JP2017218414A - ブタジエンの製造方法 - Google Patents
ブタジエンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017218414A JP2017218414A JP2016114122A JP2016114122A JP2017218414A JP 2017218414 A JP2017218414 A JP 2017218414A JP 2016114122 A JP2016114122 A JP 2016114122A JP 2016114122 A JP2016114122 A JP 2016114122A JP 2017218414 A JP2017218414 A JP 2017218414A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- butadiene
- tower
- gas
- concentration
- solvent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
【課題】反応工程における原料や触媒や反応条件を変更せずとも、長期に安定してブタジエンを製造すること。【解決手段】n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程、前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法は、反応工程における原料や触媒や反応条件を変更することなく、長期に安定してブタジエンを製造することができる。【選択図】なし
Description
本発明は、ブタジエンを製造する方法に関する。
ブタジエンを製造する方法として、ナフサのクラッキングにより得られた炭素数4の留分に対して抽出溶剤を用いて、ブタン、ブテン、アセチレン類の高沸成分及び低沸成分を除去してブタジエンを得る方法が採用されている。しかし、近年、エチレンの製造方法がナフサのクラッキングから、エタンの熱分解による方法に移行している。このような状況において、触媒表面上でn−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを製造する方法が注目されている。
特許文献1〜3には、モノオレフィンの接触酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する方法が開示されている。特許文献1及び2には、冷却工程により冷却されたガスを溶媒と接触させて、生成した共役ジエンを溶媒中に回収する回収工程や、回収工程で得られた共役ジエンを含有する溶液から粗共役ジエンを分離する分離工程について記載されている。
ブタジエンの製造においては、ブテンの酸化脱水素反応は酸素が介在する酸化反応であるために、目的物のブタジエン以外に、カルボン酸、アルデヒド、ケトンといったナフサのクラッキングでは生成しない酸素を含有する副生成物が生成する。
特許文献3には、ブタジエンを含む生成ガスを吸収溶媒に吸収させた後、その吸収溶媒を蒸留してブタジエンを分離回収するにあたって、蒸留塔を用いて蒸留すると、副生物であるアクロレイン、アクリル酸等の不飽和カルボニル化合物が重合を起こし蒸留塔内に付着するとともに、循環使用される吸収溶媒中に当該副生物が蓄積することが記載されている。
特許文献3には、ブタジエンを含む生成ガスを吸収溶媒に吸収させた後、その吸収溶媒を蒸留してブタジエンを分離回収するにあたって、蒸留塔を用いて蒸留すると、副生物であるアクロレイン、アクリル酸等の不飽和カルボニル化合物が重合を起こし蒸留塔内に付着するとともに、循環使用される吸収溶媒中に当該副生物が蓄積することが記載されている。
特許文献4には、n−ブテンの酸化脱水素反応によりブタジエンを製造する方法が開示されている。特許文献4には、冷却されたブタジエンを含むガスを溶剤に吸収させ、放散塔によりブタジエンを含む溶液からブタジエンを含むガスを回収する工程について記載されている。しかしながら、放散塔における、重合性のアルデヒドの存在については記載されていない。
特許文献3には、上述のように循環使用される吸収溶媒中に副生物であるアクロレイン、アクリル酸等の不飽和カルボニル化合物が蓄積することが記載されているが、副生成物の生成を抑制する方法として、上記不飽和カルボニル化合物を除去することは困難であるため、前記生成ガス中の炭素原子数3〜4の不飽和カルボニル化合物濃度が0.001mol%以上0.7mol%以下とする方法を提案している。しかしながら、この方法の実施においては、不飽和カルボニル化合物を特定の濃度に制御するために、反応に使用する原料や触媒や反応条件を変更する必要があり、常に一定条件で反応を行ったり、反応を制御したりすることに労力を要し、さらに、反応成績の悪化を起こす恐れがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、反応工程における原料や触媒や反応条件を変更せずとも、長期に安定してブタジエンを製造することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、ブタジエンの製造における放散工程において閉塞が発生しやすいことを見出し、また、閉塞をおこしている原因は、不飽和アルデヒドが重合したものであることを見出した。
さらに、本発明者は、反応工程の条件を変更することなく、放散塔の濃縮部における溶剤中の重合性のアルデヒド濃度を1.0重量%以下に維持することで、放散塔における閉塞を抑制し、長期に安定してブタジエンを製造する方法を見出だし、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者は、反応工程の条件を変更することなく、放散塔の濃縮部における溶剤中の重合性のアルデヒド濃度を1.0重量%以下に維持することで、放散塔における閉塞を抑制し、長期に安定してブタジエンを製造する方法を見出だし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程、
前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、
前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程
を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法。
[2]前記放散工程において、圧力が0.01〜0.6MPaGであり、かつ塔頂温度が10〜90℃である、[1]に記載のブタジエンの製造方法。
[3]前記放散工程において、重合性のアルデヒドを含む溶剤を放散塔の中段から抜き出す、[1]又は[2]に記載のブタジエンの製造方法。
[4]前記放散工程において、重合性のアルデヒドが、アクロレイン及び又はメタクロレインである、[1]〜[3]のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
[1]n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程、
前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、
前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程
を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法。
[2]前記放散工程において、圧力が0.01〜0.6MPaGであり、かつ塔頂温度が10〜90℃である、[1]に記載のブタジエンの製造方法。
[3]前記放散工程において、重合性のアルデヒドを含む溶剤を放散塔の中段から抜き出す、[1]又は[2]に記載のブタジエンの製造方法。
[4]前記放散工程において、重合性のアルデヒドが、アクロレイン及び又はメタクロレインである、[1]〜[3]のいずれかに記載のブタジエンの製造方法。
本発明により、放散塔の閉塞を防止することができ長期安定にブタジエンを製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のブタジエンの製造方法は、
n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程と、
前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、
前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程
を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法であれば特に制限されない。
また、上記反応工程の後、上記吸収工程の前に、ブタジエンを含む第一のガスを冷却する急冷工程を含むことが好ましい。
n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程と、
前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、
前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程
を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法であれば特に制限されない。
また、上記反応工程の後、上記吸収工程の前に、ブタジエンを含む第一のガスを冷却する急冷工程を含むことが好ましい。
(ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程)
本実施形態におけるn−ブテンは、炭素数4の鎖状のモノオレフィンであり、n−ブテンを含むガス(以下、単に「原料ガス」とも称す)を原料として好適に使用することができる。原料ガス中のn−ブテンの濃度は、原料ガス全量に対して、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。具体的には、n−ブテンは、1−ブテン、2−ブテンである。n−ブテン中の1−ブテンと2−ブテンの比率は、特に制限されず、1−ブテンは0〜100重量%、2−ブテンは100〜0重量%の範囲であって、任意である。また、2−ブテンにはトランス体とシス体があるが、これらの比率は、それぞれトランス体が100〜0重量%、シス体が0〜100重量%の範囲であって、任意である。
本実施形態におけるn−ブテンは、炭素数4の鎖状のモノオレフィンであり、n−ブテンを含むガス(以下、単に「原料ガス」とも称す)を原料として好適に使用することができる。原料ガス中のn−ブテンの濃度は、原料ガス全量に対して、40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。具体的には、n−ブテンは、1−ブテン、2−ブテンである。n−ブテン中の1−ブテンと2−ブテンの比率は、特に制限されず、1−ブテンは0〜100重量%、2−ブテンは100〜0重量%の範囲であって、任意である。また、2−ブテンにはトランス体とシス体があるが、これらの比率は、それぞれトランス体が100〜0重量%、シス体が0〜100重量%の範囲であって、任意である。
原料ガスは、イソブテン(以下、「i−ブテン」とも称す)を含んでいてもよいが、本反応器にi−ブテンを供すると酸化反応により重合性の高いアルデヒドであるメタクロレインが生成し、かかるメタクロレインは、放散塔の濃縮部で濃縮されると重合し、生成した重合物が放散塔を閉塞させる。原料ガス中のi−ブテン濃度が高い場合、放散塔を早期に閉塞させ、i−ブテン濃度が低い場合、長期の運転により放散塔の濃縮部にメタクロレインが濃縮され、放散塔を閉塞させる恐れがある。したがって、原料ガス中のi−ブテンは、n−ブテンに対して、10重量%以下であり、6重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。
また、上記原料ガスは、i−ブタンの他に、炭素数が3以下の炭化水素、炭素数が5以上の炭化水素を含んでいてもよい。
また、上記原料ガスは、i−ブタンの他に、炭素数が3以下の炭化水素、炭素数が5以上の炭化水素を含んでいてもよい。
原料ガスとしては、例えば、ナフサ熱分解で副生するBBPからブタジエンを抽出した残留成分(BBS)や、かかるBBSからさらにイソブテンを分離した残留成分(BBSS);重油留分の流動接触分解(FCC)で副生するC4留分や、かかるC4留分からさらにイソブテンを分離した残留成分;n−ブタンの脱水素反応又は酸化脱水素反応により得られるC4成分;エチレンを二量化して得られる1−ブテン;エチレン又はエタノールの接触転化反応で副生するC4留分や、かかるC4留分からさらにイソブテンを分離した残留成分;等が挙げられる。原料ガスは必ずしも高純度である必要はなく、任意の混合物や工業グレードを使用することができる。
上記原料ガスにおけるイソブテンの分離は、水和反応によるt−ブチルアルコール(TBA)化、アルコールとの反応によるメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)化やエチル−t−ブチルエーテル(ETBE)化、n−ブテンへの骨格異性化、選択的吸着、及びイソブテンの二量化等によって行うことができる。
上記エチレンとしては、例えば、ナフサ熱分解、エタン熱分解、エタノールの脱水反応によって得られるものを使用することができる。上記エチレン又はエタノールの接触転化反応におけるエタノールとしては、例えば、工業用エタノール、バイオマスエタノールを使用することができる。バイオマスエタノールとは、植物資源から得られるエタノールであり、具体的には、例えば、サトウキビやトウモロコシ等の発酵により得られるエタノールや廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源から得られるエタノールが挙げられる。
本実施形態における分子状酸素としては、分子状酸素を含むガスを好適に用いることができる。分子状酸素を含むガスは、通常、空気を用いるが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガス、又は、空気とヘリウム、窒素等の不活性ガスを混合するなどして酸素濃度を低めたガスを用いることもできる。
原料ガスと分子状酸素を含むガスとの混合後のガス(以下、「原料混合ガス」ともいう。)中のn−ブテン濃度は、ブタジエンの生産性の観点から、例えば、該混合ガス100体積%に対して、2体積%以上であることが好ましく、触媒への負荷を抑える観点から、30体積%以下であることが好ましい。また、原料混合ガス中のn−ブテン濃度は、反応器の容量当たりのブタジエン製造能力を高くする効果の観点から、3体積%以上であることがより好ましく、反応生成物の蓄積やコークの析出を抑制し触媒寿命を長くする効果の観点から、25体積%以下であることがより好ましい。
原料混合ガスは、原料ガスと分子状酸素を含むガス以外に、例えば、パラフィン、水、スチーム、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等を含んでいてもよい。パラフィンとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンを挙げることができる。また、ブタジエンを含むガス(反応生成ガスとも言う)から目的生成物であるブタジエンを分離した後、未反応のn−ブテンを含む反応生成ガスの少なくとも一部を、原料ガスとしてリサイクルすることもできる。
n−ブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンの製造には、例えば、流動層反応器、固定層反応器、移動層反応器等を採用することができる。中でも、触媒の抜出や追添が容易なことから、流動層反応器が好ましい。
流動層反応器は、反応器とその中に設けられるガス分散器、流動状態を良好に維持するための内挿物及びサイクロンとをその主要構成要素として有し、予め反応器内に収容した触媒を気流によって流動させつつ、触媒と原料であるガスとを接触させる構造である。流動層反応器としては、流動層ハンドブック(株式会社培風館刊、1999年)等に記載の流動層反応器であれば使用可能であるが、気泡流動層方式の反応器を好適に使用することができる。発生する反応熱の除熱は、反応器に内挿した冷却管を用いて行うことができる。冷却管は反応器内の濃厚層及び希薄層に配置され、目的の温度を実現するために操作される。上記濃厚層とは、触媒の濃度が高い層を表し、上記希薄層とは、触媒の濃度が低い層を意味する。
ブタジエンを含む第一のガスは、触媒の存在下、n−ブテンを含む原料ガスと分子状酸素を含むガスとを反応器に供給し、酸化脱水素反応によって生成される。以下、該酸化脱水素反応の条件について説明する。
反応器内の原料混合ガスにおける分子状酸素のモル比は、n−ブテンに対して、0.5以上であるとn−ブテンの反応性が向上する傾向にあり、1.5以下であると生成したブタジエンの分解反応が抑制できる傾向にあることから、0.5〜1.5とすることが好ましく、0.6〜1.3とすることがより好ましい。
n−ブテンを含む原料ガスと分子状酸素を含むガスとの導入方法は、反応に供する原料混合ガスが上記の比率となるような導入方法であれば、特に限定されない。導入方法としては、例えば、触媒を充填した反応器へ、n−ブテンを含む原料ガスと、分子状酸素を含むガスとを予め混合して導入する方法や、n−ブテンを含む原料ガスと分子状酸素を含むガスとをそれぞれ独立して導入する方法が挙げられる。反応に供するガスは、反応器に導入した後に所定の反応温度に昇温してもよいが、連続して効率的に反応させるために、予熱して反応器に導入することもできる。また、常温(5〜35℃)で液状のn−ブテンは、スチームや電熱コイル等の加熱部を有するガス化装置を用いてガス化した後、反応に供することが好ましい。
反応に流動層反応器を用いる場合、流動層反応器の濃厚層の温度は、濃厚層の温度を維持し易く、n−ブテンの転化率を保って、安定に運転を継続できることから、下限値を320℃以上にすることが好ましく、生成したブタジエンの燃焼分解を抑制することができることから、上限値を400℃以下にすることが好ましい。また、希薄層の温度は、濃厚層の温度に対して−50〜20℃で制御するのが好ましい。ブタジエンの製造反応は発熱反応であるので、流動層反応器の濃厚層及び希薄層の温度を上記の範囲となるように、冷却管による反応熱の除去、又は、加熱装置による給熱、供給する原料ガスの余熱等により温度を制御する。
反応圧力は、0.01〜0.4MPaGであることが好ましく、0.02〜0.3MPaGであることがより好ましく、0.03〜0.2MPaGであることがさらに好ましい。原料混合ガスと触媒との接触時間は、0.3〜20g・秒/ccであることが好ましく、0.6〜10g・秒/ccであることがより好ましい。ここで言う接触時間は次の式で定義される。
上記式中、Wは充填触媒量(g)、Fは原料混合ガス流量(cc/分,NTP換算)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPaG)を意味する。
触媒と原料混合ガスとが反応器内で接触することにより、n−ブテンからブタジエンが生成し、生成したブタジエンを含む第一のガスは、反応器出口から流出する。反応器出口における第一のガス中の酸素濃度は、反応器内における触媒の還元及び目的生成物の分解を防止し、安定にブタジエンを製造する観点から、0.01〜3.0容量%に維持することが好ましく、0.05〜2.5容量%に維持することがより好ましい。上記酸素濃度は、熱伝導型検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフィーやガルバニ電池式酸素濃度計で測定することができる。
酸化脱水素反応に用いる触媒は、金属を含む酸化物を担体に担持した触媒であれば特に制限されず、かかる金属としては、例えば、モリブテン(Mo)、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、マグネシウム(Mg)、セシウム(Ce)等が好ましく、中でも、Mo、Bi及びFeがより好ましい。金属の組成は合目的な酸化物を形成するように調節されており、酸化物中の格子酸素によって、n−ブテンからブタジエンの酸化脱水素反応が行われると考えられる。
担体は、担体と酸化物との合計に対して30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲で有効に用いることができる。担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等が挙げられ、シリカがより好ましい。シリカは、他の担体に比べ不活性な担体であり、目的生成物に対する触媒の活性や選択性を低下させることなく、触媒と良好な結合作用を有する。さらに、シリカは、酸化物を担持することによって、粒子形状・大きさ・分布、流動性、機械的強度といった、流動層反応に好適な物理的特性を付与することできる。
(ブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程)
本実施形態の製造方法は、n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程で得られた、ブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程を含むことが好ましい。該急冷工程において、ブタジエンを含む第一のガスは急冷塔に塔底から送入され、急冷塔内を上昇するが、急冷塔内には急冷液が噴霧されているので、ブタジエンを含む第一のガスは急冷液に接触して、冷却・洗浄され、塔頂から留出し、次の工程へ送られる。
本実施形態の製造方法は、n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程で得られた、ブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程を含むことが好ましい。該急冷工程において、ブタジエンを含む第一のガスは急冷塔に塔底から送入され、急冷塔内を上昇するが、急冷塔内には急冷液が噴霧されているので、ブタジエンを含む第一のガスは急冷液に接触して、冷却・洗浄され、塔頂から留出し、次の工程へ送られる。
急冷塔は、ブタジエンを含む第一のガスに急冷剤を効率よく接触させる観点から、内部に2つ以上の区画を有する多段急冷塔が好ましく、3段以上の区画を有する多段急冷塔がより好ましい。急冷塔内では、各区画において抜出した急冷剤が抜出位置より上部に循環液として噴霧し、ブタジエンを含む第一のガスの冷却と副生成物の除去とを行った後、各区画の抜出液となる。一方、急冷塔の塔頂から流出するブタジエンを含む第一のガスは次の工程へ送られる。上記急冷塔の出口ガス温度は70℃以下に制御され、5〜60℃の範囲に制御されるのが好ましい。
急冷塔は、反応器と圧力調整をせずに繋がっており、反応器の圧力とほぼ等しくなる。したがって、反応器の圧力を適正化するため、急冷塔の圧力は、0.01〜0.4MPaGであることが好ましく、0.02〜0.3MPaGであることがより好ましく、0.03〜0.2MPaGであることがさらに好ましい。
急冷液には、水溶液及び有機溶剤を用いることができる。急冷液に水溶液を用いる場合、急冷塔の缶部の上方区画の抜出液のpHは、反応生成ガス中に含まれる酸性不純物の除去や安定運転の観点から、7〜12に制御することが好ましい。このとき、急冷塔の循環液にIA族及びIIA族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物を含む水溶液を添加することによって、抜出液のpHを7〜12にコントロールできる。
抜出液のpHを7〜12にコントロールする方法としては、急冷塔の缶部の上方区画の上部に設けられた区画段の循環液のpHを7.2〜10に、好ましくは7.5〜9に制御する方法が挙げられる。上記循環液のpHを制御するために添加する水溶液に含まれる、IA族及びIIA族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物が好ましく、ナトリウムの水酸化物がより好ましい。
抜出液のpHを7〜12にコントロールする方法としては、急冷塔の缶部の上方区画の上部に設けられた区画段の循環液のpHを7.2〜10に、好ましくは7.5〜9に制御する方法が挙げられる。上記循環液のpHを制御するために添加する水溶液に含まれる、IA族及びIIA族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物が好ましく、ナトリウムの水酸化物がより好ましい。
急冷液に水溶液を用いる場合、かかる水溶液として、含窒素化合物の水溶液もまた用いることができる。含窒素化合物の水溶液としては、排出された廃水溶液をそのまま焼却処理することができる利点から、有機アミンの水溶液を用いることが好ましい。上記水溶液に用いられる有機アミンとしては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、ピリジン、アニリン、ピラゾール、ピリミジン、ヒドラジン等が挙げられる。中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
急冷液に有機溶剤を用いる場合、脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶剤を用いることができる。脂肪族及び/又は芳香族炭化水素溶剤としては、例えば、C6以上の飽和炭化水素、C6以上の無置換、及びアルキル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。C6以上の飽和炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン及びその構造異性体を好適に用いることができる。芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、プソイドクメンを用いることが好ましく、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼンを、単独又は混合物として用いることがより好ましい。
急冷液は、上述した急冷液を複数組み合わせて使用してもよく、例えば、急冷液として、有機アミン水溶液及び芳香族溶剤を組み合わせて使用してもよい。また、水を急冷液として急冷塔の各区画独立に用いて急冷を行ってもよい。
(ブタジエンを含む第一のガスを吸収させる吸収工程)
本実施の形態の製造方法は、ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程を含む。ブタジエンを含む第一のガスを好適な溶剤に吸収させることで、ブタジエンを含む第一のガスに含まれていた不活性ガスが除去される。上記ブタジエンを含む第一のガスは、ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程の後の第一のガスであっても、ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程に続くブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程の後の第一のガスであってもよい。
本実施の形態の製造方法は、ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程を含む。ブタジエンを含む第一のガスを好適な溶剤に吸収させることで、ブタジエンを含む第一のガスに含まれていた不活性ガスが除去される。上記ブタジエンを含む第一のガスは、ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程の後の第一のガスであっても、ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程に続くブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程の後の第一のガスであってもよい。
ブタジエンを含む第一のガスを吸収させる溶剤(以下、「吸収溶剤」とも記す。)としては、例えば、直鎖又は環状炭化水素や、芳香族炭化水素を好適に挙げることができる。このような溶媒の具体例としては、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、オクテン、ノネン、トルエン、エチルベンゼン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、クメン、ビニルシクロヘキセン、フルフラール、トリメチルベンゼン等が挙げられる。これらの中で、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、トルエン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンが好ましい。
ブタジエンを含む第一のガスを吸収させる吸収工程では、例えば、ブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程後、又は、ブタジエンを含む第一のガスを急冷塔で冷却する急冷工程でブタジエンを含む第一のガスを冷却した後に、該第一のガスを吸収塔の塔底に導入し、吸収溶剤と吸収塔内で向流接触させてブタジエンを含む第一のガスを吸収溶剤に吸収させ、塔頂から該吸収溶剤に吸収されなかったガス(主として不活性ガス)を除去する。上記吸収工程は、ブタジエンを含む第一のガスを圧縮し、冷却した後に行ってもよい。
吸収溶剤は、吸収溶剤中に含まれるC4成分の濃度が、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%になるように供給する。吸収溶剤は、吸収塔の塔頂に導入される。吸収塔は、好ましくは0.01〜1.5MPaG、より好ましくは0.02〜1.0MPaGの圧力で、好ましくは5〜60℃、より好ましくは10〜50℃の温度で操作される。
吸収塔としては、充填塔、棚段塔などの塔を用いることができる。
吸収塔内の吸収溶剤は、第一のガスの吸収効率をより高める観点から、該吸収溶剤の一部を冷却器により冷却することによって吸収塔内部の発熱を抑制することが好ましい。
吸収塔の塔底から抜出したブタジエンを含む吸収溶剤は、次の、ブタジエンを含む第二のガスを放散させる放散工程へ導入される。
(ブタジエンを含む第二のガスを放散させる放散工程)
本実施の形態の製造方法は、前記ブタジエンを含む第一のガスを吸収させる吸収工程の後、放散工程を有する。放散工程では、ブタジエンを含む吸収溶剤から、ブタジエンを含むガス成分をガス化させて第二のガスを得、吸収溶剤の分離回収を行う。放散塔としては、充填塔、棚段塔を用いることができる。ブタジエンを含む吸収溶剤は、放散塔の中段に導入されるのが好ましい。
本実施の形態の製造方法は、前記ブタジエンを含む第一のガスを吸収させる吸収工程の後、放散工程を有する。放散工程では、ブタジエンを含む吸収溶剤から、ブタジエンを含むガス成分をガス化させて第二のガスを得、吸収溶剤の分離回収を行う。放散塔としては、充填塔、棚段塔を用いることができる。ブタジエンを含む吸収溶剤は、放散塔の中段に導入されるのが好ましい。
図1は、本実施形態のブタジエンの製造方法に使用される放散塔の一例を示す。ブタジエン含有吸収溶剤2が吸収塔から放散塔1に供給される。その後、放散塔上部からブタジエンを含む第二のガス3が次工程に供給され、放散塔下部から抜き出された吸収溶剤5が前工程の吸収塔に供給される。また、吸収溶剤2が放散塔に供給される位置より上に、濃縮部が存在する。放散塔の濃縮部には、抜出配管4が設置されている。
放散塔の濃縮部における吸収溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度が、1.0重量%よりも高い濃度に濃縮されると放散塔内の液相及び又は気相において重合性のアルデヒドの重合反応が進行しやすく、生成した重合物が放散塔を閉塞させ運転を継続できなくなることがあるため、1.0重量%以下に維持するのが好ましく、0.8重量%以下に維持するのがより好ましい。
放散塔の塔頂部の温度は、10℃以上とすることで重合性のアルデヒドを十分に放散させ、90℃以下にすることで吸収溶剤の放散を抑制することから、10〜90℃であることが好ましく、12〜80℃であるであることがより好ましい。放散塔の塔底温度は、100〜200℃であることが好ましく、110〜190℃であることがより好ましい。放散塔は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.03〜0.5MPaGの圧力で操作される。
放散塔の濃縮部には、抜出配管を設置し、重合性のアルデヒドを含む吸収溶剤を抜き出すことができる。抜き出した重合性のアルデヒドを含む吸収溶剤は、例えば、そのまま除去することや、急冷塔の下段に供給し急冷液として再使用することができる。抜き出した重合性のアルデヒドを含む吸収溶剤は、除去するとロスになってしまい、また、急冷塔の下段に戻せば前記アミン等を含む急冷液により重合性のアルデヒドが除去され、放散塔へ重合性のアルデヒドが入ることを抑制できるため、急冷液として再使用することが好ましい。
重合性のアルデヒドは、アクロレイン及び又はメタクロレインが挙げられる。また、重合物には、一部ブタジエンが含まれていると推測される。
重合性のアルデヒドは、アクロレイン及び又はメタクロレインが挙げられる。また、重合物には、一部ブタジエンが含まれていると推測される。
ブタジエンを含む第二のガスは放散塔の塔頂から回収され、塔底からはブタジエンをほとんど含まない吸収溶剤が抜出される。抜き出された吸収溶剤は、引き続き利用可能であるので、吸収塔の塔頂に供給されるのが好ましい。長時間の使用により吸収溶剤に反応生成ガスから除かれた高沸点成分、汚れやタールなどが蓄積する場合、連続的又は断続的に吸収溶剤の精製を行うことが好ましい。また、汚れやタールの生成を防ぐ観点から、吸収溶剤に予め重合防止剤を添加することが好ましい。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、ビスフェノールA等が挙げられる。吸収溶剤中の重合防止剤の濃度は、5〜5,000ppmであることが好ましく、10〜1,000ppmであることがより好ましい。
放散塔から放散した第二のガスは、公知の技術、例えば、特許第5687800号に記載の方法によって高純度ブタジエンとすることができる。具体的には、放散塔から放散したガスを圧縮し液化ガスとした後に、前記液化ガスを水で洗浄する抽出塔、前記液化ガスから水を除去する蒸留塔、前記液化ガスから高沸成分を除去する蒸留塔、ブタジエン以外のC4成分を除去する吸収塔、高純度のブタジエンを回収する放散塔を設置することが好ましい。このとき、上記高純度ブタジエンは、純度98.0%以上、好ましくは99.0%以上に精製されることが好ましい。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例中の用語、並びに特性の測定方法は以下のとおりである。
(反応成績)
実施例及び比較例において、反応成績を表すために用いたn−ブテン転化率、1,3−ブタジエン選択率及び収率は次式で定義した。
実施例及び比較例において、反応成績を表すために用いたn−ブテン転化率、1,3−ブタジエン選択率及び収率は次式で定義した。
(反応装置)
流動層反応方式の反応装置として、管径3インチ・高さ950mmのSUS304製流動層反応器を用いた。分子状酸素を含むガスは、反応器底部から供給し、n−ブテンを含む原料ガスは、反応器底部から150mm上方に位置するノズルから供給した。
流動層反応方式の反応装置として、管径3インチ・高さ950mmのSUS304製流動層反応器を用いた。分子状酸素を含むガスは、反応器底部から供給し、n−ブテンを含む原料ガスは、反応器底部から150mm上方に位置するノズルから供給した。
(n−ブテンを含む原料ガス)
n−ブテンを含む原料ガスとして、BBSS又はn−ブテンを用いた。
BBSSは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=41.30:17.70:13.50:5.60:16.10:4.70:1.10であった。
イソブテン濃度を高めたBBSSは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=40.16:17.21:13.13:8.20:15.66:4.57:1.07であった。
n−ブテンは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=98.00:0.05:0.05:0.85:0.99:0.03:0.03であった。
n−ブテンを含む原料ガスとして、BBSS又はn−ブテンを用いた。
BBSSは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=41.30:17.70:13.50:5.60:16.10:4.70:1.10であった。
イソブテン濃度を高めたBBSSは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=40.16:17.21:13.13:8.20:15.66:4.57:1.07であった。
n−ブテンは、C4成分組成のモル比が、1−ブテン:2−トランス−ブテン:2−シス−ブテン:イソブテン:n−ブタン:イソブタン:ブタジエン=98.00:0.05:0.05:0.85:0.99:0.03:0.03であった。
(分子状酸素を含むガス)
分子状酸素を含むガスとして、空気を窒素で希釈して用いた。
n−ブテン/酸素のモル比は、0.4〜2.5とした。n−ブテンを含む原料ガスと分子状酸素を含むガスの総流量は、920NL/時間(NTP換算)で反応装置に供給した。
分子状酸素を含むガスとして、空気を窒素で希釈して用いた。
n−ブテン/酸素のモル比は、0.4〜2.5とした。n−ブテンを含む原料ガスと分子状酸素を含むガスの総流量は、920NL/時間(NTP換算)で反応装置に供給した。
(反応条件)
反応温度Tを340〜390℃、反応圧力Pを0.05MPaG、触媒充填重量Wを1580〜1980gとする条件で反応を行った。
反応温度Tを340〜390℃、反応圧力Pを0.05MPaG、触媒充填重量Wを1580〜1980gとする条件で反応を行った。
(接触時間)
接触時間は次式で定義した。
接触時間は次式で定義した。
(式中、Wは触媒充填量(g)、Fは原料混合ガス流量(NL/時間、NTP換算)、Tは反応温度(℃)、Pは反応圧力(MPaG)を表す)
(ブタジエンを含む第一のガス分析)
ブタジエンを含む第一のガス分析は、流動層反応器に直結させたガスクロマトグラフィー[GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(アジレントJ&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD(熱伝導型検出器)・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃]を用いて行った。
ブタジエンを含む第一のガス分析は、流動層反応器に直結させたガスクロマトグラフィー[GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:HP−ALS(アジレントJ&W製)、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:ガス注入後、100℃で8分間保持した後、10℃/分で195℃になるまで昇温し、その後195℃で40分間保持、TCD(熱伝導型検出器)・FID(水素炎イオン検出器)設定温度:250℃]を用いて行った。
(放散塔濃縮部のサンプリング)
放散塔濃縮部から抜出配管を通じて吸収溶剤を耐圧密閉容器にサンプリングし、重合性のアルデヒドの濃度を分析した。抜出配管は、放散塔の底から2200mmの位置に設置した。
放散塔濃縮部から抜出配管を通じて吸収溶剤を耐圧密閉容器にサンプリングし、重合性のアルデヒドの濃度を分析した。抜出配管は、放散塔の底から2200mmの位置に設置した。
(重合性のアルデヒドの濃度の分析)
アクロレイン、メタクロレインの分析は、ガスクロマトグラフィー[GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:CPVolamine(VARIAN製)、キャリアガス:窒素、カラム温度:ガス注入後、45℃で10分間保持した後、5℃/分で110℃になるまで昇温し、その後110℃で15分間保持し、10℃/分で300℃になるまで昇温し、その後300℃で25分間保持し、FID(水素炎イオン検出器)設定温度:300℃]を用いて行った。
アクロレイン、メタクロレインの分析は、ガスクロマトグラフィー[GC−2010(島津製作所製)、分析カラム:CPVolamine(VARIAN製)、キャリアガス:窒素、カラム温度:ガス注入後、45℃で10分間保持した後、5℃/分で110℃になるまで昇温し、その後110℃で15分間保持し、10℃/分で300℃になるまで昇温し、その後300℃で25分間保持し、FID(水素炎イオン検出器)設定温度:300℃]を用いて行った。
[実施例1]
(a)触媒
金属の組成(原子比)が、Mo:Bi:Fe:Ni:K:Rb:Mg:Ce=12:0.60:1.8:5.0:0.09:0.05:2.0:0.75である酸化物を、触媒全量に対して50重量%のシリカに担持した触媒を使用した。
(a)触媒
金属の組成(原子比)が、Mo:Bi:Fe:Ni:K:Rb:Mg:Ce=12:0.60:1.8:5.0:0.09:0.05:2.0:0.75である酸化物を、触媒全量に対して50重量%のシリカに担持した触媒を使用した。
(b)反応工程
上記(a)触媒1980gを、流動層反応器に入れた。原料ガスはBBSSとし、その流量を75NL/時間とした。また酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を228NL/時間、窒素の流量を617NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給し、反応温度Tを360℃、反応圧力Pを0.05MPaGとする条件で反応を行って反応生成ガスを得た。この時、触媒との接触時間は、5.0(g・秒/cc)であった。
上記(a)触媒1980gを、流動層反応器に入れた。原料ガスはBBSSとし、その流量を75NL/時間とした。また酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を228NL/時間、窒素の流量を617NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給し、反応温度Tを360℃、反応圧力Pを0.05MPaGとする条件で反応を行って反応生成ガスを得た。この時、触媒との接触時間は、5.0(g・秒/cc)であった。
反応生成ガスの分析は、反応器及び急冷塔に直結させたガスクロマトグラフィーで上述のとおりに行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が95.9%、ブタジエンの選択率が82.8%、ブタジエン収率が79.4%であった。
(c)急冷工程
上記(b)の工程で得られた反応生成ガスを、急冷塔(ボトム(管径200mm、高さ300mm)の上部に急冷部(管径100mm、高さ1000mm)を有するSUS304製)の下段に導入した。該急冷塔の上段に5重量%のモノエタノールアミン水溶液を急冷剤として100L/時間で噴霧し、中段と下段には、トルエンを100L/時間でそれぞれ噴霧した。該急冷塔の塔頂から排出ガスを得た。この時、急冷塔の塔頂からの排出ガス温度は50℃であった。
上記(b)の工程で得られた反応生成ガスを、急冷塔(ボトム(管径200mm、高さ300mm)の上部に急冷部(管径100mm、高さ1000mm)を有するSUS304製)の下段に導入した。該急冷塔の上段に5重量%のモノエタノールアミン水溶液を急冷剤として100L/時間で噴霧し、中段と下段には、トルエンを100L/時間でそれぞれ噴霧した。該急冷塔の塔頂から排出ガスを得た。この時、急冷塔の塔頂からの排出ガス温度は50℃であった。
(d)吸収工程
(c)の工程で得られた排出ガスを、熱交換器を通して25℃に制御した。25℃に制御したガスを、管径2.5インチ、高さ3300mmで、その内径に5mmφ×5mmのラシヒリングを充填したSUS304製吸収塔の下段に導入した。この塔の上段には10℃に冷却した、吸収溶剤であるトルエンを5kg/時間で供給し、向流接触させ、ブタジエンを吸収させた。このブタジエンを吸収した30℃のトルエンを塔底から抜出した。
(c)の工程で得られた排出ガスを、熱交換器を通して25℃に制御した。25℃に制御したガスを、管径2.5インチ、高さ3300mmで、その内径に5mmφ×5mmのラシヒリングを充填したSUS304製吸収塔の下段に導入した。この塔の上段には10℃に冷却した、吸収溶剤であるトルエンを5kg/時間で供給し、向流接触させ、ブタジエンを吸収させた。このブタジエンを吸収した30℃のトルエンを塔底から抜出した。
(e)放散工程
(d)の工程で得られたブタジエンを含むトルエンを、52段のトレイを有する管径2.5インチ、高さ3000mmのSUS304製放散塔の底から1800mmの位置に導入した。放散塔は、圧力0.40MPaG、塔底液温度は180℃、塔頂のガス温度は45℃になるように運転した。塔底からブタジエンを含まないトルエンを5.0kg/時間で抜出し、(d)の工程の吸収溶剤として吸収塔の上段に供給した。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.10重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
(d)の工程で得られたブタジエンを含むトルエンを、52段のトレイを有する管径2.5インチ、高さ3000mmのSUS304製放散塔の底から1800mmの位置に導入した。放散塔は、圧力0.40MPaG、塔底液温度は180℃、塔頂のガス温度は45℃になるように運転した。塔底からブタジエンを含まないトルエンを5.0kg/時間で抜出し、(d)の工程の吸収溶剤として吸収塔の上段に供給した。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.10重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例2]
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を20℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.88重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を20℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.88重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例3]
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を65℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.01重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を65℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.01重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例4]
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を10℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.92重量%であり、アクロレイン濃度は0.02重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を10℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.92重量%であり、アクロレイン濃度は0.02重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例5]
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を20℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.23重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を20℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.23重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例6]
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を50℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.06重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaG、塔底液温度を127℃、塔頂のガス温度を50℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.06重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例7]
上記(e)の放散塔における圧力を0.60MPaG、塔底液温度を197℃、塔頂のガス温度を90℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.03重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における圧力を0.60MPaG、塔底液温度を197℃、塔頂のガス温度を90℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.03重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例8]
上記(b)の反応工程におけるBBSSの流量を152NL/時間とし、酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を462NL/時間、窒素の流量を306NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が93.2%、ブタジエンの選択率が82.6%、ブタジエン収率が77.0%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.14重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(b)の反応工程におけるBBSSの流量を152NL/時間とし、酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を462NL/時間、窒素の流量を306NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が93.2%、ブタジエンの選択率が82.6%、ブタジエン収率が77.0%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.14重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例9]
上記(b)の反応工程における原料ガスをn−ブテンとし、その流量を75NL/時間とし、酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を225NL/時間、窒素の流量を620NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が98.5%、ブタジエンの選択率が88.0%、ブタジエン収率が86.7%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.02重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(b)の反応工程における原料ガスをn−ブテンとし、その流量を75NL/時間とし、酸素含有ガスは空気と窒素との混合物とし、空気の流量を225NL/時間、窒素の流量を620NL/時間(総流量F=920NL/時間)で供給した以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が98.5%、ブタジエンの選択率が88.0%、ブタジエン収率が86.7%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.02重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例10]
上記(b)の反応工程における原料ガスをイソブテンの濃度を高めたBBSSとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が90.6%、ブタジエンの選択率が81.0%、ブタジエン収率が73.4%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.23重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(b)の反応工程における原料ガスをイソブテンの濃度を高めたBBSSとした以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から300時間後の反応成績は、n−ブテンの転化率が90.6%、ブタジエンの選択率が81.0%、ブタジエン収率が73.4%であった。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.23重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例11]
上記(d)の吸収工程の吸収溶剤をm−キシレンとし、放散塔の塔底温度を140℃にした以外は、実施例5と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるm−キシレン中のメタクロレイン濃度は0.26重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(d)の吸収工程の吸収溶剤をm−キシレンとし、放散塔の塔底温度を140℃にした以外は、実施例5と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるm−キシレン中のメタクロレイン濃度は0.26重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[実施例12]
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃とし、放散塔の濃縮部で抜き出した液の重合性アルデヒド濃度が0.90%以上になると吸収溶剤を1kg/時間で抜き出して急冷塔の下段に送液を開始し、該重合性アルデヒド濃度が0.70%以下になると急冷塔の下段への送液を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.88重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃とし、放散塔の濃縮部で抜き出した液の重合性アルデヒド濃度が0.90%以上になると吸収溶剤を1kg/時間で抜き出して急冷塔の下段に送液を開始し、該重合性アルデヒド濃度が0.70%以下になると急冷塔の下段への送液を停止した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
300時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は0.88重量%であり、アクロレイン濃度は0.01重量%であり、放散塔の閉塞はなかった。
[比較例1]
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
150時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.22重量%であり、アクロレイン濃度は0.04重量%であり、180時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
150時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.22重量%であり、アクロレイン濃度は0.04重量%であり、180時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
[比較例2]
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaGとし、放散塔における塔頂のガス温度を5℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
200時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.00重量%であり、アクロレイン濃度は0.03重量%であり、210時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
上記(e)の放散塔における圧力を0.05MPaGとし、放散塔における塔頂のガス温度を5℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
200時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.00重量%であり、アクロレイン濃度は0.03重量%であり、210時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
[比較例3]
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃にした以外は、実施例10と同様の操作を行った。
120時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.47重量%であり、アクロレイン濃度は0.05重量%であり、140時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
上記(e)の放散塔における塔頂のガス温度を5℃にした以外は、実施例10と同様の操作を行った。
120時間後の放散塔の濃縮部におけるトルエン中のメタクロレイン濃度は1.47重量%であり、アクロレイン濃度は0.05重量%であり、140時間で放散塔の閉塞により運転を停止した。
1:放散塔、2:ブタジエンを含む吸収溶剤、3:ブタジエンを含む第二のガス、4:抜出配管、5:吸収溶剤
Claims (4)
- n−ブテンと分子状酸素とを反応させてブタジエンを含む第一のガスを生成する反応工程、
前記ブタジエンを含む第一のガスの一部または全部を吸収塔で溶剤に吸収させる吸収工程、及び、
前記第一のガスを吸収させた溶剤からブタジエンを含む第二のガスを放散塔で放散させる放散工程
を含み、前記放散塔の濃縮部における、前記溶剤中の重合性のアルデヒドの濃度を1.0重量%以下に維持するブタジエンの製造方法。 - 前記放散工程において、圧力が0.01〜0.6MPaGであり、かつ塔頂温度が10〜90℃である、請求項1に記載のブタジエンの製造方法。
- 前記放散工程において、重合性のアルデヒドを含む溶剤を放散塔の中段から抜き出す、請求項1又は2に記載のブタジエンの製造方法。
- 前記放散工程において、重合性のアルデヒドが、アクロレイン及び又はメタクロレインである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブタジエンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016114122A JP2017218414A (ja) | 2016-06-08 | 2016-06-08 | ブタジエンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016114122A JP2017218414A (ja) | 2016-06-08 | 2016-06-08 | ブタジエンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017218414A true JP2017218414A (ja) | 2017-12-14 |
Family
ID=60656687
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016114122A Pending JP2017218414A (ja) | 2016-06-08 | 2016-06-08 | ブタジエンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017218414A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60115532A (ja) * | 1983-11-25 | 1985-06-22 | Nippon Zeon Co Ltd | ブタジエンの製造方法 |
JPS60193931A (ja) * | 1984-03-13 | 1985-10-02 | Nippon Zeon Co Ltd | ブタジエンの回収法 |
JP2010090083A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Mitsubishi Chemicals Corp | 共役ジエンの製造方法 |
JP2012082153A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ブタジエンの製造プロセス |
JP2019501938A (ja) * | 2016-01-13 | 2019-01-24 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | 酸化的脱水素化によるn−ブテンからの1,3−ブタジエンの製造方法 |
-
2016
- 2016-06-08 JP JP2016114122A patent/JP2017218414A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60115532A (ja) * | 1983-11-25 | 1985-06-22 | Nippon Zeon Co Ltd | ブタジエンの製造方法 |
JPS60193931A (ja) * | 1984-03-13 | 1985-10-02 | Nippon Zeon Co Ltd | ブタジエンの回収法 |
JP2010090083A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Mitsubishi Chemicals Corp | 共役ジエンの製造方法 |
JP2012082153A (ja) * | 2010-10-08 | 2012-04-26 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ブタジエンの製造プロセス |
JP2019501938A (ja) * | 2016-01-13 | 2019-01-24 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | 酸化的脱水素化によるn−ブテンからの1,3−ブタジエンの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5687800B2 (ja) | 共役ジオレフィンの製造方法 | |
US10052608B2 (en) | Low emissions oxidative dehydrogenation apparatus for producing butadiene | |
US9255041B2 (en) | Method for producing conjugated diolefin and apparatus for production | |
JP5714857B2 (ja) | ブタジエンの製造方法 | |
JP5994726B2 (ja) | 共役ジエンの製造方法 | |
JP2017533931A (ja) | n−ブテン類の脱水素化によって、ブタンおよび2−ブテンを含む物質流を提供しながら1,3−ブタジエンを製造するための方法 | |
EA029784B1 (ru) | СПОСОБ ОКИСЛИТЕЛЬНОГО ДЕГИДРИРОВАНИЯ н-БУТЕНОВ В БУТАДИЕН | |
CN105712816B (zh) | 用于从甲醇生产丙烯的设备和方法 | |
JP5717393B2 (ja) | ブタジエンの製造プロセス | |
JP6070825B2 (ja) | 1,3−ブタジエンの製造方法 | |
KR20130046259A (ko) | 부텐의 산화탈수소 반응을 통한 부타디엔의 증산 방법 및 이에 사용되는 장치 | |
JP5933600B2 (ja) | ブテンおよび/またはブタジエンを含む物質流を後処理する方法 | |
JP6764719B2 (ja) | ブタジエンの製造方法 | |
JP2017218414A (ja) | ブタジエンの製造方法 | |
CN105121391B (zh) | 用于从含氧物制备烯烃的方法和设备 | |
JP6893806B2 (ja) | ブタジエンの製造方法 | |
WO2014168051A1 (ja) | 1,3-ブタジエンの製造方法 | |
JP2019151604A (ja) | 1,3−ブタジエンの製造方法 | |
US11230513B2 (en) | Production process of 1,3-butadiene | |
US20230062963A1 (en) | Method of producing 1,3-butadiene | |
TWI430986B (zh) | Preparation of conjugated diolefins | |
JP2017149700A (ja) | ブタジエンの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190412 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200318 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200929 |