JP6893806B2 - ブタジエンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ブタジエンを製造する方法に関する。本発明は、より詳細には、酸化脱水素反応によるブタジエンの製造方法に関し、特に、不純物であるカルボニル化合物類を除去し、高純度のブタジエンを得る、ブタジエンの製造方法に関する。
1,3−ブタジエン(以下、単に「ブタジエン」とも言う。)は、非常に重要な基礎化学品であり、合成ゴムやエラストマーの原料として用いられている。ブタジエンは、主として、ナフサのC4留分から抽出分離する製法で製造されてきたが、近年、n−ブテンを触媒表面上で気相接触酸化脱水素反応させて、ブタジエンを製造する方法が注目されている。
n−ブテンの気相接触酸化脱水素反応では、目的生成物のブタジエン以外に、酸素を含有する副生成物として、例えば、カルボン酸、アルデヒド、及び/又はケトンといったカルボニル化合物類、並びに、例えば、フランといった複素環化合物類が生成する。
これらの副生成物のうち、ブタジエンと副生成物との沸点差が大きく、且つ、共沸点を持たない化合物は、蒸留による除去が可能となる。しかし、副生成物の一つであるアセトアルデヒドは、ブタジエンとの沸点差が小さく、共沸点を有するため、蒸留により共沸組成以下の量に除去することは難しい。
また、アセトアルデヒドは、ブタジエンの重合反応を阻害するため、製品ブタジエンにおいては極微量まで除去する必要がある。
例えば、特許文献1及び2には、気相接触酸化脱水素反応で得られたブタジエンを含む生成ガスから、溶剤抽出によりアルデヒドを除去する方法が開示されている。
また、特許文献3には、気相接触酸化脱水素反応で得られたブタジエンを含む生成ガスを、有機アミン水溶液で冷却する方法が開示されている。
特開2013−103896号公報 国際公開第2013/136434号パンフレット 国際公開第2012/157495号パンフレット
特許文献1及び2に記載の方法では、アルデヒドを極微量まで除去するために、大量の溶剤(水)が必要となり、目的生成物であるブタジエンが該溶剤に溶解し、損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、該溶剤からブタジエンを回収するプロセスを設置し、ブタジエンを回収することもできるが、プロセスが複雑化するというさらに別の問題が発生する。
具体的には、特許文献1には、アルデヒド含有共役ジエンと、25℃におけるアルデヒドの無限希釈活量係数が6.0以下の溶剤とを、接触させて溶剤吸収によりアルデヒドを除去する方法が示されている。上記溶剤としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、1,4−ジオキサンが例示されており、吸収塔の運転条件は、アルデヒド除去率と、共役ジエンのロス率とを考慮して決定するとされている。溶剤に溶解する共役ジエンの量が多く該ロス率が無視できない場合には、共役ジエン回収塔を設置して、抽出操作又は蒸留操作により、該共役ジエンを回収する工程を必要とするため、特許文献1に記載の方法は、プロセスが複雑になる。
特許文献2には、共役ジオレフィンを含むガスを圧縮して液化ガスとし、この液化ブタジエンガスを水で洗浄し、アセトアルデヒドを除去する方法が示されている。この方法は、共役ジオレフィンを含むガスを気体のまま水で洗浄する場合と比較して、アセトアルデヒド除去率に優れる。しかしながら、共役ジオレフィンは難溶性ではあるものの水に溶解するため、また、アセトアルデヒド除去のために抽出塔(水洗塔)で多量の水を用いることから、この方法では、液化ガスを洗浄すると水に溶解した分の共役ジオレフィンを損失する。本発明者は、特許文献2記載の方法において、該水洗塔のかわりに静止型混合器で少量の水を用いて液化ブタジエンを洗浄する方法を検討したが、後述する比較例にて示すように、共役ジオレフィンの損失は少ないが、アセトアルデヒドの除去の効率が低下する結果となった。
特許文献3には、反応生成ガスを冷却する急冷液に有機アミン水溶液を用いることによって、冷却と同時にカルボニル化合物類を含む不純物を除去する方法が示されている。しかしながら、この方法のみでは反応生成ガスに含まれるアセトアルデヒドを、十分に低い濃度とすることはできない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスから生成したブタジエンを含む、反応生成ガスに含まれるアセトアルデヒドを、極微量にまで除去し、且つ、ブタジエンの損失を抑制できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、液化ブタジエンガスをアミン水溶液で洗浄する方法は、アセトアルデヒド除去効率が高く、且つ、ブタジエン損失が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとを、反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを得る反応工程、
得られたブタジエンを含む反応生成ガスを、液化ブタジエンガスとする圧縮工程、
前記液化ブタジエンガスを、アミン水溶液で洗浄する洗浄工程、
を有する、ブタジエンの製造方法。
[2]
前記アミン水溶液が、ヒドラジン類及び/又は有機アミン類を含む水溶液である、[1]に記載のブタジエンの製造方法。
[3]
前記ヒドラジン類が、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、及びフェニルヒドラジン、並びに、それらの塩酸塩、それらの硫酸塩、及びそれらの酢酸塩からなる群から選択される少なくとも1種である、[2]に記載のブタジエンの製造方法。
[4]
前記有機アミン類が、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、及びt−ブチルアミンからなる群から選択される少なくとも1種である、[2]又は[3]に記載のブタジエンの製造方法。
[5]
前記洗浄工程が、
前記液化ブタジエンガスと前記アミン水溶液とを、静止型混合器に供給する混合工程と、
液化ブタジエンガスと水相とをデカンターで分離する分離工程と、
を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
本発明により、n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器内で触媒と接触させて生成したブタジエンを含む反応生成ガス中に含まれるアセトアルデヒドを極微量まで除去することができ、ブタジエンの損失を抑制することができる。
本実施形態のブタジエンの製造方法に使用される静止型混合器とデカンターの接続の一例を示す図である。 本実施形態のブタジエンの製造方法に使用される静止型混合器とデカンターの接続の別の例を示す図である。 本実施形態のブタジエンの製造装置の一例を概略的に示す図である。 本実施形態のブタジエンの製造装置の別の例を概略的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ブタジエンの製造方法]
本実施形態のブタジエンの製造方法は、n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとを、反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを得る反応工程(以下、[a]反応工程や、工程[a]とも言う。)、得られたブタジエンを含む反応生成ガスを、液化ブタジエンガスとする圧縮工程(以下、[e]圧縮工程や、工程[e]とも言う。)、及び、前記液化ブタジエンガスを、アミン水溶液で洗浄する洗浄工程(以下、[f]洗浄工程や、工程[f]とも言う。)を有する。
また、本実施形態のブタジエンの製造方法は、上述した工程に加えて、前記ブタジエンを含む反応生成ガスを冷却する急冷工程(以下、[b]急冷工程や、工程[b]とも言う。)、前記ブタジエンを含む反応生成ガスを溶剤に吸収させる吸収工程(以下、[c]吸収工程や、工程[c]とも言う。)、反応生成ガスを吸収させた前記溶剤からブタジエンを含むガスを放散させる放散工程(以下、[d]放散工程や、工程[d]とも言う。)からなる群より選択される1つ以上を有することが好ましい。
さらに、洗浄した液化ブタジエンガスから水分を除去する乾燥工程(以下、[g]乾燥工程、工程[g]とも言う。)を有することが好ましい。
これらの工程と、公知のブタジエン精製工程とを組み合わせて、ブタジエンを製造することができる。
[a]反応工程
本実施形態の製造方法は、n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとを、反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを得る反応工程を有する。
(1)原料ガス及び酸素含有ガス
本実施形態における原料ガスは、炭素数4のモノオレフィンであるn−ブテンを含むガスをいう。本実施形態に用いる原料ガスにおいて、n−ブテンの濃度は、原料ガス全量に対し、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは60重量%以上である。
具体的には、n−ブテンには、1−ブテン、及び2−ブテンが該当する。1−ブテンと2−ブテンとの比率は、特に制限されず、1−ブテンは0〜100重量%、2−ブテンは100〜0重量%の範囲のn−ブテンを、任意に用いることができる。
また、2−ブテンには、トランス体とシス体があるが、この比率もそれぞれ100〜0重量%、0〜100重量%の範囲の2−ブテンを、任意に用いることができる。
本実施形態における原料ガスは、i−ブテンを含んでいてもよい。i−ブテンの含有量は、n−ブテンに対して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは6重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。i−ブテンの含有量の下限値は、0重量%であることが理想であるが、0質量%より大きくてもよい。
また、本実施形態における原料ガスは、n−ブタン、i−ブタン、炭素数が3以下の炭化水素、炭素数が5以上の炭化水素からなる群より選択される1種以上を含んでいてもよい。
本実施形態における原料ガスは、例えば、ナフサ熱分解で副生するC4留分からブタジエンを抽出した残留成分、重油留分の流動接触分解(以下、「FCC」とも記す。)で副生するC4留分、又は、エチレン若しくはエタノ−ルの接触転化反応で副生するC4留分から、i−ブテンを水と反応させてt−ブチルアルコール(以下、「TBA」とも記す。)とする方法、i−ブテンをメタノールと反応させてメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)とする方法、i−ブテンをエタノールと反応させてエチル−t−ブチルエーテル(ETBE)とする方法、又は、i−ブテンを二量化反応による炭素数8の化合物とする方法等を経て、i−ブテンを分離することによって、得ることができる。
本実施形態における原料ガスは、必ずしも高純度である必要はなく、任意の混合物や工業グレードのものを使用することができる。本実施形態における原料ガスとしては、例えば、ナフサ熱分解により副生するC4留分からブタジエンを抽出した残留成分(以下、「BBS」とも記す。)、BBSからさらにi−ブテンを分離した残留成分(以下、「BBSS」とも記す。)、重油留分の流動接触分解により副生するC4留分、及びそれからさらにi−ブテンを分離した残留成分、n−ブタンの脱水素反応又は酸化脱水素反応により得られるC4成分、エチレンを二量化して得られるn−ブテン、並びに、エチレン又はエタノ−ルの接触転化反応により得られるC4成分、及びそれからさらにi−ブテンを分離した残留成分を使用することができる。上記の原料ガスは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
i−ブテンは、例えば、水和反応によるTBA化、アルコールとの反応によるMTBE化やETBE化、選択的吸着、若しくは二量化等によって原料ガスから分離すること、又は、n−ブテンへの骨格異性化をすることができる。
エチレンとしては、例えば、ナフサ熱分解、エタン熱分解、エタノールの脱水反応等によって得られるものを使用することができる。
エタノールとしては、例えば、工業用エタノール、バイオマスエタノール等を使用することができる。バイオマスエタノールとは、植物資源から得られるエタノールであり、具体的には、特に限定されないが、例えば、サトウキビやトウモロコシ等の発酵により得られるエタノールや、廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源から得られるエタノールが挙げられる。
原料ガス中のn−ブテン濃度は、原料ガスと酸素含有ガスとの合計100体積%に対して、ブタジエンの生産性の観点から、2体積%以上が好ましく、触媒への負荷を抑える観点から、30体積%以下が好ましい。原料ガス中のn−ブテン濃度は、より好ましくは、3〜25体積%である。原料ガス中のn−ブテン濃度が30体積%よりも高いと、反応生成物の蓄積やコークの析出が増し、触媒の劣化により触媒寿命が短くなる傾向にある。
酸素含有ガスとは、酸素を含むガスをいう。通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合する等して、空気より酸素濃度を高めたガス、又は、空気とヘリウム、窒素等の不活性ガスとを混合する等して、空気より酸素濃度を低下させたガスを用いることもできる。
n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスは、パラフィン、水、スチーム、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等からなる群より選択される1種以上を含んでいてもよい。パラフィンの例として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等を挙げることができる。また、反応生成物から目的生成物であるブタジエンを分離した後、未反応のn−ブテンの少なくとも一部を、反応器にリサイクルすることもできる。
(2)反応器
n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造には、流動層反応器、固定層反応器、移動床反応器等を採用することができる。反応器としては、触媒の抜出や追添が容易なことから、流動層反応器が好ましい。
流動層反応器は、その主要構成要素として、反応器とその中に設けられるガス分散器、流動状態を良好に維持するための内挿物及びサイクロンとを有し、予め反応器内に収容した触媒を気流によって流動させつつ、原料であるガスとを接触させる構造を有している。流動層反応器としては、例えば、流動床ハンドブック(株式会社培風館刊、1999年)等に記載の流動層反応器等を使用することができ、中でも気泡流動層方式の流動層反応器が好適である。発生する反応熱の除熱は、反応器に内挿した冷却管を用いて行うことができる。
上記冷却管は反応器内の濃厚層及び希薄層に配置され、目的の温度を実現するために操作される。上記濃厚層とは、反応器下部の触媒層密度が高い領域であり、上記希薄層とは、反応器上部の触媒層密度が低い領域である。
(3)反応条件
反応器には、n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとが供される。
n−ブテンに対する酸素のモル比は、酸素の物質量/n−ブテンの物質量で表したとき、好ましくは0.4〜2.0であり、より好ましくは0.6〜1.5であり、さらに好ましくは0.7〜1.2である。n−ブテンに対する酸素のモル比が2.0以下であることによって、生成したブタジエンの分解反応が抑制できる傾向にある。n−ブテンに対する酸素のモル比が0.4以上であることによって、n−ブテンの反応性が向上する傾向にある。
n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器へ導入する方法は、特に限定されない。n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを反応器へ導入する方法としては、触媒を充填した反応器へ、n−ブテンを含む原料ガスと酸素含有ガスとを、予め混合して導入してもよいし、それぞれ独立して導入してもよい。さらに、反応に供するn−ブテンを含む原料ガス及び酸素含有ガスは、反応器に導入した後に所定の反応温度に昇温することもでき、予熱して反応器に導入することもできる。反応に供するn−ブテンを含む原料ガス及び酸素含有ガスは、連続して効率的に反応させるために、通常、予熱して反応器に導入することが好ましい。
反応温度は、300〜420℃とするのが好ましい。反応温度を300℃以上にすることにより、n−ブテンの転化が起こり易くなる傾向にある。反応温度を420℃以下にすることにより、生成したブタジエンの燃焼分解を低く維持できる傾向にある。反応温度は、より好ましくは300〜400℃であり、さらに好ましくは310〜390℃である。
反応温度は、冷却管による反応熱の除熱や、加熱装置による給熱によって、上記の範囲に調節できる。n−ブテンの酸化脱水素反応は発熱反応であるので、通常、好適な反応温度となるように除熱を行うことが好ましい。
反応圧力は、特に制限されず、微減圧〜0.8MPaGで行うことができる。
反応器に供給するn−ブテンを含む原料ガス及び酸素含有ガスと、触媒との接触時間は、好ましくは0.5〜20(sec・g/cc)、より好ましくは0.6〜10(sec・g/cc)、さらに好ましくは0.8〜8(sec・g/cc)である。接触時間は、次式で定義される。接触時間が0.5(sec・g/cc)以上であることによって、n−ブテンの転化率が十分に高くなる傾向がある。接触時間が20(sec・g/cc)以下であることによって、ブタジエンの過反応が抑制される傾向がある。
Figure 0006893806
(式中、Wは触媒充填量(g)、Fは原料ガスと酸素含有ガスの合計流量(NL/hr、NTP換算値(0℃、1atmに換算した値))、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPaG)を表す。)
触媒、原料ガス、酸素含有ガスが反応器内で接触することにより、n−ブテンからブタジエンが生成し、ブタジエンを含む反応生成ガスは、反応器出口から流出する。
反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度は0.01〜3.0容量%に維持することが好ましく、0.05〜2.0容量%に維持することがより好ましく、0.10〜1.8容量%に維持することがさらに好ましい。
反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度を上記範囲内に維持することにより、反応器内における触媒の還元及び目的生成物の分解を有効に防止でき、安定にブタジエンを製造できる。反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度は、反応器内におけるブタジエンの分解や二次反応に影響することから、3.0容量%以下に維持することが好ましい。
反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度は、反応器に供給する原料ガスに含まれるn−ブテンの量、酸素供給源となる酸素含有ガスの量、反応温度、反応器内の圧力、触媒量、反応器に供給する全ガス量等を調整することによって、制御することができる。反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度は、反応器に供給する酸素供給源となる酸素含有ガス、例えば、空気の量を制御することによって調整することが好ましい。
反応器出口における反応生成ガス中の酸素濃度は、熱伝導型検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフィーや、ガルバニ電池式酸素濃度計を使用することによって、測定できる。
(4)触媒
以下、本実施形態に用いる触媒について説明する。
本実施形態に用いる触媒は、流動床反応により比較的高い収率でブタジエンを得る観点から、酸化物を担体に担持した触媒であって、Mo、Bi及びFeを含む触媒が好ましい。Mo、Bi及びFeの組成は、合目的な酸化物を形成するように調節されており、この酸化物中の格子酸素によって、n−ブテンからブタジエンの酸化脱水素反応が行われると考えられる。
担体は、シリカ、アルミナ、チタニア、またはジルコニアが好ましく、シリカがより好ましい。シリカは、他の担体に比べ不活性な担体であり、目的生成物に対する触媒の活性や選択性を低下させることなく、触媒と良好な結合作用を有する。加えて、酸化物をシリカに担持することによって、粒子形状、粒子の大きさ、粒子分布、流動性、機械的強度といった、流動床反応に好適な物理的特性を付与することできる。
[b]急冷工程
本実施形態の製造方法は、上記[a]工程で得られたブタジエンを含む反応生成ガスを冷却する急冷工程を含むことが好ましい。急冷工程において、上記反応生成ガスは、急冷塔に塔底から送入され、急冷塔内を上昇する。急冷塔内には急冷液が噴霧されているため、上記反応生成ガスは、当該急冷液に接触して、冷却及び洗浄され、塔頂から留出する。
急冷工程では、ブタジエンを含む反応生成ガスの冷却と同時に、当該反応生成ガス中に含まれる除去対象成分の除去が行われる。具体的には、前記除去対象成分を急冷液に溶解させる物理吸収とともに、急冷液に含まれる除去剤と前記除去対象成分との化学反応により蒸気圧が極めて低い成分に転化させる化学吸収により、効率的に除去することもできる。
ここで除去対象成分とは、カルボン酸類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族化合物類、複素環化合物類等の、反応副生成物を指す。
急冷塔は、ブタジエンを含む反応生成ガスに急冷液を効率よく接触させる観点から、好ましくは2区画以上を有する多段急冷塔であり、より好ましくは3段以上の区画を有する多段急冷塔である。
急冷塔内では、各区画において抜出した急冷液を、抜出位置より上部に循環液(以下、「循環液」と言う。)として噴霧し、ブタジエンを含む反応生成ガスの冷却と除去対象成分の除去とを行った後、各区画から抜出す。一方、急冷塔の塔頂から留出するブタジエンを含む反応生成ガスは、次の工程へ送られる。抜出した急冷液は、冷却した後に循環液として再噴霧することが好ましい。
また、[c]吸収工程における不活性ガスの脱気操作の負荷軽減を図るため、急冷塔の出口ガス温度は、適切な温度に制御するのが好ましい。この制御の方法としては、急冷液を再噴霧する前に適切な温度に冷却し、急冷塔の上段に供給することが有効である。このとき、急冷液の温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは0〜70℃に制御する。急冷塔の出口におけるガス温度は、好ましくは70℃以下、より好ましくは30〜60℃に制御する。
急冷塔の圧力は、好ましくは0.01〜0.4MPaG、より好ましくは0.02〜0.3MPaG、さらに好ましくは0.03〜0.2MPaGである。
急冷液として水溶液を用いる場合、含窒素化合物、特に有機アミンの水溶液を用いることが好ましい。急冷液として有機アミンの水溶液を用いる場合、排出された廃有機アミン水溶液はそのまま焼却処理することができるという利点がある。
上記水溶液に用いられる有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミンアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。上記の有機アミンは、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
上記の有機アミンの中でも、好ましくは水酸基を有する有機アミンであり、より好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであり、さらに好ましくはモノエタノールアミンである。
急冷液として有機アミン水溶液を用いることで、ブタジエンを含む反応生成ガス中のカルボン酸やアルデヒド類を除去することができるが、急冷工程ではブタジエンガス中のアセトアルデヒドを十分な量まで低減させることはできない。
急冷液に有機溶剤を用いる場合、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶剤を用いることもできる。脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶剤としては、C6以上の飽和炭化水素、C6以上のアルキル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、及びこれらの構造異性体からなる群より選択される1種以上が好ましい。
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、プソイドクメンからなる群より選択される1種以上が好ましく、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼンの、単独、又は、これらの混合物がより好ましい。
有機アミン水溶液及び芳香族溶剤に加え、急冷液として水を急冷塔の各区画独立に用いて急冷を行ってもよい。
各区画には気液接触効率の調整を目的とし、空塔、トレイ、充填物等を具備することができる。
循環液の噴霧には、スプレーノズルを用いることができ、液とガスとの接触を考慮して、空塔、トレイ、充填物の個数や配置を適宜、決定すればよい。
[c]吸収工程
本実施形態の製造方法は、ブタジエンを含む反応生成ガスを、溶剤に吸収させる吸収工程を含むことが好ましい。ブタジエンを含むガスを好適な溶剤に吸収させることにより、この後に続く放散工程にて、ブタジエンを含むガスを分離し易い溶液を得ることができる。また、吸収の過程においてブタジエンを含む反応生成ガスに含まれていた不活性ガスが、除去される。
ブタジエンを含むガスを吸収させる溶剤(以下、「吸収溶剤」とも記す。)としては、例えば、直鎖又は環状炭化水素や芳香族炭化水素が挙げられる。また、これらの溶剤として用いられる化合物は、さらに置換基を有する化合物であってもよい。具体例には、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、オクテン、ノネン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クメン、トリメチルベンゼン、ビニルシクロヘキセン、フルフラール等が挙げられる。上記の中で、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンが好ましい。上記の吸収溶剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
工程[c]では、例えば、工程[b]で得られる冷却されたブタジエンを含む反応生成ガスを、吸収塔の塔底に導入し、吸収溶剤を吸収塔内で向流接触させることによって、ブタジエン及びその他のC4成分を主体とする炭化水素を、当該反応生成ガスから吸収溶剤に吸収させる。工程[c]は、ブタジエンを含む反応生成ガスを圧縮し、冷却した後に行ってもよい。
吸収塔としては、例えば、充填塔、棚段塔等の塔を用いることができる。
吸収溶剤におけるブタジエン吸収効率をより高めるために、吸収塔内の液の一部を冷却器により冷却することも好ましい態様の一つである。
吸収塔の塔底から抜出したブタジエンを含む吸収溶剤は、工程[d]の放散工程へ導入することが好ましい。
[d]放散工程
本実施形態の製造方法は、上記工程[c]の後、ブタジエンを含む吸収溶剤から、ブタジエンを含むガスを放散させる放散工程を行うことが好ましい。放散工程では、ブタジエンを含む吸収溶剤から、ブタジエンを含むガス成分をガス化させ、吸収溶剤の分離回収を行う。
ブタジエンを含む吸収溶剤は、放散塔の中段に導入されるのが好ましい。
放散塔における圧力は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.03〜0.5MPaGである。
放散塔における塔頂温度は、好ましくは0〜90℃である。
放散塔における塔底温度は、好ましくは100〜190℃であり、より好ましくは110〜180℃である。上記塔底温度を100℃以上にすることによって、ブタジエン等の炭化水素を十分に放散できる。上記塔底温度を190℃以下にすることによって、ブタジエンの熱重合、汚れやタ−ルの生成を防止できる。
放散塔としては、充填塔、棚段塔を用いることができる。
ブタジエンを含むガスは、放散塔の塔頂から回収され、塔底からはブタジエンをほとんど含まない吸収溶剤が抜出される。抜出された吸収溶剤は、吸収工程にリサイクルして引き続き利用可能であるため、吸収塔の塔頂に供給されることが好ましい。
長時間の使用により吸収溶剤に反応生成ガスから除かれた高沸点成分、汚れやタールなどが蓄積する場合、連続的又は断続的に吸収溶剤の精製を行うことも好ましい態様の一つである。
また、吸収溶剤における汚れやタールの生成を防ぐ観点から、吸収溶剤に予め重合防止剤を添加することが好ましい。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。上記の重合防止剤は、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
[e]圧縮工程
本実施形態の製造方法は、得られたブタジエンを含む反応生成ガスを、液化ブタジエンガスとする圧縮工程を有する。圧縮工程は、例えば、上記工程[a]や上記工程[d]から導入されたブタジエンを含む反応生成ガスを、冷却及び/又は圧縮して液化ブタジエンガスを得る。
ブタジエンを含む反応生成ガスを圧縮するための冷却は、冷却器によって行うことができる。
冷却器内の温度は、好ましくは−1〜60℃であり、より好ましくは0〜50℃であり、さらに好ましくは5〜45℃である。上記冷却器内の温度を−1℃以上にすることによって、配管内での凍結を抑制する効果が得られる。上記冷却器内の温度を60℃以下にすることによって、ブタジエンを含む反応生成ガスを十分に圧縮でき、液化ブタジエンガスとすることができる。
冷却器としては、上記の温度に調整できるものであれば特に制限されないが、例えば、シェルアンドチューブ型の熱交換器等が使用できる。
また、ブタジエンを含む反応生成ガスは、圧縮器によって圧縮することもできる。
圧縮における圧力は、好ましくは0.01〜1.0MPaG、より好ましくは0.05〜0.8MPaGであり、さらに好ましくは0.1〜0.6MPaGである。上記圧力を0.01MPaG以上にすることによって、ブタジエンを含む反応生成ガスを十分に圧縮でき、液化ブタジエンガスとすることができる。上記圧力を2.0MPaG以下にすることによって、エネルギーコストを下げる効果が得られる。
圧縮器としては、上記の圧力に調整できるものであれば特に制限されないが、例えば、ターボ圧縮器や容積圧縮器等が使用できる。
[f]洗浄工程
本実施形態の製造方法は、液化ブタジエンガスを、アミン水溶液で洗浄する工程を有する。具体的には、例えば、上記工程[e]で得られた液化ブタジエンガスと、アミン水溶液とを接触させることによって、該液化ブタジエンガス中のアセトアルデヒドを極微量まで反応除去し、液化ブタジエンガスの洗浄を行う。また、洗浄工程によって、アセトアルデヒド以外のカルボニル化合物類も除去することができる。
洗浄工程には、例えば、静止型混合器、抽出塔、撹拌混合器等を採用することができる。アミン水溶液へのブタジエンの溶解によるブタジエンの損失をより抑制する観点から、静止型混合器を用いることが好ましい。静止型混合器の種類は、特に限定されないが、例えば、ラインミキサー等を用いることが好ましい。
工程[f]における圧力は、好ましくは0.25〜0.70MPaG、より好ましくは0.30〜0.60MPaG、さらに好ましくは0.35〜0.55MPaGである。
工程[f]における運転温度は、好ましくは0〜45℃、より好ましくは5〜30℃、さらに好ましくは5〜20℃である。工程[f]における運転温度が0℃以上であることによって、配管内での凍結を抑制することができる。工程[f]における運転温度が45℃以下であることによって、抽出効率を高くすることができる。
洗浄工程に静止型混合器を用いる場合、液化ブタジエンガスとアミン水溶液とを混合し静止型混合器に供給することが好ましい。静止型混合器中でアセトアルデヒドとアミンが反応し、液化ブタジエンガス中のアセトアルデヒドが極微量まで除去される。
液化ブタジエンガスに対するアミン水溶液の供給量(g/Hr)の比は、液化ブタジエンガスを1として、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.2〜3.0、さらに好ましくは0.4〜2.0である。上記比を0.1以上とすることによって、アセトアルデヒドとアミンとの反応が十分に進行し、アセトアルデヒドを効率よく除去できる。上記比を5以下とすることによって、アミンの消費量を抑制できる傾向がある。
アミン水溶液中のアミンの濃度は、0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3.0重量%である。上記アミンの濃度を0.01重量%以上とすることによって、アセトアルデヒドとアミンとの反応が十分に進行し、アセトアルデヒドを効率よく除去できる。上記アミンの濃度を10重量%以下とすることによって、アミンの消費量を抑制できる傾向がある。
本実施形態におけるアミン水溶液のアミンとしては、少なくとも1つのアミノ基を有する化合物であれば特に制限されない。
アミンは、アセトアルデヒドと反応しやすく、アミンとアセトアルデヒドとの反応生成物は、高沸点であるためブタジエンと分離しやすい。
アミン水溶液は、ヒドラジン類及び/又は有機アミン類を含む水溶液であることが好ましい。特にヒドラジンは、強い還元性を有するため、アセトアルデヒド等のカルボニル化合物類との反応速度が速く、アセトアルデヒドと反応し、ヒドラゾンを生成する。生成したヒドラゾンは、アセトアルデヒドと反応しアジンを生成するため、ヒドラジンに対して2等量のアセトアルデヒドが反応する。したがって、少量のヒドラジンでアセトアルデヒドを効率的に除去することが可能であるため、アミン水溶液は、ヒドラジンを含む水溶液であることがより好ましい。
ヒドラジン類としては、例えば、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、及びフェニルヒドラジン、並びに、それらの塩酸塩、それらの硫酸塩、及びそれらの酢酸塩等を好適に挙げられる。これらは、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
有機アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミンアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。これらは、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
上記の有機アミンの中でも、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、及びt−ブチルアミンが、好ましい。
図1は、本実施形態における、液化ブタジエンガス1をアミン水溶液5で洗浄する装置の一例を示す図である。液化ブタジエンガス1とアミン水溶液5とを混合し、静止型混合器3に供給する。静止型混合器3の出口から、水を含む、アミンとアセトアルデヒドとの反応生成物と液化ブタジエンガスが流出し、デカンター2に供給され、油水分離する。油相である、アセトアルデヒド除去後の液化ブタジエンガス6は次の工程に供給し、アミンとアセトアルデヒドとの反応生成物を含む水相は廃液4として処理される。図2に示すように油相と水相をリサイクルしてもよい。油相である液化ブタジエンガスには、アミンとアセトアルデヒドとの反応生成物が含まれていてもよく、かかるアミンとアセトアルデヒドとの反応生成物は、次の工程である、工程[g]や工程[h]等においてさらに除去することができる。
すなわち、本実施形態における洗浄工程は、液化ブタジエンガスとアミン水溶液とを、静止型混合器に供給する混合工程と、液化ブタジエンガスと水相とをデカンターで分離する分離工程と、を含むことが好ましい。
また、[f]洗浄工程において、重合防止剤を液化ブタジエンガス相に添加することが好ましい。重合防止剤としてはハイドロキノン、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。上記の重合防止剤は、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
[g]乾燥工程
本実施形態の製造方法は、液化ブタジエンガスから水を除去する乾燥工程を有することが好ましい。具体的には、例えば、上記工程[f]より導入された液化ブタジエンガスから水を除去するために、該液化ブタジエンガスを蒸留塔の上部に供給し、塔頂から水を抜出す。塔底からは水を除去した液化ブタジエンガスを抜出する。この蒸留における圧力は、好ましくは0.3〜0.7MPaG、より好ましくは0.4〜0.6MPaGである。この蒸留における塔頂温度は、好ましくは40〜60℃である。この蒸留における塔底温度は、好ましくは45〜90℃である。
工程[g]には、充填塔、棚段塔等の塔を用いることができる。
塔頂には水とブタジエンとの最低共沸物の形成を促進することにより、水を塔頂に留去する。塔底にはブタジエンとブタジエンよりも沸点が高い成分を濃縮する。そして、塔底と塔頂との温度差を大きくすることにより、共沸成分の留去を促進した蒸留条件を形成し、塔底から水分を低減したブタジエンを含む液化ブタジエンガスを抜き出すことができる。
また、工程[g]において、重合防止剤を添加することが好ましい。重合防止剤としてはハイドロキノン、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。上記の重合防止剤は、1種、又は、2種以上を組み合わせ使用することができる。
[h]精製工程
上記工程[g]から流出した液化ブタジエンガスは、公知の技術、例えば、特許第5687800号に記載の方法によって、高純度ブタジエンとすることができる。
精製工程では、具体的には、工程[g]より流出した液化ブタジエンガスから高沸成分を除去する蒸留塔、ブタジエン以外のC4成分を除去する吸収塔、高純度のブタジエン(以下、「製品ブタジエン」とも言う。)を回収する放散塔等を設置することが好ましい。このとき、製品ブタジエンは、好ましくは純度98.0%以上、より好ましくは99.0%以上に精製されることが好ましい。
[ブタジエンの製造装置]
本実施形態のブタジエンの製造方法は、ブタジエンの製造装置によって行うことができる。すなわち、本実施形態の一つは、ブタジエンの製造装置である。
本実施形態のブタジエンの製造装置は、金属酸化物及び担体を含む触媒が収容された反応器と、ブタジエンを含む反応生成ガスを液化して液化ブタジエンとする圧縮機と、液化ブタジエンをアミン水溶液で洗浄する洗浄機を有することが好ましい。上記洗浄機は、例えば、静止型混合器、抽出塔、または、攪拌混合器を有することが好ましい。
以下、図3及び図4を参照して、本実施形態のブタジエンの製造装置の好適な態様を詳細に説明する。
図3は、本実施形態のブタジエンの製造装置の一例を概略的に示す図である。
具体的には、当該製造装置における反応器7に、n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとが供給される。
反応器から流出した反応生成ガスは、急冷塔8に塔底から送入され、急冷塔8内で急冷液に接触して洗浄される。洗浄された反応生成ガスは、塔頂から流出し、吸収塔9の塔底に導入される。
吸収塔9の塔底に導入された反応生成ガスは、吸収塔9内で、吸収溶剤(例えば、キシレン、混合キシレン又はトルエン)に吸収され、ブタジエンを含む吸収溶剤として塔底から流出する。一方、オフガスが吸収塔9塔頂から流出する。吸収塔9の塔底から流出したブタジエンを含む吸収溶剤は、放散塔10に導入される。
放散塔10でブタジエンを含む吸収溶剤から溶剤を分離した後、粗ブタジエンガスが塔頂から流出し、圧縮工程を行う、冷却器18に供給される。冷却器18で粗ブタジエンガスは、液化ブタジエンガスとなり、ドラム19に供給される。
ドラム19から流出した液化ブタジエンガスとアミン水溶液20とを混合し、洗浄工程を行うため、静止型混合器3に供給され、アセトアルデヒドを含むカルボニル化合物類が除去され、デカンター21で油水分離を行う。
デカンター21から流出した液化ブタジエンガスは、蒸留塔11に供給され、水が除去される。蒸留塔11を流出した粗ブタジエンは、第一抽出蒸留塔12の中段に供給される。
第一抽出蒸留塔12では塔上部から溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド)が噴霧されており、粗ブタジエンの溶液が生成して塔底から流出する。流出した粗ブタジエンの溶液は、溶剤分離塔13に導入されると共に、例えばブタンが塔頂から分離される。
溶剤分離塔13では粗ブタジエン溶液の溶剤が分離され、塔頂から流出した粗ブタジエンが第二抽出蒸留塔14に導入される。第二の抽出蒸留塔14でも、第一抽出蒸留塔12と同様に塔上部から溶剤が噴霧されており、粗ブタジエン溶液が生成する。第二抽出蒸留塔14は、ブタジエンを含む成分が塔頂から流出し、アセチレン等の不純物を溶解した溶剤が塔底から分離される温度で運転される。これにより粗ブタジエンは第二抽出蒸留塔14の塔頂から流出する。
第二抽出蒸留塔14から流出した粗ブタジエンから、第一蒸留塔15及び第二蒸留塔16で、低沸点化合物(例えばメチルアセチレン)及び高沸点化合物(例えば2−ブテン)が分離されると、精製ブタジエン17が得られる。
図4は、本実施形態のブタジエンの製造装置の別の例を概略的に示す図である。図4に示す装置における反応器7、急冷塔8、吸収塔9、放散塔10、並びに洗浄工程以降の塔は、図3に示す例と同じであるので、相違点のみ次に説明する。
放散塔10でブタジエン含有溶液から溶剤を分離した後、ブタジエンと水とを含む溶液が塔頂から流出し、圧縮機22に供給され、冷却器18を通過することで粗ブタジエンガスは、液化ブタジエンガスとなり、ドラム19に供給される。
なお、図3及び図4に示す例では、圧縮工程及び洗浄工程以外の圧縮機、ドレインポット、熱交換器等の記載を省略しているが、これらは装置の運転上の必要性又は効率性や、熱の有効利用等の目的で、適宜追加することができる。例えば、特開昭60−193931号公報、特開2003−128595号公報及び特開2010−90082号公報に記載の装置を参考にすることは、圧縮機、ドレインポット、熱交換器等を追加する上で有効である。また、これらの先行文献は、蒸留塔の運転温度、圧力や溶剤の種類等の面でも、参考にすることができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例
によって制限されるものではない。
(反応成績)
反応成績を表すために用いたn−ブテン転化率、ブタジエン選択率及び収率は、それぞれ次式で定義した。
Figure 0006893806
Figure 0006893806
Figure 0006893806
(接触時間)
接触時間は次式で定義した。
Figure 0006893806
(式中、Wは触媒充填量(g)、Fは原料混合ガス流量(NL/hr、NTP換算)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPaG)を表す。)
(反応装置)
流動層反応方式の反応装置として、管径3インチ・高さ950mmのSUS304製流動層反応器を用いた。酸素含有ガスは、反応器底部から供給し、n−ブテンを含む原料ガスは、反応器底部から150mm上方に位置するノズルから供給した。
(酸素の分析)
反応器出口における酸素の分析は、反応器に直結させたガスクロマトグラフィー(GC−8A(島津製作所製)、分析カラム:ZY1(信和化工製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:75℃一定、TCD設定温度:80℃)を用いて行った。
(n−ブテンを含む原料ガス)
n−ブテンを含む原料ガスとしてBBSS又はn−ブテンを用いた。
BBSSは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=41.30:17.70:13.50:5.60:16.10:4.70:1.10であった。
n−ブテンは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=98.00:0.05:0.05:0.85:0.99:0.03:0.03であった。
(未反応物及び反応生成物の分析)
未反応のn−ブテン及びブタジエン、メタクロレイン等の反応生成物の分析は、反応器に直結させたガスクロマトグラフィー(GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(J&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃)を用いて行った。
(アセトアルデヒドの分析)
ガスクロマトグラフィー(GC−2010Plus(島津製作所製)、分析カラム:CP−Volamine(J&W製)、キャリアガス:窒素、カラム温度:ガス注入後、130℃で8分間保持した後、30℃/分で245℃になるまで昇温し、その後245℃で20分間保持、FID設定温度:250℃)で分析を行った。
アミン水溶液によるアセトアルデヒドの除去効果を分析するため、液化ガスをアミン水溶液で洗浄する工程の入口と出口で分析を行い、アセトアルデヒドの濃度を分析した。
(実施例1)
(a)反応工程
触媒として、含まれる金属の原子比がMo12Bi0.60Fe1.8Ni5.00.09Rb0.05Mg2.0Ce0.75で表される複合金属酸化物を、50重量%のシリカに担持した触媒を使用した。
上記触媒1980gを、管径3インチ、高さ950mmのSUS304製流動層反応器に入れた。原料ガスはBBSSとし、その流量を75NL/hrとした。また、酸素含有ガスは、空気と窒素との混合物とし、空気の流量を228NL/hr、窒素の流量を617NL/hrにて供給した。総流量Fは、920NL/hrであった。
反応温度(T)360℃、反応圧力(P)0.05MPaGの条件下、反応を行って、反応生成ガスを得た。この時、触媒との接触時間は、5.0(g・sec/cc)であった。
反応開始から100時間後、得られた反応生成ガスを分析したところ、反応成績は、n−ブテンの転化率が95.5%、ブタジエンの選択率が83.1%、ブタジエン収率が79.4%であった。
(b)急冷工程
上記(a)の工程で得られた反応生成ガスを、急冷塔(SUS304製)の塔底部(管径200mm、高さ300mm)の上部に位置する急冷部(管径100mm、高さ1000mm)を有する)の下段に導入し、該急冷塔の塔頂から排出ガスを得た。上記急冷塔における急冷部は、3段式とした。
上記3段式の急冷部の、上段、中段及び下段に対して、塔底から抜出した液をそれぞれ90、180、180L/Hrでスプレーした。中段へのスプレー液には、ボトム抜出液のpHが7.6になるように、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を調整しながら添加した。また、上段へのスプレー液は、熱交換器を通すことによって、47℃に冷却してスプレーした。この時、急冷塔の塔頂からの排出ガス温度は、53℃であった。
(c)吸収工程
上記(b)の工程で得られた排出ガスを、吸収塔(管径2.5インチ、高さ3300mm、塔の内部に5mmφ*5mmのラシヒリングを充填したSUS304製)の下段に導入した。この吸収塔の上段には1℃に冷却したトルエン(沸点:139.1℃)を、5.0kg/Hrで供給し、下段より導入した上記排出ガスと向流接触させ、ブタジエンを含むC4成分をトルエンに吸収させた。このC4成分を吸収した20℃のトルエンを塔底から抜出した。
(d)放散工程
上記(c)の工程で得られたC4成分を吸収したトルエンを、放散塔(SUS304製;管径2.5インチ、高さ3000mm、塔の内部に、5mmφ*5mmのラシヒリングが充填された)の中段に導入した。該放散塔は、圧力が0.40MPaG、塔底液温度が175℃、塔頂のガス温度が45℃になるように運転した。該放散塔の塔頂からは50.2重量%のブタジエンを含むガスが得られた。該放散塔の塔底からはブタジエンを含まないトルエンを5.0kg/Hrで抜出し、上記(c)の工程におけるC4成分を吸収させるための吸収液として、吸収塔へ供給した。
(e)圧縮工程
上記(d)の工程で得られたブタジエンを含むガスを、10℃に冷却して液化ブタジエンガスとした。該液化ブタジエンガスには、アセトアルデヒドが3000重量ppm含まれていた。
(f)洗浄工程
上記(e)工程にて得られた液化ブタジエンガス180g/Hrと、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrとを、配管で合流させて静止型混合器(株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製スタティックミキサー、型式T(3)H−12R−S)に供給した。該静止型混合器は、圧力が0.4MPaG、温度が10℃となるように運転した。
該静止型混合器から流出した液をデカンターに供給し、油水分離を行い、デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量を測定した結果、アセトアルデヒドの含有量は7重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.10g/Hrであった。
(実施例2)
実施例1の(f)の工程におけるヒドラジンの濃度を1.0重量%としたこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は4重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.11g/Hrであった。
(比較例1)
実施例1に記載の(e)工程までは実施例1と同様の条件で行った。
(e)工程にて得られた液化ブタジエンガスを、水洗塔(SUS304製;管径3インチ、高さ2500mm、塔の内部にラシヒリングが充填された)の塔底に180g/Hrの割合で供給した。該水洗塔は、圧力が0.4MPaG、塔底及び塔頂の温度が10℃となるように運転した。この水洗塔の塔頂から水を400g/Hrの割合で供給し、塔底より供給した前記液化ブタジエンガスと向流接触を行って、該液化ブタジエンガスを水で洗浄した。該水洗塔の塔頂から抜き出された液の油水分離を行い、得られた液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量を測定した結果、アセトアルデヒドの含有量は、22重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、1.10g/Hrであった。
(比較例2)
実施例1に記載の(e)工程までは実施例1と同様の条件で行った。
(e)工程にて得られた液化ブタジエンガスを、水洗塔(SUS304製;管径3インチ、高さ2500mm、塔の内部にラシヒリングが充填された)の塔底に180g/Hrの割合で供給した。該水洗塔は、圧力が0.4MPaG、塔底及び塔頂の温度が10℃となるように運転した。この水洗塔の塔頂から水を50g/Hrの割合で供給し、塔底より供給した前記液化ブタジエンガスと向流接触を行って、該液化ブタジエンガスを水で洗浄した。該水洗塔の塔頂から抜き出された液の油水分離を行い、得られた液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量を測定した結果、アセトアルデヒドの含有量は、213重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.34g/Hrであった。
(比較例3)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、水180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、369重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.12g/Hrであった。
(実施例3)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、モノエタノールアミン濃度1.0重量%のアミン水溶液180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、14重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.11g/Hrであった。
(実施例4)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ブチルアミン濃度1.0重量%のアミン水溶液180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、18重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.13g/Hrであった。
(実施例5)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ヒドラジン濃度0.15重量%のアミン水溶液180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、21重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.16g/Hrであった。
(実施例6)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ヒドラジン濃度10重量%のアミン水溶液180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、3重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.08g/Hrであった。
(実施例7)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ヒドラジン濃度0.5重量%のアミン水溶液100g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、9重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.08g/Hrであった。
(実施例8)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液400g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、5重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.44g/Hrであった。
(実施例9)
実施例1の(f)の工程における、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrにかえて、ヒドラジン硫酸塩濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrを供給したこと以外は、実施例1と同様の条件とし、デカンターから液化ブタジエンガスを得た。デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量は、5重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.17g/Hrであった。
(実施例10)
上記実施例1の(a)の工程における触媒量を1580gとし、原料ガスをn−ブテンとし、n−ブテン流量を75NL/hrとし、空気流量を295NL/hrとし、窒素流量を550NL/hrとし(総流量F=920NL/hr)供給した。この時、触媒との接触時間は、4.0(g・sec/cc)であった。
反応生成ガスの分析は、反応器及び急冷塔に直結させたガスクロマトグラフィーで上述のとおり行った。反応開始から24時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が98.2%、ブタジエンの選択率が88.6%、ブタジエン収率が87.0%であった。
上記(b)、(c)、(d)、(e)の工程は、実施例1と同様の条件とし、液化ブタジエンガスを得た。該液化ブタジエンガスには、アセトアルデヒドが1000重量ppm含まれていた。
上記(e)工程にて得られた液化ブタジエンガス180g/Hrと、ヒドラジン濃度0.2重量%のアミン水溶液180g/Hrとを、配管で合流させて静止型混合器(株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製スタティックミキサー、型式T(3)H−12R−S)に供給した。該静止型混合器は、圧力が0.4MPaG、温度が10℃となるように運転した。
該静止型混合器から流出した液をデカンターに供給し油水分離を行い、デカンターから抜き出された液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量を測定した結果、アセトアルデヒドの含有量は、5重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.10g/Hrであった。
(実施例11)
実施例1の(e)工程までは実施例1と同様の条件で行った。
(e)工程にて得られた液化ブタジエンガスを、抽出塔(SUS304製;管径3インチ、高さ2500mm、塔の内部にラシヒリングが充填された)の塔底に、180g/Hrの割合で供給した。該抽出塔は、圧力が0.4MPaG、塔底及び塔頂の温度が10℃となるように運転した。この水洗塔の塔頂からヒドラジン濃度1重量%のアミン水溶液を50g/Hrの割合で供給し、塔底より供給した前記液化ブタジエンガスと向流接触を行って、該液化ブタジエンガスをアミン水溶液で洗浄した。
該抽出塔の塔頂から抜き出された液の油水分離を行い、得られた液化ブタジエンガスに含まれるアセトアルデヒドの含有量を測定した結果、アセトアルデヒドの含有量は、17重量ppmであった。また、ブタジエンの損失量は、0.31g/Hrであった。
本発明の製造方法によれば、高純度のブタジエンを製造することができ、合成ゴムや樹脂の原料の分野にて産業上の利用可能を有する。
1 :液化ブタジエンガス
2 :デカンター
3 :静止型混合器
4 :廃液
5 :アミン水溶液
6 :カルボニル化合物除去後の液化ブタジエンガス
7 :反応器
8 :急冷塔
9 :吸収塔
10:放散塔
11:蒸留塔
12:第一抽出蒸留塔
13:溶剤分離塔
14:第二抽出蒸留塔
15:第一蒸留塔
16:第二蒸留塔
17:精製ブタジエン
18:冷却器
19:ドラム
20:アミン水溶液
21:デカンター
22:圧縮機

Claims (3)

  1. n−ブテンを含む原料ガスと、酸素含有ガスとを、反応器内で触媒と接触させてブタジエンを含む反応生成ガスを得る反応工程、
    得られたブタジエンを含む反応生成ガスを、液化ブタジエンガスとする圧縮工程、
    前記液化ブタジエンガスを、アミン水溶液で洗浄する洗浄工程、を有し、
    前記アミン水溶液が、有機アミン類を含む水溶液であり、
    前記有機アミン類が、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、及びt−ブチルアミンからなる群から選択される少なくとも1種である、
    ブタジエンの製造方法。
  2. 反応生成ガスを得る工程で得られたブタジエンを含む反応生成ガスを冷却する急冷工程をさらに有する、
    請求項1に記載のブタジエンの製造方法。
  3. 前記洗浄工程が、
    前記液化ブタジエンガスと前記アミン水溶液とを、静止型混合器に供給する混合工程と、
    液化ブタジエンガスと水相とをデカンターで分離する分離工程と、を含む、
    請求項1又は2に記載のブタジエンの製造方法。
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