JP6707854B2 - ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜および電子装置 - Google Patents
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Description
(A)下記構造単位a1)およびa2)を含むアルカリ可溶性樹脂と、
(B)光酸発生剤と、
(C)フェノール化合物と、
を含み、
前記(C)フェノール化合物が、式(C−1)、式(C−2)、式(C−3)および式(C−4)から選択される少なくとも1つの化合物を含む、ポジ型感光性樹脂組成物が提供される。
本実施形態に係るポジ型感光性樹脂組成物は、以下の成分を含むものである。
(A)構造単位a1)およびa2)を含むアルカリ可溶性樹脂
(B)光酸発生剤
(C)フェノール化合物
また、本実施形態に係る半導体装置、表示体装置等の電子装置は、上記硬化膜で構成されていることを特徴とする。
本実施形態に用いる(A)アルカリ可溶性樹脂は、以下の構造単位a1)およびa2)を含むものである。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含む。
この(B)光酸発生剤としては、たとえば感光性ジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。
感光性ジアゾキノン化合物としては、たとえばフェノール化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸と、のエステルを用いることがより好ましい。未露光部のレリーフパターン中に残存する感光剤は、硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても(B)光酸発生剤は重要な役割を果たす。このような役割を有する感光性ジアゾキノン化合物としては、より熱で分解し易い1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルを用いることがとくに好ましい。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、(C)フェノール化合物を含む。
これにより、充分な架橋を促進し、機械強度と残留応力のバランスに優れた膜を得ることができる。
また、ポジ型感光性樹脂組成物中における(C)フェノール化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
(C)フェノール化合物の含有量を上記範囲に設定することにより、硬化膜の残留応力と、パターン成形性の双方について良好なものとすることができる。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、必要に応じ、(D)密着助剤を含ませることができる。
ここで用いられる(D)密着助剤は、感光性樹脂組成物を硬化させた塗膜と、当該塗膜が形成された基板との結合強度を向上させる機能を有する成分である。
このような密着助剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応させることにより得られるケイ素化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物のうち、アミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応させることにより得られるケイ素化合物は、酸二無水物または酸無水物が開環する際に、分子内にカルボキシル基が生成する。
このように、(D)密着助剤として、分子内にカルボキシル基を少なくとも1以上含ませることにより、後述の有機溶媒との適度な親和性を発揮させつつ、感光性樹脂組成物の硬化物の基板に対する密着性を向上させることができる。
前記酸二無水物または酸無水物としては、密着性を向上させることができれば、特にその種類が制限されるものではないが、例えば、3,3'4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、シアノ無水マレイン酸、シトコン酸及び無水フタル酸等などが挙げられる。また、使用にあたっては単独、または2種類以上を併用して使用することができる。
また、ポジ型感光性樹脂組成物における(D)密着助剤の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。また、一実施形態においては、10質量部以下とすることもできる。
(D)密着助剤の含有量が上記範囲内であると、基板との密着性と感光性樹脂組成物の保存性とをバランスよく向上させることができる。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、(E)熱架橋剤を含んでいてもよい。(E)熱架橋剤は、反応性基としてヘテロ環を有する化合物が好ましく、なかでも、グリシジル基またはオキセタニル基を有する化合物が好ましい。これらのうち、カルボキシル基や水酸基等の活性水素を持つ官能基との反応性の観点からは、グリシジル基を有する化合物がより好ましい。グリシジル基を有する化合物としては、エポキシ化合物があげられる。
なお、本実施形態におけるポジ型感光性樹脂組成物は、上記において例示したエポキシ化合物を一種または二種以上含むことが可能である。
また、ポジ型感光性樹脂組成物における(E)熱架橋剤の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。
(E)熱架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、硬化時の残膜率、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物には、熱架橋を向上させる観点から、(F)硬化促進剤を含ませることができる。
(F)硬化促進剤としては、たとえば窒素を含む複素五員環化合物、または熱により酸を発生する化合物を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。(F)硬化促進剤として用いられる窒素を含む複素五員環化合物としては、たとえばピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、および1,2,4−トリアゾールが挙げられる。また、硬化促進剤として用いられる熱により酸を発生する化合物としては、たとえばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、およびサリチル酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン及びそのフェノール塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、オルソフタル酸塩、テトラフェニルボレート塩などが挙げられる。低温における硬化性をより効果的に向上させる観点からは、熱により酸を発生する化合物のうち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのスルホン酸塩および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンのテトラフェニルボレート塩の一方または双方を含むことがより好ましい。
また、(F)硬化促進剤の添加量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
(F)硬化促進剤の含有量を上記範囲内とすることで、熱架橋性と感光性樹脂組成物の保存性とを好適に両立することができる。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、(G)界面活性剤を含んでいてもよい。(G)界面活性剤は、たとえばフッ素基(たとえば、フッ素化アルキル基)もしくはシラノール基を含む化合物、またはシロキサン結合を主骨格とする化合物を含むものである。
本実施形態においては、(G)界面活性剤として、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を含むものを用いることがより好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがとくに好ましい。フッ素系界面活性剤としては例えば、DIC(株)製のメガファックF−171、F−173、F−444、F−470、F−471、F−475、F−482、F−477、F−554、F−556、およびF−557、住友スリーエム(株)製のノベックFC4430、及びFC4432等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は、通常、上記の成分を(S)溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。このような(S)溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いてもよい。
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、一般的に硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。このような数値範囲とすることにより、半導体素子の保護膜、絶縁膜としての機能を十分に発揮され、微細なレリーフパターンを得ることができる。
塗布方法としては、スピンコーターを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。
次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、レリーフパターンを形成する場合、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
加熱処理は高温でも低温でも可能であり、高温での加熱処理温度は、280℃〜380℃が好ましく、より好ましくは290℃〜350℃である。低温での加熱処理温度は150℃〜280℃が好ましく、より好ましくは180℃〜260℃である。加熱処理にはオーブン、ホットプレート、電気炉(ファーネス)、赤外線、マイクロ波などが使われる。
次に、本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物の用途について説明する。
その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、本実施形態の感光性樹脂組成物の塗膜の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上さらに好ましい。
表示体装置としては、TFT型液晶、有機EL、カラーフィルターなどが挙げられる。
図1および図2は、それぞれ本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。いずれにおいても、電子装置100のうちの絶縁膜を含む一部が示されている。
トランジスタ30は、たとえば液晶表示装置のスイッチング素子を構成する薄膜トランジスタである。基板10上には、たとえば複数のトランジスタ30がアレイ状に配列されている。本実施形態に係るトランジスタ30は、たとえばゲート電極31と、ソース電極32と、ドレイン電極33と、ゲート絶縁膜34と、半導体層35と、により構成される。ゲート電極31は、たとえば基板10上に設けられている。ゲート絶縁膜34は、ゲート電極31を覆うように基板10上に設けられる。半導体層35は、ゲート絶縁膜34上に設けられている。また、半導体層35は、たとえばシリコン層である。ソース電極32は、一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。ドレイン電極33は、ソース電極32と離間し、かつ一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。
絶縁膜20上および開口22内には、ドレイン電極33と接続する配線40が形成されている。配線40は、液晶とともに画素を構成する画素電極として機能する。
また、絶縁膜20上には、配線40を覆うように配向膜90が設けられている。
基板10と当該対向基板12との間には、液晶層14を構成する液晶が充填される。
まず、基板10上にトランジスタ30を形成する。次いで、基板10のうちトランジスタ30が設けられた一面上に、印刷法あるいはスピンコート法により感光性樹脂組成物を塗布し、トランジスタ30を覆う絶縁膜20を形成する。これにより、基板10上に設けられたトランジスタ30を覆う平坦化膜が形成される。
次いで、絶縁膜20を露光現像して、絶縁膜20の一部に開口22を形成する。このとき、未露光部分が現像液に溶解し、露光部分が残ることとなる。この点は、後述する電子装置100の各例においても同様である。
次いで、絶縁膜20を加熱硬化させる。そして、絶縁膜20の開口22内に、ドレイン電極33に接続された配線40を形成する。その後、絶縁膜20上に対向基板12を配置し、対向基板12と絶縁膜20との間に液晶を充填し、液晶層14を形成する。
これにより、図1に示す電子装置100が形成されることとなる。
図2に示す電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜である絶縁膜50と、絶縁膜50上に設けられた最上層配線72が設けられている。最上層配線72は、たとえばAlにより構成される。
絶縁膜52には、最上層配線72に接続する開口24が形成されている。再配線70は、絶縁膜52上および開口24内に形成され、最上層配線72に接続されている。絶縁膜54には、再配線70に接続する開口26が設けられている。
これらの絶縁膜52および絶縁膜54は、本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物からなる永久膜により構成される。絶縁膜52は、たとえば絶縁膜50上に塗布されたポジ型感光性樹脂組成物に対し露光・現像を行うことにより開口24を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。また、絶縁膜54は、たとえば絶縁膜52上に塗布されたポジ型感光性樹脂組成物に対し露光・現像を行うことにより開口26を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、実施形態の例を付記する。
1. (A)下記構造単位a1)およびa2)を含むアルカリ可溶性樹脂と、
(B)光酸発生剤と、
(C)フェノール化合物と、
を含むポジ型感光性樹脂組成物。
2. 1.に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(C)フェノール化合物が、下記一般式(1)で表される、ポジ型感光性樹脂組成物。
3. 1.または2.に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(C)フェノール化合物を1質量部以上50質量部以下含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
4. 1.ないし3.のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
さらに(D)密着助剤が含まれる、ポジ型感光性樹脂組成物。
5. 4.に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(D)密着助剤を0.01質量部以上20質量部含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
6. 1.ないし5.のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
さらに(E)熱架橋剤が含まれる、ポジ型感光性樹脂組成物。
7. 6.に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(E)熱架橋剤を1質量部以上200質量部以下含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
8. 1.ないし7.のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成される硬化膜。
9. 8.に記載の硬化膜で構成される保護膜。
10. 8.に記載の硬化膜で構成される絶縁膜。
11. 8.に記載の硬化膜を備える電子装置。
<アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成>
密閉可能な反応容器内に、ノルボルネンカルボン酸(30.4g、220mmol)、メチルグリシジルエーテルノルボルネン(57.7g、320mmol)、マレイミド(24.3g、250mmol)、およびシクロヘキシルマレイミド(44.8g、250mmol)を計量した。さらに、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(12.0g、52mmol)を溶解させたプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)113gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、70℃で16時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、アセトン200gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘキサンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘキサンでさらに洗浄した後、30℃にて16時間真空乾燥させアルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。ポリマーの収得量は126g、収率は80%であった。上記操作により、重量平均分子量Mwが8500である、下記式(8)により示される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂を得た。
<アルカリ可溶性樹脂(A−2)の合成>
密閉可能な反応容器内に、ノルボルネンカルボン酸(31.8g、230mmol)、エチルオキセタンビニルエーテル(42.7g、300mmol)、マレイミド(24.3g、250mmol)、およびシクロヘキシルマレイミド(44.8g、250mmol)を計量した。さらに、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(11.9g、52mmol)を溶解させたプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)104gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、70℃で16時間反応させた。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、アセトン187gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘキサンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘキサンでさらに洗浄した後、30℃にて16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は111g、収率は77%であった。上記操作により、重量平均分子量Mwが11500である、下記式(9)により示される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂(A−2)を得た。
<アルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成>
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸21.4g(83mmol)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール22.4g(166mmol)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.9g(83mmol)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン36.6g(100mmol)とを入れ、N−メチル−2−ピロリドン330gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。
次に、N−メチル−2−ピロリドン27.9gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物5.6g(34mmol)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。
反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のポリアミド樹脂(アルカリ可溶性樹脂(A−3))を得た。ポリアミド樹脂の収量は53g、収率は63%であった。また、このポリアミド樹脂の重量平均分子量Mwは、14,500であった。
<光酸発生剤(B−1)の合成>
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、式(B−0)で表されるフェノール化合物11.0g(26mmol)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.8g(70mmol)とアセトン170gとを入れて撹拌、溶解させた。
次に、反応溶液の温度が35℃以上にならないように、ウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(77mmol)とアセトン5.5gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(17mmol)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入し、その後、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥することで、式(B−1)の構造で表される光酸発生剤を得た。
<密着助剤(D−1)の合成>
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(45.6g、300mmol)をγ−ブチロラクトン(970g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(62g、280mmol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行い下記式(10)で表される密着助剤(D−1)を得た。
<密着助剤(D−2)の合成>
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(32.2g、100mmol)をγ−ブチロラクトン(669g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(42.1g、190mmol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行い下記式(11)で表される密着助剤(D−2)を得た。
実施例1〜4および実施例7〜8、参考例1〜2、ならびに比較例1〜4のそれぞれについて、以下のように感光性樹脂組成物を調製した。まず、表1に従い配合された各成分を、調合後の粘度が約500mPa・sになるようにγ−ブチロラクトン(GBL)に溶解させて窒素雰囲気下で撹拌させた後、孔径0.2μmのポリエチレン製フィルターで濾過することにより、ワニス状感光性樹脂組成物を得た。表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1中の単位は、質量部である。
(A−1)上記合成例1により得られたアルカリ可溶性樹脂
(A−2)上記合成例2により得られたアルカリ可溶性樹脂
(A−3)上記合成例3により得られたポリアミド樹脂
(B−1)上記合成例4により得られた光酸発生剤
(C−1)メチレンビスレゾルシン(本州化学(株)製)
(C−2)2,4,6,3',5'−ビフェニルペントール(関東化学(株)製)
(C−3)OC4HBPA(本州化学(株)製)
(C−4)OC4HBPM(本州化学(株)製)
(C−5)TrisP−PA−MF(本州化学(株)製)
(C−6)ビスフェノールF(本州化学(株)製)
(D−1)上記合成例5により得られたシランカップリング剤
(D−2)上記合成例6により得られたシランカップリング剤
(D−3)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製)
(E−1)セロキサイド2021P((株)ダイセル製)
(E−2)アロンオキセタンOXT−221(東亞合成(株)製)
(F−1)UCAT SA506(サンアプロ(株)製)
(F−2)UCAT 5002(サンアプロ(株)製)
(G−1)FC4430(住友3M(株)製)
上記で得られた感光性樹脂組成物を、それぞれ、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約7.5μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷社製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー(ニコン社製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に、現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.0μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。100μmの正方形のビアホールのパターンが形成される最低露光量の値を感度(mJ/cm2)として評価した。
なお、最低露光量はプロセスのスループットの面から低いほうがよい。
各実施例、各参考例および各比較例について、得られた感光性樹脂材料を窒素雰囲気下、300℃、30分の条件下で硬化して得られる試験片(10mm×60mm×10μm厚)に対して引張試験(延伸速度:5mm/分)を23℃雰囲気中で実施した。引張試験は、オリエンテック社製引張試験機(テンシロンRTC−1210A)を用いて行った。試験片5本を測定し、破断した距離と初期距離から下記の式を用いてそれぞれ引張伸び率を算出し、平均化したものを引張伸び率とした。表1に結果を示す。
引張伸び率(%)=(破断距離−初期距離)/初期距離×100
まず、23℃にて8インチのシリコンウェハ(厚み725μm)の反り量を薄膜応力測定装置(FLX−2330S東邦テクノロジー(株))で測定した。次に各実施例、各参考例および各比較例で得られた感光性樹脂組成物を8インチシリコンウェハに膜厚が硬化後10μmとなるよう塗布膜を作成し、120℃で4分加熱処理後、更に窒素雰囲気下、200℃、60分の条件で硬化した。硬化膜を23℃まで冷却後、再度、薄膜応力測定装置にて塗布後の反り量を測定し、硬化前後の反り量より樹脂膜の応力を算出した。樹脂膜の応力はチップの反りを防ぐ目的から低い程よい。
表面にアルミ回路を備えた模擬素子ウエハを用いて、実施例1〜4および実施例7〜8、参考例1〜2の感光性樹脂組成物を、それぞれ、最終5μmとなるよう塗布した後、パターン加工を施して硬化した。その後、チップサイズ毎に分割して16Pin DIP(Dual Inline Package)用のリードフレームに導電性ペーストを用いてマウントした後、半導体封止用エポキシ樹脂(住友ベークライト社製、EME−6300H)で封止成形して、半導体装置を作製した。これらの半導体装置(半導体パッケージ)を85℃/85%湿度の条件で168時間処理した後、260℃半田浴槽に10秒間浸漬し、次いで、高温、高湿のプレッシャークッカー処理(125℃、2.3atm、100%相対湿度)を施してアルミ回路のオープン不良をチェックした。その結果、腐食などはみられず半導体装置として問題無く使用できるものと予想される。
10 基板
12 対向基板
14 液晶層
20 絶縁膜
22 開口
24 開口
26 開口
30 トランジスタ
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層
40 配線
42 配線
50 絶縁膜
52 絶縁膜
54 絶縁膜
70 再配線
72 最上層配線
74 バンプ
80 再配線層
90 配向膜
92 配向膜
Claims (10)
- 請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(C)フェノール化合物を1質量部以上50質量部以下含む、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
さらに(D)密着助剤が含まれる、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 請求項3に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(D)密着助剤を0.01質量部以上20質量部以下含む、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
さらに(E)熱架橋剤が含まれる、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、前記(E)熱架橋剤を1質量部以上200質量部以下含む、ポジ型感光性樹脂組成物。 - 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成される硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化膜で構成される保護膜。
- 請求項7に記載の硬化膜で構成される絶縁膜。
- 請求項7に記載の硬化膜を備える電子装置。
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