以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
図1〜図3を参照し、コンロ1の外観構造を説明する。図1,図2に示すように、コンロ1は、グリル付きテーブルコンロである。コンロ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は、上部が開口する略直方体状に形成されている。天板3は、筐体2の開口する上部にネジ(図示略)で固定されている。天板3の右側には、バーナ開口部201が設けられ、左側には、バーナ開口部202が設けられている。それらバーナ開口部201,202の夫々の内側を上下に挿通するように、右コンロバーナ5と左コンロバーナ6が設けられている。天板3の後端側には、排気口部9(図2参照)が設けられている。排気口部9は、筐体2内に設置されたグリル庫500(図2参照)内のガス燃焼によって生じた燃焼ガスを外部に排出する。排気口部9には、複数のスリット191を備える安全カバー190が上側から装着されている。
図3に示すように、筐体2は、筐体本体部20、前板部24の二つの板金部材を互いに組み付け、ネジ(図示略)で固定することで構成されている。筐体本体部20は、前側が開口する平面視略U字形状に形成されている。筐体本体部20は、右側板部21、左側板部22、後板部23を備える。後板部23は、右側板部21及び左側板部22の夫々の後端部同士を繋いでいる。そのような筐体本体部20の開口する前側に、前板部24がネジ(図示略)で固定されている。
前板部24の中央部には、開口部25(図2参照)が設けられている。その開口部25の左右両縁部の夫々の上部には、後方に突出する左右一対の係止爪(図示略)が設けられている。これら一対の係止爪には、後述するユニット本体部50の右側面部513及び左側面部523(図4参照)に設けられたスリット513A,523Aが係止される。開口部25の上縁部における左右両側にも、後方に突出する一対の係止爪(図示略)が設けられている。これら一対の係止爪には、後述するグリルフード60の上縁部64に設けられた一対のスリット641,642(図4参照)が係止される。これにより、前板部24に対してグリル庫500の前側部が固定され、開口部25の後ろ側に、グリル庫500の前側に設けられたグリル開口501(図2参照)が配置される。開口部25には、グリル扉10が前後方向に移動可能に設けられている。グリル扉10の前面には、前方に突出する取手部101が設けられている。ユーザが取手部101を手前側に引き出すと、グリル扉10の背面下部に連結した受皿4(図2参照)と焼き網(図示略)を、グリル庫500内から同時に取り出すことができる。
図1に示すように、前板部24の前面において、グリル扉10の右隣には、点火スイッチ11が設けられ、その右隣には、点火スイッチ12が設けられている。グリル扉10の左隣には、点火スイッチ13が設けられている。点火スイッチ11〜13は押し込み式である。点火スイッチ11を押し込むと、右コンロバーナ5が点火され、再度押し込むと消火される。点火スイッチ12を押し込むと、グリル庫500内に設置されたグリルバーナ65(図2参照)が点火され、再度押し込むと消火される。点火スイッチ13を押し込むと、左コンロバーナ6が点火され、再度押し込むと消火される。点火スイッチ13の左隣には、電池ボックス15が設けられている。電池ボックス15は、コンロ1に電源を供給する乾電池(図示略)を格納する。なお、点火スイッチ11〜13は、押し回し式のツマミ等でもよい。
点火スイッチ11の上方には、火力調節レバー111が設けられている。点火スイッチ12の上方には、火力調節レバー121が設けられている。点火スイッチ13の上方には、火力調節レバー131が設けられている。火力調節レバー111は、左右方向の回動操作によって、右コンロバーナ5の火力調節を行う。火力調節レバー121は、左右方向の回動操作によって、グリルバーナ65の火力調節を行う。火力調節レバー131は、左右方向における回動操作によって、左コンロバーナ6の火力調節を行う。
図2〜図4を参照し、筐体2の内部構造を説明する。筐体2内の略中央には、グリルユニット40が設置されている(図2,図3参照)。図2,図4に示すように、グリルユニット40は、下から順に、ユニット本体部50、グリルフード60、遮熱板70を備える。ユニット本体部50とグリルフード60は、グリル庫500を構成する。ユニット本体部50は、上面と前面が開口する正面視略U字状の箱型に形成され、被調理物を加熱する加熱空間を内側に形成する。グリルフード60は、ユニット本体部50の開口する上部を塞ぐように、ネジ91,92(図4参照)で固定される。グリルフード60は、グリルバーナ65を備える。遮熱板70は、グリルフード60の上面を上方から覆うことで、グリルバーナ65から伝わる熱を遮断する。これにより、天板3の温度が過度に上昇するのを防止する。
図3に示すように、遮熱板70の上面の右端側と、筐体2の右側板部21の上端部との間には、バーナ取付台26が略水平に渡設されている。バーナ取付台26には、右コンロバーナ5が取り付けられている。右コンロバーナ5は、バーナ本体部151とスロート部152を備える。バーナ本体部151は、円環状のバーナキャップ154が上部に載置されることで、外周面に複数の炎孔部を形成する。スロート部152は管状に形成され、バーナ本体部151の外側面の前側下部から前方に延びる。スロート部152の前端部には、ガスを流入させる流入口153が設けられている。流入口153は、後述するガス量調節装置18のノズル18Aに対向する。スロート部152は、ノズル18Aから噴出されるガスと、該ガスの噴出により周囲から引き込まれる筐体2内の空気を管内で混合し、バーナ本体部151に供給する。
他方、遮熱板70の上面の左端側と、筐体2の左側板部22の上端部との間には、バーナ取付台27が略水平に渡設されている。バーナ取付台27には、左コンロバーナ6が取り付けられている。左コンロバーナ6は、バーナ本体部161とスロート部162を備える。バーナ本体部161は、円環状のバーナキャップ164が上部に載置されることで、外周面に複数の炎孔部を形成する。スロート部162は管状に形成され、バーナ本体部161の外側面の前側下部から前方に延びる。スロート部162の前端部には、ガスを流入させる流入口163が設けられる。流入口163は、後述するガス量調節装置19のノズル19Aと対向する。スロート部162は、ノズル19Aから噴出されるガスと、該ガスの噴出により周囲から引き込まれる筐体2内の空気を管内で混合し、バーナ本体部161に供給する。
前板部24の背面側において、点火スイッチ11に対応する位置には、右コンロバーナ5用のガス量調節装置18が設けられている。点火スイッチ12に対応する位置には、グリルバーナ65用のガス量調節装置16が設けられている。点火スイッチ13に対応する位置には、左コンロバーナ6用のガス量調節装置19が設けられている。ガス量調節装置18のノズル18Aは後方に突出し、スロート部152の流入口153に向けてガスを噴出する。ガス量調節装置18は火力調節レバー111と接続し、火力調節レバー111の回動量に応じてノズル18Aから噴出するガス量を調節する。ガス量調節装置19のノズル19Aは後方に突出し、スロート部162の流入口163に向けてガスを噴出する。ガス量調節装置19は火力調節レバー131と接続し、火力調節レバー131の回動量に応じてノズル19Aから噴出するガス量を調節する。
ガス量調節装置16のガス出口(図示略)には、ガス配管28が接続されている。ガス配管28はガス出口から後方に延び、バーナ取付台26の下方を潜って上方に折り返し、グリルバーナ65の後述するスロート部651と略同一の高さ位置で左方に屈曲し、左方に延びている。そのガス配管28のガスが流れる方向の下流側の端部には、ノズル(図示略)が設けられている。ノズルは左方に突出し、スロート部651の流入口652に向けてガスを噴出する。ガス量調節装置16は火力調節レバー121と接続し、火力調節レバー121の回動量に応じてノズルから噴出するガス量を調節する。
図4を参照し、ユニット本体部50の構造を説明する。ユニット本体部50は、右壁部51、左壁部52、底壁部53、背壁部54等を備え、上面と前面が開口する正面視略U字状の箱型に形成されている。
右壁部51の略中央には、凹部(図示略)が設けられている。凹部は、左側方に凹状に窪んで形成されている。凹部の内側の上端部近傍には、燃焼用二次空気導入用の3つの空気孔(図示略)が前後方向に並んで設けられている。これら空気孔は前後方向に延びる略直線状のスリットである。そのような右壁部51を外側から覆うようにして、ダクト部80が取り付けられている。右側のダクト部80は、右壁部51の凹部との間に、燃焼用二次空気を取り入れる為の通路を形成する。
右壁部51の前端部には、右側面部513が設けられている。右側面部513は、右壁部51の前端部から右側方に突出し、面方向が前後方向に向くように配置されている。右側面部513の上部には、上下方向に延びるスリット513Aが設けられている。スリット513Aは、前板部24の開口部25における右縁部の上部に設けられた係止爪(図示略)に係止される。右壁部51の上端部には、上面部511が設けられている。上面部511は、右壁部51の上端部から右側方に突出し、面方向が上下方向に向くように配置されている。上面部511には、上下方向に貫通する固定孔(図示略)が設けられている。
他方、左壁部52の略中央にも、凹部524が設けられている。凹部524は、右側方に凹状に窪んで形成されている。凹部524の内側の上端部近傍には、燃焼用二次空気導入用の3つの空気孔525が前後方向に並んで設けられている。空気孔525は前後方向に延びる略直線状のスリットである。そのような左壁部52を外側から覆うようにして、右壁部51側と同様に、ダクト部80が取り付けられる。左側のダクト部80は、左壁部52の凹部524との間に、燃焼用二次空気を取り入れる為の通路を形成する。
左壁部52の前端部には、左側面部523が設けられている。左側面部523は、左壁部52の前端部から左側方に突出し、面方向が前後方向に向くように配置されている。左側面部523の上部には、上下方向に延びるスリット523Aが設けられている。スリット523Aは、前板部24の開口部25の左縁部の上部に設けられた係止爪(図示略)に係止される。左壁部52の上端部には、上面部521が設けられている。上面部521は、左壁部52の上端部から左側方に突出し、面方向が上下方向に向くように配置されている。上面部521には、上下方向に貫通する固定孔(図示略)が設けられている。
図4,図5を参照し、グリルフード60の構造を説明する。グリルフード60は、平面視略矩形の板状に形成されている。グリルフード60は、フード本体部61、右縁部62、左縁部63、上縁部64、排気筒66等を備える。フード本体部61は、平面視略矩形状に形成されている。フード本体部61には、後述するグリルバーナ65が設けられている。
グリルバーナ65は、スロート部651、流入口652、噴出部653、ガス供給部654、炎孔部654A〜654C、絞り部655等を備える。スロート部651は、フード本体部61の上面の後端側に設けられ、左右方向に延びる管状に形成されている。流入口652は、スロート部651のガスが流れる方向の上流側である右端部に設けられ、ガス配管28のノズル(図示略)に対向する。噴出部653は、スロート部651の下流側である左端部から前方向に屈曲して設けられている。ガス供給部654は、フード本体部61の内部に設けられ、ガスを供給する為の供給路を形成する。ガス供給部654の後端部は、噴出部653と接続して互いに連通する。
炎孔部654A〜654Cは、フード本体部61の底面に設けられ、多数の炎孔を有し、底面視後ろ側に向けて開口する略コの字型に配置される。炎孔部654Aは、フード本体部61の底面の前側にて、左右方向に延びるように設けられている。炎孔部654Bは、フード本体部61の底面の右側にて、前後方向に延びるように設けられている。炎孔部654Cは、フード本体部61の底面の左側にて、前後方向に延びるように設けられている。炎孔部654Bと654Cは、互いに略平行である。炎孔部654A〜654Cを構成する各炎孔は、ガス供給部654と連通する。
絞り部655は、フード本体部61の上面の中央部に設けられている。絞り部655は、ガス供給部654の上下方向におけるガスの流路面積が狭くなるように、下方に凹状に窪んで形成されている。絞り部655は、平面視略X状に形成され、上面の中央部から右斜め前方に延びる右前方部6551、中央部から左斜め前方に延びる左前方部6552、中央部から右斜め後方に延びる右後方部6553、中央部から左斜め後方に延びる左後方部6554を備える。なお、絞り部655の形状については、X状に限らず、ガス供給部654内におけるガスの流れを考慮し、自由に変更可能である。
上記構造を備えるグリルバーナ65において、ガス配管28のノズルから噴出したガスは、流入口652からスロート部651内に流入する。スロート部651内では、ノズルから噴出されたガスと、該ガスの噴出により周囲から引き込まれる空気とが混合される。スロート部651内で空気と混合されたガスは、噴出部653からガス供給部654に向けて噴出される。噴出部653から噴出されたガスは、ガス供給部654内を流れる。ガス供給部654において、絞り部655に該当する部分では、ガスの流路面積が狭くなっているので、ガスは絞り部655の周囲に沿って流れ易くなっている。これにより、ガスは、炎孔部654A〜654Cから下方に勢いよく噴出するので、良好な火炎を下方に向けて形成できる。
右縁部62は、フード本体部61の右端部から右方に向かって略水平に延設され、平面視前後方向に延びる略帯状に形成されている。右縁部62の前後方向の略中央部には、固定孔621が設けられている。右縁部62は、ユニット本体部50の右壁部51の上面部511に対し、右側のダクト部80の固定片部81を介して配置される。そして、右縁部62に設けられた固定孔621を、上面部511に設けられた固定孔(図示略)に位置決めした後で、ネジ91を上方から締結する。これにより、ユニット本体部50の右壁部51の上面部511に対し、右縁部62が固定される。
左縁部63は、フード本体部61の左端部から左方に向かって略水平に延設され、平面視前後方向に延びる略帯状に形成されている。左縁部63の前後方向の略中央部には、固定孔631が設けられている。左縁部63は、ユニット本体部50の左壁部52の上面部521に対し、左側のダクト部80の固定片部81を介して配置される。そして、左縁部63に設けられた固定孔631を、上面部521に設けられた固定孔(図示略)に位置決めした後で、ネジ92を上方から締結する。これにより、ユニット本体部50の左壁部52の上面部521に対し、左縁部63が固定される。
左縁部63の上面の後端側には、熱電対67と点火電極68が固定部材69によって固定されている。熱電対67は前側、点火電極68は後側に配置されている(図2参照)。熱電対67と点火電極68の夫々の先端部は、グリルバーナ65の炎孔部654Cに隣接する位置に突出するように配置されている。点火電極68は、点火スイッチ12の押し込み操作に基づいて点火スパークを発生させる。炎孔部654Cから噴出されるガスに点火されることによって各炎孔に火炎が形成され、火移り現象によって、炎孔部654A,654Cの各炎孔にも火炎が形成される。熱電対67は、炎孔部654Aにおける失火を検出する。
上縁部64は、フード本体部61の前端部から垂直上方に屈曲して設けられ、面方向が前後方向に向く正面視左右方向に延びる略矩形状に形成されている(図4参照)。上縁部64の右端側の上部には、左右方向に延びるスリット641が設けられている。上縁部64の左端側の上部にも、左右方向に延びるスリット642が設けられている。スリット641,642は、前板部24の開口部25の上縁部に設けられた左右一対の係止爪(図示略)に係止される。
排気筒66は、グリルフード60の後部に設けられている。排気筒66は筒状に形成され、下側から上側に向けて設けられている。排気筒66の上端部には、平面視左右方向に長い略矩形状の開口部661が設けられている。開口部661は、天板3の後部に設けられた排気口部9の直下に配置される。グリル庫500内の燃焼により生じた燃焼ガスは、後方に向かって流れ、排気筒66を上方に流れる(図2中二点鎖線の矢印参照)。排気筒66は、燃焼ガスを天板3の排気口部9に導く。
開口部661内には、フレームトラップ17(図2,図3参照)が取り付けられる。フレームトラップ17は、略直方体の板状に構成された消炎部材であり、例えばステンレス等からなるラス網等の2枚の多孔板の両端を曲げ加工し、それらを上下方向に向かい合わせて直方体の筒状に形成したものである。万が一、受皿4に溜まった油や被調理物から火炎が生じたとしても、その火炎は、排気筒66の筒上方であって、燃焼ガスが流れる上流側に位置する下側の多孔板に接触して冷却される。さらに、各多孔板間には、燃焼ガスや被調理物から生じた炭酸ガスが滞留して酸素濃度が希薄になるため、火炎への酸素供給が滞る。こうした冷却効果及び酸欠効果により、フレームトラップ17が排気筒66内の内側にまで延びる火炎を消炎するので、天板3の排気口部9(図2参照)から火炎が溢れ出すのを防止できる。
図4,図6を参照し、遮熱板70の構造を説明する。遮熱板70は、金属板で形成され、平面視略矩形状、且つ正面視下側に開口する略コの字型に形成されている。遮熱板70は、上壁部71、右壁部72、左壁部73、右側固定部74、左側固定部75等を備え、グリルフード60を上方から覆うことができる程度の大きさを備える。上壁部71の上面には、振動防止部材41がネジ94で固定されている。振動防止部材41は、上壁部71に設けられた後述する開口部764(図6,図10参照)を介して、グリルフード60の上面に当接して下方に付勢することで、グリルバーナ65におけるガス燃焼時において、共鳴音が発生するのを効果的に防止する。なお、振動防止部材41の具体的構造については後述する。
上壁部71は、平面部76、傾斜部77、周縁部78を備える。平面部76は、平面視略矩形状に形成され、前側の両角部はテーパ状に形成されている。傾斜部77は、平面部76の前縁部、右縁部、左縁部に沿って設けられ、平面視後ろ側に開口する略コの字型に形成されている。傾斜部77は、外方に向かって下り傾斜している。周縁部78は、傾斜部77の下端部(外端部)に沿って設けられ、平面視後ろ側に開口する略コの字型に形成されている。周縁部78は、傾斜部77の下端部から外方に向かって略水平に延びている。
平面部76は、ビード部761,762を備える。ビード部761は、平面部76の前後方向の略中央位置にて、左右方向に延びる略帯状に形成されている。ビード部761は、平面部76の左右の両端から傾斜部77まで延びている。ビード部762は、平面部76の後方位置にて、左右方向に延びる略帯状に形成されている。ビード部762は、平面部76から左側に突出し、傾斜部77まで延びている。ビード部761,762は、例えば平面部76を反対側からプレス加工することで形成される。ビード部761,762は、平面部76と傾斜部77の剛性を向上する。
平面部76の前側半分の領域の略中央部には、開口部764が設けられている。開口部764は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成されている。開口部764には、振動防止部材41の後述するL字状部45が上方から挿入される。開口部764の右斜め後方と左斜め後方には、一対の爪用スリット765,766が左右方向に離間して設けられている。爪用スリット765,766は左右方向に長い細孔である。爪用スリット765,766には、振動防止部材41の後述する右側引掛部46と左側引掛部47が上方から夫々挿入される。開口部764の前方には、上下方向に貫通する固定孔763(図7参照)が設けられている。固定孔763には、振動防止部材41の後述する固定部43を上壁部71の上面に固定する為のネジ94が締結される(図9参照)。
周縁部78の右側部の上面には、位置決め部781が設けられている。位置決め部781には、バーナ取付台26の左端部が位置決めされる。周縁部78の左側部の上面には、位置決め部782が設けられている。位置決め部782には、バーナ取付台27の右端部が位置決めされる。周縁部78の前端部には、ビード部783が設けられている。ビード部783は、左右方向に延びる略帯状に形成されている。ビード部783は、例えば周縁部78を反対側からプレス加工することで形成される。ビード部783は、周縁部78の前端側の剛性を向上する。
右側固定部74の長手方向略中央部には、上下方向に貫通する円形状の固定孔741が設けられている。右側固定部74は、グリルフード60の右縁部62の上面に当接し、固定孔741が右縁部62に設けられた固定孔621に位置決めされる。左側固定部75の長手方向略中央部にも、上下方向に貫通する円形状の固定孔751(図6参照)が設けられている。左側固定部75は、グリルフード60の左縁部63の上面に当接し、固定孔751が左縁部63に設けられた固定孔631に位置決めされる。
そして、図4に示すように、ユニット本体部50の右壁部51の上面部511に対して、ダクト部80の上部に設けられた固定片部81と、グリルフード60の右縁部62と、遮熱板70の右側固定部74とを上下方向に重ねて位置決めし、ネジ91で上方から共締め固定する。他方、ユニット本体部50の左壁部52の上面部521に対しても、ダクト部80の上部に設けられた固定片部81と、グリルフード60の左縁部63と、遮熱板70の左側固定部75とを上下方向に重ねて位置決めし、ネジ92で上方から共締め固定する。これにより、ユニット本体部50、ダクト部80、グリルフード60、遮熱板70を一度に組み付けることができる。
図6に示すように、遮熱板70の後方右側角部には、略L字状の切欠き部721が設けられている。切欠き部721は、遮熱板70をグリルフード60の上方に取り付ける際に、グリルバーナ65のスロート部651に対して上方から覆い被さるようにして配置される。左壁部73及び左側固定部75の後端側にも、略矩形状の切欠き部731が設けられている。切欠き部731は、遮熱板70をグリルフード60の上側に取り付ける際に、図5に示す熱電対67、点火電極68、及び固定部材69付近に対して上方から覆い被さるようにして配置される。これにより、遮熱板70は、グリルフード60の上面を覆うことができる。また、上壁部71の周縁部78、右壁部72、左壁部73には、複数の流通孔710が夫々設けられている。複数の流通孔710は、遮熱板70とグリルフード60の間の空間に対して、筐体2内の空気を流通させる。これにより、グリルフード60の放熱を促進する。
図7,図8を参照し、振動防止部材41の構造を説明する。振動防止部材41は、例えば腐食防止用のコーティングが施された一枚の板金を加工して形成される板金加工品である。振動防止部材41は、本体部42を備える。本体部42は、平面視略矩形状に形成され、面方向を上下方向に向けて配置される。本体部42は、前端部421と後端部422を備える。前端部421の長さ方向の中央部には、前方に突出する固定部43が設けられている。固定部43は、平面視略矩形状に形成されている。固定部43の略中央部には、固定孔431が設けられている。
本体部42の後端部422側には、平面視略矩形状の開口部44が設けられている。開口部44の内縁部のうち、前側に位置する前側縁部44Aには、L字状部45が下方に突出して設けられている。L字状部45は、側面視略L字状に形成され、挿通部451と当接部452を備える。挿通部451は、前側縁部44Aから下方に突出し、正面視横長の略矩形状に形成されている。当接部452は、挿通部451の下端部から後方に向けて略直角に屈曲され、平面視横長の略矩形状に形成されている。当接部452の先端側の両角部は円弧状に加工されている。当接部452の下面の略中央部には、下方に略半球状に突出する突出部453(図8参照)が設けられている。
本体部42の後端部422の右端部には、右側引掛部46が下方に突出して設けられ、左端部には、左側引掛部47が下方に突出して設けられている。右側引掛部46と左側引掛部47は、何れも側面視略L字状に形成されている。右側引掛部46は、遊挿部461と爪部462を備える。遊挿部461は、後端部422の右端部から下方に延び、正面視略矩形状に形成されている。爪部462は、後端部422の下端部から後方に向けて略直角に屈曲され、平面視略矩形状に形成されている。左側引掛部47は、右側引掛部46と同様に、遊挿部471と爪部472を備える。遊挿部471は、後端部422の左端部から下方に延び、正面視略矩形状に形成されている。爪部472は、後端部422の下端部から後方に向けて略直角に屈曲され、平面視略矩形状に形成されている。爪部462,472の夫々の先端側の両角部は、円弧状に加工されている。右側引掛部46の遊挿部461と、左側引掛部47の遊挿部471は互いに同一長さであり、L字状部45の挿通部451よりも短い。
図7〜図10を参照し、遮熱板70への振動防止部材41の組付方法を説明する。振動防止部材41は、遮熱板70の上壁部71の上面に対して上側から組み付ける。具体的には、図6に示すように、遮熱板70の上壁部71に設けられた右側の爪用スリット765に対して上方から、振動防止部材41の右側引掛部46を爪部462から挿入し、爪用スリット765に遊挿部461を遊挿させる。他方、遮熱板70の上壁部71に設けられた左側の爪用スリット766に対して上方から、振動防止部材41の左側引掛部47を爪部472から挿入し、爪用スリット766に遊挿部471を遊挿させる。遮熱板70の上壁部71に設けられた開口部764に対して上方から、振動防止部材41のL字状部45を当接部452から挿入し、開口部764に挿通部451を挿通させる。振動防止部材41の本体部42は、遮熱板70の上壁部71の上面に配置する。そして、図9に示すように、振動防止部材41の固定部43に設けられた固定孔431を、遮熱板70の上壁部71に設けられた固定孔768に位置決めし、ネジ94を上方から締結する。これにより、振動防止部材41が、遮熱板70の上壁部71の上面に組み付けられる。
図9,図10に示すように、振動防止部材41が、遮熱板70の上壁部71の上面に組み付けられた状態では、開口部764からL字状部45が下方に突出し、爪用スリット765から右側引掛部46が下方に突出し、爪用スリット766から左側引掛部47が下方に突出している。右側引掛部46の爪部462の上面と、遮熱板70の上壁部71の下面とは離間している。左側引掛部47の爪部472の上面と、遮熱板70の上壁部71の下面とは離間している。L字状部45の当接部452の方が、右側引掛部46の爪部462、左側引掛部47の爪部472よりも下方に位置している。
図4を参照し、グリルフード60への遮熱板70の固定方法と、振動防止部材41による付勢力発生の仕組みを説明する。先ず、グリルフード60の上面を覆うようにして、遮熱板70を上方から取り付ける。このとき、遮熱板70の右側固定部74と左側固定部75が、グリルフード60の右縁部62と左縁部63の夫々の上面に接触する前に、振動防止部材41のL字状部45の当接部452の下面が、グリルフード60のフード本体部61の上面の前側に当接する。この状態のまま、遮熱板70をグリルフード60側に押し付けることによって、振動防止部材41のL字状部45が上方に押し上げられ、固定部43を起点として本体部42が撓む(図11参照)。
次いで、遮熱板70の右側固定部74と左側固定部75を、グリルフード60の右縁部62と左縁部63の夫々の上面に位置決めする。右側固定部74の固定孔741が、右縁部62の固定孔621に位置決めされるので、ネジ91を締結することで、右側固定部74が右縁部62に固定される。他方、左側固定部75の固定孔751(図6参照)が、左縁部63の固定孔631に位置決めされるので、ネジ92を締結することで、左側固定部75が左縁部63に固定される。これにより、遮熱板70がグリルフード60の上方に隙間を空けた状態で取り付けられる。この状態では、振動防止部材41は撓んだ状態で、グリルフード60のフード本体部61の上面の前側に当接している。これにより、振動防止部材41に対して、グリルフード60の上面を下方に押し付ける付勢力を発生させることができる。
そして、振動防止部材41は、固定部43のみで遮熱板70の上壁部71にネジ94で固定されているので、L字状部45、及び本体部42の後端部422側の一部は、上壁部71に対して固定されないフリーな状態となっている。これにより、遮熱板70をグリルフード60に取り付ける際、L字状部45、及び本体部42の後端部422側の一部を上方向に逃がすことができる。これにより、強い力で遮熱板70を押える必要が無くなるので、コンロ1の生産性を向上できる。さらに、振動防止部材41は遮熱板70の上側から固定されるので、例えば、振動防止部材41の位置調整、交換等を行う際に、グリルフード60に遮熱板70を固定したままで、作業を行うことができる。よって、振動防止部材41の位置調整、交換等が非常に容易である。
また、本実施形態では、振動防止部材41の右側引掛部46と左側引掛部47が、遮熱板70の上壁部71に設けられた爪用スリット765,766に差し込まれている。これにより、振動防止部材41を遮熱板70に先に組み付けてから、グリルフード60に固定する場合において、振動防止部材41が遮熱板70から離れようとしても、右側引掛部46と左側引掛部47の夫々の爪部462,472が、遮熱板70の下面に係止するので、振動防止部材41が遮熱板70の組付位置から外れることが無い。よって、コンロ1の生産性を向上できる。また、右側引掛部46と左側引掛部47は、夫々の遊挿部461,471が爪用スリット765,766に対して上下方向に遊挿されているので、遮熱板70をグリルフード60に固定する際、L字状部45、及び本体部42の後端部422側の一部と同様に、右側引掛部46と左側引掛部47も上方向に逃がすことができる。従って、遮熱板70をグリルフード60に固定する際の作業性が損なわれることが無い。
図4,図5を参照し、グリルフード60の上面における振動防止部材41の付勢位置と、共鳴音防止効果について説明する。図5に示すように、振動防止部材41のL字状部45の当接部452(図8参照)は、グリルフード60の上壁部71の上面において、グリルバーナ65の絞り部655の右前方部6551と左前方部6552の間に挟まれた部位であって、絞り部655に対して平面視略三角形状に陥入する三角状部618の上面に当接している(図5では、当接部452の当接位置を二点鎖線で示す)。三角状部618は、グリルフード60のフード本体部61の上面のうち前側部分であって、炎孔部654Aの近傍に位置し、ガスが一時的に滞留する部分である。
上記の通り、本実施形態のグリルバーナ65は、スロート部651の内部にガスが噴出されると共に、燃焼用二次空気が引き込まれて管内で混合され、炎孔部654A〜654Cからガスと燃焼用二次空気の混合ガスを噴出して燃焼させる構成を採用している。それ故、グリルバーナ65におけるガス燃焼時において、気温によっては、ガス等の流通に伴い、炎孔部654A〜654Cの各炎孔において火炎が揺らぎ振動を生じることがある。特に、グリルバーナ65の点火初期においては、グリルバーナ65のうち、特に前側部分ではドラフト力が起きにくい。それ故、特に炎孔部654Aにおいては、燃焼用二次空気が不足することによって、火炎が揺らぐことから振動を生じ易い状態となる。そのような炎孔部654Aに近い三角状部618を、振動防止部材41の弾性力で押え付けることによって、振動の周波数を振動防止部材41及び遮熱板70によって効果的に分散できるので、共鳴音の発生を効果的に防止できる。
ところで、振動防止部材41は、腐食防止用のコーティングがされた板金を加工してなる板金加工品であるので、当接部452の左右の両端面は、加工による切断面である場合がある。それ故、当接部452の下面はコーティングされているが、当接部452の左右の両端面は、コーティングされていないことが想定される。本実施形態では、当接部452の左右両端を除く中央部が三角状部618の上面に当接し、当接部452の左右の両端は、絞り部655の右前方部6551と左前方部6552の夫々の内側(詳細には、絞り部655の外縁部に沿って形成されたテーパ面の外縁よりも内側であればよい。)に夫々配置されるようになっている。これにより、当接部452の左右の両端面が切断面であっても、フード本体部61の上面とは接触しないので、フード本体部61の上面の腐食を防止できる。
また、当接部452の下面には、略半球状の突出部453が設けられているので、突出部453が三角状部618の上面と点接触する。これにより、仮に遮熱板70に対する振動防止部材41の組み付け位置がずれた場合でも、面接触に比べて、当接部452を三角状部618の上面に確実に接触させることができる。
以上説明において、振動防止部材41が本発明の「当接部材」の一例である。グリルフード60のフード本体部61が本発明の「グリル庫の上壁部」の一例である。遮熱板70に設けられた開口部764が本発明の「第一開口部」の一例である。爪用スリット765,766が本発明の「第二開口部」の一例である。グリルバーナ65のガス供給部654が本発明の「供給部」の一例である。グリルフード60の上面に形成された三角状部618が本発明の「陥入部」の一例である。
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、筐体2、天板3、グリル庫500、遮熱板70等を備える。グリル庫500は、筐体2内に取り付けられる。グリル庫500は、ユニット本体部50とグリルフード60を備える。グリルフード60は、グリルバーナ65を備える。遮熱板70は、グリルフード60の上側を覆うように設けられる。遮熱板70は、グリルバーナ65から伝わる熱を遮断することで、天板3の温度が過度に上昇するのを防止する。遮熱板70には、グリルフード60の上面に当接して付勢する為の振動防止部材41が上側から組み付けられる。振動防止部材41は、本体部42、固定部43、L字状部45等を備える。本体部42は板状に形成され、遮熱板70の上面に配置される。固定部43は、本体部42に設けられ、遮熱板70に対して上方向からネジ94で固定される。L字状部45は、挿通部451と当接部452を備える。挿通部451は、本体部42における固定部43とは離間する位置に設けられ、下方向に延び、且つ遮熱板70に設けられた開口部764を上下方向に挿通する。当接部452は、挿通部451の下端部に設けられ、グリルフード60の上面に当接する。
グリル庫500の燃焼用の二次空気が不足すると、グリルバーナ65に形成される火炎が揺らぎ、その周囲に振動が生じる。共鳴音はその振動に起因する。振動防止部材41の当接部452をグリルフード60の上面に当接させることによって、振動の周波数を効果的に分散できる。そして、振動防止部材41は遮熱板70の上側から固定されるので、振動防止部材41の位置調整、交換等が非常に容易である。また、振動防止部材41は固定部43のみで固定されているので、挿通部451と当接部452はフリーな状態となっている。これにより、遮熱板70の組み付けの際、挿通部451、当接部452、及び本体部42の一部を上方向に逃すことができるので、強い力で遮熱板70を抑える必要が無くなる。よって、本実施形態は、コンロ1の生産性を向上できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のコンロ1はグリル付きテーブルコンロであるが、ビルトインタイプのコンロであってもよい。また、コンロ1は、右コンロバーナ5と左コンロバーナ6の2つのコンロバーナを備えるが、コンロバーナの数は2つに限らず、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
また、上記実施形態の振動防止部材41は、右側引掛部46と左側引掛部47を備えるが、何れか一方のみでもよく、何れも省略してもよい。右側引掛部46と左側引掛部47を省略する場合、例えば本体部42の後端部422にL字状部45を設け、開口部44を省略してもよい。
また、上記実施形態の振動防止部材41において、L字状部45、右側引掛部46、左側引掛部47の夫々の形状はL字状に限らず、それ以外の形状であってもよい。
また、上記実施形態の遮熱板70は、上面に一つの振動防止部材41を固定しているが、複数の振動防止部材41を固定してもよい。また、振動防止部材41の当接部452は、グリルフード60の上面であれば何処に接触していてもよく、好ましくは、グリルフード60の上面のうち前側に当接させるのがよい。
また、上記実施形態の振動防止部材41は、板金加工品であるが、複数枚の板金を溶接する等して作製してもよい。
また、上記実施形態のグリルバーナ65は、グリルフード60の下面に、底面視略コの字型の炎孔部654A〜654Cを備えるが、炎孔部654A〜654Cの配置形状については、上記実施形態に限定されない。
また、上記実施形態において、ユニット本体部50、グリルフード60、遮熱板70等に設けられる固定孔の数、位置等については、自由に変更可能である。