JP6696661B2 - 衣料の上半身部 - Google Patents

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Description

本発明は、衣料の上半身部に関する。
着用者の上半身の少なくとも一部を覆うことができる衣類の上半身部が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−196587号公報
人は、スマートフォン等の携帯機器を操作するとき、携帯機器をもつ腕が正面中央側へ回るように、肩が所定の姿勢よりも前方へ出てしまいやすい。「所定の姿勢」とは一般的に知られている正しい姿勢であり、具体的には例えば平坦面に起立している人を真横から見た場合、首のつけ根、肩、ひじ、くるぶしが略一直線上に位置する姿勢である。この姿勢よりも肩が前方へ出る姿勢、いわゆる巻き肩や猫背は頻繁にまたは連続して長時間にわたって保持された場合、肩こりまたは姿勢の悪化等の問題をもたらし得る。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、腕が正面中央側へ回るように肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくすることができる衣料の上半身部の提供を目的とする。
本発明の1つの観点による衣料の上半身部は、身頃に左袖と右袖とが繋がっている。身頃のうち後身頃は、左側に左抉り部を有し、右側に右抉り部を有し、かつ、これら左抉り部と右抉り部の間は、着用時に左右の肩甲骨を左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有する。左袖は背面側に、左抉り部に縫合された左縫合部分を有する。右袖は背面側に、右抉り部に縫合された右縫合部分を有する。前記左袖の上端部背面側が前記左抉り部に縫合される前では、前記左縫合部分は前記左抉り部の最深部よりも左右方向において短い。前記右袖の上端部背面側が前記右抉り部に縫合される前では、前記右縫合部分は前記右抉り部の最深部よりも左右方向において短い。このように構成することで、この衣料の立体形状では両袖の延びる方向が標準的な方向よりも後方へ逸れる。したがって、標準的な体形の人でもこれらの両袖に両腕を通すだけで、後身頃の左抉り部と右抉り部の間が備える強い引張力で両肩が後方へ引かれる。すなわち、後身頃の左抉り部と右抉り部の間が備える引張力で着用者の左右の肩甲骨を内方側へ引き寄せ、着用者の左右の上腕上部と肩とに対して後方への高い負荷をかける。その結果、この衣料は、左右の上腕上部が正面中央側へ回るように左右の肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくし、巻き肩や猫背といった姿勢の悪化を着用者に確実に回避させることができる。また、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を発揮することができる。
なお、前記左抉り部の最深部よりも左右方向において短くする上側の開始点としては、左抉り部の上端からその真下の10cmの範囲における箇所より開始させるようにしてもよい。また、前記右抉り部の最深部よりも左右方向において短くする上側の開始点としては、右抉り部の上端からその真下の10cmの範囲における箇所より開始させるようにしてもよい。逆に、前記左抉り部の最深部よりも左右方向において短くする下側の終了点としては、左抉り部の最深部から真下に2cm〜5cm又は2cm〜10cmの箇所より終了させるようにしてもよい。また、前記右抉り部の最深部よりも左右方向において短くする下側の終了点としては、右抉り部の最深部から真下に2cm〜5cm又は2cm〜10cmの箇所より終了させるようにしてもよい。
さらに、後身頃の左抉り部と右抉り部の間に備える強い引張力は、左右の抉り部の上端から下端(脇)までの領域で必ず存在させる必要があるというものではなく、最深部が左右の抉り部の中間にある場合には最深部から真上に3cm以上でかつ最深部から真下に3cm以上となる領域(範囲)で、最深部が左右の抉り部の上端にある場合にはその上端から真下に6cm以上となる領域(範囲)で、最深部が左右の抉り部の下端にある場合にはその下端から真上に6cm以上となる領域(範囲)で存在させることが好ましい。要は適宜の領域(範囲)で前記強い引張力を存在させればよいものである。
左袖のうち少なくとも背面は、左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有してもよい。右袖のうち少なくとも背面は、右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有してもよい。左袖の高伸長力領域は左袖の背面から正面までに亘っていてもよく、右袖の高伸長力領域は右袖の背面から正面までに亘っていてもよい。左袖の正面は、左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよく、右袖の正面は、右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよい。これらの構成によれば、着用者に対して後身頃が加える引張力が両袖の背面の伸びによって大きくは減殺されず、着用者の左右の肩甲骨、更には上腕上部および肩を着用者の後方へ、更には背面中央側へと移動させる力がより強く働くことが新たに知見された。
左袖のうち少なくとも背面は、左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよく、右袖のうち少なくとも背面は、右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有してもよい。左袖の非伸長領域は左連繋部の背面から正面までに亘ってもよく、右袖の非伸長領域は右連繋部の背面から正面までに亘ってもよい。左袖の正面は、左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有してもよい。右袖の正面は、右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有してもよい。いずれの構成でも、着用者の左右の肩甲骨、上腕上部、および肩が後身頃に更に強く引き寄せられ、着用者の後方へ、かつ背面中央側へと移動させられる。こうして、着用者の姿勢に対する矯正効果を更に高めることができる。
身頃の左脇部から左抉り部の最深部までの左右方向における距離が身頃の右脇部から右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しくてもよく、この距離の0.5〜6倍が、左抉り部の最深部から右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しくてもよい。この構成によれば、この衣料の上半身部のうち着用者の肩口を覆う部分が着用者の背面中央側へよれる事態を防止することができる。したがって、この事態に起因して、衣料の上半身部にしわが出たり、この衣料が着用者の運動を邪魔したりすることが回避される。
左袖のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分と、右袖のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分とは、柔軟性の高い生地を備えていてもよい。この構成によれば、後身頃の引っ張りにより左右の連繋部の背面側が着用者の後方へ、および背面中央側へ移動しても、着用者に脇の下の痛みを感じさせる事態を防止することができる。
後身頃は右抉り部と左抉り部によって前身頃(正面)の左右方向の幅よりも幅小に形成されるため、前身頃と後身頃とが同じ生地で構成されていても、後身頃は着用時に左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有する。また、後身頃は前身頃と同じ生地で構成し、その生地の横地を、前身頃では上下方向であり、後身頃では左右方向にしてもよい。さらに、後身頃は、前身頃と同じ生地に樹脂が塗布された部分を含むことにより、左右方向の引張力が前身頃よりも強くてもよい。さらにまた、後身頃は前身頃よりも生地の引張力が強いものを使用してもよいし、後身頃は複数枚の生地を使用して前身頃よりも引張力を強くしてもよい。いずれによっても、後身頃に必要な強さの引張力を容易に生じさせることができる。
本発明によれば、腕が正面中央側へ回るように肩が前方に出る姿勢を着用者にとらせづらくすることができる衣料の上半身部を提供することができる。
本発明の第1実施形態による衣料の上半身部の正面図である。 図1の衣料の上半身部の背面図である。 図1の衣料の上半身部が人に着用された状態を示す模式平面図である。 本発明の別の実施形態による衣料の上半身部の背面図である。 本発明の第2実施形態による衣料の上半身部の正面図である。 図5の衣料の上半身部の背面図である。 図6の一部拡大図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の左側と左袖との縫合が解かれた状態の第1例を示す概略図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の右側と右袖との縫合が解かれた状態の一例を示す概略図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の左側と左袖との縫合が解かれた状態の第2例を示す概略図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の左側と左袖との縫合が解かれた状態の第3例を示す概略図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の左側と左袖との縫合が解かれた状態の第4例を示す概略図である。 図5の衣料の上半身部における身頃の後側領域の左側と左袖との縫合が解かれた状態の第5例を示す概略図である。 本発明のまた別の実施形態による衣料の上半身部の背面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
《第1実施形態》
図1には、本発明の第1実施形態による衣料の上半身部1の正面図を示し、図2には、その上半身部1の背面図を示す。なお、図1および図2においては、平らに広げられた通常状態にある衣料の上半身部1を表している。図1、図2に示されるように、衣料の上半身部1は、着用者の上半身に着用され得るように構成されている。衣料の上半身部1としては、肌着として着用され得るもの(インナーウェア)、または、肌着の上に着用される中衣もしくは上着として着用され得るもの(アウターウェア)がある。
衣料の上半身部1は、身頃2と、左袖3と、右袖4とを備えている。身頃2は前身頃11と後身頃12とを有する。後身頃12は後側領域8を含む。後側領域8の左側に左袖3が縫合され、後側領域8の右側に右袖4が縫合されている。
身頃2は、衣料の上半身部1の上下方向を軸方向とする筒状体である。身頃2は、着用者が衣料の上半身部1を着用する際に着用者の上半身に応じて少なくとも後側領域8を伸ばしつつ、着用者の上半身を覆うことができるように構成されている。なお、第1実施形態による身頃2においては、前身頃11と後身頃12とが別体で構成されているが、これらは一体で構成されていてもよい。
前身頃11は着用者の上半身の正面に対応する部分であり、着用者の上半身の略正面全部を覆うことができるように形成されている。後身頃12は着用者の上半身の背面に対応する部分であり、着用者の上半身の略背面全部を覆うことができるように形成されている。
後身頃12の後側領域8(図2における第1ドット領域)は、左袖3との凹状の縫合箇所と右袖4との凹状の縫合箇所との間の領域であり、着用時に左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有する。後側領域8はまた、左脇部13と右脇部14とを左右方向に最短距離で結ぶ直線よりも上方に位置する。後側領域8は、前身頃11と同じ生地を使用しても前身頃11(つまり正面)に相当する左右方向の幅よりも幅小である。これにより後側領域8には、着用時に左右方向の内方側へ引っ張る引張力が生じる。その他に、少なくとも後側領域8は、引張力の強い生地に変更したり生地を複数枚使用したりすることで、前身頃11よりも引張力を強くすることが可能である。さらに、後身頃12、特に後側領域8は前見頃11と同じ生地で構成し、その生地の横地は、前見頃11では上下方向とし、後身頃12では左右方向にして、前身頃11よりも引張力を強くすることが可能である。上記のものとは別に、後側領域8は、前見頃11と同じ生地に樹脂が塗布された部分を含む。この樹脂は特に弾性の高い種類であり、たとえば、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニルを含む。この場合においても、後側領域8は前見頃11よりも左右方向の引張力を強く設定することが可能である。
衣料の上半身部1が着用された際、後側領域8は引張力を着用者に対して発揮することにより、左袖3との縫合箇所を右方へ引っ張り、かつ右袖4との縫合箇所を左方へ引っ張る。後身頃12のうち少なくとも後側領域8は、左右方向において20%伸長時に60cN以上となる伸長力を有している。この伸長力は好ましくは、左右方向の20%伸長時に80cN以上600cN以下であり、より好ましくは、左右方向の20%伸長時に100cN以上400cN以下である。
身頃2は更に、襟ぐり16と、裾17と、左の取付用端部18と、右の取付用端部19とを含む。襟ぐり16は、身頃2の上端部に配されるとともに、身頃2の左右方向の中央付近に配されている。裾17は、襟ぐり16の下方に配されている。左の取付用端部18は、左袖3の背面側を後側領域8(身頃2(後身頃12))に縫合するための部分であり、後側領域8の左側に配されている。右の取付用端部19は、右袖4の背面側を後側領域8(身頃2(後身頃12))に縫合するための部分であり、後側領域8の右側に配されている。
左袖3は、身頃2に連通しつつ当該左袖3の長さ方向(軸方向、図1における概ね矢印21方向)に延在する筒状体である。第1実施形態において、左袖3は長袖である。なお、本発明における左袖は、これに代えて、半袖であってもよいし、七分袖であってもよい。
左袖3の長さ方向一端部(身頃2側にある上端部)には上端部背面23(図2における第2の点ハッチングの領域)が備えられている。上端部背面23とは、図2などに示すとおり、衣料の上半身部1の左脇部13から、左袖3の長手方向と直交する方向に延びる左脇基準線(第1仮想線)25に対して、その左脇基準線25よりも後側領域8側に存在する左袖3の部分をいう。上端部背面23は、身頃2のうち後身頃12の後側領域8と隣り合うように配されている。
左袖3は上端部背面23側が、後側領域8の左側(左の取付用端部18)に縫合されている。左袖3のうち少なくとも上端部背面23は、左袖3の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600以下となる伸長力を有している。この伸長力は好ましくは左袖3の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは左袖3の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
右袖4は、身頃2に連通しつつ当該右袖4の長さ方向(軸方向、図1における概ね矢印26方向)に延在する筒状体である。第1実施形態において、右袖4は長袖である。なお、本発明における右袖は、これに代えて、半袖であってもよいし、七分袖であってもよい。
右袖4の長さ方向一端部(身頃2側にある上端部)には上端部背面28(図2における第2の点ハッチングの領域)が備えられている。上端部背面28とは、図2などに示すとおり、衣料の上半身部1の右脇部14から、右袖4の長手方向と直交する方向に延びる右脇基準線(第2仮想線)29に対して、その右脇基準線29よりも後側領域8側に存在する右袖4の部分をいう。上端部背面28は、身頃2のうち後身頃12の後側領域8と隣り合うように配されている。
右袖4は上端部背面28側が、後側領域8の右側(右の取付用端部19)に縫合されている。右袖4のうち少なくとも上端部背面28は、右袖4の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600以下となる伸長力を有している。この伸長力は好ましくは右袖4の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは右袖4の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
なお、ここでいう「伸長力」とは、それぞれの製造に用いられる生地(素材)を、定速伸長形引張試験機により、約20℃(18℃〜22℃)の環境下において、幅2.5cm、長さ(生地把持間隔)10cmの状態で、引張り速度30cm/分で所定方向に20%伸長させた時の伸長力である。本件では定速伸長形引張試験機として島津製作所製AGS−Xを採用し、これを用いて測定した伸長力を記載している。
以上のように、衣類の上半身部1において、左袖3の上端部背面23と右袖4の上端部背面28とは、長さ方向における20%伸長時に伸長力が45cN以上となる強伸張力領域として構成されている。これにより、衣類の上半身部1が着用されたときに身頃2の後側領域8が発揮する引張力(左袖3の上端部背面23を略右方へ引っ張り、かつ、右袖4の上端部背面28を略左方へ引っ張る力)が左袖3の上端部背面23と右袖4の上端部背面28との伸びによって大きくは減殺されず、着用者の左右両方の上腕上部および肩を着用者の後方へ、更には背面中央側へと移動させる力がより強く働くことが新たに知見された。
この力の働きにより、着用者の左右両方の上腕上部および肩に後方への高い負荷をかけることが可能となる。したがって、図3でいえば、左右の上腕上部がそれぞれ正面中央側へ回るように両肩が前方へ出る姿勢35を、着用者30に更にとらせづらくすることができる。その結果、着用者が巻き肩や猫背になるといったことを効果的に抑制することができ、着用者の姿勢に対する矯正効果をより高めることができる。また、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を衣類の上半身部1に発揮させることが可能になる。
なお、第1実施形態による左袖3と右袖4とは、襟ぐり16から比較的離れた状態で上端部背面23・28側が身頃2の後側領域8の左右両側に縫合されている。しかし、本発明における左右の袖はこれらには限定されない。例えば、図4に示すような左袖44と右袖49であってもよい。これらは、襟ぐり16に対して比較的近づいた状態で、上端部背面43・48側が身頃2の後側領域8の左右両側に縫合されている。
《第2実施形態》
図5に、本発明の第2実施形態による衣料の上半身部51の正面図を示す。図6に、この上半身部51の背面図を示す。図7に、図6の一部拡大図を示す。なお、図5および図6は、平らに広げられた通常状態にある衣料の上半身部51を表している。第2実施形態による衣料の上半身部51は、身頃2の後側領域8と両袖3・4との縫合の構成が第1実施形態による衣料の上半身部1と相違する。すなわち、図5、図6、図7に示されるように、衣料の上半身部51において、身頃2は左袖ぐりと右袖ぐりとを備えている。左袖ぐりを介して身頃2に左袖3が取り付けられ、右袖ぐりを介して右袖4が身頃2に取り付けられている。
身頃2の左袖ぐりは、左の取付用端部を構成するものであり、左の取付用端部正面53と左の取付用端部背面54とを有している。なお、以下の説明においては、左の取付用端部正面53を単に左端部正面53といい、左の取付用端部背面54を単に左端部背面54という。左端部正面53は、身頃2の左袖ぐりの正面に配されている。左端部正面53は、前身頃11の上部左側に設けられている。左端部背面54は、身頃2の左袖ぐりの背面に配されている。左端部背面54は、後身頃12の上部左側(後側領域8の左側)に設けられている。
身頃2の右袖ぐりは、右の取付用端部を構成するものであり、右の取付用端部正面56と右の取付用端部背面57とを有している。なお、以下の説明においては、右の取付用端部正面56を単に右端部正面56といい、右の取付用端部背面57を単に右端部背面57という。右端部正面56は、身頃2の右袖ぐりの正面に配されている。右端部正面56は、前身頃11の上部右側に設けられている。右端部背面57は、身頃2の右袖ぐりの背面に配されている。右端部背面57は、後身頃12の上部右側(後側領域8の右側)に設けられている。
第2実施形態においては、後側領域8が左端部背面54から右端部背面57に亘って延在するように設けられている。言い換えれば、後側領域8が、後側領域8の左側と左袖3との縫合箇所から後側領域8の右側と右袖4との縫合箇所までに亘って延在するように設けられている。
左袖3は左袖正面61と左袖背面62とを有している。第2実施形態においてこれらは別体に構成されているが、一体に構成されていてもよい。左袖正面61と左袖背面62とは、左袖3が筒状を呈するように前後に連続的に並べられている。左袖正面61と左袖背面62とは、左袖3の長さ方向一端部(上端部)側で身頃2の左袖ぐりに縫合される一方、左袖3の長さ方向他端部(下端部)側に袖口65を形成している。
左袖正面61には左袖3の上端部正面67が含まれている。上端部正面67とは、図5に示すとおり、衣料の上半身部1の左脇部13から、左袖3の長手方向と直交する方向に延びる左脇基準線(第1仮想線)25に対して、その左脇基準線25よりも後側領域8側に存在する左袖3の部分をいう。左袖3の上端部正面67は、左袖3の長さ方向一端部(上端部)の正面側に設けられており、身頃2の左端部正面53(前身頃11の上部左側)と隣り合うように配されている。
左袖背面62には左袖3の上端部背面68が含まれている。左袖3の上端部背面68は、左袖3の長さ方向一端部(上端部)の背面側に設けられており、身頃2の左端部背面54(後身頃12の上部左側)と隣り合うように配されている。
左袖3は、上端部背面68側が左端部背面54(後側領域8の左側)に縫合されている。左袖3のうち少なくとも上端部背面68は、左袖3の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600以下となる伸長力を有している。この伸長力は好ましくは、左袖3の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは、左袖3の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
右袖4は右袖正面71と右袖背面72とを有している。第2実施形態においてこれらは別体に構成されているが、一体に構成されていてもよい。右袖正面71と右袖背面72とは、右袖4が筒状を呈するように、前後に連続的に並べられている。右袖正面71と右袖背面72とは、右袖4の長さ方向一端部(上端部)側で身頃2の右袖ぐりに縫合される一方、左袖3の長さ方向他端部(下端部)側に袖口75を形成している。
右袖正面71には右袖4の上端部正面77が含まれている。上端部正面77とは、図5などに示すとおり、衣料の上半身部1の右脇部14から、右袖4の長手方向と直交する方向に延びる右脇基準線(第2仮想線)29に対して、その右脇基準線29よりも後側領域8側に存在する右袖4の部分をいう。右袖4の上端部正面77は、右袖4の長さ方向一端部(上端部)の正面側に設けられており、身頃2の右端部正面56(前身頃11の上部右側)と隣り合うように配されている。
右袖背面72には右袖4の上端部背面78が含まれている。右袖4の上端部背面78は、右袖4の長さ方向一端部(上端部)の背面側に設けられおり、身頃2の右端部背面57(後身頃12の上部右側)と隣り合うように配されている。
右袖4は、上端部背面78側が右端部背面57(後側領域8の右側)に縫合されている。右袖4のうち少なくとも上端部背面78は、右袖4の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600以下となる伸長力を有している。この伸長力は好ましくは、右袖4の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは、右袖4の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
以上のように、衣類の上半身部51において、左袖3の上端部背面68と右袖4の上端部背面78とは、長さ方向における20%伸長時に伸長力が45cN以上となる強伸張力領域として構成されている。これにより、第1実施形態と同様に、衣類の上半身部51が着用された際に身頃2の後側領域8が発揮する引張力が、左袖3の上端部背面68を略右方へ引っ張り、かつ、右袖4の上端部背面78を略左方へ引っ張る。この引張力は、左袖3の上端部背面68と右袖4の上端部背面78との伸びによって大きくは減殺されないので、着用者の左右両方の上腕上部と肩とを着用者の後方へ、更に背面中央側へと移動させる力がより強く働くことになる。その結果、着用者の左右両方の上腕上部と肩とに後方への高い負荷をかけることが可能となる。したがって、左右の上腕上部が正面中央側へまわるように左右の肩が前方に出てしまう姿勢を着用者に、よりとりづらくさせることができる。それ故、着用者が巻き肩や猫背になるといったことを効果的に抑制することができ、着用者の姿勢に対する矯正効果をより高めることができる。また、既に巻き肩や猫背になった人に対しても優れた矯正効果を衣類の上半身部51に発揮させることが可能になる。
衣類の上半身部51は、左袖3のうち少なくとも上端部背面68および上端部正面67に亘って(第2実施形態においては、左袖3の上端部のうち着用者の左脇の下に対向する部分を除いた部分で)、左袖3の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600cN以下となる伸長力を有するように構成されている。この伸長力は好ましくは、左袖3の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは、左袖3の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
衣類の上半身部51は、右袖4のうち少なくとも上端部背面78および上端部正面77に亘って(第2実施形態においては、右袖4の上端部のうち着用者の右脇の下に対向する部分を除いた部分で)、右袖4の長さ方向において20%伸長時に45cN以上600cN以下となる伸長力を有するように構成されている。この伸長力は好ましくは、右袖4の長さ方向の20%伸長時に60cN以上500cN以下であり、より好ましくは、右袖4の長さ方向の20%伸長時に80cN以上400cN以下である。
これらの構成により、衣類の上半身部51が着用されたとき、着用者の左右両方の上腕上部と肩とを、さらに強く着用者の後方へ、更に背面中央側へと移動させることができる。そのため、より効果的な着用者の姿勢矯正を行うことができる。
ところで、図8以降は、着用者の左右両方の上腕上部と肩とを着用者の後方へ、更により効果的に背面中央側へ引張って移動させることができる構成を示しているものであり、上記各実施形態に適用できるものである。
以下、その説明を行うこととする。
図8に、身頃2(後身頃12)の後側領域8の左側と左袖3との縫合が解かれた状態の概略図を示す。なお、図8において、後述の高柔軟性の高い生地191は説明の便宜上省略している。衣類の上半身部51において、左袖3は、図8に示す状態を経て後側領域8の左側に近接し、これと縫合される。
図8に示すように、後身頃12の後側領域8の左側に、左抉り部81が設けられている。この左抉り部81に左袖3の上端部背面68側が縫合される。詳しくは、左抉り部81は左端部背面54として機能するものである。左抉り部81は、後身頃12の左縁部の上側が抉られることによって構成されており、後身頃12の上下方向に延在している。左抉り部81は、後身頃12の左右方向の中心縦線83側(右側)へ凹んだ湾曲形状(凹形状)をしている。その形状のうち、中心縦線83側へ最も凹んだ部分に最深部85を左抉り部81は有している。この最深部85は、凹形状の縫合ラインを形作る、左抉り部81の縁部上に配されている。
図9に、身頃2(後身頃12)の後側領域8の右側と右袖4との縫合が解かれた状態の概略図を示す。なお、図9において、後述の高柔軟性の生地192は説明の便宜上省略している。衣類の上半身部51において、右袖4は、図9に示す状態を経て後側領域8の右側に近接し、これと縫合される。
図9に示すように、後身頃12の後側領域8の右側に右抉り部101が設けられている。この右抉り部101に右袖4の上端部背面78側が縫合される。詳しくは、右抉り部101は右端部背面57として機能するものである。右抉り部101は、後身頃12の右縁部の上側が抉られることによって構成されており、概ね後身頃12の上下方向に延在している。右抉り部101は、後身頃12の左右方向の中心縦線83側(左側)へ凹む湾曲形状(凹形状)を有している。その形状のうち、中心縦線83側へ最も凹んだ部分に最深部105を右抉り部101は有している。この最深部105は、凹形状の縫合ラインを形作る、右抉り部101の縁部上に配されている。
このように、身頃2の後側領域8の左側および右側の各々に左抉り部81および右抉り部101が設けられるため、後側領域8は左右方向に短くなる。着用者は後側領域8を少なくとも左右方向に伸ばしながら衣料の上半身部1を着用するので、後側領域8の引張力がより強力になる。したがって、着用者の左右両方の上腕上部と肩とを、より強く着用者の後方へ、更に背面中央側へと移動させることができる。
図8に示されるように、第2実施形態においては、左袖3は上端部背面68側に、後側領域8の左抉り部81に縫合された左縫合部分132を有している。左袖3の上端部背面68側が左抉り部81に縫合される前では左縫合部分132は全体が左抉り部81よりも左右方向において短いので、左抉り部81の最深部85には到達しない。詳しくは、左袖3の上端部背面68側に左基部131と前述の左縫合部分132とが設けられている。左基部131は、上端部背面68側のうち左袖3の長手方向他端部(下端部)側に配されている。左縫合部分132は、上端部背面68側のうち左袖3の長手方向一端部(上端部)側に配されている。
左縫合部分132は、左基部131から左抉り部81(後側領域8)に向かって膨出する膨出形状を有し、その形状のなかで左右方向の中心縦線83側へ最も突出する部分に、頂部134を備えている。頂部134は、左抉り部81に対して凸形状の縫合ラインを形作る、左縫合部分132の(背面から見て)右側縁部上に配されている。
左袖3の上端部背面68側においては、左縫合部分132の右側縁部が左抉り部81に縫合される。この際、左縫合部分132の右側縁部の上端部135が左抉り部81の上端部136と合致させられ、左縫合部分132の右側縁部の下端部137が左抉り部81の下端部93と合致させられる。さらに、左縫合部分132の頂部134が左抉り部81の最深部85と合致させられる。
左縫合部分132と左抉り部81との縫合が解かれた場合(即ち、これら両者が分離している場合)、左縫合部分132の上端部135と下端部137との最短距離d1は、左抉り部81の上端部136と下端部93との最短距離d2よりも長くなるように設定されている。また、左縫合部分132の右側縁部の周長が左抉り部81の周長と略同じになるように設定されている。なお、これら両者の周長は、伸ばし縫い等により適切に縫合を実行できる周長であればよく、互いに異なる周長としてもよい。
左縫合部分132と左抉り部81との縫合が解かれた場合には更に、左縫合部分132の突出寸法(膨出寸法)が左抉り部81の凹み寸法よりも小さくなるように設定されている。具体的には、第5仮想線143と左縫合部分132の頂部134との最短距離d3が、第6仮想線144と左抉り部81の最深部85との最短距離d4よりも短くなるように設定されている。第5仮想線143は、左縫合部分132の上端部135と下端部137とを最短距離d1で結ぶ直線であり、第6仮想線144は、左抉り部81の上端部136と下端部93とを最短距離d2で結ぶ直線である。すなわち、左縫合部分132と左抉り部81とを左右方向に並べたとき(図8参照)、左縫合部分132の上端部135と左抉り部81の上端部136とが合致し、かつ左縫合部分132の下端部137と左抉り部81の下端部93とが合致した状態で、左縫合部分132における前記縫合ライン上の頂部134が左抉り部81における縫合ライン上の最深部85に左右方向において到達しない(届かずに合致しない)。このような寸法(短寸)に左縫合部分132は形成されている。
図9に示されるように、第2実施形態においては、右袖4は上端部背面78側に、後側領域8の右抉り部101に縫合された右縫合部分152を有している。右袖4の上端部背面78側が右抉り部101に縫合される前では右縫合部分152は全体が右抉り部101よりも左右方向において短いので、右抉り部101の最深部105には到達しない。詳しくは、右袖4の上端部背面78側に右基部151と前述の右縫合部分152とが設けられている。右基部151は、上端部背面78側のうち右袖4の長手方向他端部(下端部)側に配されている。右縫合部分152は、上端部背面78側のうち右袖4の長手方向一端部(上端部)側に配されている。
右縫合部分152は、右基部151から右抉り部101(後側領域8)に向かって膨出する膨出形状を有し、その形状のなかで左右方向の中心縦線83側へ最も突出する部分に、頂部154を備えている。頂部154は、右抉り部101に対して凸形状の縫合ラインを形作る、右縫合部分152の(背面から見て)左側縁部上に配されている。
右袖4の上端部背面78側においては、右縫合部分152の左側縁部が右抉り部101に縫合される。この際、右縫合部分152の左側縁部の上端部155が右抉り部101の上端部156と合致させられ、右縫合部分152の左側縁部の下端部157が右抉り部101の下端部113と合致させられる。さらに、右縫合部分152の頂部154が右抉り部101の最深部105と合致させられる。
右縫合部分152と右抉り部101との縫合が解かれた場合(即ち、これら両者が分離している場合)、右縫合部分152の上端部155と下端部157との最短距離d5は、右抉り部101の上端部156と下端部113との最短距離d6よりも長くなるように設定されている。また、右縫合部分152の左側縁部の周長が右抉り部101の周長と略同じになるように設定されている。なお、これら両者の周長は、伸ばし縫い等により適切に縫合を実行できる周長であればよく、互いに異なる周長としてもよい。
右縫合部分152と右抉り部101との縫合が解かれた場合には更に、右縫合部分152の突出寸法(膨出寸法)が右抉り部101の凹み寸法よりも小さくなるように設定されている。具体的には、第7仮想線163と右縫合部分152の頂部154との最短距離d7が、第8仮想線164と右抉り部101の最深部105との最短距離d8よりも短くなるように設定されている。第7仮想線163は、右縫合部分152の上端部155と下端部157とを最短距離d5で結ぶ直線であり、第8仮想線164は、右抉り部101の上端部156と下端部113とを最短距離d6で結ぶ直線である。すなわち、右縫合部分152と右抉り部101とを左右方向に並べたとき(図9参照)、右縫合部分152の上端部155と右抉り部101の上端部156とが合致し、かつ右縫合部分152の下端部157と右抉り部101の下端部113とが合致した状態で、右縫合部分152における前記縫合ライン上の頂部154が右抉り部101における縫合ライン上の最深部105に左右方向において到達しない(届かずに合致しない)。このような寸法(短寸)に右縫合部分152は形成されている。
なお、左袖3の上端部背面68は、左抉り部81に対する凸形状の縫合ラインである左縫合部分132を有するものに限られるものではない。すなわち、本発明における左袖の上端部背面はこれに限定するものではなく、左抉り部と縫合されていない分離時に、その左抉り部の最深部に到達しない短寸に形成されたものであればよい。例えば、図10に示すように、上端部背面172が、左抉り部81に対して凹凸形状の縫合ラインである左縫合部分171を有してもよい。図11に示すように、上端部背面175が、直線形状の縫合ラインである左縫合部分174を有してもよい。図12に示すように、上端部背面178が、左抉り部81に対して凹形状の縫合ラインである左縫合部分177を有してもよい。
本発明における右袖の上端部背面側は、本発明における左袖の上端部背面側と同様の構成を採用することが可能であり、右袖の上端部背面78が左袖3の上端部背面68と、後側領域8に対して左右対称の構成を有している。
なお、図7及び図8に示すように、左抉り部81の最深部85は、左抉り部81の上下方向の中央181よりも下方に配置することが好ましい。また、図7及び図9に示すように、右抉り部101の最深部105は、右抉り部101の上下方向の中央182よりも下方に配置することが好ましい。この構成により、衣料の上半身部1を着用する者の肩口に対応する上半身部1の部分が着用者の背面中央側へよれる事態が防止されるので、上半身部1はしわが寄りにくく、着用者の運動を邪魔しにくい。
図7に示したように、左抉り部81における最深部85の深さv1が右抉り部101における最深部105の深さv2と等しく、これらの深さv1、v2に対し、左抉り部81の最深部85と右抉り部101の最深部105との間における後側領域8の左右方向の長さv3が、比v1:v2:v3=1:1:0.5〜6の範囲内に収まるように設定することが好ましい。左抉り部81における最深部85の深さv1は、最深部85と第3仮想線87との最短距離に相当する。第3仮想線87は、図7に示すように、衣類の上半身部51の左脇部13(左抉り部81の下端部93)から衣類の上半身部51の左肩部95側に向かって後身頃12の上方へ略垂直に延びる直線である。第3仮想線87はまた、後身頃12の左右方向の中心縦線83と略平行に延在する。右抉り部101における最深部105の深さV2は、最深部105と第4仮想線107との最短距離に相当する。第4仮想線107は、図7に示すように、衣類の上半身部51の右脇部14(右抉り部101の下端部113)から衣料の上半身部51の右肩部115側に向かって後身頃12の上方へ略垂直に延びる直線である。第4仮想線107はまた、後身頃12の左右方向の中心縦線83と略平行に延在する。左抉り部81の最深部85と右抉り部101の最深部105との間における後側領域8の左右方向の長さv3は、これら最深部85・105間の最短距離に相当する。
図8では、左抉り部81の上端部136の真下よりも右側に、左抉り部81の下端部93が位置する場合を示したが。これに限らず、図13に示すように、左抉り部81の上端部136の真下よりも左側に、左抉り部81の下端部93が位置してもよい。右抉り部101についても同様であって、右抉り部の上端部の真下よりも右側に、右抉り部の下端部が位置してもよい。
また、図5、図6、図7に示したが、左袖3のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分に、柔軟性の高い生地191が備えられている。右袖4のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分に、柔軟性の高い生地192を備えてもよい。この場合、左袖3側の生地191は、前述した左袖3の上端部背面68の機能を損なわないように、左袖3の長さ方向一端部(上端部)の下側に設けられている。右袖4側の生地192は、前述した右袖4の上端部背面78の機能を損なわないように、右袖4の長さ方向一端部(上端部)の下側に設けられている。この構成により、衣類の上半身部51が着用されたとき、後側領域8の引張りにより左袖3の上端部背面68側と右袖4の上端部背面78側とが着用者の後方へ、更に背面中央側へと移動しても、着用者に脇の下の痛みを感じさせずにすむ。
なお、図5、図6、図7に示した柔軟性の高い生地は、左袖3と右袖4とのうち着用者の左右の脇の下の各々に対向する部分のみに備えられた高柔軟性の生地191・192としている。しかし、これらに限定されるものではなく、例えば、図14に示すような、着用者の左右の脇の下のほか、左右の上腕および前腕の下側の各々に対向する部分に備えられた高柔軟性の生地195・196としてもよい。
本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち少なくとも上端部背面が、長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有する構成であってもよい。この左袖は、全く伸びない構成を含む。本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち少なくとも上端部背面が、長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸長率が20%未満である非伸長領域を有する構成であってもよい。この右袖は、全く伸びない構成を含む。
本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち少なくとも上端部背面が、長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる強伸長力領域を有し、かつ左袖のうち上端部正面が、長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸長率が20%未満である非伸長領域を有する構成であってもよい。本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち少なくとも上端部背面が強伸長力領域を有し、かつ、右袖のうち上端部正面が非伸長領域を有する構成であってもよい。このような場合には、例えば、左右の袖を、それぞれ、正面と背面とを別体に構成した(異なる生地から構成した)袖としてもよい。その他に、強伸長力領域を共に有するように正面と背面とを一体に構成した(同一の生地から構成した)うえで、別の生地等を利用して非伸長領域を、袖のうち少なくとも上端部正面に設けてもよい。
本発明における左袖は、第1実施形態および第2実施形態の左袖3に代えて、左袖のうち少なくとも上端部背面が、長さ方向に45cN以上の伸張力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有し、かつ左袖のうち上端部正面が、長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる強伸長力領域を有する構成であってもよい。本発明における右袖は、第1実施形態および第2実施形態の右袖4に代えて、右袖のうち少なくとも上端部背面が非伸長領域を有し、かつ、右袖のうち上端部正面が強伸長力領域を有する構成であってもよい。このような場合には、例えば、左右の袖を、それぞれ、正面と背面とを別体に構成した(異なる生地から構成した)袖としてもよい。その他に、強伸長力領域を共に有するように正面と背面とを一体に構成した(同一の生地から構成した)うえで、別の生地等を利用して非伸長領域を、袖のうち少なくとも上端部背面に設けてもよい。
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態および変形形態をとり得ることは明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
1 衣料の上半身部
2 身頃
3 左袖
4 右袖
8 後側領域
23 左袖の上端部背面
28 右袖の上端部背面
51 衣料の上半身部
67 左袖の上端部正面
68 左袖の上端部背面
77 右袖の上端部正面
78 右袖の上端部背面
81 左抉り部
85 左抉り部の最深部
101 右抉り部
105 右抉り部の最深部
132 左縫合部分
152 右縫合部分
181 左抉り部の上下方向の中央
182 右抉り部の上下方向の中央
191 高柔軟性の生地
192 高柔軟性の生地
195 高柔軟性の生地
196 高柔軟性の生地
v1 左抉り部における最深部の深さ
v2 右抉り部における最深部の深さ
v3 左抉り部の最深部と右抉り部の最深部との間における後側領域の左右方向の長さ

Claims (14)

  1. 身頃に左袖と右袖とが繋がっている衣料の上半身部であって、
    前記身頃のうち後身頃は、左側に左抉り部を有し、右側に右抉り部を有し、かつ、これら左抉り部と右抉り部の間は着用時に左右の肩甲骨を左右方向の内方側へ引っ張る引張力を有し、
    前記左袖は背面側に、前記左抉り部に縫合された左縫合部分を有し、
    前記右袖は背面側に、前記右抉り部に縫合された右縫合部分を有し、
    前記左袖の上端部背面側が前記左抉り部に縫合される前では、前記左縫合部分は前記左抉り部の最深部よりも左右方向において短く、
    前記右袖の上端部背面側が前記右抉り部に縫合される前では、前記右縫合部分は前記右抉り部の最深部よりも左右方向において短い、
    ことを特徴とする衣料の上半身部。
  2. 前記左袖のうち少なくとも背面は、前記左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有し、
    前記右袖のうち少なくとも背面は、前記右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上となる高伸長力領域を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の衣料の上半身部。
  3. 前記左袖の高伸長力領域は前記左袖の背面から正面までに亘っており、
    前記右袖の高伸長力領域は前記右袖の背面から正面までに亘っている
    ことを特徴とする請求項2に記載の衣料の上半身部。
  4. 前記左袖の正面は、前記左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有し、
    前記右袖の正面は、前記右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衣料の上半身部。
  5. 前記左袖のうち少なくとも背面は、前記左袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有し、
    前記右袖のうち少なくとも背面は、前記右袖の長さ方向に45cN以上の伸長力をかけても伸張率が20%未満である非伸長領域を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の衣料の上半身部。
  6. 前記左袖の非伸長領域は前記左袖の背面から正面までに亘っており、
    前記右袖の非伸長領域は前記右袖の背面から正面までに亘っている
    ことを特徴とする請求項5に記載の衣料の上半身部。
  7. 前記左袖の正面は、前記左袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有し、
    前記右袖の正面は、前記右袖の長さ方向において20%伸長時に伸長力が45cN以上である高伸長力領域を有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項5に記載の衣料の上半身部。
  8. 前記身頃の左脇部から前記左抉り部の最深部までの左右方向における距離が、前記身頃の右脇部から前記右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しく、この距離の0.5〜6倍が、前記左抉り部の最深部から前記右抉り部の最深部までの左右方向における距離に等しいことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  9. 前記左袖のうち少なくとも着用者の左脇の下に対向する部分と、前記右袖のうち少なくとも着用者の右脇の下に対向する部分とは、柔軟性の高い生地を備えていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  10. 前記身頃のうち前身頃は、前記後身頃と同じ生地で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  11. 前記身頃のうち前身頃は、前記後身頃と同じ生地で構成されており、この生地の横地は、前記前身頃では上下方向であり、前記後身頃では左右方向であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  12. 前記後身頃は、前記身頃のうち前身頃と同じ生地に樹脂が塗布された部分を含むことにより、左右方向の引張力が前記前身頃よりも強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  13. 前記後身頃は、前記身頃のうち前身頃よりも生地の引張力が強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
  14. 前記後身頃は複数枚の生地を使用して、前記身頃のうち前身頃よりも引張力が強いことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の衣料の上半身部。
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