JP2013188896A - ボールペンチップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PEEKで形成されるホルダー20に対し、切削加工によりボールハウス25、バック孔26及びインク導孔27を形成し、ボールハウス25内に筆記ボール30を挿入した後、テーパー部22の先端部分を内方に塑性変形加工により縮径させることでカシメ部23形成されたボールペンチップ10。
【選択図】図2
Description
ここで、金属製のホルダーは、インクの物性によっては腐食を被る場合がある。また、ボールペンの各部材を形成する材質はほぼ樹脂であり、これを使用後などに廃棄する場合、厳密には金属製のホルダー部分は分別する必要がある。このような問題点は、樹脂製のホルダー及び筆記ボールにより形成されるボールペンチップを用いることで解決できる。また、樹脂製のホルダーには、同一金型で同一形状を大量に安価に生産できるという利点もある。
また、下記特許文献2記載の発明では、金型にあらかじめ筆記ボールを挿入した状態でホルダーを射出成形する、いわゆるインサート成形によって形成されるボールペンチップが開示されている。
また、上記特許文献2のように、筆記ボールを挿入したインサート成形によりホルダーを形成する場合は、筆記ボールの挿入をカシメ部の弾性変形を利用して行う必要はなくなる。しかし、カシメ部は射出成形により形成されるため、金属製のホルダーで行われる塑性加工によるカシメ方法に比べて寸法精度が低いという難点がある。
以上の問題点に鑑み、本発明は、切削加工や塑性変形加工の可能な樹脂材料を用いることで、樹脂製ホルダーの利点を生かしつつ、加工精度が高く油性ボールペンにも使用可能なボールペンチップを提供することを課題とする。
ポリエーテルエーテルケトンで形成されるとともに、円柱状の本体部21と、前記本体部21の先端側が先細りに形成されたテーパー部22と、を備えるホルダー20と、
前記ホルダー20の前記本体部21の後端側から前記テーパー部22の中途部分までの内部空間として形成されたバック孔26と、
前記テーパー部22の先端側から前記バック孔26近傍までの内部空間として切削加工により形成されたボールハウス25と、
前記ボールハウス25と前記バック孔26との間を貫通するように切削加工により形成されたインク導孔27と、
前記ボールハウス25内に挿入された筆記ボール30と、
前記筆記ボール30の挿入後に前記テーパー部22の先端部分を内方に塑性変形加工により縮径させることで同筆記ボール30を前記ボールハウス25内に保持するカシメ部23と、
を備えることを特徴とする。
本発明に係るボールペンチップ10で用いられる「ホルダー20」は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂で形成されることとなっている。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とは、2個のエーテル結合と1個のケトン結合との順に繰り返す直鎖状構造を有する高分子化合物であり、下記化学式で示す構造を有する。
なお、筆記ボール30は、従来主流である金属製でもよく、また樹脂製でもよい。
また、本発明では、インク導孔27からボールハウス25へのインクの誘導を促進する目的で、前記インク導孔27の周囲に放射状に設けられるチャンネル溝28を、たとえばブローチ加工を用いるなどして切削加工により形成することも可能となっている。
そして、前記ホルダー20の外形、すなわち本体部21、テーパー部22(あるいはさらに連結部24)及びバック孔26の形状は、PEEKの射出成形により形成されていることとしてもよい。また、これらの形状は、PEEKにより形成された円柱材を、通常の金属円柱材と同様に切削加工することで形成することとしてもよい。これは、樹脂であるという特質により射出成形が容易であるとともに、PEEKの特性によって金属と同様の切削加工が可能であることによるものである。
(1)第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態に係るボールペンチップ10は、図1(A)に示す外形を呈する。すなわち、このボールペンチップ10は、PEEKで形成されるホルダー20と、これに抱持される超硬合金製の筆記ボール30とによって構成される。ホルダー20は、円柱状の本体部21と、その先端側の先細形状のテーパー部22と、後端側の外周が小径となっている連結部24と、ホルダー20後端からテーパー部22の中途部分までの内部空間として形成されたバック孔26とで構成されている。これらのホルダー20の外形は、PEEKの金型への射出成形により形成することができる。また、PEEKで形成した円柱材に対し、このテーパー部22、連結部24及びバック孔26を切削することで形成することとしてもよい。
すなわち、ホルダー20の先端から、バック孔26の近傍までを、テーパー部22の先端外径より小径のドリルによって切削することでボールハウス25が形成される。さらに、ボールハウス25とバック孔26とを、ボールハウス25を切削したよりも小径のドリルによって切削して貫通させることでインク導孔27が形成される。
図2(A)は、図1(B)の断面図のうち先端部分を拡大したものである。上述したように、ボールハウス25とバック孔26との間をインク導孔27で貫通させた後、このインク導孔27の外周の5箇所に放射状に等配するように(図2(B)参照)、チャンネル溝28が、ブローチ加工によって切削される。チャンネル溝28は、ボールハウス25の底面から、インク導孔27の途中まで達するように形成されている(図2(A))。このチャンネル溝28は、インク導孔27からボールハウス25へのインク流路を確保するという機能を有するものである。
このように形成することで、筆記ボール30は、ボールハウス25内で、最大15μmの長軸方向のクリアランス(縦ガタ)の範囲内で移動可能となっている。また、カシメ部23内周の曲率半径が、筆記ボール30の半径とほぼ同一となっている。これらは、カシメ加工が金属と同様の塑性変形によって行われることによって可能となっている。
本発明の第2の実施の形態に係るボールペンチップ10は、図3(A)に示す外形を呈する。すなわち、このボールペンチップ10は、PEEKで形成されるホルダー20と、これに抱持される超硬合金製の筆記ボール30とによって構成される。ホルダー20は、円柱状の本体部21と、その先端側の先細形状のテーパー部22と、後端側の外周が小径となっている連結部24と、ホルダー20後端からテーパー部22の中途部分までの内部空間として形成されたバック孔26とで構成されている。これらのホルダー20の外形は、PEEKの金型への射出成形により形成することができる。また、PEEKで形成した円柱材に対し、このテーパー部22、連結部24及びバック孔26を切削することで形成することとしてもよい。
すなわち、ホルダー20の先端から、バック孔26の近傍までを、テーパー部22の先端外径より小径のドリルによって切削することでボールハウス25が形成される。さらに、ボールハウス25とバック孔26とを、後述するように断面三角形のツールによって切削して貫通させることでインク導孔27が形成される。
図4(A)は、図3(B)の断面図のうち先端部分を拡大したものである。上述したように、ボールハウス25とバック孔26との間は、断面三角形のツールによって切削して貫通させることで、図4(B)に示すような、断面三角形のインク導孔27が形成される。
このように形成することで、筆記ボール30は、ボールハウス25内で、最大15μmの長軸方向のクリアランス(縦ガタ)の範囲内で移動可能となっている。また、カシメ部23内周の曲率半径が、筆記ボール30の半径とほぼ同一となっている。これらは、カシメ加工が金属と同様の塑性変形によって行われることによって可能となっている。
上記各実施の形態に係るボールペンチップ10は、図5に示すように、従来と同様にインクリフィル40へ装着することが可能である。すなわち、インク収容管41(中に収容されているインクは省略している)の先端に、継手42を介して本実施の形態に係るボールペンチップ10は装着される。このとき、ボールペンチップ10のホルダー20後端部分を構成する連結部24(図1(A)、図3(A)参照)は、継手42先端の内部に圧入されている。
図5のインクリフィル40は、図6(A)及び(B)に示すボールペン50に装着される。このボールペン50は、軸筒51の先端に先軸52が螺着され、その内部にインクリフィル40が装着される。軸筒51の後端側面には、クリップ53が設けられている。また、軸筒51後端からはノックボタン54が突出している。このノックボタン54を押圧することで、軸筒51内部のノック機構55により、インクリフィル40が前進あるいは後退し、それに応じて先軸52の先端からボールペンチップ10が出没することとなっている。
20 ホルダー 21 本体部 22 テーパー部
23 カシメ部 24 連結部 25 ボールハウス
26 バック孔 27 インク導孔 28 チャンネル溝
30 筆記ボール
40 インクリフィル 41 インク収容管 42 継手
50 ボールペン 51 軸筒 52 先軸
53 クリップ 54 ノックボタン 55 ノック機構
Claims (5)
- ポリエーテルエーテルケトンで形成されるとともに、円柱状の本体部と、前記本体部の先端側が先細りに形成されたテーパー部と、を備えるホルダーと、
前記ホルダーの前記本体部の後端側から前記テーパー部の中途部分までの内部空間として形成されたバック孔と、
前記テーパー部の先端側から前記バック孔近傍までの内部空間として切削加工により形成されたボールハウスと、
前記ボールハウスと前記バック孔との間を貫通するように切削加工により形成されたインク導孔と、
前記ボールハウス内に挿入された筆記ボールと、
前記筆記ボールの挿入後に前記テーパー部の先端部分を内方に塑性変形加工により縮径させることで同筆記ボールを前記ボールハウス内に保持するカシメ部と、
を備えることを特徴とするボールペンチップ。 - 前記筆記ボールと前記ホルダーとの長軸方向のクリアランスが筆記ボールの直径の1.5%以下であることを特徴とする請求項1記載のボールペンチップ。
- 前記カシメ部の内周面の曲率半径が、前記筆記ボールの半径と略同一であることを特徴とする請求項1又は2記載のボールペンチップ。
- 前記インク導孔の周囲を放射状に切削加工することにより形成されたチャンネル溝を備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載のボールペンチップ。
- 前記本体部の後端側の外周が縮径された連結部として形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のボールペンチップ。
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