JP6690893B2 - ボールペンチップ及び該ボールペンチップを具備した筆記具 - Google Patents
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Description
また、チップ本体(A1)の円筒状の内壁面と転写ボール(1)の外周面とが面接触に近い広い範囲で接触して、転写ボール(1)が回転し難くなるおそれもある。
この構成によれば、角筒状内壁面を構成する複数の面のうち、周方向に隣り合う面と面の間が入隅状になり、この入隅状の部分がインク流通路として作用する。このため、転写ボール周囲のインクの流通量を安定的に確保することができる。
しかも、角筒状内壁面の各面と転写ボール外周面とが点状に接触するため、転写ボールの回転抵抗を比較的小さくすることができる。
なお、本明細書中、「前方」とは、ボールペンチップの先端方向を意味し、「後方」とは、その逆方向を意味する。また、「径外方向」とは、ボールペンチップの径方向において中心部から離れる方向を意味し、「径内方向」とは、その逆方向を意味する。
ボールペンチップ1は、内部を前後方向へ貫通した略筒状のチップ本体10と、該チップ本体10内の前端側に収容されるとともに外周面前端側をチップ本体10の前端から前方へ突出させた転写ボール20と、チップ本体10内における転写ボール20よりも後方側に配置された棒状受け部材30とを備える。
このボールペンチップ1は、チップ本体10内の前端側の内向き環状突起11a1に、その後方側から転写ボール20の前半部側を当接させるとともに、転写ボール20の後半部側を、チップ本体10の内面では受けずに棒状受け部材30の前端部によって受けている。
また、このボールペンチップ1は、チップ本体10の前端側の内壁面を角筒状に形成し、この角筒状内壁面11bに、転写ボール20の外周面を近接又は接触させるようにしている。
このチップ本体10内には、前端部側から順に、ボールハウス11、括れ部12、先窄み孔13、大径孔14が設けられ、これらの内部空間は前後方向に連通している。
すなわち、転写ボール20が挿入される前段階において、ボールハウス11の最前端寄りには、図4に示すように、円筒状内周面11aが形成される。ボールハウス11に転写ボール20が挿入された後、円筒状内周面11aの周壁が外部からカシメられることで、円筒状内周面11aの前端側に内向き環状突起11a1が形成される。内向き環状突起11a1は、円筒状内周面11aから径内方向へ突出するようにして、転写ボール20の前半部に接触する。
なお、図示例以外の他例としては、括れ部12を省いて、角筒状内壁面11bを先窄み孔13の前端側に接続した形状とすることも可能である。
括れ部12の後方側には、先窄み孔13が設けられる。
この大径孔14は、段階的に径を縮小した複数のドリルを用いて、前方へ向かって段階的に縮径された孔を形成した後、リーマ加工等の仕上げ加工により前後方向へ連続する同径の孔に加工される。なお、図示例以外の他例としては、前記仕上げ加工を省いて、大径孔14を、前方へ向かって段階的に縮径された孔とすることも可能である。
この転写ボール20の前半部側は、ボールハウス11内前端側の内向き環状突起11a1に押し付けられる。そして、転写ボール20の後半部側は、チップ本体10の内面である括れ部12の前端面で受けられずに、棒状受け部材30の前端面のみによって受けられている。すなわち、括れ部12の前端面と転写ボール20の後半部側との間には、隙間が確保され(図1参照)、棒状受け部材30の前端面が転写ボール20の後端面に当接している。
この転写ボール20の外径は、ボールハウス11の角筒状内壁面11bに接する仮想の球体よりも若干小さい径に設定される。したがって、転写ボール20の外周面は、角筒状内壁面11bを構成する各面に対し近接する(図3参照)。
なお、転写ボール20は、ボールハウス11内面の寸法精度のばらつき等に起因して、チップ本体10の中心に対し若干偏心する場合もあり、このような場合には、該転写ボール20の外周面が角筒状内壁面11bを構成する面に対し接触することもある。
また、図3に示すように、転写ボール20の周囲において、角筒状内壁面11bの隣接する平坦面部の間には入隅状部分11cが形成される。この入隅状部分11cは、インク流通経路となる隙間s1を確保する。
この棒状受け部材30は、POM(ポリアセタール)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等の弾性変形可能な硬質合成樹脂材料から形成され、転写ボール20から受ける押圧力により弾性的に収縮する。
図2中、符号32aは、前記挿入作業を容易にするテーパ面であり、各テーパ面32aは、各支持突起32の前端側に形成される。
そして、周方向に隣り合う支持突起32,32間の空間は、インク流通路として機能する。
筆記具100は、ノック部140の押圧操作によりボールペンリフィール120前端のボールペンチップ1を軸筒110前端から突出させ、この突出状態を、クリップ111を軸筒中心側へ撓ませる操作により解除するようにした出没式のボールペンである。
ボールペンリフィール120は、インク収容管121の前端にボールペンチップ1を接続し、これらの内部にインクを充填してなる。
図8に示すように、転写ボール20の前端側を被筆記面に押し付ける等して、転写ボール20に後方向きの押圧力が加わると、棒状受け部材30が軸方向へ弾性的に収縮し、転写ボール20が若干後退する。このため、転写ボール20と内向き環状突起11a1との間に隙間が形成され、該隙間からインクが吐出される。また、前記押圧力が小さくなると、棒状受け部材30が元の長さに復元し、転写ボール20が前進して、前記隙間が狭まる。
また、前記押圧力が比較的小さい場合には、棒状受け部材30の収縮量及び転写ボール20の後退量が小さくなり、転写ボール20と内向き環状突起11a1との隙間が狭くなるため、インク吐出量が減って、筆記線が細くなる。
本実施例のボールペンチップ1によれば、棒状受け部材30の前端側には前方へ向かって徐々に断面積を縮小させる縮小部31を有するため、前記のように傾斜する方向の押圧力を受けた場合であっても、棒状受け部材30の前端側が径方向へ撓み難く、軸方向へ弾性的に収縮する。
すなわち、仮に、棒状受け部材30の前端側をストレートの棒状に形成した場合には、この前端側部分が径方向へ撓んで、転写ボール20の中心からずれ、転写ボール20の後退量が不安定になり、インク吐出量及び筆記線の太さも不安定になるおそれがあるが、本発明によれば、このようなことを防いで、押圧力に応じた太さの筆記線を安定的に得ることができる。
しかも、転写ボール20の外周面は、角筒状内壁面11bを構成する平坦面との点接触になるため、例えば転写ボールの外周面を円筒状の面に接触させるようにした従来技術等と比較し、転写ボール20の回転抵抗を小さくすることができる。
なお、以下に示すボールペンチップは、上述したボールペンチップ1に対し一部分を変更したものであるため、主にその変更部分について詳細に説明し、重複する詳細説明を省略する。
詳細に説明すれば、このボールペンチップ2は、棒状受け部材30の縮小部31の周囲に環状にコイルスプリング40を配置し、該コイルスプリング40の前端部を転写ボール20に当接させるとともに、該コイルスプリング40の後端部を縮小部31後端側の段部により後退不能に支持し、転写ボール20の後端と縮小部31の前端との間に隙間s2を確保している。
また、転写ボール20を被筆記面に押圧した際には、転写ボール20が若干後退するので、転写ボール20と内向き環状突起11a1との間に隙間ができ、該隙間からインクが吐出する。
そして、転写ボール20に対する押圧力が比較的大きい場合には、転写ボール20の後端面が棒状受け部材30前端面に当接し、棒状受け部材30が弾性的に収縮するため、転写ボール20と内向き環状突起11a1との間の隙間が大きくなり、該隙間によるインク流量が増加し、筆記線が太くなる。なお、転写ボール20を合成樹脂材料から形成した場合には、棒状受け部材30の収縮に加え、該転写ボール20も収縮し易くなるため、インク流量をより増加させることができる。
よって、このボールペンチップ2においても、ボールペンチップ1同様に、押圧力に応じた太さの筆記線を安定的に得ることができる。
このボールペンチップ2は、上述したボールペンチップ1と同様に、筆記具100(ボールペン)の部品として用いることが可能である。
10:チップ本体
11:ボールハウス
11a:円筒状内周面
11a1:内向き環状突起
11b:角筒状内壁面
12:括れ部
20:転写ボール
30:棒状受け部材
31:縮小部
32:支持突起
100:筆記具(ボールペン)
120:ボールペンリフィール
s1,s2:隙間
Claims (3)
- 内部を前後方向へ貫通した略筒状のチップ本体と、該チップ本体内の前端側に収容されるとともに外周面前端側を前記チップ本体から前方へ突出させた転写ボールと、チップ本体内における前記転写ボールよりも後方側に配置され前記転写ボールから受ける押圧力により弾性的に収縮する棒状受け部材とを備え、前記転写ボールの後半部側を、前記チップ本体の内面では受けずに前記棒状受け部材の前端部によって受けるようにしたボールペンチップであって、
前記チップ本体内の前端側に、周方向に並ぶ複数の平坦面により前記転写ボールをその中心部を含むように覆う横断面多角形状の角筒状内壁面を形成し、前記複数の平坦面の各々を前記転写ボールの外周面に対し接線状に配置して近接又は接触させ、周方向に隣接する二つの前記平坦面の間にインク流通路となる入隅状の隙間を確保し、
前記棒状受け部材の前端部の周囲に、全周にわたって後方側から前方側へ連続するとともに筆記時に閉鎖されることのないインク流通経路を確保し、このインク流通経路を前記入隅状の隙間に連通し、
前記チップ本体内における前記角筒状内壁面よりも後側に、前記角筒状内壁面の最小径よりも小さい内径に縮径された括れ部が設けられ、この括れ部の内周面と前記棒状受け部材の外周面との間に、前記インク流通経路が確保され、
前記棒状受け部材は、前記括れ部よりも後側が、前記チップ本体に対し進退不能に固定されるとともに前記チップ本体の内壁面との間にインク流通路を確保し、
前記棒状受け部材の前端側が、前方へ延設されて前記括れ部の最小内径部分に入り込んでいることを特徴とするボールペンチップ。 - 前記括れ部の内周面に、前後方向へ貫通するインク誘導溝が設けられ、このインク誘導溝は、前記入隅状の隙間に対応するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のボールペンチップ。
- 請求項1又は2記載のボールペンチップを具備した筆記具。
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