JP6715639B2 - 崩壊斜面対策構造 - Google Patents
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Description
具体的には、図9、図10のように、合成繊維不織布からなるシート2を施工対象の法面1の全体に敷設し、その上に合成樹脂製の網目状をなす抗張力性の被覆材3を同じく施工対象の法面1の全体に敷設している。
前記シート2および被覆材3は、それらを貫通し法面に打込んだアンカー4の頭部において固定されている。すなわち、アンカー4の被覆材3上に突出した頭部に、座金5、圧縮コイルバネ6、座金5を順に挿通し、先端部に螺合したナット7を締付け、被覆材3およびその下層のシート2を法面に圧縮コイルバネ6による圧縮弾性力により押圧し固定している。そしてさらに、被覆材3の表面に客土8をなし植物9を植生して緑化を図っている。なお、図示例では、アンカー間に補強材10を配し被覆材3を補強している。
この崩壊防止構造は、特許文献2中の符号を用いて説明すると、複数個、相互に間隔を置いて平行に配置された細バンド5と該細バンド間を屈曲性を有するように連結する紐体6とを有する帯締めバンド4であって、前記紐体6は複数本で紐群を形成し、該紐群が細バンドの長さ方向に沿って間隔を置いて配置されている帯締めバンドを用いる。
この帯締めバンド4は、細バンド5と該細バンド間が屈曲性を有する紐体6で連結されているので、帯締めバンド4自体が幅方向に屈曲性を有し、法面に凹凸があっても、帯締めバンド4がその凹凸に十分フィットして、帯締めバンド4の下方に空間が生じないというものである。
したがって、崩壊が生じた斜面に対して緑化を含めた安定化対策を施すことが望まれる。しかし、その場合、その崩壊斜面に対して過剰でない適切な仕様の対策を施すことが、費用対効果の面で望まれる。
前記斜面に間隔をあけて設置されるアンカー材と、その斜面を被覆して表層の植生を促す機能と表層の浸食防止機能を果たす繊維織物のシートと、前記シートの上から敷設される、網目状の空隙を有するように樹脂一体成形された帯状法面材とを備え、
前記帯状法面材として配置される、斜面上下方向に延びる複数の縦の帯状法面材と前記縦の帯状法面材と交差する方向に延びる複数の横の帯状法面材との交差箇所に前記アンカー材の地上に露出した頭部が貫通して前記縦及び横の帯状法面材が敷設されており、
前記両帯状法面材を貫通しているアンカー材の頭部には、両帯状法面材の交差箇所の重なり面を覆う固定板を有し、
前記固定板は、そのサイズが、両帯状法面材の四角形をなす重なり部より広い四角形をなし、その四隅に地面側に折り曲げられた爪部を備えており、
アンカー材の頭部に取り付けた締付け部材で前記固定板を押圧することで、前記両帯状法面材を斜面へ密着していることを特徴とする。
なお、帯状法面材が縦横に配置されるから、その格子内部分は斜面を直接には押さえていないが、土塊移動の際に帯状法面材に張力が作用した際、帯状法面材のアンカー材付近もしくはアンカー材間の部分に作用する張力が全体の張力の殆どを負担すると考えられるので、特許文献1のような斜面全体を覆う法面材(被覆材)でなくても、縦横に配置される帯状法面材であれば、土塊移動の抑制効果は得られる。なお、実際に施工する際には地盤状況を調査し斜面の安定計算等をして確認する。
また、特許文献2のように、平行配置の複数の細バンド間を多数の紐体で連結するという複雑な構造の帯締めバンドと異なり、樹脂一体成形された帯状の面材であるから安価であり、施工コストが安く済む。
また、本発明のように、縦横の帯状法面材の四角形をなす重なり部より広い四角形をなし、かつ四隅に爪部を有する固定板は、前記帯状法面材の重なり部の四隅外側において爪部がシートを突抜けるようにして地面に食い込むので、帯状法面材の重なり部をアンカー材にしっかり固定する作用をするとともに、シートを斜面にしっかり固定する作用をする。
また、爪部間に帯状法面材が配置されるので、爪部で帯状法面材を傷つけることがない。したがって、対象斜面の全体に敷設され、斜面の広い部分の土塊の動きを受け止めるシートを縦横に配置される帯状法面材で押さえ込んだ際に、土塊の大きな力が発生しても、帯状法面材は破損することなく効果的に土塊の移動を抑制することができる。
この実施例では、例えば図7(イ)、(ロ)に模式的に示したような表層崩壊の生じた斜面を想定している。破線で示した部分が表層崩壊(崩落)が生じた部分である。符号30は表層崩壊斜面(崩壊発生部斜面)でありかつ表層崩壊斜面対策構造を施工した斜面、31が崩落土砂を示す。符号1は表層崩壊斜面対策構造における後述するアンカー材を示す。図7(ロ)において斜線ハッチング部分が表層崩壊発生部である。後述する縦横の帯状法面材を符号3で模式的に示す。
図では斜面中腹で表層崩壊が生じた場合としているが、法肩近傍で生じる場合、あるいは法尻側で生じる場合、あるいは斜面全体で生じる場合がある。
アンカー材1の設置間隔Mは縦横とも例えば2m(メートル)間隔で設置する。
実施例ではアンカー材1の定着長L(地盤内に挿入される深さ)を約1.0mとしているが、本発明の崩壊斜面対策構造が対象とする斜面の特性を考慮すると、定着長Lは0.5〜1.5mの範囲が好適である。
アンカー材1は、斜面を穿孔してその穿孔孔に挿入し、セメントミルク等のグラウト材を注入して、アンカー材と孔壁との結合力を確保する。
実施例では、アンカー材1が孔の中心に位置して孔壁との隙間間隔を確保できるように、アンカーの先端部と地表近傍の位置にスペーサ7を取り付けている。
実施例の帯状法面材3は、高い引張張力を備えたアラミド繊維入りポリエチレンネットであり、網目寸法が縦50mm・横28mmで、幅Wが260mmである。帯状法面材3の素材としては高い引張張力を有する種々の合成樹脂製の帯状の面材を使用できる。
この帯状法面材3を敷設する際、両帯状法面材3A、3Bの交差箇所におけるそれぞれの空隙部を、既に設置した前記アンカー材1の地上に露出した頭部が貫通する態様で両帯状法面材3A、3Bを敷設する。
このように実施例の固定板4は、幅260mmの縦横の帯状法面材3A、3Bの四角形をなす重なり部より広い四角形をなし、かつ四隅に爪部4cを有している。
また、固定板4の幅方向の両側に、縦の長孔4bを設けており、指を入れて端部を掴むことで運搬を容易にすることができる。
なお、帯状法面材が縦横に配置されるから、その格子内部分は斜面を直接には押さえていないが、土塊移動の際に帯状法面材3に張力が作用した際、帯状法面材3のアンカー材付近もしくはアンカー材間の部分に作用する張力が全体の張力の殆どを負担すると考えられるので、特許文献1のような斜面全体を覆う法面材(被覆材)でなくても、縦横に配置される帯状法面材であれば、土塊移動の抑制効果は得られる。なお、実際に施工する際には地盤状況を調査し斜面の安定計算等をして確認する。
また、特許文献2のように、平行配置の複数の細バンド間を多数の紐体で連結するという複雑な構造の帯締めバンドと異なり、樹脂一体成形された帯状の面材であるから安価であり、施工コストが安く済む。
また、爪部4c、4c間に帯状法面材3が配置されるので、爪部4cで帯状法面材3を傷つけることがない。したがって、対象斜面の全体に敷設され、斜面の広い部分の土塊の動きを受け止めるシート2を縦横に配置される帯状法面材3で押さえ込んだ際に、土塊の大きな力が発生しても、帯状法面材3は破損することなく効果的に土塊の移動を抑制することができる。
土塊移動の際に土塊移動を押さえる縦横の帯状法面材に生じる張力は、縦の帯状法面材の方が大きく横の帯状法面材は小さいので、横の帯状法面材の幅を狭くすることで、過剰でない適切な仕様の崩壊斜面対策構造が得られ、施工費を低減することができる。
固定板の形状は特に限定されないが、図示例では縦の帯状法面材の幅に合わせた横長長方形の固定板41、サイズの大きな縦長長方形の固定板42、サイズの大きな六角形の固定板43を示している。サイズの大きな縦長長方形の固定板42や六角形の固定板43のように帯状法面材の交差部の輪郭に対応させた形状にすると、長方形の四隅あるいは六角形の六隅に設けた爪部(4c)によって、帯状法面材の位置出し及びねじれ抑制効果を有効に発揮させることができる。
また、1箇所のアンカー材1において右斜め傾斜と左斜め傾斜の2本で負担するので、土塊移動の抑制効果は高くなる。また、隣接する3つのアンカー材1間に渡された帯状法面材3が囲む内側面積(三角形の面積)は、前述の格子状配置の場合の格子内部分の面積(四角形の面積)より狭くなり、この点でも土塊移動の抑制効果は高くなる。しかし、使用する資材の量(必要な帯状法面材の長さ)は多くなるので、施工対象の斜面の情況や、必要とする土塊移動抑制効果や、アンカー材間隔その他の要素を考慮して、この斜め配置の態様とするか前記格子状配置の態様とするかを選択するとよい。但し、斜め配置の態様の場合は格子状配置の態様と比べて、必要な帯状法面材の長さと帯状法面材が囲む内側面積との関係では、帯状法面材が囲む内側面積を効率的に狭くすることができ、効率的に土塊移動の抑制効果を高くできると言える。
2 シート
3 帯状法面材
3A 縦の帯状法面材
3B 横の帯状法面材
3B’ 斜め傾斜の横の帯状法面材
4、41、42、43 固定板
4c 爪部
5 座金
6 ナット
7 スペーサ
Claims (5)
- 崩壊が生じた斜面に施す崩壊斜面対策構造であって、
前記斜面に間隔をあけて設置されるアンカー材と、その斜面を被覆して表層の植生を促す機能と表層の浸食防止機能を果たす繊維織物のシートと、前記シートの上から敷設される、網目状の空隙を有するように樹脂一体成形された帯状法面材とを備え、
前記帯状法面材として配置される、斜面上下方向に延びる複数の縦の帯状法面材と前記縦の帯状法面材と交差する方向に延びる複数の横の帯状法面材との交差箇所に前記アンカー材の地上に露出した頭部が貫通して前記縦及び横の帯状法面材が敷設されており、
前記両帯状法面材を貫通しているアンカー材の頭部には、両帯状法面材の交差箇所の重なり面を覆う固定板を有し、
前記固定板は、そのサイズが、両帯状法面材の四角形をなす重なり部より広い四角形をなし、その四隅に地面側に折り曲げられた爪部を備えており、
アンカー材の頭部に取り付けた締付け部材で前記固定板を押圧することで、前記両帯状法面材を斜面へ密着していること
を特徴とする崩壊斜面対策構造。 - 前記アンカー材が地盤内に0.5〜1.5mの深さで設置されていることを特徴とする請求項1記載の崩壊斜面対策構造。
- 前記縦の帯状法面材と横の帯状法面材とが、互いに直交して四角形の格子状をなすように配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の崩壊斜面対策構造。
- 前記縦の帯状法面材の幅W対して、前記横の帯状法面材の幅がW×(0.7〜0.9)mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の崩壊斜面対策構造。
- アンカー材が千鳥状に配置され、1本の縦の帯状法面材と右斜め傾斜と左斜め傾斜の2本の横の帯状法面材とが前記アンカー材において交差する態様で配置されて、帯状法面材が三角形を形成するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の崩壊斜面対策構造。
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