以下、コイルボビン等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるコイルボビンの斜視図(図1(a))、平面図(図1(b))、側面図(図1(c))、および正面図(図1(d))である。
図2は、本実施の形態における変圧器の一部切り欠き斜視図(図2(a))、平面図(図2(b))、側面図(図2(c))、および正面図(図2(d))である。この変圧器は、本実施の形態のコイルボビンを用いて作製された変圧器である。
図3は、本実施の形態におけるコイルを巻いた状態のコイルボビンの分解斜視図(図3(a))、およびコイルを巻いた状態のコイルボビンの斜視図(図3(b))である。 図4は、本実施の形態におけるコイルボビンを構成する第一の枠体の斜視図(図4(a))、平面図(図4(b))、側面図(図4(c))、および正面図(図4(d))である。
図5は、本実施の形態におけるコイルボビンを構成する第二の枠体の斜視図(図5(a))、平面図(図5(b))、側面図(図5(c))、および正面図(図5(d))である。
図6は、図1(c)のVIa−VIa線による断面図(図6(a))、および図2(c)のVIb−VIb線による断面図(図6(b))である。図6(a)および図6(b)は、後述する冷却孔2019が設けられた部分の断面図である。
コイルボビン1は、第一の枠体101、第二の枠体201、円筒部材301を備える。なお、本実施の形態においては、第一の枠体101の第一の溝1011に配置される第一のコイル10および第二の枠体201の第二の溝2011に配置される第二のコイル20が、いずれも複数の巻線で構成される場合を例に挙げて説明する。巻線とは、例えば、導線10aまたは導線20aを所望の回数巻いたものである。
第一の枠体101は、図4等に示すように、正面から見た形状が、矩形形状を有する枠状の部材である。ここでは、第一の枠体101の外周及び内周が、角が丸められた矩形形状を有している場合について説明する。ただし、角は丸められていなくても良い。また、ここでの角の曲率半径等は問わない。第一の枠体101の、外周と内周との間の距離は問わない。第一の枠体101は、貫通孔1017を有している。貫通孔1017は、第二の枠体201がはめ込まれる孔であり、例えば、第一の枠体101の内周面で囲まれた孔である。なお、第一の枠体101の正面とは、ここでは、第一の枠体101の貫通孔1017の開口面の一方であるとする。かかることは、後述する第二の枠体201の正面についても同様である。
第一の枠体101は、例えば、樹脂により構成される。第一の枠体101は、例えば、樹脂成型品である。第一の枠体101に用いられる樹脂の種類等は問わない。第一の枠体101に用いられる樹脂としては、例えば、通常の変圧器等に用いられるコイルボビンの材料として用いられる樹脂が利用可能である。第一の枠体101は、例えば、熱可塑性樹脂により構成される。
第一の枠体101には、第一のコイル10が配置される第一の溝1011が外周に沿って設けられている。第一の溝1011は、凹状の溝である。第一の溝1011は、例えば、第一の枠体101の周方向に伸びる溝である。第一の溝1011は、例えば、第一の枠体101の外側面に設けられた外側面に沿って伸びる溝と考えてもよい。ここでは、第一の溝1011は、第一の枠体101の外周全体にわたって設けられている。また、第一の溝1011の第一の枠体101の角に相当する部分の底面は、ここでは角が丸められている。ただし、角は丸められていなくても良い。なお、第一の枠体101の外周の両側、すなわち正面側と背面側に、第一の枠101の外周に沿って板状の部材(図示せず)を設けられているようにして、この板状の部材と、第一の枠体1の外周部分との組合わせを、第一の溝1011と考えても良い。かかることは、後述する第二の溝2011についても同様である。また、第一の溝1011の側面や底面には、部分的に切り欠き等が設けられていても良い。かかることは、第二の溝2011についても同様である。
第一の溝1011の底面のうちの、第一の枠体101の正面側からみて4つの角に相当する部分の近傍、すなわち第一の枠体101の曲がっている部分の近傍には、第一の枠体101の外周に沿って伸びる複数のガイド溝1011cが設けられている。第一の溝1011の底面は、例えば、第一の溝1011の第一のコイル10が巻付けられる部分であり、第一の溝1011が、後述するように幅方向に段差形状を有している場合においては、一以上の段差形状を有する部分の第一のコイル10が巻付けられる部分も底面の一部と考えてもよい。
ガイド溝1011cは、導線10aを第一の溝1011に整列して巻付けるための、巻付け位置をガイドする溝である。ガイド溝1011cは、円弧状の断面形状を有する溝であり、第一の溝1011の幅方向に、導線10aの直径Φ1と同じピッチで設けられている。ガイド溝1011cの幅は、導線10aの直径Φ1以下、深さは、導線10aの直径Φ1の半分以下の深さである。
なお、ガイド溝1011cの断面形状は、円弧状でなくてもよく、他の形状であっても良い。例えば、ガイド溝1011cは、V字溝であっても良い。また、溝を設ける代わりに、第一の溝1011の伸びる方向に沿ってストライプ状に伸びる1または2以上の突起(図示せず)を設けることで、この突起間の部分を、ガイド溝1011cとして用いても良い。また、ガイド溝1011cを、第二の溝1011の側面にも設けるようにしても良い。また、ガイド溝1011cを、第一の枠体101の曲がっている部分の近傍の以外の部分にも設けるようにしても良い。また、ここでは、ガイド溝1011cを複数設けたが、ガイド溝1011cは1以上であってもよい。また、巻付け時のガイド等が不要である場合、ガイド溝1011cは省略しても良い。
第一の枠体101の断面形状は、第一の溝1011の形状に沿った形状を有している。第一の枠体101の断面形状とは、例えば、第一の枠体101の外周に沿った方向に対して垂直な断面である。以下、第一の枠体101の外周に沿った方向を、第一の枠体101の外周方向と呼ぶ。ここでの第一の溝1011の形状とは、例えば、第一の溝1011の断面形状である。この断面形状は、例えば、第一の溝1011の伸びる方向に垂直な断面形状である。第一の溝1011の形状とは、第一の溝1011の内面の断面形状と考えてもよい。ただし、ここでの断面は、例えば、補強用リブ1013等の補強用の部材や、成型上必要となる突起等の部材を除外した場合の断面であるとする。断面形状が、第一の溝1011の形状に沿った形状を有しているということは、例えば、第一の溝1011の内面と、第一の枠体101の外側の面との間の距離が均一であること、すなわち等距離であることであってもよく、第一の枠体101の、少なくとも第一の溝1011の内面に沿った部分の厚さが均一であることであっても良い。なお、第一の枠体101の厚さとは、例えば、第一の溝1011の内面に対して垂直な方向における第一の枠体101の厚さである。なお、誤差程度の距離や厚さの違い、例えば、第一の溝1011に巻付けられる導線10aの半分以下の距離や厚さの違い等があっても、ここでは、距離や厚さが均一であると考えてよい。第一の枠体101の断面形状を、第一の溝1011の形状に沿った形状とすることで、第一の枠体101の第一の溝1011に沿った部分の厚さを薄くすることができ、これにより、第一の枠体101にボイドが生じにくくすることができる。第一の枠体101の第一の溝1011に沿った部分の厚さは、ボイドの発生を防ぐことが可能な厚さであることが好ましい。例えば、第一の枠体101の第一の溝1011に沿った部分の厚さは、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
第一の溝1011は、図4(b)等に示すように、底面が平坦であり、側面が底面に対して垂直である形状を有している。このような断面形状とするとともに、第一の溝1011の幅、すなわち側面間の距離を、第一の導線10aの直径Φ1のおよそ(k+1/2)倍以上、(k+1)倍未満(ただし、kは、1以上の整数であるとする)とすることで、導線10aを第一の溝1011に、第一の溝1011の幅方向に整列巻きした場合に、各層の導線10aの巻付け数を同じとすることができる。これにより、第一の溝1011に導線10aを順番に巻付けて、第一のコイル10を構成する所望の巻数をそれぞれ有する複数の巻線を作製する場合において、例えば、各巻線の巻数を、第一の溝1011の底面に巻付け可能な巻数の整数倍とすることで、各巻線の端子を、第一の溝1011の幅方向の側壁側から取り出すことが可能となる。また、例えば、各巻線の巻数を、第一の溝1011の底面に巻付け可能な巻数の偶数倍とすることで、各巻線の端子を、第一の溝1011の幅方向の一方の側壁側から取り出すことが可能となる。ただし、本発明においては、第一の溝1011として、どのような断面形状のものを用いても良い。例えば、側面が、第一の溝1011の外側に向かって傾斜している断面形状を有する第一の溝1011を設けるようにしても良い。
なお、第一の溝1011に導線10aを往復して巻付けていく場合、第一の溝1011の幅に関係なく、1往復で巻付けられる導線10aの巻付け数を同じとすることができる。このため、例えば、第一のコイル10を構成する各巻線の導線10aの巻数を、第一の溝1011の底面に幅方向に1往復で巻付け可能な巻数の整数倍とすることで、各巻線の端子を、第一の溝1011の幅方向の側壁側から取り出すことが可能となる。
なお、ここでは、第一の溝1011が段差形状を有していない場合について説明したが、第一の溝1011は、段差形状を有していても良い。ここでの段差形状とは、例えば、高低差が、少なくともおよそ第一の溝1011に巻かれる導線10aの半径rの√3倍以上である部分と考えてもよい。導線10aを整列巻きする場合等においては、段差の部分において整列巻きが崩れないようにするためには、段差形状の高低差は、例えば、およそ導線10aの半径r×n×√3であることが好ましい(ただし、nは1以上の整数であるとする)。ここでの高低差は、例えば、段差形状の低い側に配置される導線10aの最も低い位置(例えば、最も底面側)を基準とした高低差である。なお、第一の溝1011が有する段差形状は、どのような段差形状であっても良い。
第一の枠体101は、互いに平行な一対の第一鉄心領域1012を有している。第一鉄心領域1012は、コイルボビン1を用いて変圧器1000を作製した場合に、巻鉄心3の内側に位置する第一の枠体101の領域である。第一鉄心領域1012は、直線状に伸びる形状を有している。ただし、第一鉄心領域1012は、必ずしも直線状に伸びる形状を有していなくても良く、例えば、多少の湾曲等を有していてもよい。ここでは、第一の溝1011の第一鉄心領域1012の側壁の高さが、円筒部材301を、第一の溝1011に配置される第一のコイル10に近づけて配置できるよう、第一の枠体101の第一鉄心領域1012に隣接する領域の側壁よりも低い場合を示しているが、第一の溝1011の側壁の高さが全体的に低い場合には、第一鉄心領域1012の部分が凹んでいないようにしてもよい。
第一の枠体101は、複数の補強用リブ1013を有している。補強用リブ1013は、第一の枠体101の外周方向に対して垂直に設けられた板状の部材である。ただし、第一の枠体101の強度等を保つことが可能であれば、補強用リブ1013の枚数、平面形状、厚さ、サイズ、及び設置位置等は問わない。また、ここでは、補強用部材として板状部材である補強用リブ1013を設けた場合について説明したが、本発明においては、補強用部材であれば、板状の補強用リブ1013以外の補強用部材を設けても良い。例えば、板状以外の形状の補強用リブを設けても良く、他の補強部材(図示せず)を設けても良い。また、第一の枠体101の材質や、全体のサイズ等によって、補強が不要である場合は、補強用リブ1013は省略可能である。補強用リブ1013は、第一の枠体101の内周側には設けないことが好ましい。
ここでは、各第一鉄心領域1012の正面側には5つの補強用リブ1013が設けられており、その一部(ここでは、両端の補強用リブ1013及び真ん中の補強用リブ1013)の、第一の枠体101の貫通孔1017近傍の正面側には、円筒部材301を第一鉄心領域1012に位置決めして固定するための突起1014が設けられている。同様に、各第一鉄心領域1012の背面側にも5つの補強用リブ1013が設けられており、その一部(ここでは、両端の補強用リブ1013及び真ん中の補強用リブ1013)の、第一の枠体101の貫通孔1017近傍の背面側には、円筒部材301を第一鉄心領域1012に位置決めして固定するための突起1014が設けられている。背面側とは、正面側に対して反対となる側である。第一の枠体101の正面側および背面側の突起1014とは、例えば、第一の枠体101の貫通孔1017の開口面に対して、あるいは第一の枠体101の正面に対して、垂直な方向に突出する突起である。なお、第一鉄心領域1012に配置される補強用リブ1013の数や、突起1014を有する補強用リブ1013の数等は問わない。また、突起1014がどのように設けられているかは問わない。また、突起1014は補強用リブ1013に設けられていなくても良く、例えば、突起1014を取付ける台(図示せず)等に設けられていても良く、第一の枠体101に直接取付けられていてもよい。また、突起1014は、補強用リブ1013に設ける代わりに、第二の枠体201の第二鉄心領域2012の補強用リブ2013等の正面側に、上記と同様に設けられていてもよい。
矩形形状である第一の枠体101の一対の第一鉄心領域1012が設けられている辺を連結する一の辺の、第一の溝1011の両側壁には、それぞれ、矩形状に切り欠いた端子取出部1015が設けられている。端子取出部1015は、第一のコイル10の端子を取り出す部分である。なお、端子取出部1015の形状は上記以外であってもよい。例えば、端子取出部1015は、第一の溝1011の1以上の側壁に設けられた1以上の貫通孔であっても良い。例えば、端子取出部1015は、第一の溝1011の一方の側壁に設けられていても良い。また、端子取出部1015は、第一の溝1011の少なくとも一方の側部に設けられた複数の切り欠き部によって構成されていても良い。また、端子取出部1015は、第一の枠体101の1対の第一鉄心領域1012が設けられている辺を連結する二つの辺に、それぞれ設けられていても良い。なお、第一の枠体101は、端子取出部1015を有していなくても良い。
第二の枠体201は、第一の枠体101の内側にはめ込まれる枠状の部材である。第一の枠体101の内側とは、第一の枠体101の貫通孔1017内である。第二の枠体201は、例えば、第一の枠体101の貫通孔1017にはめ込まれる。第二の枠体201は、貫通孔2014を有している。第二の枠体201は、例えば、第一の枠体101の内側に嵌合する形状を有している。第二の枠体201が、第一の枠体101の内側にはめ込まれるということは、例えば、第一の枠体101の貫通孔1017の開口面と、第二の枠体201の貫通孔2014の開口面とが平行となるよう、第一の枠体101の内側に、第二の枠体201を配置することと考えても良く、第二の枠体201の外周に設けられた後述する第二の溝2011全体が、第一の枠体101の内周側の面と対向するよう、第一の枠体101に対して第二の枠体201を配置することと考えても良い。第一の枠体101の内側には、例えば、第一の枠体101の正面側からはめ込まれた第二の枠体201を、はめ込まれた状態で係止する係止部1016が設けられている。正面とは、例えば、第一の枠体101の、開口面を有する面の一方である。係止部1016は、第一の枠体101の内側の、背面側に設けられた突起である。ただし、係止部1016は、第二の枠体201を第一の枠体101の貫通孔1017にはめ込んだ状態で係止することができるものであれば、上記以外の構造であっても良い。第二の枠体201は、ここでは、正面から見た形状が、矩形形状を有する枠状の部材である。ここでは、第二の枠体201の外周及び内周が、角が丸められた矩形形状を有している場合について説明する。ただし、第二の枠体201の形状は、第一の枠体101内にはめ込まれる形状であればよく、角は丸められていなくても良い。また、ここでの角の曲率半径等は問わない。第二の枠体201の、外周と内周との間の距離は問わない。
第二の枠体201は、例えば、第一の枠体101と同様に、樹脂により構成される。なお、第二の枠体201の樹脂と、第一の枠体101の樹脂とは異なる樹脂であっても良く同じ樹脂であっても良い。
第二の枠体201には、第二のコイル20が配置される第二の溝2011が外周に沿って設けられている。第二の溝2011は、凹状の溝である。第二の溝2011は、例えば、第二の枠体201の周方向に伸びる溝である。第二の溝2011は、例えば、第二の枠体201の外側面に設けられた外側面に沿って伸びる溝と考えてもよい。ここでは、第二の溝2011は、第二の枠体201の外周全体にわたって設けられている。また、第二の溝2011の第二の枠体201の角に相当する部分の底面は、ここでは角が丸められている。ただし、角は丸められていなくても良い。
第二の溝2011の底面のうちの、第二の枠体201の正面側からみて4つの角に相当する部分の近傍、すなわち第二の枠体201の曲がっている部分の近傍の部分には、第二の枠体201の外周に沿って伸びる複数のガイド溝2011cが設けられている。第二の溝2011の底面は、例えば、第二の溝2011の第二のコイル20が巻付けられる部分であり、第二の溝2011が、後述するように幅方向に段差形状を有している場合においては、一以上の段差形状を有する部分の第二のコイル20が巻付けられる部分も底面の一部と考えてもよい。
ガイド溝2011cは、導線20aを第二の溝2011に整列して巻付けるための、巻付け位置をガイドする溝である。ガイド溝2011cは、円弧状の断面形状を有する溝であり、第一の溝2011の幅方向に、導線20aの直径Φと同じピッチで設けられている。ガイド溝2011cの幅は、導線20aの直径Φ2以下、深さは、導線20aの直径Φ2の半分以下の深さである。
なお、ガイド溝2011cの断面形状は、円弧状でなくてもよく、他の形状であっても良い。例えば、ガイド溝2011cは、V字溝であっても良い。また、溝を設ける代わりに、第二の溝2011の伸びる方向に沿ってストライプ状に伸びる1または2以上の突起(図示せず)を設けることで、この突起間の部分を、ガイド溝2011cとして用いても良い。また、ガイド溝2011cを、第二の溝2011の側面にも設けるようにしても良い。また、ガイド溝2011cを、第二の枠体201の曲がっている部分の近傍の以外の部分にも設けるようにしても良い。また、ここでは、ガイド溝2011cを複数設けたが、ガイド溝2011cは1以上であってもよい。また、巻付け時のガイド等が不要である場合、ガイド溝2011cは省略しても良い。
第二の枠体201の断面形状は、第二の溝2011の形状に沿った形状を有している。第二の枠体201の断面形状とは、例えば、第二の枠体201の外周に沿った方向に垂直な断面の形状である。第二の枠体201の外周に沿った方向を、以下、第二の枠体201の外周方向と呼ぶ。ここでの第二の溝2011の形状とは、例えば、第二の溝2011の断面形状である。この断面形状は、例えば、第二の溝2011の伸びる方向に垂直な断面形状である。第二の溝2011の形状とは、第二の溝2011の内面の断面形状と考えてもよい。ただし、ここでの断面は、例えば、後述する補強用リブ2013等の補強用の部材や、成型上必要となる突起等の部材を除いた断面であるとする。また、ここでの断面形状は、分割壁2017等の第二の溝2011の内面上に設けられた部材等の断面は除外するものとする。断面形状が、第二の溝2011の形状に沿った形状を有しているということは、例えば、第二の溝2011の内面と、第二の枠体201の外側の面との間の距離が均一であること、すなわち等距離であることであってもよく、第二の枠体201の、少なくとも第二の溝2011の内面に沿った部分の厚さが均一であることであっても良い。第二の枠体201の厚さとは、例えば、第二の溝2011の内面に対して垂直方向における第二の枠体201の厚さである。第二の枠体201の断面形状を、第二の溝2011の形状に沿った形状とすることで、第二の枠体201の厚さを薄くすることができ、これにより、第二の枠体201にボイドが生じにくくすることができる。第二の枠体201の厚さは、ボイドの発生を防ぐことが可能な厚さであることが好ましい。例えば、第二の枠体201の第二の溝2011に沿った部分の厚さは、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
なお、第二の枠体201の断面形状において、例えば、誤差程度の微小な距離や厚さの違いがある場合も、ここでは、距離や厚さが均一であると考えてよい。かかることは、第一の溝1011についても同様である。誤差程度の距離や厚さの違いは、例えば、第二の溝2011に巻付けられる導線20aの半分以下の距離や厚さの違い等である。例えば、第二の枠体201の断面形状が、第二の溝2011の形状に沿ったものであるか否かを考える場合においては、第二の溝2011の内面の形状としては、上記のようなガイド溝2011cのような凹凸や、第二の溝2011に対して外周面となる部分の微小な凹凸等は、設計によるもの、あるいは設計によらないものを含めて第二の溝2011の内面の形状から除外して考えてよく、第二の枠体201の断面形状が、第二の溝2011の形状に沿ったものであるか否かを考える場合には、このような微少な凹凸は考慮しないようにしても良い。つまり、凹凸を無視した場合に、実質的に第二の枠体201の断面形状が、第二の溝2011の形状に沿った形状であればよい。凹凸を無視するということは、例えば、このような凹凸がない場合のなめらかな面を、第二の溝2011の内面と考えることであってもよい。ただし、このような凹凸はない方が好ましいことは言うまでもない。例えば、このような凹凸は、特に、第二鉄心領域1012には存在しない方が良い。例えば、上述したようなガイド溝2011cは、第二鉄心領域2012には設けないことが好ましい。かかることは、第一鉄心領域1012についても同様である。
第二の溝2011は、図4(b)に示すように、第二の溝2011の幅方向において段差形状を有している。本実施の形態においては、第二の溝2011は、底面が平坦であり、両側面の下側が外側に向かって傾斜している外溝2011aと、この外溝2011aの底面の中央に設けられており、底面が平坦で、両側面が垂直で、幅が外溝2011aの底面よりも狭い内溝2011bとを有している。これにより、第二の溝2011の外溝2011aの底面と、内溝2011bの側面との間が段差形状となっている。ここでは、この段差形状を有する部分を段差部2018と呼ぶ。なお、ここでは、外溝2011aの両側面の上方が、外溝2011aの底面に対して垂直となっているため、この垂直な面と、外溝2011aの両側面の下側の外側に傾斜した面と、外溝2011aの底面との間の部分も、段差形状を有する段差部と考えてもよい。なお、外溝2011aの両側面の傾斜している面が、底面に対する角度は、例えば、100〜140度の範囲が好ましい。
なお、ここでの段差形状とは、例えば、高低差が、少なくとも第二の溝2011に巻かれる導線20aの半径rの√3倍以上である部分と考えてもよい。導線20aを整列巻きする場合等においては、段差部2018において整列巻きが崩れないようにするためには、段差形状の高低差は、例えば、およそ導線10aの半径r×n×√3であることが好ましい(ただし、nは1以上の整数であるとする)。ここでの高低差は、例えば、段差形状の低い側に配置される導線20aの最も低い位置(例えば、最も底面側)を基準とした高低差である。なお、第二の溝2011が有する段差形状は、上記以外の段差形状であっても良い。第二の溝2011が有する段差形状は、例えば、第二の溝2011の底面に向かって、第二の溝2011の幅が段階的に減少するような1または2以上の段差であってもよい。また、第二の溝2011が段差形状を有する場合、第二の溝2011の底面は、平坦面であることが好ましい。なお、第二の溝2011は、段差形状を有していなくても良い。また、第一の溝1011も、段差形状を有していても良く、有していなくても良い。
更に、第二の溝2011の底面中央、ここでは、内溝2011bの底面中央には、第二の溝2011に沿って伸びる底面に対して垂直な分割壁2017が設けられている。ただし、分割壁2017は、底面の中央ではない位置に設けられていても良い。このような分割壁2017を設けることで、第二の溝2011の底面上に導線20aを整列して層状に順次重ねて巻き付ける際に、重なり合う各層の幅を、分割壁2017が存在しない場合に比べて狭くすることができ、巻線の重なり合う層間における耐電圧を高く保つ必要がなく、絶縁対策等を軽減することができ、部品やコストを削減することができる。
また、第二の溝2011においては、内溝2011bの側面と分割壁2017とを底面に対して垂直となるようにするとともに、内溝2011bの側面と分割壁2017との間の距離(すなわち幅)を、第二の導線20aの直径Φのおよそ(m+1/2)倍以上、(m+1)倍未満(ただし、mは、1以上の整数であるとする)とすることで、導線20aを内溝2011bに対して、第二の溝2011の幅方向に整列巻きした場合に、各層の導線20aの巻付け数を同じとすることができる。これにより、例えば、内溝2011bに導線20aを順番に巻付けて、第二のコイル20を構成する所望の巻数をそれぞれ有する複数の巻線を作製する場合において、各巻線の導線20aの巻数を、分割壁2017で区切られた内溝2011bの底面に巻付け可能な巻数の整数倍とすることで、各巻線の端子を、第二の溝2011の導線20aが巻付けられている領域の側壁側または分割壁2017側から取り出すことが可能となる。また、各巻線の巻数を、分割壁2017で区切られた内溝2011bの底面に巻付け可能な巻数の偶数倍とすることで、各巻線の端子を、第二の溝2011の導線20aが巻付けられている領域の側壁側から取り出すことが可能となる。かかることは、分割壁2017がない場合において、内溝2011bの両側面間において導線20aを巻付ける場合においても同様である。また、第二の溝2011の外溝2011aの側面は、外溝2011aの底面に対して傾斜しているため、側面が底面に対して垂直な場合に比べて、巻数を増やすことができる。
なお、内溝2011bの底面に対して垂直な側面と分割壁2017との間に、導線20aを往復して巻付けていく場合、内溝2011bの側面と分割壁2017との間の距離に関係なく、1往復で巻付けられる導線20aの巻付け数を同じとすることができる。このため、例えば、内溝2011bに導線20aを順番に巻付けて、第二のコイル20を構成する所望の巻数をそれぞれ有する複数の巻線を作製する場合において、各巻線の導線20aの巻数を、分割壁2017で区切られた内溝2011bの底面に幅方向に1往復で巻付け可能な巻数の整数倍とすることで、各巻線の端子を、第二の溝2011の導線20aが巻付けられている領域の側壁側または分割壁2017側から取り出すことができる。かかることは、分割壁2017がない場合において、内溝2011bの両側面間において導線20aを巻付ける場合においても同様である。
なお、通常、導線20aの巻き始めは、第二の溝2011の側壁側からとなるので、往復の整数倍で巻付けて取り出される各巻線の端子も側壁側から取り出される。特に、本実施の形態に挙げた例のように、内溝2011bがタップ巻線として用いられる巻線を巻く領域として用いられる場合においては、通常、導線20aは第二の溝2011の側壁側から巻付けられて各巻線の端子も側壁側から取り出され、分割壁2017側から取り出さない。
なお、本発明においては、第二の溝2011として、どのような形状のものを用いても良い。また、第二の溝2011は、分割壁2017を有していなくても良い。
第二の枠体201は、第二鉄心領域2012を有している。第二鉄心領域2012は、コイルボビン1を用いて変圧器1000を作製した場合に、巻鉄心3の内側に位置する第二の枠体201の領域である。第一の枠体101が有する一以上の第一鉄心領域1012のそれぞれに隣接する位置に第二鉄心領域2012を有している。第一鉄心領域1012に隣接する位置とは、例えば、第一の枠体101に第二の枠体201をはめ込んだ状態で第一の枠体101が有する各第一鉄心領域1012に隣接する位置である。ここでは、第二の枠体201は、第一の枠体101が有する互いに平行な一対の第一鉄心領域1012にそれぞれ隣接する位置に、第二鉄心領域2012を有している。このため、第二の枠体201は、互いに平行な一対の第二鉄心領域2012を有している。第二鉄心領域2012は、直線状に伸びる形状を有している。ただし、第二鉄心領域2012は、必ずしも直線状に伸びる形状を有していなくても良く、例えば、多少の湾曲等を有していてもよい。
第二の枠体201の2つの第二鉄心領域2012には、それぞれ8つの冷却孔2019が設けられている。具体的には、第二の枠体201の一の第二鉄心領域2012の正面側および背面側には、それぞれ4つの冷却孔2019が設けられている。ここでは、正面側の4つの冷却孔2019と、背面側の4つの冷却孔2019とは、正面に対して平行な面を対称面として面対称となる位置に設けられている。冷却孔2019は、第二の枠体201の第二の溝2011の外周面と、第二の溝2011とを連通する貫通孔である。冷却孔2019は、例えば、第二の溝2011に巻付けられる第二のコイル20を冷却するための孔である。冷却孔2019は、例えば、第二のコイル20を冷却するための媒体となる絶縁油を、第二のコイル20に直接接触させるための貫通孔と考えてもよい。各冷却孔2019は、開口形状が、第二の枠体201の外周方向に対して垂直な方向に延びるストライプ状である孔である。ただし、冷却孔2019の幅や長さは問わない。各第二鉄心領域2012に設けられた8つの冷却孔2019は、ほぼ等しい間隔を隔てて第二の枠体201の外周方向に向かって互いに平行となるように配列されている。各冷却孔2019は、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように後述する円筒部材301を配置した状態において、第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に生じる間隙と、第二の溝2011とを連通可能となる位置に設けられている。ここでの連通可能となる位置とは、例えば、各冷却孔2019が円筒部材301により完全に塞がれない位置、好ましくは、各冷却孔2019に絶縁油が入り込むよう各冷却孔2019の円筒部材301側の開口面に円筒部材301により塞がれていない部分が残るような位置である。
第二の枠体201は、複数の補強用リブ2013を有している。補強用リブ2013は、例えば、第二の枠体201の外周方向に対して垂直に設けられた板状の部材である。ただし、第二の枠体201の強度等を保つことが可能であれば、補強用リブ2013の枚数、平面形状、厚さ、サイズ、及び設置位置等は問わない。また、ここでは、補強用部材として板状部材である補強用リブ2013を設けた場合について説明したが、本発明においては、補強用部材であれば、板状の補強用リブ2013以外の補強用部材を設けても良い。例えば、板状以外の形状の補強用リブを設けても良く、他の補強部材(図示せず)を設けても良い。また、第二の枠体201の材質や、全体のサイズ等によって、補強が不要である場合は、補強用リブ2013は省略可能である。補強用リブ2013は、第二の枠体201の外周側には設けないことが好ましい。なお、第二鉄心領域2012に設けられる補強用リブ2013等の補強用部材の形状は、冷却孔2019に絶縁油等が流入および流出可能とするために、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように後述する円筒部材301を配置した状態において、この円筒部材301の内面と第二の枠体201の第二鉄心領域2011との間に生じる間隙と、円筒部材301の端部の開口部3015と、が連通している状態を妨げないような形状とすることが好ましい。例えば、第二鉄心領域2012に設けられる補強用リブ2013は、後述する円筒部材301の内面との間に、少なくとも部分的に絶縁油等が流入および流出可能な隙間や孔等が生じるような平面形状とすることが好ましい。ここでは、補強用リブ2013の円筒部材301の内側に位置することとなる部分の平面形状が、多角形形状となるようにしている。かかることは、第一鉄心領域1012に設けられる補強用リブ1013についても同様である。
矩形形状である第二の枠体201の一対の第二鉄心領域2012が設けられている辺を連結する二つの辺の、第二の溝2011の両側となる部分には、それぞれ、矩形の溝状に切り欠いた4つの端子取出部2015a〜2015dが設けられている。なお、以下、説明の便宜上、4つの端子取出部2015a〜2015dを区別しない場合には、これらを単に端子取出部2015と呼ぶ場合がある。端子取出部2015は、第二のコイル20の端子を取り出す部分である。複数の端子取出部2015からそれぞれ取り出される端子は、例えば、第二のコイル20を構成する複数の巻線の端子であっても良く、複数の巻線のうちの2以上の巻線の端子を接続した端子であっても良い。複数の端子取出部2015からそれぞれ取り出される端子は、例えば、いわゆるタップ切替えに利用される端子であっても良い。なお、端子取出部2015の数及び形状は上記以外であってもよい。例えば、端子取出部1015は、第二の溝2011の1以上の側部に設けられた1以上の貫通孔であっても良い。また、例えば、第二の枠体201は、端子取出部2015を一つだけ有していても良く、2以上有していても良い。また、複数の端子取出部2015の少なくとも一部が、他と異なる形状を有していても良い。また、複数の端子取出部1015は、第二の溝2011の一方の側部に設けられていても良い。また、端子取出部2015は、第二の枠体201の1対の第二鉄心領域2012が設けられている辺を連結する1つの辺だけに設けられていても良い。なお、第二の枠体201は、端子取出部2015を有していなくても良い。また、ここでは、第二の溝2011の側面の、端子取出部2015aと端子取出部2015bの間の部分の情報、および端子取出部2015cと端子取出部2015dの間の部分の上方を切り欠いている例を示しているが、切り欠いていなくても良い。
円筒部材301は、円筒状の部材である。円筒部材301は、長手方向において両端が開口している。この両端の開口した部分を、ここでは開口部3015と呼ぶ。図1(a)に示すように、円筒部材301は、第二の枠体201を、第一の枠体101の内側にはめ込んだ状態で、第一の枠体101及び第二の枠体201の、隣接する1以上の第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との1以上の組を包むように配置される。ここでは、二つの円筒部材301が、それぞれ、隣接する一対の第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との組を包むように配置される。ここでは、一例として、一のコイルボビン1における1以上の円筒部材301が、それぞれ、一の第一の枠体101が有する一の第一鉄心領域1012と、この第一の枠体101にはめ込まれた第二の枠体201が有する、上記の一の第一鉄心領域1012に隣接する一の第二鉄心領域2012のみを包むよう配置されるものである場合について説明する。
本実施の形態のコイルボビン1においては、図6(a)に示すように、第二鉄心領域2011において、第二の枠体201の第二の溝2011の外周面、即ち、円筒部材301に対向する部分は、段差形状を有しており、第二の溝2011の外周面の、第二の溝2011の底面に対応する部分が平坦面となっているため、第二の枠体201の第二の溝2011の外周面の形状は、第二鉄心領域2011において、対向する円筒部材301の内面形状と一致する円弧形状を有していない。このため、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態においては、第二鉄心領域2012と、円筒部材301との間には、図6(a)に示すように、間隙50が生じる。この間隙50は、円筒部材301の両端の開口部3015に連通する。また、上述したように、各冷却孔2019は、第二の枠体201の第二鉄心領域2012の第二の溝2011の外周面に沿って設けられており、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態において、第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に生じる間隙50と、第二の溝2011とを連通している。このため、冷却孔2019は、円筒部材301の端部の開口部3015と、第二の溝2015とを連通することとなる。
円筒部材301の長手方向の両端の開口部3015は、完全に開口していることが好ましい。ただし、開口部3015は、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態で、円筒部材301と第二鉄心領域との間に生じる間隙50と連通するものであって、この間隙50に絶縁油が流入および流出可能な開口を第二の枠体201との間に有するものであれば、どのような形状を有していても良い。また、円筒部材301は、両端が開口している代わりに、両端近傍に絶縁油の流入および流出が可能な1以上の開口した部分(図示せず)を有していても良い。なお、このような両端近傍の開口した部分も、実質的に円筒部材301の両端の開口部と考えるようにしてもよい。
円筒部材301は、巻鉄心3が巻付けられる部材である。円筒部材301は、例えば、電磁鋼板等の巻鉄心3の材料となる鋼板を巻付けることによって、ゆがみや、ひずみ、巻き方の乱れ等の少ない整った円筒状の巻鉄心を作製することが可能なものであれば、外側の面、すなわち外周面に1以上の平坦な部位を有していても良く、外周面に1以上の凹部や凸部を有していても良い。また、円筒部材301は、ほぼ円筒に近い形状を有するものであって、鋼板を巻付けることによって、ゆがみ等のない整った円筒状の巻鉄心を作製することが可能なものであれば、外周側が多角柱状の形状を有するものであっても良い。
円筒部材301の材質は、例えば、樹脂である。円筒部材301の樹脂と、第一の枠体101の樹脂とは、異なる樹脂であっても良く、同じ樹脂であっても良い。かかることは、円筒部材301の樹脂と、第二の枠体201の樹脂とについても同様である。円筒部材301の厚さ等は問わない。ただし、円筒部材301もボイド等が発生しないような厚さ、例えば、4mm以下の厚さであることが好ましい。円筒部材301の直径及び配置は、例えば、円筒部材301を、第一の枠体101の内側、すなわち内周側に、第二の枠体201を配置した状態の、一対の第一鉄心領域1012及び第二鉄心領域2012を包むように配置した状態で、円筒部材301の内側、すなわち内周側に配置される第一鉄心領域1012及び第二鉄心領域2012との距離ができるだけ近くなるような直径及び配置とすることが好ましい。例えば、円筒部材301の内周側に配置される第一鉄心領域1012及び第二鉄心領域2012の少なくとも一部に、円筒部材301の内面、すなわち内周面が接触するような直径および配置としてもよい。円筒部材301の長手方向の長さは問わない。円筒部材301の長手方向の長さは、例えば、巻鉄心3の幅等に応じて設定される。
円筒部材301は、一対の半円筒部3011aと半円筒部3011bとにより構成されている。半円筒部3011aは、第一の枠体101の正面側に配置され、半円筒部3011bは、第一の枠体101の背面側に配置される。一対の半円筒部3011aと半円筒部3011bとを、円弧状に凸となる方向が同一直線状において逆方向になるよう配置して、それぞれが有する長手方向に沿って伸びる2つの端部3013を、対向するもの同士で接合することで、半円筒部3011aと半円筒部3011bとが組み付けられて円筒部材301となる。端部2013は接合面と考えてもよい。半円筒部3011aおよび3011bは、円筒部材301を、長手方向に向かって対称となるよう二つに分割した形状を有する部材であり、この二つの半円筒部3011aと半円筒部3011bとを組み合わせることで、円筒部材301が構成される。ただし、半円筒部3011a及び3011bは、必ずしも対称となる形状を有していなくても良い。例えば、半円筒部3011a及び3011bは、円筒部材301を、その中心軸に平行な平面と交わる位置で長手方向に向かって二つに分割した非対称な形状を有する部材であってもよい。
一対の半円筒部3011aおよび3011bは、連結手段3012を有している。一対の半円筒部3011aおよび3011bは、連結手段3012により連結される。連結手段3012は、半円筒部3011aと半円筒部3011bとのそれぞれが有する長手方向に沿って伸びる2つの端部3013近傍の、半円筒部3011aと半円筒部3011bとを組み付けて円筒部材301とする際に対向する位置に設けられている。連結手段3012は、半円筒部3011aおよび半円筒部3011bのいずれか一方に設けられた突起部3012aと、他方のこの突起部3012aに対向する位置に設けられた、この突起部3012aに嵌合する凹部3012bとの組で構成されている。ここでは、一対の半円筒部3011aおよび3011bが、長手方向に沿って伸びる対向する2対の端部3013のそれぞれに、4組の連結手段3012を備えている場合を示しているが、連結手段3012の数は問わない。また、一対の半円筒部3011aおよび3011bが有する連結手段は、上記の連結手段3012以外の連結手段であってもよい。また、一対の半円筒部3011aおよび3011bが接着される場合のように、連結手段による連結が不要である場合は、連結手段は省略可能である。また、一対の半円筒部3011aおよび3011bがそれぞれ有する長手方向に沿って伸びる2つの端部3013のうちの、半円筒部3011aおよび3011bを組み付ける際に対向する端部3013同士の一方を、蝶番(図示せず)等で予め回動可能に接続しておくようにし、他方の対向する端部3013に連結手段3012を設けるようにしても良い。
なお、ここでは、円筒部材301が一対の半円筒部3011aと半円筒部3011bとにより構成される場合について説明したが、円筒部材301は、3以上の部材を組み付ける構成されるものであっても良い。また、円筒部材301は、一対の第一鉄心領域1012及び第二鉄心領域2012を包むように配置することが可能であれば、上記以外の構成であっても良く、上記以外の構造を有していても良い。例えば、円筒部材301は、一の部材で構成されていても良い。
円筒部材301は、上述した位置決めおよび固定に用いられる突起1014に嵌合する凹部3014を有している。具体的には、円筒部材301を一対の第一鉄心領域1012および第二鉄心領域2012を包むよう所望の位置に配置した状態で、円筒部材301の第一の枠体101に設けられた位置決め用の突起1014のそれぞれに対応する位置に、位置決め用の突起1014が設けられている。ここでは、円筒部材301を構成する一対の半円筒部3011aおよび3011bのうちの、第一の枠体101の正面側に配置される半円筒部3011aの幅方向の中心に、第一鉄心領域1012の正面側に配置された3つの突起1014にそれぞれ嵌合する3つの凹部3014が設けられており、第一の枠体101の背面側に配置される半円筒部3011bの幅方向の中心に、第一鉄心領域1012の背面側に配置された3つの突起1014にそれぞれ嵌合する3つの凹部3014が設けられている。ただし、凹部3014の位置および数は、突起1014に対応する位置及び数であれば、その位置及び数は問わない。また、突起1014が設けられていない場合や、突起1014および凹部3014を用いた位置決めが不要である場合は、凹部3014は設けないようにしてよい。なお、コイルボビン1は、上述した突起1014および凹部3014を用いた位置決め以外の位置決めの手段や構成等を有していてもよい。
次に、コイルボビン1を有する変圧器1000について説明する。変圧器1000は、コイルボビン1と、第一のコイル10と、第二のコイル20と、二つの巻鉄心3とを有している。
図3(a)に示すように、第一のコイル10は、コイルボビン1の第一の枠体101の第一の溝1011に配置されている。第一のコイル10は、第一の溝1011に巻付けられたコイルであり、導線10aにより構成されている。通常、第一のコイル10は、変圧器1000のいわゆる二次側コイルとして用いられる。例えば、第一のコイル10は、後述する第二のコイル20に対して低圧側のコイルとして用いられる。第一のコイル10は、導線10aを巻付けて構成された複数の巻線を有している。導線10aの材質は通常の変圧器に利用可能な導線であれば良く、材質は問わない。
第一のコイル10は、図6(b)に示すように、第一の溝1011に、整列巻きされた導線10aで構成されている。ここでは、一例として、第一のコイル10は、第一の巻線(図示せず)と、第二の巻線(図示せず)とにより構成されているものとする。なお、図6(b)において、白丸で示した断面が、第一のコイル10の第一の巻線を構成する導線10aの断面であり、斜線で示した断面が、第一のコイル10の第二の巻線を構成する導線10aの断面である。第一の巻線と第二の巻線との巻数は同じであるとする。なお、ここで示した第一の巻線を構成する導線10aと第二の巻線を構成する導線10aとの巻き方は一例であり、他の巻き方としても良いことはいうまでもない。第一の巻線の第二の端子(図示せず)は、第二の巻線の第一の端子(図示せず)と接続されるとともに、接続された端子は、第一の枠体101の端子取出部1015の一方から外部に引き出されている。この接続された端子は、例えば、単相3線式の出力のグラウンドとして用いられる。第一の巻線の第一の端子と、第二の巻線の第二の端子とは、それぞれ個別に、端子取出部1015の一方から外部に取り出され、例えば、一方が、単相3線式の出力のプラス側端子として用いられ、他方がマイナス側端子として用いられる。なお、図2および図3等においては、端子取出部1015から取り出される巻線の端子等の図示は省略している。
また、図3(a)に示すように、第二の枠体201の第二の溝2011には、第二のコイル20が配置されている。第二のコイル20は、第二の溝2011に巻付けられたコイルであり、導線20aにより構成されている。通常、第二のコイル20は、変圧器1000のいわゆる一次側コイルとして用いられる。通常、第二のコイル20は、第一のコイル10に対して、高圧側のコイルとして用いられる。例えば、第二のコイル20は、電力系統等と接続される高圧側のコイルとして用いられる。ここでは、第二のコイル20は、導線20aを巻付けて構成された複数の巻線を有している。導線20aの材質は通常の変圧器に利用可能な導線であれば良く、材質は問わない。
第二のコイル20は、図6(b)に示すように、第二の溝2011に整列巻きされた導線20aで構成されている。ここでは、一例として、第二のコイル20が、第三の巻線(図示せず)と、第四の巻線(図示せず)と、第五の巻線(図示せず)と、第六の巻線(図示せず)と、第七の巻線(図示せず)とにより構成されているものとする。第三の巻線は、第二の溝2011の分割壁2017で区切られた右側の部分の下二層の巻線であり、第四の巻線は、第三の巻線上の二層の巻線であり、第五の巻線は、第四の巻線上の二層の巻線であり、第六の巻線は、第五の巻線の上に配置された複数層の巻線である。第七の巻線は、第二の溝2011の分割壁2017で区切られた左側の部分に配置された複数層の巻線である。第三の巻線から第五の巻線までは、第二の溝2011の、側面が底面に対して垂直である内溝2011bの底面上に1往復で巻付けられている。例えば、第三の巻線から第五の巻線のいずれの巻線においても、下の層は右から左に向かって導線20aが巻付けられて、上の層は、分割壁2017の部分で下の層に巻付けた導線20aを折りかえして左から右に向かって巻付けられている。これにより、第三の巻線から第五の巻線までの巻線がそれぞれ有する図示しない第一の端子および第二の端子は、いずれも、第二の溝2011の右側に設けられた4つの端子取出部2015のいずれか一つから取り出すことができる。なお、ここでは、第二の溝2011の、底面に対して垂直な側面を有する内溝2011bに巻付けられる巻線の数が3つである場合について説明しているが、この巻線の数は、3つに限定されるものではなく、1つであっても良く、2以上であっても良い。また、各巻線の往復数は2以上であっても良い。また、各巻線の往復数は同じであっても良く、異なっていても良い。この内溝2011bの側面の高さは、例えば、配置される1以上の巻線が少なくとも収まる高さに設定される。
図6(b)における右側が、第二の枠体201の正面側であるとすると、ここでは一例として、第三の巻線の第一の端子(図示せず)は、端子取出部2015aから取り出され、第三の巻線の第二の端子(図示せず)は、第四の巻線の第一の端子(図示せず)と接続されて、端子取出部2015bから取り出され、第四の巻線の第二の端子(図示せず)は、第五の巻線の第一の端子(図示せず)と接続されて、端子取出部2015cから取り出され、第五の巻線の第二の端子(図示せず)は、第六の巻線の第一の端子(図示せず)と接続されて端子取出部2015dから取り出されるものとする。また、第六の巻線の第二の端子(図示せず)と、第七の巻線の第一の端子(図示せず)とは、コイルボビン1の外部等で接続されるものとする。また、第七の巻線の第二の端子(図示せず)は、第二の背面側の端子取出部2015の一つから取り出されるものとする。なお、ここでは、端子取出部2015a〜端子取出部2015dが正面から見て左回りに向かって配列される場合を示しているが、本発明においては4つの端子取出部2015の配列順は問わない。なお、図2および図3等においては、端子取出部1015から取り出される巻線の端子等の図示は省略している。
なお、通常の変圧器においては、一次側コイルの方が、二次側コイルよりも高電圧となり、二次側コイルの方が大きい電流が流れることから、二次側コイルとして用いられる第一のコイル10を構成する導線10aとして、第二のコイル20を構成する導線よりも、太い導線が用いられている。また、第一のコイル10および第二のコイル20の巻き方は上記の整列巻き以外の巻き方であっても良く、その巻き方は問わない。なお、図2等に示した第一のコイル10および第二のコイル20の巻き方や、巻数、導線10aおよび20aの太さ等は説明のためのものであり、実際の巻鉄心3のものとは異なる場合がある。
第二の溝2011に第二のコイル20が巻付けられた第二の枠体201は、第一の溝1011に第一のコイル10が巻付けられた第一の枠体101の貫通孔1017にはめ込まれる。
2つの円筒部材301は、第一の枠体101の貫通孔1017に、第二の枠体201がはめ込まれた状態で、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との二つの組をそれぞれ個別に包むように配置されている。円筒部材301は、第一の枠体101の正面側及び背面側に設けられた複数の突起1014に、円筒部材301の、各突起1014に対応する位置に設けられた複数の凹部3014をはめ込むことで位置決めして配置されている。各円筒部材301は、半円筒部3011a及び3011bを複数の連結手段3012で連結して構成されている。ここでは、各円筒部材301は、複数の連結手段3012をそれぞれ構成する突起部3012aと凹部3012bとを嵌め合わせて半円筒部3011a及び3011bを連結することにより構成されている。
図2に示すように、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との二つの組をそれぞれ包むように配置された円筒部材301には、それぞれ巻鉄心3が巻付けられている。巻鉄心3は、電磁鋼板等の鋼板(図示せず)を、円筒部材301に巻付けて構成された鉄心である。巻鉄心3を構成する鋼板としては、通常の巻鉄心に用いられる鋼板であれば、どのような鋼板を用いるかは問わない。巻鉄心3の巻付け回数等は問わない。また、巻鉄心3に用いられる鋼板の厚さおよび幅は問わない。なお、図2等に示した巻鉄心2の巻数や、巻鉄心3に用いられる鋼板等は説明のためのものであり、実際の巻鉄心3のものとは異なる場合がある。
図7は、タップ切換器TLに接続された変圧器1000の回路構成の一例を説明するための図である。図において、変圧器1000の回路構成は、点線で示す部分に相当する。ここでは、変圧器1000を降圧用の変圧器として用いた場合について示している。ただし、変圧器1000の接続等は、変圧器として利用可能なものであれば、図7に示した接続以外の接続であっても良い。図7において、巻線21〜22は、上述した第一のコイル10を構成する第一および第二の巻線であり、巻線23〜27は、上述した第二のコイル20を構成する第三〜第七の巻線であるとする。
上記で説明した端子取出部2015a〜2015dのいずれかから取り出された端子(図示せず)は、いわゆる、タップ切換器TLのタップ端子に接続される。
第一の巻線21の第一の端子(図示せず)、第一の巻線21の第2の端子(図示せず)と第二の巻線22の第一の端子(図示せず)とを接続した端子、及び第二の巻線22の第二の端子(図示せず)は、それぞれ変圧器1000が収容される容器(図示せず)に設けられた二次側の端子である正の端子BS2(+)、グラウンドのBS2(G)、及び負の端子BS2(−)に接続される。容器(図示せず)に設けられた端子BS2(+)、BS2(G)、及びBS2(−)としては、ここでは、ブッシングが用いられているものとする。端子BS2(+)と、端子BS2(G)の間の電圧は、例えば、100から110Vであり、端子BS2(−)と、端子BS2(G)の間の電圧は、例えば、−100から−110Vである。
端子取出部2015aから取り出された第三の巻線23の第一の端子T1は、タップ端子P1と接続され、端子取出部2015bから取り出された第三の巻線23の第二の端子(図示せず)と、第四の巻線24の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T2は、タップ端子P2と接続され、端子取出部2015cから取り出された第四の巻線24の第二の端子(図示せず)と、第五の巻線25の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T3は、タップ端子P3と接続され、端子取出部2015dから取り出された第五の巻線25の第二の端子(図示せず)と、第六の巻線26の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T4は、タップ端子P4と接続される。タップ端子P1〜P4のいずれか一つは、切替片TCによってコモン端子Pcに接続される。コモン端子Pc、及び第七の巻線27の第二の端子Q1は、それぞれ変圧器1000が収容される容器(図示せず)に設けられた一次側の正の端子BS1(+)及び負の端子BS1(−)に接続される。容器(図示せず)に設けられた端子BS1(+)、及びBS1(−)としては、ここでは、ブッシングが用いられているものとする。端子BS1(+)と端子BS1(−)との間には、電力系統から例えば、電位差が6000V以上の高圧の電圧が印加される。このような回路構成においては、切替片TCを動かして、コモン端子Pc接続されるタップ端子P1〜P4を変更することでタップ切換が行なわれる。なお、端子T5で接続された第六の巻線26と第七の巻線27とは、第二のコイル20の、タップ切換できない主要巻線として機能する。
変圧器1000は、図示しない絶縁油内に配置して使用される。変圧器1000は、例えば、いわゆる油入式変圧器である。例えば、変圧器1000及びタップ切換器TLは、図7に示すように接続されて、絶縁油が充填された容器(図示せず)内に収容される。絶縁油の成分は問わない。
次に、変圧器1000の製造方法について簡単に説明する。図3(a)に示すように、成型された第一の枠体101の第一の溝1011に導線10aを巻付けて、第一のコイル10が巻付けられた第一の枠体101を作製する。第一のコイル10を構成する複数の巻線の端子は、適宜、端子取出部1015から取り出す。同様に、成型された第二の枠体201の第二の溝2011に導線20aを巻付けて、第二のコイル20が巻付けられた第二の枠体201を作製する。第二のコイル20を構成する複数の巻線の端子は、適宜、端子取出部2015から取り出す。導線10aおよび導線20aの巻付け方法等については、公知の技術が利用可能である。
第二のコイル20が巻付けられた第二の枠体201を、第一のコイル10が巻付けられた第一の枠体101の貫通孔1017に、係止部1016が設けられていない側からはめ込む。はめ込まれた第二の枠体201は、その一部が、係止部1016に係合して、第一の枠体101と一体に組み付けられる。なお、第二のコイル20が巻付けられた第二の枠体201を、第一の枠体101の貫通孔1017にはめ込んだ後に、導線10aを第一の溝1011に巻付けることで、第一のコイル10を作製してもよい。
第一の枠体101の内側、つまり第一の枠体101の貫通孔1017に第二の枠体201を嵌合させた状態で、一対の隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との組をそれぞれ包むように、半円筒部3011aおよび3011bを配置し、これらを連結手段3012により連結して、図3(b)に示すように、一対の隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との組をそれぞれ包むように配置した一対の円筒部材301を得る。円筒部材301は、この円筒部材301が有する凹部3014を、第一の枠体101の突起1014に嵌合させることで位置決めする。
一対の円筒部材301のそれぞれに、鋼板(図示せず)を巻付けて一対の巻鉄心3を設けることで、図2に示すような変圧器1000を得ることができる。鋼板の巻付け方法としては、公知の技術が利用可能である。
このようにして組み立てた変圧器1000は、図7に示すようにタップ切換器TL等に接続されて、変圧器1000を配置する容器(図示せず)内に収容される。そして、上記のように変圧器1000の第一の巻線21および第二の巻線22の端子(図示せず)が容器の二次側の端子BS2(+)、BS2(G)、及びBS2(−)と接続され、コモン端子Pc、及び端子Q1が、容器の一次側の端子BS1(+)、及びBS1(−)と接続され、この容器内に絶縁油を充填することで、図7に示した回路構成となるよう接続されて、絶縁油内に配置された変圧器1000を組み立てることができる。
本実施の形態のコイルボビン1を用いた変圧器1000においては、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態において、第二鉄心領域2012と、円筒部材301との間に、円筒部材301の両端の開口部3015に連通する間隙50が生じており、各冷却孔2019が、それぞれこの第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に生じる間隙50と、第二の溝2011とを連通している。これにより、第二の溝2011に巻付けられた高圧側のコイルである第二のコイル20は、この冷却孔2019を介して外部に露出することとなる。なお、図3(a)において、冷却孔2019内に露出している第二のコイル20の図示は省略している。このため、このコイルボビン1を用いた変圧器1000を絶縁油(図示せず)内に配置した場合、絶縁油が、円筒部材301の開口部3015から、第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に生じる間隙50と、冷却孔2019とを介して、第二の溝2011まで入り込み、第二の溝2011に巻付けられた第二のコイル20に直接接触することとなり、絶縁油を介して、第二のコイル20を効率的に冷却することが可能となる。
また、各第二鉄心領域2012における冷却孔2019と巻鉄心3との間には、円筒部材301が設けられているため、冷却孔2019において巻鉄心3側に露出する第二のコイル20と、巻鉄心3の内側とに間には円筒部材301が存在することとなり、第二のコイル20と巻鉄心3とが、絶縁油だけを介して対向することとはならないため、第二のコイル20と巻鉄心3との間の絶縁性を保つことができる。
また、円筒部材301を有することにより、第二の枠体201の形状によらず巻鉄心3をゆがみや、ひずみ、まき付けの乱れ等が生じないよう適切に巻付けることができる。
なお、円筒部材301が2以上の部材を組み付けて構成されるものである場合、この2以上の部材の接合される部分に生じる隙間等によって、絶縁性が低下する可能性がある。このため、絶縁性をより確実に保つために、2以上の部材の接合される部分を、冷却孔2019に対向しない位置に設けることが好ましい。
以上、本実施の形態によれば、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むよう筒状部材301を配置するようにし、第二の枠体201が、各第二鉄心領域2012において、円筒部材301との間に間隙が生じる形状を有するようにし、第二鉄心領域2012に、この間隙と第二の溝2011とを連通する1以上の冷却孔2019を設けるようにしたことにより、高圧側のコイルである第二のコイル20と、巻鉄心3との間の絶縁性を円筒部材301で保ちつつ、第二鉄心領域2012において、冷却孔2019を通じて高圧側のコイルである第二のコイル20に絶縁油を直接接触させて冷却することができ、高圧側のコイルを効果的に冷却することができる。また、円筒部材301により、巻鉄心3をゆがみやひずみ、巻付けの乱れ等が生じないよう適切に巻付けることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、第二の枠体201の断面形状を、第二の枠体201の外周に沿って設けられた第二の溝2011の形状に沿った形状とし、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置するようにしたことにより、第二の枠体201の厚さを薄くして、第二の枠体201にボイドを生じにくくすることができる。これにより、高圧側のコイルが巻付けられる第二の枠体201の巻鉄心の内側に位置する領域である第二鉄心領域2012にボイドが生じにくくすることができる
例えば、上述した従来の技術のように、鉄心巻込部の凹状溝の両側壁の外周面を、断面円弧状の曲面とした場合、例えば、電磁鋼板を巻回して巻鉄心を設ける際に、巻鉄心にひずみやゆがみ、巻き方の乱れ等が生じにくくすることができるが、コイルボビンの鉄心を巻付ける部分の厚さ、すなわち、巻鉄心が巻付けられる面とコイルを巻くための溝との間の厚さが部位によって不均一となり、部分的に厚さの厚い部分が存在することとなる。樹脂の成型品であるコイルボビンにおいては、このような厚さの厚い部分の樹脂内部に、成型時にボイドと呼ばれる空洞が発生しやすい。このようなボイドが存在するコイルボビンを用いて変圧器を作製した場合、コイルボビンに巻かれたコイルと、巻鉄心との間に位置するボイド内に放電が発生する場合がある。特に、変圧器においては、通常、絶縁性を高めるため、高圧側のコイルがコイルボビンの内側に近い部分(例えば、凹状溝の底面側)に巻付けられるが、コイルボビンの、高圧側のコイルが巻付けられる部分の巻鉄心の内側となる領域にボイドが存在する場合、電源系統等の高い電圧が印加される高圧側のコイルと巻鉄心との間に挟まれることになるため、このボイド内において他の部分よりも放電が発生しやすくなる。このようにコイルボビンのボイド内において放電が発生すると、ボイドの近傍部分が急速に劣化してしまう場合があり、この結果、変圧器が劣化しやすくなってしまい、高品質な変圧器を提供することができなくなってしまう場合ある。
これに対し、本実施の形態においては、上記のように、高圧側のコイルが巻付けられる第二の枠体201の、巻鉄心3の内側に位置する領域である第二鉄心領域2012にボイドが生じにくくすることができるため、この第二の枠体201の第二の溝2011に巻付けられる高圧側の第二のコイル20と巻鉄心3との間に位置するボイド内で発生する放電を防いで第二の枠体201の劣化を防ぐことができ、変圧器1000の品質を向上させることができる。また、円筒部材301により、ゆがみやひずみ、まき付けの乱れ等のない巻鉄心3を設けることができ、高品質な変圧器を提供することができる。
また、本実施の形態においては、第二の枠体201の第二鉄心領域2012以外の部分においても、ボイドが生じにくくすることによって、第二の枠体201の第二鉄心領域2012以外の部分のボイドにおいて発生する放電を防ぐことができ、第二の枠体201の劣化を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、更に、第一の枠体101の断面形状を、第一の枠体101の外周に沿って設けられた第一の溝1011の形状に沿った形状としたことにより、少なくとも第一の溝1011の内面に沿った部分の第一の枠体101の厚さを薄くして、第一の枠体101にボイドを生じにくくすることができ、この第一の枠体101を用いた変圧器において、ボイド内における放電を防いで第一の枠体101の劣化を防ぐことができる。
また、従来の技術のように、コイルボビン1に樹脂の厚い部分が存在すると、樹脂の量が増加するため、その分コストが上昇してしまうと考えられるが、本実施の形態によれば、第一の枠体101の断面形状を、第一の溝1011の形状に沿った形状としたことにより、第一の枠体101に必要な樹脂量を減らすことができ、コストを削減することができる。
また、本実施の形態によれば、第二の枠体201の断面形状を、第二の溝2011の形状に沿った形状とすることにより、第二の枠体201に必要な樹脂量を減らすことができ、コストを削減することができる。
また、本実施の形態においては、第二の溝2011に、幅方向において段差形状を設けることで、例えば、上述したように第二のコイル20を構成する複数の巻線の端子を、第二の枠体201の同一の側から取り出す目的と、導線20aの巻付け量を増加させる目的との両立を図ることが可能となる。また、例えば、第二の溝2011に、第二の溝2011の幅が段階的に変化するようにするように、幅方向において段差形状を設けて、第二の溝2011内に整列巻される第二のコイル20を構成する複数の巻線のそれぞれの巻数を、段差による幅の違いにより容易に設定することが可能となる。なお、この場合は、第二の溝2011の底面は、後述するように平坦面とすることが好ましい。また、本実施の形態においては、このように第二の溝2011が幅方向に段差形状を有する場合において、第二の枠体201の断面形状、特に第二鉄心領域2012の断面形状を、第二の溝2011の形状に沿った形状としているため、第二の枠体201の外周面の、第二の溝2011の段差形状を有する部分に対応する部分を、巻鉄心3が適切に巻付けられるよう円筒形状の一部となるような断面形状にする必要がないため、この段差形状を有する部分の厚さを厚くしないようにすることができ、ボイドを生じにくくすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、第二の溝2011の底面を平坦面とすることにより、例えば、第二のコイル20を構成する整列巻きした複数の巻線の巻数を、第二の溝2011の幅により容易に設定することが可能となる。また、第二の溝2011の底面を平坦面とし、第二の溝2011の側面を底面に対して垂直となるようにすることにより、例えば、上述したように第二のコイル20を構成する整列巻きした複数の巻線の端子を、第二の溝2011の一方の側壁側から、すなわち、第二の枠体201の同一の側から取り出すことが可能となる。また、本実施の形態においては、このように第二の溝2011の底面が平坦面である場合において、第二の枠体201の断面形状、特に第二鉄心領域2012の断面形状を、第二の溝2011の形状に沿った形状としているため、第二の枠体201の外周面の、第二の溝2011の平坦な底面に対応する部分を、巻鉄心3が適切に巻付けられるよう円筒形状の一部となるような形状にする必要がないため、この底面に対応する部分の厚さを厚くしないようにすることができ、ボイドを生じにくくすることができ、上記と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、第二の枠体201が、第二の枠体201の第二の溝2011の外周面が段差形状を有しており、第二の溝2011の外周面の、第二の溝2011の底面に対応する部分が平坦面となっているようにしたことにより、第二鉄心領域2011と、円筒部材301との間に、円筒部材301の両端の開口部3015に連通する間隙が生じるようにした場合について説明したが、本発明においては、第二の枠体201は、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態において、第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に、この円筒部材301の両端の開口部3015に連通する間隙が生じる形状を有していれば、どのような形状を有していても良い。例えば、第二の枠体201は、第二鉄心領域2012においてのみ第二の溝2011の外周面が幅方向に段差形状を有しており、第二鉄心領域2012においてのみ第二の溝2011の外周面の、第二の溝2011の底面に対応する部分が平坦面となっているようにしてもよい。また、例えば、第二の枠体201の第二の溝2011の外周面が、円筒部材301の半径よりも大きい半径の円弧形状であっても良い。また、第二の枠体201が、少なくとも第二鉄心領域2012において、第二の溝2011の外周面が幅方向に2以上の段差形状を有していても良い。
また、本実施の形態においては、各第二鉄心領域2012に8つのストライプ状の冷却孔2019を設けた例について説明したが、本実施の形態においては、各第二鉄心領域2012に設ける1以上の冷却孔2019は、第二の枠体201を第一の枠体101の内側にはめ込んで、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置した状態において、第二鉄心領域2012と円筒部材301との間に生じる間隙であってこの円筒部材301の両端の開口部3015に連通する間隙50と、第二の溝2011とを連通する1以上の貫通孔であればどのような孔であってもよく、その孔の開口形状、数、サイズおよび配置等については問わない。
例えば、第二鉄心領域2012に設けられる冷却孔2019の開口形状は、上記のストライプ状以外の形状であっても良く、例えば、円形、楕円、矩形、多角形等、どのような形状であってもよい。また。例えば、本発明においては、各第二鉄心領域2012に配置される冷却孔2019は、1以上であれば良く、その数は問わない。例えば、上記実施の形態において、各第二鉄心領域2012に1〜7個の冷却孔2019を設けるようにしても良く。9以上の冷却孔2019を設けるようにしても良い。また、一の第二鉄心領域2012に異なる開口形状や、サイズを有する複数の冷却孔2019を設けるようにしても良い。また、1以上の冷却孔2019を、第二の枠体201の内側面、つまり第二の枠体201の貫通孔2014の側面に有していても良い。
なお、第二鉄心領域2012に設けられる冷却孔2019の開口形状、数、サイズおよび配置等については、第二のコイル20を効率良く冷却できるとともに、第二の枠体201の強度を、変圧器1000として利用可能な強度に保つことが可能な範囲で設計することが好ましい。冷却孔2019のサイズとは、例えば、冷却孔2019の開口面のサイズである。
なお、上記実施の形態においては、一の円筒部材301が、一の第一の枠体101が有する一の第一鉄心領域1012と、この第一の枠体101にはめ込まれた第二の枠体201が有する、上記の一の第一鉄心領域1012に隣接する一の第二鉄心領域2012のみを包むよう配置される場合について説明したが、本発明においては、一の円筒部材301が、二つの第一の枠体101が有する2つの第一鉄心領域1012と、この2つの第一の枠体101にそれぞれはめ込まれた2つの第二の枠体201がそれぞれ有する、上記の2つの第一鉄心領域1012に隣接する2つの第二鉄心領域2012とを包むようにしてもよい。
例えば、上記実施の形態においては、第一のコイル10および第二のコイル20に、巻鉄心3を巻付けたいわゆる外鉄型の変圧器に用いられるコイルボビン1について例に挙げて説明したが、本発明は、巻鉄心に対して、第一のコイル10および第二のコイル20を巻付けたいわゆる内鉄型の変圧器に用いられるコイルボビン5においても適用してもよい。以下、このような場合について例を挙げて説明する。
図8は、上記実施の形態において説明した変圧器の変形例を説明するための図であり、内鉄型の変圧器の一例を示す正面図(図8(a))、および、図8(a)のVIIIb−VIIIb線による断面図(図8(b))である。図において、図1〜図6と同一符号は同一または相当する部分を示している。
変圧器1005は、コイルボビン5と、二つの第一のコイル10、二つの第二のコイル20、巻鉄心3を備えている。
コイルボビン5は、2つの第一の枠体101と、2つの第二の枠体201と、1つの円筒部材301とを備えている。なお、ここでは、第一の枠体101のそれぞれが1つの第一鉄心領域101を有し、第二の枠体201のそれぞれも1つの第二鉄心領域201を有しているものとする。2つの第一の枠体101は、それぞれの第一鉄心領域1012の第一の溝1011同士が対向するよう配置される。例えば、二つの第一の枠体101は、第一鉄心領域1012の外周側が接するように配置される。2つの第二の枠体201は、上記の2つの第一の枠体101にそれぞれはめ込まれる。円筒部材301は、対向するよう配置された上記の2つの第一の枠体101がそれぞれ有する第一鉄心領域1012及びこれらの第一鉄心領域1012にそれぞれ隣接する上述した2つの第二の枠体201がそれぞれ有する第二鉄心領域2012の組を包むように配置される。
二つの第一のコイル10は、二つの第一の枠体101の第一の溝1011にそれぞれ配置される。また、二つの第二のコイル20は、二つの第二の枠体201の第二の溝2011にそれぞれ配置される。第一のコイル10および第二のコイル20のまき付け方等は問わない。また、第一のコイル10および第二のコイル20は、いずれも一つの巻線で構成されていても良く、複数の巻線で構成されていても良い。巻鉄心3は、円筒部材301に巻付けられる。
このような変形例においては、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との2つの組を包むよう筒状部材301を配置し、第二の枠体201が、各第二鉄心領域2012において、円筒部材301との間に、この円筒部材301の両端の開口部3015に連通する間隙が生じる形状を有するようにし、第二鉄心領域2012に、この間隙と第二の溝2011とを連通する1以上の冷却孔2019を設けるようにしたことにより、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
また、このような変形例に示したコイルボビン5および変圧器1005においても、第二の枠体201の断面形状を、第二の枠体201の外周に沿って設けられた第二の溝2011の形状に沿った形状とし、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012とを包むように円筒部材301を配置するようにしたことにより、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
なお、図1から図6を用いて説明したような外鉄型の変圧器の場合、第一の枠体101の第一の溝1011の両側壁の上方部分、すなわち外周側の部分は、第一のコイル10を巻付ける必要から開口しておく必要があり、図8に示した内鉄型の変圧器のように、他方の第一の枠体101等でこの開口した部分が塞がれることもないため、円筒部材301を用いない場合、この開口した第一の溝1011の両側壁の上方部分は、巻鉄心3をゆがみや乱れがないように巻付けるための障害となりうる。このため、外鉄型の変圧器に用いられるコイルボビンにおいては、本願発明のように、円筒部材301を設けることで、巻鉄心3をゆがみやひずみ、巻き方の乱れがないように巻付けることが可能となり、高品質な変圧器を得ることが可能となる。
なお、上記実施の形態においては、第一の枠体101の断面形状が、第一の溝1011の形状に沿った形状であり、第二の枠体201の断面形状が、第二の溝2011の形状に沿った形状である場合を例に挙げて説明したが、本発明においては、少なくとも第二鉄心領域2012の第二の枠体201の断面形状が第二の溝2011に沿った形状であればよい。例えば、本発明においては、第一の枠体101の断面形状は、第一の溝1011の形状に沿った形状であってもよく、沿った形状でなくてもよく、第二の枠体201のうちの、第二鉄心領域2012以外の領域は、第二の溝2011に沿った形状でなくてもよい。ボイド内における放電の発生は、上述したように、第二の枠体201の第二のコイル20と巻鉄心3との間のボイドにおいて最も起こりやすいため、少なくとも第二のコイル20と巻鉄心3との間に位置する第二の枠体201の第二鉄心領域2012の断面形状を第二の溝2011に沿った形状とすることにより、放電が発生しやすい部分にボイドが生じにくくすることができる。また、この場合においても、樹脂量を削減することができる。
また、本発明においては、少なくとも、第二のコイル20と巻鉄心3との間に位置する第二の枠体201の第二鉄心領域2012の断面形状を第二の溝2011に沿った形状とするとともに、更に、第一のコイル10と巻鉄心3との間の領域となる第一の枠体101の第一鉄心領域1012の断面形状を、第一の溝1011沿った形状としてもよい。ボイド内における放電の発生は、第二のコイル20と巻鉄心3との間の第二の枠体201のボイドを除いて考えた場合、第一の枠体101の第一のコイル10と巻鉄心3との間のボイドにおいても起こりやすいと考えられることから、このような構成により、放電が発生しやすい部分にボイドが生じにくくすることができる。また、この場合においても、樹脂量を削減することができる。
また、第一の枠体101は、第一鉄心領域1012の第一の溝1011の側面に位置する部分が、第一のコイル10と巻鉄心3との間の領域となるため、本発明においては、第一の枠体101の第一鉄心領域1012の、第一の溝1011の少なくとも側面側の部分の断面形状が、第一の溝1011に沿った形状となるようにしてもよい。このような構成により、放電が発生しやすい部分にボイドが生じにくくすることができる。
なお、上記実施の形態においては、第一のコイル10が複数の巻線で構成されている場合について説明したが、本発明においては、第一のコイル10は、一つの巻線で構成されていても良い。また、第一のコイル10が複数の巻線で構成されている場合、その巻線の数は問わない。また、複数の巻線同士は接続されていても良く、接続されていなくても良い。また、複数の巻線の端子の取出し方、及び複数の巻線間の接続の仕方等は問わない。
また、上記実施の形態においては、第二のコイル20が複数の巻線で構成されている場合について説明したが、本発明においては、第二のコイル20は、一つの巻線で構成されていても良い。また、第二のコイル20が複数の巻線で構成されている場合、その巻線の数は問わない。また、複数の巻線同士は接続されていても良く、接続されていなくても良い。また、複数の巻線の端子の取出し方、及び複数の巻線間の接続の仕方等は問わない。
また、上記実施の形態においては、第二のコイル20の複数の巻線の端子が、いずれも第二の溝2011の一方の側壁側に位置する場合、複数の端子取出部2015を、少なくともこの第二のコイル20の複数の巻線の端子が位置する側に設けることが好ましい。
なお、上記実施の形態においては、第一の枠体101及び第二の枠体201の正面形状が、矩形形状を有する場合について説明した。しかしながら、本発明においては、第一の枠体101の平面形状は、1以上の第一鉄心領域1012を有する形状、例えば円筒部材301で包み込むことが可能な辺を有する形状であれば、どのような形状であるかは問わない。また、同様に、第二の枠体201の平面形状は、第一の枠体101の内側にはめ込み可能な形状であって、1以上の第一鉄心領域1012のそれぞれに隣接する位置に第二鉄心領域2012を有する形状であれば、どのような形状であるかは問わない。
また、上記実施の形態においては、第一の枠体101が対向する一対の第一鉄心領域1012を有し、第一の枠体101の貫通孔1017に第二の枠体201をはめ込んだ状態で、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との2つの組のそれぞれを包むように2つの円筒部材301を配置して、2つの円筒部材301に巻鉄心3を巻付けた場合について説明したが、本発明においては、第一の枠体101の貫通孔1017に第二の枠体201をはめ込んだ状態で、隣接する第一鉄心領域1012と第二鉄心領域2012との1つの組のみを包むように1つの円筒部材301を配置して、この1つの円筒部材301に巻鉄心3を巻付けるようにしてもよい。なお、この場合、第一の枠体101は、少なくとも一つの第一鉄心領域1012を有していれば良く、また、第二の枠体201は、少なくとも一つの第二鉄心領域2012を有していればよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
また、上記実施の形態においては、本発明のコイルボビンを変圧器に利用した場合について説明したが、本発明のコイルボビンは、変圧器に利用されるコイルボビンに限られるものではなく、例えば、コイルを備えた静止誘電機器等に広く利用することができる。