JP6720856B2 - 電池モジュールの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の電池セルが接続された電池モジュールの制御装置に関する。
回転電機を駆動源とするハイブリッド車両や電気自動車には、電源となる電池モジュールが搭載される。電池モジュールは複数の電池セル(単電池)が接続されて構成される。
電池モジュールには制御装置が設けられる。制御装置は、各電池セルの電圧を検出する電圧検出回路や、各電池セルの電圧のばらつきを解消する均等化回路を備える。均等化回路はいわゆるパッシブバランシング型(均等化放電型)の回路であり、電力を消費させる(捨てる)ための放電抵抗と、電池セル及び放電抵抗とを含むループ回路(放電回路)の接続/遮断を切り替えるスイッチを備える。
均等化回路においてスイッチがオン故障(例えば接点溶着)すると、ループ回路が維持されるので当該回路に繋がれた電池セルが電力消費して電圧降下が進行する。また、電池セルが微短絡した場合も、電力消費により電池セルの電圧降下が進行する。なお、微短絡とは例えば電池セルの正極と負極の間のセパレータの肉薄部分(絶縁抵抗の相対的に低い部分)を介してわずかな導通が生じる等、正極と負極とが接続される短絡の前段階とも言うべき状態であって、上記わずかな導通により電力消費が進行する。
例えば特許文献1では、電池セルの電圧降下が見られる場合に、それが電池セルの異常(微短絡)であるか、均等化回路の異常であるかを判定している。具体的には、スイッチに対してオン指令を与えたときの電圧降下と、スイッチに対してオフ指令を与えたときの電圧降下を比較し、例えば両者の差異が小さい場合は均等化回路に異常有り(スイッチのオン故障)と判定する。
また特許文献2では、均等化回路に流れる電流のレベルと電圧情報に基づいて電池セルの異常電圧を検知している。また特許文献3では、1つの蓄電ブロックに対して、均等化放電回路を介して電圧検出回路に接続される検出経路と、均等化放電回路を介さずに電圧検出回路に接続される検出経路(バイパス経路)とを備え、各検出経路より検出された電圧値を比較して、均等化放電回路の異常を検出している。
特開2016−140156号公報 特開2015−012649号公報 特開2014−090635号公報
ところで、電池モジュール及びその制御装置に起こり得る異常として、従来から挙げられている電池セル異常及び均等化回路異常の他に、電圧検出回路の異常が挙げられる。本発明は、電圧検出回路の異常有無を判定可能な、電池モジュールの制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、複数の電池セルが接続された電池モジュールの制御装置に関する。当該制御装置は、電圧検出回路、均等化回路、及び異常判定部を備える。電圧検出回路は、それぞれの電池セルの電圧を検出する。均等化回路は、電圧検出回路により検出されたそれぞれの電池セルの電圧のうち最小電圧に他の電池セルの電圧を揃える均等化放電を実行する。異常判定部は、所定回目の均等化放電とその前回の均等化放電とで最小電圧となる電池セルであるターゲットセルが異なり、かつ、所定回目の均等化放電におけるターゲットセルが所定回目後の均等化放電においてターゲットセルから除外される期間が所定期間継続する場合に、電圧検出回路に異常有りと判定する。
後述するように、全ての電池セルが正常であり、かつ、電圧検出回路が正常である場合、均等化放電において特定の電池セルがターゲットセルとして選択され続ける。所定回目の均等化放電とその前回とでターゲットセルが異なる場合、前回と所定回目の間に、任意の電池セルに微短絡が発生しそれがターゲットセルになったか、または電圧検出回路に異常が生じたかのどちらかが考えられる。前者(微短絡発生)の場合、所定回目後の均等化放電にて同一の電池セル(微短絡セル)がターゲットセルとして引き続き選択され、他の電池セルは選択されない。他の電池セルが選択されたならば、電圧検出回路に異常有りと判定できる。このように本発明では、均等化放電の基準となるターゲットセルの異同に基づき、電圧検出回路の異常有無が判定可能となる。
本実施形態に係る電池モジュールの制御装置を含む回路図である。 電圧検出回路正常時の均等化放電プロセスを例示するタイムチャートである。 電圧検出回路異常時の均等化放電プロセスを例示するタイムチャートである。 均等化放電フローを例示するフローチャートである。 第1異常判定フローを例示するフローチャートである。 第2異常判定フローを例示するフローチャートである。
図1に、本実施形態に係る電池モジュール12の制御装置14を例示する。電池モジュール12及びその制御装置14は、例えば回転電機を駆動源とするハイブリッド車両や電気自動車に搭載される。
電池モジュール12は、複数の電池セル10(単電池)が接続される。図1に示す例では、n個の電池セル10_1,10_2,・・・10_nが直列接続される。電池セル10は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池から構成される。
制御装置14は、回路部16及び演算部18を備える。回路部16は、均等化回路20及び電圧検出回路22を備える。電圧検出回路22及び均等化回路20は回路が一部共通しており、マルチプレクサ24、電圧センサ26、シーケンサ28、及びインターフェース30を備える。マルチプレクサ24、電圧センサ26、シーケンサ28、及びインターフェース30は一台のコンピュータに搭載されていてもよい。
電圧検出回路22に関して、各電池セル10_1〜10_nの正極端及び負極端の各ノードN_1〜N_n+1から配線が引き出される。一方の電池セル10_k−1(k=2〜n)の負極と他方の電池セル10_kの正極との間のノードN_kから引き出された配線は一方の負極配線LN_k−1及び他方の正極配線LP_kに分岐され、マルチプレクサ24の各チャンネルCH(k−1)N,CHkPに接続される。
電池モジュール12のうち、最も正極側の電池セル10_1の正極端のノードN_1から引き出された配線は分岐せずに正極配線LP_1としてマルチプレクサ24のチャンネルCH1Pに接続される。同様にして、電池モジュール12のうち、最も負極側の電池セル10_nの負極端のノードN_n+1から引き出された配線は分岐せずに負極配線LN_nとしてマルチプレクサ24のチャンネルCHnNに接続される。
さらに電池モジュール12全体の電圧を測定する配線LP_0,LN_0が設けられる。配線LP_0は電池セル10_1の正極端のノードN_0Pから引き出されマルチプレクサ24のチャンネルCH0Pに接続される。配線LN_0は電池セル10_nの負極端のノードN_0Nから引き出されマルチプレクサ24のチャンネルCH0Nに接続される。
正極配線LP_kと負極配線LN_kとの間には平滑コンデンサCkが接続される。また正極配線LP_kに抵抗RkPが設けられ、負極配線LN_kに抵抗RkNが設けられる。後述するように抵抗RkP,RkNは電池セル10_kの電圧検出用の抵抗と均等化放電用の放電抵抗とを兼ねている。
均等化回路20は電圧検出回路22と回路を共通しており、正極配線LP_k及び負極配線LN_k、抵抗RkN及び抵抗RkP、ならびに、スイッチSW1〜SWnを備える。スイッチSWk(k=1〜n)は正極配線LP_kと負極配線LN_kとの間に設けられる。スイッチSWkは図示しない信号線によって演算部18に接続され、そのオン/オフ切り替え制御が可能となっている。
均等化回路20はいわゆるパッシブバランシング型(均等化放電型)の回路であり、スイッチSWkを閉じると電池セル10_k、抵抗RkP、スイッチSWk、抵抗RkNを含むループ回路が形成される。電池セル10_kの電力が抵抗RkP,RkNに消費される(捨てられる)ことで電池セル10_kの電圧を後述するターゲットセルの電圧Vminまで下げることが可能となる。
シーケンサ28は例えばプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)から構成される。シーケンサ28はインターフェース30を介して所定の電池セル10_kに対する電圧値検出指令を受信し、これに応じたチャンネル指令をマルチプレクサ24に出力する。例えば電池セル10_kの電圧値検出指令を受信すると、チャンネルCHkP,CHkNを選択するチャンネル指令をマルチプレクサ24に出力する。マルチプレクサ24によるチャンネル切り替えにより、電圧センサ26はチャンネルCHkP,CHkN間の電圧を検出する。検出された電圧値はインターフェース30を介して演算部18に送信される。このようにして、電圧検出回路22はそれぞれの電池セル10_kの電圧Vkを検出可能となる。なお、電池モジュール12全体の電圧を検出する際にはチャンネルCH0P,CH0Nが選択される。
演算部18は例えばコンピュータから構成され、CPU及び記憶部を備える。演算部18は例えば車載の電池ECU(電子コントロールユニット)であってよい。演算部18の記憶部に記憶された均等化プログラム及び電圧検出回路異常判定プログラムをCPUが実行することで、演算部18には電圧比較部32、ターゲットセル設定部34、均等化放電処理制御部36、及び異常判定部38が構成される。異常判定部38は第1異常判定実行部40及び第2異常判定実行部42を備える。
図2を用いて、電圧検出回路22が正常であるときの、均等化放電プロセスについて説明する。均等化放電は、車両の駆動システムが停止されたイグニッション−オフ期間に実行される。イグニッション−オフ期間とは、要するに電池モジュール12の休止期間であり、いわゆる待機電力以外の消費電力が無いような期間を指す。例えば車両のパワースイッチがオフ操作された後の期間がこれに相当する。またいわゆるプラグイン−ハイブリッド車両では、パワースイッチのオフ操作に加えて、外部充電と電池モジュール12とを接続する充電リレーが遮断状態である期間がイグニッション−オフ期間に相当する。
イグニッション−オフ期間には、電池セル10_1〜10_nのSOCを均等化するために均等化放電が実施される。電池セル10_1〜10_nのSOCは電圧(両端電圧)と相関があることが知られており、これを利用して均等化放電では各電池セル10_1〜10_nを適宜放電させて電圧を揃える。
均等化放電に当たり、電圧検出回路22にて電池セル10_1〜10_nのうちで最小電圧Vminの電池セル10_kを検出し、均等化回路20にて、他の電池セル10_1〜10_k−1,10_k+1〜10_nの電圧を当該最小電圧Vminに揃える。以下では適宜、最小電圧Vminの電池セル10_kをターゲットセルと呼ぶ。
図2には、全ての電池セル10_1〜10_nが正常であり、かつ、電圧検出回路22も正常であるときの均等化放電プロセスが例示されている。なお、図示を簡潔にするため、電池セル数は5(n=5)としている。
一般的に、電池セル10_1〜10_nが正常である場合であっても、各電池セル10_1〜10_nの電圧降下には個体差が存在する。例えば図2のように電池セル10_5に対する電圧検出回路22の消費電力が他の電池セル10に対する電圧検出回路22の消費電力よりも大きい場合、電池セル10_5の電圧降下は他の電池セル10_1〜10_4の電圧降下よりも早く進行する(落ち方が大きい)。
イグニッション−オフ期間に移行した時刻t0から所定の待機時間(インターバル)を経て、時刻t1において電圧検出回路22によって全ての電池セル10_1〜10_nの電圧が検出される。上述したように他の電池セルよりも電圧降下の大きい電池セル10_5は全ての電池セル10のうちで最小電圧Vminとなり、ターゲットセルに選択される。時刻t1から時刻t2にかけて均等化放電が実施され、全ての電池セル10の電圧が電圧Vmin(ターゲット電圧)に揃えられる。
さらに所定の待機時間を経て時刻t3において電圧検出回路22によって全ての電池セル10_1〜10_nの電圧が検出される。ここでも電池セル10_5の電圧が最小電圧Vminとなり、電池セル10_5はターゲットセルに選択される。時刻t3から時刻t4にかけて均等化放電が実施され、全ての電池セル10の電圧がターゲット電圧Vmin(ターゲット電圧)に揃えられる。
図3には、イグニッション−オフ期間中に電圧検出回路22に異常が生じたときに、その異常を検出するプロセスが例示されている。時刻t0から時刻t2までは図2と同様のため説明を省略する。図3では、1回目の均等化放電が実施された後の時刻t5に電圧検出回路22に異常が生じている。例えば電圧センサ26における電圧検出回路22のゲインが、マルチプレクサ24のチャンネルごとに異なる(狂いが生じた)ような場合がこれに相当する。
図3中、破線は電池セル10_1〜10_5の実際の電圧値(真値)を示している。時刻t2から所定の待機時間が経過して時刻t6に至ると、電池セル10_1〜10_5の電圧が検出される。このとき、図3に示すように、実際には最小電圧である電池セル10_5の検出値よりも電池セル10_3の検出電圧値の方が低く検出(誤検出)され、ターゲットセルが電池セル10_3に選択される。
ここで、所定回目の均等化放電とその前回の均等化放電とでターゲットセルが異なる原因として、電圧検出回路22の異常の他に、電池セル10に微短絡が生じた場合が考えられる。すなわち、上述したように電池セル10に微短絡が発生するとその電圧降下が拡大して最小電圧を取るようになり、その結果ターゲットセルとして選択され得る。
そこで本実施形態では、所定回目の均等化放電とその前回の均等化放電とでターゲットセルが異なったときに、その原因が電圧検出回路22の異常によるものか、電池セル10の微短絡によるものかを切り分ける。
電池セル10の微短絡の場合、その微短絡が生じた電池セル10(微短絡セル)がターゲットセルに選択される。この場合において、電圧検出回路22が正常であるならば、その(所定回目の)次の均等化放電時にも同一の電池セル10(微短絡セル)がターゲットセルに選択される。一方、電圧検出回路22に異常があるならば、次回の均等化放電において、前回とは異なる電池セル10がターゲットセルとして選択される。例えば図3においては、時刻t6にて電池セル10_3がターゲットセルとして選択された後、時刻t8において電池セル10_1がターゲットセルとして選択される。
このような事例を考慮して、本実施形態に係る異常判定部38は、ターゲットセルの異同をもとに、電圧検出回路22の異常有無を判定している。すなわち異常判定部38は、所定回目の均等化放電とその前回の均等化放電とでターゲットセルが異なり、さらに所定回目の均等化放電におけるターゲットセルが所定回目後の均等化放電においてターゲットセルには選択されない(除外される)期間が所定期間継続する場合に、電圧検出回路22に異常有りと判定する。
図4には、本実施形態に係る均等化放電フローが例示され、図5、図6には本実施形態に係る第1及び第2異常判定フローが例示される。図4に示されるように、通常の均等化放電フローに第1及び第2異常判定フローが挿入される。
第1及び第2異常判定フローでは、種々のパラメータが用いられる。具体的には以下のパラメータが用いられる。
i:電池セル変数(i=1〜n)
bxmon[i]:モニタ用フラグ、ON/OFFの値を持つ。初期値OFF。
bxdisnow[i]:該当電池セル10_iをターゲットセルとした放電中フラグ、ON/OFFの値を持つ。初期値OFF。
bmontime[i]:モニタ時間、初期値0。
bnotagtime[i]:非ターゲット時間。すなわち、電池セル10_iがターゲットセルとして選択されていない時間がカウントされる。初期値0。
bxdistime[i]:放電時間監視フラグ。ON/OFFの値を持つ。初期値OFF。
bdischgtime[i]:電池セル10_iをターゲットセルとした均等化放電時間。初期値0。
車両の上位制御部からパワースイッチのオフ操作指令を演算部18が受信する、つまり車両がイグニッション−オフ期間に入ったことを検知すると、均等化放電処理制御部36は、上述の各パラメータを初期値に設定する(S10)。
次に均等化放電処理制御部36は電圧センサ26を介して各電池セル10_1〜10_nの電圧を取得する(S12)。さらに電圧比較部32は電池セル10_1〜10_nの電圧V_1〜V_nの最大値と最小値を求めて、電圧ばらつき、つまり最大値と最小値の差分ΔVが所定の閾値ΔVthを超過しているか否かを判定する(S14)。
差分ΔVが閾値ΔVthを超過する(ΔV>ΔVth)場合、ターゲットセル設定部34は電圧V_1〜V_nのうち最小電圧の電池セル10をターゲットセルに設定する(S16)。一方、差分ΔVが閾値ΔVth以下である場合には、均等化放電は不要である(ある程度均等である)ことからターゲットセルとして無効値(Null)が設定される(S18)。
その後、第1異常判定実行部40により第1異常判定フローが実行される(S20)。これについては後述する。その後、均等化放電処理制御部36によりターゲットセルに無効値(Null)が設定されているか否かが判定される(S22)。ターゲットセルに無効値が設定されておらず、任意の電池セル10が設定されている場合は、その電池セル10の電圧をターゲット電圧として他の電池セル10に対して均等化放電が実行される(S24)。さらにその後、第2異常判定実行部42によって第2異常判定処理フローが実行される(S26)。これについては後述する。その後、所定の待機時間に移行して、次回の電圧検出まで待機する(S28)。なお、ステップS22においてターゲットセルに無効値(Null)が設定されている場合にはステップS24,S26をスキップしてステップS28まで進む。
ステップS28において所定時間待機後、均等化放電処理制御部36はイグニッション−オフ期間が終了したか(イグニッション−オンになったか)否かを判定する(S30)。イグニッション−オフ期間が継続している場合には再びステップS12まで戻る。イグニッション−オフ期間が終了している場合はフローが終了する。
図5には、第1異常判定フローS20の詳細が例示されている。このフローでは、全ての電池セル10_1〜10_nに対してフロー判定がなされる。第1異常判定実行部40は、電池セル10の変数iを1に設定する(S40)。次に第1異常判定実行部40はモニタ用フラグbxmon[i]がONか否かを判定する(S42)。後述するように、電池セル10に微短絡が生じている、及び、電圧検出回路22に異常が生じていることの少なくとも一方が発生していると判定されると、モニタ用フラグbxmon[i]がON設定される。初期値はOFFのため、ステップS44に進む。
ステップS44にて第1異常判定実行部40は、現在判定対象となっている電池セル10_iがターゲットセルに設定されているか否かを判定する。設定されていない場合は非ターゲット時間bnotagtime[i]が加算される(S46)。また放電中フラグbxdisnow[i]がOFFに設定される(S48)。その後ステップS82に進む。
ステップS44に戻り、判定対象の電池セル10_iがターゲットセルに設定されている場合、第1異常判定実行部40は、非ターゲット時間bnotagtime[i]を参照し、当該時間が所定の閾値時間bnotagtime_thを超過して経過しているか否かを判定する(S50)。このステップでは、長期間に亘ってターゲットセルに選択されていなかった電池セル10が今回ターゲットセルに選択されたか否かが判定される。
非ターゲット時間bnotagtime[i]が閾値時間bnotagtime_thを超過する場合、ターゲットセルに微短絡が発生したか、または、電圧検出回路22に異常が生じたおそれがある。両者のどちらかであるかを判定するために、第1異常判定実行部40は、放電時間監視フラグbxdistime[i]をON設定する(S54)。さらに第1異常判定実行部40は、均等化放電時間bdischgtime[i]をリセット(0に設定)し、その後の均等化放電時間をカウントさせる(S56)。一方、ステップS50にて非ターゲット時間bnotagtime[i]が閾値時間bnotagtime_th以下である場合、第1異常判定実行部40は放電時間監視フラグbxdistime[i]をOFF設定する(S52)。
さらに第1異常判定実行部40は放電中フラグbxdisnow[i]をON設定し(S58)、その後非ターゲット時間bnotagtime[i]をリセット(0に設定)する(S60)。その後ステップS82に進む。
ステップS42に戻り、モニタ用フラグbxmon[i]がON設定されている場合、第1異常判定実行部40は、判定対象の電池セル10_iがターゲットセルに設定されているか否かを判定する(S62)。後述するように、モニタ用フラグbxmon[i]は、ステップS50にて、長期間に亘ってターゲットセルに選択されていなかった電池セル10がターゲットセルに選択された場合に、そのターゲットセルに基づいた均等化放電を経て図6のステップS98にてON設定される。つまり、現在判定処理を行っている所定回目の均等化放電の前の回において、長期間に亘ってターゲットセルに選択されていなかった電池セル10がターゲットセルに選択されたことが、モニタ用フラグbxmon[i]のON設定として反映される。
したがってステップS62にて判定対象の電池セル10がターゲットセルに設定されたということは、それまでターゲットセルに設定されていなかった電池セル10が前回の均等化放電においてターゲットセルに設定され、さらに今回の均等化放電に際してもターゲットセルとして設定されてことを意味する。
上述したように、長期間ターゲットセルに設定されてこなかった電池セル10がターゲットセルに設定された場合、電圧検出回路22の異常か当該電池セル10の微短絡のどちらかが疑われる。後者(微短絡)の場合、初めて微短絡セルがターゲットセルに設定された均等化放電の次の回の均等化放電においても、当該微短絡セルが引き続きターゲットセルに設定される。一方、電圧検出回路22に異常がある場合は、次の回の均等化放電においてさらに異なる電池セル10がターゲットセルに設定される。
ステップS62において判定対象の電池セル10_iがターゲットセルに設定された場合、少なくとも2回続けて電池セル10_iがターゲットセルに設定されたことになるから、電池セル10_iに微短絡が発生していると考えられる。言い換えると電圧検出回路22の異常ではないと考えられる。
これを踏まえて第1異常判定実行部40は、モニタ用フラグbxmon[i]をOFF設定する(S74)。またターゲットセルに設定されていることから、放電中フラグbxdisnow[i]をON設定し(S76)、非ターゲット時間bnotagtime[i]をリセット(0に設定)する(S78)。さらに放電時間監視フラグbxdistime[i]をON設定する(S80)。なお、ステップS74からステップS80までの間に、電池セル10_iに微短絡が生じたことを車両に設けられたダイアグノーシス(自己診断機能部)に通知するステップを設けてもよい。
ステップS62にて判定対象の電池セル10_iがターゲットセルに設定されていない場合、電圧検出回路22に異常が生じている可能性がある。第1異常判定実行部40はまず放電中フラグbxdisnow[i]をOFF設定し(S64)、モニタ時間bmontime[i]をカウントアップする(S66)。さらに非ターゲット時間bnotagtime[i]をカウントアップする(S68)。
次に第1異常判定実行部40は、モニタ時間bmontime[i]が所定の閾値時間bmontime_thを超過しているか否かを判定する(S70)。ここでは、長期間ターゲットセルに設定されてこなかった電池セル10_iが一度ターゲットセルに設定され、その後ターゲットセルには設定されてこなかった時間(モニタ時間bmontime[i])が閾値時間bmontime_thを超過しているか否かが判定される。閾値時間bmontime_thはいわば電圧検出回路22に対する異常判定の正確度を調整するパラメータであり、例えば均等化放電間の待機時間が設定される。または例えば2回続けてターゲットセルに設定されなかった場合に電圧検出回路22に異常有りと判定する場合には、均等化放電間の待機時間の2倍の時間を閾値時間bmontime_thに設定する。
ステップS70にてモニタ時間bmontime[i]が閾値時間bmontime_thを超過する場合には、第1異常判定実行部40は電圧検出回路22に異常有りと判定し(S72)、ステップS82に進む。モニタ時間bmontime[i]が閾値時間bmontime_th以下である場合には、ステップS72をスキップしてステップS82に進む。
ステップS82では電池セル10の変数iを参照してi=nであるか否かが判定される(S82)。変数iがnに到達していない場合、変数iがインクリメントされ(S84)、ステップS42まで戻る。
図6には、第2異常判定フローが例示されている。均等化放電後(図4ステップS24)、第2異常判定実行部42は電池セル10の変数iを1に設定する(S90)。次に第2異常判定実行部42は、放電中フラグbxdisnow[i]がON設定されているか否かを判定する(S92)。OFF設定されている場合はステップS106までスキップする。
放電中フラグbxdisnow[i]がON設定されている場合、第2異常判定実行部42は、放電時間監視フラグbxdistime[i]がON設定されているか否かを判定する(S94)。OFF設定されている場合はステップS100に進む。
放電時間監視フラグbxdistime[i]がON設定されている場合、第2異常判定実行部42は、均等化放電時間bdischgtime[i]が所定の閾値時間bdischgtime_thを超過しているか否かを判定する(S96)。これは、(正常な)電圧センサ26の測定誤差に起因する均等化放電を除外するためのステップである。
電圧センサ26の測定誤差により、実際に最小電圧である電池セル10とは異なる電池セルがターゲットセルとして設定されるおそれがある。このような場合、均等化放電は電圧センサ26の測定誤差程度の電圧差を解消するものであり、放電時間は通常の均等化放電と比較して短時間で完了する。これを踏まえてステップS96では、均等化放電時間bdischgtime[i]が閾値時間bdischgtime_th以下である場合には、微短絡セルの発生や電圧検出回路22の異常ではないと判定し、モニタ用フラグbxmon[i]をOFF設定し(S100)、ステップS102まで進む。
一方、均等化放電時間bdischgtime[i]が閾値時間bdischgtime_thを超過する場合、電圧センサ26の測定誤差に起因する均等化放電ではないと判断し、モニタ用フラグbxmon[i]をON設定する(S98)。その後ステップS102に進む。
ステップS102では、第2異常判定実行部42は、モニタ時間bmontime[i]をリセット(0に設定)し(S102)、さらに放電時間監視フラグbxdistime[i]をOFF設定する(S104)。さらに第2異常判定実行部42は電池セル10の変数iが末尾nに到達したか否かを判定し(S106)、未到達の場合は変数iをインクリメントして(S108)ステップS92まで戻る。末尾nに到達している場合はフローが終了する。
10 電池セル、12 電池モジュール、14 制御装置、16 回路部、18 演算部、20 均等化回路、22 電圧検出回路、24 マルチプレクサ、26 電圧センサ、28 シーケンサ、30 インターフェース、32 電圧比較部、34 ターゲットセル設定部、36 均等化放電処理制御部、38 異常判定部、40 第1異常判定実行部、42 第2異常判定実行部。

Claims (1)

  1. 複数の電池セルが接続された電池モジュールの制御装置であって、
    それぞれの前記電池セルの電圧を検出する電圧検出回路と、
    前記電圧検出回路により検出されたそれぞれの前記電池セルの電圧のうち最小電圧に他の前記電池セルの電圧を揃える均等化放電を実行する均等化回路と、
    所定回目の前記均等化放電とその前回の前記均等化放電とで最小電圧となる前記電池セルであるターゲットセルが異なり、かつ、前記所定回目の均等化放電における前記ターゲットセルが前記所定回目後の前記均等化放電において前記ターゲットセルから除外される期間が所定期間継続する場合に、前記電圧検出回路に異常有りと判定する、異常判定部と、
    を備えることを特徴とする、電池モジュールの制御装置。
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