明例A,M〜Oと比較例AO,APは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−20%Cr−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、主に冷間伸線加工性に及ぼすCu量(%)を変化させたものである。
【0037】
本発明例A,P〜Rと比較例AQは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−20%Cr−0.6%Cu−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とて、主に耐食性と冷間伸線加工性に影響を及ぼすMo量(%)を変化させたものである。
【0038】
本発明例A,S〜Uと比較例AR〜ATは、0.05%C−0.3%Si−3%Mn−0.05%P−0.18%S−0.005%B−9.3%Ni−20%Cr−0.6%Cu−0.18%N−0.003%Al−0.007%Oを基本成分とし、脱酸生成物の微細分散に寄与して、主に冷間伸線加工性に影響を及ぼすCa量(%),Mg量(%),Zr量(%)を変化させたものである。
【0039】
これら化学組成の鋼は、100kgの真空溶解炉にて溶解し、φ180mmの鋳片に鋳造し、その鋳片をφ5.5mmまで熱間の線材圧延を行い、1000℃で該圧延を終了し、1050℃で30分の溶体化処理を施した。その後、これらの線材について、冷間伸線加工性,耐食性,切削性,磁性を評価した。
【0040】
冷間伸線加工性については、伸線減面率で70%まで冷間伸線加工を施し、断線無しに冷間伸線加工性が可能かどうかで評価した。伸線加工の途中で断線した場合は、冷間伸線加工性を×とし、断線無しに冷間伸線加工できた場合は、○とした。
【0041】
耐食性は、伸線減面率で50%まで冷間伸線加工を施し、その後、表面を#500研磨し、JIS G 0577に従い、孔食電位(アノード分極曲線において電流密度100μA/cmに対応する電位,標準電極;Ag/AgCl−3.33kmol m−3KCl)を測定した。なお、1試料について3回測定し、その平均値で評価した。本発明例の孔食電位は、180mV以上である。
【0042】
切削性は、伸線減面率で50%まで冷間伸線加工を施した後、磨棒に仕上げ、表3に示す条件で切削試験を行った。なお、切削性の評価は切削性(工具寿命)と切り屑処理性で行った。切削性(工具寿命)はフランク摩耗量で評価し、30分後のフランク摩耗量が50μm以下であれば切削性(工具寿命)は○,50μm超の場合は×と評価した。また、切り屑処理性については、切り屑形状が規則的にカール状に分断されていれば○,不規則な形の連続した切り屑の場合は×と評価した。本発明例の切削性(工具寿命)と切り屑処理性はともに○であった。
【0043】
【表3】
Figure 2004307977
【0044】
磁性は、伸線減面率で70%まで冷間伸線加工を施した後、フェライトメータにて比透磁率を測定した。磁性の評価は、比透磁率が1.1以下であれば非磁性とし、1.1超であれば磁性があると評価した。本発明例の磁性は、全て非磁性であった。
【0045】
【表4】
Figure 2004307977
【0046】
【表5】
Figure 2004307977
【0047】
これらの試験結果をまとめて表4,5に示す。表1、2及び表4,5に示すように、本発明例は、オーステナイト系ステンレス鋼にP,S,Bを適量添加しているため冷間伸線加工性と被削性の両特性に優れ、CrとNを適量添加しているため耐食性に優れ、M値を最適に制御しているため非磁性に優れている。また、本発明例の鋼記号P、Q、Rは更にMoを添加しているため、No.16〜18では特に耐食性に優れている。
【0048】
一方、比較例の鋼記号VはC量(%)が低いため、No.22では切り屑処理性に劣っている。逆に、比較例の鋼記号WはC量(%)が高いため、No.23では冷間伸線加工性,耐食性および切削性(工具寿命)に劣っている。
【0049】
比較例の鋼記号XはN量(%)が低いため、No.24では耐食性に劣っており、更にM値も高いため非磁性にも劣っている。逆に鋼記号YはN量(%)が高いため、No.25では冷間伸線加工性と切削性(工具寿命)に劣っている。
【0050】
比較例の鋼記号ZはSi量(%)が低く、O量(%)が高いため、また、鋼記号ABはMn量が低いため、脱酸不良傾向にあり、冷間伸線加工性に劣っている。逆に鋼記号AAはSi量(%)が高く、鋼記号ACはMn量(%)が高いため固溶強化が大きく、冷間伸線加工性および切削性(工具寿命)に劣っている。比較例の鋼記号ADはAl量(%)が高く、O(%)が高いため、No.30では強脱酸で粗大介在物が生成し易くなって冷間伸線加工性に劣っている。
【0051】
比較例の鋼記号AEおよびAGは、それぞれP量(%)およびS量(%)が低いため、No.31およびNo.33では、それぞれ切削性(工具寿命)および切り屑処理性に劣っている。逆に、鋼記号AFおよびAHは、それぞれP量(%)およびS量(%)が高いため、No.32およびNo.34で、冷間伸線加工性および耐食性に劣っている。
【0052】
比較例の鋼記号AIはB量(%)が低いため、No.35では冷間伸線加工性に劣っている。逆に、鋼記号AJはB量(%)が高すぎるため、No.36では冷間伸線加工性および耐食性に劣っている。
【0053】
比較例の鋼記号AKはNi量(%)が低いためM値が高く、No.37では冷間伸線加工性および切削性(工具寿命)に劣るばかりか、非磁性にも劣っている。逆に鋼記号ALはNi量(%)が高すぎるため、No.38では切削性(工具寿命)および切り屑処理性に劣っている。
【0054】
比較例の鋼記号AMはCr量(%)が低いため、No.39では耐食性に劣っている。逆に鋼記号ANはCr量(%)が高すぎるため、No.40では冷間伸線加工性に劣っている。
【0055】
比較例の鋼記号AOはCu量(%)が低いため、No.41では冷間伸線加工性に劣っている。逆に、鋼記号APはCu量(%)が高すぎるため、No.42では製造性が悪く、評価不可であった。
【0056】
比較例の鋼記号AQはMo量(%)が高すぎるため、No.43では冷間伸線加工性および切削性(工具寿命)に劣っている。鋼記号AR〜ATはそれぞれ、Ca量(%),Mg量(%),Zr量(%)が高すぎるため、No.44〜46では、冷間伸線加工性および耐食性に劣っている。
【0057】
以上、本発明例の冷間加工性,切削性,耐食性,非磁性の全ての特性について、優位性は明らかである。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に、S,P,Bの強力な粒界偏析元素を適量に添加し、Cr,N量を制御し、オーステナイト組織の安定度を成分で調整することによって、冷間伸線加工性,耐食性,非磁性に優れたオーステナイト系快削ステンレス鋼線材を得ることができる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.1〜1.0%、Mn:2.0〜5.0%、P:0.03〜0.15%,S:0.1〜0.25%、B:0.001〜0.02%、Ni:7〜12%、Cr:19〜22%、Cu:0.1〜3.5%,N:0.05〜0.22%、O:0.005〜0.015%,Al:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなり、下記Mの値が−100(%)以下であることを特徴とする冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材。
    M=551−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn−29(Ni+Cu)−13.7Cr−18.5Mo
  2. 質量%で、 Mo:0.1〜2.5%を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材。
  3. 質量%で、Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%、Zr:0.0005〜0.01%の1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の冷間伸線加工性と耐食性に優れる非磁性の硫黄快削ステンレス鋼線材。
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