JP6719951B2 - 食肉製品用調味液 - Google Patents

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Description

本発明は,食肉製品用調味液に関する。
特許第3585848号公報には,加工肉用乳化剤が記載されている。この乳化剤は,(A)動植物性油脂,(B)ショ糖脂肪酸エステル等又はタンパク分解物,(C)塩基性アミノ酸を含む(段落[0005],段落[0006])。また,この乳化剤は,(D)多糖類系乳化安定剤,及び(E)アルカリ塩を含んでもよいことや,肉色を向上させるため,含硫アミノ酸を含んでもよいことが記載されている(段落[0007])。たとえば,実施例93として,(B)モノグリセリド,コラーゲン分解物,(C)アルギニン,(D)カラギーナン及び(E)炭酸ナトリウムを含む乳化剤が記載されている。一方,含硫アミノ酸を含む乳化剤に関する実施例はない。
特許第3585848号公報
本発明は,食肉製品に保水性,軟らかさ,及び良好な食感を与えるとともに,発色剤を使用しなくても好ましい色調を保つことができ,保存性に優れた食肉製品用調味液を提供することを目的とする。
本発明は,上記した食肉製品用調味液を含む食肉製品を提供することを上記とは別の目的とする。
本発明は,基本的には,アミノ基を有するアミノ酸のみならず,含硫アミノ酸を含む食肉製品用調味液であれば,食肉製品に保水性,軟らかさ,及び良好な食感を与えることができ,しかも発色剤を使用しなくても好ましい色調を保つことができ,保存性に優れるという実施例による知見に基づくものである。
本発明は,食肉製品に保水性,軟らかさ,及び良好な食感を与えるとともに,発色剤を使用しなくても好ましい色調を保つことができ,保存性に優れる食肉製品用調味液を提供できる。本発明はまた,そのような食肉製品用調味液を含む食肉製品を提供できる。
図1は,実施例における食肉製品の製造工程を示すフローチャートである。
本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
本発明の第1の側面は,食肉製品用調味液に関する。この食肉製品用調味液は,第1のアミノ酸又はそれらの塩と,第2のアミノ酸又はそれらの塩とを,1:9以上9:1以下で含む。「第1のアミノ酸又はそれらの塩と,第2のアミノ酸又はそれらの塩とを,1:9以上9:1以下で含む」とは,食肉製品用調味液に含まれる第1のアミノ酸又はそれらの塩の重量と,第2のアミノ酸又はそれらの塩の重量である,(第1のアミノ酸又はそれらの塩の重量):(第2のアミノ酸又はそれらの塩の重量)が1:9以上9:1以下であることを意味する。この食肉製品用調味液は,第1のアミノ酸又はそれらの塩と,第2のアミノ酸又はそれらの塩とを,1:5以上1:1以下で含んでもよいし,1:1以上5:1以下で含んでもよいし,1:5以上5:1以下で含んでもよいし,1:2以上2:1以下で含んでもよい。本明細書において,重量比の解釈は,以下同様である。食肉製品用調味液に含まれる第1のアミノ酸又はそれらの塩の重量は,目的とする食肉製品により調整すればよく,食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,たとえば,0.1重量部以上20重量部以下であればよく,0.5重量部以上5重量部以下でもよく,0.5重量部以上4重量部以下でもよい。
第1のアミノ酸は,側鎖にアミノ基を有するアミノ酸であり,具体的には,「リジン,ヒスチジン,トリプトファン,アルギニン,オルニチン,及びプロリン」からなる群から選ばれる1又は2種以上のアミノ酸である。
「それらの塩」は,第1のアミノ酸が1種類の場合は,その塩であり,たとえば,第1のアミノ酸がリジンの場合,リジン塩酸塩などリジンの塩を意味する。「それらの塩」における「塩」は,薬学的に許容される塩であれば,公知の塩であってもよいし,化合物として存在しうる場合は,溶媒和物であってもよい。薬学的に許容される塩の例は,
酸(たとえば,塩酸,硫酸,燐酸,乳酸,酒石酸,マレイン酸,フマール酸,シュウ酸,リンゴ酸,クエン酸,オレイン酸又はパルミチン酸)との塩;アルカリ金属塩(たとえば,,ナトリウム塩,カリウム塩),アルカリ土類金属塩(たとえば,マグネシウム塩,カルシウム塩等),アンモニウム塩,アルカリ金属(たとえば,ナトリウムやカリウム)及びアルカリ土類金属(たとえば,マグネシウムやカルシウム)の水酸化物,炭酸塩又は炭酸水素塩等の無機塩基との塩,もしくは,有機アミン(たとえば,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリエチルアミン,ベンジルアミン,ジエタノールアミン,t−ブチルアミン,及びジシクロヘキシルアミン),ピリジン,キノリン,ピペリジン,イミダゾール,ピコリン,ジメチルアミノピリジン,ジメチルアニリン,N−メチルモルホリン等の有機塩基との塩である。「それらの塩」の解釈は,以下同様である。
第1のアミノ酸又はそれらの塩のうち,好ましいものは,L−リジン又はその塩であり,L−リジンの塩の例は,L−リジン塩酸塩である。
第2のアミノ酸は,含硫アミノ酸(側鎖に硫黄原子を有するアミノ酸)であり,具体的には,「シスチン,システイン,及びメチオニン」からなる群から選ばれる1又は2種以上のアミノ酸である。
本発明の食肉製品用調味液は,第1のアミノ酸又はそれらの塩に対し,1:1以上4:1以下の重量比(又は1:1以上2:1以下の重量比)で,「アスコルビン酸,重合リン酸,クエン酸,グルコン酸,酒石酸,乳酸,フマル酸,リンゴ酸,フィチン酸リン酸エステル」からなる群から選ばれる有機酸又はそれらの塩をさらに含むものが好ましい。これらの中では,アスコルビン酸又はアスコルビン酸ナトリウムは,安価であり,しかも酸化防止能が高いため,好ましい。また,本発明の食肉製品用調味液の酸性度は,pH値が6.8以上12.0以下であるものが好ましく,6.8以上11.0以下であるものがよりが好ましく,7.0以上10.0以下であってもよいし,7.0以上9以下であってもよいし,7.5以上9.0以下であってもよい。酸性度は,有機酸又はそれらの塩の配合量を調整することにより,食肉製品用調味液の酸性度を調整してもよい。食肉製品用調味液の酸性度を調整するために,塩化ナトリウム,炭酸水素ナトリウム又はリン酸緩衝液を用いてもよい。食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,第2のアミノ酸又はそれらの塩の含有量は,たとえば,0.1重量部以上20重量部以下であればよく,0.5重量部以上5重量部以下でもよく,0.5重量部以上4重量部以下でもよい。
第2のアミノ酸又はそれらの塩のうち,好ましいものは,L−シスチン又はその塩である。
第1のアミノ酸又はそれらの塩と,第2のアミノ酸又はそれらの塩との組み合わせは,任意である。第1のアミノ酸又はそれらの塩と,第2のアミノ酸又はそれらの塩との組み合わせの例は,L−リジン又はその塩とL−シスチン又はその塩との組み合わせである。この場合,L−リジン又はその塩とL−シスチン又はその塩との量は,1:9以上9:1以下でもよいし,1:5以上5:1以下でもよいし,1:4以上4:1以下でもよいし,1:3以上3:1以下でもよく,1:2以上2:1以下でも,2:3以上3:2以下でもよい。食肉をより軟らかくしようとする場合,L−リジン又はその塩がL−シスチン又はその塩と同じかそれより多いことが好ましく,保管後の食味や生菌数を軽減しようとする場合は,L−シスチン又はその塩がL−リジン又はその塩と同じかそれより多いことが好ましい。
本発明の食肉製品用調味液は,抗酸化剤を含むものが好ましく,抗酸化剤の例は,カテキン,ビタミンE又はそれらの塩である。カテキン,ビタミンE又はそれらの塩は,食肉製品用調味液に1種又は2種以上含まれていてもよく,第1のアミノ酸又はそれらの塩に対し,20:1以上5:1以下の重量比(又は15:1以上8:1以下の重量比)で含まれればよい。食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,抗酸化剤の含有量は,たとえば,0.01重量部以上2重量部以下であればよく,0.05重量部以上0.5重量部以下でもよく,0.05重量部以上0.4重量部以下でもよい。
本発明の食肉製品用調味液は,高分子多糖類をさらに含んでもよい。高分子多糖類の例は,カラギナン,アルギン酸ナトリウム,ローカストビーンガム,グァーガム,タラガム,タマリンドシードガム,サイリウムシードガム,アラビアガム,ペクチン,カードラン,キサンタンガム,ジェランガム,及びプルランである。高分子多糖類は,1種又は2種以上を用いてもよく,第1のアミノ酸又はそれらの塩に対し,20:1以上5:1以下の重量比(又は15:1以上8:1以下の重量比)で含まれればよい。食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,高分子多糖類の含有量は,たとえば,0.01重量部以上2重量部以下であればよく,0.05重量部以上0.5重量部以下でもよく,0.05重量部以上0.4重量部以下でもよい。
食肉製品用調味液の糖度が高すぎると,食肉製品が不自然に甘くなり,糖度が低すぎるとうまみを出すことが容易ではない。そのような観点から,食肉製品用調味液の糖度は0.5度(°Bx)以上10度以下であることが好ましく,1度以上5度以下でもよい。このような糖度を実現するため,糖度が1度以下の糖類と,糖度が1度以上の糖類とに分けて,それらの分量を制御することで,糖度を調整した食肉製品用調味液の製造方法を実現できる。このように糖度を上記の閾値で分離して制御することで,容易に食肉製品用調味液の糖度を調整できる。
本発明の食肉製品用調味液は,発色剤を含まないことが好ましい。具体的に説明すると,本発明の食肉製品用調味液は,亜硝酸塩,硝酸塩,及び野菜エキスを含まないものが好ましい。亜硝酸塩,及び硝酸塩は,体内で発がん性物質へ変化するおそれがあり,本発明の食肉製品用調味液は,食肉製品に鮮やかな発色を与えることができるので,これらの発色剤を使用する必要がなくなり,健康にも好ましい食肉製品用調味液を提供できることとなる。
本発明の食肉製品用調味液は,大豆タンパクや乳タンパクといった動植物性タンパク,各種でん粉類やそれらを加工した加工でん粉類及び糖類を含んでもよい。これらの添加量は,用途に応じて定義調整すればよく,食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,これらタンパク源,でんぷん類及び糖類は,それぞれ,0.01重量部以上20重量部以下であればよく,0.1重量部以上10重量部以下でもよく,1重量部以上4重量部以下でもよい。糖類の例は,トレハロースである。食肉製品において,アルギニンなどのアミノ酸を添加した後,加熱又は乾燥させると,筋周膜が損なわれ,硬くパサついた食感となり,褐色に変化する場合がある。食肉製品用調味液がトレハロースを含む場合,トレハロースの組織保護作用により,筋周膜が保護され,その結果食感を維持でき,しかも食肉製品の色調を維持できる。
本発明の食肉製品用調味液は,食肉製品に存在している菌を良好な状態で培養するため,培地組成を含んでもよい。培地組成の例は,FGF,PDGF,TGF−β,HGF,及びEGFのいずれか又は2種以上を含むものである。この培地組成は,リン脂質又は脂肪酸を含むものが好ましく,ウシ胎児血清(FBS)をさらに含んでもよい。リン脂質の例は,フォスファチジン酸,リゾフォスファチジン酸,フォスファチジルイノシトール,フォスファチジルセリン,フォスファチジルエタノールアミン,フォスファチジルコリン及びフォスファチジルグリセロールである。脂肪酸の例は,リノール酸,オレイン酸,リノレイン酸,アラキドン酸,ミリスチン酸,パルミトレイン酸,パルミチン酸及びステアリン酸である。これらは,食肉製品用調味液中に微量要素そして含まれればよく,たとえば,各成分が,食肉製品用調味液の重量を100重量部とした場合に,たとえば,0.001重量部以上2重量部以下であればよく,0.01重量部以上1重量部以下でもよく,0.05重量部以上0.5重量部以下でもよい。
本発明の食肉製品用調味液は,流動性のあるものであれば,液体状,ゲル状,ゾル状,クリーム状,ペースト状のいずれであってもよく,公知の担体を適宜含めることができる。担体の例は,水,蒸留水,生理食塩水,ブドウ糖液,希塩酸,希硫酸,メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,流動パラフィン,白色ワセリン,酢酸セルロース,コラーゲン,アテロコラーゲン,ゼラチン,グリセリン,及びエタノールである。
食肉製品用調味液は,上記した組成を適切な配合量にて混合することで得ることができる。
次に,本発明の食肉製品の製造方法について説明する。本発明の食肉製品は,好ましい食感(保水性,軟らかさ)や色調,高い保存性を有するよう,前述の本発明の食肉製品用の調味液を,食肉中に均一に分散させて製造される。
調味液を食肉中に均一に分散させる方法について制限は無く,インジェクションによる注入方法,浸漬方法,真空タンブリングによるマッサージ方法等,様々な方法を用いることができる。インジェクションによる注入方法では,多数の注射針を備えたインジェクターを用いて,食肉の表面に任意の間隔,例えば5〜10mm程度の間隔で注射針を打ち込み,調味液を注入することで行われる。浸漬方法では,調味液中に食肉を任意の期間で浸漬することで行われる。浸漬期間は,浸漬性や保存性の点から,1〜3日間で行われることが好ましい。浸漬する調味液は,保存性の点から,10℃以下に保たれることが好ましく,5℃以下に保たれることが特に好ましい。浸漬性を高めるために,浸漬前にテンダライザーを用いて食肉を処理することも好ましい。真空タンブリングによるマッサージ方法では,適当な手段で調味液を食肉中に注入してから機械的にもみほぐすか,真空容器内に調味液と食肉を混合してから機械的にもみほぐしつつ調味液を浸透させることによって行われる。本発明においては,これらの方法を単独,あるいは組み合わせて用いることができる。
調味液の注入量は,製造する食肉製品に応じて適宜選択されるが,食肉100重量部に対して,通常5〜100重量部の範囲であり,好ましくは10〜50重量部,特に好ましくは10〜30重量部の範囲である。食肉製品100重量部中,食肉製品用調味液が5重量部以上50重量部以下含まれるものが好ましく,8重量部以上30重量部以下でもよいし,10重量部以上25重量部以下でもよい。この場合,食肉製品は,食肉由来の組織と,食肉製品用調味液由来の成分が共存することとなる。
このようにして,本発明の食肉製品用の調味液を用いて食肉製品を製造することにより,好ましい食感(保水性,軟らかさ)や色調,高い保存性を有する食肉製品が得られる。
以下に本発明をより詳細に説明するための実施例を示すが,本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記手法に基づいて,各種添加物が食肉製品の食感(軟らかさ,ジューシーさ),色調(発色,変退色),保存性に及ぼす効果を評価した。
試験品は図1の方法に従って作製した。水に各種添加物を添加した調味液をpH6.8以上となるように調整し,約6×6×12cmに分割された牛モモ肉に対し20%注入したものを真空包装した。設定68℃の湯中で加熱し,中心温度が63℃に達した後,30分間保持した。加熱後直ちに流水冷却し,20℃以下まで冷却されてから凍結した。冷蔵庫で解凍したものについて各項目の評価を行った。
表1〜表4に示すように,アミノ酸単品あるいは,2種類を組み合わせた各アミノ酸を,それぞれ1%ずつ添加した調味液を用いて試験品を作製し,軟化効果,発色効果,保存性について調べた。それぞれの効果は,「生菌数」の項目以外,アミノ酸を添加せず,水,食塩1%,砂糖1%,デキストリン10%からなる調味液を注入して作製した対照区との比較により評価を行った。
表1 軟らかさ
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表2 発色
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表3 生菌数
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表4 保管後の食味
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「軟らかさ」の項目は,3mm厚にスライスした試験品についての官能評価による結果を示した。評価は,−(効果無し)〜++++(軟らかい)の5段階評価とした。「発色」の項目は,スライス直後の断面の色調について官能評価による結果を示した。評価は,−(効果無し)〜++++(赤みが強い)の5段階評価とした。
「生菌数」の項目は,衛生的な環境で3mm厚にスライスした試験品を含気包装したものを冷蔵庫内で保管し,経時的に一般生菌数を計測した。初発の一般生菌数が1.0×10以下のブロックのみを評価対象とし,一般生菌数が1.0×10以上となった日数を基準に,−(3日以下),+(3日以上5日以下),++(5日以上)の3段階評価とした。「保管後の食味」の項目は,上記と同様に処理し,冷蔵庫内で7日間保管した試験品についての官能評価による結果を示した。評価は,−(対照区と同様)〜++++(対照区と比べて良い)の5段階評価とした。
「軟らかさ」,「発色」の2項目は,L−アルギニン,L−オルニチン,L−トリプトファン,L−ヒスチジン,L−プロリン,L−リジン塩酸塩の各アミノ酸と,L−シスチン,L−システイン,L−メチオニンとを組み合わせた場合,それぞれ単体で添加するよりも良好な効果が得られた。
「生菌数」,「保管後の食味」の2項目は,L−アルギニン,L−オルニチン,L−トリプトファン,L−ヒスチジン,L−プロリン,L−リジン塩酸塩の各アミノ酸と,L−シスチン,L−システイン,L−メチオニンとを組み合わせた場合,それぞれ単体で添加するよりも良好な効果が得られた。また,他にはアラニン,グリシンでも良好な効果が得られた。
次に,表5,表6に示すように,各添加物の配合を変えた調味液を用いて試験品を作製し,軟化効果,保水効果,発色効果,変退色抑制効果,保存性について調べた。それぞれの効果は,「生菌数」の項目以外,添加物を添加せずに,水,食塩,砂糖,デキストリンからなる調味液を注入して作製した対照区との比較により評価を行った。表に示した各種添加物の添加濃度は,調味液100重量部中の割合を示す。
表5 調味液の配合
Figure 0006719951
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表6 調味液の特性
Figure 0006719951
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「軟らかさ」,「発色」,「生菌数」,「保管後の食味」の4項目は前述の方法に従って評価を行った。「ジューシーさ」の項目は,3mm厚にスライスした試験品についての官能評価による結果を示した。評価は,−(効果無し)〜++++(ジューシー)の5段階評価とした。「変退色抑制」の項目は,スライス後2時間経過後の断面色調の変色,退色について官能評価による結果を示した。評価は,−(効果無し)〜++++(抑制されている)の5段階評価とした。
L−リジン塩酸塩,L−シスチンは,食感や発色に関して効果があったが,グリシンでは効果が無かった。L−リジン塩酸塩とL−シスチンを組み合わせた場合,それぞれ単体で添加するよりも食感や発色に関して良好な効果が得られ,保存性についてもグリシンを添加した場合と同程度にまで高められた。
その他の添加物についても,それぞれ異なった軟化効果,保水効果,発色効果,変退色抑制効果,保存性を示し,すべてを組み合わせることによって,総合的に良好な品質が得られた。
以上より,側鎖にアミノ基を有するアミノ酸と含硫アミノ酸を含む食肉製品用調味液は,食感,色調,及び保存性にすぐれ,さらに,無機塩類,有機酸塩類,抗酸化剤,高分子多糖類を添加することで,食感,色調及び保存性のいずれも好ましい効果が得られることがわかった。
次に,表7,表8に示すように,L−リジン塩酸塩とL−シスチンの配合割合を変えた調味液を用いて試験品を作製し、軟化効果、保水効果、発色効果、変退色抑制効果、保存性について調べた。それぞれの効果は、「生菌数」の項目以外、添加物を添加せずに、水、食塩、砂糖、デキストリンからなる調味液を注入して作製した対照区との比較により評価を行った。表に示した各種添加物の添加濃度は、調味液100重量部中の割合を示す。
「軟らかさ」、「発色」、「生菌数」、「保管後の食味」の4項目は前述の方法に従って評価を行った。「ジューシーさ」の項目は、3mm厚にスライスした試験品についての官能評価による結果を示した。評価は、−(効果無し)〜++++(ジューシー)の5段階評価とした。「変退色抑制」の項目は、スライス後2時間経過後の断面色調の変色、退色について官能評価による結果を示した。評価は、−(効果無し)〜++++(抑制されている)の5段階評価とした。
表7 調味液の配合
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表8 調味液の特性
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L−リジン塩酸塩とL−シスチンを組み合わせた場合に、それぞれ単体で添加するよりも食感や発色、保存性に関する効果を高め、L−リジン塩酸塩とL−シスチンの配合割合が9:1以上1:9以下の場合に効果が顕著であった。
特に,表8に示される通り,食肉をより軟らかくしようとする場合,L−リジン又はその塩がL−シスチン又はその塩と同じかそれより多いことが好ましく,保管後の食味や生菌数を軽減しようとする場合は,L−シスチン又はその塩がL−リジン又はその塩と同じかそれより多いことが好ましい。
特許第3585848号公報の実施例13〜16,37〜44,61〜68,87〜92,97〜98には,リジン塩酸塩を用いた加工肉用乳化剤が記載されている。一方,この公報には,リジン塩酸塩と,「シスチン,システイン,及びメチオニン」とを組み合わせたものは存在せず,特に,L−シスチンを用いたものは存在しない。たとえば,リジン塩酸塩とL−シスチンの組み合わせは,表1に示される通り,食肉を圧倒的に軟らかくし,表4に示されるように,保管後の食味を圧倒的に向上させる。そして,上記のとおり,第1のアミノ酸又はその塩と,第2のアミノ酸又はその塩を適切な配合で含むことで,軟らかさや,生菌数,保管後の食味などにきわめてすぐれた食肉を提供できる,食肉製品用調味液が得られることとなる。
本発明は食品製造業の分野で利用されうる。

Claims (6)

  1. 食肉製品用調味液であって,
    前記食肉製品用調味液は,L−リジン又はその塩と,L−シスチン又はその塩と,を含み,L−リジン又はその塩と,L−シスチン又はその塩の重量比は,1:9以上9:1以下であり,炭酸水素ナトリウム,アスコルビン酸又はその塩,及びデキストリンをさらに含む,
    食肉製品用調味液。
  2. 請求項1に記載の食肉製品用調味液であって,
    キサンタンガム,カテキン,食塩,及び砂糖をさらに含む, 食肉製品用調味液
  3. 請求項1に記載の食肉製品用調味液であって,
    L−リジン又はその塩に対し,1:1以上4:1以下の重量比で,「アスコルビン酸,重合リン酸,クエン酸,グルコン酸,酒石酸,乳酸,フマル酸,リンゴ酸,フィチン酸リン酸エステル」からなる群から選ばれる有機酸又はそれらの塩をさらに含む,
    食肉製品用調味液。
  4. 請求項1に記載の食肉製品用調味液であって,
    L−リジン又はその塩に対し,20:1以上5:1以下の重量比で,カテキン及びビタミンEのいずれか又は両方であるか,又はそれらの塩をさらに含む,
    食肉製品用調味液。
  5. 請求項1に記載の食肉製品用調味液であって,
    pH値が6.8以上12.0以下である,
    食肉製品用調味液。
  6. 請求項1に記載の食肉製品用調味液を含む食肉製品であって,
    前記食肉製品100重量部中,前記食肉製品用調味液を5重量部以上50重量部以下含む,食肉製品。
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