以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ1およびこれに対して上方から嵌合されるプラグコネクタ2の斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態を示している。図2は、図1のレセプタクルコネクタ1およびプラグコネクタ2を上下反転させて示した斜視図であり、プラグコネクタ2を下方から嵌合させるようにした姿勢で示した斜視図である。
本実施形態におけるレセプタクルコネクタ1及び該レセプタクルコネクタ1の相手コネクタたるプラグコネクタ2は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)の実装面上に配される回路基板用電気コネクタであり、各回路基板の面に対して直角な方向(図1での上下方向(Z軸方向))を挿抜方向とするコネクタ組立体を構成している。レセプタクルコネクタ1については、プラグコネクタ2に対するコネクタ嵌合方向が図1での上方(Z1方向)であり、コネクタ抜出方向が図1での下方(Z2方向)となる。また、プラグコネクタ2については、レセプタクルコネクタ1に対するコネクタ嵌合方向が図1での下方(Z2方向)であり、コネクタ抜出方向が図1での上方(Z1方向)となる。なお、本実施形態ではプラグコネクタ2を相手コネクタとして説明するが、プラグコネクタ2からするとレセプタクルコネクタ1が相手コネクタとなる。
レセプタクルコネクタ1は、図1に見られるように、略直方体外形をなすレセプタクル側ハウジング10と、該レセプタクル側ハウジング10の長手方向を端子配列方向(X軸方向)として該レセプタクル側ハウジング10によって二列に配列保持される複数のレセプタクル端子20と、上記長手方向に沿って上記レセプタクル側ハウジング10に保持されるロック部材としてのロック金具30と、レセプタクル側ハウジング10の周壁を覆うようにして該レセプタクル側ハウジング10に取り付けられたシールド部材40とを有している。該レセプタクルコネクタ1は、図1で示される姿勢で、回路基板(図示せず)上に配置実装される。
レセプタクル側ハウジング10は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、回路基板の実装面と平行な一方向を長手方向(端子配列方向)として延びている。該レセプタクル側ハウジング10は、上記実装面に対して平行な底壁11(図2参照)と、図1にて、該底壁11から上方(Z1方向)へ向けて起立するとともに端子配列方向に延びる凸状の突壁12と、上記底壁11から上方へ向けて起立するとともに上記突壁12を囲む枠状の周壁13とを有している。該周壁13は、上記端子配列方向(X軸方向)に延びる一対の側壁14と、該端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(Y軸方向)に延び上記一対の側壁14の端部同士を連結する一対の端壁15とを有している。上記突壁12と周壁13との間で上方へ向け開口する環状空間は、プラグコネクタ2の嵌合部としての周壁53を受け入れるための受入部16として形成されている。
レセプタクル側ハウジング10は、レセプタクル端子20、ロック金具30及びシールド部材40を保持する形態をなしているが、その形態の理解のために、レセプタクル側ハウジング10のさらなる説明に先立ち、まず、レセプタクル端子20、ロック金具30及びシールド部材40について説明する。
レセプタクル端子20は、図1,2に見られるように、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られている。該レセプタクル端子20は、コネクタ幅方向に延びる基部21(図2参照)と、該基部21の一端で直角に屈曲されて上方へ向けて延びる接触腕部22(図1参照)と、基部21の他端から逆U字状に延びる被保持部23(図1参照)と、該被保持部23からコネクタ幅方向外方(図2にて、手前側の列のレセプタクル端子20についてはY2方向、奥側の列のレセプタクル端子20についてはY1方向)へ向けて延びる接続部24(図2参照)とを有している。該レセプタクル端子20は、基部21及び被保持部23がそれぞれレセプタクル側ハウジング10の底壁11及び側壁14で一体モールド成形により保持されている。
接触腕部22は、レセプタクル側ハウジング10の突壁12に形成された後述する縦溝部12D内に収容されており、該接触腕部22の板厚方向、換言するとコネクタ幅方向で弾性変形可能となっている。該接触腕部22の上端には、プラグコネクタ2に設けられた相手端子としてのプラグ端子60との接触のための接触部22Aがコネクタ幅方向外方へ向けて突出して形成されており、受入部16内に位置している。逆U字状(図1参照)をなす被保持部23は、二つの脚部のうちコネクタ幅方向内方に位置する内脚部の板面が側壁14の内面から露呈しており、該板面の上部に、上記プラグ端子60と係止するためのロック部23Aが突出形成されている。また、接続部24は、被保持部23の二つの脚部のうちコネクタ幅方向外方に位置する外脚部の下端(図2では上端)からはコネクタ幅方向外方へ向けてレセプタクル側ハウジング10の外に延出しており、回路基板の対応回路部(図示せず)に半田接続されるようになっている。
次に、図3(A),(B)をも参照しながらロック金具30の構成について説明する。図3(A)は、図1のレセプタクルコネクタ1のロック金具30を、図1のレセプタクルコネクタに保持されている姿勢で示した斜視図であり、図3(B)は、図3(A)のロック金具30を屈曲形成する前の金属板部材30’を示す平面図である。ロック金具30は、後述するように、図3(A)での右方(X1方向)へ向けて押圧されるロック解除操作を受けることにより端子配列方向に移動するようになっている。本実施形態では、図3(A)での右方(X1方向)、すなわちロック解除の際のロック金具30の移動方向前方を「前方」といい、図3(A)での左方(X2方向)を「後方」という。
ロック金具30は、図3(A)に見られるように、平板状の金属板部材30’(図3(B)参照)を板厚方向に屈曲して作られている。該ロック金具30は、コネクタ幅方向で重ねられた二枚の外板部30A及び二枚の内板部30B(必要に応じて「板部30A,30B」と総称する)と、ロック金具30の後端に形成されたロック解除操作部30Cと、上記二枚の内板部30Bとロック解除操作部30Cとを連結する連結部30Dとを有している。
板部30A,30Bは、上記金属板部材30’をその板厚方向に複数回折り返すように屈曲されて形成されており、互いに隣接する二枚の内板部30Bの両外側にそれぞれ一枚の外板部30Aが位置している。板部30A,30Bの前後方向(端子配列方向)での寸法は全て同じとなっている。互いに隣接する外板部30Aと内板部30Bとは前後方向全域にわたって下縁同士が折返部によって連結されている。また、互いに隣接する内板部30Bは後端部(後述する内延出部36B)の上縁同士が折返部によって連結されている。
外板部30Aは、該外板部30Aの前後方向全域にわたって直状をなして延びる外基部31Aと、該外基部31Aの上縁から起立するとともに前後方向に延びる三つの起立部、すなわち、端子配列方向で前方から順に位置する前方起立部32A、中間起立部32Bそして後方起立部32C(必要に応じて「起立部32A,32B,32C」と総称する)とを有している。さらに、該外板部30Aは、後述するように、起立部32A,32B,32Cのうちのいずれかの起立部から延びる前方被支持部33A、後方被支持部33B、外前方被規制部34A、外後方被規制部34B、前方ロック部35A、後方ロック部35B及び外延出部36Aを有している。以下、必要に応じて、前方被支持部33A及び後方被支持部33Bを「被支持部33A,33B」と総称し、外前方被規制部34A及び外後方被規制部34Bを「被規制部34A,34B」と総称し、前方ロック部35A及び後方ロック部35Bを「ロック部35A,35B」と総称する。
上記三つの起立部は、中間起立部32B、後方起立部32C、前方起立部32Aの順で、前後方向での寸法が大きくなっている。被支持部33A,33Bは、レセプタクル側ハウジング10の対応部(後述の前方中央支持部12A−1および後方支持部12C−2)に対して下方へ向けて係止してレセプタクル側ハウジング10からのロック金具30の下方への脱落を防止するための部分であり(図4参照)、中間起立部32Bでの前後方向で異なる二位置(前方被支持部33Aが後方被支持部33Bよりも前方に位置している)で該中間起立部32Bから上方へ延びてから後方に向け屈曲した逆L字状をなして形成されている。被支持部33A,33Bの逆L字状部分のうち上下方向に延びる縦部は、後述するように、前方中央支持部12A−1及び後方支持部12C−2のそれぞれの規制面12A−1A,12C−2A(端子配列方向に対して直角な端面)に当接して後方へ向けたロック金具30の最大移動量を規制するための部分として機能する(図4参照)。
外前方被規制部34Aは、後述するように、レセプタクル側ハウジング10の規制面17E−1(後述する前方突壁溝部17Eの内壁面)に当接して後方へ向けたロック金具30の最大移動量を規制するための部分であり、中間起立部32Bの前端部から上方へ向けて直状に延びている。一方、外後方被規制部34Bは、後述するように、シールド部材40に設けられた後述の弾性変形部45の先端片45A−1,45B−1の前方に位置して該先端片45A−1,45B−1の前方への最大弾性変形量を規制するための部分であり、後方起立部32Cの前後方向中間位置から上方へ向けて直状に延びている。
前方ロック部35Aは、前方起立部32Aの後端部から上方そして後方へ延びており、該前方起立部32Aの後縁よりも後方へ向けて突出する部分が、プラグコネクタ2に設けられた相手ロック金具としての被ロック金具70と係止可能な前方ロック突部35A−1として形成されている。一方、後方ロック部35Bは、中間起立部32Bの後端部から上方そして後方へ延びており、該中間起立部32Bの後縁よりも後方へ向けて突出する部分が、上記被ロック金具70と係止可能な後方ロック突部35B−1として形成されている。前方ロック突部35A−1及び後方ロック突部35B−1は、上縁が後方へ向かうにつれて下方に傾斜する斜縁を有しているとともに、下縁が上下方向に対してほぼ直角な方向(前後方向)に延びていて鉤状に形成されている(図4をも参照)。
外延出部36Aは、後方起立部32Cの後端部から上方へ向けて直状に延びており、該外延出部36Aの前方に位置する外後方被規制部34Bとの間に形成される空間で、シールド部材40の弾性変形部45の先端片45A−1,45B−1を収容するようになっている(図4参照)。
内板部30Bは、該内板部30Bの前後方向全域にわたって直状をなして延びる内基部31B(図3(B)参照)と、該内基部31Bの上縁から起立するとともに前後方向に延びる主補強部37と、該主補強部37から延びる内前方被規制部34C、内後方被規制部34D、内延出部36B(図3(B)参照)、前方副補強部38A、後方副補強部38Bを有している。以下、必要に応じて、内前方被規制部34C、内後方被規制部34Dを「被規制部34C,34D」と総称し、前方副補強部38A、後方副補強部38Bを「副補強部38A,38B」と総称する。
内基部31Bは、外板部30Aの外基部31Aと同じ高さ寸法(上下方向寸法)で形成されているとともに、該外基部31Aと下縁同士で折返部を介して連結することにより該内基部31Bと該外基部31Aとで一つの基部を形成している。主補強部37は、内板部30Bの前後方向全域にわたって延びており、外板部30Aの起立部32A,32B,32Cと同じ高さ寸法で起立している。内前方被規制部34Cは、外板部30Aの外前方被規制部34Aと前後方向で対応する位置に形成されており、両者の後端縁が前後方向での同位置にある。該内前方被規制部34Cは、該内前方被規制部34Cの前方に位置する前方副補強部38Aと連結されて一体をなしている。内後方被規制部34Dは、外板部30Aの外後方被規制部34Bと同形状をなしており、該外後方被規制部34Bと前後方向で同位置に形成されている。
内延出部36Bは、前後方向で外板部30Aの外延出部36Aと対応する位置、すなわち主補強部37の後端部から上方へ向けて直状に延びており、該内延出部36Bの前端縁は、外延出部36Aの前端縁よりも若干前方に位置している(図4参照)。該内延出部36Bは、該内延出部36Bの前方に位置する内後方被規制部34Dとの間に形成される空間で、シールド部材40の弾性変形部45の先端片45A−1,45B−1を収容する。また、該内延出部36Bの前端部は、その前端縁で上記弾性変形部45の先端片45A−1,45B−1と当接することにより、該先端片45A−1,45B−1からの後方へ向けた付勢力(ばね力)を受ける当接部36B−1として機能する。
前方副補強部38Aは、主補強部37の前端部で起立するとともに、前後方向で外板部30Aの前方ロック部35Aを含む範囲、具体的には、外板部30Aの前方起立部32Aの前端位置から外前方被規制部34Aの中間位置にまでわたる範囲で延びている。既述したように、該前方副補強部38Aは、内前方被規制部34Cと連結されて一体をなしている。後方副補強部38Bは、主補強部37の中間部で起立するとともに、前後方向で外板部30Aの後方ロック部35Bを含む範囲、具体的には、後方ロック部35Bの前端位置から外板部30Aの起立部32B,32C同士間の位置にまでわたる範囲で延びている。
本実施形態では、ロック部35A,35Bを有する外板部30Aに隣接する内板部30Bを設けるとともに、該内板部30Bには内基部31Bのみならず主補強部37及び副補強部38A,38Bを設けることにより該内板部30Bの高さ寸法を大きく確保しているので、ロック金具30全体として、ロック金具30に対する曲げ変形、特にコネクタ挿抜方向での曲げ変形に対する強度が向上する。また、内板部30Bにおいて、主補強部37及び副補強部38A,38Bのみならず、被規制部34C,34Dや内延出部36Bも上述した強度の向上に寄与している。
連結部30Dは、二枚重ね形状をなしており、上縁同士が連結された内延出部36Bをそのまま後方へ延ばしたような形状をなしている。ロック解除操作部30Cは、連結部30Dの各板部の下端で屈曲されてコネクタ幅方向外方へ延びてから後方へ延びて形成されている。該ロック解除操作部30Cの後部は下方へ向けて屈曲されており、前後方向に対して直角な板面が、後述するロック解除操作時に前方へ向けた押圧力を受ける押圧面30C−1として機能する。
このような構成のロック金具30は、図3(B)に見られる金属板部材30’を各一点鎖線の位置で板厚方向に屈曲することにより形成される。まず、二つの一点鎖線Aで金属板部材30’を折り返すように谷折りすることより外板部30A及び内板部30Bを形成する。次に、一点鎖線Bで金属板部材30’を折り返すように山折りすることによって内板部30Bの板面同士を対面させるとともに、連結部30Dを形成する。さらに、一点鎖線Cで金属板部材30’を直角に谷折りし、さらに、一点鎖線Dで金属板部材30’を直角に山折りしてロック解除操作部30Cを形成することにより、図3(A)に示されるロック金具30が完成する。なお、金属板部材30’を各一点鎖線の位置で屈曲する順序は、上述したような一点鎖線A、B、C、Dの順序に限られず、どのような順序でもよい。
図1、図2及び図6に示すようにシールド部材40は、金属板を所定の形状に打ち抜いた後、板厚方向に屈曲して作られている。図1に見られるように、シールド部材40は、レセプタクル側ハウジング10の両端壁15及び側壁14の端部の上面を覆う上板部41と、コネクタ幅方向での該上板部41の両端縁で下方へ向けて直角に屈曲され端子配列方向に延びて側壁14を覆うとともにレセプタクル側ハウジング10に保持される側板部42と、端子配列方向での該側板部42の両端縁で上記コネクタ幅方向内方へ向けて屈曲され両端壁15の端壁面を覆う内端板部43(図2参照)と、端子配列方向での上板部41の両端寄り位置にて上板部41の側端縁で下方へ向けて直角に屈曲されて延び内端板部43の外面を覆う外端板部44と、内端板部43のコネクタ幅方向内方の縁部から後述するように後方側へ延びる弾性変形部45とを有している。
上板部41は、端壁15の上面を覆う端部分と二つの側壁14の端部を覆う側方部分とで上方からみて略U字状をなしている。上記端部分の端子配列方向内側の側縁(コネクタ幅方向に延びる側縁)からは下方へ屈曲されて端壁15の下部まで延びる二つの端取付片46が形成されている。また、側方部分の内側のコネクタ幅方向内側の側縁(端子配列方向に延びる側縁)からは、下方へ屈曲されて側壁14の上端寄り位置まで延びる外側接触片47が形成されている。
側板部42は、端子配列方向での端子配列範囲外にて、下縁部が切り欠かれていてレセプタクル側ハウジング10の対応部への圧入取付のための取付溝部42Aが形成されているとともに、該取付溝部42Aの両外側には回路基板の対応回路部へ半田接続により固定される固定脚部42Bが形成されている。側板部42の上縁からは、端子配列方向での端子配列範囲外かつ外側接触片47よりも内側の位置にて、コネクタ幅方向内方へ向けて延びてから下方へ向けて側壁14の上端寄り位置まで延びる内側接触片48が形成されている。
二つの内端板部43は、コネクタ幅方向内方へ向けて同方向での中間位置、具体的には後述する端壁15の端壁溝部17B,17Cの側縁(上下方向に延びる縁部)にまで延びており、先端(内端)同士が間隔をもって位置している。弾性変形部45は、それぞれの内端板部43の内端からコネクタ幅方向外方へ向けて折り返されてからさらにコネクタ幅方向内方へ向けて折り返された二つの弾性片45A,45Bにより形成されている。弾性片45A,45Bは、その先端部(内端縁)の上部に、上下方向で互いに異なる位置で、それぞれコネクタ幅方向内方へ向けて互いに近づくように延びる先端片45A−1,45B−1を有している。該弾性片45Aの先端片45A−1は、他方の弾性片45Bの内端縁に対向し、弾性片45Bの先端片45B−1は、上記先端片45A−1の下方位置で、他方の弾性片45Aの内端縁に対向するように延びている。また、該先端片45A−1,45B−1の下方には、ロック金具30の基部31A,31Bの後端部を収容するための収容部45Cが形成されている。
レセプタクル側ハウジング10の説明に戻る。レセプタクル側ハウジング10の底壁11は、図2に見られるように、コネクタ幅方向での中央寄り位置で後述するロック金具収容溝部17の底溝部17Aに隣接して上下方向に貫通する底孔部11Bと、コネクタ幅方向での底壁11の両縁部にて該底壁の底面(図2での上面)から没するとともにコネクタ幅方向外方へ開放された底凹部11Cとが、コネクタ幅方向での中心を通り端子配列方向に延びる中心線に対して対称をなして、端子配列方向で等間隔に配列形成されている。底孔部11B及び底凹部11Cは、端子配列方向でレセプタクル端子20と対応して配列形成されており、底孔部11Bにレセプタクル端子20の基部21の一部が収容され、底凹部11Cにレセプタクル端子20の接続部24が収容されるようになっている。
突壁12は、端子配列方向で底壁11の底孔部11B及び底凹部11Cと同位置に、図1に見られるように、突壁12の両方の側面から没して上下方向に貫通して延びる縦溝部12Dが形成されている。該縦溝部12Dは、上記底孔部11Bと連通しており、レセプタクル端子20の接触腕部22をその板厚方向での弾性変位を許容しつつ収容するようになっている。
側壁14は、端子配列範囲の両外側での該側壁14の内面(受入部16を形成する壁面)の上部に該内面から没入する側方凹部14Aが形成されている。該側方凹部14Aは、シールド部材40の外側接触片47及び内側接触片48の先端部を収容している。また、側壁14は、端子配列範囲の両外側に、シールド部材40の取付溝部42Aへ圧入される取付部14Bが該側壁14の下部の外側面から突出して形成されている。
端壁15は、後述するロック金具収容溝部17の端壁溝部17B,17Cのコネクタ幅方向での両側位置に、該端壁15の内面(受入部16を形成する壁面)から没入するとともに上下方向に延びる端凹部15Aが形成されている。端凹部15Aは、シールド部材40の端取付片46を収容するようになっている。
また、レセプタクル側ハウジング10は、ロック金具30の板部30A,30Bを収容するための一つのロック金具収容溝部17が、コネクタ幅方向での中央位置で、該コネクタ幅方向に対して直角に拡がるスリット状をなし、端子配列方向でのレセプタクル側ハウジング10の全域にわたって延びて形成されている。図4に見られるように、ロック金具収容溝部17は、コネクタ幅方向での中心を通る中心線(図示せず)に対して端子配列方向で対称(図4にて左右対称)の形状をなしている。
図4は、図1のレセプタクルコネクタ1のコネクタ幅方向に対して直角な面での断面図であり、コネクタ幅方向における外板部30Aの位置での断面を示している。この図4では右方が前方となり、左方が後方となる。ロック金具収容溝部17は、ロック金具30の外板部30Aそして内板部30Bの各部を収容するための溝部あるいは孔部が連通して形成されている。
以下、ロック金具収容溝部17の形状を、コネクタ幅方向(紙面に対して直角な方向)における外板部30Aの位置での形状と内板部30Bの位置での形状とに分けて説明する。外板部30Aの位置では、ロック金具収容溝部17は、図4に見られるように、ロック金具30の外基部31Aを収容するための底溝部17A(図2参照)と、前方起立部32A及び前方ロック部35Aを収容するための前方端壁溝部17Bと、後方起立部32Cの前半部を収容するための後方端壁溝部17Cと、中間起立部32Bを収容するための下方突壁溝部17D(図1参照)と、前方被規制部34Aを収容するための前方突壁溝部17Eと、後方ロック部35Bを収容するための後方突壁溝部17Fと、前方被支持部33Aを収容するための前方突壁孔部17Gと、後方被支持部33Bを収容するための後方突壁孔部17Hとを有している。
図2に見られるように、底溝部17Aは、底壁11に沿って端子配列方向での全域にわたって同方向に貫通して延びている。また、該底溝部17Aは、端子配列方向での受入部16に対応する範囲、すなわち突壁12と端壁15との間の範囲にて上下方向に貫通して、受入部16と連通している。図4に見られるように、前方端壁溝部17Bは、端子配列方向での前方(図4にて右端側)に位置する端壁15で、また、後方端壁溝部17Cは、端子配列方向での後方(図4にて左端側)に位置する端壁15で、上下方向に延びるとともに各端壁15の壁厚方向(端子配列方向)に貫通して形成されている。前方端壁溝部17Bの前半部(図4での右半部)そして後方端壁溝部17Cの後半部(図4での左半部)の上側内壁面(上下方向に対して直角な面)は、後述するように、それぞれロック金具30の前方起立部32Aの上縁および後方起立部32Cの上縁に当接して上方へ向けたロック金具30の移動を規制する規制面17B−1,17C−1として機能する。
下方突壁溝部17D(図1参照)は、突壁12の下部を前後方向に貫通するととともに、底溝部17A、前方突壁溝部17E、後方突壁溝部17F、前方突壁孔部17G及び後方突壁孔部17Hのそれぞれと連通している。
前方突壁溝部17Eは突壁12の前端側(図4にて右端側)で、前方へ開口した溝部として形成されている。後方突壁溝部17Fは、突壁12の後端側(図4にて左端側)で、上下方向に貫通するとともに後方へ開口した溝部として形成されている。前方突壁孔部17Gは端子配列方向での突壁12の中央位置よりも前方に寄った位置で、また、後方突壁孔部17Hは突壁12の中央位置よりも後方に寄った位置で、上下方向に貫通した孔部として形成されている。
図4に見られるように、突壁12には、端子配列方向での中央位置で前方突壁孔部17Gと後方突壁孔部17Hとを隔てる中央隔壁部12Aと、同方向での前端(右端)寄り位置で前方突壁溝部17Eと前方突壁孔部17Gとを隔てる前方隔壁部12Bと、同方向での後端(左端)寄り位置で後方突壁溝部17Fと後方突壁孔部17Hとを隔てる後方隔壁部12Cとが、島状に形成されている。
中央隔壁部12Aは、下部にて前方そして後方へそれぞれ突出する前方中央支持部12A−1、後方中央支持部12A−2を有しており、断面形状が全体として逆T字状をなしている。また、前方隔壁部12Bは、上部で前方へ向けて延び前方突壁溝部17Eの上端を閉塞する上壁部12B−1と、下部で後方へ向けて突出する前方支持部12B−2とを有しており、断面形状が全体としてクランク状をなしている。また、後方隔壁部12Cは、上部で後方へ向けて延び後方突壁溝部17Fの一部の上端を閉塞する上壁部12C−1と、下部で前方へ向けて突出する後方支持部12C−2とを有しており、断面形状が全体として前方隔壁部12Bの断面形状を左右反転させたクランク状をなしている。上壁部12B−1,12C−1の下面(上下方向に対して直角な面)、換言すると突壁溝部17E,17Fの上側内壁面は、後述するように、それぞれロック金具30の外前方被規制部34Aの上縁および後述するロック解除位置における後方ロック部35Bの上縁に当接して上方へ向けたロック金具30の移動を規制する規制面17E−2,17F−2として機能する。
前方突壁孔部17Gは、端子配列方向で互いに近づいて突出する前方中央支持部12A−1および前方支持部12B−2によって下部が狭められており、全体としてT字状をなしている。また、後方突壁孔部17Hは、端子配列方向で互いに近づいて突出する後方中央支持部12A−2および後方支持部12C−2によって下部が狭められており、全体としてT字状をなしている。
図4に見られるように、本実施形態では、前方中央支持部12A−1がロック金具30の前方被支持部33Aに係止し、後方支持部12C−2がロック金具30の後方被支持部33Bに係止することにより、レセプタクル側ハウジング10からのロック金具30の下方への脱落を阻止するための支持部として機能する。本実施形態では、前方支持部12B−2及び後方中央支持部12A−2は支持部として使用されない。
前方中央支持部12A−1および後方支持部12C−2のそれぞれの前端面(端子配列方向に対して直角な面)は、ロック金具30の被支持部33A,33Bの縦部と当接して、端子配列方向でのロック金具30の後方への移動を規制する規制面12A−1A,12C−2Aとして機能する。
また、前方支持部12B−2の端子配列方向に対して直角な前端面、換言すると、前方突壁溝部17Eの前後方向に対して直角な内壁面は、それぞれロック金具30の外前方被規制部34Aと当接して、端子配列方向でのロック金具30の後方への移動を規制する規制面17E−1として機能する。
コネクタ幅方向での内板部30Bの位置では、ロック金具収容溝部17は、コネクタ幅方向に見て、図4に示される外板部30Aの位置での溝部から前方突壁孔部17G及び後方突壁孔部17Hを省略したような形状をなしている。
以上の構成のレセプタクルコネクタ1は次の要領で組み立てられる。まず、レセプタクル側ハウジング10と二列に配列した複数のレセプタクル端子20とを一体モールド成形することにより、レセプタクル側ハウジング10でレセプタクル端子20を配列保持する。この結果、レセプタクル端子20の基部21の一部が底壁11によって保持され、レセプタクル端子20の被保持部23が側壁14により保持される。また、接触腕部22は、突壁12の縦溝部12D内に弾性変位可能に収容され、接続部24は、底壁11の底凹部11C内で露呈して位置する。
次に、シールド部材40をレセプタクル側ハウジング10に上方から取り付ける。このとき、シールド部材40の側板部42の取付溝部42A内にレセプタクル側ハウジング10の側壁14の取付部14Bが圧入される。また、側壁14の側方凹部14A内に外側接触片47及び内側接触片48が収容されるとともに、端壁15の端凹部15Aに端取付片46が収容される。
また、次のように、ロック金具30をレセプタクル側ハウジング10の下方からロック金具収容溝部17内へ収容させる。まず、ロック金具30の被支持部33A,33Bがそれぞれ端子配列方向でレセプタクル側ハウジング10の突壁孔部17G,17Hと同位置となるようにして、ロック金具30をレセプタクル側ハウジング10の下方に位置させる。そして、ロック金具30を上方に移動させて、被支持部33A,33Bをそれぞれ突壁孔部17G,17Hに進入させる。このとき、ロック金具30の外板部30Aの外基部31A、前方起立部32A、中間起立部32B、後方起立部32C、前方被規制部34A、前方ロック部35A及び後方ロック部35Bは、それぞれレセプタクル側ハウジング10の底溝部17A、前方端壁溝部17B、下方突壁溝部17D、後方端壁溝部17C、前方突壁溝部17E、前方端壁溝部17B及び後方突壁溝部17Fに進入する。また、これと同時に、ロック金具30の内板部30Bの内基部31B、内前方被規制部34C、主補強部37及び副補強部38A,38Bも、ロック金具収容溝部17の対応空間内に収容される。
後方被規制部34B,34D、延出部36A,36B、ロック解除操作部30C及び連結部30Dは、レセプタクル側ハウジング10より後方で該レセプタクル側ハウジング10外に位置する。また、レセプタクル側ハウジング10外では、シールド部材40の収容部45C内にロック金具30の基部31A,31Bの後端部が収容されるとともに、ロック金具30の被規制部34B,34Dと延出部36A,36Bとの間の空間にシールド部材40の弾性片45A,45Bの先端片45A−1,45B−1が収容される。
また、ロック金具30がロック金具収容溝部17内を上方へ向けて移動する過程にて、内延出部36Bの前端部である当接部36B−1が、上記先端片45A−1,45B−1を前方へ向けて押圧して弾性片45A,45Bを前方へ弾性変形させる。そして、ロック金具30の被支持部33A,33Bのそれぞれの横部が、前方中央支持部12A−1および後方支持部12C−2よりも上方にもたらされると、弾性片45A,45Bの復元力により内延出部36Bの当接部36B−1が後方へ押し戻される。この結果、被支持部33A,33Bのそれぞれの横部が前方中央支持部12A−1及び後方支持部12C−2の直上にもたらされる。
したがって、図4に見られるように、各横部が前方中央支持部12A−1および後方支持部12C−2に対して下方へ向けて係止可能に支持されて、レセプタクル側ハウジング10からのロック金具30の脱落が阻止される。このとき、ロック金具30のロック突部35A−1,35B−1が、それぞれレセプタクル側ハウジング10の前方端壁溝部17Bそして後方突壁溝部17F外へ突出し、受入部16内に位置する。このようにして、ロック金具30及びシールド部材40がレセプタクル側ハウジング10に取り付けられることにより、レセプタクルコネクタ1が完成する。
既述したように組み立てられたレセプタクルコネクタ1では、被支持部33A,33Bの縦部の側縁(左縁)および前方被規制部34Aの側縁(左縁)が、それぞれ前方中央支持部12A−1の規制面12A−1A、後方支持部12C−2の規制面12C−2A、前方突壁溝部17Eの規制面17E−1に当接し、後方へ向けたロック金具30の最大移動量が規制される。このようにロック金具30の最大移動量が規制されることにより、後述するプラグコネクタ2の被ロック金具70の被ロック部75C,72Cに対するロック部35A,35Bのロック量の最大値が規制される。したがって、該ロック量が過大となることに起因して、コネクタ嵌合過程にて被ロック金具70がロック部35A,35Bに上方から当接した際に該ロック部35A,35Bが損傷することを防止できる。
本実施形態では、ロック金具30は、シールド部材40の弾性変形部45からの付勢力を受けてロック部35A,35Bがそれぞれ前方端壁溝部17Bそして後方突壁溝部17Fから突出する「ロック位置」(図4に示される位置)と、上記付勢力に抗してロック部35A,35Bがそれぞれ前方端壁溝部17Bそして後方突壁溝部17F内に収容される「ロック解除位置」との間を、端子配列方向で移動可能となっている。
本実施形態では、図4に見られるように、ロック金具収容溝部17が左右対称な形状をなしているので、ロック金具30を、図4で示される姿勢を左右反転させた姿勢としても、ロック金具収容溝部17へ収容することが可能である。
次に、図1、図2および図5〜7にもとづいて、プラグコネクタ2の構成を説明する。プラグコネクタ2は、略直方体外形をなすプラグ側ハウジング50と、該プラグ側ハウジング50の長手方向を端子配列方向として該プラグ側ハウジング50によって二列に配列保持される複数の相手端子としてのプラグ端子60と、上記長手方向での上記プラグ側ハウジング50の両端部(後述の端壁55)で保持される二つの被ロック金具70とを有している。該プラグコネクタ2は、プラグ側ハウジング50で上記複数のプラグ端子60及び被ロック金具70を保持するように一体モールド成形することにより作られる。該プラグコネクタ2は、図2に示される姿勢で回路基板上に配置実装され、図1に示されるように上下反転させた姿勢でレセプタクルコネクタ1に嵌合接続される。
上記プラグ側ハウジング50は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、回路基板の実装面と平行な一方向を長手方向(端子配列方向)として延びている。該プラグ側ハウジング50は、上記実装面に対して平行な底壁51(図1参照)と、図2に見られるように、該底壁51から上方へ向けて起立する枠状の嵌合部としての周壁53とを有している。該周壁53は、上記端子配列方向に延びる一対の側壁54と、該端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁54の端部同士を連結する一対の端壁55とを有している。該周壁53に囲まれて図2での上方(Z2方向)へ開口する空間は、レセプタクルコネクタ1の突壁12を受け入れるための受入部56として形成されている。また、端壁55は、コネクタ幅方向中央位置に、レセプタクルコネクタ1のロック金具30の一部を受け入れるための凹部としての端溝部55Aが、該端壁55を壁厚方向(端子配列方向)で貫通するとともに上方(図1では下方)に向けて開口して形成されている。
上記プラグ側ハウジング50は、プラグ端子60及び被ロック金具70を保持する形態をなしているが、その形態の理解のために、プラグ側ハウジング50のさらなる説明に先立ち、まず、プラグ端子60及び被ロック金具70について説明する。
プラグ端子60は、金属板を打ち抜いて得られた帯状片を板厚方向に屈曲して作られている。図1,2に見られるように、該プラグ端子60は、プラグ側ハウジング50の各側壁54に一体モールド成形されて保持されており、該側壁54の長手方向を端子配列方向として等間隔をなして配列されている。本実施形態では、端子配列方向での両端に位置するプラグ端子60はレセプタクルコネクタ1のシールド部材40の内側接触片48と接触するグランド端子として使用され、その他のプラグ端子60はレセプタクル端子20と接触する信号端子として使用される。該プラグ端子60は、プラグ側ハウジング50の底壁51とほぼ同じ高さ位置でコネクタ幅方向外方へ延出する直状の接続部61と、該接続部61に連続して図2での上方(図1での下方)へ向けて屈曲されるとともに逆U字状(図1ではU字状)に延びて上記側壁54に埋没保持される被保持部62とを有している。
逆U字状をなす被保持部62は、コネクタ幅方向での内側に位置する脚部がレセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20との接触のための接触脚部62Aとして形成され、外側に位置する脚部が上記レセプタクル端子20とのロックのためのロック脚部62Bとして形成されている。接触脚部62Aは、上記側壁54の内側面に沿って延びていて、該接触脚部62Aの板面が該側壁54の内側面と同一面を形成するようにして受入部56へ向けて露呈している。一方、ロック脚部62Bは、上記側壁54の外側面に沿って延びていて、該ロック脚部62Bの板面が該側壁54の外側面と同一面を形成するようにして露呈している。該ロック脚部62Bの露呈した板面には、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20のロック部23Aと係止するためのロック段部62B−1が形成されている。
被ロック金具70は、金属板を所定の形状に打ち抜いた後、図5(A),(B)に見られるように、板厚方向に屈曲加工して作られている。図5(A)は、端子配列方向での後端側に設けられた被ロック金具70を後方側から見た斜視図であり、図5(B)は図5(A)の被ロック金具70を前方側から見た斜視図である。該被ロック金具70は、コネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ1のロック金具30にコネクタ抜出方向で係止するロック機能を有しているとともに、後述するように、レセプタクルコネクタ1のシールド部材40に接触して電気的に導通するグランド端子としての機能をも有している。
図2及び図5(A),(B)に見られるように、被ロック金具70は、プラグ側ハウジング50の底壁51の底面に沿って延びる底板部71(図1をも参照)と、コネクタ幅方向(Y軸方向)に延びる底板部71の内側縁(図5(A)での奥側の側縁、図5(B)での手前側の側縁)から延び四枚重ね形状をなす板部72,73,74,75(後述の内側被ロック板部72、内側補強板部73、外側補強板部74、外側被ロック板部75)と、上記底板部71の内側縁に直接連結された内側被ロック板部72のコネクタ幅方向での両方の側部から端子配列方向外方(X2方向)へ延びる側板部76と、該側板部76からコネクタ幅方向内方へ延びる上板部77と、該上板部77の外側縁から下方(Z1方向)へ延びる端板部78とを有している。
図1に見られるように、底板部71は、プラグ側ハウジング50の底壁51の底面から板面が露呈しており、回路基板のグランド回路部に半田接続されるようになっている。図5(A),(B)に見られるように、四枚重ね形状の板部72,73,74,75は、底板部71の上方に位置しており、底板部71の内側縁から上方へ延びる内側被ロック板部72と、該内側被ロック板部72の上縁で折り返されて下方へ延びる内側補強板部73と、該内側補強板部73の下縁で折り返されて上方へ延びる外側補強板部74と、該外側補強板部74の上縁で折り返されて下方へ延びる外側被ロック板部75とから成る。
内側被ロック板部72は、図5(B)に見られるように、コネクタ幅方向に延び底板部71の内側縁と連結されている基部72Aと、該基部72Aの両端から上方へ起立する内側起立部72Bと、該内側起立部72Bの上部からコネクタ幅方向内方に突出する内側被ロック部72Cとを有している。
内側補強板部73は、図5(B)に見られるように、コネクタ幅方向に延びる基部73Aと、該基部73Aの両端から上方へ起立する内側補強部73Bとを有している。基部73Aは、その下縁で折り返し部を経て外側補強板部74と連結されており、内側補強部73Bは、その上縁で折り返し部を経て内側被ロック板部72の内側起立部72Bと連結されている。内側補強部73Bは、内側被ロック板部72の起立部72Bよりもコネクタ幅方向で幅広に形成されており、該内側補強部73Bの内側縁(上下方向に延びる側縁)が、コネクタ幅方向での内側起立部72Bの被ロック部72Cの先端(内端)と同位置にある。このように、本実施形態では、内側補強板部73の内側補強部73Bは、コネクタ幅方向で内側被ロック板部72の内側起立部72B及び内側被ロック部72Cを含む範囲にわたって延びており、該内側起立部72B及び内側被ロック部72Cを補強している。
外側補強板部74及び外側被ロック板部75は、図5(A)に見られるように、それぞれ内側補強板部73及び内側被ロック板部72を端子配列方向(板厚方向)で反転させたような形状をなしている。外側補強板部74は、コネクタ幅方向に延びる基部74Aと、該基部74Aから起立する二つの外側補強部74Bとを有している。また、外側被ロック板部75は、コネクタ幅方向に延びるとともに下端が自由端をなす基部75Aと、該基部75Aから起立する二つの外側起立部75Bと、該外側起立部75Bの上部の内側縁から突出する外側被ロック部75Cとを有している。外側補強板部74の外側補強部74Bは、コネクタ幅方向で外側被ロック板部75の外側起立部75B及び外側被ロック部75Cを含む範囲にわたって延びており、該外側起立部75B及び外側被ロック部75Cを補強している。
このような形状の板部72,73,74,75は、既述したように端子配列方向で重ねられて配されており、コネクタ幅方向での中央位置には、端子配列方向で板部72,73,74,75の範囲を貫通するとともに上方に開口する受入溝部79が形成されている。該受入溝部79は、コネクタ嵌合状態にて、レセプタクルコネクタ1に設けられたロック金具30の一部、具体的には、内板部30Bの主補強部37及び副補強部38A,38Bを下方から受け入れる。
また、板部72,73,74,75は、プラグ側ハウジング50に保持された状態において、図2に見られるように、内側被ロック板部72の被ロック部72C及び内側補強板部73の内側縁部(コネクタ幅方向で内側被ロック板部72の被ロック部72Cに対応する範囲の側縁部)がプラグ側ハウジング50の端溝部55Aの内側壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から突出して該端溝部55A内に位置する。
被ロック金具70がプラグ側ハウジング50の端壁55に一体モールド成形により保持された状態において、該被ロック金具70の板部72,73,74,75のそれぞれの基部72A,73A,74A,75Aは、コネクタ幅方向で端溝部55Aを含んだ範囲で延び、起立部72B,75Bそして補強部73B,74Bの一部(後述の内側縁部を除いた部分)は、端溝部55Aの内側壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)に沿って端壁55の内部を上方へ向けて延びている。また、図1,2に見られるように、被ロック板部72,75の被ロック部72C,75C及び補強板部73,74の補強部73B,74Bの内側縁部(コネクタ幅方向で72C,75Cに対応する範囲の側縁部)が端溝部55Aの内側壁面から突出して該端溝部55A内に位置する。また、被ロック金具70の受入溝部79は、端溝部55A内でコネクタ幅方向中央に位置している。
また、側板部76、上板部77及び端板部78は、それぞれプラグ側ハウジング50の端壁55の側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)、上面(図1での下面)及び端面(端子配列方向に対して直角な面)から板面が露呈しており、端壁55の側面、上面及び端面を保護している。また、側板部76は、コネクタ嵌合状態にて、端壁55の側面から露呈する板面で、レセプタクルコネクタ1のシールド部材40の外側接触片47と接触して電気的に導通するようになっている。
図7(A)に見られるように、本実施形態では、前方(図7(A)にて右方)に位置する被ロック金具70の外側被ロック部75Cがロック金具30のロック突部35A−1と係止し、後方(図7(A)にて左方)に位置する被ロック金具70の内側被ロック部72Cがロック金具30のロック突部35B−1と係止するようになっている。したがって、本実施形態では、前方に位置する被ロック金具70の内側被ロック部72C及び後方に位置する被ロック金具70の外側被ロック部75Cは使用されない。なお、既述したように、ロック金具30は、図4で示される姿勢を左右反転させた姿勢で設けることが可能であり、その場合には、前方に位置する被ロック金具70の内側被ロック部72C及び後方に位置する被ロック金具70の外側被ロック部75Cが被ロック部として使用されることとなる。
次に、図1、図4、図6及び図7(A)にもとづいて、レセプタクルコネクタ1とプラグコネクタ2とのコネクタ嵌合動作について説明する。まず、レセプタクルコネクタ1およびプラグコネクタ2をそれぞれ対応する回路基板に半田接続により取り付ける。次に、図1に見られるように、レセプタクルコネクタ1を受入部16が上方へ向いた姿勢とするとともに、該レセプタクルコネクタ1の上方で、プラグコネクタ2の受入部56(図2参照)が下方へ向いた姿勢とする。
次に、図1の姿勢を維持したままプラグコネクタ2を降下させて、レセプタクルコネクタ1の突壁12をプラグコネクタ2の受入部56内へ下方から進入させるとともに、プラグコネクタ2の周壁53をレセプタクルコネクタ1の受入部16内へ上方から進入させる。この結果、プラグコネクタ2のプラグ端子60の接触脚部62Aが、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20の接触部22Aあるいはシールド部材40の内側接触片48に接圧をもって接触する。また、図6(A),(B)に見られるように、プラグコネクタ2の被ロック金具70の側板部76が、それぞれ対応するレセプタクルコネクタ1のシールド部材40の外側接触片47と接圧をもって接触する。
また、コネクタ嵌合過程において、プラグコネクタ2に設けられた二つの被ロック金具70の被ロック部75C,72Cが、それぞれロック位置にあるロック金具30のロック突部35A−1,35B−1の上縁(傾斜縁)に当接し、該ロック部35A,35Bを端子配列方向で前方(図4での右方)へ向けた押圧力をもって押圧する。ロック部35A,35Bは、上記押圧力を受けると、前方へ移動して、それぞれ前方端壁溝部17B内、後方突壁溝部17F内に収容されてロック解除位置(図7(B)参照)にもたらされる。このとき、ロック部35A,35Bの移動は、ロック金具30の当接部36B−1に押圧された弾性変形部45の弾性変形(圧縮)によって許容される。
上述したように、ロック部35A,35Bがロック解除位置にもたらされることにより、プラグコネクタ2のさらなる降下が許容される。そして、図7(A)に見られるように、前方(図7(A)にて右方)の被ロック金具70の外側被ロック部75Cそして後方(図7(A)にて左方)の被ロック金具70の内側被ロック部72Cが、ロック金具30のロック突部35A−1,35B−1よりも下方位置に達すると、該ロック部35A,35Bが上述の押圧力から開放される。この結果、弾性変形部45が弾性変形量を減ずるように後方へ復元され、当初のロック位置に復帰する。ロック位置に戻ったロック突部35A−1,35B−1は、図7(A)に示されるように、それぞれ対応する被ロック部75C,72Cの上方に位置することとなり、該被ロック部75C,72Cに対してコネクタ抜出方向(上方)へ係止可能に位置してロック状態となる。このとき、前方ロック突部35A−1の突出先端が、前方に設けられた被ロック金具70の外側補強部74Bの板面に当接し、後方ロック突部35B−1の突出先端が、後方に設けられた被ロック金具70の内側補強部73Bの板面に当接する。
また、ロック金具30の前方副補強部38A及び該前方副補強部38Aに対応する範囲での主補強部37が、これに対応して前方に位置する被ロック金具70の受入溝部79へ下方から進入する。一方、ロック金具30の後方副補強部38B及び該後方副補強部38Bに対応する範囲での主補強部37が、これに対応して後方に位置する被ロック金具70の受入溝部79へ下方から進入する。この結果、ロック金具30の補強部37,38A,38Bがプラグコネクタ2の端壁55の端溝部55Aへ進入することとなる。
このように、端子20,60同士が互いに接続され、外側接触片47と側板部76とが互いに接続され、ロック金具30,70同士がロックされることにより、コネクタ嵌合動作が完了する。コネクタ嵌合状態にて、プラグコネクタ2がコネクタ抜出方向(上方)へ不用意にもち上げられたとしても、起立部32A,32C及び被規制部34Aのそれぞれの上縁がレセプタクル側ハウジング10の規制面17B−1,17C−1,17E−2に当接するので、上方へ向けたロック金具30の移動が規制される。この結果、ロック金具30のロック部35A,35Bと被ロック金具70の被ロック部75C,72Cとの係止状態が維持され、安定したロック状態を維持できる。
本実施形態では、既述したように、レセプタクルコネクタ1のロック金具30において、内板部30Bを設けるとともに、該内板部30Bには内基部31Bのみならず、端子配列方向でロック部35A,35Bを含む範囲に主補強部37及び副補強部38A,38Bを設けることにより該内板部30Bの高さ寸法を大きく確保している。したがって、ロック金具30全体として、ロック金具30に対する曲げ変形、特にコネクタ挿抜方向での曲げ変形に対する十分な強度が確保されているので、コネクタ嵌合状態にて、ロック金具30がプラグコネクタ2の被ロック金具70から不用意に大きい抜出力を受けても、ロック金具30は曲げ変形することなく該抜出力に対抗することができる。
また、本実施形態では、既述したように、プラグコネクタ2の被ロック金具70において、補強板部73,74を設けて、被ロック部72C,75Cを含む範囲に位置する補強部73B,74Bによって被ロック部72C,75Cを補強している。したがって、被ロック部72C,75Cがレセプタクルコネクタ1のロック金具30から不用意に大きい抜出力を受けても十分な強度をもって対抗することが可能となる。
また、本実施形態では、レセプタクルコネクタ1のロック金具30の主補強部37及び副補強部38A,38Bがプラグコネクタ2の被ロック金具70の受入溝部79ひいてはプラグ側ハウジング50の端溝部55Aの奥部にまで下方から進入するようになっているので、その進入した寸法分だけ、ロック金具30と被ロック金具70とがコネクタ嵌合方向で重複することとなる。したがって、コネクタ嵌合状態にてコネクタ組立体を上記寸法分だけ低背化させることができる。
また、本実施形態では、既述したように、コネクタ嵌合状態にて、ロック金具30がシールド部材40の弾性変形部45からの付勢力を受けてロック位置にもたらされると、ロック金具30のロック突部35A−1,35B−1の突出先端が、それぞれ対応する被ロック金具70の補強部74B,73Bの板面に当接する。この結果、該補強部74B,73Bがロック突部35A−1,35B−1によって端子配列方向で押さえられ、同方向でのプラグコネクタ2の移動が規制される。したがって、コネクタ1,2同士が端子配列方向で相対的に往復動してロック突部35A−1,35B−1と補強部74B,73Bとが互いに衝突することに起因する異音の発生を防止でき、また、ロック突部35A−1,35B−1及び補強部74B,73Bの損傷を防止できる。
本実施形態では、被ロック金具70は、一つの基部72Aから二つの起立部72Bが起立し、また、一つの基部75Aから二つの起立部75Bが起立していることとしたが、これに代えて、例えば、底板部71及び基部72A,73A,74A,75Aをコネクタ幅方向中央位置で分断したような形状、すなわち、一つの基部から一つの起立部が起立している部材として形成してもよい。被ロック金具をこのような形状で形成した場合には、二つの被ロック金具から成る被ロック金具対がハウジングのそれぞれの端壁で保持される。このとき、該二つの被ロック金具は、コネクタ幅方向で被ロック部同士が対向するように配される。
次に、図7(A),(B)にもとづいて、コネクタ抜出動作について説明する。レセプタクルコネクタ1とのコネクタ嵌合状態にあるプラグコネクタ2を抜出する際には、レセプタクルコネクタ1のロック金具30のロック解除操作部30Cの押圧面30C−1を端子配列方向で前方(図7(A)にて右方)へ向けて押圧して解除操作を行う。ロック解除操作部30Cが前方への押圧力を解除操作力として受けると、シールド部材40の弾性変形部45の弾性片45A,45Bがロック金具30の当接部36B−1に押圧されて前方に弾性変形する。そして、既述したコネクタ嵌合過程について説明したのと同様に、弾性変形部45が圧縮して弾性変形し、ロック部35A,35Bが前方へ向けて移動する。
この結果、図7(B)に見られるように、ロック突部35A−1,35B−1が前方端壁溝部17B内、後方突壁溝部17F内に収容されてロック解除位置にもたらされ、該ロック突部35A−1,35B−1とプラグコネクタ2の被ロック金具70の被ロック部75C,72Cとの係止可能なロック状態が解除される。そして、プラグコネクタ2をコネクタ抜出方向(上方)へもち上げることにより、該プラグコネクタ2が難なく抜出され、コネクタ抜出動作が完了する。
ロック金具30のロック部35A,35Bは、ロック突部35A−1,35B−1が受入部16内に位置しているとともに、その他の部分が前方端壁溝部17B内そして後方突壁溝部17F内に位置している。換言すると、ロック部35A,35Bが端子配列方向、すなわちレセプタクル側ハウジング10の長手方向で該レセプタクル側ハウジング10の範囲内に位置しており、この範囲内で移動するようになっている。したがって、ロック突部35A−1,35B−1の突出量を大きく確保しても、ロック金具30の配置の有無にかかわらず元々存在する上記範囲内でロック部35A,35Bの上記端子配列方向での移動を許容するための空間を容易に確保できるので、上記端子配列方向でコネクタの大型化を回避できる。
また、本実施形態では、シールド部材40の弾性変形部45の弾性変形により、端子配列方向でのロック金具30の移動が許容されている。このように、ロック金具30とは別部材であるシールド部材40に弾性変形部45を設けたことにより、ロック部35A,35B自体に弾性をもたせる必要がなくなるので、ロック部35A,35B自体の剛性ひいては強度を高くでき、安定したロック状態を得ることができる。また、ロック部35A,35Bの突出量を大きくすることにより、該ロック部35A,35Bの剛性ひいては強度をさらに高くできるので、ロック状態の安定性のさらなる向上を図ることができる。
また、先行文献として挙げた既述の特許文献1では、弾性変形部材がシールド部材とは別個の部材として設けられていたので、その分、コネクタを構成する部品の点数が多くなって製造コストがかかるとともに、コネクタ製造時において、弾性変形部材をハウジングに取り付ける工程が必要となる分、コネクタの製造工程が煩雑となるという問題があった。これに対し、本実施形態では、上述したように、弾性変形部45はシールド部材40と一体をなして設けられているので、特許文献1のような、弾性変形部材をシールド部材とは別個の部材として設ける場合と比べて、部品点数を少なくでき、製造コストを抑制できる。また、コネクタを製造する際に、シールド部材40の取付けによって弾性変形部45も同時に取り付けられることなるので、弾性変形部材をハウジングに取り付ける工程を省略でき、コネクタの製造が簡単となる。
<第二実施形態>
第一実施形態では、プラグコネクタ2の被ロック金具30は、金属板部材を屈曲加工することにより作られていることとしたが、これに代えて、ロック金具の板部は、例えば、次に述べるように、金属部材を切削加工することにより作られていてもよい。
図8(A)は、第二実施形態に係るプラグコネクタ102の斜視図であり、図8(B)は、図8(A)のプラグコネクタ102に保持される被ロック金具170を示す斜視図である。第二実施形態に係るプラグコネクタ102は、第一実施形態に係るプラグコネクタ2と被ロック金具の形状のみが異なっている。該プラグコネクタ102のプラグ側ハウジング及び端子は、上記プラグコネクタ2のプラグ側ハウジング及び端子の構成と同じであるので、第一実施形態での符号と同じ符号を付して説明を省略する(図7(A)参照)。
図8(A)に示されるプラグコネクタ102は、第一実施形態におけるレセプタクルコネクタ1に嵌合接続される。図8(B)に見られるように、プラグコネクタ102の被ロック金具170は、コネクタ嵌合方向(Z軸方向)、端子配列方向(X軸方向)及びコネクタ幅方向(Y軸方向)のいずれの方向でも材料が連続している中実な一部材であり、金属部材の切削加工により作られている。コネクタ幅方向に延びる基部171と、該基部171のコネクタ幅方向両端寄り位置で該基部171から起立する二つの起立部172と、該起立部172の厚み方向(端子配列方向)での両端位置で該起立部172の上部からコネクタ幅方向内方へ突出する二つの被ロック部173,174(内側被ロック部173及び外側被ロック部174)と、該起立部172の厚み方向中間位置、すなわち上記内側被ロック部173と上記外側被ロック部174との間で起立部172の上下方向全域にわたって延びる補強部175とを有している。図8(A),(B)に見られるように、被ロック部173,174は、被ロック金具170の厚み方向(端子配列方向)での全範囲のうちの一部に形成されており、補強部175は上記全範囲のうちの残部に形成されている。また、補強部175は、コネクタ幅方向での被ロック部173、174と同じ範囲で基部171から上方へ延びるとともに、起立部172及び二つの被ロック部173,174に連結されて一体をなしている。
このような形状の被ロック金具170は、プラグ側ハウジング50の端壁55に保持された状態において、図8(A)に見られるように、端溝部55Aの内壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から被ロック部173,174及び補強部175が突出して端溝部55A内に位置する。また、被ロック金具170の厚み方向(端子配列方向)に見て、コネクタ幅方向で対向する内側被ロック部173同士間、外側被ロック部174同士間そして補強部175同士間で起立部172の上下方向全域にわたって延びる溝部は、第一実施形態に係る被ロック金具70の受入溝部79と同様に、コネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ1のロック金具30の補強部37,38A,38Bを受け入れる受入溝部176として形成されている。したがって、本実施形態によっても、コネクタ嵌合状態におけるコネクタ組立体の低背化を図ることが可能である。また、補強部175が起立部172及び被ロック部173,174に直接連結されて一体となしているので、該被ロック部173,174はより強固に補強されている。したがって、被ロック部173,174がレセプタクルコネクタ1のロック金具30から不用意に大きい抜出力を受けても十分な強度をもって対抗することが可能となる。
第二実施形態では、被ロック金具170は、一つの基部171から二つの起立部172が起立していることとしたが、これに代えて、例えば、基部171をコネクタ幅方向中央位置で分断したような形状、すなわち、一つの基部から一つの起立部が起立している部材として形成してもよい。被ロック金具をこのような形状で形成した場合には、二つの被ロック金具から成る被ロック金具対がハウジングのそれぞれの端壁で保持される。このとき、該二つの被ロック金具は、コネクタ幅方向で被ロック部同士が対向するように配され、該二つの被ロック金具同士間に受入溝部が形成される。
<第三実施形態>
図9(A)は、第三実施形態に係るプラグコネクタ202の斜視図であり、図9(B)は、図9(A)のプラグコネクタ202に保持される被ロック金具270を示す斜視図である。第三実施形態に係るプラグコネクタ202は、第二実施形態に係るプラグコネクタ102と被ロック金具の形状のみが異なっている。該プラグコネクタ202のプラグ側ハウジング及び端子は、上記プラグコネクタ102のプラグ側ハウジング及び端子の構成と同じであるので、第二実施形態での符号と同じ符号を付して説明を省略する(図9(A)参照)。
図9(A)に示されるプラグコネクタ202は、第一実施形態におけるレセプタクルコネクタ1に嵌合接続される。図9(B)に見られるように、プラグコネクタ202の被ロック金具270は、コネクタ嵌合方向(Z軸方向)、端子配列方向(X軸方向)及びコネクタ幅方向(Y軸方向)のいずれの方向でも材料が連続している中実な一部材であり、金属部材の切削加工により作られている。該被ロック金具270は、第二実施形態に係る被ロック金具170から補強部175の大部分(被ロック部173,174よりも下方に位置する部分)を省略した形状をなしている。被ロック金具270について、上記被ロック金具170と対応する部分には「100」を加えた符号を付して説明を省略する。
このような形状の被ロック金具270は、プラグ側ハウジング50の端壁55に保持された状態において、図9(A)に見られるように、端溝部55Aの内壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から被ロック部273,274が突出して端溝部55A内に位置する。内側被ロック部273と外側被ロック部274とは直接連結されて一体をなしている。
また、被ロック金具270の厚み方向(端子配列方向)に見て、コネクタ幅方向で対向する内側被ロック部273同士間、外側被ロック部274同士間で起立部272の上下方向全域にわたって延びる溝部は、第二実施形態の被ロック金具170の受入溝部176と同様に、コネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ1のロック金具30の補強部37,38A,38Bを受け入れる受入溝部276として形成されている。したがって、本実施形態によっても、コネクタ嵌合状態におけるコネクタ組立体の低背化を図ることが可能である。
また、第三実施形態においても、第二実施形態にて既述したのと同様に、変形例として、被ロック金具を一つの基部から一つの起立部が起立している部材として形成して、二つの該被ロック金具から成る被ロック金具対をハウジングのそれぞれの端壁で保持させるようにしてもよい。
<第四実施形態>
第四実施形態では、二つの被ロック金具から成る被ロック金具対がハウジングのそれぞれの端壁で保持されている。図10(A)は、第四実施形態に係るプラグコネクタを示す斜視図であり、図10(B)は、図10(A)のプラグコネクタに保持される被ロック金具を示す斜視図である。図10(A)に見られるように、本実施形態に係るプラグ側ハウジング350の端壁355は、コネクタ幅方向(Y軸方向)での中央位置にて端子配列方向(X軸方向)そして上下方向(Z軸方向)に貫通する端溝部355Aが形成されている。該端溝部355Aは、コネクタ幅方向で対向する内側壁面同士の下部が端子配列方向内側位置(受入部356側の位置)で連結されている。
上記被ロック金具対をなす二つの被ロック金具370は、コネクタ幅方向で互いに対称な形状をなしており、図10(A)に見られるように、コネクタ幅方向で端溝部355Aの両側に一つずつ配されて、端壁355に一体モールド成形により保持されている。図10(B)に見られるように、各被ロック金具370は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、プラグ側ハウジング350(図10(A)参照)の底面に沿って延びる基部371と、基部371のコネクタ幅方向内方の端部から上方へ起立する一つの起立部372と、該起立部372の上部からコネクタ幅方向内方へ向けて、すなわち端溝部355A(図10(A)参照)へ向けて突出する突部370Aと、基部371のコネクタ幅方向外方の端部から上方へ起立してコネクタ幅方向で起立部372と対面する側板部376とを有している。被ロック金具370は、基部371、起立部372および側板部376によって、端子配列方向に見て、略U字形状をなしている。
基部371は、端子配列方向そしてコネクタ幅方向で外方へ向けて延びる接続部371Aを有している。該接続部371Aは、図10(A)に見られるように、プラグ側ハウジング350外に延出しており、回路基板の実装面の対応回路部(図示せず)に半田接続されるようになっている。また、本実施形態では、基部371の底面がその全域にわたってプラグ側ハウジング350の底面から露呈しているので、該基部371における上記接続部371A以外の部分も実装面の対応部に半田接続することが可能である。
突部370Aは、被ロック金具370がプラグ側ハウジング350の端壁355に保持された状態において、図10(A)に見られるように、端溝部355Aの内壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から突出して端溝部355A内に位置している。該突部370Aの端子配列方向での内側に位置する端部は内側被ロック部373として形成され、また、該突部370Aの端子配列方向での外側に位置する端部は外側被ロック部374として形成されている。
また、側板部376は、プラグ側ハウジング350の端壁355の側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から板面が露呈しており、端壁355の側面を保護している。また、側板部376は、第一実施形態の被ロック金具70の側板部76と同様に、コネクタ嵌合状態にて、端壁355の側面から露呈する板面で、レセプタクルコネクタのシールド部材と接触して電気的に導通するようになっている。
本実施形態では、互いに別個の部材をなす二つの被ロック金具370は、上下方向に貫通する端溝部355Aのコネクタ幅方向での両側に一つずつ配されるようになっており、突部370A以外の部分がコネクタ幅方向で端溝部355Aの範囲外に位置している。したがって、端溝部355Aは、上下方向での該端溝部355Aの全域、換言すると、プラグ側ハウジング350の上下方向全域にわたって、レセプタクルコネクタのロック金具の対応部分(図示せず)の進入を許容できる。この結果、第一ないし第三実施形態に比べて、該ロック金具の対応部分の進入可能な寸法をさらに大きくすることができ、コネクタ嵌合状態でのコネクタ組立体の低背化の効果を向上させることができる。
<第五実施形態>
本実施形態は、既述した第四実施形態と同様に、二つの被ロック金具から成る被ロック金具対がハウジングのそれぞれの端壁で保持されている。しかし、本実施形態では、被ロック金具の起立部は基部からコネクタ嵌合方向先方へ起立してから屈曲されて全体として逆U字状をなし、回路基板の実装面に対して平行に延びる部分に被ロック部が設けられており、この点で、起立部のコネクタ嵌合方向先方に延びる部分に被ロック部が設けられている第四実施形態と構成が異なっている。
図11(A)は、第五実施形態に係るプラグコネクタを示す斜視図であり、図11(B)は、図11(A)のプラグコネクタに保持される被ロック金具を示す斜視図である。図11(A)に見られるように、本実施形態に係るプラグ側ハウジング450の端壁455は、第四実施形態と同様に、コネクタ幅方向(Y軸方向)での中央位置にて端子配列方向(X軸方向)そして上下方向(Z軸方向)に貫通する端溝部455Aが形成されている。
上記被ロック金具対をなす二つの被ロック金具470は、コネクタ幅方向で互いに対称な形状をなしており、コネクタ幅方向で端溝部455Aの両側に一つずつ配されて、端壁455に一体モールド成形により保持されている。図11(B)に見られるように、各被ロック金具470は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、プラグ側ハウジング450(図11(A)参照)の底面に沿って延びる基部471と、基部471の端子配列方向での内側(受入部456側)の端部から延びる逆U字状の一つの起立部472と、該起立部472の両方の側縁部(逆U字状に延びる縁部)のうちコネクタ幅方向内側(端溝部455A側)の側縁部から突出する突部470Aと、該起立部472のコネクタ幅方向外側の側縁部から延びる側板部476とを有している。
基部471は、コネクタ幅方向での外側位置で端子配列方向外方へ延びる接続部471Aを有している。該接続部471Aは、図11(A)に見られるように、プラグ側ハウジング450外に延出しており、回路基板の実装面の対応回路部(図示せず)に半田接続されるようになっている。また、本実施形態では、基部471の底面がその全域にわたってプラグ側ハウジング450の底面から露呈しているので、該基部471における上記接続部471A以外の部分も実装面の対応部に半田接続することが可能である。
起立部472は、図11(B)に見られるように、基部471の端子配列方向内側の端部からコネクタ嵌合方向先方である上方(Z2方向)へ向けて起立する内脚部472Aと、該内脚部472Aの上端で屈曲されて端子配列方向外方(X2方向)へ延びる移行部472Bと、該移行部472Bの端子配列方向の外側の端部で屈曲されて下方(Z1方向)へ延びる外側脚部472Cとを有しており、コネクタ幅方向から見て全体として逆U字状をなしている。また、外側脚部472Cの下端部(起立部472の自由端部)は、コネクタ幅方向で起立部472における他部よりも幅広となっており、該コネクタ幅方向で接続部471Aよりも内側に位置し、回路基板の実装面に半田接続可能となっている。
突部470Aは、被ロック金具470がプラグ側ハウジング450の端壁455に保持された状態において、図11(A)に見られるように、端溝部455Aの内壁面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から突出して端溝部455A内に位置している。該突部470Aの端子配列方向での内側に位置する端部は内側被ロック部473として形成され、また、該突部470Aの端子配列方向での外側に位置する端部は外側被ロック部474として形成されている。
また、側板部476は、プラグ側ハウジング450の端壁455の側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から板面が露呈しており、端壁455の側面を保護している。また、側板部476は、第一実施形態の被ロック金具70の側板部76と同様に、コネクタ嵌合状態にて、端壁455の側面から露呈する板面で、レセプタクルコネクタのシールド部材と接触して電気的に導通するようになっている。
本実施形態においても、既述の第四実施形態と同様に、上下方向での端溝部455Aの全域、換言すると、プラグ側ハウジング450の上下方向全域にわたって、レセプタクルコネクタのロック金具の対応部分の進入を許容でき、コネクタ嵌合状態でのコネクタ組立体の低背化の効果を向上させることができる。