JP2019123676A - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、水等の吸収溶剤と接触させて副生するアルデヒドを水等の吸収溶剤に吸収させて除去し、得られた共役ジエンを主成分とする処理物から、水等の吸収溶剤を効率的に除去すると共に共役ジエンを高収率で回収する。【解決手段】アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた共役ジエンを主成分とする処理物から共沸蒸留により水等の吸収溶剤と共役ジエンとの共沸物を留出させることにより、水等の吸収溶剤を除去し、得られた水等の吸収溶剤と共役ジエンとの共沸物の少なくとも一部をアルデヒド分離工程へ循環させる。【選択図】図1

Description

本発明は共役ジエンの製造方法に係り、特にn−ブテン等の炭素原子数4以上のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応でブタジエン等の共役ジエンを製造する方法に関する。
n−ブテン等のモノオレフィンを触媒の存在下に酸化脱水素反応させてブタジエン等の共役ジエンを製造する方法は、従来公知である。
この反応は例えば以下の反応式に従って進行し、水が副生する。
+1/2O→C+H
n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、工業的にはナフサ分解で副生するC4留分(C4炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている。
上記反応式のように、原料のブテンから酸化脱水素反応によりブタジエンを製造する際、副生物としてアルデヒド類が生成することも知られている。これらの副生物は容易に重合してポリマーとなるため、反応後段の後処理工程(反応器出口から得られるブタジエンを含む反応生成ガスを吸収溶剤と接触させてブタジエンを含む溶液を得る工程、そのブタジエンを含む溶液を蒸留し、精製されたブタジエンを分離する工程)において、ポリマー閉塞による運転トラブルを引き起こす可能性があることから、これらのアルデヒド類を除去する方法が従来から検討されてきた。
特許文献1には、このような酸化脱水素反応で得られる共役ジエンを含む反応生成ガスから、反応で副生するアルデヒド類を効率的に除去して共役ジエンを高収率で回収する共役ジエンの製造方法として、反応生成ガスからアルデヒドを除去する操作を行うことなく、反応生成ガスを有機溶剤Aに吸収させて無機ガスを分離した共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る反応生成ガス吸収工程と、この溶液Bを蒸留することにより、アルデヒドを含有する共役ジエンDと、有機溶剤A及び高沸分とを分離する共役ジエン分離工程と、共役ジエンDと、特定の溶剤Cとを接触させて、溶剤吸収により共役ジエンD中のアルデヒドを除去するアルデヒド分離工程とを含む共役ジエンの製造方法が提案されている。
この方法では、反応生成ガスを有機溶剤Aに吸収させて得た共役ジエンを含む溶液Bを蒸留して共役ジエンDを得た後、この共役ジエンDに含まれるアルデヒドを特定の条件を満たす溶剤C、例えば水で処理することにより、共役ジエンD中のアルデヒド類を効率的に除去することができる。
特許文献1には、アルデヒド分離工程でアルデヒドを含有する共役ジエンDと接触させた溶剤C中に溶解した共役ジエンを回収する共役ジエン回収工程を更に有することが記載されているものの、アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた共役ジエンを主成分とした、アルデヒド類を含有しないガスの処理方法については、必要に応じて脱水処理等の更なる精製処理が施された後、製品として回収されるとあるのみで(段落[0022])、具体的な回収方法は記載されていない。
しかし、アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られる処理物は、共役ジエン純度が高く、アルデヒドを殆ど含有しないものではあるが、その共役ジエン純度は、例えば共役ジエンとしてブタジエンを製造する場合において、98.8wt%程度であり、アルデヒドの吸収除去に用いた水と、2−ブテン等の不純物とが残留するものであるため、製品化のためには、更に精製して純度を上げる必要がある。
特許文献2には、酸化脱水素反応で得られた反応生成ガスを圧縮して液化ガスとし、この液化ガスを水で洗浄することによりアルデヒドを除去した後、アルデヒドを溶解して含有する水とブタジエンとを分離し、分離したブタジエンから水とブタジエンとの共沸蒸留により水を除去することが記載されている。即ち、水とブタジエンとは共沸物を形成するため、洗浄工程から得られたブタジエンを蒸留塔で共沸蒸留することにより、塔頂から水とブタジエンの共沸物を留出させることができ、塔底から水を殆ど含まないブタジエンを得ることができる。
特許文献2には、この共沸蒸留塔が塔頂部に油水分離器を有し、塔頂からの水とブタジエンの共沸留出物を、油水分離器に通した後系外に抜き出すと記載されている(段落[0109])。
即ち、共沸蒸留塔の塔頂からの共沸留出物の一部は油水分離器を通した後共沸蒸留塔に戻されるが、残部は系外へ排出される。
特許第5780124号公報 特許第5687800号公報
特許文献2に記載されるように、水とブタジエンとは共沸物を形成するため、水との接触でアルデヒドを除去して得られるブタジエンを主体とする処理物を共沸蒸留することで、該処理物中の水を除去し、水を殆ど含まないブタジエンを得ることができる。
しかし、水との接触でアルデヒドを除去して得られる処理物のブタジエン純度は98.8wt%程度で、水を約1wt%程度含むものであるため、これを特許文献2に記載されるように共沸蒸留し、塔頂からの共沸留出物を系外へ排出すると、排出される共沸留出物中に含まれるブタジエンがロスとなり、ブタジエンの回収率に影響する。
本発明は、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを水等の溶剤と接触させて、該反応生成ガス中のアルデヒドを水等の溶剤に吸収させて除去するアルデヒド分離工程を有する共役ジエンの製造方法において、このアルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた共役ジエンを主成分とする処理物から水等の溶剤を効率的に除去すると共に共役ジエンを高い回収率で得ることができる共役ジエンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、アルデヒド分離工程で、反応生成ガス中のアルデヒドを水等の溶剤に吸収させて分離除去して得られる処理物を共沸蒸留することにより、水等の溶剤を共役ジエンとの共沸物として効率的に除去することができ、また、この共沸蒸留で留出した共沸物をアルデヒド分離工程に戻すことにより、共役ジエンのロスをなくすことができ、共役ジエンを高い回収率で得ることができることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[4]に存する。
[1] 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて共役ジエンを製造する方法において、
該酸化脱水素反応で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、25℃におけるアルデヒドの無限希釈活量係数γ∞が6.0以下で、かつ共役ジエンと共沸する溶剤Cと接触させて、該反応生成ガス中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去するアルデヒド分離工程と、
該アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた、共役ジエンを主成分とする処理物から、共沸蒸留により該溶剤Cと共役ジエンとの共沸物を留出させて該溶剤Cを除去する脱溶剤工程と、
該脱溶剤工程で得られた溶剤Cと共役ジエンとの共沸物の少なくとも一部を前記アルデヒド分離工程へ循環させる循環工程と
を有することを特徴とする共役ジエンの製造方法。
[2] 更に、前記酸化脱水素反応で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、該反応生成ガスからアルデヒドを除去する操作を行うことなく、有機溶剤Aに吸収させて、無機ガスを分離した共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る反応生成ガス吸収工程と、
該共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを蒸留することにより、アルデヒドを含有する共役ジエンDと、有機溶剤A及び高沸分とを分離する共役ジエン分離工程とを有し、
前記アルデヒド分離工程は、該アルデヒドを含有する共役ジエンDと、前記溶剤Cとを接触させて、該共役ジエンD中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去する工程であることを特徴とする[1]に記載の共役ジエンの製造方法。
[3] 更に、前記アルデヒド分離工程でアルデヒドを吸収した前記溶剤C中から、溶解した共役ジエンを回収する共役ジエン回収工程を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の共役ジエンの製造方法。
[4] 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を多く含むガスであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の共役ジエンの製造方法。
本発明によれば、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて得られる、目的物の共役ジエンと反応副生物のアルデヒドとを含む反応生成物から、アルデヒドを水等の溶剤に吸収させて効率的に除去すると共に、アルデヒドを除去して得られた共役ジエンを主成分とする処理物から、共役ジエンのロスを抑制しつつ、効率的に水等の溶剤を分離除去して、高純度の共役ジエンを高収率で回収することができる。
本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態の一例を示す系統図である。 本発明における抽出による共役ジエン回収工程の実施の形態の一例を示す系統図である。 本発明における蒸留による共役ジエン回収工程の実施の形態の一例を示す系統図である。
以下に本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。
なお、後掲の実施例においては、本発明の処理対象となる共役ジエンの製造方法の中でも、代表的なn−ブテンからブタジエンを製造する場合を例として、本発明を具体的に説明するが、本発明はn−ブテン(1−ブテン、2−ブテン)からのブタジエンの製造に限らず、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用される。これらのモノオレフィンは必ずしも単離した形で使用する必要はなく、必要に応じて任意の混合物の形で用いることができる。例えば、n−ブテン(1−ブテン、2−ブテン)から1,3−ブタジエンを製造しようとする場合には、高純度の1−ブテン又は2−ブテンを原料とすることもできるが、ナフサ分解で副生するC留分(BB)からブタジエン及びi−ブテンを分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び2−ブテン)を主成分とする留分(BBSS)やn−ブタンの脱水素又は酸化脱水素反応により生成するブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。尚、このエチレンはエタン脱水素、エタノール脱水、又はナフサ分解などの方法で得られるエチレンを使用することができる。更に、石油精製プラントなどで原油を蒸留した際に得られる重油留分を、流動層状態で粉末状の固体触媒を使って分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking)から得られる炭素原子数4の炭化水素類を多く含むガス(以下、FCC−C4と略記することがある)をそのまま原料ガスとすることもでき、また、このFCC−C4からリンや砒素などの不純物を除去したものを原料ガスとして使用しても差し支えない。
なお、ここでいう「主成分」とは、原料ガスに対して、通常40vol%以上、好ましくは50vol%以上、より好ましくは60vol%以上、特に好ましくは70vol%以上を占める成分を指す。
また、原料ガス中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の不純物を含んでいても良い。含んでいても良い不純物として、具体的には、イソブテンなどの分岐型モノオレフィン;プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタンなどの飽和炭化水素;プロピレン、ペンテンなどのオレフィン;1,2−ブタジエンなどのジエン;メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エチルアセチレンなどのアセチレン類等が挙げられる。原料ガス中のこれらの不純物の量は、通常40vol%以下、好ましくは20vol%以下、より好ましくは10vol%以下、特に好ましくは1vol%以下である。原料ガス中の不純物量が多すぎると、主原料である1−ブテンや2−ブテンの濃度が下がって反応が遅くなったり、目的生成物の収率が低下する傾向にある。
反応器内で酸化脱水素反応によって生成した共役ジエンは、反応器出口から流出する反応生成ガス中に含まれるが、その反応生成ガス中に含まれる共役ジエンの濃度は、原料ガス中に含まれるモノオレフィンの濃度に依存し、通常1〜15vol%、好ましくは、2〜13vol%、更に好ましくは3〜11vol%である。反応生成ガス中の共役ジエンの濃度が大きいほど、回収コストが低いというメリットがあり、小さいほど酸化脱水素反応後の後段の工程で圧縮したときに重合などの副反応が起き難いというメリットがある。また、反応生成ガス中には未反応のモノオレフィンも含まれていてもよく、その濃度は、通常0〜7vol%、好ましくは、0〜4vol%、更に好ましくは0〜2vol%である。
本発明において、反応生成ガス中に含まれる副生物としては、特に限定されないが、主として、本発明の除去対象であるアルデヒド類などが挙げられる。これらの量は、通常、反応生成ガス中に0.20〜1.00wt%、好ましくは0.21〜0.30wt%である。アルデヒド類の代表的なものとしてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレインならびにメタクロレイン等が挙げられる。
本発明の共役ジエンの製造方法は、反応器で炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、25℃におけるアルデヒドの無限希釈活量係数γ∞が6.0以下で、かつ共役ジエンと共沸する溶剤Cと接触させて、該反応生成ガス中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去するアルデヒド分離工程と、該アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた共役ジエンを主成分とする処理物から共沸蒸留により該溶剤Cと共役ジエンとの共沸物を留出させて該溶剤Cを除去する脱溶剤工程と、脱溶剤工程で得られた該溶剤Cと共役ジエンとの共沸物の少なくとも一部をアルデヒド分離工程へ循環させる循環工程とを有する。
特に限定されるものではないが、本発明の共役ジエンの製造方法は、酸化脱水素反応で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、該反応生成ガスからアルデヒドを除去する操作を行うことなく、有機溶剤Aに吸収させて、無機ガスを分離した共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る反応生成ガス吸収工程と、該共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを蒸留することにより、アルデヒドを含有する共役ジエンDと、有機溶剤A及び高沸分とを分離する共役ジエン分離工程とを有し、アルデヒド分離工程において、該アルデヒドを含有する共役ジエンDと、特定の溶剤Cとを接触させて、該共役ジエンD中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去するものであることが好ましい。
このように、反応器出口で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを有機溶剤Aに吸収させて、非凝縮性ガスを分離した共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得、これを蒸留してアルデヒド含有共役ジエンガスDを得、このアルデヒド含有共役ジエンガスDに含まれるアルデヒドを溶剤Cに吸収させて除去することにより、即ち、除去対象のアルデヒドをある程度濃縮させた状態でアルデヒド分離工程に供することにより、アルデヒドの分離除去効率を高めることができる。
なお、本発明の共役ジエンの製造方法は、前記共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bに同伴する無機ガスを除去する脱気工程を有していてもよく、該脱気工程を経た共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bが前記共役ジエン分離工程に送給されてもよい。
本発明では更に、反応生成ガス吸収工程の前段に、反応器からの反応生成ガスを冷却する冷却工程を有していてもよく、また、アルデヒド分離工程の後段に、アルデヒド分離工程でアルデヒドを含有する共役ジエンDと接触させた溶剤C中に溶解した共役ジエンを回収する共役ジエン回収工程を有していてもよい。
図1は、本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態の一例を示す系統図であり、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスは、反応器1に導入され、触媒の存在下に酸化脱水素反応して、目的生成物である共役ジエンと副生するアルデヒドとを含む反応生成ガスが得られる。この反応生成ガスを、冷却塔2で冷却した後(冷却工程)、反応生成ガス吸収塔3で有機溶剤Aに吸収させて、共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る(反応生成ガス吸収工程)。反応生成ガス吸収塔3からの共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを、脱気塔4で脱気処理した後、蒸留塔(共役ジエン分離塔)5で蒸留することにより、アルデヒドを含有する共役ジエンDと、有機溶剤Aとを蒸留分離する(共役ジエン分離工程)。ここで分離された有機溶剤Aは、精製手段6(中沸分離塔6A及び高沸分離塔6B)で精製して反応生成ガス吸収塔3に循環使用することができる。一方、共役ジエン分離塔5で得られたアルデヒド含有共役ジエンガスDは、アルデヒド吸収塔7で、特定の溶剤Cと接触して、共役ジエンガスD中のアルデヒドが溶剤Cに吸収されて除去される(アルデヒド分離工程)。アルデヒド吸収塔7で、アルデヒドが除去されて得られる共役ジエンを主成分とする処理物(「アルデヒド除去共役ジエンガスE」と称す。)は、脱水塔8等の脱溶剤塔で共沸蒸留により脱溶剤処理され(脱溶剤工程)、脱水塔8等の脱溶剤塔の塔頂から留出する共沸物(「共沸留出物F」と称す。)は、アルデヒド吸収塔7に循環される(循環工程)。一方、溶剤Cが除去された共役ジエンは脱水塔8等の脱溶剤塔の塔底から抜き出される。この塔底液を更に精製塔9で精製して高純度共役ジエンを回収する(精製工程)。精製塔9の塔底液は共役ジエン回収塔10で蒸留により更に共役ジエンが回収された後、高沸分は系外へ排出される。
また、アルデヒド吸収塔7でアルデヒド含有共役ジエンガスDと接触した後の溶剤Cは、アルデヒドと共に共役ジエンを含むものであるため、共役ジエン回収塔11に送給され、抽出又は蒸留等により共役ジエンが回収され(共役ジエン回収工程)、回収された共役ジエンは、その回収形態に応じて適宜精製塔9からの高純度共役ジエンと共に製品とされるか、前段の工程へ循環される。また、この場合において、このようにして溶剤Cから共役ジエンが除去された後のアルデヒドを含む溶剤を再生する工程(溶剤再生工程)を有していてもよい。
以下、各工程について説明する。
<冷却工程>
冷却工程は、反応器1の出口から得られる通常200〜400℃程度の反応生成ガスを冷却できる工程であれば、特に限定されないが、通常の冷却操作にはスプレー塔や充填塔、段塔などが用いられる。
好適には、冷却媒体と反応生成ガスとを冷却塔2の中で直接接触させて冷却させる方法が用いられる。冷却媒体としては、特に限定されないが、好ましくは水やアルカリ水溶液であり、最も好ましくは水である。また、このような冷却塔2で冷却する前後に、熱交換器等の冷却器で冷却してもよい。なお、この冷却の前後で、反応生成ガス吸収塔3への反応生成ガス供給のために圧縮機で反応生成ガスを昇圧してもよく、冷却→圧縮→冷却の工程を経てもよい。
冷却後のガス温度としては、反応器1からの反応生成ガスを次工程の操作を効率的に行える温度に設定される。具体的には、反応生成ガスの冷却温度は、反応器出口から得られる反応生成ガス温度や冷却媒体の種類などによって異なるが、通常5〜100℃、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは15〜50℃に設定される。例えば冷却媒体として工業用水を使用する事を想定すると、冷却後の最終温度を30〜50℃(工業用水との温度差ΔTを10℃に設定した場合)に設定することができる。
この冷却温度が高いほど、冷却塔の建設費と運転に要するコストを下げられる傾向にあり、低いほど、次の圧縮工程の負荷を下げられる傾向にある。
反応生成ガスを冷却塔で冷却する場合、冷却塔内の圧力は、特に限定されないが、通常0.01〜0.05MPaG、例えば0.03MPaGである。
反応生成ガス中に高沸点副生物が多く含まれていると、高沸点副生物同士の重合や、工程内での高沸点副生物に起因する固形析出物の堆積が起きやすくなる。また、冷却塔で使用される冷却媒体は、循環使用されることが多いため、共役ジエンの製造を連続的に継続すると、固形析出物での閉塞が起きることがある。そのため、可能な限り、反応生成ガス中の高沸点副生物を冷却工程に持ち込ませないようにすることが好ましい。このためには、反応器1において原料転化率を高くし過ぎない事や、反応器内温度を適切に設定することが好ましい。
<反応生成ガス吸収工程>
必要に応じて上記の冷却工程を経た反応生成ガスは、生成ガス吸収工程に送給される。
生成ガス吸収工程では、通常、反応生成ガス吸収塔3にて、反応生成ガスを有機溶剤Aと接触させることにより、反応生成ガス中の共役ジエン、副生アルデヒドおよび未反応原料等を有機溶剤Aに吸収させて、共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る。即ち、反応生成ガスに含まれる共役ジエン、未反応原料、アルデヒド類および他の微量不純物を有機溶剤Aに吸収させる一方、窒素や酸素等の無機ガスを反応生成ガス吸収塔3の塔頂より排出する。これらの無機ガスは適切な処理の後に反応器1に循環使用される。
共役ジエンおよび未反応原料等を吸収するために用いられる有機溶剤Aは、溶剤ロスの削減および共役ジエン類の吸収効率の観点から、共役ジエンに対する溶解性が高く、且つ高沸点のものが好ましい。有機溶剤Aとしては、炭素数6〜10の飽和炭化水素や炭素数6〜8の芳香族炭化水素、アミド化合物などが用いられる。具体的には、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、好ましくは、無機ガスを溶解しにくいことから炭素数6〜8の芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ましい。
反応生成ガスの吸収に用いる有機溶剤Aの使用量は特に制限はないが、反応生成ガス吸収塔3を大型化することなく吸収効率の向上を図るために、吸収液量と反応生成ガス量の比率である液ガス比を0.5〜10L−液/Nm−ガスとすることが一般的である。
<共役ジエン分離工程>
有機溶剤Aによる吸収で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bは、同伴する微量の非凝縮性ガス(主に窒素、酸素等)を脱気塔4にて除去した後、蒸留塔(共役ジエン分離塔)5にて、共役ジエン、アルデヒド及び未反応原料と有機溶剤Aに分離される。この分離操作は共役ジエンを高純度で回収できることから、蒸留により行われるのが好ましい。
共役ジエン分離のための共役ジエン分離塔5の塔頂からは、共役ジエンを主成分とし更にアルデヒドを含有する共役ジエンのガスDが得られる。なお、このガスDはブテンやフランを含んでいてもよい。ガスD中には、一般に共役ジエン30〜90wt%が存在し、共役ジエンと原料オレフィン類の総量として50〜99wt%、好ましくは70〜99wt%含まれる。また不純物であるアルデヒド類は0.01〜20wt%、好ましくは5wt%以下含まれている。
一方、共役ジエン分離塔5の塔底から得られる塔底液は、有機溶剤Aと、アルデヒド含有共役ジエンガスD中の共役ジエン以外の高沸分を含むものであり、蒸留等の精製手段6で有機溶剤A以外の中沸点成分(主にアルデヒド類)および高沸点成分(例えばアルデヒド由来高沸成分)を除去して精製した後、反応生成ガス吸収塔3に循環される。
<アルデヒド分離工程>
共役ジエン分離塔5で分離されたアルデヒドを含有する共役ジエンのガスDは、アルデヒド吸収塔7の塔下部に供給して、塔上部からの溶剤C、即ち、25℃におけるアルデヒドの無限希釈活量係数γ∞が6.0以下で、かつ共役ジエンと共沸する溶剤Cとの向流接触で、含有されるアルデヒド類を除去し、共役ジエンを主成分としアルデヒド類を分離したガスを得る。
本発明において、このアルデヒド含有共役ジエンガスDからのアルデヒドの除去は、溶剤吸収により行う。即ち、分離対象となる共役ジエンとアルデヒドとの沸点差が十分に大きく、且つ共沸点をもたない条件では、蒸留操作の適用も可能となるが、例えば、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどの低沸点アルデヒド類とブタジエン等の分離に際しては、沸点差が極めて小さいことに加え、共沸点を持つために、蒸留は適していない。そのため、本発明では、溶剤吸収を採用する。
吸収操作を行う場合の吸収液となる溶剤は、アルデヒド(溶質)の吸収溶剤(溶剤)に対する無限希釈活量係数γ∞≦6.0を満たし、かつ共役ジエンガスと共沸する溶剤Cであり、好ましくはγ∞≦6.0を満たし、共役ジエンの該溶剤Cに対する無限希釈活量係数γ∞(以下「γ∞」と記す。)と、アルデヒドの該溶剤Cに対する無限希釈活量係数γ∞(以下「γ∞」と記す。)の比である分離係数S(=γ∞/γ∞)が1.5以上の溶剤である。
なお、本発明において、無限希釈活量係数γ∞とは、25℃において溶質成分の溶剤成分中における濃度が限りなく低濃度の場合の溶質成分の活量係数を意味する。一般に、活量係数は溶剤成分と溶質成分の親和性を表す指標として理解することができ、この値が大きいほど溶剤成分と溶質成分の間の化学的性質が異なる為親和性が低く、活量係数の値が小さいほど親和性が大きいことが知られている。
例えばアルデヒドと溶剤を例にとると、γ∞が小さい程、アルデヒドを吸収する能力が高い溶剤であり、且つ先に述べた分離係数Sが大きいほど、共役ジエンに比べてアルデヒドをより選択的に吸収することを意味する。無限希釈活量係数γ∞を計算するにはNRTLモデルやUNIFACモデルなどの活量係数モデルが一般的に用いられ、代表的なものとして、具体的には、UNIFAC−Dortmund(DDBST社DDBSP ver10)などが挙げられる。
このような吸収溶剤としては、特にγ∞≦6.0であり、かつS≧1.5のものが好ましい。このような条件を満たし、かつ、共役ジエンガスと共沸する溶剤Cとしては、HO、メタノール等が挙げられ、特にHOが好適である。なお、溶剤Cは、2種以上の溶剤の混合溶剤であってもよい。
アルデヒド吸収塔7の運転条件(操作温度、操作圧力、液ガス比)は所望のアルデヒド除去率や共役ジエン類のロス率を考慮した上で、一般の吸収塔の設計方法に従って設計される。例えば、吸収塔の操作圧力を高くすることによりアルデヒド類の溶剤Cに対する溶解性が高められるため、より少ない溶剤C量で所望のアルデヒド除去率を達成することが可能となる。一方で、共役ジエン類の溶解度も高くなるため、共役ジエン類のロスも大きくなる。一般的には操作圧力を常圧〜1MPaの範囲で設定し、特に前工程の蒸留塔(共役ジエン分離塔)5の操作圧力や水の温度(好ましくは工業用水との温度差ΔTが10℃とした場合の30〜45℃程度)、所望のアルデヒド類除去率に必要な溶剤C量を総合的に考慮して決定される。
なお、アルデヒドの吸収に用いる溶剤Cの供給量は、アルデヒド吸収塔7の運転条件によっても異なるが、一般的にアルデヒド吸収塔7を大型化することなく、吸収効率を十分に高くするために、アルデヒド吸収塔7に導入されるアルデヒド含有共役ジエンガスDの1Nm/hr当たり、アルデヒドの吸収に用いる溶剤Cの供給量は0.5〜10L/hr程度とすることが好ましい。
<脱溶剤工程>
アルデヒド吸収塔7でアルデヒドを除去して得られるアルデヒド除去共役ジエンガスEは、次いで脱水塔8等の脱溶剤塔に導入され、水等の溶剤Cと共役ジエンとの共沸蒸留により、ガスE中の微量の水等の溶剤Cを共役ジエンとの共沸物として除去する。即ち、ブタジエン等の共役ジエンは、水等の溶剤Cと共沸物を形成するため、脱水塔8等の脱溶剤塔内で共沸物を形成させて、溶剤C/共役ジエン共沸物を塔頂から留出させて除去する。具体的には、塔底と塔頂との温度差を大きくすることで、共沸物の留去を促進した蒸留条件を形成し、塔頂から共沸物を留出させると共に、塔底から溶剤Cを殆ど含まない共役ジエンよりなる塔底液を得る。
脱水塔8等の脱溶剤塔の運転条件としては、共沸留出物Fを得ることができればよく、特に制限はないが、本発明では、この脱水塔8の塔頂からの共沸留出物Fは、少なくとも一部、好ましくはその全量をアルデヒド吸収塔7に循環することで共役ジエンのロスを抑えることができることから、塔頂からの共役ジエンのロスを考慮することなく、アルデヒド除去共役ジエンガスE中の溶剤Cをほぼ完全に留出させることができるような蒸留条件とすることができる。
<循環工程>
上記の脱水塔8の塔頂から得られる共沸留出物Fは、その少なくとも一部、好ましくは全量がアルデヒド吸収塔7に循環され、アルデヒド吸収のための溶剤Cと共にアルデヒド吸収塔7内に供給される。
<精製工程>
脱水塔8等の脱溶剤塔の塔底液は、精製塔9に導入され、蒸留により高沸分が除去される。精製塔9の塔上部からは高純度共役ジエンが抜き出され、製品化される。
一方、精製塔9の塔底液は、更に共役ジエンを回収すべく、共役ジエン回収塔10で蒸留分離され、共役ジエン回収塔10の塔頂液は精製塔9に戻され、塔底からの高沸分は系外へ排出される。
<共役ジエン回収工程>
アルデヒド分離工程において、アルデヒド吸収塔7で、アルデヒド含有共役ジエンガスDと接触してガスD中のアルデヒドを吸収除去した溶剤C(以下、「溶剤G」と称す。)が共役ジエンを含む場合、この溶剤G中の共役ジエンはロスとなって共役ジエンの回収率を低下させる。アルデヒド分離工程における共役ジエン類のロスが無視できない場合には、アルデヒド分離工程からの溶剤Gは、共役ジエン回収工程に供される。
溶剤Gからの共役ジエンの回収方法としては特に制限はなく、例えば、抽出操作や蒸留操作が挙げられるが、共役ジエン類の回収に有機溶剤を用いた抽出操作が好適である。
以下、この共役ジエン回収工程について、図2,3を参照して説明する。図2は、抽出操作による共役ジエン回収工程を示す系統図であり、図3は蒸留操作による共役ジエン回収工程を示す系統図である。
抽出操作で溶剤Gに溶解した共役ジエン類を回収する場合においては、図2に示す如く、アルデヒド吸収塔7の塔底から流出する溶剤Gを抽出槽12に送給して、溶剤Gと相互溶解性の低い(即ち、2液相を形成する)溶剤(以下「抽出溶剤H」と称す場合がある。)と接触させ、溶剤G中の共役ジエン類を抽出溶剤Hに溶解させる。この際の共役ジエン類の回収率は通常50〜100%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%である。抽出操作は完全混合槽で実施しても抽出塔で実施しても良く、接触方式は向流方式もしくは並流方式のいずれでも良い。これらの接触方式ならびに装置サイズは液液分離に要する時間や処理液量に応じて選択することが出来る。
抽出を行う際の温度に特に制約はなく通常0〜50℃、好ましくは30〜45℃である。
また、圧力は常圧で操作することが好ましい。
抽出操作で用いる溶剤は、アルデヒド吸収塔7で用いた溶剤Cと2液相を形成する溶剤であれば特に制約はないが、反応生成ガス吸収工程において、酸化脱水素反応の反応生成ガスの吸収に使用する溶剤、即ち、有機溶剤Aと同じ溶剤を抽出溶剤Hとして用いるのがプロセスコスト削減の観点から好ましい。その場合、抽出槽12から得られた共役ジエン類を含む抽出溶剤Hを、反応生成ガス吸収工程の反応生成ガス吸収塔3にリサイクルすることが出来るため、共役ジエン類のロスを抑制することができる。
抽出溶剤Hとして有機溶剤A以外のものを用いる場合には、共役ジエン類と抽出溶剤Hとの分離操作(再生処理)を行った後で、抽出溶剤Hとして再利用するのが好ましい。
一方、抽出により共役ジエンが除去され、アルデヒド類のみを含んだ溶剤(以下、「溶剤I」と称す。)については再生処理をした後、アルデヒド吸収塔に戻し等して再利用するか、もしくは廃液処理に供することができる。溶剤Iを再生処理(アルデヒドを除去する操作)を行わずに再利用する場合においては、溶剤I中のアルデヒド濃度が高くなるとアルデヒド吸収塔7におけるアルデヒド回収率(吸収率)が低下する為、一部系外に排出するなどの処理を行うのが好ましい。
抽出溶剤Hの使用量は、アルデヒド吸収塔7からの溶剤G中の共役ジエンを効率良く抽出して回収することができる程度の量であればよく、特に制限はないが、抽出槽12を大型化することなく、高い抽出効率を得るために、抽出槽12に導入される溶剤Gに対して0.5〜2.0倍(質量基準)程度を目安とすることが好ましい。
蒸留操作で上記溶剤Gに溶解した共役ジエンを回収する場合においては、図3に示す如く、アルデヒド吸収塔7から流出する溶剤Gを蒸留塔13に供給し、共役ジエンとアルデヒド含有溶剤Iを各々塔頂および塔底より回収する。この蒸留操作を行う際の運転条件(理論段数、運転圧力、運転温度、還流比、塔内ガス液比率)に制約はないが、前工程のアルデヒド分離工程にて溶剤C中に吸収したアルデヒドが回収共役ジエンに混入しないように運転条件を選定する必要がある。蒸留塔13の運転圧力は、塔頂における冷却操作および塔底における加熱操作に要する用役費用や使用される材質の耐圧等を考慮して決定され、好ましくは塔頂温度が30〜50℃となるよう操作圧力を選定する。
前述したように、蒸留塔13の塔底から得られる、共役ジエンが回収除去されアルデヒドを含んだ溶剤Iは、再生処理をした後再利用するか、もしくは廃液処理に供することができる。溶剤Iを再生処理を行わずに再利用する場合においては、溶剤I中のアルデヒド濃度が高くなるとアルデヒド吸収塔7における吸収操作におけるアルデヒド回収率が低下する為、一部系外に排出するなどの処理を行うのが好ましい。
一方、蒸留塔13の塔頂からの共役ジエンは、アルデヒド吸収塔7からのアルデヒド除去共役ジエンガスEと共に脱水塔8等の脱溶剤塔に送給され、共沸蒸留により脱水処理される。
<溶剤再生工程>
上記の共役ジエン回収工程で溶剤Gから共役ジエンを回収して得られるアルデヒドを含む溶剤Iからアルデヒドを除去して再生する方法としては、図3に示す如く、放散塔14でアルデヒドを放散させて除去する方法が挙げられる。このアルデヒドの放散手段としては蒸留操作が挙げられる。蒸留塔におけるアルデヒド放散の運転条件に制約はないが、通常80〜100%、好ましくは90〜100%のアルデヒド類を除去できるように設定するのが良い。放散によりアルデヒドを除去した溶剤Cは、必要に応じて一部が系外に排出されて廃液処理に供され、残部は、アルデヒド分離工程であるアルデヒド吸収塔7に循環使用される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
以下において、略号はそれぞれ以下のものを示すものとする。
1BTE:1−ブテン
t2BTE:トランス−2−ブテン
c2BTE:シス−2−ブテン
isoBTE:イソブテン
nBTA:n−ブタン
isoBTA:イソブタン
BD:1,3−ブタジエン
4−VCH:ブタジエンダイマー
Vinyl−AC:ビニルアセチレン
また、以下の実施例1において、アルデヒド吸収塔に供給するアルデヒド含有ブタジエンは、以下の製造例1に示すプロセスにより得られるアルデヒド含有ブタジエンを用いることとする。
[製造例1]
原料ガス(組成、1BTE)、N、空気および蒸気を混合して、酸化脱水素反応器に供給し、ブタジエン、ブテンおよび無機ガスを含む反応生成ガスを得る。
この反応生成ガスを45℃まで冷却し、その後、圧縮機により830kPaまで昇圧する。圧縮したガスを25℃まで冷却する。冷却した反応生成ガスを吸収塔(塔頂圧力800kPa)においてトルエン(有機溶剤A)により溶剤吸収させる。
その結果、吸収塔の塔頂よりNを主成分とする無機ガスを、塔底からはトルエンおよびブタジエン、アルデヒド及びブテン類を含む溶液を得ることができる。
トルエンによる溶剤吸収で得られるブタジエンを含有するトルエン溶液を脱気塔(塔頂圧力200kPa)で脱気した後、蒸留塔(塔頂圧力は500kPa)においてブタジエンとトルエンに蒸留分離する。
[実施例1]
製造例1で得られたアルデヒド含有ブタジエンを、図1のアルデヒド吸収塔7の最下段に供給し、水(溶剤C)によるアルデヒドの吸収除去後、アルデヒド除去ブタジエンを脱水塔8で脱水処理し、脱水塔8の共沸留出物Fの全量をアルデヒド吸収塔7に循環するシミュレーションを行った。
このアルデヒド吸収塔7で得られるアルデヒド除去ブタジエンガスは脱水塔8に送給し、脱水塔8の塔頂からの共沸留出物Fはその全量をアルデヒド吸収塔7に循環した。
1 反応器
2 冷却塔
3 反応生成ガス吸収塔
4 脱気塔
5 共役ジエン分離塔
6 精製手段
7 アルデヒド吸収塔
8 脱水塔
9 精製塔
10,11 共役ジエン回収塔
12 抽出槽
13 蒸留塔
14 放散塔

Claims (4)

  1. 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、触媒の存在下に酸化脱水素反応させて共役ジエンを製造する方法において、
    該酸化脱水素反応で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、25℃におけるアルデヒドの無限希釈活量係数γ∞が6.0以下で、かつ共役ジエンと共沸する溶剤Cと接触させて、該反応生成ガス中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去するアルデヒド分離工程と、
    該アルデヒド分離工程でアルデヒドを除去して得られた、共役ジエンを主成分とする処理物から、共沸蒸留により該溶剤Cと共役ジエンとの共沸物を留出させて該溶剤Cを除去する脱溶剤工程と、
    該脱溶剤工程で得られた溶剤Cと共役ジエンとの共沸物の少なくとも一部を前記アルデヒド分離工程へ循環させる循環工程と
    を有することを特徴とする共役ジエンの製造方法。
  2. 更に、前記酸化脱水素反応で得られる共役ジエンとアルデヒドを含む反応生成ガスを、該反応生成ガスからアルデヒドを除去する操作を行うことなく、有機溶剤Aに吸収させて、無機ガスを分離した共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを得る反応生成ガス吸収工程と、
    該共役ジエンとアルデヒドを含む溶液Bを蒸留することにより、アルデヒドを含有する共役ジエンDと、有機溶剤A及び高沸分とを分離する共役ジエン分離工程とを有し、
    前記アルデヒド分離工程は、該アルデヒドを含有する共役ジエンDと、前記溶剤Cとを接触させて、該共役ジエンD中のアルデヒドを該溶剤Cに吸収させて除去する工程であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
  3. 更に、前記アルデヒド分離工程でアルデヒドを吸収した前記溶剤C中から、溶解した共役ジエンを回収する共役ジエン回収工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の共役ジエンの製造方法。
  4. 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を多く含むガスであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
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