JP6842257B2 - Fe−Ni−Cr−Mo合金とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学プラント等、極めて優れた耐粒界腐食性が要求される環境において使用される表面性状に優れたFe−Ni−Cr−Mo合金とその製造方法に関するものである。
Fe−Ni−Cr−Mo合金はその良好な耐食性から様々な分野で利用されているが、腐食性の物質を含有する環境下、例えば海水環境、排煙脱硫装置、油井、食品プラント、化学プラントや原子力プラントで用いられている。上記の環境においてカーボンスチールやSUS304やSUS316などの汎用合金を使用した場合、孔食、すきま腐食や応力腐食割れ、あるいは粒界腐食が生じやすく使用の範囲に大きな制約があった。
そこで、Fe−Ni−Cr−Mo合金の耐食性を改善する技術として合金製成分中のCr、MoあるいはNを多量に添加することで耐食性を向上させる試みがなされてきている。例えば特許文献1に提案されるCr含有量が最大35%のオーステナイト系ステンレス鋼や特許文献2に提案されるMo含有量が最大8.0%のオーステナイト系ステンレス鋼が開発されている。さらに、特許文献3においては、N含有量を最大0.50mass%まで高めたオーステナイト系ステンレス鋼が提案されており、上記の高腐食環境において好適に用いることができるとされている。
上記文献の合金類の製造上の課題として、S、Si、Pなどの元素が粒界へ偏析するため、製造上の特に熱間圧延工程において耳割れや表面割れが発生し、著しく歩留まりの低下を招くとともに、製品である板やコイルの表面に疵が残存し、それを起点とした腐食の発生や、加工時に割れが発生する問題がある。この問題を回避するため、上記文献の合金類では、数10ppmのBあるいはMgを微量に添加することで熱間加工性を向上させ、板やコイル表面の疵の発生を防止している。
しかしながら、上記文献に開示の技術においては耐孔食性や耐すきま腐食性の改善を目的としており、耐粒界腐食性については何ら検討がなされていない。
一方、近年、原子力プラントや肥料プラントに代表される高電位域における高耐食合金の要求がより一層高まってきている。上記のプラントにおいては高電位域に晒されるためプラントに用いる合金の粒界腐食が起こることが知られているが、SUS304やSUS316より遥かに高い耐粒界腐食性を有する合金の開発が望まれている。
上述のようにBは熱間加工性を改善する元素として積極的に添加されているが、同時に耐粒界腐食を低下させる元素としても知られている。特許文献4、特許文献5および特許文献6に示される通り、オーステナイト系ステンレス鋼および二相ステンレス鋼においても高電位域の環境においてBの粒界腐食に対する悪影響が述べられている。特許文献4においては、耐粒界腐食性を向上させる目的でBを3ppm以下に含有することが提案されているが、その表面性状については何ら検討がなされていない。また、BはFe−Ni−Cr−Mo合金の製造上、スクラップ等の原料から不可避的に混入してくる元素の一種でもあるため、工業レベルでは少なからず数ppmの混入が考えられる。そのため、B量を3ppm以下に制御するためには原料費の増加が考えられる。
特許文献5では、B量とオーステナイト結晶粒径の関係をB(ppm)×d(μm)≦700に制御し、JIS G 0580に基づく電気化学的再活性化率について粒界腐食感受性を評価し、B量は30ppm以下に含有することが提案されている。しかしながら、検討されている合金類はSUS304、SUS316、SUS317など汎用オーステナイト系ステンレス鋼である。検討されたこれらの合金類は、Ni、CrおよびMoの含有量が低く、耐食性が低い低グレードの合金類であり、近年の厳しい粒界腐食環境には不適の合金類である。さらに、その表面性状については何ら検討がなされていない。
特許文献6では、耐粒界腐食性の良好な2相ステンレス鋼について、熱処理や冷却条件を種々規定することでα相とγ相界面の平均Cr濃度の差を制御し、さらにB量を0.0001〜0.001mass%に規定することで、耐粒界腐食性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、その表面性状については何ら検討がなされていない。
特開平5−247597号公報 特開平10−060603号公報 特開2010−31313号公報 特開2009−197316号公報 特開平7−113146号公報 特開2016−53213号公報
上記の従来技術より、Bは熱間加工性を改善し、製品の歩留まりを向上させるとともに耳割れや表面割れを防止し、表面性状の観点からは添加が必須である元素であると考えられる。しかしながら、Bは耐粒界腐食性を低下させる元素として知られており検討がなされているが、従来技術においては合金中のCr、MoおよびNi含有量の低い比較的低グレードの合金あるいは2相ステンレス鋼を対象にしたものであるため、耐粒界腐食性に有効なCrやNiの含有量が低く近年の高腐食環境下における耐粒界腐食性は十分ではない。
上記のように、従来技術においてはNiおよびCrを高く含有し耐食性を高めたFe−Ni−Cr−Mo合金の耐粒界腐食に及ぼすB量の影響と表面性状についての相関を検討したものはない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的はNiとCrを高く含有し、高電位域の高腐食環境において優れた耐粒界腐食性を有する表面性状に優れたFe−Ni−Cr−Mo合金とその製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた。その結果、合金中のNiとCr濃度を高めることで耐粒界腐食性を向上させるとともに、VあるいはNbのうち1種あるいは2種をある一定量の範囲で添加することでJIS G 0551に基づく結晶粒度を5.0〜7.0に制御し、Bの粒界腐食性に対する悪影響を低減して、良好な表面性状を確保しつつ、且つ、優れた耐粒界腐食性が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、C:0.005〜0.03mass%、Si:0.02〜0.25mass%、Mn:0.03〜0.40mass%、P:0.040mass%以下、S:0.003mass%以下、Ni:32.0〜38.0mass%、Cr:21.0〜25.0mass%、Mo:6.0〜8.0mass%、
N:0.20〜0.30mass%、Cu:0.01〜0.40mass%、Al:0.012〜0.1mass%、B:0.0005〜0.005mass%を含有し、さらにV:0.005〜0.250mass%あるいはNb:0.005〜0.250mass%を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記の(1)式を満足することを特徴とする。
0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250 …(1)
また、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金の製造方法は、C:0.005〜0.03mass%、Si:0.02〜0.25mass%、Mn:0.03〜0.40mass%、P:0.040mass%以下、S:0.003mass%以下、Ni:32.0〜38.0mass%、Cr:21.0〜25.0mass%、Mo:6.0〜8.0mass%、N:0.20〜0.30mass%、Cu:0.01〜0.40mass%、Al:0.012〜0.1mass%、B:0.0005〜0.005mass%を含有し、さらにV:0.005〜0.250mass%あるいはNb:0.005〜0.250mass%を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記の(1)式を満足するFe−Ni−Cr−Mo合金の熱延鋼板あるいは冷延鋼板を製造し、前記熱延鋼板あるいは冷延鋼板を1100〜1180℃の温度において焼鈍することを特徴とする。
0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250 …(1)
本発明においては、JIS G 0551に基づく5.0〜7.0の結晶粒度を有すること、σ相が析出していないことを更なる特徴とする。
本発明においては、下記の(2)式を満足することを特徴とする。
100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.90 …(2)
本発明によれば、Bの添加により表面性状を向上させ、かつVおよび/またはNbの添加により耐粒界腐食性を向上させたFe−Ni−Cr−Mo合金を提供することができるので、化学プラントなど粒界腐食の発生が懸念される環境下で使用される耐食性材料として好適に用いることができる。
予備実験におけるmass%Bとmass%V+mass%Nbとの関係を示す図である。 予備実験における腐食速度と焼鈍温度、結晶粒度と焼鈍温度との関係を示す図である。 実施例におけるmass%Bとmass%V+mass%Nbとの関係を示す図である。
従来から耐粒界腐食性は硫酸―硫酸第二鉄溶液を用いたASTM G28 Method Aや沸騰65mass%硝酸を用いたASTM A262 Practice Cに規定される所謂Streicher試験やHuey試験により評価されるが、発明者らは、近年の厳しさを増す高粒界腐食環境を想定し、沸騰70mass%硝酸溶液中にCr6+を0.5g/L添加した溶液において耐粒界腐食性を向上するべく、粒界に偏析あるいは析出するBに着目し、耐粒界腐食性への影響と表面性状を改善する効果とを合わせて検討した。また、VおよびNbのピンニング効果を用いて結晶粒径を制御し、結晶粒径を小さくすることで単位面積当たりの結晶粒界に対するBの悪影響を軽減できると考え、VとNbの添加量が粒界腐食へ及ぼす影響について検討した。
<実験1>
20kg容量の試験用高周波誘導炉でFe−23mass%Cr−35mass%Ni−7.5mass%Mo−0.25mass%Nを基本成分とする鋼を溶解した。溶解した鋼は、その後、鋳型に鋳込んで鋼塊とした後、熱間鍛造して厚さ8mmの鍛造板とした。その後、焼鈍と酸洗を行い、さらに厚さ2mmまで冷間圧延し、焼鈍と酸洗を行い、冷延板を作製した。この冷延板から幅:20mm×長さ:25mm×厚さ2mmの腐食試験片を採取した。この溶解に当たっては、表1に示す通り、B、VおよびNbの成分含有量を種々に変化させた。
上記腐食試験片を用いて、沸騰70mass%硝酸溶液中にCr6+を0.5g/L添加した溶液を用いた粒界腐食試験に供した。上記腐食試験では、腐食液を更新しながら、48時間を1バッチとする浸漬試験を5バッチ行い、腐食減量を測定して腐食速度を算出し、耐粒界腐食性を評価した。なお、上記腐食試験片には鋭敏化熱処理を施さず、試験片は表面を80番の耐水研磨紙で湿式研磨を行い試験に供した。
上記耐粒界腐食性の評価は、5バッチの平均腐食速度が0.25g/m・hr以下であれば耐粒界腐食性は良好と判断できることから、0.25g/m・hrを超えた場合は耐粒界腐食性が劣(×)とし、0.25g/m・hr以下を耐粒界腐食性が優(○)と判定した。
また、ステンレス鋼やFe−Ni−Cr−Mo合金の耐食性は一般的に耐孔食指数(Pitting Resistance Equivalent、PRE)と呼ばれるmass%Cr+3.3×mass%Mo+16×mass%Nで計算される値が高いほど耐食性が良好である。本環境においては耐孔食指数の値が45≦PRE≦55であればよい。PREが45を下回ると合金の耐食性が低く、十分な耐粒界腐食性が得られない。逆にPREが55を上回るとσ相あるいは窒化物が析出し易くなるため、かえって耐粒界腐食性が低下する。
次いで、同成分組成のインゴットから直径:8mmφ×長さ:70mm丸棒試験片を機械加工により採取し、熱間加工性再現試験装置(サーメックマスターZ)を使用し、高温引張り試験に供し、表面性状を評価した。
さらに、腐食試験片に供した冷延板の結晶粒度をJIS G 0551に基づいて測定した。
上記試験結果を表1に示した。図1は0.25g/m・hr以下の粒界腐食速度が得られ、かつ良好な表面性状が得られる範囲をB含有量とVおよびNbの総含有量の関係で示したものである。先述の通り、Bは耐粒界腐食性を低下させる元素であるが、図1からBが0.0050mass%を超えて含有すると、何れの鋼も0.25g/m・hr以下の粒界腐食速度を満足しなかった。従って、B量は0.0050mass%以下とする必要がある。B量は0.0050mass%を超えて含有するとVとNb量を増加させても、Bの耐粒界腐食に与える影響が顕著であり、0.25g/m・hr以下の良好な耐粒界腐食性が得られないことが認められた。また、B量が0.0004mass%以下であると良好な表面性状が得られないことが分かった。このことからB量は0.0005mass%以上、0.0050mass%以下の範囲において含有する必要がある。
VとNbの添加量は量元素の総量が0.005%以上含有されると0.25g/m・hr以下の腐食度が得られることが分かる。即ち、表1で鋼lおよび鋼mに注目すると、両者のB含有量および結晶粒径は同じであるが、VおよびNbの総量が0.010mass%と多い鋼mの方が腐食速度が低いことがわかる。このことから、VおよびNbをFe−Ni−Cr−Mo合金に微量に添加することで、耐粒界腐食性が向上することが分かった。VあるいはNbの添加により溶解速度が抑えられたと発明者らは推定している。さらに、VおよびNbを添加したことによりそれらの窒化物が析出し、高温で焼鈍しても所謂ピンニング効果により結晶粒径の成長が抑制され、その結果、単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量が低下し、耐粒界腐食に与えるBの悪影響が軽減され、良好な耐粒界腐食性が得られたと考えられる。但し、VおよびNbの総量が0.005mass%未満であると十分なピンニング効果が得られず結晶粒が粗大化しており、0.25g/m・hr以下の耐粒界腐食性が得られなかった。一方、VとNbの総量が0.250mass%を超えて含有すると粒界腐食速度は増加し、0.25g/m・hrを満足しなかった。この原因はVおよびNbはσ相の析出を助長するため、VとNbの必要以上の添加はかえって耐粒界腐食性の低下を招くことが認められた。従って、VおよびNbは0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250の関係を満足すれば良好な耐粒界腐食性が得られることがわかる。
また、B量が多く、且つ、VとNbの添加量も多い範囲においては、例えばNo.kの鋼はB添加量が0.0045mass%と多く、且つ、VおよびNbの総含有量が0.254mass%と上述の範囲を超えているため、Bの耐粒界腐食に対する悪影響とσ相析出の両要因により耐粒界腐食性が劣化したと考えられる。上記範囲は100×mass%B+2.0(mass%V+mass%Nb)≦0.90の関係を満足すれば、良好な耐粒界腐食性が得られることを見出した。
この時の0.25g/m・hr以下の腐食速度が得られた鋼の結晶粒度をJIS G 0551に基づいて測定した結果、何れも5.0〜7.0の結晶粒度を有していることが認められた。なお、さらに実験を進めたところ、Alの添加量が少ないとAlNが析出せず、粒界腐食性が低下することも分かった。これはAlNのピンニング効果も影響していると考えられた。
上述の実験1の結果から、B含有量、VおよびNb含有量を適正な範囲に限定し、さらにJIS G 0551に基づく結晶粒度を5.0〜7.0に制御すれば、表面性状に優れ、かつ耐粒界腐食性に優れるFe−Ni−Cr−Mo合金を得ることができることが分かった。
Figure 0006842257
<実験2>
ところで、高Cr、高Mo含有であるσ相やχ相などの金属間化合物が析出し易い成分系においては、固溶化したオーステナイト相組織を得るため焼鈍温度を十分に高くすることが望ましい。但し、焼鈍温度が高すぎると、VとNbの窒化物が固溶化されピンニング効果が得られず、結晶粒径の制御ができなくなると考えられる。そこで、Fe−23mass%Cr−35mass%Ni−7.5mass%Mo−0.25mass%Nを基本成分とする鋼にBを0.0048mass%、Vを0.105mass%さらにNbを0.104mass%添加し溶解した鋼に冷間圧延を施し、冷間圧延を施したままの板を焼鈍温度1080℃、1100℃、1120℃、1140℃、1160℃、1180℃、1200℃と変化させて焼鈍を行った後に、直ちに水冷を施して作製した冷延板を上記粒界腐食試験に供した。焼鈍時間は何れも1分間とした。上記試験結果を表2に示した。図2は焼鈍温度が粒界腐食速度に及ぼす影響を示したものである。この結果から焼鈍温度を1100℃〜1180℃の温度域で実施すれば粒界腐食速度が0.25g/m・hr以下の良好な耐粒界腐食性を得ることができることが分かる。
結晶粒度を測定した結果、1100℃〜1180℃の温度域において焼鈍された鋼はJIS G 0551に基づく結晶粒度が5.0〜7.0を有していることが認められた。上述の通り、VおよびNbを添加したことによりそれらの窒化物が析出し、焼鈍してもピンニング効果により結晶粒径の成長が抑制され、結晶粒度5.0〜7.0の微細な結晶粒径を得ることができる。その結果、Bの単位面積当たりの結晶粒界に偏析する量が低下し、Bの耐粒界腐食に与える悪影響が軽減され、良好な耐粒界腐食性が得られたと考えられる。1200℃において焼鈍した鋼は高温で焼鈍したためVおよびNbの窒化物が固溶化され、その結果、ピンニング効果が得られず、結晶粒径が粗大化していた。そのため、単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量が増加し、耐粒界腐食性が劣化したものと考えられた。なお結晶粒度は2.0であった。
また、1080℃において焼鈍した鋼の結晶粒度は8.0と微細な結晶粒径であったが、焼鈍温度が低温すぎたためσ相が残存しており、耐粒界腐食性が劣化したものと考えられた。
Figure 0006842257
次に、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金が有すべき組成成分について説明する。
C:0.005〜0.03mass%以下
Cはオーステナイト相安定化元素である。しかし、多量に添加すると、CrおよびMo等と結合して炭化物を形成し炭化物を形成し、母材中の固溶Crおよび固溶Moの量が低下し、耐食性を低下させる。一方、Cの下限値は強度の低下を防止する観点から0.005mass%とする。よって、Cは0.005〜0.03mass%に制限する。好ましくは0.005〜0.025mass%であり、より好ましくは0.005〜0.02mass%である。
Si:0.02〜0.25mass%
Siは脱酸剤として添加される元素である。また、Siは溶鋼の流動性を高め、溶接性を良好にする元素でもあるため0.02mass%以上の添加が望ましい。しかし、Siはσ相などの金属間化合物の析出を促進し、また、粒界腐食感受性を増大させる元素でもあるので上限を0.25mass%とする。好ましくは0.24mass%以下であり、より好ましくは0.23mass%以下である。
Mn:0.03〜0.40mass%
Mnは脱酸作用を有する元素であるため、その効果を得るためには少なくとも0.03mass%以上は必要である。しかし、MnもSiと同様にσ相やχ相などの金属間化合物の析出を招くため、必要以上の添加は好ましくない。そのため、0.40mass%以下にする必要がある。好ましくは0.30mass%以下、より好ましくは0.20mass%以下である。
P:0.040mass%以下
Pは不純物として鋼中に不可避的に混入してくる元素であり、リン化物として結晶粒界に析出し、耐粒界腐食性や熱間加工性を害するため、極力低減することが望ましい。しかしながら、Pの含有量を極端に低減させることは製造コストの増加を招く。よって、本発明においては、Pは0.040mass%以下に制限する。好ましくは0.030mass%以下であり、より好ましくは0.020mass%以下である。
S:0.003mass%以下
SはPと同様に不純物として不可避的に混入してくる元素であり、結晶粒界に偏析し易く耐食性および熱間加工性に有害な元素である。特に0.003%を超えて含有するとその有害性が顕著に現れるので、0.003mass%以下にする必要がある。好ましくは0.002mass%以下、より好ましくは0.001mass%以下である。
Ni:32.0〜38.0mass%
Niはσ相やχ相などの金属間化合物の析出を抑制し、耐粒界腐食や耐全面腐食性を向上させる重要な元素である。含有量が32.0mass%を下回ると金属間化合物の析出が助長され、一方、38.0mass%を上回ると熱間加工性の劣化や熱間変形抵抗の増大を招く。よって、Ni含有量は32.0〜38.0mass%とした。好ましくは33.0〜37.0mass%、より好もしくは34.0〜36.0mass%である。
Cr:21.0〜25.0mass%
Crは耐粒界腐食のみならず耐孔食性や耐すきま腐食性をも向上させる重要な元素である。その効果を十分得るには21.0mass%以上含有する必要がある。しかしながら、25.0mass%を超えて含有するとσ相やχ相などの金属間化合物の析出が助長され、かえって耐食性を劣化させるので、21.0〜25.0mass%とした。好ましくは22.0〜25.0mass%、より好ましくは23.0〜25.0mass%である。
Mo:6.0〜8.0mass%
Moは耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素であるので、6.0mass%以上の含有を必要とする。しかし、Moの過剰な添加はσ相やχ相などの金属間化合物の析出を助長し、耐粒界腐食性を低下させる。よって、Moは6.0〜8.0mass%の範囲とする。好ましくは7.0〜8.0mass%、より好ましくは7.5〜8.0mass%である。
N:0.20〜0.30mass%
NはCr、Moと同様に耐全面腐食性、耐孔食性および耐すきま腐食性を向上させるのに有益な元素である。その効果を得るためには0.20mass%以上の添加が必要である。また、結晶粒度を制御するためのVあるいはNbの窒化物を析出させるためにも0.20mass以上の添加が必要である。しかしながら、Nを0.30mass%を超えて含有すると熱間変形抵抗が極めて上昇し、熱間加工性を阻害するので、Nの含有量は0.20〜0.30mass%とした。好ましくは0.21mass%〜0.28mass%、より好ましくは0.21〜0.27mass%である。
Cu:0.01〜0.40mass%
Cuは一般的な耐食性の向上に有効であるが、その効果を得るためには0.01mass%以上含有させる必要がある。しかし、高電位域の環境においては腐食を進行させる元素となるため0.30mass%以下がよい。よって、その含有量を0.01〜0.40mass%とした。好ましくは0.05〜0.35mass%、より好ましくは0.08〜0.30mass%である。
Al:0.012〜0.1mass%
Alは脱酸によって脱硫を促進してSを低減し、熱間加工性を向上する効果を有するため積極的に添加する必要があるが、Alが0.1mass%を超えると金属間化合物の析出を助長し、さらに、Alの酸化物が析出し、高電位の領域において溶解するため、耐粒界腐食性が低下する。また、AlNはピンニング効果を有するため、結晶粒径の粗大化抑制に効果があり、耐粒界腐食性を向上させるが、含有量が0.012mass%を下回るとその効果が得られない。従って、Alの含有量は0.012〜0.1mass%とした。好ましくは0.012〜0.075mass%、より好ましくは0.012〜0.050mass%である。
B:0.0005〜0.005mass%
Bは熱間加工性を低下させるSよりも優先的に結晶粒界に偏析して、熱間加工性を改善する効果を有するが、0.0005mass%を下回るとその効果が得られない。一方、結晶粒界に偏析するため0.005mass%を超えて含有すると耐粒界腐食性を著しく劣化させる。従って、Bの含有量は0.0005〜0.005mass%とした。好ましくは0.0005〜0.0045mass%、より好ましくは0.0005〜0.004mass%である。
V:0.005〜0.250mass%
Vは微量の添加で耐粒界腐食性を向上させ、さらに、Bの耐粒界腐食性を低下させる作用を抑制するという観点から本発明においては重要な役割を担う成分である。即ち、VはVの窒化物として析出し、高温での焼鈍時の結晶粒径の粗大化を防止し、これにより結晶粒度を制御することが可能になる。結晶粒径を微細化しBの単位面積当たりの結晶粒界に偏析する量を低下させることで耐粒界腐食性を改善することができる。但し、0.005mass%を下回るとその効果が十分に得られない。また、0.250mass%を上回るとσ相やχ相などの金属間化合物の析出を助長し、耐粒界腐食性を劣化させる。従って、Vの含有量は0.005〜0.250mass%とした。好ましくは0.010〜0.240mass%、より好ましくは0.015〜0.230mass%である。
Nb:0.005〜0.250mass%
NbもVと同様に微量の添加で耐粒界腐食性を向上させ、さらに、Bの耐粒界腐食性を低下させる作用を抑制するという観点から本発明においては重要な役割を担う成分である。その機構はVと同様であり、Nbの窒化物として析出し、高温での焼鈍時の結晶粒径の粗大化を防止し、結晶粒度を制御する。但し、0.005mass%を下回るとその効果が十分に得られない。また、0.250mass%を上回るとσ相やχ相などの金属間化合物の析出を助長し、耐粒界腐食性を劣化させる。従って、Nbの含有量は0.005〜0.250mass%とした。好ましくは0.010〜0.240mass%、より好ましくは0.015〜0.230mass%である。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、上記組成成分を満たすことに加えて、JIS G 0551に基づく5.0〜7.0の結晶粒度を有し、さらに下記式(1)を満たして含有することが必要である。
0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250 …(1)
前述したように、VおよびNbはFe−Ni−Cr−Mo合金の耐粒界腐食性を微量の添加でも向上させるため、添加する必要がある。また、VおよびNbの窒化物が析出し、高温で焼鈍しても所謂ピンニング効果により結晶粒径の成長が抑制され、その結果、単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量が低下し、耐粒界腐食に与えるBの悪影響が軽減され、良好な耐粒界腐食性が得られる。その効果を十分に得るためには、図1に示したようにVとNbの量元素の総量が0.005mass%以上必要である。一方、VとNbの総量が0.250mass%を超えて含有するとσ相の析出が助長され、かえって耐粒界腐食性の低下を招く。従って、良好な耐粒界腐食性を得るためには、VおよびNbは0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250であることが必要である。好ましくは0.010≦[mass%V+mass%Nb]≦0.249であり、より好ましくは0.015≦[mass%V+mass%Nb]≦0.248である。
100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.90 …(2)
Bは良好な表面性状の鋼板あるいはコイルを製造するため、添加が必須な元素である一方で、結晶粒界に偏析するため耐粒界腐食性を低下させる。VおよびNbは微量の添加で耐粒界腐食性を向上させるとともに、窒化物を析出させ、そのピンニング効果により結晶粒径を制御することで耐粒界腐食性を向上させるが、上述した通り、VとNbの過剰な添加はσ相の析出が助長され、耐粒界腐食性の低下を招く。即ち、B量が多く、且つ、VとNbの添加量が多い範囲ではBの耐粒界腐食に対する悪影響とσ相析出の両要因により耐粒界腐食性が劣化する。従って、良好な耐粒界腐食性が得られ、且つ、良好な表面性状を得るためには、100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.90を満たすことが必要である。好ましくは100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.88、より好ましくは100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.86である。
JIS G 0551に基づく5.0〜7.0の結晶粒度
粒界腐食速度は単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量の影響を受けるため、結晶粒径を制御することは重要である。JIS G 0577に基づく結晶粒度が5.0未満であると、単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量が増加し、Bの粒界腐食に対する悪影響が顕著にあらわれる。一方、結晶粒度が7.0を超えると、結晶粒径の総面積が増加し、Bの粒界腐食への悪影響は軽減されるため耐粒界腐食性は確保されるが、硬度が高すぎるため加工が困難になる。従って、JIS G 0551に基づく結晶粒度は5.0〜7.0である必要がある。
1100〜1180℃の温度において焼鈍
ところで、本発明のような高Crおよび高Moの鋼においてはσ相やχ相などの金属間化合物が残存し易いため、固溶化したオーステナイト相組織を得るためには高温での焼鈍が望ましい。しかし、前述の通り、結晶粒径が大きくなると、単位面積当たりの結晶粒界に偏析するB量が増加し、Bの粒界腐食に対する悪影響が顕著に現れる。図2に示す通り、1200℃の高温で焼鈍するとVあるいはNbの窒化物が固溶化され、結晶粒度は2.0まで粗大化しており、良好な耐粒界腐食性が得られないことがわかる。逆に、1080℃で焼鈍すると、結晶粒度は8.0の微細な結晶粒径が得られたが、低温すぎたためσ相が固溶されずに残存しており、良好な耐粒界腐食性が得られなかった。従って、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金を製造するに際し、常法に従って製造した熱延鋼板あるいは冷延鋼板は1100〜1180℃の温度において焼鈍することが必要である。
次に、本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金の製造方法について説明する。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、鉄屑、ステンレス屑、フェロニッケル、フェロクロムなどの原料を電気炉で溶解し、AOD炉またはVOD炉にて、酸素および希ガスの混合ガスを吹錬して脱炭精錬し、生石灰、Fe−Si合金、Al等を添加してスラグ中のCr酸化物を還元処理した後、蛍石を添加してCaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを形成して脱酸および脱硫し、さらにCa、Mgを添加した後、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法で鋼片とし、その後、上記鋼片を、熱間圧延し、あるいは、さらに冷間圧延して、薄鋼板、厚鋼板、形鋼、棒鋼、線材等の各種鋼材とするのが好ましい。
鉄屑、フェロクロム、フェロニッケル、ステンレス屑などを所定の比率に調整した原料を、電気炉にて溶解し、AOD(Argon Oxygen Decarburization)炉、またはVOD(Vacuum Oxygen Decarbutization)炉で二次精錬して表3に示した種々の成分組成に調整した後、連続鋳造して鋼片(スラブ)とした。なお、表3中に示したC、Sの組成は、炭素・硫黄同時分析装置(酸素気流中燃焼−赤外線吸収法)を用いて、Nの組成は、酸素・窒素同時分析装置(不活性ガス−インパルス加熱溶融法)を用いて、また、上記以外の組成は蛍光X線分析を用いて、分析した値である。
次いで、上記スラブを熱間圧延し、冷間圧延、熱処理および酸洗を繰り返して板厚2〜3mmの冷延コイルとした。この際、冷間圧延後の鋼板の表面および裏面をコイル全長に亘って目視観察し、長さが10mm以上の面割れが、60m2当たり6箇所以上発生していたコイルは表面性状が劣(×)、5箇所以下のコイルは表面性状が良(○)、表面割れの発生がまったくないコイルは表面性状が優(◎)と判定した。
次いで、上記冷延コイルから、幅20mm×長さ25mm×板厚2〜3mmの腐食試験片を採取し、鋭敏化熱処理を施すことなく沸騰70mass%硝酸溶液中にCr6+を0.5g/L添加した溶液に用いて、腐食液を更新しながら48時間を1バッチとする浸漬試験を5バッチ行い、腐食減量を測定して、腐食速度を求め、耐粒界腐食性を評価した。なお、耐粒界腐食の評価は0.25g/m・hrを超えた場合は耐粒界腐食性が劣(×)とし、0.25g/m・hr以下を耐粒界腐食性が優(○)と判定した。
さらに、鋼板の結晶粒度をJIS G 0551に基づき測定した。
上記表面性状評価結果、耐粒界腐食性の評価結果および結晶粒度の測定結果を表3中に併記した。
Figure 0006842257
表3に示したNo.1〜29までの鋼板は、本発明の条件を満たす発明例であり、優れた耐粒界腐食性と表面性状を兼備している。この中で、B量が0.0015mass%以下ある例は、判定上は合格の範囲内であるものの、熱間加工性が若干低下したため、表面性状の評価は(◎)から(○)となった。
一方、No.30〜42までの鋼板は、比較例である。
No.30の鋼は(1)式および(2)式を満足するが、B量が0.0058mass%と多く耐粒界腐食性に劣る。
No.31の鋼は(1)式を満足せず、耐粒界腐食性に劣る。
No.32の鋼はV量が0.261mass%と多いため、σ相が析出し、(1)式を満足せず、耐粒界腐食性に劣る。
No.33の鋼はNb量が0.268mass%と多いため、σ相が析出し、(1)式を満足せず、耐粒界腐食性に劣る。
No.34の鋼はVとNbの総添加量が少ないため(1)式を満足せず、そのため、ピンニング効果が得られず結晶粒径が粗大化し、耐粒界腐食性に劣る。
No.35の鋼はNo.34の鋼と同様にVとNbの総添加量が少ないため、焼鈍温度を低下し焼鈍したが、ピンニング効果が得られず結晶粒径が粗大化し、耐粒界腐食性に劣る。
No.36の鋼はB量が0.0001mass%と低く、耐粒界腐食性は良好であったが、表面割れが発生し、表面性状に劣る。
No.37の鋼はB量が0.0002mass%と低いため、表面割れが発生し、表面性状に劣り、且つ(1)式を満足しないためσ相が発生し、耐粒界腐食性にも劣る。
No.38はB量が0.055mass%と非常に高く、(1)式および(2)式を満足せず、耐粒界腐食性に劣る。
No.39の鋼はAlが0.005mass%と低く、AlNによるピンニング効果が得られず、耐粒界腐食性に劣る。
No.40の鋼はAlが0.158mass%と高く、Alの酸化物が高電位の粒界腐食試験において溶解したため、耐粒界腐食性に劣る。
No.41の鋼は焼鈍温度が1090℃と低くσ相が析出し、耐粒界腐食性に劣る。
No.42の鋼は焼鈍温度が1190℃と高く、VおよびNbの窒化物が固溶化され、結晶粒径が粗大化し耐粒界腐食性に劣る。
本発明のFe−Ni−Cr−Mo合金は、優れた耐粒界腐食性と優れた表面性状を兼備しているため、粒界腐食が腐食原因となる化学プラントなどに好適に利用できる。

Claims (4)

  1. C:0.005〜0.03mass%、
    Si:0.02〜0.25mass%、
    Mn:0.03〜0.40mass%、
    P:0.040mass%以下、
    S:0.003mass%以下、
    Ni:32.0〜38.0mass%、
    Cr:21.0〜25.0mass%、
    Mo:6.0〜8.0mass%、
    N:0.20〜0.30mass%、
    Cu:0.01〜0.40mass%、
    Al:0.012〜0.1mass%、
    B:0.0005〜0.005mass%
    を含有し、さらに
    V:0.005〜0.250mass%
    あるいはNb:0.005〜0.250mass%
    を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    JIS G 0551に基づく5.0〜7.0の結晶粒度を有し、
    σ相が析出しておらず、
    かつ、下記の(1)式を満足することを特徴とするFe−Ni−Cr−Mo合金。
    0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250 …(1)
  2. 下記の(2)式を満足することを特徴とする請求項1に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金。
    100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.90 …(2)
  3. C:0.005〜0.03mass%、
    Si:0.02〜0.25mass%、
    Mn:0.03〜0.40mass%、
    P:0.040mass%以下、
    S:0.003mass%以下、
    Ni:32.0〜38.0mass%、
    Cr:21.0〜25.0mass%、
    Mo:6.0〜8.0mass%、
    N:0.20〜0.30mass%、
    Cu:0.01〜0.40mass%、
    Al:0.012〜0.1mass%、
    B:0.0005〜0.005mass%
    を含有し、さらに
    V:0.005〜0.250mass%
    あるいはNb:0.005〜0.250mass%
    を1種あるいは2種含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    かつ、下記の(1)式を満足するFe−Ni−Cr−Mo合金の熱延鋼板あるいは冷延鋼板を製造し、
    前記熱延鋼板あるいは冷延鋼板を1100〜1180℃の温度において焼鈍し、
    JIS G 0551に基づく5.0〜7.0の結晶粒度を有し、
    σ相が析出していないことを特徴とするFe−Ni−Cr−Mo合金の製造方法。
    0.005≦[mass%V+mass%Nb]≦0.250 …(1)
  4. 下記の(2)式を満足することを特徴とする請求項3に記載のFe−Ni−Cr−Mo合金の製造方法。
    100[mass%B]+2.0×[mass%V+mass%Nb]≦0.90 …(2)
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