JP6941003B2 - Fe−Ni−Cr−Mo合金およびその製造方法 - Google Patents
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Description
0.8≦[mass%Cu]+15×[mass%Co]≦5.5 …(1)
2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7 …(2)
0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0
…(3)
20kg容量の試験用高周波誘導炉でFe−27mass%Cr−31mass%Ni−3.5mass%Mo−0.050mass%Nを基本成分とする鋼を溶解した。溶解した鋼は、その後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。最終焼鈍温度は1150℃で1分間行った。さらにこの冷延板に800℃で5時間の熱処理を施し、幅:15mm×長さ:75mm×厚さ2mmの応力腐食割れ試験片を採取した。応力腐食割れ試験片は表面を600番の耐水研磨紙で湿式研磨を行い、腐食試験開始の直前にU−Bend曲げを行った。この溶解に当たっては、CuおよびCo、Pの成分含有量を種々に変化させた。
上述の実験結果1から、Cu+15×Coの含有量とP量を適正な範囲に限定すれば耐食性に優れ、かつ強度に優れるFe−Ni−Cr−Mo合金を得ることができることが分かった。
以上のことからAlとNの関係として次式を満足する必要があることが分かった。
2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7。
これまでの応力腐食割れの形態を観察した結果、割れは粒界に沿って割れる所謂「粒界型応力腐食割れ」であった。このことから発明者は粒界に何らかの微細な析出物を析出させれば、割れの進展が停止または遅延することを想起した。この考えに従い、Fe−27mass%Cr−31mass%Ni−3.5mass%Mo−0.007%P−0.5mass%Cu−0.02mass%Co−0.09massN−0.01mass%Alを基本成分とする鋼に微量のV、Zr、Nbを添加し、耐応力腐食割れ性に及ぼす影響を調査した。溶解した鋼は、その後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。最終焼鈍温度は1160℃で1分間行った。さらにこの冷延板に800℃において5時間の熱処理を施した後に、実験1および実験2と同じ応力腐食割れ試験に供した。
0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0。
これまでにCu+15×Coの含有量とP量を適正な範囲に限定し、さらにAlの窒化物を適正な範囲において析出させ、結晶粒径を適正な範囲に制御すれば耐応力腐食割れ性が向上することが分かった。また、V、Zr、Nbにも耐応力腐食割れ性を改善する作用があることが認められた。
(C:0.005〜0.03mass%)
Cはオーステナイト相安定化元素である。しかし、多量に添加すると、CrおよびMo等と結合して炭化物を形成し、母材中の固溶Crおよび固溶Moの量が低下し、耐食性を低下させる。一方、Cの下限値は強度の低下を防止する観点から0.005mass%とする。よって、Cは0.005〜0.03mass%に制限する。好ましくは0.005〜0.025mass%であり、より好ましくは0.005〜0.024mass%である。
Siは脱酸剤として添加される元素である。また、Siは溶鋼の流動性を高め、溶接性を良好にする元素でもあるため0.02mass%以上の添加が望ましい。しかし、Siはσ相などの金属間化合物の析出を促進し、また、粒界腐食感受性を増大させる元素でもあるので0.02〜0.70mass%とする。好ましくは0.03〜0.40mass%以下であり、より好ましくは0.04〜0.35mass%以下である。
Mnは脱酸作用を有する元素であるため、その効果を得るためには少なくとも0.01mass%以上は必要である。しかし、MnもSiと同様にσ相などの金属間化合物の析出を招くため、必要以上の添加は好ましくない。そのため、0.01〜1.50mass%以下にする必要がある。好ましくは0.01〜1.40mass%以下、より好ましくは0.01〜1.00mass%以下である。
Pは結晶粒界に偏析するため熱間加工性を害する元素である。通常、Pは原料費を著しく増加させない範囲において、可能な限り低減させることが望まれる元素である。しかしながら、本発明においてはPを意図的に添加し、結晶粒界に偏析させることで熱影響を受けた際のσ相の析出を遅らせ、耐応力腐食割れ性を改善するという観点からは重要な元素である。その効果を得るためには少なくても0.010mass%以上添加しなければならず、0.050mass%を超えての添加は耐応力腐食割れ性の劣化を招く。従って、Pの添加量は0.010〜0.050mass%とした。好ましくは0.015〜0.040mass、より好ましくは0.017〜0.035mass%である。
SはPと同様に結晶粒界に偏析し易く、特に熱間加工性に有害な元素である。本発明においてはPを高めに添加することで耐応力腐食割れ性を改善するが、Sが0.002%を超えて含有すると相対的にPが結晶粒界に偏析する量が低下する。その結果、Pがσ相の析出を遅らせる作用が損なわれ、耐応力腐食割れ性が低下する。Sは0.002%を超えて含有すると、その有害性が顕著に現れるので、0.002mass%以下にする必要がある。好ましくは0.0015mass%以下、より好ましくは0.001mass%以下である。
Niはσ相などの金属間化合物の析出を抑制し、耐全面腐食性を向上させ、特に耐応力腐食割れ性に対しては極めて有効な元素である。含有量が30.0mass%を下回ると金属間化合物の析出が助長され、一方、32.0mass%を上回ると熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増大を招く。よって、Ni含有量は30.0〜32.0mass%とした。好ましくは30.1〜31.5mass%、より好ましくは30.2〜31.2mass%である。
Crは合金の耐孔食性、耐すきま腐食性、耐応力腐食割れ性、耐全面腐食性などの耐食性全般を向上させる重要な元素である。その効果を十分得るには26.0mass%以上含有する必要がある。しかしながら、28.0mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、26.0〜28.0mass%とした。好ましくは26.2〜27.8mass%、より好ましくは26.5〜27.5mass%である。
Moは耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素であるので、3.0mass%以上の含有量を必要とする。しかし、Moの過剰な添加はσ相などの金属間化合物の析出を助長し、耐食性を低下させる。よって、Moは3.0〜4.0mass%の範囲とする。好ましくは3.1〜3.8mass%、より好ましくは3.3〜3.6mass%である。
NはCr、Moと同様に耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素である。また、本発明においてはAlの窒化物を結晶粒界に析出させ、そのピンニング効果により結晶粒の粗大化を防止し、σ相の析出を遅らせることで耐応力腐食割れ性を改善するという観点からは重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.01mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.10mass%を超えて含有するとAlの窒化物の析出量が著しく増え、そのピンニング効果により結晶粒径が微細化となる。そのため合金が硬質になり耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、Nの含有量は0.01〜0.10mass%とした。好ましくは0.03〜0.097mass%、より好ましくは0.05〜0.095mass%である。
AlはCaO−SiO2−Al2O3−MgO−F系スラグの共存下で、脱酸によって脱硫を促進してSを低減し、熱間加工性を向上させるため従来から添加されている元素である。それと同時に本発明では、Alは耐応力腐食割れ性を向上させる目的において次の2つの観点から重要な役割を担う。先ず、Alは窒化物を結晶粒界に析出させ、そのピンニング効果により結晶粒の粗大化を防止し、σ相の析出を遅らせることで耐応力腐食割れ性を改善する。次に先述したようにAlを添加することで脱硫が促進されるが、Sは結晶粒界に偏析し易い元素であるためSが結晶粒界に多く偏析していると、相対的にPが結晶粒界に偏析する割合が低下するため、本発明におけるPがσ相の析出を遅らせるという重要な役割が損なわれる。従って、Alは結晶粒界に偏析するP量を確保するためにも、積極的に添加しなければならない。上記2つの効果を得るためには0.015mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.20mass%を超えて含有するとAlの窒化物の析出量が著しく増え、そのピンニング効果により結晶粒径が微細化となる。そのため合金が硬質になり耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、Alの添加量は0.015〜0.20mass%とした。好ましくは0.018〜0.18mass%、より好ましくは0.020〜0.16mass%である。
Cuは耐酸性の向上に有効であるため、積極的に添加される元素である。本発明においてはその他に耐応力腐食割れ性を改善するという観点から重要な役割を担う元素である。特許文献4における成分系では1.5mass%以上を添加しないとその効果が得られないと記載されているが、本成分系においては上記文献より少量であっても耐応力腐食割れ性が改善されることが分かった。その効果を得るためには0.7mass%以上の添加が必要である。しかしながら、1.4mass%を超えて含有すると合金が軟質化し強度不足を招くとともに、熱間加工性が阻害されるためCuの添加量は0.7〜1.4mass%とした。好ましくは0.8〜1.3mass%、より好ましくは0.9〜1.2mass%である。
Coは耐酸性、特に耐塩酸性を向上させる元素である。本発明においてはその他に、微量の添加でも耐応力腐食割れ性を改善するという観点から重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.003mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.30mass%を超えて含有すると合金が軟質化し強度不足を招くとともに、熱間加工性が阻害されるため、Coの添加量は0.003〜0.30mass%とした。好ましくは0.004〜0.28mass%、より好ましくは0.005〜0.26mass%である。
VはVの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果を得るためには0.01mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.15mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Vの添加量は0.01〜0.15mass%とした。好ましくは0.02〜0.14mass%、より好ましくは0.03〜0.13mass%である。
ZrもZrの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果は非常に少量の添加量でも得られ0.001mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.1mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Zrの添加量は0.001〜0.1mass%とした。好ましくは0.002〜0.08mass%、より好ましくは0.003〜0.06mass%である。
NbもNbの炭窒化物として粒界に析出し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させるという観点から重要な役割を担う元素である。その効果は非常に少量の添加量でも得られ0.001mass%以上の添加が必要である。しかしながら、0.1mass%を超えて含有するとσ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、Nbの添加量は0.001〜0.1mass%とした。好ましくは0.002〜0.08mass%、より好ましくは0.003〜0.06mass%である。
前述したように、CuおよびCoはFe−Ni−Cr−Mo合金の耐応力腐食割れ性を向上させるため添加する必要がある。CoはCuに比べ少量の添加でもその作用を有する。その機構はCuおよびCoを固溶させることで耐応力腐食割れ性が向上する。その効果を十分に得るためには、図1に示したようにCu+15×Coの総量が0.8mass%以上必要である。一方、総量が5.5mass%を越えて含有すると、強度不足となるため構造用の素材として適さなくなる。従って、十分な強度を確保しつつ、良好な耐応力腐食割れ性を得るためには0.8≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.5であることが必要である。好ましくは0.9≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.3、より好ましくは1.0≦[mass%Cu+15×mass%Co]≦5.1である。
合金の耐応力腐食割れ性を向上させ、かつ強度を確保するためには結晶粒径を制御する必要がある。CrやMoの含有量が高い合金においてはσ相の残存を防止するため、可能な限り高温で焼鈍することが望ましい。しかしながら、高温で焼鈍したために結晶粒径が粗大であると熱影響を受けた際に、σ相の析出速度が速く良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に、強度が低く構造用材料として適さない。そのため、高温で焼鈍を行っても結晶粒径が粗大化するのを防止するため、AlとNを複合添加しAlの窒化物を析出させることで、ピンニング効果を用い結晶粒径を適切な範囲に制御することが必要である。但し、AlおよびNの含有量が多い範囲ではピンニング効果が強く発揮されるため、結晶粒径が微細化する。従って材料が硬質化し、かえって耐応力腐食割れ性が低下する。このピンニング効果を用い耐応力腐食割れ性を向上させ、かつ強度を確保するためには2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7を満たすことが必要である。好ましくは2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.5、より好ましくは2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.3である。
V、ZrおよびNbはそれぞれの炭窒化物を形成し、応力腐食割れの進展を停止あるいは遅延させ、耐応力腐食割れ性を改善する。その効果を十分に得るためにはmass%V+10×mass%Zr+10×mass%Nbの総量が0.04mass%以上必要である。一方、総量が2.0mass%を越えて含有すると、σ相の析出が助長され、かえって耐応力腐食割れ性の低下を招く。従って、良好な耐応力腐食割れ性を得るためには0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0であることが必要である。好ましくは0.06≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦1.8、より好ましくは0.09≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦1.5である。
合金が熱影響を受けた際のσ相の析出速度は結晶粒径の影響を受けるため、結晶粒径を制御することは重要である。また、材料の強度を確保する面からも結晶粒度は制御されなければならない。JIS G 0551に基づく結晶粒度が4.0未満であると結晶粒径が粗大であるため、σ相の析出速度は速く良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に材料の強度が不足しているため構造用材料として適さない。一方、結晶粒径が6.0を超えると材料の強度が高く、硬質であるため良好な耐応力腐食割れ性が得られない。従って、JIS G 0551に基づく結晶粒度は4.0〜6.0である必要がある。好ましい結晶粒度は4.5〜6.0である。
前述の通り、本発明のような高Crおよび高Moの鋼においてはσ相などの金属間化合物が残存し易いため、固溶化したオーステナイト相組織を得るためには可能な限り高温での焼鈍が望ましい。しかし、図4に示す通り、1220℃で焼鈍するとAlの窒化物は固溶化され、結晶粒度は2.0まで粗大化した。そのため、σ相の析出が速くなり良好な耐応力腐食割れ性が得られないと同時に強度不足となる。逆に、1070℃で焼鈍すると低温すぎたためσ相が固溶されずに残存しており、良好な耐応力腐食割れ性が得られなかった。従って、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金を製造するに際し、常法に従って製造した熱延鋼板あるいは冷延鋼板は1100〜1190℃の温度において焼鈍することが必要である。好ましくは1110〜1180℃、より好ましくは1120〜1180℃の温度範囲において焼鈍することが望ましい。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、鉄屑、ステンレス屑、フェロニッケル、フェロクロムなどの原料を電気炉で溶解し、AOD(Argon Oxygen Decarburization)炉またはVOD(Vacuum Oxygen Decarbutization)炉にて、酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬し、生石灰、Fe−Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO−SiO2−Al2O3−MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法で鋼片とし、その後、上記鋼片を、熱間圧延し、あるいは、さらに冷間圧延して、薄鋼板、厚鋼板、形鋼、棒鋼、線材等の各種鋼材とするのが好ましい。
No.42の鋼はAl量が0.009mass%と低いため、耐応力腐食割れ性に劣り、且つ強度不足である。更に、脱硫が不足しているためSが0.0029mass%と高く、熱間加工性にも劣る。
No.43、No.44の鋼はAl量が0.204mass%と高く、あるいはN量が0.109mass%と高いため、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.45の鋼は(1)式および(3)式を満足するが、(2)式を満足せず、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.46の鋼はAlが0.223mass%と非常に高く、(2)式を満足していない。Alが高いため、脱硫は十分であるがP量が0.054mass%と高めに配合され、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.47の鋼はCo量が0.311mass%と高いが(1)式を満足しているため、耐応力腐食割れ性に優れるものの、強度不足である。
No.48の鋼はAl量が0.001mass%と非常に低く(2)式を満足していない。更に脱硫が不十分であるため、P量が0.005mass%と低くなり、耐応力腐食割れ性に劣る。また、脱硫が十分になされていないため、熱間加工性にも劣る。
No.49、No.50、No.51の鋼は(1)式、(2)式および(3)式の何れも満足するが、それぞれZr量が0.123mass%と高く、Nb量が0.119mass%と高く、あるいはV量が0.17mass%と高いためσ相が析出し、耐応力腐食割れ性に劣る。
No.52の鋼はCu量が1.55mass%と高いが、(1)式を満足しているため耐応力腐食割れ性に優れるものの、強度不足である。
No.53の鋼は(2)式および(3)式を満足し、耐応力腐食割れ性に優れるが、(1)式を満足せず、強度不足である。
No.54の鋼は(2)式および(3)式を満足し、強度に優れるが、(1)式を満足せず、耐応力腐食割れ性に劣る。
Claims (3)
- C:0.005〜0.03mass%、
Si:0.02〜0.70mass%、
Mn:0.01〜1.50mass%、
P:0.010〜0.050mass%、
S:0.002mass%以下、
Ni:30.0〜32.0mass%、
Cr:26.0〜28.0mass%、
Mo:3.0〜4.0mass%、
N:0.01〜0.10mass%、
Al:0.015〜0.20mass%
を含有し、さらに
Cu:0.7〜1.4mass%、
あるいはCo:0.003〜0.30mass%
を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度を有し、
かつ、下記の(1)、(2)式を満足するFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板。
0.8≦[mass%Cu]+15×[mass%Co]≦5.5 …(1)
2.1≦100×[mass%Al]+66.7×[mass%N]≦22.7 …(2) - 上記成分の組成に加えてさらに、
V:0.01〜0.15mass%、
Zr:0.001〜0.1mass%、
Nb:0.001〜0.1mass%
のうちから選ばれる1種または2種以上を、下記の式(3)を満たして含有することを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板。
0.04≦[mass%V]+10×[mass%Zr]+10×[mass%Nb]≦2.0
…(3) - 請求項1または2に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板の製造方法であって、原料を溶解し、AODまたはVODにて脱炭精錬し、スラグ中Cr酸化物を還元処理し、CaO−SiO 2 −Al 2 O 3 −MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、鋼片とし、熱間圧延、さらに冷間圧延して製造した冷延鋼板を1100〜1190℃の温度において焼鈍し、JIS G 0551に基づく4.0〜6.0の結晶粒度とすることを特徴とするFe−Ni−Cr−Mo合金の冷延鋼板の製造方法。
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