JP6712151B2 - ブタジエンの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを、反応器に供給し、触媒の存在下、酸化脱水素反応により対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る反応工程を有する共役ジエンの製造方法において、該生成ガスのアセチレン系炭化水素濃度が0.016体積%以下である製造方法が記載されている。当該方法においては、冷却水を用いて生成ガスを冷却する方法が記載されている。
特許文献2には、流動層反応器内で、触媒にn−ブテンを接触させて生成したブタジエンを含む反応ガスを急冷する工程を有し、2区画以上の急冷塔を使用し、前記急冷塔の循環液がIa族、IIa族及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種類を含むブタジエンの製造方法が記載されている。
特許文献3には、炭素数4以上のモノオレフィンを含む炭化水素と酸素とを供給して共役ジオレフィンを含む反応生成ガスを生成させる工程と、前記反応生成ガスを急冷塔に送入し、急冷剤によって洗浄する工程とを含み、前記急冷剤として有機アミン水溶液を用いる、共役ジオレフィンの製造方法が記載されている。
特許文献2では、急冷塔の循環液にIa族、IIa族及びアンモニアから選ばれる少なくとも1種類を使用する方法が記載されている。しかし、後述する比較例で示されるように、前記循環液は、アセトアルデヒドの除去能力が低く、高純度のブタジエンを得ることができない。
特許文献3では、冷却剤として有機アミン水溶液を用いる方法を記載している。後述する比較例で示されるように、特許文献3の実施例で使用されているモノエタノールアミン水溶液は、アセトアルデヒドの除去能力は高い。しかしながら、アセトアルデヒド以外のアルデヒド、ケトン、及びカルボン酸とも反応するため、消費量が多い。
[1]
n‐ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを生成させる反応工程と、
前記反応生成ガスを急冷塔内で急冷剤によって洗浄する急冷工程と
を含み、
前記急冷剤として2価以上のアルコールと水と酸性溶剤とを含むアルコール水溶液を用いる、ブタジエンの製造方法。
[2]
前記アルコール水溶液のpHを0.1〜6.0に制御する、[1]に記載のブタジエンの製造方法。
[3]
前記2価以上のアルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択されるいずれか1種以上である[1]又は[2]に記載のブタジエンの製造方法。
本実施形態のブタジエンの製造方法は、n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを生成させる反応工程と、前記反応生成ガスを急冷塔内で急冷剤によって洗浄する急冷工程とを含み、前記急冷剤として2価以上のアルコールと水と酸性溶剤とを含むアルコール水溶液を用いる、ブタジエンの製造方法である。
本実施形態において、原料ガスは、炭素数4のモノオレフィンであるn−ブテンを含むガスをいう。本実施形態に用いる原料ガスにおいて、n−ブテンの濃度は40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。具体的なn−ブテンは、1−ブテン、2−ブテンが該当する。n−ブテン中の1−ブテンと2−ブテンとの比率には特に制限が無く、1−ブテンは0〜100重量%、2−ブテンは100〜0重量%の範囲で任意に用いることができる。また、2−ブテンにはトランス体とシス体があるが、これらの比率もそれぞれトランス体が100〜0重量%、シス体が0〜100重量%の範囲で任意に用いることができる。
この原料ガスは、i−ブテンを含んでいてもよく、i−ブテンはn−ブテンに対して好ましくは10重量%以下、より好ましくは6重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。また、この原料ガスはn−ブタン、及びi−ブタンのほかに、炭素数が3以下の炭化水素、炭素数が5以上の炭化水素を含んでいてもよい。
この原料ガスは、例えば、ナフサ熱分解で副生するC4留分からブタジエンを抽出した残留成分や重油留分の流動接触分解(FCC)で副生するC4留分、エチレン又はエタノ−ルの接触転化反応で副生するC4留分などからi−ブテンをt−ブチルアルコール(以下「TBA」とも記す)、メチル−tert−ブチルエーテル(以下「MTBE」とも記す)、エチル−tert−ブチルエーテル(以下「ETBE」とも記す)、2量化反応による炭素数8の化合物とする方法により分離することで得ることができる。
イソブテンは、水和反応でTBA、アルコールと反応させてMTBEやETBE、n−ブテンへの骨格異性化、選択的吸着、二量化などによって分離することができる。エチレンは、ナフサ熱分解、エタン熱分解、エタノールの脱水反応によって得られるものを使用することができ、エタノールとして工業用エタノール、バイオマスエタノールを使用することができる。バイオマスエタノールとは植物資源から得られるエタノールであり、具体的には、特に限定されないが、例えば、サトウキビやトウモロコシ等の発酵により得られるエタノールや廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源から得られるエタノールが挙げられる。
酸素含有ガスは、酸素を含むガスをいう。通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガス、又は空気とヘリウム、窒素などの不活性ガスとを混合するなどして酸素濃度を低めたガスを用いることもできる。
n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造には、例えば、流動層反応器、固定層反応器、移動床反応器を採用することができる。触媒の抜出や追添が容易なことから流動層反応器が好ましい。
n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとが反応器に供される。酸素に対するn−ブテンのモル比は、n−ブテン/酸素で0.4〜2.5とするのが好ましく、より好ましくは0.6〜2.1である。酸素に対するn−ブテンのモル比が2.5以下であると、生成した共役ジオレフィンの分解反応が抑制できる傾向にあり、0.4以上であると、n−ブテンの反応性が向上する傾向にある。
本実施形態のブタジエンの製造方法は、前記反応生成ガスを急冷塔に送入し、急冷剤によって洗浄する工程(以下「急冷工程」とも記す。)を含む。
2価以上のアルコールは、アセトアルデヒドと選択的に反応する特徴を有する。例えば、反応生成ガス中にカルボン酸、たとえば酢酸、メタクリル酸、アルデヒド、たとえばアセトアルデヒド、メタクロレイン、及びケトン、たとえばメチルビニルケトン、アセトンが含まれている場合、上記カルボン酸は上記アルコール水溶液に溶解し、アセトアルデヒドは2価以上のアルコールと選択的に反応し反応生成ガスから除去される。メタクロレイン、メチルビニルケトン、アセトンは、後工程に流出するが、後工程の蒸留による精製工程により除去することができる。このように蒸留で除去できる副生成物は、蒸留で除去することにより急冷剤である2価以上のアルコールの消費量を抑制することができる。
急冷塔に供給される洗浄前のアルコール水溶液は、常温で、循環時のpHが0.1〜6.0、好ましくは0.5〜4に制御されるのが好ましい。アルコール水溶液をpH6.0以下の酸性条件にすることで、アセトアルデヒドのカルボニル基が活性化され、2価以上のアルコールとの反応速度が上昇する。アルコール水溶液がpH0.1よりも低くなると急冷塔の表面が腐食されるため、アルコール水溶液はpH0.1以上になるように制御する。使用後のアルコール水溶液を急冷剤として循環使用する場合は、pH計により常にアルコール水溶液のpHを監視し、アルコール水溶液のpHが上記範囲の上下限に近づいた場合には、追添するアルコール水溶液中の酸性溶剤の量でアルコール水溶液のpHを制御することが好ましい。pHの制御に用いられる酸性溶剤は、特に限定されないが、酢酸、硝酸、硫酸が好ましい。また、反応器から急冷塔に供給される反応生成ガスには、酢酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機酸が含まれる場合があるため、循環使用されたアルコール水溶液は反応由来の酸性溶剤を含む場合がある。従って、当初のアルコール水溶液に酸性溶剤を含んでいなくても、急冷剤を循環使用すれば酸性溶剤を含むようになる場合がある。アルコール水溶液は、所定濃度に予め調整したものを急冷塔に供給しても、2価以上のアルコール、水、酸性溶剤を急冷塔へ供給する前に混合して供給してもよい。急冷塔内の循環及び反応生成ガスの洗浄に用いる急冷剤としては、2価以上のアルコール水溶液及び芳香族溶剤に加え、水を、急冷塔の各区画独立に用いてもよい。急冷塔の区画液として排出された副生成物を含む廃アルコール水溶液及び廃芳香族溶剤は、焼却処理することができる。廃アルコール水溶液は、焼却炉の耐火レンガを侵食するアルカリ金属を含まないため、耐火レンガを損傷する恐れがない。
なお、図1〜4においては、アルコール水溶液等の急冷剤の補給管及び排出管、並びに噴霧装置の手前に設置される冷却手段は省略されているが、これらの手段は必要に応じて設けられてよい。
急冷塔から流出した反応生成ガスは、公知の技術、例えば特公昭45−17407号公報、特開昭60−126235号公報及び特公平3−48891号公報、合成ゴムハンドブック(92〜100頁、1969年)、PETROTECH、第二巻、第四号(59〜65頁、1978年)などに記載の方法によって精製することができる。例えば上記合成ゴムハンドブックに記載のブタジエン抽出蒸留塔に急冷塔塔頂から流出したガスを導入し、ブタジエンとブタン・ブテン類とを分離した後、ブタジエン精製塔で2−ブテンなどの高沸成分を除去し、製品ブタジエンを回収することができる。この時、製品ブタジエンは純度99.0%以上に精製されることが好ましい。
以下、本実施形態に用いる触媒について説明する。
本実施形態のブタジエンの製造装置は、金属酸化物及び担体を含む触媒が収容された反応器と、前記反応器に接続された急冷塔と、を有することが好ましい。
当該製造装置は、上述したブタジエンの製造方法に好適に用いることができる。具体的には、当該製造装置における反応器に、n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとが供給され、生成したブタジエンを含む反応生成ガスは前記急冷塔に流入し、前記急冷塔内で前記反応生成ガスは急冷剤によって洗浄される。前記急冷剤としては、アルコール水溶液を用い、芳香族系有機溶剤をさらに併用することが好ましい。
急冷塔2で洗浄された反応生成ガスは、モレキュラーシーブ等の脱水剤が充填された脱水塔13に導入され、塔底から流出し、溶媒吸収塔14に供給される。溶媒吸収塔14で噴霧されている溶剤に反応生成ガスが接触し、ブタジエン含有溶液が生成する。生成したブタジエン含有溶液が塔底から流出して脱気塔15及び溶媒分離塔16に順次導入される。原料成分中にイナートガス(不活性ガス)を含有させた場合、脱気塔15でブタジエン含有溶液からイナートガスが分離される。そして、溶媒分離塔16でブタジエン含有溶液から溶媒が分離され、粗ブタジエンが得られる。
流動層反応方式の反応装置として、管径3インチ・高さ950mmのSUS304製流動層反応器を用いた。酸素含有ガスは、反応器底部から供給し、n−ブテンを含む原料ガスは、反応器底部から150mm上方に位置するノズルから供給した。
n−ブテンを含む原料ガスとしてBBSS又はn−ブテンを用いた。
BBSSはC4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=41.30:17.70:13.50:5.60:16.10:4.70:1.10であった。n−ブテンはC4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=98.00:0.05:0.05:0.85:0.99:0.03:0.03であった。
(酸素含有ガス)
酸素含有ガスとして空気を窒素で希釈して用いた。
反応温度T=340〜390℃、反応圧力P=0.05MPaG、触媒充填重量W=1580〜1980gの条件で反応を行った。
反応生成ガスの分析は、流動層反応器に直結させたガスクロマトグラフィー(GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(アジレントJ&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD(熱伝導型検出器)・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃)を用いて行った。
急冷塔として、管径200mm・高さ300mmの缶部(塔底)とその上部に管径100mm・高さ1000mmの塔部(急冷部)を有するSUS304製の急冷塔を用いた。急冷部は三段に区画され、上段、中段及び下段から抜き出した液を、それぞれ100、100、100L/時間で抜き出した段に噴霧した。
急冷塔塔底液の分析は、次の二通りで行った。
(1)ガスクロマトグラフィー(GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:CPVolamine(VARIAN製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:40℃で10分間保持後、300℃まで10℃/分で昇温・保持、FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃)を用いて行った。
(2)ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS−QP2010Plus(島津製作所製);GC分析カラム:DB−WAX(アジレントJ&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、60℃で11分間保持した後、7.5℃/分で135℃、続いて11.5℃/分で250℃になるまで昇温した後、20分間保持;イオン化モード:電子イオン化(EI)MSイオン源温度:200℃、MS試料室温度:250℃、)を用いて行った。
(a)触媒
金属元素の組成がMo12Bi0.60Fe1.8Ni5.0K0.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持した触媒を使用した。
上記(a)触媒1980gを、管径管径3インチ・高さ950mmのSUS304製流動層反応器に入れた。原料ガスはBBSSとし、その流量=75NL/時間とした。また酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量=228NL/時間、窒素の流量=617NL/時間(総流量F=920NL/時間)で前記反応器に供給し、反応温度T=360℃、反応圧力P=0.05MPaGの条件で前記(a)触媒と接触させて反応を行って反応生成ガスを得た。この時、触媒との接触時間は5.0(g・sec/cc)であった。
上記(b)の工程で得られた反応生成ガスを、急冷塔(ボトム(管径200mm、高さ300mm)の上部に急冷部(管径100mm、高さ1000mm)を有するSUS304製)の下段に導入した。該急冷塔の上段、中段、下段から硝酸によりpHを1.2に調節した90重量%のエチレングリコール水溶液を急冷剤としてそれぞれ100L/時間で噴霧し、該急冷塔の塔頂から排出ガスを得た。この時、急冷塔塔頂からの排出ガス温度は50℃であり、また、24時間後の排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.03重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.027kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。
図6に示す装置を使用し、急冷後の排出ガスを脱水工程、回収工程、脱気工程、ブタジエン分離工程及び粗ブタジエンの精製工程に付した。より具体的には、特開2010−90082号公報の図1のクエンチ塔より下流部分と同様に精製装置を組み、急冷塔塔頂からの排出ガスを、凝縮水の分離、圧縮機による昇圧、再冷却及び水分離を経た後、モレキュラーシーブを充填した脱水塔に導入した。脱水ガスは回収塔に導入し、液温30〜40℃に設定したジメチルホルムアミドと向流接触させた。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.4%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤としてpHを0.1に調節した70重量%のエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は、0.05重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.023kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.3%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤としてpHを6.0に調節した95重量%のエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.09重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.015kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.0%のブタジエンを得た。
上記(b)の反応工程におけるBBSS流量=152NL/時間、空気=551NL/時間、窒素=199NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給した以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.05重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.029kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.2%のブタジエンを得た。
上記(b)の反応工程において、触媒量を1580gとし、原料ガスをn−ブテン(流量=75NL/時間)とし、空気の流量を295NL/時間、窒素の流量を550NL/時間(総流量F=920NL/時間)とした以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。(b)の反応工程において、触媒との接触時間は4.0(g・sec/cc)であった。n−ブテンはC4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=98.00:0.05:0.05:0.85:0.99:0.03:0.03であった。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤として酢酸によりpHを2.0に調節した95重量%のエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.05重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.024kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.4%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤として、急冷塔の上段から硝酸によりpHを1.2に調節した90重量%のエチレングリコール水溶液を100L/時間で噴霧し、急冷塔の中段及び下段からトルエンを100L/時間で噴霧した以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。(c)の急冷工程において、各急冷剤はいずれも各段の抜出液を循環利用したが、各段の抜出液は油水分離後に各段に再供給した。なお、以下の実施例においても、急冷剤として芳香族系溶剤を採用した場合は、抜出液を油水分離した後で循環させた。(c)の急冷工程において、急冷塔塔頂からの排出ガス温度は50℃であり、また、24時間後の排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.03重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.025kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。3ヶ月間以上の運転を通じて、急冷塔の圧力は流動層反応器と同じ0.05MPaGを維持し、閉塞は発生しなかった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.6%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤としてpHを1.2に調節した90重量%のトリエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は、0.07重量%であった。ジエチレングリコールの原単位は、0.020kg−ジエチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.3%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤として水を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は、0.15重量%であった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度98.6%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤として25重量%の苛性ソーダ水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。24時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は、0.13重量%であった。苛性ソーダの原単位は、0.024kg−苛性ソーダ/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度98.7%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤としてpH8.7の25重量%のモノエタノールアミン水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。また、24時間後の排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.04重量%であった。モノエタノールアミンの原単位は、0.086kg−モノエタノールアミン/kg−ブタジエンであった。このようにモノエタノールアミン水溶液は、反応生成ガスの急冷剤として用いると、アセトアルデヒド以外のアルデヒド、ケトン、及びカルボン酸とも反応するため、その消費量が多くなることがわかった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度99.5%のブタジエンを得た。
上記(c)の急冷工程における反応生成ガスの急冷剤として水とエチレングリコールを混合した95重量%のエチレングリコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にブタジエンの製造、反応生成ガスの急冷、ブタジエンの精製を行った。1時間後の急冷塔塔頂からの排出ガス中のアセトアルデヒドの濃度は0.12重量%であった。エチレングリコールの原単位は、0.010kg−エチレングリコール/kg−ブタジエンであった。得られたブタジエン溶液は抽出蒸留塔に導入して精製し、純度98.7%のブタジエンを得た。
Claims (4)
- n‐ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを生成させる反応工程と、
前記反応生成ガスを急冷塔内で急冷剤によって洗浄する急冷工程と
を含み、
前記急冷剤として2価以上のアルコールと水と酸性溶剤とを含むアルコール水溶液を用い、
前記アルコール水溶液における2価以上のアルコールの濃度が50重量%以上である、ブタジエンの製造方法。 - 前記アルコール水溶液のpHを0.1〜6.0に制御する、請求項1に記載のブタジエンの製造方法。
- 前記2価以上のアルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びグリセリンからなる群から選択されるいずれか1種以上である請求項1又は2に記載のブタジエンの製造方法。
- 前記急冷工程において、反応生成ガスを、急冷剤を噴霧することによって洗浄する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブタジエンの製造方法。
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