JP6711778B2 - 加工茶葉の製造方法 - Google Patents

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本願発明は、加工茶葉及びその製造方法にかかり、特にティーサーバーでのドリップ抽出用、ティーバッグ用に好適な、今までに無い形態の加工茶葉及びその製造方法、並びに抽出性向上方法に関するものである。
茶は、古来より世界中で親しまれている飲料であって、我国においても、最もポピュラーな嗜好性飲料の一つに挙げられる。
また、茶は、その製法によって発酵茶、半発酵茶、不発酵茶等に分類される他、提供される茶葉の形態についても、団茶や餅茶といった固形状の緊圧茶や、ばらばらの状態の所謂散茶、または更にこれを粉末にしたもの等が存在する。
また、これら茶葉から茶を抽出する方法についても様々に変遷してきた。
例えば、古来の中国や日本では粉末茶を茶碗で立てる「抹茶」が一般的であって、この形態は現在も茶道として残っている。
また、散茶の形態に代わった後も、鍋や薬缶で直接茶を煮出して飲用する形態や、茶碗に直接茶葉と湯を入れて飲用する形態もあった。
現在の急須の形態は古くから広まっているが、更に昨今ではペットボトル入り緑茶飲料が広く流通し、いつでもどこでも飲める利点をいかしてから、緑茶飲料の飲用人口は大幅に増大した。
煎茶に代表される緑茶は、急須に所定量の茶葉を入れ、そこに湯水を注いで一定時間浸漬し、茶葉中の成分を抽出する手法が従来一般的であって、一煎目で茶殻を捨ててしまうことは少なく、二煎目、三煎目と複数回繰り返して抽出することで香味の変化を愉しむものである。
しかしながら、急須の場合、おいしいお茶を淹れる為には、茶葉の量や、注ぐ湯の量、抽出時間といった事項を、細かく調整する必要があり、複雑な手順と技量が必要であった。
また、急須で淹れる場合は、茶殻を捨てる手間や、急須をすすぐ等の手間がかかる等の問題もあり、淹れる手順の複雑さに加え、急須離れの一因となっており、最近では既に急須を持っていないという家庭も多くなった。
また、会社オフィス等においては、共用の急須や、やかんで複数人分のお茶を作り、これを分配して飲用するスタイルが珍しくなかったが、昨今は個々人が飲みたい時に飲みたいものを飲むというスタイルが一般的であって、ペットボトル飲料を購入、若しくはマイボトルに好みの飲料を入れて持参するといった人も増えてきている。
一方、小規模オフィス等を中心に、小型のコーヒーサーバーを設置する事例も増えている。
コーヒーサーバーの場合も、当然ながら、コーヒー殻を捨てるという手間を要するにもかかわらず、このようなコーヒーサーバーの設置例が増えている背景には、提供メーカがサーバーマシン自体を無償貸与し、補充用の豆や、カートリッジを有償化するというビジネスモデルが採用されていることもあるが、なにより提供されるコーヒーの品質が、ショップコーヒーと比較しても大きな遜色がなく、ボタン一つでこれを淹れられることにあると思われる。
従って、同じような形態のティーサーバーについても、当然に消費者ニーズは存在すると考えられるものの、現実にはコーヒーサーバーと比較して、普及しているとは言い難い。
なお、コーヒーサーバーと同じような形態で緑茶を提供することができるティーバーも一部に存在するが、多くは茶葉の代わりに、緑茶抽出エキスを含む液体ポーションタイプの緑茶用カートリッジを採用していることが多く、カートリッジ製造時においてエキス化等の特別な工程が必要であるため、製造コスト上の問題が生じる。
また、ティーサーバーの場合、注がれる湯が熱湯であり、一般的に細かい温度調整や、抽出時間の調整は行われないことから、通常流通している形態の茶葉を、抽出用のカートリッジにそのまま用いた場合、茶葉が拡がりきる前に抽出処理が完了してしまい、旨味成分等が十分に抽出されきらず、結果、得られた飲料の味が淡白で物足りないものになるという問題も存在していた。
さらに、抽出を早めるために、一般的な深蒸し茶を用いたり、若しくは茶葉を粉砕等で細かくすることで対応した場合には、抽出時間は早まるものの、抽出用のフィルターの目詰まりや過抽出の要因ともなり得るという別途の問題が生じていた。
これらの問題は、ティーサーバーのみならず、ティーバッグ用の茶葉にも多くが共通する課題であった。
このように、複雑な抽出工程を経なくても短時間で旨味や滋味のバランスが良好で、且つ十分な濃度の抽出が可能であって、ティーサーバーやティーバッグに好適な茶葉の開発が強く望まれていた。
現在までに加工茶葉について検討されたものとしては、例えば特許文献1には、「蒸熱処理して冷却した茶葉を、粉砕してミンチ状に押し出し、該ミンチ状に押し出された粉砕茶葉を敷き均して乾燥させ、篩にかけて顆粒状の緑茶を製造することを特徴とする粉末顆粒緑茶の製造方法」に係る発明が開示されている。
特許文献1に係る発明は、前記構成を有することで、製造工程や設備を簡素化し、製造コストの低減が図れる粉末顆粒緑茶の製造方法、及び該製造方法により得られる粉末顆粒緑茶を提供し得る。
しかし、特許文献1に係る発明は、簡便形態であるドリップ抽出やティーバッグが有するフィルターへの目詰まりや過抽出といった問題を解決するのには不十分であり、ティーサーバーやティーバッグ等の簡便性の高い形態に適した加工茶葉について特化されたものではない。
また、特許文献2に係る発明は、生茶葉等の揉み込み時間を短縮できる揉み込み装置が開示されているが、ティーサーバーでのドリップ抽出やティーバッグ等に最適な茶葉形態へと加工する目的のものではなく、前述の課題を解決することは、やはり困難である。従って、これらの先行文献に示された発明は前述のような課題を解決し得るものではない。
特開2006−34277号公報 WO2010/119813
本願発明は、短時間で好適な濃度で、且つ旨味、滋味のバランスが良好な抽出が可能であって、且つフィルターへの目詰まりや過抽出等も生じず、ティーサーバーのドリップ抽出やティーバッグ等に最適な形態の加工茶葉及びその製造方法、並びに抽出性向上方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、簡便性の高い茶に適した加工茶葉を製造する方法について鋭意研究した結果、茶葉の形状の工夫によって抽出時における水分の浸漬速度をコントロールすることが可能であることを見出した。具体的な製造方法としては、
1.直熱や熱風等の高温によって、打圧を与えることなく、茶葉の表面を選択的に乾燥させ、茶葉表面と内部に水分量差を生じさせると共に、茶葉表面において乾燥された部分(所謂葉こぼれ)を意図的に生じさせる工程
2.茶葉を圧搾して茎や葉脈部分等の固い部分を含めてつぶすことによって、前記葉こぼれ部分を介して茶葉内部の旨味成分等を茶葉表面に浸出させて付着させておくと共に、葉こぼれを茶葉表面に再結着し、その後乾燥させる。
ものである。
上記製造方法によって、茶葉が開くのを待たずに、内部の成分が速やかに抽出される加工茶葉を得られる。
本願発明は、茶葉を高温にすることを避け、常温乃至数十度で繰り返し揉むことで徐々に水分を飛ばし、乾燥させていく従来の茶葉の製造方法(所謂荒茶製造工程)とは異なる。
即ち、従来の工程は、茶葉を高温で乾燥することにより、生茶葉の端や表面のみが乾燥して、所謂葉こぼれが生じ、茶葉の品質が著しく低下してしまうことを避けるためのものである。
本願発明者らは、直熱や熱風等による高温で、茶葉に打圧を与えずに茶葉表面を選択的に一次乾燥させることで、茶葉表面において、本来避けるべきであった「葉こぼれ」を意図的に形成させ、更に、葉こぼれが生じた茶葉に対し、3軸方向のせん断力を加えて圧搾をかけることによって、茶葉の茎や葉脈部分等の固い部分も含めて揉みつぶし、前記葉こぼれ部分等から浸出してきた茶葉内部の水分(所謂間隙水)によって、前記葉こぼれ同士を再び結着させ、その後二次的な乾燥を行うことで、顆粒状の茶葉を得られるという方法を見出した。
これによって、製造された顆粒状茶葉は、茶葉内に適度な空隙が形成されつつ、茶葉の内部にあった、旨味成分等が間隙水と共に茶葉表面に適度に付着した状態となるため、抽出時において、水分が茶葉内部に浸入し易くなると共に、旨味成分等が速やかに抽出される。
以下具体的に本願発明の構成を説明する。
本願発明は以下のような構成からなる。
(1)
生茶葉を切断し加熱により酵素を失活させる切断失活工程と、酵素失活後の打圧を加えずに茶葉表面の水分を選択的に乾燥させ、茶葉表面に葉こぼれを形成させる第一乾燥工程と、前記第一乾燥工程後に茶葉内部に残留した水分及び内部成分を圧搾して浸出させ、浸出した水分によって前記葉こぼれを茶葉表面に再結着させると共に前記内部成分を茶葉表面に付着させる圧搾結着工程と、前記圧搾結着工程後に茶葉表面の付着水分を乾燥させる第二乾燥工程とを備えることを特徴とする加工茶葉の製造方法。
(2)前記切断失活工程は釜炒り法によって行われ、前記第一乾燥工程は前記失活工程と同時及び又は別工程にて行われることを特徴とする(1)に記載の加工茶葉の製造方法。
(3)前記切断失活工程は蒸熱法によって行われ、前記第一乾燥工程と前記失活工程が別工程で行われることを特徴とする(1)に記載の加工茶葉の製造方法。
(4)前記切断失活工程後又は第一乾燥工程後の(A)茶葉表面の保有水分量に対する(B)茶葉内部の保有水分量の比率((B)/(A))が1.0〜15.0に調整されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(5)前記圧搾結着工程における茶葉の揉み込みは、茶葉に3軸方向のせん断力を加えることで行われることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(6)前記生茶葉中の食物繊維量が3.0〜17.0質量%であり、ペクチン量が1.0〜7.0質量%に調整されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(7)前記第二乾燥工程後の加工茶葉の平均粒子径が0.1〜15.0mmとなるように調整されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(8)前記第二乾燥工程後の加工茶葉における不溶性固形分の含有率が50.0〜95.0質量%に調整されることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(9)前記第二乾燥工程後の加工茶葉における間隙率が3.0〜40.0%に調整されることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の加工茶葉の製造方法。
(10)第二乾燥工程後の加工茶葉における多糖に対する単糖及び二糖の総量の比率((単糖+二糖)/多糖)が3.0〜40.0であることを特徴とする加工茶葉。
(11)前記加工茶葉におけるかさ比が100〜900ml/100gであることを特徴とする(10)に記載の加工茶葉。
(12)(1)〜(9)のいずれかに記載された工程を含むことを特徴とする加工茶葉の抽出性向上方法。
(13)(1)〜(9)のいずれかに記載された工程を含むことを特徴とする加工茶葉のフィルター目詰まり抑制方法。
(14)(10)又は(11)に記載の加工茶葉及び不活性気体を含有する包装体。
(15)前記不活性気体と更に気体として水素とを含有することを特徴とする(14)に記載の包装体。
(16)(1)〜(9)のいずれかに記載された工程により製造された加工茶葉と不活性気体とを包装体に充填する工程を含むことを特徴とする包装茶葉の製造方法。
(17)前記充填する工程において、気体として更に水素を包装体に充填することを特徴とする(16)に記載の包装茶葉の製造方法。
本願発明は前記の構成を具備することにより、茶葉内に適度な空隙が形成されつつ、茶葉の内部にあった旨味成分等が間隙水と共に茶葉表面に適度に付着し、抽出速度が向上し、更にはフィルターへの目詰まりや過抽出が抑制された顆粒状の加工茶葉を得られることを見出した。
すなわち、短時間で一定の濃度まで抽出が可能であり、ティーサーバーでのドリップ抽出、ティーバッグ等に最適な加工茶葉を提供することができる。
従来の揉捻工程を示す概念図である。 本願発明の一実施形態を示し、実施形態における、圧搾結着工程の3軸方向のせん断力を示す概念図である。
本願発明に係る加工茶葉を実施する為の形態について、以下具体的に詳述するが、本願発明の技術的範囲から逸脱しない限りにおいて、以下に示す実施形態以外の公知手法を適宜選択することも可能である。
(加工茶葉)
本願発明における加工茶葉は、カメリアシネンシス種(Camellia Sinensis)を原料とするが、原産地、茶期(一番茶、二番茶、三番茶、秋冬番茶)、品種、茶種、栽培条件等については本願発明の効果が損なわれない限り、特に限定されることはない。また本願発明における加工茶葉とは、茶葉に湯や水等の溶媒を注ぐことにより、加工茶葉の成分が抽出され、飲用するものであって、インスタント茶のような溶媒に溶かし飲用するとものとは異なる形態のものである。
本願発明において加工茶葉が緑茶等の不発酵茶である場合は、摘採後に切断失活工程へと送られる。また、本願発明において加工茶葉が半発酵茶乃至発酵茶である場合は、萎凋処理をした後切断失活工程へと送られる。萎凋処理とは、烏龍茶等の半発酵茶や紅茶等の発酵茶に対して行われる処理であり、酵素が活性状態のまま、所定期間日光等によって茶葉を萎れさせる処理をいう。所定期間の萎凋処理を行った後、切断失活工程によって酵素を失活し、発酵を停止させる。また、切断失活処理を行う前に、酵素反応を進める発酵工程を行ってもよく、その場合は製造される加工茶葉の品質に合わせて、適当な発酵段階で切断失活工程へと送れば良い。なお、本願発明の加工茶葉の原料としては不発酵茶である緑茶が好ましい。
(加工茶葉の製造方法)
本願発明における加工茶葉の製造方法とは、上記の茶葉を主たる原料としてなる加工茶葉の製造方法であって、「切断失活工程」及び/又は「第一乾燥工程」、「圧搾結着工程」、「第二乾燥工程」を備えることを特徴とする。
従来の茶葉の製造方法(所謂荒茶製造工程)では茶葉が高温になることを極力避け、常温乃至数十度で打圧をかけながら繰り返し揉むことで徐々に水分を飛ばし、乾燥させていくのが一般的である。これは、高温で乾燥すると生茶葉の端や表面のみが乾燥し、剥がれてしまい、品質が著しく低下してしまうからである(所謂葉こぼれ、葉切れとも称する)。
しかし、本願発明の加工茶葉の製造方法においては、「切断失活工程」及び/又は「第一乾燥工程」において、高温で茶葉表面を選択的に乾燥させ、所謂上乾き状態とすることで(A)茶葉表面の保有水分量及び(B)茶葉内部の保有水分量を所定比率に調整され、この水分量の差異によって茶葉表面部分のみが縮むことから、本来避けるべき「葉こぼれ」が茶葉表面において適度な量生じる。
なお、茶葉表面が選択的に乾燥されたかの確認は、後述の乾燥後の茶葉表面と茶葉内部の水分比率が所定以上となっている点、及び葉こぼれ片の量から確認することができる。
更に「圧搾結着工程」においては、茶葉に対して3軸方向のせん断力を与えることで圧搾をかけることで、茶葉の茎や葉脈部分等の固い部分はつぶれ、前記葉こぼれ部分を介して浸出してきた茶葉内部の水分によって前記葉こぼれ同士が再び結着する。
また、同時に茶葉内部成分が茶葉表面に浸出・付着する。そして「第二乾燥工程」において、茶葉を乾燥させることによって茶葉表面に付着した内部成分は固着され、更に葉こぼれが結着することで形成される所定の空隙が長期間保持できる加工茶葉の形態とすることができる。
本願発明の加工茶葉は、従来のインスタント緑茶のように、デキストリン等の結着を目的とした添加物を必要とせず、また、従来のティーバッグ用の粉砕茶よりも格段に抽出性が向上し、粉の発生が抑制された加工茶葉である。したがって、香味成分が最も好適な比率で一煎目に速やかに抽出されることから、ティーサーバー等のドリップ抽出及びティーバッグに好適である。
なお、本願において、主たる原料とは、少なくとも配合割合が50質量%以上であることを示している。
(切断失活工程)
本願発明における切断失活工程とは、生茶葉乃至萎凋葉を切断処理した後、失活処理(以下、殺青処理ともいう)及び/又は第一乾燥工程を行う工程である。
切断及び失活処理自体は従来の荒茶製造工程でも行われているが、本願にあっては、(A)茶葉表面の保有水分量及び(B)茶葉内部の保有水分量を調整し、所定量の葉こぼれを生成させるための工程である点が、従来の茶葉製造方法と異なる点である。
生茶葉乃至萎凋葉を切断することで、殺青処理乃至第一乾燥工程において所定の保有水分量に調整しやすくなり、葉こぼれを生成し易くさせることができ、更に圧搾結着工程において所定の空隙を形成することができる。
生茶葉乃至萎凋葉の切断処理は、生茶葉を1〜100mmに細断することが好ましく、1mmを下回ると、殺青処理において、葉こぼれが過度に生成され、圧搾結着工程において空隙の調整が困難となり、更に第二乾燥工程後の加工茶葉に粉が多く生じることから、ドリップ抽出やティーバッグにおけるフィルターの目詰まりが起こりやすくなってしまう。100mmを上回ると、殺青処理乃至第一乾燥工程において茶葉の乾燥が不十分となり、葉こぼれの生成が少なくなり、ドリップ抽出等で十分な濃度の抽出液が得られなくなってしまう。かかる観点から、3〜80mmに切断することがより好ましく、5〜70mmに切断することが特に好ましい。
なお、生茶葉乃至萎凋葉を切断するには、当業者に公知の手法を採用することができ、例えば、生葉カッター(株式会社ヨシダ社製)、フードプロセッサー(株式会社エフ・エム・アイ社製)等による切断処理が挙げられる。
また、殺青処理は従来の荒茶製造工程と同様に、切断した生茶葉乃至萎凋葉に対して熱を加えて酵素を失活することによって発酵の進行を停止させ、葉色を保持する目的で行われる。具体的には数十秒間程度、加熱蒸気で蒸す「蒸熱」による方法、又は直接加熱する「釜炒り」による方法が挙げられ、これらの殺青処理は80〜400℃で10〜180秒間が好ましく、90〜350℃で20〜120秒間がより好ましい。
ただし、前述の通り本願発明においては、切断失活工程後の茶葉における(A)茶葉表面の水分保有量及び(B)茶葉内部の水分保有量を調整する観点から、殺青処理後に乾燥処理(以下、第一乾燥工程という)を行うことが好ましい。第一乾燥工程の方法としては、本願発明の効果を損なわない限り特に限定されず、従来の荒茶製造工程で用いられる装置、例えば、ネット乾燥機(カワサキ機工社製)、茶葉乾燥機(カワサキ機工社製)、葉打ち機、粗揉機等を使用できるが、茶葉表面を選択的に乾燥させて適度な葉こぼれを生成させるためには、打圧を加えることなく、熱風の風量や、直熱の温度条件を調整しつつ、乾燥させる必要がある点、従来の荒茶製造工程における蒸熱〜粗揉工程とは異なるものである。
なお、乾燥時の温度条件としては40〜120℃で1〜60分間乾燥させることが好ましく、60〜95℃で3〜50分間乾燥させることがより好ましい。
なお、殺青処理が釜炒り法であった場合、第一乾燥工程は、殺青処理と同時及び/又は別工程で行うことができる。
但し、原料となる生茶葉の葉が厚く、釜炒り法の殺青処理のみでは茶葉内部の水分の調整が困難な場合や、原料生茶葉の水分が多く、焦げ付きやすい場合は、殺青処理の条件を弱める等の調整を行い、殺青処理後に第一乾燥工程を行うことが好ましい。また、殺青処理が蒸熱法であった場合、殺青処理後に第一乾燥工程を行うのが好ましく、蒸気が茶葉表面に接触するため、茶葉表面及び茶葉内部の水分を調整が困難となるからである。なお、いずれの場合にあっても、前述の通り、従来の荒茶製造工程における蒸熱〜粗揉工程とは異なる点においては共通する。
本願発明における切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の(A)茶葉表面の保有水分量は、1.0〜40.0質量%であることが好ましい。1.0質量%を下回ると葉こぼれの生成が過度になり、圧搾結着工程で結着しきれず、結果として加工茶葉に粉が多く生じ、フィルターの目詰まりの原因ともなる。40.0質量%を上回ると葉こぼれの生成が不足し、圧搾結着工程において空隙の形成が困難となり、結果として加工茶葉の抽出性が低下してしまう。かかる観点から、(A)茶葉表面の保有水分量は、6.0〜35.0質量%がより好ましく、7.0〜30.0質量%が特に好ましく、15.0〜25.0質量%が最も好ましい。
また、本願発明における切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の(B)茶葉内部の保有水分量は40.0〜80.0質量%が好ましい。40.0質量%を下回ると圧搾結着工程において茶葉内部から浸出する水分が十分でなく、葉こぼれの結着が困難になってしまう。80.0質量%を上回ると圧搾結着工程において茶葉内部の水分を分離・浸出しきれないからである。かかる観点から、(B)茶葉内部の保有水分量は45.0〜75.0質量%がより好ましく、48.0〜70.0質量%が特に好ましく、50.0〜60.0質量%が最も好ましい。
なお、本願発明における「葉こぼれ」とは、前記切断失活工程後乃至第一乾燥工程後に生成される茶葉表面の乾燥部分であって、加工茶葉における抽出性の向上、並びにフィルターの目詰まりを抑制するために必須のものである。
通常の荒茶製造工程では、品質低下の観点から、葉こぼれの生成は極力抑えるべきものであって、粗揉機等で生成された微量の葉こぼれは、その後の揉捻工程等で茶葉から剥がれるが、再度結着することはなく、最終製品に混入してしまう。剥がれた葉こぼれ自体は、水分が非常に少なく、形状が細かいことから、通常の荒茶製造工程において生成された場合は、剥がれた葉こぼれに過剰な熱がかかり、香味劣化や焦げ臭の原因となる。
本願発明における葉こぼれの生成量の適正値としては、切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の茶葉全体重量(g)に対する葉こぼれの重量(g)が4.0〜20.0%であることが好ましい。前記葉こぼれの生成量の範囲が、通常の荒茶製造工程においては、品質低下を引き起こすものであっても、本願発明においては品質低下を伴わずに抽出性の向上、並びにフィルターの目詰まりを抑制できるからである。かかる観点から、4.5〜17.0%がより好ましく、5.0〜15.0%が特に好ましく、6.0〜12.0%が最も好ましい。
本願発明における葉こぼれの生成量は、切断失活工程後乃至第一乾燥工程後に、茶葉に対する葉こぼれ片の重量比率等によって評価することができる。具体的には、切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の茶葉を一部回収し、篩上で切断等を行い、茶葉表面の葉こぼれ片を分離した後、その重量を測定する方法等が挙げられる。
また、本願発明における切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の茶葉全体の保有水分量は15.0〜85.0質量%が好ましい。15.0質量%を下回ると圧搾結着工程において、茶葉がしまりやすくなり、空隙の調整が困難になってしまう。85.0質量%を上回ると圧搾結着工程において、水分量が多く、茶葉がゆるくなってしまい、空隙の調整が困難となってしまう。かかる観点から、前記保有水分量は20.0〜80.0質量%がより好ましく、25.0〜78.0質量%が特に好ましく、30.0〜75.0質量%が最も好ましい。
また、切断処理、殺青処理及び第一乾燥工程の前後乃至間に風力選別や形状選別、洗浄を行い、一部の茎や葉、異物等を分別、除去しても良く、切断失活工程後にはグリーンアップ等の茶葉の加工処理を行っても良い。
(圧搾結着工程)
本願発明における圧搾結着工程とは、切断失活工程後乃至第一乾燥工程後の(A)茶葉表面の保有水分量及び(B)茶葉内部の保有水分量を所定比率に調整した茶葉を3軸方向のせん断力を加えることによって押圧して揉み込み、茶葉内部の保有水分(芯水)及び茶葉内部成分を前記葉こぼれ部等を介して、間隙水として茶葉表面に浸出させることによって、葉こぼれを再結着させ、顆粒状に成形する工程である。
従来の荒茶製造工程の揉み込み(所謂揉捻工程)は、垂直下方向に茶葉を押圧しながら、平面上で回転させることで茶葉を塊状に丸めながら長時間の揉み込みを行う工程である。この場合、前記揉捻工程では圧力は一定方向にしかかからず、茶葉が塊状であることから茶葉内部の水分(芯水)及び茶成分は表面に浸出しづらく、塊状の茶葉内部に多量の水分及び茶成分が残存している。更には茶葉全体の水分を長時間かけて徐々に低下させる工程であるため、結着水として利用できる水分は外部に蒸発して徐々に失われてしまう。従って、従来の揉捻による揉み込みでは、茶葉内部の水分及び茶成分を間隙水として茶葉表面に浸出させ、選択的に葉こぼれの結着水として利用することは困難である。
一方、本願発明の圧搾結着工程は、(A)茶葉表面の保有水分量及び(B)茶葉内部の保有水分量を所定比率に調整した茶葉を3軸方向のせん断力によって一気に揉み込むことで、茶葉内部の保有水分(芯水)及び茶成分を効率的に茶葉表面に押し出し、間隙水として浸出させることで、茶葉の内部水分を選択的に葉こぼれの結着水として利用することができる。
なお、本願発明における3軸方向のせん断力とは、茶葉の押圧面に対してかかる、押圧面に対して垂直方向以外からの圧力を意味する用語である。
従来の揉捻等の揉み込みにおいては、前述の通り、茶葉は平面上で上下から挟まれつつ回転させることで揉みこまれていた。これに対して、3軸方向のせん断力とは、前記上下面からの圧力(2軸)に対して、垂直方向以外の角度からの押圧力を意味している。即ち、垂直上下方向以外から茶葉に圧力をかけることで、茶葉は多方向からの力で揉み込まれるため、茶葉の茎や葉脈部分の固い部分まで十分に揉み込まれる。これにより、茶葉内部の水分(芯水)及び茶葉内部成分が茶葉の茎や葉脈から茶葉表面に効率的に浸出される。
なお、前述のような、3軸方向からのせん断力を発揮させるためには、圧搾搾汁工程を揉切機やローターバン等によって実施することが良く、具体的にはローターバン(VIKRAM INDIA LIMITED社製)やミンチ機(カワサキ機工社製)が挙げられる。
また、上記揉切機やローターバンを用いる場合、3軸方向のせん断力の調整は茶葉を押し出す速度を上げたり、処理する茶葉の供給量を減らすこと等により弱くすることができ、3軸方向のせん断力を弱めることで、葉こぼれの結着及び茶葉の内部成分の浸出を少なく調整することができる。また、茶葉を押し出す速度を下げたり、処理する茶葉の供給量を増やすこと等により強くすることができ、3軸方向のせん断力を強めることで、葉こぼれの結着及び茶葉の内部成分の浸出を多く調整することができる。
なお、本願発明におけるせん断力とは、せん断力を発生させることによって、茶葉にせん断変形を与える圧力だけでなく、茶葉に圧縮変形を与え、体積変化を起こさせる圧力(所謂圧密)を含むものである。
図1及び図2は本願発明の実施例又は比較例に係る揉み込みの概念図であって、図1は従来の揉捻工程による揉み込みの概念図であり、図2は本願発明における圧搾結着工程の概念図である。図1においては載置面2に対して垂直下方向の圧力3がかかり、載置面2と平行である押圧面1が得られる。また4は塊状に丸めこまれた茶葉を示している。
一方で図2は、本願発明の圧搾結着工程における揉み込みの概念図であり、茶葉4’に対して、縦軸方向のせん断力1’、横軸方向のせん断力2’及び奥行き方向のせん断力3’で表される3軸方向のせん断力がかかり、茶葉が複雑に揉み込まれることを示している。
圧搾結着工程後の(C)茶葉表面の保有水分量は15.0〜85.0質量%が好ましい。15.0質量%を下回ると、茶葉内部の水分が揉み込みによって十分に茶葉表面に浸出されておらず、葉こぼれの結着が不十分となり、空隙の形成が困難となってしまう。また、85.0質量%を上回ると、茶葉内部の水分が揉み込みによって過度に浸出され、結着水として利用しきれなかった茶葉内部の茶成分が失われてしまい、結果として加工茶葉を抽出した際に十分な濃度が得られなくなってしまう。かかる観点から、(C)茶葉表面の保有水分量は、20.0〜80.0質量%がより好ましく、25.0〜75.0質量%が特に好ましく、30.0〜70.0が最も好ましい。
また、圧搾結着工程後の(D)茶葉内部の保有水分量は15.0〜85.0質量%が好ましい。15.0質量%を下回る場合は、茶葉内部の水分が揉み込みによって過度に浸出されており、結着水として利用しきれなかった茶葉内部の茶成分が失われてしまい、結果として加工茶葉を抽出した際に十分な濃度が得られなくなってしまう。また、85.0質量%を上回る場合は茶葉内部の水分が揉み込みによって十分に茶葉表面に浸出しておらず、葉こぼれの結着が不十分となり、空隙の形成が困難となってしまう。かかる観点から、(D)茶葉内部の保有水分量は20.0〜80.0質量%がより好ましく、25.0〜78.0質量%が特に好ましく、30.0〜75.0質量%が最も好ましい。
圧搾結着工程後の茶葉全体の保有水分量は15.0〜85.0質量%が好ましく、15.0質量%を下回ると第二乾燥工程において過度な熱がかかり加工茶葉の品質が低下してしまう。85.0質量%を上回ると第二乾燥工程での乾燥効率が悪くなり、加工茶葉内部に水分が残存し、長期保存によって劣化しやすくなってしまう。かかる観点から、20.0〜80.0質量%がより好ましく、25.0〜75.0質量%が特に好ましく、30.0〜70.0質量%が最も好ましい。
更に、本願発明においては、第二乾燥工程の効率化やティーバッグへの封入を考慮し、圧搾結着工程後に、茶葉の粒子径を調整する成形工程を備えても良い。成形工程とは、圧搾結着工程後の茶葉を顆粒状に成形したり、ときほぐしたりすることで粒子径を調整する工程である。成形工程後の平均粒子径は0.1〜10.0mmに調整されることが好ましい。0.1mmを下回ると、第二乾燥工程において過度な熱がかかり、加工茶葉を抽出した際に水色が悪くなってしまい、更に成形工程によって粉の発生が目立ってしまう。また、10.0mmを上回ると、第二乾燥工程における乾燥効率が低下し、更には抽出効率が低下するからである。かかる観点から、本願発明の成形工程後の平均粒子径は0.1〜9.0mmがより好ましく、0.2〜8.0mmが特に好ましく、0.2〜7.0mmが最も好ましい。
特に、加工茶葉をティーバッグに封入する場合には、かさ比が大きく所定量の封入が困難となってしまう観点から、成形工程による平均粒子径の調整は0.1〜7.0mmがより好ましく、0.2〜6.0mmが特に好ましく、0.2〜5.0mmが最も好ましい。
なお、本願発明における成形工程は、当業者に公知の手法を採用することができ、例えば総合機(山益製作所社製)や切断機(カワサキ機工社製)、ミンチ機(カワサキ機工社製)等によって実施することができ、加工茶葉の抽出形態や抽出条件によって適宜選択すれば良い。
(第二乾燥工程)
本願発明における第二乾燥工程とは、圧搾結着工程後の茶葉を乾燥する工程であって、圧搾結着工程において葉こぼれを結着して形成した所定の空隙及び茶葉表面に浸出させた水分と茶成分を乾燥・固着させ、長期の貯蔵に耐え得るものとする工程である。本工程は60〜135℃で15〜100分間乾燥することが好ましく、この範囲とすることで茶葉内部の水分が十分に乾燥し、品質を良好に保ちながら長期保存が可能となるからである。かかる観点から、65〜125℃で20〜90分間乾燥することがより好ましく、70〜115℃で25〜80分間乾燥することが特に好ましく、85〜110℃で30〜75分間乾燥することが最も好ましい。なお、第二乾燥工程は、当業者に公知の手法を採用することができ、例えば、自動乾燥機(カワサキ機工社製)やバンド型乾燥機(カワサキ機工社製)等が挙げられる。
圧搾結着工程において葉こぼれを結着して形成した所定の空隙を乾燥・固着させ、長期の貯蔵によっても劣化しにくい加工茶葉とする観点から、第二乾燥工程後の(E)加工茶葉表面の保有水分量においては0〜8.0質量%が好ましく、0.1〜7.0質量%がより好ましく、0.2〜6.6質量%が特に好ましく、0.3〜5.0質量%が最も好ましい。
また、第二乾燥工程後の(F)加工茶葉内部の保有水分量においては0.1〜10.0質量%が好ましく、0.2〜9.0質量%がより好ましく、0.3〜8.5質量%が特に好ましく、0.4〜8.0質量%が最も好ましい。
更に、第二乾燥工程後の加工茶葉全体の保有水分量においては0〜15.0質量%が好ましく、0.1〜12.0質量%がより好ましく、0.3〜10.0質量%が特に好ましく、0.5〜9.0質量%が最も好ましい。
また、第二乾燥工程を経て得られた加工茶葉は、ティーバッグ茶やドリップ茶はもちろんのこと、容器詰緑茶飲料を製造するための抽出用原料茶葉として使用することもできる。容器詰緑茶飲料を製造するための抽出用原料茶葉として使用する場合は、香味バランス、抽出効率、抽出成分の均質化を図るために、本願発明の効果を損なわない限り、加工茶葉の粒度や形状を揃える処理を行っても良いし、他の茶葉や穀物とブレンドしても良いし、香味を改質するために火入れ処理をしても良い。
(保有水分量の測定方法)
本願発明における保有水分量とは、各工程後における茶葉全体の保有水分量、茶葉表面の保有水分量及び茶葉内部の保有水分量である。本願発明の各工程後における茶葉全体の保有水分量の測定は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができ、例えば100℃、5時間乾燥法(1975年3月、農林省茶業試験場において緑茶製造試験測定調査基準として採用。生茶葉から中揉葉までの比較的水分の多いものについては、約10gの茶葉をパラフィン紙の袋に採って、送風式定温乾燥器で100℃、5時間乾燥して水分値を求める方法。)、或いは105℃、16時間乾燥法(静岡県茶業試験場にて採用。生茶葉及び製茶工程中の茶の水分を近赤外法により測定する方法であり、ミジン切りカッターで切断した生茶葉10gをアルミ秤量缶に採取し、常圧105℃ で約16時間乾燥させて水分値を測定することにより検量線作成のための基準となる水分値を求める方法。)、或いはこれらの測定値の平均値の算出、或いはその他の常圧加熱乾燥法によって行うことができる。
なお、本願発明においては10gの茶葉をパラフィン紙にとり、定温乾燥期にて常圧100℃、8時間乾燥し、乾燥前後の重量差を測定する重量乾燥法により各工程後の茶葉全体の保有水分量を算出した。
また、茶葉表面の保有水分量は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができ、例えばしとり機(寺田製作所社製)を用いて測定される値が挙げられる。なお、茶葉内部の保有水分量は、茶葉全体の保有水分量から茶葉表面の水分量を引いた値である。
(茶葉表面の保有水分量に対する茶葉内部の保有水分量の比率)
本願発明における切断失活工程後又は第一乾燥工程後の(A)茶葉表面の保有水分量に対する(B)茶葉内部の保有水分量の比((B)/(A))は、1.0〜15.0に調整されることを特徴とする。1.0を下回ると葉こぼれの生成が不足するか、結着水を分離・浸出しきれておらず、圧搾結着工程において葉こぼれの結着がの形成が困難となり、更には茶葉表面に付着しきれない内部成分の浸出も多くなり、結果として加工茶葉の抽出性が低下してしまう。15.0を上回ると葉こぼれの生成が過度になるか、結着水が不足し、圧搾結着工程で葉こぼれを結着しきれず、更には内部成分の浸出も不足し、結果として加工茶葉に粉が多く生じ、フィルターの目詰まりの原因となる。かかる観点から、1.2〜11.0が好ましく、1.5〜9.0がより好ましく、1.8〜8.0が特に好ましく、2.0〜6.0が最も好ましい。
更に、本願発明の圧搾結着工程後における(C)茶葉表面の保有水分量に対する(D)茶葉内部の保有水分量の比率((D)/(C))は0.2〜4.0に調整されることが好ましい。0.2を下回ると茶葉表面の水分が多いことから第二乾燥工程において茶表面に分離・浸出された水分及び茶成分を乾燥・固着しきれず、4.0を上回ると第二乾燥工程において茶葉内部まで十分に乾燥できず、加工茶葉として長期の保存が困難となってしまうからである。かかる観点から、0.3〜3.5に調整されることがより好ましく、0.4〜3.0に調整されることが特に好ましく、0.5〜2.0に調整されることが最も好ましい。
また、本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉における(E)加工茶葉表面の保有水分量に対する(F)加工茶葉内部の保有水分量の比率((F)/(E))は1.0〜100.0に調整されることが好ましい。1.0を下回ると茶葉表面の乾燥が不十分であり、100.0を上回ると茶葉内部の水分が残存しており、長期の保存によって劣化しやすい加工茶葉となってしまうからである。かかる観点から、5.0〜95.0に調整されることがより好ましく、10.0〜90.0に調整されることが特に好ましく、20.0〜85.0に調整されることが最も好ましい。
(食物繊維量)
本願発明の食物繊維量とは原料となる生茶葉に含有される食物繊維量であって、生茶葉において3.0〜17.0質量%含有されることを特徴とする。3.0質量%を下回ると圧搾結着工程での揉み込みが弱くなり、空隙の調整が困難となり、17.0質量%を上回ると茶葉が固く、揉み込みが困難になるからである。かかる観点から4.0〜16.0質量%が好ましく、4.5〜15.5質量%がより好ましく、5.0〜15.0質量%が特に好ましく、5.5〜14.5質量%が最も好ましい。
なお、食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれる難消化性成分の総称であって、本願発明における緑茶飲料の食物繊維量は、当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、酵素−重量法や近赤外線拡散反射測光方式の茶成分分析計(静岡精機社製)等が挙げられる。本願発明においては、酵素−重量法により得られる天然物由来の不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とを検出し、食物繊維量(酵素−重量法)とした。
(ペクチン含有量)
本願発明のペクチン含有量とは原料となる生茶葉に含有されるペクチン量であって、生茶葉において1.0〜7.0質量%含有されることを特徴とする。1.0質量%を下回ると茶葉の結着が弱まりやすくなり、ドリップ抽出やティーバッグのフィルターの目詰まりが起きやすくなってしまう。また7.0質量%を上回ると葉こぼれの結着が過剰になりやすく、結果として加工茶葉の抽出性が低下してしまう。かかる観点から、1.2〜6.5質量%が好ましく、1.5〜6.0質量%がより好ましく、1.8〜5.0質量%が特に好ましく、2.0〜4.7質量%が最も好ましい。
なお、ペクチン含有量は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、m−ヒドロキシジフェニル法、カルバゾール硫酸法(比色法)や高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により測定するといった方法が挙げられる。
(食物繊維量及びペクチン含有量の調整方法)
本願発明における加工茶葉の原料となる生茶葉における食物繊維量及びペクチン含有量は、当業者が周知の方法で調整することができ、原料となる生茶葉の芽合い(摘採の精粗、栄養状態及び熟度)や摘採時期等を適宜選択することで調整されることが好ましい。
例えば、芽合いの良好な生茶葉は食物繊維量及びペクチン含有量が少なく、芽の熟度が進むにつれ食物繊維量及びペクチン量は増加する。また茶期が遅れるにつれ食物繊維量は増加し、ペクチン含有量は減少する。すなわち一番茶は二番茶に比べ食物繊維量が少なく、ペクチン含有量が多い。
また、玉露やかぶせ茶等の被覆栽培に比べ露天栽培の生茶葉は食物繊維量及びペクチン含有量が増加する傾向にあり、緑茶品種に比べ紅茶品種の方が食物繊維量及びペクチン含有量は少ない傾向にある。
葉位としては芯に近いほど食物繊維及びペクチン含有量は減少するため、摘み取る葉位を限定することでも調整できる。
なお、食物繊維量及びペクチン量を所定の範囲に調整するために、2種以上の生茶葉を混合して使用しても良く、例えば摘採地域の異なる生茶葉の混合や、品種、芽合いの異なる生茶葉を選択・混合することが挙げられる。また、冷凍保管された生茶葉を用いることで異なる摘採時期の生茶葉を混合しても良い。
(平均粒子径)
本願発明における加工茶葉の平均粒子径は、第二乾燥工程後の平均粒子径であって、0.1〜15.0mmであることを特徴とする。平均粒子径が0.1mmを下回ると抽出の際に過抽出になりやすく、渋味が目立ってしまう。また、長期保存の際には表面積が大きくなることから、経時劣化の影響を受けやすい。粒子径が15.0mmを上回ると加工茶葉の抽出性が低下し、十分な濃度の茶が抽出されない。また、第二乾燥工程において十分に乾燥されずに内部に水分が残存しやすいことから長期保存に不向きな加工茶葉となってしまう。かかる観点から、本願発明の平均粒子径は0.1〜14.0mmが好ましく、0.1〜12.0mmがより好ましく、0.2〜10.0mmが特に好ましく、0.2〜9.0mmが最も好ましい。
なお、加工茶葉をティーバッグに充填する場合の粒子径は、フィルターの目詰まりを防止しつつ、所定量の加工茶葉をティーバッグ内に封入する観点から、0.1〜7.0mmが好ましく、0.1〜6.0mmがより好ましく、0.2〜5.0mmが最も好ましい。
なお、粒子径は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができ、例えば、ふるい分け法、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製)、カムカイザー(レッチェテクノロジー社製)による測定等が挙げられる。
(不溶性固形分)
本願発明における不溶性固形分とは、第二乾燥工程後の加工茶葉における不溶性固形分の含有量であって、50.0〜95.0質量%であることを特徴とする。50.0質量%を下回るとドリップ抽出時やティーバッグでの抽出時に過抽出になりやすく、苦味や渋味が目立ってしまい、95.0質量%を上回るとドリップ抽出時やティーバッグでの抽出時に抽出されづらく、十分な濃度感が得られないからである。かかる観点から、52.0〜90.0質量%であることが好ましく、55.0〜88.0質量%であることがより好ましく、58.0〜85.0質量%であることが特に好ましく、60.0〜80.0質量%であることが最も好ましい。
なお、不溶性固形分は当業者に公知の手法により測定、算出することができ、例えば、乾燥前後の重量にて算出することができ、具体的には、乾燥前の加工茶葉10gを遠沈管に採取し、イオン交換水10gを加えて、十分に震盪した後に、回転数3000rpmで遠心分離し、濾紙(ADVANTEC東洋株式会社社製 型番:No.5C 直径90mm)の乾燥重量を測定後、前記濾紙で遠心分離後の上清固形物を濾過することにより収集し、次いで前記遠沈管にイオン交換水10gを加えて十分に震盪し、再度同条件で遠心分離後、前記濾紙で同様に上清固形物を吸引濾過により収集する。再度同様の処理を繰り返した後、遠沈管中に残った固形物を水洗いによって収集し、最終的に全ての固形分を前記濾紙上に集めて水洗いして吸引濾過を行い、前記固形分が収集された状態で、前記濾紙を60℃、3時間乾燥し、乾燥後の重量を測定することによって不溶性固形分を算出できる。なお、加工茶葉10gあたりの水不溶性固形分は下記式1及び下記式2により算出できる。
(式1) 加工茶葉10gあたりの水不溶性固形分量(g)=(濾過・乾燥後の濾紙重量)−(乾燥濾紙重量)
(式2) 試料の水不溶性固形分(質量%)=加工茶葉10gあたりの水不溶性固形分(g)/加工茶葉10g×100
また、不溶性固形分の調整方法としては、加工茶葉の原料となる生茶葉の芽合い(摘採の精粗、栄養状態及び熟度)や摘採時期等を適宜選択することで、生茶葉の不溶性食物繊維等を調整する方法が挙げられる。
(間隙率)
本願発明における間隙率とは、第二乾燥工程後の加工茶葉における茶葉全体積に対する空隙体積の比率(空隙体積(ml)/茶葉全体積(ml)×100)であって、3.0〜40.0%に調整されることを特徴とする。3.0%を下回るとお湯等の溶媒の浸透性が低下し、均一な溶媒の浸透が困難となり、短時間の抽出で十分な茶成分が抽出されない。40.0%を上回ると溶媒の浸透性が高すぎて、短時間の抽出では抽出の安定性を損ない、成分の浸出にムラが生じてしまうからである。また、加工茶葉のかさ比も増えることから、ティーバッグ等への封入が困難になるといった問題も生じてしまう。かかる観点から、間隙率は4.0〜35.0%に調整されることが好ましく、5.0〜30.0%に調整されることがより好ましく、7.0〜22.0%に調整されることが特に好ましく、10.0〜20.0%に調整されることが最も好ましい。
また、本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉における空隙体積は5.0〜120.0ml/100gであることが好ましい。この範囲とすることで湯等の溶媒の浸透性が高まり、抽出効率が向上するからである。かかる観点から10.0〜100.0ml/100gがより好ましく、12.0〜80.0ml/100gが特に好ましく、15.0〜50.0ml/100gであることが最も好ましい。
なお、茶葉全体積は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができ、例えば、茶葉100gを測りとり、1000mlメスシリンダー(東京硝子器機社製)にて体積を測定・算出するといった方法が挙げられる。また、本願発明の空隙体積においては、測りとった茶葉100gをミル等の粉砕機で十分に粉砕した後、1000mlのメスシリンダーに十分に茶葉に振動を与えながら容器内に充填して粉砕後の茶葉の体積を測定し、粉砕前の茶葉全体体積から粉砕後の茶葉体積を引いた値とした。
(間隙率の調整方法)
間隙率を前記範囲に調整するには、本願発明の原料茶葉の選択、切断失活工程、第一乾燥工程及び圧搾結着工程を適宜条件にして調整することができる。例えば、原料となる生茶葉の食物繊維量やペクチン量を多く調整することで揉み込みが強まり、空隙が減少する。また食物繊維量やペクチン量を少なく調整することで、揉み込みが弱まり、空隙が増大する。
また圧搾結着工程において加工茶葉の揉み込みを弱め、茶葉を軟らかく揉み込むことで、間隙率を大きくすることができる。また、加工茶葉の揉み込みを強め、茶葉をきつく揉み込むことで間隙率を小さくすることができる。
更に、切断失活工程又は第一乾燥工程での乾燥条件等を変更し、葉こぼれや結着水を調整した後、圧搾結着工程において揉み込むことで間隙率を調整することが可能である。
なお、本願発明の効果が損なわれない限り、間隙率を調整するために上記の各工程を複数回実施しても良い。
(糖類)
本願発明における糖類とは、単糖、二糖及び多糖の総量である。単糖は、一般式C(H12O)で表される炭水化物であり、加水分解によりそれ以上簡単な糖にならないものであって、本願発明でいう単糖は、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)である。また、二糖とは一般式C11(HO)11で表される炭水化物であり、加水分解により単糖を生じるものであって、本願発明でいう二糖は、スクロース(蔗糖)、セロビオース、マルトース(麦芽糖)である。多糖とは、一般式(C10)nで表される炭水化物であり、グリコシド結合によって単糖が多数重合した物質であって、本願発明でいう多糖は、三糖であるラフィノース、四糖であるスタキオースである。本願発明の二次乾燥後の加工茶葉における糖類の含有量は0.50〜8.00質量%であることが好ましく、0.80〜7.00質量%であることがより好ましく、1.00〜6.50質量%であることが特に好ましく、1.50〜6.00質量%であることが最も好ましい。この範囲とすることで、短時間の抽出でも味と香りのバランスが保たれ、甘味や厚みを有する抽出液とすることができるからである。更に本願発明においては多糖の中でもデキストリンは実質含有されないことが好ましく、結着剤を含有せずに顆粒状とすることで茶本来の味わいとなり、添加物を敬遠する消費者や本格的な味わいを求める消費者にも受け入れられるからである。
本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉の単糖の含有量は、0.10〜3.00質量%であるのが好ましく、加工茶葉の単糖含有量が0.10質量%を下回ると抽出した際にほのかな甘味が不足してしまい、3.00質量%を上回ると不自然な甘味となってしまうからである。かかる観点から、加工茶葉の単糖の含有量は0.15〜2.50質量%であるのがより好ましく、0.20〜2.00質量%であるのが特に好ましく、0.25〜1.50質量%であるのが最も好ましい。
また、本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉の二糖の含有量は、0.20〜7.00質量%であることが好ましい。加工茶葉の二糖の濃度が0.20質量%を下回ると抽出した際の濃度感が不足してしまい、7.00質量%を上回ると不自然な濃度感となってしまう。かかる観点から、0.30〜6.00質量%がより好ましく、0.50〜5.00質量%が特に好ましく、0.60〜4.0質量%が最も好ましい。
更に、本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉の多糖の含有量は、0.01〜3.00質量%であることが好ましい。加工茶葉の多糖の含有量が0.01質量%を下回ると抽出した際に味の厚みが不足してしまい、3.00質量%を上回ると不自然な厚みとなるからである。かかる観点から、第二乾燥工程後の加工茶葉の多糖の含有量は0.05〜2.00質量%がより好ましく、0.10〜1.50質量%が特に好ましく、0.15〜1.00質量%が最も好ましい。
(多糖に対する単糖及び二糖の総量の比率)
本願発明の第二乾燥工程後の加工茶葉においては、多糖に対する単糖及び二糖の総量の比率((単糖+二糖)/多糖)が3.0〜40.0であることを特徴とする。この範囲とすることでドリップ抽出等の弱い抽出条件でも、お茶本来の厚みとほのかな甘味を表現できるからである。単糖及び二糖の総量の比率は好ましく4.0〜38.0であり、より好ましくは5.0〜34.0であり、特に好ましくは8.0〜30.0であり、最も好ましくは10.0〜25.0である。
(単糖、二糖及び多糖の含有量調整方法)
糖類濃度や糖類比率を前記範囲に調整するには、生茶葉の茶期や品種を適宜選択したり、本願発明の第一乾燥工程及び/又は第二乾燥工程を適宜条件にして調整することができる。例えば、第一乾燥工程及び/又は第二乾燥工程を強くすると糖類は分解されて減少する。更に多糖と比較し、単糖乃至二糖の方が熱によって減少しやすいことから、多糖に対する単糖及び二糖の総量の比率を調整できる。すなわち、加工茶葉の乾燥条件により、糖類含有量や糖類比率を調整することができる。
この際、糖類を添加して調整することも可能であるが、加工茶葉の香味バランスが崩れるおそれがあるため、糖を添加することなく、調整することが好ましい。
(かさ比)
本願発明におけるかさ比とは、第二乾燥工程後の加工茶葉のかさ比であって、100〜900ml/100gであることを特徴とする。100ml/100gを下回ると、粉の発生が目立ってしまい、ドリップ抽出やティーバッグのフィルターが目詰まりしやすくなってしまい、更には長期保存において劣化の影響を受けやすくなってしまう。900ml/100gを上回ると、茶葉内部の水分が残りやすく、長期保存において劣化してしまう。更にはティーバッグに封入する場合に、かさ比が大きく所定量の封入が困難となってしまう。かかる観点から、120〜800ml/100gであることが好ましく、150〜750ml/100gであることがより好ましく、180〜700ml/100gであることが特に好ましく、200〜600ml/100gであることが最も好ましい。
なお、かさ比は当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、加工茶葉100gを測りとり、1000mlメスシリンダー(東京硝子器機社製)にて体積を測定・算出するといった方法が挙げられる。
更に、本願発明の第二乾燥後の加工茶葉における抽出液のタンニン含有量は0.01〜0.25質量%であることが好ましい。0.01質量%を下回ると短時間の抽出では十分な濃度が抽出されず、0.25質量%を超えると過抽出となりやすく好ましくないからである。かかる観点から、加工茶葉における抽出液のタンニン含有量は0.02〜0.20質量%がより好ましく、0.04〜0.15質量%が特に好ましく、0.05〜0.10質量%が最も好ましい。
なお、本願発明における抽出液のタンニン含有量は、ティードリップ用フィルター(180mm×74mm、ナイロン製)に加工茶葉5gを測りとり、90℃、180mlのお湯を注ぎ、30秒間ドリップ抽出したサンプルについてタンニンの含有量を測定・算出した値であって、ドリップ抽出等の弱い抽出条件においても十分な濃度の香味が得られる。タンニンは当業者に公知の手法により算出及び/又は測定することができる。例えば、酒石酸鉄法やフォーリンデニス法が挙げられる。
(加工茶葉の仕上げ加工)
本願発明の加工茶葉は、第二乾燥工程後に、更に仕上げ加工(火入れ)を実施しても良い。仕上げ加工の工程は本願発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、例えば、火入れ乾燥機や遠赤外線火入れ機、マイクロ乾燥式火入れ機等によって火入れを行い、目的の香味に改質することが挙げられる。
また、第二乾燥工程後の加工茶葉と仕上げ加工した加工茶葉を混合して使用しても良く、仕上げ加工をした加工茶葉とその他の仕上げ茶や荒茶等を混合して使用しても良い。
本願発明の加工茶葉は、包装体に封入してティーバッグ茶としても良く、包装体は、加工茶葉を封入できるものであれば特に限定されない。例えば、パルプやコットン、ケナフ等の天然繊維や、ナイロンやポリプロピレンやPET樹脂等の合成繊維からなるフィルターが挙げられる。又、任意の素材を組み合わせた複合体からなるフィルターも使用することができる。包装方法や包装体のサイズ、形状、タグの有無等は、公知の方法を適宜利用することができる。
また、本願発明の加工茶葉は、熱水、冷水のどちらでも、苦味や雑味などが少なく、香味のバランスがとれた茶を抽出することができ、短時間の抽出でも急須で入れたようなお茶本来の香味と水色の鮮やかさを有したものになる。特に、冷水で抽出し、冷茶とした場合でも十分な香味と水色が得られる。
(包装体)
本発明における包装体とは、袋、箱あるいはこれらに類する容器であって、またその形状や色彩も特に限定されないが、充填された加工茶葉が光や酸素・水分等による劣化に弱いことを考慮すると、遮光性や酸素及び不活性気体の遮断性に優れたものが好ましい。また包装体の素材は当業者に公知の素材を使用でき、例えばプラスチック、金属等が挙げられ、具体的にはポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウム等が挙げられる。またこれらプラスチックや金属等を1種で使用しても良いし、又は2種以上を積層フィルムとして使用しても良い。特に本発明において不活性気体と水素が混合される場合には、包装体内の水素濃度を保持する観点から、包装体に積層フィルムを使用し、且つ積層フィルム内にアルミニウム層を備えることが好ましい。
(不活性気体)
本願発明における不活性気体とは、反応性の高い物質の保存に利用される反応性の低い気体である。本願発明における不活性気体は、製造コストや精製コスト等を考慮しつつ、包装茶葉の流通・保存上問題となる化学反応や物質に対して不活性なものを選択すると良い。例えば窒素やアルゴン等の希ガスが挙げられ、本願発明における不活性気体は少なくとも窒素を含有する気体であることが好ましい。
また本願発明においては包装茶葉の流通・保存における香味劣化を極力防止する観点から、包装体に充填される気体は不活性気体である窒素と更に気体として水素とを含有する混合気体であることが好ましい。また混合気体における窒素と水素の含有割合は、窒素:水素=99:1〜90:10で混合されることが好ましく、98:2〜95:5で混合されることがより好ましい。
(水素)
本願発明における水素(hydrogen)とは、水素分子(H2)であって、気体の状態のものをいう。本願発明において水素は不活性気体と混合され、混合気体として包装体に充填される。また水素は混合気体中に1〜10%含有されることが好ましく、2〜5%含有されることがより好ましい。
(包装茶葉)
本願発明における包装茶葉とは、遮光性・遮断性に優れた包装体に不活性気体、又は不活性気体と水素とを混合した混合気体と共に充填されることにより、流通時及び保存時の光や酸素・水分等による劣化が抑制された加工茶葉である。
なお、包装体に加工茶葉を充填する方法は当業者が公知の手法を用いることができ、例えば超音波シール方式等で袋を作製しながら同時に茶葉等の被充填物を充填して包装体を製造する製袋充填装置等を用いる方法が挙げられる。また、本発明においては加工茶葉が充填される直前、同時及び/又は直後に不活性気体、又は混合気体が含有されることが好ましい。
以下、前記実施形態に基づき、本願発明の実施例を説明するが、本願発明の技術的範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜形態の変更を行うことができる。
<試験例1>
下記の各原料を使用し、試作品サンプルを作成した。
なお、表1は実施例及び比較例の加工工程のフローチャートであって、表2は実施例及び比較例の加工条件を示し、表3は実施例及び比較例の分析結果及び官能評価結果を示している。
(原料生茶葉)
静岡県内で摘採された生茶葉A(一番茶、一芯三葉、食物繊維量10.4質量%、ペクチン量4.6質量%)を6kg、生茶葉B(二番茶、一芯三葉、食物繊維量16.8質量%、ペクチン量1.2質量%)を6kg、及び生茶葉C(一番茶、一芯四葉、食物繊維量3.2質量%、ペクチン量5.3質量%)を6kg用意した。
(切断失活工程)
実施例1〜4及び比較例1、2には生茶葉Aを使用し、実施例5〜8及び比較例3、4には生茶葉Bを使用し、実施例9〜11及び比較例5〜7には生茶葉Cを使用した。
生葉カッターMUC−700(株式会社ヨシダ社製)を用いて、表2に記載の条件でそれぞれ1kgずつ生茶葉を切断処理した後、表1に記載の工程順序及び表2に記載の各条件で、釜炒り機(カワサキ機工社製)、あるいは蒸機(カワサキ機工社製)を用いて殺青処理を行った。
なお、表1に記載のとおり、実施例2、3、5〜7、9、10及び比較例6においては、殺青処理後の各茶葉を、茶葉乾燥機(カワサキ機工社製)を用いて、表2に記載の各条件で乾燥した(第一乾燥工程)。
なお、この際、本願発明の要件を満たすため、釜炒り法の場合は直熱温度の調整による温度調整、蒸熱法の場合は第一乾燥機の熱風の風量調整による温度調整によって、茶葉の表面を選択的に乾燥させた。
また、比較例1は殺青工程を行わず、比較例2は蒸熱による殺青工程後の第一乾燥工程を行わず、比較例3は圧搾結着工程を行った後に第一乾燥工程を行った。
また、比較例7は蒸熱による殺青工程後、従来の荒茶製造工程で使用する粗揉機(カワサキ機工社製)を用いて、打圧を加えながら乾燥を行った。
(葉こぼれ生成量)
本工程により生じた葉こぼれの生成量は、切断失活工程乃至第一乾燥工程後の茶葉100gを回収し、18号篩にて切断した後、20号篩にて分別された20号篩下の葉こぼれ片の重量を測定し、単位茶葉重量(g)に対する葉こぼれ片重量(g)の百分率(%)として算出した。
(圧搾結着工程)
切断失活工程後の実施例1〜10及び比較例1〜3、6に対応する各茶葉の圧搾結着工程を行った。なお、本実施例にあっては、ローターバン(VIKRAM INDIA LIMITED社製)を用いて、揉み込みを行った。
なお、実施例11は圧搾結着工程の揉み込みをミンチ機(2GM−P3、日本キャリア社製)にて行い、比較例4は圧搾結着工程を行わず、比較例5は圧搾結着工程の揉み込みを従来の揉捻工程で行った。なお、実施例においては、3軸方向のせん断力の強さはローターバンやミンチ機の回転数を制御することで調整することができる。
更に、圧搾結着工程後の葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出の状態を目視で確認した。目視評価における評価項目は以下の通りである。また比較例1〜5及び7については結着した葉こぼれは形成されていなかった。

葉こぼれの結着の状態:
多い:葉こぼれの生成が多く、結着しきれなかった葉こぼれが粉として残っている
やや多:葉こぼれの生成がやや多く、粉が少し残っている
適:粉も少なく、加工茶葉が顆粒状に形成されている
やや少:葉こぼれの生成がやや少なく、顆粒がやや崩れ気味である
少ない:葉こぼれ生成が少なく、結着されにくい、顆粒が崩れ気味である

茶葉内部成分の付着の状態:
多い:内部成分の浸出が多く、茶葉表面に付着しきれず、過剰である
やや多:内部成分の浸出がやや多く、茶葉表面への付着がやや過剰である
適:内部成分の浸出が適度であり、茶葉表面に十分付着している
やや少:内部成分の浸出がやや少なく、茶葉表面への付着が十分でない
少ない:内部成分の浸出が少なく、茶葉表面への付着があまり見られない
更に、圧搾結着工程後の実施例1〜10、比較例1、2、6及び7に対応する各茶葉にミンチ機(42GM−P3、日本キャリア社製)を用いて成形工程を行った。なお実施例11及び比較例3〜5は成形工程を行わなかった。
(第二乾燥工程)
成形工程後の実施例1〜10、比較例1、2及び7に対応する各茶葉、実施例11及び比較例3〜5に対応する各茶葉を、自動乾燥機120K−3(カワサキ機工社製)を用いて、表2に記載の各条件にて乾燥し、実施例1〜11及び比較例1〜7の加工茶葉サンプルを得た。なお、比較例6は第二乾燥工程を行わなかった。
表1及び表2に従い作成した実施例1〜11及び比較例1〜7の加工茶葉サンプルについて、以下のとおり分析・測定を行った。
<保有水分量(A)、(C)>
しとり機(SYS330S、寺田製作所社製)を用いて切断失活工程乃至第一乾燥工程後の茶葉表面の保有水分量(A)を測定・算出した。また同様に、圧搾結着工程後の茶葉表面の保有水分量(C)を測定・算出した。
<保有水分量(B)、(D)>
重量乾燥法により測定、算出された第一乾燥工程後の茶葉全体の保有水分量から茶葉表面の保有水分量を引いた値を保有水分量(B)として算出した。また同様に、圧搾結着工程後の茶葉全体の保有水分量から茶葉表面の保有水分量を引いた値を保有水分量(D)として算出した。
<保有水分量の比率>
茶葉表面の保有水分量に対する茶葉内部の保有水分量の比率((B)/(A))は上記保有水分量(B)を保有水分量(A)により除した値を算出した。また、((D)/(C))も同様に上記保有水分量(D)を保有水分量(C)により除した値を算出した。
<食物繊維量>
原料となる生茶葉に含まれる食物繊維量を酵素−重量法により分析・測定した。
<ペクチン含有量>
生茶葉に含まれるペクチンを加水分解して得られるガラクツロン酸をm−ヒドロキシジフェニル法にて定量を行った。m−ヒドロキシジフェニル法においては補正係数を0.91とし、可溶性ペクチン量を算出した。なお、標準品はガラクツロン酸を使用した。
<平均粒子径>
各加工茶葉を篩分け法によって測定した。JISZ8801基準篩を使用したロータップ式自動篩器を用いてふるい分け、それぞれの篩上に残った試料の重量を計測し、グラフに累積分布を記載して平均粒子径等を求めた。
<不溶性固形分>
加工茶葉10gを遠沈管に採取し、イオン交換水10gを加えて、十分に震盪した後に、回転数3000rpmで遠心分離し、濾紙(ADVANTEC東洋株式会社社製 型番:No.5C 直径90mm)の乾燥重量を測定後、前記濾紙で遠心分離後の上清固形物を濾過することにより収集し、次いで前記遠沈管にイオン交換水10gを加えて十分に震盪し、再度同条件で遠心分離後、前記濾紙で同様に上清固形物を吸引濾過により収集する。再度同様の処理を繰り返した後、遠沈管中に残った固形物を水洗いによって収集し、最終的に全ての固形分を前記濾紙上に集めて水洗いして吸引濾過を行い、前記固形分が収集された状態で、前記濾紙を60℃、3時間乾燥し、乾燥後の重量を測定し、乾燥前後の濾紙の重量の差から不溶性固形分を算出した。
<間隙率>
各茶葉100gを測りとり、1000mlのメスシリンダーを用いて茶葉全体積を測定した。また空隙体積は茶葉100gを測りとり、穀類検査用粉砕機(ケット科学研究所社製)で約1分間粉砕した後、1000mlのメスシリンダーを用いて測定した。間隙率は、空隙体積を茶葉全体体積で除した値に100を乗じて算出した。
<糖類>
試料の加工茶葉を50mg測り取り、30mlの水を加えて30分間超音波抽出を行い、50mlにメスアップし、これに内部標準を添加して、10倍に希釈した後、陰イオンカートリッジを用いて前処理を行い、HPLC糖分析装置を下記の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
カラム:Dionex社 Carbopack PA1 φ4.6×250mm
カラム温度:30℃移動相:A相 200mM NaOH
B相:1000mM Sodium Acetate
C相:超純水
流速:1.0mL/min
注入量:25μL
検出:Dionex社ED50 金電極
<かさ比>
加工茶葉100gを測り取り、1000mlメスシリンダー(東京硝子器機社製)にてかさ比を測定した。
(タンニン含有量)
官能評価で抽出した各実施例及び比較例の加工茶葉抽出液をサンプリングし、酒石酸鉄法によってタンニン含有量を測定・算出した。
表1及び表2に従い加工、測定した実施例1〜11及び比較例1〜7のサンプルについて、以下のとおり官能評価を行った。
<官能評価>
官能評価はティードリップ用フィルター(180mm×74mm、ナイロン製)に各実施例及び各比較例の加工茶葉5gを測りとり、90℃、180mlのお湯を注ぎ、30秒間ドリップ抽出したサンプルについて8人のパネラーが以下の評価方法に基づいて実施し、最も多かった評価を採用した。なお、それぞれの官能評価における評価項目は以下の通りである。なお、濃度感とは、渋味や甘味の味だけでなく、香りや食感を含めた濃度を評価し、またフィルターの目詰まりは目視にて確認した。

緑茶の渋味とほのかな甘味及び濃度感:
◎:緑茶の渋味とほのかな甘味が十分にあり、濃度感も強く、極めて良好
○:緑茶の渋味とほのかな甘味があり、濃度感もあり、良好
△:緑茶の渋味とほのかな甘味がやや弱く、濃度感もやや弱い、あまりよくない
×:緑茶の渋味と甘味を感じにくく、濃度感も弱い、問題あり
緑茶特有の水色:
◎:水色は濃い緑色であり、極めて良好
○:水色は緑色であり、良好
△:水色がやや薄い、又はやや赤色を帯びており、あまりよくない
×:水色が薄い、又は赤色を帯びており、問題あり
抽出性:
◎:抽出性が高く、極めて良好
○:抽出性が良く、良好
△:やや抽出されづらい、又はやや過抽出であり、あまりよくない
×:抽出されづらい、又は過抽出であり、問題あり
フィルターの目詰まり:
◎:粉が少なく、目詰まりもない、極めて良好
○:目詰まりがあまりなく、良好
△:やや目詰まりがある、あまりよくない
×:目詰まりがある、問題あり
総合評価:
◎:ドリップ茶として、優れている
○:ドリップ茶として、適正がある
△:ドリップ茶としての適正にやや欠ける
×:ドリップ茶としての適正があまりない
Figure 0006711778
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切断失活工程、第一乾燥工程、圧搾結着工程及び第二乾燥工程を実施した実施例1〜11に記載の加工茶葉は、香味、水色、抽出性、フィルターの目詰まり及び総合評価が良好であった。特に実施例1〜6に記載の加工茶葉は、濃度感及び水色が十分であり、抽出性も高く、より良好なドリップ抽出用加工茶葉であった。とりわけ実施例1に記載の加工茶葉は、緑茶の渋味とほのかな甘味、濃度感が優れており、水色、抽出性及びフィルターの目詰まりの評価も極めて良好であった。
また、比較例1及び2は、葉こぼれの生成が無く、比較例3及び7は、葉こぼれの生成が抑制されていた。
更に、殺青工程を行っていない比較例1、蒸熱後に第一乾燥工程を行っていない比較例2、切断失活工程を圧搾結着工程の後に行った比較例3、圧搾結着工程を行っていない比較例4、圧搾結着工程を3軸方向のせん断力が無い従来の揉捻にて行った比較例5及び第一乾燥工程を打圧が加わる粗揉機にて行った比較例7は、圧搾結着工程後の葉こぼれの結着が形成されていなかった。
<試験例2>
試験例1の結果から、切断失活工程及び/又は第一乾燥工程、圧搾結着工程及び第二乾燥工程を、所定の工程順序で実施することで、茶葉表面と内部の水分差から、所定量の葉こぼれが生成され、生成された葉こぼれ同士が結着され、ドリップ抽出に適した加工茶葉が得られることが確認された。更に圧搾結着工程及び第二乾燥工程の条件が加工茶葉に与える影響を検討するため、下記の市販の各原料を使用し、更に実施例サンプルを作成した。
なお、表4は実施例及び比較例の加工工程のフローチャートであって、表5は実施例及び比較例の加工条件を示し、表6は実施例及び比較例の分析結果及び官能評価結果を示している。
(原料生茶葉)
試験例1で使用した生茶葉Aを6kg、生茶葉Bを6kg、生茶葉Cを4kg用意した。
(切断失活工程)
実施例12〜14及び実施例20〜22には生茶葉Aを使用し、実施例15〜17及び実施例23〜25には生茶葉Bを使用し、実施例18、19及び実施例26、27には生茶葉Cを使用した。各実施例及び比較例における切断失活工程の条件は、殺青処理が釜炒り法の場合は試験例1の実施例1の条件で行った。また殺青条件が蒸熱法の場合は、試験例1の実施例2の条件で行い、蒸熱後に茶葉乾燥機(カワサキ機工社製)を用いて第一乾燥工程を行った。
(圧搾結着工程)
切断失活工程後の実施例12〜27の各茶葉を、ローターバン(VIKRAM INDIA LIMITED社製)を用いて揉み込みを行った。なお実施例12及び16は茶葉を押し出す速度を下げることで葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出がやや多くなるように調整し、実施例14及び18は、更に茶葉を押し出す速度を下げ、葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出が多くなるように調整した。実施例13及び17は茶葉を押し出す速度を上げることで葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出がやや少なくなるように調整し、実施例15及び19は更に茶葉を押し出す速度を上げ、葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出が少なくなるように調整した。
また、試験例1と同様の評価項目により圧搾結着工程後の葉こぼれの結着及び茶葉内部成分の浸出の状態を目視で確認した。
更に、圧搾結着工程後の実施例12〜25の各茶葉をミンチ機(42GM−P3、日本キャリア社製)を用いて成形工程を行った。なお、実施例26及び27は成形工程を実施しなかった。
(第二乾燥工程)
圧搾結着工程後の実施例12〜27の各茶葉を、自動乾燥機120K−3(カワサキ機工社製)を用いて、表2に記載の条件にて乾燥し、実施例12〜27を得た。
(分析及び測定)
表4及び表5に従い作成した実施例12〜27のサンプルについて、試験例1と同様の分析、測定を行った結果を表6に示す。
<官能評価>
表4及び表5に従い加工、測定した実施例12〜27のサンプルについて、試験例1と同様に官能評価を行った結果を表6に示す。なお、それぞれの官能評価における評価項目は試験例1と同様である。
Figure 0006711778
Figure 0006711778
Figure 0006711778
切断失活工程、第一乾燥工程、圧搾結着工程及び第二乾燥工程を実施した実施例12〜27に記載の加工茶葉は、香味、水色、抽出性、フィルターの目詰まり及び総合評価が良好であった。特に実施例12、13、16、17、20、21、24及び25の加工茶葉は、濃度感及び水色が十分であり、抽出性も高く、より良好なティーバッグ茶であった。
試験例2の結果から、圧搾結着工程の条件によって、加工茶葉の間隙率、しまりが変化し、抽出性及びフィルターの目詰まりに影響することが確認された。また、第二乾燥工程の条件によって、加工茶葉の香味や水色が変化することが確認された。
また、実施例1〜27に対応する圧搾結着工程後の茶葉を総合機(カワサキ機工社製)を用いて、成形工程により平均粒子径1.5mm、かさ比270ml/100gに調整し、一辺が70mmの三角ナイロンメッシュティーバッグに3gずつ封入した。なお、成形工程後の第二乾燥工程は実施例1と同様の条件で行い、実施例1〜27に対応する加工茶葉ティーバッグを得た。
得られた実施例1〜27に対応する加工茶葉ティーバッグを90℃、180mlの湯で30秒間抽出した結果、濃度感、水色、抽出性及びフィルターの目詰まりは良好な評価となった。とりわけ実施例1及び2の加工茶葉ティーバッグは極めて良好であり、評価はドリップ抽出時と同様の傾向を示した。
本願発明は、短時間で一定の濃度まで抽出が可能で、ティーサーバーでのドリップ抽出やティーバッグ等に最適な加工茶葉及びその製造方法、並びに抽出性向上方法に利用することができる。
1 押圧面
2 載置面
3 垂直下方向の圧力
4 塊状に丸めこまれた茶葉
1’縦軸方向のせん断力
2’横軸方向のせん断力
3’奥行き軸方向のせん断力
4’茶葉

Claims (18)

  1. 生茶葉を切断し加熱により酵素を失活させる切断失活工程と、酵素失活後、打圧を加えずに茶葉表面の水分を選択的に乾燥させ茶葉表面に葉こぼれを形成させる第一乾燥工程と、前記第一乾燥工程後に茶葉内部に残留した水分及び内部成分を圧搾して浸出させ、浸出した水分によって前記葉こぼれを茶葉表面に再結着させると共に前記内部成分を茶葉表面に付着させる圧搾結着工程と、前記圧搾結着工程後に茶葉表面の付着水分を乾燥させる第二乾燥工程とを備え、
    前記第一乾燥工程では、(A)茶葉表面の保有水分量に対する(B)茶葉内部の保有水分量の比率((B)/(A))を1.2〜15.0に調整することを特徴とする加工茶葉の製造方法。
  2. 前記切断失活工程は釜炒り法によって行い、前記第一乾燥工程は前記失活工程と同時及び/又は別工程にて行うことを特徴とする請求項1に記載の加工茶葉の製造方法。
  3. 前記切断失活工程は蒸熱法によって行い、前記第一乾燥工程と前記失活工程が別工程で行うことを特徴とする請求項1に記載の加工茶葉の製造方法。
  4. 前記圧搾結着工程における茶葉の揉み込みは、茶葉に3軸方向のせん断力を加えることで行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加工茶葉の製造方法。
  5. 前記生茶葉中の食物繊維量3.0〜17.0質量%とし、ペクチン量1.0〜7.0質量%に調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加工茶葉の製造方法。
  6. 前記第二乾燥工程後の加工茶葉の平均粒子径が0.1〜15.0mmとなるように調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加工茶葉の製造方法。
  7. 前記第二乾燥工程後の加工茶葉における不溶性固形分の含有率50.0〜95.0質量%に調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加工茶葉の製造方法。
  8. 前記第二乾燥工程後の加工茶葉における間隙率3.0〜40.0%に調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加工茶葉の製造方法。
  9. 葉こぼれが茶葉表面に結着してなる構成を備えた加工茶葉であって、茶葉全体の保有水分量が0.1〜12.0質量%であり、(E)加工茶葉表面の保有水分量に対する(F)加工茶葉内部の保有水分量の比率((F)/(E))が1.0〜100.0であり、間隙率が3.0〜40.0%であり、かさ比が100〜900ml/100gであることを特徴とする加工茶葉。
  10. 多糖含有量に対する単糖及び二糖の含有量総量の比率((単糖+二糖)/多糖)が3.0〜40.0であることを特徴とする請求項9に記載の加工茶葉。
  11. 請求項9又は10に記載の加工茶葉を含むことを特徴とするティーバッグ。
  12. 請求項9又は10に記載の加工茶葉を含むことを特徴とするドリップバッグ。
  13. 茶葉を切断し加熱により酵素を失活させる切断失活工程と、酵素失活後、打圧を加えずに茶葉表面の水分を選択的に乾燥させて茶葉表面に葉こぼれを形成させる第一乾燥工程と、前記第一乾燥工程後に茶葉内部に残留した水分及び内部成分を圧搾して浸出させ、浸出した水分によって前記葉こぼれを茶葉表面に再結着させると共に前記内部成分を茶葉表面に付着させる圧搾結着工程と、前記圧搾結着工程後に茶葉表面の付着水分を乾燥させる第二乾燥工程と、を備え、
    前記第一乾燥工程では、(A)茶葉表面の保有水分量に対する(B)茶葉内部の保有水分量の比率((B)/(A))を1.2〜15.0に調整することを特徴とする、加工茶葉の抽出性向上方法。
  14. 茶葉を切断し加熱により酵素を失活させる切断失活工程と、酵素失活後、打圧を加えずに茶葉表面の水分を選択的に乾燥させて茶葉表面に葉こぼれを形成させる第一乾燥工程と、前記第一乾燥工程後に茶葉内部に残留した水分及び内部成分を圧搾して浸出させ、浸出した水分によって前記葉こぼれを茶葉表面に再結着させると共に前記内部成分を茶葉表面に付着させる圧搾結着工程と、前記圧搾結着工程後に茶葉表面の付着水分を乾燥させる第二乾燥工程と、を備え、
    前記第一乾燥工程では、(A)茶葉表面の保有水分量に対する(B)茶葉内部の保有水分量の比率((B)/(A))を1.2〜15.0に調整することを特徴とする、加工茶葉のフィルター目詰まり抑制方法。
  15. 請求項9又は10に記載の加工茶葉及び不活性気体を含有する包装体。
  16. 前記不活性気体と更に気体として水素とを含有することを特徴とする請求項15に記載の包装体。
  17. 請求項9又は10に記載された加工茶葉と不活性気体とを包装体に充填する工程を含むことを特徴とする包装茶葉の製造方法。
  18. 前記充填する工程において、気体として更に水素を包装体に充填することを特徴とする請求項17に記載の包装茶葉の製造方法。
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