JP6696662B1 - 衣料の上半身部 - Google Patents

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Abstract

衣料の上半身部は、少なくとも後身頃を含む身頃、左袖、および右袖を備えている。左袖が、身頃の左側に繋げられた左連繋部を含み、右袖が、身頃の右側に繋げられた右連繋部を含む。左連繋部と右連繋部とのそれぞれが背面に、袖の内方へ突出した凹みを含む。この凹みが、左袖または右袖の周方向よりも当該袖の長さ方向において長い。

Description

本発明は、衣料の上半身部に関する。
着用者の上半身の少なくとも一部を覆うことができる衣料の上半身部が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2014−196587号公報
人は、スマートフォン等の携帯機器を操作するとき、携帯機器を持つ腕が自身の正面中央側へ回るように、肩が正しい姿勢での位置よりも自身の前方へ出る姿勢を取りやすい。「正しい姿勢」とは、具体的には、平坦面に起立している人を真横から見た場合、その人の首のつけ根、肩、ひじ、くるぶしがほぼ一直線上に位置する姿勢である。両肩が前方へ出る姿勢は、頻繁に繰り返され、または長時間連続して保持された場合、巻き肩、猫背といった体形の悪化を招きかねない。「巻き肩」とは、肩甲骨が左右に広がって肩が内側へ入った体形をいう。「猫背」とは、背骨が前後に湾曲して頭が前へ出た姿勢をいう。これらの体形は肩こり等の痛みの原因にもなり得る。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者に取らせづらくすることができる衣料の上半身部の提供を目的とする。
本発明の一つの観点による衣料の上半身部は、少なくとも後身頃を含む身頃、左袖、および右袖を備えている。左袖が、身頃の左側に繋げられた左連繋部を含み、右袖が、身頃の右側に繋げられた右連繋部を含む。左連繋部と右連繋部とのそれぞれが背面に、袖の内方へ突出した凹みを含む。この凹みが、左袖または右袖の周方向よりも当該袖の長さ方向において長い。
着用者は正しい姿勢から、たとえば左腕を前方へ出す際、まず左連繋部の背面の凹みを均さねばならないので、左腕に抵抗を受ける。この抵抗により、正しい姿勢から左腕が自然に前方へ出ることが阻止される。右腕についても同様である。したがって、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者は取りづらい。
左袖は、左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる難伸長領域を有してもよい。左袖の難伸長領域は、少なくとも左連繋部の背面に広がっていてもよい。右袖は、右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる難伸長領域を有してもよい。右袖の難伸長領域は、少なくとも右連繋部の背面に広がっていてもよい。左袖の難伸長領域は、左連繋部の背面から前面にわたって広がっていてもよく、右袖の難伸長領域は、右連繋部の背面から前面にわたって広がっていてもよい。ここで、「伸長力」とは、約20℃(18℃〜22℃)の環境下において、幅2.5cm、長さ10cmの生地を定速伸長形引張試験機により、引張り速度30cm/分で長さ方向に伸長させるのに必要な力をいう。この明細書には、定速伸長形引張試験機として、島津製作所製AGS−Xを用いて測定された伸長力の値が記載されている。難伸長領域を有することにより、左右の袖の連繋部がいずれも伸びに応じて強い引張力を発生させるので、いずれの連繋部も、背面の凹みが均される際の抵抗力をほとんど、または全く減殺しない。その結果、着用者の左右の肩甲骨、上腕上部、および肩の前方への移動を効果的に阻止することができる。
左袖と右袖とは難伸長領域に代えて非伸長領域を有してもよい。非伸長領域は、各袖の長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸長率が20%未満でしかない領域である。左袖の非伸長領域は少なくとも左連繋部の背面に広がっていてもよく、右袖の非伸長領域は少なくとも右連繋部の背面に広がっていてもよい。左袖の非伸長領域は左連繋部の背面から前面にわたって広がっていてもよく、右袖の非伸長領域は右連繋部の背面から前面にわたって広がっていてもよい。これらの構成によれば、左右の袖の連繋部がいずれもほとんど伸びない、または実質上伸びないので、いずれの連繋部も、背面の凹みが均される際の抵抗力をほとんど、または全く減殺しない。その結果、着用者の左右の肩甲骨、上腕上部、および肩の前方への移動を効果的に阻止することができる。
左連繋部と右連繋部とのそれぞれが後身頃から後方へ向かって延びていてもよい。この場合、着用者が正しい姿勢でいても、その両腕が後方へ引かれる。したがって、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者は更に取りづらい。
後身頃は、左袖の背面と右袖の背面との間に、着用者の左右の肩甲骨が互いから離れることを阻む規制部を含んでいてもよい。規制部は後身頃と一体に構成されていてもよい。ここで、「一体に構成されている」とは、規制部の生地が後身頃の他の領域の生地に縫製で繋げられていることであっても、他の領域の生地と共に編まれていることであってもよい。これとは別に、規制部が、後身頃に付加された後身頃とは別の生地を含んでいてもよい。この生地は、左右両側の袖の背面と後身頃との間の境界に縫合されていてもよく、左右両側の袖の背面に縫合されていてもよい。規制部の抵抗力により、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者は更に取りづらい。
本発明の上記の観点による衣料の上半身部では、着用者が正しい姿勢から左右いずれの腕を前方へ出す際にも、対応する袖の連繋部の凹みから抵抗を受ける。したがって、正しい姿勢からいずれの腕も、自然には前方へ出にくい。こうして、本発明による衣料の上半身部は、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者に取らせづらくすることができる。
本発明の実施形態による衣料の上半身部の正面図である。 図1が示す衣料の上半身部の背面図である。 図1、図2が示す前身頃と後身頃とのうち、左袖ぐりの近傍を示す部分展開図である。 図1が示す左袖と、前身頃のうち左袖ぐりの近傍との展開図である。 図2が示す左袖と、後身頃のうち左袖ぐりの近傍との展開図である。 図1が示す衣料の上半身部の立体形状の平面図である。 (a)は、ほぼ垂直に伸びているダーツを含む衣料の上半身部の背面図であり、(b)は、ほぼ水平に伸びているダーツを含む衣料の上半身部の背面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1、図2はそれぞれ、本発明の実施形態による衣料の上半身部100の正面図、背面図である。この明細書では、衣料の上半身部(以下、「上衣部」と略す。)100の着用者を基準にして左右方向を定める。たとえば、「左方向」は、図1では右方向に描かれ、図2では左方向に描かれる。
上衣部100は、着用者の体幹上部および両上腕を包み込むように構成されている。上衣部100はたとえば半袖のシャツであり、肌着(インナーウェア)であっても、中衣または上着(アウターウェア)であってもよい。上衣部100は、身頃110、120、左袖130、および右袖140を備えている。
身頃110、120は太い筒形状であり、着用者の体幹上部を包む。身頃は前身頃110と後身頃120とを含む。前身頃110は、身頃のうち着用者の体幹上部の前面(胸と腹)に対向する部分であり、その前面のほぼ全体を覆う。後身頃120は、身頃のうち着用者の体幹上部の背面(背中)に対向する部分であり、その背面の全体を覆う。前身頃110と後身頃120とはいずれも形状が左右対称である。
左袖130は身頃の左側に、右袖140は身頃の右側に、それぞれ縫合されている。両袖130、140はいずれも細い筒形状であり、着用者の左右の上腕上部を包む。各袖130、140は袖口133、143と連繋部(「袖山」ともいう。)135、145とを含む。袖口133、143は、各袖130、140が成す筒形の先端の開口部に相当し、連繋部135、145は基端の開口部に相当する。各連繋部135、145は特に着用者の肩を覆う(図1、図2が示す粗いドット領域参照)。各袖130、140は長さ方向(図1、図2が示す矢印LDL、RDLの方向)のサイズが自由に設定可能である。図1、図2では、両袖130、140は半袖に設定されている。その他に、両袖130、140は長袖でも七分袖であってもよい。
前身頃110と後身頃120とは、左脇113、右脇114、および両肩115で縫合されている。これにより、身頃は、襟ぐり116、裾117、左袖ぐり118、および右袖ぐり119を含む。襟ぐり116は、身頃が成す筒形の上側の開口部に相当し、裾117は下側の開口部に相当する。左袖ぐり118は、身頃の左上側に開けられた穴の縁であり、右袖ぐり119は、身頃の右上側に開けられた穴の縁である。左袖ぐり118には左袖130の連繋部135(以下、「左連繋部」と略す。)が縫合され、右袖ぐり119には右袖140の連繋部145(以下、「右連繋部」と略す。)が縫合されている。
前身頃110を構成する生地は伸縮性であっても、非伸縮性であってもよい。後身頃120を構成する生地は伸縮性である。ただし、後身頃120のうち、左袖130と右袖140との間の領域128(図2が示す密なドット領域参照。)は、難伸長性または非伸長性の生地で構成されている。「難伸長性」とは、生地が伸びにくいこと、具体的には、左右方向において20%伸長時に生地の伸長力が45cN以上となることをいう。「非伸長性」とは、生地がほとんど伸びない、または実質上伸びないこと、具体的には、左右方向において45cNの伸長力を加えても生地の伸長率が20%未満でしかないことをいう。生地の難伸長性、または非伸長性により、この領域128は後身頃120の他の領域と比べ、外からの引張力に対する反力が強い。この領域128を、以下、「規制部」という。規制部128は、左脇113の上端LWPと右脇114の上端RWPとを結ぶ水平線LVLよりも上方に位置する。規制部128の左側には左連繋部135の背面が縫合され、右側には右連繋部145の背面が縫合されている。規制部128は左連繋部135の背面と右連繋部145の背面とによって左右方向へ引っ張られた際に、両背面に対して返す反力が強い。これにより規制部128は、着用者の左右の肩甲骨が互いから離れることを阻むことができる。
図3は、前身頃110と後身頃120とのうち、左袖ぐり118の近傍を示す部分展開図である。なお、右袖ぐり119の近傍の部分展開図は、図3の左右を反転させた図に等しい。したがって、以下では左袖ぐり118について説明する。その説明は右袖ぐり119についても援用される。
前身頃110と後身頃120との間の縫合が解かれると、左袖ぐり118は前部310と後部320とに分かれる。左袖ぐり118の前部310は前身頃110の左上側(図3では右上側)に位置し、左抉り部311と左脇上部312とを含む。左抉り部311は、前身頃110の左上角を抉り取った跡のような曲線形状であり(図3参照。)、左連繋部135の前面と縫合される(図1参照)。左脇上部312は、身頃の左脇113の上端を構成する部分であり、左連繋部135の背面と縫合される(図2参照)。左袖ぐり118の後部320は後身頃120の左上側に位置し、後身頃120の左上角を抉り取った跡のような曲線形状である(図3参照)。したがって、以下、左袖ぐり118の後部320を「後身頃120の左抉り部」ともいう。後身頃120の左抉り部320は全体が左連繋部135の背面と縫合される(図2参照)。
左袖ぐり118の前部310は左連繋部135の前面と背面との両方に縫合され、後部320は左連繋部135の背面にのみ縫合される。この違いにより、左連繋部135の前面と前身頃110との間の縫合部分の最下点STPが、左連繋部135の背面と身頃110、120との間の境界の最下点LWPよりも、距離LUPだけ上方に配置される。この距離LUPは好ましくは1cm以上20cm以下である。この距離LUPにより、規制部128の引張力が左連繋部135の前面と前身頃110との間の縫合部分の最下点STPに直接的には作用しない。その結果、その最下点STPの近傍、すなわち着用者の左脇の下側、特にその後側では、生地の引張力の方向による強さの偏りが比較的小さく抑えられるので、しわが発生しにくい。したがって、そのしわに伴って着用者の脇の下に食い込む生地の量が低減する。
図4は、左袖130と、前身頃110のうち左袖ぐり118の近傍との展開図である。図5は、左袖130と、後身頃120のうち左袖ぐり118の近傍との展開図である。なお、右袖140と、身頃のうち右袖ぐり119の近傍との展開図は、図4、図5の左右を反転させた図に等しい。したがって、以下では、左袖130と左袖ぐり118とについて説明する。その説明は右袖140と右袖ぐり119とについても援用される。
左袖130は、1枚の生地が筒状に巻かれた構造である。具体的には、図4、図5が示す左袖130を成す生地の境界線のうち、第1袖下線401と第2袖下線402とが互いに縫合されて左袖130の袖下134を形成する(図1、図2参照)。これにより左袖130の残りの境界線は、第1曲線群411、412、413と第2曲線群420とに分かれる。第1曲線群の一部411、412は左袖130の袖山線を形成する。袖山線の前側411は前身頃110の左抉り部311に縫合され(図4参照。)、後側412(以下、「後袖山線」という。)は後身頃120の左抉り部320に縫合される(図5参照)。第1曲線群の残り413は前身頃110の左脇上部312に縫合され、左脇113の上部(点STPから点LWPまでの区間)を形成する(図2参照)。第2曲線群420は左袖130の袖口133を形成する(図1、図2参照)。
図2が示すように、後身頃120の左抉り部320は、場所によって、後身頃120の左右方向における中心線CTLからの距離が異なる。左抉り部320のうち、その両端BP1、BP2を結ぶ直線BLNから最も遠くに位置する部分MDPを「最深部」という(図5参照)。左抉り部320の最深部MDPは後身頃120の左肩115のうち最も左側の部分、すなわち左抉り部320の上端BP1よりも右側に位置する。左抉り部320のこのような大きな曲がりに比べ、左袖130の後袖山線412は曲がりが小さい。すなわち、左袖130が後身頃120に縫合される前では、後袖山線412の幅SWDが左抉り部320の幅BWDよりも小さい:SWD<BWD。ここで、後袖山線412の幅SWDは、後袖山線412の両端SP1、SP2を結ぶ直線SLNから後袖山線412までの距離の最大値であり、左抉り部320の幅BWDは、左抉り部311の両端BP1、BP2を結ぶ直線BLNから最深部MDPまでの距離である。これらの幅SWD、BWDの関係により、後袖山線412は右方向に引き伸ばされなければ左抉り部320には達しない。その結果、左袖130は後身頃120に縫合されると、後身頃120よりも後方へ自然に傾く。
図6は、上衣部100の立体形状の平面図である。衣料の「立体形状」とは、その衣料のいずれの部分をも伸長させることなく、かつ折り曲げることもなく、膨らませた状態における衣料の3次元的な形状を意味する。立体形状は一般に、標準的な人体の形状に合わせて、その形状を包み込むように設計される。図6が示すように、上衣部100の立体形状において、左連繋部135の方向は標準的な方向よりも後方へ傾いている。これにより左袖130の全体の立体形状が、標準的な人体の左腕を包む際の立体形状(図6の示す2点鎖線VSL参照。)よりも角度θだけ後方(左斜め後方)へ傾いている。右袖140も同様である。両袖130、140がこのように後方へ傾く結果、上衣部100の着用者は左右の肩甲骨、上腕上部、および肩が後方へ、かつ背面中央側へ引っ張られる。したがって、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者は取りづらい。
図4、図5が示すように、立体縫製がされる前、左連繋部135の背面には細長いひし形状の穴430が開けられている。この穴430が縫合によって塞がれると、左連繋部135の背面にはダーツ137が形成される(図2参照)。さらに、ダーツ137の方向を長軸とするひし形状の凹み138が生じる(図2および図6参照。図6には、ダーツ137がない場合における左袖130の背面の位置が破線RSLで示されている)。この凹み138は左袖130の内方へ突出している。図2が示すように、ダーツ137は左袖130の長さ方向LDLに沿って伸びているので、凹み138は左袖130の周方向よりも長さ方向LDLにおいて長い。着用者は正しい姿勢から左腕を前方へ出す際、まず凹み138を引き伸ばして均さねばならないので、左腕に抵抗を受ける。この抵抗により、正しい姿勢から左腕が自然に前方へ出ることが阻止される。右腕についても同様である。したがって、両腕が正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢を着用者は取りづらい。
左袖130のうち少なくとも左連繋部135の背面は難伸長領域、または非伸長領域である。「難伸長領域」とは、生地が伸びにくい領域、具体的には、左袖130の長さ方向LDLにおいて45cN以上600cN以下の伸長力を加えると20%伸長する領域をいう。この伸長力は、左袖130の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下となるものが好ましく、左袖130の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下となるものがより好ましい。「非伸長領域」とは、生地がほとんど、または実質上伸びない領域、具体的には、左袖130の長さ方向LDLに45cNの伸長力を加えても伸長率が0%から20%未満まででしかない領域をいう。好ましくは、非伸長領域は、左袖130の長さ方向LDLに45cNの伸長力を加えても伸長率が0%から10%未満まででしかない領域である。左袖130の難伸長領域、または非伸長領域は、左連繋部135の背面から前面にわたって広がっていてもよい。これらの構成によれば、左連繋部135の少なくとも背面が外からの引張力に対して強い反力を発生させるので、左連繋部135の背面の凹み138が均される際の抵抗力、および後身頃120の規制部128の引張力をほとんど、または全く減殺しない。その結果、着用者の左の肩甲骨、上腕上部、および肩の前方への移動を効果的に阻止することができる。右袖140についても同様である。
《変形例》
(A)実施形態による上衣部100はシャツであり、前身頃110と後身頃120とを含む。しかし、前身頃110は省略されてもよい。すなわち、両袖130、140と後身頃120とだけから成る衣料であっても、着用者の姿勢に対する矯正効果は得られる。
(B)規制部は後身頃120のうち、左袖130の背面と右袖140の背面との間の領域128に限らず、それよりも広い領域、更には後身頃120の全体で構成されていてもよい。逆に、規制部128は省略されてもよい。規制部128の引張力がなくても、両袖130、140の凹み138が均される際の抵抗力だけで、両肩が前方へ出る姿勢を着用者に取らせづらくさせることは可能である。
(C)袖ぐり118、119の展開形状は直線的であってもよい。この場合、図6が示す角度θは実質的に0と等しく、すなわち両袖130、140は身頃110、120に対して真横に伸びている。それでも、両袖130、140の凹み138が均される際の抵抗力があるので、両肩が前方へ出る姿勢を着用者に取らせづらくさせることは可能である。
(D)図3、図4、図5が示す例では、身頃110、120と両袖130、140とは、別体として編まれた後に縫合されている。その他に、これらのいずれかの組み合わせ、またはすべてが一体に編まれていてもよい。
(E)図2では、ダーツ137が左袖130の袖口133から左連繋部135の背面まで伸びている。その他に、ダーツ137が左袖130の全長にわたって、すなわち身頃の左袖ぐり118まで伸びていてもよい。
(F)図2では、ダーツ137の伸びている方向、すなわち凹み138の長軸方向が、左袖130の長さ方向LDLに平行である。その他に、この長軸方向が袖の長さ方向に対して傾斜していてもよい。図7の(a)は、ほぼ垂直に伸びているダーツ237を含む上衣部100の背面図であり、(b)は、ほぼ水平に伸びているダーツ337を含む上衣部100の背面図である。いずれのダーツ237、337も、左袖130の長さ方向に対して大きく傾斜している。これらの場合でも、着用者の左腕が左袖130の凹み238、338を均す際に受ける抵抗力は十分に強い。右袖140についても同様である。したがって両肩が前方へ出る姿勢を着用者に取りづらくさせることは可能である。
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態および変形形態をとり得ることは明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
100 衣料の上半身部
110 前身頃
113 左脇
114 右脇
115 肩
116 襟ぐり
117 裾
118 左袖ぐり
119 右袖ぐり
120 後身頃
128 規制部
130 左袖
133 左袖の袖口
134 左袖の袖下
135 左連繋部
137 左袖のダーツ
138 左袖の凹み
140 右袖
143 右袖の袖口
144 右袖の袖下
145 右連繋部
147 右袖のダーツ
148 右袖の凹み

Claims (7)

  1. 少なくとも後身頃を含む身頃、左袖、および右袖を備える衣料の上半身部であって、
    前記左袖が、前記身頃の左側に繋げられた左連繋部を含み、
    前記右袖が、前記身頃の右側に繋げられた右連繋部を含み、
    前記左連繋部と前記右連繋部とのそれぞれが背面に、袖の内方へ突出した凹みを含み、
    前記凹みが、前記左袖または前記右袖の周方向よりも当該袖の長さ方向において長い、
    衣料の上半身部。
  2. 前記左袖は、
    前記左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる難伸長領域
    を有し、
    前記左袖の難伸長領域は、少なくとも前記左連繋部の背面に広がっており、
    前記右袖は、
    前記右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる難伸長領域
    を有し、
    前記右袖の難伸長領域は、少なくとも前記右連繋部の背面に広がっている、
    請求項1に記載の衣料の上半身部。
  3. 前記左袖の難伸長領域は、前記左連繋部の背面から前面にわたって広がっており、
    前記右袖の難伸長領域は、前記右連繋部の背面から前面にわたって広がっている、
    請求項2に記載の衣料の上半身部。
  4. 前記左袖は、
    前記左袖の長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸長率が20%未満でしかない非伸長領域
    を有し、
    前記左袖の非伸長領域は、少なくとも前記左連繋部の背面に広がっており、
    前記右袖は、
    前記右袖の長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸長率が20%未満でしかない非伸長領域
    を有し、
    前記右袖の非伸長領域は、少なくとも前記右連繋部の背面に広がっている、
    請求項1に記載の衣料の上半身部。
  5. 前記左袖の非伸長領域は、前記左連繋部の背面から前面にわたって広がっており、
    前記右袖の非伸長領域は、前記右連繋部の背面から前面にわたって広がっている、
    請求項4に記載の衣料の上半身部。
  6. 前記左連繋部と前記右連繋部とのそれぞれが、前記後身頃から後方へ向かって延びている、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の衣料の上半身部。
  7. 前記後身頃は、前記左袖の背面と前記右袖の背面との間に、着用者の左右の肩甲骨が互いから離れることを阻む規制部を含む、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の衣料の上半身部。
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