JP6941003B2 - Fe−Ni−Cr−Mo合金およびその製造方法 - Google Patents

Fe−Ni−Cr−Mo合金およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学プラント等、極めて優れた耐食性が要求される環境において使用される強度に優れたFe−Ni−Cr−Mo合金とその製造方法に関するものである。
Fe−Ni−Cr−Mo合金はその良好な耐食性、耐高温腐食性あるいは高温におけるクリープ強度から、化学プラント、酸・アルカリ性溶液環境、公害防止機器類、油井環境、食品プラント、火力・原子力プラント、海水環境などの様々な産業分野で適用されている。
これらの様な高い耐食性が求められる環境において、カーボンスチールや汎用合金であるSUS430、SUS304などを適用する場合、合金の耐食性が不足しているため全面腐食、あるいは孔食、すきま腐食または応力腐食割れ(以下、SCC(Stress Corrosion Cracking)と略称する場合がある)などの局部腐食が生じることがあり、その使用には大きな制約があった。
そこで、Fe−Ni−Cr−Mo合金の耐食性を改善する技術として合金成分中のCr,MoあるいはNなどの耐食性に有効な元素を多量に添加することで耐食性を向上させる試みがなされてきている。
例えば特許文献1においてはCr、Mo、Ni、Cuを多量に添加することで、高い耐食性と高いクリープ強度を確保した合金を開発したとされているが、クリープ強度に関する検討はなされているものの、耐食性に関する検討は何ら行われていない。
また、下記の文献に示すようにFe−Ni−Cr−Mo合金の耐全面腐食性、耐孔食性、耐すきま腐食性および耐応力腐食割れ性は、その腐食形態に対して有効な元素を合金中に適切に配合することで改善される。特許文献2においては、Cr、Mo、Niに加え、特にCu量に着目し、それらの添加量を適正化することで酸溶液中における耐全面腐食が向上する試みがなされている。
特許文献3においては、窒素含有量を最大0.500mass%まで高めることでASTM G48 Method Dに従った臨界すきま腐食発生温度(Critical Crevice Corrosion Temperature)が著しく向上し、高腐食環境において好適に用いることができるとされている。
特許文献4においては、塩化物イオンを含む高温の溶液中において応力腐食割れ試験を行った結果、Cuの添加量に対し耐応力腐食割れ性が改善されることが示されている。しかしながら、上記文献の合金類の課題として、あくまで素材の状態における耐食性しか考慮されておらず、加工や溶接が施された場合の使用先での耐食性については検討がなされていない。
上記合金類を用いてタンクや反応器などの構造物を作製した際には、特に溶接部や溶接後の残留歪みを除去する目的で行われる後熱処理(Post Weld Heat Treatment)と呼ばれる熱処理により耐食性が劣化することがある。原因は熱影響により耐食性に大きく寄与する合金中のCrがCと結合しクロム炭化物を形成すること(鋭敏化)やCrやMoの含有量が高い合金においてはそれらを主体とする金属間化合物であるσ相が析出し、合金の耐食性が局所的に低下し、粒界腐食や孔食が発生することがある。これらの現象を回避する技術として合金中のC量を低下させることやCと親和力の高いNbあるいはTiを微量に添加し、ニオブ炭化物あるいはチタン炭化物を析出させ、Cを固着することで粒界腐食を回避する技術も盛んに行われている。σ相の析出を防止するためにはオーステナイト相生成元素であるNiやN量を多量に添加することで抑制しているが、原料コストの増加や熱間圧延の幅に制約が生じる場合が多い。
特許文献5においては、合金中にTi、Taなどの微量元素から1種または2種を合計で0.3%以下の範囲で含有させることで、溶接後の耐孔食性および耐全面腐食性を確保する技術が提案されている。特許文献6においては、溶接部におけるすきま構造部のすきま深さをコントロールするため鋼板に角度を与えて溶接することですきま腐食を防止している。
上述の技術においては粒界腐食、孔食、全面腐食およびすきま腐食の改善を目的としており応力腐食割れについては何ら検討がなされていない。近年、生産効率向上を目的に構造物の大型化や複雑化が進んでいる。そのため構造物に後熱処理を施した場合においても、不均一冷却や緩慢冷却となるため冷却中に歪みが生じ、応力腐食割れが発生することが経験されている。応力腐食割れの特徴は一度発生すれば全面腐食等の腐食に比べて、腐食が進行する速度、即ち腐食速度が圧倒的に早く、板厚を貫通するため構造物の強度が著しく低下し人災に繋がる可能性がある。そのため、応力腐食割れは他の腐食形態より配慮されなければならない。以上のように非常に過酷な使用環境においても耐応力腐食割れ性に優れる合金の開発が望まれている。
従来から耐応力腐食割れ性を改善する技術としては合金を軟質化させることが知られているが、そのためには、材料をより高温で焼鈍することが有効である。しかしながら、過度に軟質化すると合金の強度が不足するため、構造物用の素材として適さないことがある。
また、CrおよびMoを多く含有する合金はσ相が析出し易い成分系であるため、優れた耐応力腐食割れ性を確保するためには、σ相の残存がない固溶化したオーステナイト相組織を得る必要がある。従って、σ相を固溶化させる面からも焼鈍温度を十分に高くすることが望ましい。
一方で、高温で焼鈍すると必然的に結晶粒径は粗大化するが、特許文献7にも示されているように、結晶粒径が粗大化すると熱影響を受けた際のσ相析出速度が速くなるため、耐食性が確保できなくなる。従って、高温で焼鈍した場合においても、σ相の析出が遅延されるよう結晶粒径は微細化する必要がある。
上述のように、優れた耐応力腐食割れ性を確保するという観点とσ相の残存がない固溶化したオーステナイト相組織を得るという両観点からは、より高温で焼鈍することが望ましいが、高温で焼鈍すると、材料の強度不足と熱影響を受けた際のσ相析出感受性が高まる。
従って、溶接や後熱処理による熱影響を受けた場合においても、優れた耐応力腐食割れ性が確保されつつ、且つ構造用材料としての強度を有する材料の開発が望まれている。
特表2015−506415号公報 特開2002−121655号公報 特開2010−31313号公報 特開平1−159351号公報 特開平9−228001号公報 特開2009−161836号公報 特開2016−47953号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱影響を受けた場合においても耐食性、特に耐応力腐食割れ性に優れ、且つ合金の強度に優れたFe−Ni−Cr−Mo合金とその製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、合金中のNi、Cr、Mo濃度を高めることで耐全面腐食、耐孔食性、耐すきま腐食性を向上させるとともに、CuあるいはCoのうち1種あるいは2種をある一定量の範囲で添加することで、耐応力腐食割れ性が向上することが分かった。ただし、これらをある一定量以上添加すると、強度不足をもたらすことも分かった。
また、本合金のような高Cr、高Mo含有の合金はσ相などの金属間化合物が残存または析出し易い成分系であり、そのσ相を固溶させるために高温で焼鈍すると、軟質化し強度不足を招いたとともに鋭敏化した際のσ相析出が速く良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。一方で、低温で焼鈍した場合は、σ相が残存し良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。
そこで、発明者はAlに注目した。Nと親和力の高いAlをある一定量の範囲で添加することでJIS G 0551に基づく結晶粒度を4.0〜6.0に制御し、高温で焼鈍しても強度が確保されると同時に、溶接や後熱処理が施された際に析出するσ相の析出速度を遅らせることで耐応力腐食割れ性が確保されることを見出した。
併せて、結晶粒界に偏析するP量をある一定範囲量に適正化すればσ相の析出速度を更に遅らせることが可能となることを見出した。結晶粒界に偏析させるP量をコントロールするためには、同じく結晶粒界に偏析する性質を有するS量を低くコントロールする必要があるが、CaO−SiO−Al−MgO−F系スラグの共存下で、Alは脱酸によって脱硫を促進し、鋼中のSを低減させる。即ち、結晶粒界に偏析するP量はAl量によってコントロールが可能であり、P量をある一定範囲量に適正化すれば、それにより耐応力腐食割れ性が向上する。また、S量を低くすることは熱間加工性を向上させ、圧延時に発生する耳割れや表面割れがない高品質の鋼板を得ることからも重要である。
更にV、Zr、Nbの3種のうちから選ばれる1種、または2種以上をある一定範囲量で添加することで、応力腐食割れの進展が停止あるいは遅延させることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板は、C:0.005〜0.03mass%、Si:0.02〜0.70mass%、Mn:0.01〜1.50mass%、P:0.010〜0.050mass%、S:0.002mass%以下、Ni:30.0〜32.0mass%、Cr:26.0〜28.0mass%、Mo:3.0〜4.0mass%、N:0.01〜0.10mass%、Al:0.015〜0.20mass%を含有し、さらにCu:0.7〜1.4mass%あるいはCo:0.003〜0.30mass%を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度を有し、かつ、下記の(1)、(2)式を満足することを特徴としている。
0.8≦[mass%Cu]+15×[mass%Co]≦5.5 …(1)
2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7 …(2)
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金においては、上記成分の組成に加えてさらに、V:0.01〜0.15mass%、Zr:0.001〜0.1mass%、Nb:0.001〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を、下記の式(3)を満たして含有することを好ましい態様としている。
0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0
…(3)
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板の製造方法は、上述のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板を製造するに際し、原料を溶解し、AODまたはVODにて脱炭精錬し、スラグ中Cr酸化物を還元処理し、CaO−SiO −Al −MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、鋼片とし、熱間圧延、さらに冷間圧延して製造した冷延鋼板を1100〜1190℃の温度において焼鈍し、JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度とすることを特徴としている。
本発明によれば、耐食性に優れ、かつ強度に優れるFe−Ni−Cr−Mo合金を提供することができるので、各種プラントなど応力腐食割れの発生が懸念される環境下で使用される耐食性材料として好適に用いることができる。
mass%Cu+15×mass%Coとmass%Pの関係を示すグラフである。 合金中のN量とAl量の関係を示すグラフである。 mass%V+10×mass%Zr+10×mass%Nbと割れ発生時間の関係を示すグラフである。 焼鈍温度と結晶粒度の関係および焼鈍温度と応力腐食割れ試験における割れ発生時間の関係を示すグラフである。
本発明者は、以下の予備的な<実験1>〜<実験4>を行って合金成分について種々検討を行い、本発明を完成させるに至った。以下にその検討について説明する。従来から耐応力腐食割れ性は沸騰塩化マグネシウム溶液を用いたU−Bend試験片により評価されてきたが、発明者は近年の過酷さを増す応力腐食割れ環境を想定し、pHを硫酸により3.0±0.1に調整し、更に塩化カルシウム濃度が38%となるように調整した沸騰溶液中におけるU-Bend試験片により耐応力腐食割れ性を評価した。なお、合金を溶接時の後熱処理に供することを想定した環境の再現として、合金への熱影響として800℃において5時間の熱処理を施した後に、上記の応力腐食割れ試験に供した。
耐応力腐食割れ性を向上すべく、CuとCoの影響を検討した。また、粒界に偏析する元素であるP量をコントロールすることによりσ相の析出を遅らせることができると想起し、P量の耐応力腐食割れ性に及ぼす影響を併せて検討した。更に、Alを添加し、Alの窒化物によるピンニング効果を用いて結晶粒径を適正範囲に制御すれば、σ相の析出を遅らすことが可能となり、耐応力腐食割れ性が向上すると同時に合金の強度を確保できると考えたため、AlとNの添加量が耐応力腐食割れ性へ及ぼす影響について検討した。また、CaO−SiO−Al−MgO−F系スラグの共存下で、Alは脱硫を促進するため、S量を低くすることで熱間加工性が向上し、圧延時の耳割れや表面割れのない良質な鋼板が得られることが期待出来るので、熱間加工性再現試験装置(サーメックマスターZ)による高温引張試験に供し、8mmφ×長さ:70mm丸棒試験片の断面絞り率を評価した。
これに加え、V、Zr、Nbの析出物を結晶粒界に析出させれば、応力腐食割れの進展を停止または遅延することができると想起し、V、Zr、Nbの耐応力腐食割れ性へ及ぼす影響について検討した。尚、強度については何れも引張試験により評価した。
<実験1>
20kg容量の試験用高周波誘導炉でFe−27mass%Cr−31mass%Ni−3.5mass%Mo−0.050mass%Nを基本成分とする鋼を溶解した。溶解した鋼は、その後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。最終焼鈍温度は1150℃で1分間行った。さらにこの冷延板に800℃で5時間の熱処理を施し、幅:15mm×長さ:75mm×厚さ2mmの応力腐食割れ試験片を採取した。応力腐食割れ試験片は表面を600番の耐水研磨紙で湿式研磨を行い、腐食試験開始の直前にU−Bend曲げを行った。この溶解に当たっては、CuおよびCo、Pの成分含有量を種々に変化させた。
上記腐食試験片を用いて、pHを3.0±0.1に調整した沸騰38mass%塩化カルシウムを用いた応力腐食割れ試験に供した。耐応力腐食割れ試験の評価は試験片に割れが発生するまでの時間が300時間以上であれば耐応力腐食割れ性は良好と判断できる。尚、320時間以上で割れが発生した場合は耐応力腐食割れ性が優(◎)とし、300〜320時間で割れが発生した場合は可(○)とし、300時間未満で割れが発生した場合は劣(×)と判定した。
次いで、応力腐食割れ試験片と同じ冷延板、即ち、800℃で5時間の熱処理を施した冷延板からJIS 13B号に従った板状の引張試験片を採取し、JIS Z 2241に従った引張試験に供し、0.2%耐力を評価した。温度は25℃の室温とし、引張方向は圧延方向と平行とした。強度については0.2%耐力が250MPa以上であれば構造用材料として適用可能と判断できる。尚、強度が270MPaを越えた場合は優(◎)とし、250〜270MPaの場合は可(○)とし、250MPa未満は劣(×)と判定した。さらに、冷延板の結晶粒度をJISG 0551に基づいて測定した。
上記試験結果を表1に示した。図1は応力腐食割れ試験(SCC試験)において試験片に割れが発生するまでに300時間以上を要し、かつ引張試験において0.2%耐力(YS)が250Mpa以上の値が得られた範囲を[mass%Cu]+15×[mass%Co](以下、Cu+15×Co)の総含有量とP含有量の関係で示したものである。
図1から、Cu+15×Coが0.8mass%未満の場合は応力腐食割れ試験における割れが発生するまでの時間が300時間未満であった。Cu+15×Coが5.5mass%以上になると割れが発生するまでの時間が300時間以上であり、良好な耐応力腐食割れ性を示したが、5.5mass%を超えて含有した鋼は0.2%耐力が250MPa未満となり強度不足であった。このことからCu+15×Coは0.8mass%以上、5.5mass%以下の範囲において含有する必要がある。CoはCuと比べて少量の添加であっても耐応力腐食割れ性を向上させる性質を有することが分かった。
Pについては0.050mass%を超えて含有すると、何れの鋼も割れが発生するまでの時間は300時間未満であった。さらに、Pが0.010mass%未満の鋼においても割れが発生するまでの時間は300時間以上を満足しなかった。このことからPは粒界へ偏析し、粒界に析出するσ相の析出を遅らせる性質を有すると考えられるが、その効果は0.010mass%未満では得られず、また、過剰に添加すると耐応力腐食割れ性を劣化させる性質を有することが分かった。従って、P量は0.010mass%以上、0.050mass%以下の範囲において含有する必要がある。尚、何れの鋼においても結晶粒度をJIS G 0551に基づいて測定した結果、何れも5.5の結晶粒度を有していることが認められた。
Figure 0006941003
<実験2>
上述の実験結果1から、Cu+15×Coの含有量とP量を適正な範囲に限定すれば耐食性に優れ、かつ強度に優れるFe−Ni−Cr−Mo合金を得ることができることが分かった。
ところで、σ相の析出は結晶粒径が粗粒であるほど短時間で析出するため、結晶粒径は粗大化させないことが望ましい。結晶粒径を制御するためにAlを添加し、Alの窒化物を析出させ、所謂ピンニング効果によりσ相の析出が遅くなる結晶粒径範囲に制御することを想起した。この考えに従い、Fe−27mass%Cr−31mass%Ni−3.5mass%Mo−1.0mass%Cu−0.050mass%Coを基本成分とする鋼を溶解し、AlとNの成分含有量を種々変化させた。溶解した鋼は、CaO−SiO−Al−MgO−F系スラグで脱硫し、スラグを除去後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。最終焼鈍温度は1175℃で1分間行った。さらにこの冷延板に800℃で5時間の熱処理を施し、応力腐食割れ試験、引張試験および結晶粒度測定に供した。
また、Alは脱硫を促進するため、S量を低くすることで熱間加工性が向上し、圧延時の耳割れや表面割れのない良質な鋼板が得られることが期待出来るので、熱間加工性再現試験装置(サーメックマスターZ)による高温引張試験に供した。高温引張試験においてはインゴットから8mmφ×長さ:70mm丸棒試験片を採取し、1050℃における断面絞り率を評価した。断面絞り率が65%以上確保されれば熱間加工性は良好であり、耳割れや表面割れのない良質な鋼板を得ることが出来る。尚、90%以上の断面絞り率が得られた場合は良(◎)とし、65%以上の場合は可(○)とし、65%未満の場合は劣(×)と判断した。
Figure 0006941003
上記試験結果を表2に示した。図2は図1と同様に応力腐食割れ試験において試験片に割れが発生するまでに300時間以上を要し、かつ引張試験において0.2%耐力が250Mpa以上の値が得られた範囲をN含有量とAl含有量の関係で示したものである。
図2からNが0.01mass%未満の範囲においては応力腐食割れ試験において割れが発生するまでの時間が300時間未満であり良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。当該鋼(No.22および23)の結晶粒度を測定した結果、結晶粒度は3.5であり結晶粒は粗大化していた。即ちNが0.01mass%未満の範囲においては十分なピンニング効果が得られず、粗大化した結晶粒界にσ相が多量に析出したためと考えられた。
また、Nの含有量が0.1mass%を超えて含有した場合においても割れが発生するまでの時間は300時間未満であった。この原因としてNが0.1mass%を超えて多量に含有するとAlの窒化物が多く析出し、ピンニング効果が強く発揮されるため結晶粒径は微細となる。当該鋼(No.34)の結晶粒度は7.0であり0.2%耐力は298MPaと高い値であった。即ちピンニング効果が効き過ぎたことにより結晶粒が微細化し、そのため軟質化されず耐応力腐食割れ性が低下したと考えられた。
続いてAlが0.015mass%未満の範囲では応力腐食割れ試験において割れが発生するまでの時間が300時間未満であり、良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。当該鋼(No.26およびNo.33)の結晶粒度の測定結果は3.5であり、結晶粒径が粗大化していたことが分かった。このことからAlが0.015mass%未満であるとAlの窒化物の析出量が少なく、そのため十分なピンニング効果が得られず、粗大化した結晶粒界に多量にσ相が析出したためと考えられる。
一方、Alが0.20mass%を超えて含有した場合においても、割れが発生するまでの時間が300時間未満であった。この原因としてAl含有量が高過ぎるとAlの窒化物の析出量が増加し、ピンニング効果が強く発揮されるため結晶粒径は微細となる。当該鋼(No.25、29およびNo.36)の結晶粒度を測定した結果、それぞれ6.5、7.0および8.0であり0.2%耐力も288MPa以上の高い値であった。即ち、Nが0.1mass%を超えて含有された場合と同様に、ピンニング効果が効き過ぎたことにより結晶粒が微細化し、軟質化しなかったため耐応力腐食割れ性が低下したと考えられた。このことからAlは0.015mass%以上、0.20mass%以下の範囲において含有する必要がある。
ここで、鋼No.35およびNo.36に着目すると割れが発生した時間はそれぞれ206時間および199時間と特に短かった。これらの鋼は高Al含有であると同時に高N含有であるため、Alの窒化物の析出量が多く、ピンニング効果か強く発揮されたため結晶粒が微細化し軟質化されなかったことに加え、耐食性に有効であるNが局所的に減少したために応力腐食割れの起点となる孔食が発生し易くなったことも複合要因と考えられた。
更に、高温引張試験結果からAlを0.015mass%以上添加した鋼においては脱硫が十分なされたため、S量は0.0020mass%以下に制御され、断面絞り率は何れも65%以上の良好な値が得られた。一方で、鋼No.26はAl添加量が0.014mass%と低かったため脱硫が不十分であり、Sが0.0027mass%と高く、そのため絞り率は63.3%と低い値を示した。同様に、鋼No.33もAl添加量が0.013mass%と低かったため脱硫が不十分であり、Sが0.0022mass%と高く、そのため絞り率は63.5%と低い値を示した。また、Sが高かったために結晶粒径に偏析するP量が低下し、σ相の析出が速くなり耐応力腐食割れ性をさらに低下させたと考えられた。
以上のことからAlとNの関係として次式を満足する必要があることが分かった。
2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7。
<実験3>
これまでの応力腐食割れの形態を観察した結果、割れは粒界に沿って割れる所謂「粒界型応力腐食割れ」であった。このことから発明者は粒界に何らかの微細な析出物を析出させれば、割れの進展が停止または遅延することを想起した。この考えに従い、Fe−27mass%Cr−31mass%Ni−3.5mass%Mo−0.007%P−0.5mass%Cu−0.02mass%Co−0.09massN−0.01mass%Alを基本成分とする鋼に微量のV、Zr、Nbを添加し、耐応力腐食割れ性に及ぼす影響を調査した。溶解した鋼は、その後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。最終焼鈍温度は1160℃で1分間行った。さらにこの冷延板に800℃において5時間の熱処理を施した後に、実験1および実験2と同じ応力腐食割れ試験に供した。
上記試験結果を表3に示した。図3はV、Zr、Nbの添加量と割れが発生するまでの時間との関係で示した図である。V、Zr、Nbの添加により割れが発生するまでの時間が長くなり耐応力腐食割れ性が改善されることが分かった。しかしながら、mass%V+10×mass%Zr+10×mass%Nbの総量が0.04mass%未満ではその効果が十分に得られず、2.0mass%を超えると割れが発生するまでの時間が300時間を下回り、耐応力腐食割れ性が劣化することが分かった。このことからV、Zr、Nbの添加量は次式を満足する必要があること分かった。
0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0。
Figure 0006941003
<実験4>
これまでにCu+15×Coの含有量とP量を適正な範囲に限定し、さらにAlの窒化物を適正な範囲において析出させ、結晶粒径を適正な範囲に制御すれば耐応力腐食割れ性が向上することが分かった。また、V、Zr、Nbにも耐応力腐食割れ性を改善する作用があることが認められた。
ところで、高Cr、高Mo含有のためσ相などの金属間化合物が析出し易い成分系においては、固溶化したオーステナイト相組織を得るために焼鈍温度を十分高くすることが望ましい。但し、焼鈍温度が高過ぎると、Alの窒化物が固溶化されピンニング効果が得られず、結晶粒径の制御ができなくなると考えられる。そこで、鋼No.21の冷間圧延を行ったままの板を用いて焼鈍温度を1070℃、1100℃、1130℃、1160℃、1190℃、1220℃と変化させた。焼鈍時間は何れも1分間とした。その後、800℃において5時間の熱処理を施し、応力腐食割れ試験、引張試験および結晶粒度測定に供した。上記試験結果を表4に示した。
Figure 0006941003
図4は結晶粒度No.と応力腐食割れが発生するまでの時間に及ぼす焼鈍温度の影響を示したものである。この結果から焼鈍温度を1100℃〜1190℃の温度域で実施すれば応力腐食割れが発生するまでの時間は300時間以上であり、良好な耐応力腐食割れ性を得られることがわかる。結晶粒度を測定した結果、1100℃〜1190℃の温度域において焼鈍された鋼は結晶粒度が4.0〜6.0を有していることが認められた。
一方、1070℃において焼鈍した鋼は結晶粒度が8.0と微細でありσ相の析出は遅いと考えられたが、焼鈍温度が低すぎたためσ相が固溶せずに残存しており、耐応力腐食割れ性が劣化したものと考えられた。また、1220℃において焼鈍した鋼は高温で焼鈍したためAlの窒化物が固溶化され、その結果、ピンニング効果が得られず結晶粒径が粗大化していた。結晶粒度は2.0を有していることが認められた。そのため、σ相の析出速度は速く、粗大化した結晶粒界にσ相が多量に析出し耐応力腐食割れ性が劣化したものと考えられた。以上の結果より、焼鈍温度は1100℃〜1190℃の温度域で実施し、結晶粒度は4.0〜6.0に制御する必要があることが分かった。
また、実験3の耐応力腐食割れ性を改善した析出物はV、Zr、Nbのそれぞれの炭窒化物であると考えられ、ピンニング効果の一端を担っているものと考えられる。
次に本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金が有すべき組成成分について説明する。
(C:0.005〜0.03mass%)
Cはオーステナイト相安定化元素である。しかし、多量に添加すると、CrおよびMo等と結合して炭化物を形成し、母材中の固溶Crおよび固溶Moの量が低下し、耐食性を低下させる。一方、Cの下限値は強度の低下を防止する観点から0.005mass%とする。よって、Cは0.005〜0.03mass%に制限する。好ましくは0.005〜0.025mass%であり、より好ましくは0.005〜0.024mass%である。
(Si:0.02〜0.70mass%)
Siは脱酸剤として添加される元素である。また、Siは溶鋼の流動性を高め、溶接性を良好にする元素でもあるため0.02mass%以上の添加が望ましい。しかし、Siはσ相などの金属間化合物の析出を促進し、また、粒界腐食感受性を増大させる元素でもあるので0.02〜0.70mass%とする。好ましくは0.03〜0.40mass%以下であり、より好ましくは0.04〜0.35mass%以下である。
(Mn:0.01〜1.50mass%)
Mnは脱酸作用を有する元素であるため、その効果を得るためには少なくとも0.01mass%以上は必要である。しかし、MnもSiと同様にσ相などの金属間化合物の析出を招くため、必要以上の添加は好ましくない。そのため、0.01〜1.50mass%以下にする必要がある。好ましくは0.01〜1.40mass%以下、より好ましくは0.01〜1.00mass%以下である。
(P:0.010〜0.050mass%)
Pは結晶粒界に偏析するため熱間加工性を害する元素である。通常、Pは原料費を著しく増加させない範囲において、可能な限り低減させることが望まれる元素である。しかしながら、本発明においてはPを意図的に添加し、結晶粒界に偏析させることで熱影響を受けた際のσ相の析出を遅らせ、耐応力腐食割れ性を改善するという観点からは重要な元素である。その効果を得るためには少なくても0.010mass%以上添加しなければならず、0.050mass%を超えての添加は耐応力腐食割れ性の劣化を招く。従って、Pの添加量は0.010〜0.050mass%とした。好ましくは0.015〜0.040mass、より好ましくは0.017〜0.035mass%である。
(S:0.002mass%以下)
SはPと同様に結晶粒界に偏析し易く、特に熱間加工性に有害な元素である。本発明においてはPを高めに添加することで耐応力腐食割れ性を改善するが、Sが0.002%を超えて含有すると相対的にPが結晶粒界に偏析する量が低下する。その結果、Pがσ相の析出を遅らせる作用が損なわれ、耐応力腐食割れ性が低下する。Sは0.002%を超えて含有すると、その有害性が顕著に現れるので、0.002mass%以下にする必要がある。好ましくは0.0015mass%以下、より好ましくは0.001mass%以下である。
(Ni:30.0〜32.0mass%)
Niはσ相などの金属間化合物の析出を抑制し、耐全面腐食性を向上させ、特に耐応力腐食割れ性に対しては極めて有効な元素である。含有量が30.0mass%を下回ると金属間化合物の析出が助長され、一方、32.0mass%を上回ると熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増大を招く。よって、Ni含有量は30.0〜32.0mass%とした。好ましくは30.1〜31.5mass%、より好ましくは30.2〜31.2mass%である。
(Cr:26.0〜28.0mass%)
Crは合金の耐孔食性、耐すきま腐食性、耐応力腐食割れ性、耐全面腐食性などの耐食性全般を向上させる重要な元素である。その効果を十分得るには26.0mass%以上含有する必要がある。しかしながら、28.0mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、26.0〜28.0mass%とした。好ましくは26.2〜27.8mass%、より好ましくは26.5〜27.5mass%である。
(Mo:3.0〜4.0mass%)
Moは耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素であるので、3.0mass%以上の含有量を必要とする。しかし、Moの過剰な添加はσ相などの金属間化合物の析出を助長し、耐食性を低下させる。よって、Moは3.0〜4.0mass%の範囲とする。好ましくは3.1〜3.8mass%、より好ましくは3.3〜3.6mass%である。
(N:0.01〜0.10mass%)
NはCr、Moと同様に耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素である。また、本発明においてはAlの窒化物を結晶粒界に析出させ、そのピンニング効果により結晶粒の粗大化を防止し、σ相の析出を遅らせることで耐応力腐食割れ性を改善するという観点からは重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.01mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.10mass%を超えて含有するとAlの窒化物の析出量が著しく増え、そのピンニング効果により結晶粒径が微細化となる。そのため合金が硬質になり耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、Nの含有量は0.01〜0.10mass%とした。好ましくは0.03〜0.097mass%、より好ましくは0.05〜0.095mass%である。
(Al:0.015〜0.20mass%)
AlはCaO−SiO−Al−MgO−F系スラグの共存下で、脱酸によって脱硫を促進してSを低減し、熱間加工性を向上させるため従来から添加されている元素である。それと同時に本発明では、Alは耐応力腐食割れ性を向上させる目的において次の2つの観点から重要な役割を担う。先ず、Alは窒化物を結晶粒界に析出させ、そのピンニング効果により結晶粒の粗大化を防止し、σ相の析出を遅らせることで耐応力腐食割れ性を改善する。次に先述したようにAlを添加することで脱硫が促進されるが、Sは結晶粒界に偏析し易い元素であるためSが結晶粒界に多く偏析していると、相対的にPが結晶粒界に偏析する割合が低下するため、本発明におけるPがσ相の析出を遅らせるという重要な役割が損なわれる。従って、Alは結晶粒界に偏析するP量を確保するためにも、積極的に添加しなければならない。上記2つの効果を得るためには0.015mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.20mass%を超えて含有するとAlの窒化物の析出量が著しく増え、そのピンニング効果により結晶粒径が微細化となる。そのため合金が硬質になり耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、Alの添加量は0.015〜0.20mass%とした。好ましくは0.018〜0.18mass%、より好ましくは0.020〜0.16mass%である。
(Cu:0.7〜1.4mass%)
Cuは耐酸性の向上に有効であるため、積極的に添加される元素である。本発明においてはその他に耐応力腐食割れ性を改善するという観点から重要な役割を担う元素である。特許文献4における成分系では1.5mass%以上を添加しないとその効果が得られないと記載されているが、本成分系においては上記文献より少量であっても耐応力腐食割れ性が改善されることが分かった。その効果を得るためには0.7mass%以上の添加が必要である。しかしながら、1.4mass%を超えて含有すると合金が軟質化し強度不足を招くとともに、熱間加工性が阻害されるためCuの添加量は0.7〜1.4mass%とした。好ましくは0.8〜1.3mass%、より好ましくは0.9〜1.2mass%である。
(Co:0.003〜0.30mass%)
Coは耐酸性、特に耐塩酸性を向上させる元素である。本発明においてはその他に、微量の添加でも耐応力腐食割れ性を改善するという観点から重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.003mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.30mass%を超えて含有すると合金が軟質化し強度不足を招くとともに、熱間加工性が阻害されるため、Coの添加量は0.003〜0.30mass%とした。好ましくは0.004〜0.28mass%、より好ましくは0.005〜0.26mass%である。
(V:0.01〜0.15mass%)
VはVの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.01mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.15mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Vの添加量は0.01〜0.15mass%とした。好ましくは0.02〜0.14mass%、より好ましくは0.03〜0.13mass%である。
(Zr:0.001〜0.1mass%)
ZrもZrの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果は非常に少量の添加量でも得られ0.001mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.1mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Zrの添加量は0.001〜0.1mass%とした。好ましくは0.002〜0.08mass%、より好ましくは0.003〜0.06mass%である。
(Nb:0.001〜0.1mass%)
NbもNbの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果は非常に少量の添加量でも得られ0.001mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.1mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Nbの添加量は0.001〜0.1mass%とした。好ましくは0.002〜0.08mass%、より好ましくは0.003〜0.06mass%である。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、上記組成成分を満たすことに加えて、JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度を有し、さらに下記式を満たして含有することが必要である。
(0.8≦[mass%Cu]+15×[mass%Co]≦5.5)
前述したように、CuおよびCoはFe−Ni−Cr−Mo合金の耐応力腐食割れ性を向上させるため添加する必要がある。CoはCuに比べ少量の添加でもその作用を有する。その機構はCuおよびCoを固溶させることで耐応力腐食割れ性が向上する。その効果を十分に得るためには、図1に示したようにCu+15×Coの総量が0.8mass%以上必要である。一方、総量が5.5mass%を越えて含有すると、強度不足となるため構造用の素材として適さなくなる。従って、十分な強度を確保しつつ、良好な耐応力腐食割れ性を得るためには0.8≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.5であることが必要である。好ましくは0.9≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.3、より好ましくは1.0≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.1である。
(2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7)
合金の耐応力腐食割れ性を向上させ、かつ強度を確保するためには結晶粒径を制御する必要がある。CrやMoの含有量が高い合金においてはσ相の残存を防止するため、可能な限り高温で焼鈍することが望ましい。しかしながら、高温で焼鈍したために結晶粒径が粗大であると熱影響を受けた際に、σ相の析出速度が速く良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に、強度が低く構造用材料として適さない。そのため、高温で焼鈍を行っても結晶粒径が粗大化するのを防止するため、AlとNを複合添加しAlの窒化物を析出させることで、ピンニング効果を用い結晶粒径を適切な範囲に制御することが必要である。但し、AlおよびNの含有量が多い範囲ではピンニング効果が強く発揮されるため、結晶粒径が微細化する。従って材料が硬質化し、かえって耐応力腐食割れ性が低下する。このピンニング効果を用い耐応力腐食割れ性を向上させ、かつ強度を確保するためには2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7を満たすことが必要である。好ましくは2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.5、より好ましくは2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.3である。
(0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0)
V、ZrおよびNbはそれぞれの炭窒化物を形成し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させ、耐応力腐食割れ性を改善する。その効果を十分に得るためにはmass%V+10×mass%Zr+10×mass%Nbの総量が0.04mass%以上必要である。一方、総量が2.0mass%を越えて含有すると、σ相の析出が助長され、かえって耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、良好な耐応力腐食割れ性を得るためには0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0であることが必要である。好ましくは0.06≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦1.8、より好ましくは0.09≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦1.5である。
(JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度)
合金が熱影響を受けた際のσ相の析出速度は結晶粒径の影響を受けるため、結晶粒径を制御することは重要である。また、材料の強度を確保する面からも結晶粒度は制御されなければならない。JIS G 0551に基づく結晶粒度が4.0未満であると結晶粒径が粗大であるため、σ相の析出速度は速く良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に材料の強度が不足しているため構造用材料として適さない。一方、結晶粒径が6.0を超えると材料の強度が高く、硬質であるため良好な耐応力腐食割れ性が得られない。従って、JIS G 0551に基づく結晶粒度は4.0〜6.0である必要がある。好ましい結晶粒度は4.5〜6.0である。
(1100〜1190℃の温度における焼鈍)
前述の通り、本発明のような高Crおよび高Moの鋼においてはσ相などの金属間化合物が残存し易いため、固溶化したオーステナイト相組織を得るためには可能な限り高温での焼鈍が望ましい。しかし、図4に示す通り、1220℃で焼鈍するとAlの窒化物は固溶化され、結晶粒度は2.0まで粗大化した。そのため、σ相の析出が速くなり良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に強度不足となる。逆に、1070℃で焼鈍すると低温すぎたためσ相が固溶されずに残存しており、良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。従って、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金を製造するに際し、常法に従って製造した熱延鋼板あるいは冷延鋼板は1100〜1190℃の温度において焼鈍することが必要である。好ましくは1110〜1180℃、より好ましくは1120〜1180℃の温度範囲において焼鈍することが望ましい。
次に、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金の製造方法について説明する。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、鉄屑、ステンレス屑、フェロニッケル、フェロクロムなどの原料を電気炉で溶解し、AOD(Argon Oxygen Decarburization)炉またはVOD(Vacuum Oxygen Decarbutization)炉にて、酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬し、生石灰、Fe−Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法で鋼片とし、その後、上記鋼片を、熱間圧延し、あるいは、さらに冷間圧延して、薄鋼板、厚鋼板、形鋼、棒鋼、線材等の各種鋼材とするのが好ましい。
鉄屑、フェロクロム、フェロニッケル、ステンレス屑などを所定の比率に調整した原料を、電気炉にて溶解し、AOD炉、またはVOD炉で二次精錬した。すなわち、酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬し、生石灰、Fe−Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫した。その後、表5に示した種々の成分組成に調整した後、連続鋳造して鋼片(スラブ)とした。鋼片(スラブ)からは8mmφ×長さ:70mm丸棒試験片を採取し、熱間加工性再現試験装置(サーメックマスターZ)を用いて、1050℃における断面絞り率を評価した。断面絞り率が65%以上確保されれば熱間加工性は良好であり、耳割れや表面割れのない良質な鋼板を得ることが出来る。尚、90%以上の断面絞り率が得られた場合は良(◎)とし、65%以上の場合は可(○)とし、65%未満の場合は劣(×)と判断した。
表5中に示したC、Sの組成は、炭素・硫黄同時分析装置(酸素気流中燃焼−赤外線吸収法)を用いて、Nの組成は、酸素・窒素同時分析装置(不活性ガス−インパルス加熱溶融法)を用いて、また、上記以外の組成は蛍光X線分析を用いて、分析した値である。
次いで、上記鋼片(スラブ)を熱間圧延し、冷間圧延、熱処理および酸洗を繰り返して板厚2〜3mmの冷延コイルを製造した。さらに、上記冷延コイルからに板状サンプルを採取し、800℃において5時間の熱処理を施した。その板より幅:15mm×長さ:75mm×厚さ:2mmの応力腐食割れ試験片を採取した。応力腐食割れ試験片は表面を600番の耐水研磨紙で湿式研磨を行い、腐食試験開始の直前にU−Bend曲げを行った。上記腐食試験片を用いて、pHを3.0±0.1に調整した沸騰38mass%塩化カルシウムを用いた応力腐食割れ試験に供した。耐応力腐食割れ試験の評価は試験片に割れが発生するまでの時間が300時間以上であれば耐応力腐食割れ性は良好と判断できる。尚、320時間以上で割れが発生した場合は耐応力腐食割れ性が優(◎)とし、300〜320時間で割れが発生した場合は可(○)とし、300時間未満で割れが発生した場合は劣(×)と判定した。
次いで、応力腐食割れ試験片と同じ冷延板、即ち、800℃で5時間の熱処理を施した冷延板からJIS 13B号に従った板状の引張試験片を採取し、JIS Z 2241に従った引張試験に供し、0.2%耐力を評価した。温度は25℃の室温とし、引張方向は圧延方向と平行とした。強度については0.2%耐力が250MPa以上であれば構造用材料として適用可能と判断できる。尚、強度が270MPaを越えた場合は優(◎)とし、250〜270MPaの場合は可(○)とし、250MPa未満は劣(×)と判定した。さらに、鋼板の結晶粒度をJIS G 0551に基づき測定した。
Figure 0006941003
Figure 0006941003
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表5に示したNo.1〜40までの鋼板は、本発明の条件を満たす発明例であり、優れた耐応力腐食割れ性と強度を兼備している。また、Al濃度が高いと、脱硫がより進行しS濃度が低下したため、Pをより添加できて耐食性を向上できたことが分かる。そのため、脱硫が効果的に進むことにより、Pの高い原料を使えるため、製造コスト低減にも寄与した。一方、No.41〜54までの鋼板は比較例である。
No.41の鋼は(1)式、(2)式および(3)式の何れも満足するが、N量が0.008mass%と低く、耐応力腐食割れ性に劣り、且つ強度不足である。
No.42の鋼はAl量が0.009mass%と低いため、耐応力腐食割れ性に劣り、且つ強度不足である。更に、脱硫が不足しているためSが0.0029mass%と高く、熱間加工性にも劣る。
No.43、No.44の鋼はAl量が0.204mass%と高く、あるいはN量が0.109mass%と高いため、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.45の鋼は(1)式および(3)式を満足するが、(2)式を満足せず、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.46の鋼はAlが0.223mass%と非常に高く、(2)式を満足していない。Alが高いため、脱硫は十分であるがP量が0.054mass%と高めに配合され、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.47の鋼はCo量が0.311mass%と高いが(1)式を満足しているため、耐応力腐食割れ性に優れるものの、強度不足である。
No.48の鋼はAl量が0.001mass%と非常に低く(2)式を満足していない。更に脱硫が不十分であるため、P量が0.005mass%と低くなり、耐応力腐食割れ性に劣る。また、脱硫が十分になされていないため、熱間加工性にも劣る。
No.49、No.50、No.51の鋼は(1)式、(2)式および(3)式の何れも満足するが、それぞれZr量が0.123mass%と高く、Nb量が0.119mass%と高く、あるいはV量が0.17mass%と高いためσ相が析出し、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.52の鋼はCu量が1.55mass%と高いが、(1)式を満足しているため耐応力腐食割れ性に優れるものの、強度不足である。
No.53の鋼は(2)式および(3)式を満足し、耐応力腐食割れ性に優れるが、(1)式を満足せず、強度不足である。
No.54の鋼は(2)式および(3)式を満足し、強度に優れるが、(1)式を満足せず、耐応力腐食割れ性に劣る。
また、No.13、No.24およびNo.34の鋼については焼鈍温度をそれぞれ3条件ずつ変えて鋼板を製造した。No.13−1、No.24−1およびNo.34−1は優れた耐応力腐食割れ性、強度に加え良好な熱間加工性を兼備しているが、No.13−2、No.13−3、No.24−2、No.24−3、No.34−2およびNo.34−3の鋼は耐応力腐食割れ性が劣化、または強度も不足となった比較例である。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、優れた熱間加工性に加え、優れた耐応力腐食割れ性と強度を兼備しているため、化学プラント等、極めて優れた耐食性が要求される環境において好適に利用できる。

Claims (3)

  1. C:0.005〜0.03mass%、
    Si:0.02〜0.70mass%、
    Mn:0.01〜1.50mass%、
    P:0.010〜0.050mass%、
    S:0.002mass%以下、
    Ni:30.0〜32.0mass%、
    Cr:26.0〜28.0mass%、
    Mo:3.0〜4.0mass%、
    N:0.01〜0.10mass%、
    Al:0.015〜0.20mass%
    を含有し、さらに
    Cu:0.7〜1.4mass%、
    あるいはCo:0.003〜0.30mass%
    を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度を有し、
    かつ、下記の(1)、(2)式を満足するFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板
    0.8≦[mass%Cu]+15×[mass%Co]≦5.5 …(1)
    2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7 …(2)
  2. 上記成分の組成に加えてさらに、
    V:0.01〜0.15mass%、
    Zr:0.001〜0.1mass%、
    Nb:0.001〜0.1mass%
    のうちから選ばれる1種または2種以上を、下記の式(3)を満たして含有することを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板
    0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0
    …(3)
  3. 請求項1または2に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板の製造方法であって、原料を溶解し、AODまたはVODにて脱炭精錬し、スラグ中Cr酸化物を還元処理し、CaO−SiO −Al −MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、鋼片とし、熱間圧延、さらに冷間圧延して製造した冷延鋼板を1100〜1190℃の温度において焼鈍し、JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度とすることを特徴とするFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板の製造方法。
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