JP3025406B2 - 被削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents
被削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼Info
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Description
および電子機器材として幅広く利用されている硫黄又は
複合快削ステンレス鋼に関し、特に30mm径以下の細径の
棒鋼および線材における被削性を格段に向上させたフェ
ライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼に関す
る。
は、それが使用される機器の小型化傾向に伴い、年々細
径になりつつあり、このような細径材において被削性、
即ち、ドリル穿孔性および工具寿命などは劣化する傾向
が生じている。ところで、硫黄はステンレス鋼の快削性
を向上させるために有効な元素であり、硫黄を添加した
硫黄快削ステンレス鋼が広く製造されている。しかし、
硫黄快削ステンレス鋼において硫黄の添加量が0.35%を
超えてくると、硫黄快削ステンレス鋼の熱間加工性が徐
々に低下し、圧延時の疵発生等で歩留まりが低下し、こ
のためコストが上昇する。従って、硫黄量の増加により
被削性を向上させて上記の細径材の被削性要求に応える
ことはできなかった。
の従来の問題を解消し、30mm径以下の細径の棒鋼および
線材における被削性を格段に向上させたフェライト系お
よびマルテンサイト系ステンレス鋼硫黄快削ステンレス
鋼を提供することである。
黄快削ステンレス鋼においては、硫黄を0.35wt%程度を
越えて添加して被削性の向上を図ることは困難である。
そこで、発明者らは被削性を向上させるため種々検討し
た結果、下記の知見を得た。
による鋼中の介在物である硫化物の形態の変化を示す。
これによると、溶鋼中の酸素量が低いと点状の硫化物
(以下「点状型」という。)が多く観察されるが、酸素
量が多いとこの点状の硫化物は観察されず、個々の硫化
物が大きくなって粒状の硫化物(以下「粒状型」とい
う。)となっている。
硫化物は延展性が高く特にMnSは延展されやすい。そ
のため点状の硫化物は細径線材に圧延されると、顕微鏡
レベル(×400)では観察されないほどに小さくなる。こ
の小さな硫化物は被削性に寄与せず、そのため点状型の
硫化物を有する硫黄快削ステンレス鋼は細径線材におい
て被削性は劣る傾向にある。従って、細径線材用の硫黄
快削ステンレス鋼中の硫化物の形態は粒状型になってい
る必要がある。
ても被削性を劣化させる方向にあると考えられる。ただ
しAl系酸化物よりSi系酸化物の方が硬さが低く、延展性
に富んでいるため、酸化物はできるだけSi系でなければ
ならない。すなわち、硫化物中に析出している酸化物の
総個数のうち80%以上がAlを含まない Si-Mn系酸化物で
あれば、被削性はかなり改善されることが分かった。し
かし、この場合、鋼中の酸化物量はできる限り低いもの
である必要がある。
段は、重量%で、C:0.15%以下、Si:0.10
〜1.00%、Mn:1.00〜3.00%、S:0.
15〜0.50%、Ni:1.0%以下、Cr:11.
5〜22.0%、Mo:3.0%以下、Cu:0.6%
以下、Al:0.01%以下、N:0.10%以下、
O:60〜200ppmを含有し、残部Feおよび不可
避不純物からなり、熱間加工または熱間・冷間加工後の
硫化物の形状が粒状型でありかつ硫化物中に析出してい
る酸化物の総個数のうち80%以上がAlを含まないS
i−Mn系酸化物であることを特徴とする被削性に優れ
たフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼に
ある。
説明する。
元素である。0.15%を超えると硬さが急激に上昇し、耐
食性が劣化するため上限を0.15%とした。
た本発明の特徴であるAlを含まない粒状介在物を形成す
るためにも必要な元素である。Si量が0.10%未満になる
と酸化物組成はSi-Mn 系に代わって硬いCr-Si-Mn系とな
り、被削性が劣化するため下限を0.10%とした。またSi
は多すぎると靱性を低下させるので上限を1.00%とし
た。
要がある。その為には、1.0 %以上必要であるが3.00%
を超えると熱間加工性を低下させるので上限を3.00%と
した。
あり、含有量が多いほど切削性は向上する。被削性向上
のためには0.15%含有させる必要があるが、0.50%以上
添加すると熱間加工性が急激に劣化するため、上限を0.
50%とした。
少ないほうがよいが、1 %までは許容できるので、上限
を1.0 %とした。
ト系ステンレス鋼として必要な耐食性および耐酸化性を
確保する上で必要な元素である。このために必要な含有
量の範囲は11.5〜22.0%である。
な場合に添加するが 3%を超えて添加しても効果が飽和
するため上限を3.0 %とした。
る限り0に近い方がよいが、不可避の不純物として0.6
%まで許容できる。よって上限を0.6 %とした。
しかつ硫化物中に析出している酸化物の総個数のうち80
%以上がAlを含まないSi-Mn 系とするためには、Alの含
有量を低く抑えて0.01%以下にしなければならない。従
って、Alの上限を0.01%以下とする。
ないほうがよいが不可避の不純物として0.10%まで許容
できる。よって上限を0.10%とした。
欠な元素である。60ppm 未満では点状の硫化物が生成す
るため下限を60ppm とした。また200ppmを超えると酸化
物量が非常に多くなり、被削性および熱間加工性を低下
させるため、上限を200ppmとした。
表1に示す化学成分と残部Feからなる本願発明鋼と比較
鋼についてのSi-Mn 系含有率、酸素量、硫化物形態、被
削性の指標であるドリル穿孔性及び工具寿命、並びに、
熱間加工性について表2に示す。
は不純物量を示す。MoはNo.3、No.6、No.12 、No.14 以
外は不純物量を示す。
の本発明鋼は、Alを含まないSi−Mn系酸化物の含
有率が80%以上と高く、かつ酸素量も65ppm以上
と高い。これに対し、比較鋼は、Siを0.05%含有
の低Si鋼であるNo.8及びAlを0.01%以上含
有のNo.9〜No.11及びNo.13〜No.15
においては、Alを含まないSi−Mn系酸化物の含有
率が80%未満と低く、かつ酸素量も60ppm未満と
低く、No.8は粒状型の硫化物であるが他は点状型の
硫化物が発生している。この結果、硫化物含有量は耐食
性の観点から適宜変化させられるが、同一レベルの硫黄
含有量のもので比較すると、ドリル穿孔性及び工具寿命
で示される被削性試験結果において、本発明鋼は比較鋼
よりも被削性が大きく改善されていることが判る。ま
た、比較鋼のNo.15は硫黄含有量が0.56%と本
発明の規定値より高いものであるが、この場合熱間加工
性が劣っていることが判る。
リル穿孔性試験は表3及び表4に示す各条件により実施
した。
ト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼は、熱間加工
または熱間・冷間加工後の硫化物の形状が粒状型であ
り、かつ硫化物中に析出している酸化物の総個数のうち
80%以上がAlを含まないSi-Mn 系酸化物であるので、30
mm径以下の細径の棒鋼および線材における被削性が従来
の快削フェライト系およびマルテンサイト系ステンレス
鋼に比して格段に優れている。
異による鋼中の介在物である硫化物の形態の変化を示
す。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.15%以下、Si:
0.10〜1.00%、Mn:1.00〜3.00%、
S:0.15〜0.50%、Ni:1.0%以下、C
r:11.5〜22.0%、Mo:3.0%以下、C
u:0.6%以下、Al:0.01%以下、N:0.1
0%以下、O:60〜200ppmを含有し、残部Fe
および不可避不純物からなり、熱間加工または熱間・冷
間加工後の硫化物の形状が粒状型でありかつ硫化物中に
析出している酸化物の総個数のうち80%以上がAlを
含まないSi−Mn系酸化物であることを特徴とする被
削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステ
ンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6073943A JP3025406B2 (ja) | 1994-03-19 | 1994-03-19 | 被削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP6073943A JP3025406B2 (ja) | 1994-03-19 | 1994-03-19 | 被削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
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JPH08193249A JPH08193249A (ja) | 1996-07-30 |
JP3025406B2 true JP3025406B2 (ja) | 2000-03-27 |
Family
ID=13532703
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP6073943A Expired - Lifetime JP3025406B2 (ja) | 1994-03-19 | 1994-03-19 | 被削性に優れたフェライト系およびマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
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-
1994
- 1994-03-19 JP JP6073943A patent/JP3025406B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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