以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態において、貨幣入出金機1が特許請求の範囲に記載の「紙幣処理装置」に対応する。また、制御部13が特許請求の範囲に記載の「判定部」および「搬送制御部」に対応する。さらに、入金部110が特許請求の範囲に記載の「繰出部」に対応する。さらに、第1反転部161が特許請求の範囲に記載の「出金紙幣反転部」に対応する。さらに、第2反転部171が特許請求の範囲に記載の「反転部」および「入金紙幣反転部」に対応する。さらに、第2カセット182が特許請求の範囲に記載の「退避部」に対応する。さらに、スタッカ200が特許請求の範囲に記載の「排出部」および「収納部」に対応する。さらに、画像読取部220と制御部13とにより特許請求の範囲に記載の「状態検出部」が構成される。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
本発明の紙幣処理装置の一実施形態である貨幣入出金機1について説明する。貨幣入出金機1は、銀行等の窓口カウンタの内側に設置され、貨幣の入出金業務を行うテラーにより使用される。
<貨幣入出金機の構成>
図1は、本実施形態に係る、貨幣入出金機1の構成を示す概略図である。図2(a)は、本実施形態に係る、搬送部140を流れる紙幣の状態を示す図であり、図2(b)は、本実施形態に係る、第1反転部161による紙幣の表裏反転について説明するための図であり、図2(c)は、本実施形態に係る、第2反転部171による紙幣の表裏反転について説明するための図である。
貨幣入出金機1は、外郭を構成する筐体10内に、紙幣入出金ユニット11と硬貨入出金ユニット12とを備える。紙幣入出金ユニット11は、筐体10内の下側に設けられ、紙幣の入金処理、出金処理等を行う。硬貨入出金ユニット12は、筐体10内の上側に設けられ、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。
紙幣入出金ユニット11は、入金部110と、出金部120と、リジェクト部130と、搬送部140と、識別部150と、第1紙幣揃え部160と、第2紙幣揃え部170と、2つのカセット180と、カセット180用の2つの一時保留部190と、3つのスタッカ200と、スタッカ200用の3つ一時保留部210と、画像読取部220とを備える。
入金部110、出金部120およびリジェクト部130は、筐体10内の上部の正面近傍に設けられる。筐体10の正面には、シャッターで開閉される入金口(図示せず)および出金口(図示せず)が設けられる。入金部110は入金口に繋がり、入金口を通じて入金部110にバラ紙幣が投入される。出金部120およびリジェクト部130は出金口に繋がり、出金口を通じて出金部120およびリジェクト部130からバラ紙幣が取り出される。
入金部110は、入金繰出機構111を備える。入金繰出機構111は、入金部110に投入されたバラ紙幣を一枚ずつ搬送部140へ繰り出す。出金部120は、主に、スタッカ200から繰り出された紙幣を受け取る。リジェクト部130は、主に、識別部150により属性(真偽、金種、天地表裏等)が識別できず、正常な紙幣と見做されない紙幣を受け取る。
搬送部140は、ベルト機構、ローラー機構等により構成され、メイン搬送路141と、入金搬送路142と、出金搬送路143と、リジェクト搬送路144と、2つのカセット搬送路145と、3つのスタッカ搬送路146とを含む。メイン搬送路141は、筐体10内を前後方向に延びるように逆L字のループ状に形成され、図1において、時計回り方向(実線矢印)と反時計回り方向(破線矢印)に紙幣を搬送することが可能である。
入金搬送路142は、入金部110とメイン搬送路141との間に設けられる。出金搬送路143は、出金部120とメイン搬送路141との間に設けられる。リジェクト搬送路144は、リジェクト部130とメイン搬送路141との間に設けられる。カセット搬送路145は、カセット180および一時保留部190とメイン搬送路141との間に設けられる。スタッカ搬送路146は、スタッカ200および一時保留部210とメイン搬送路141との間に設けられる。
長方形である紙幣は、その短手方向(天地方向)が、搬送方向を向くようにして搬送部140により搬送される。搬送部140を流れる紙幣は、図2(a)に示すように、4通りの方向パターンを採り得る。本実施形態では、紙幣を入金部110からスタッカ200へ収納する入金時の搬送部140による搬送方向を「順搬送方向」と定義し、紙幣をスタッカ200から出金部120へ投出する出金時の搬送部140による搬送方向を「逆搬送方向」と定義する。そして、搬送部140を流れる紙幣を上方からみたときに、紙幣に描かれた肖像の頭が向く天方向が順搬送方向を向き且つ表面が上方向を向く方向パターンの紙幣を「天表紙幣」と定義し、天方向が順搬送方向を向き且つ裏面が上方向を向く方向パターンの紙幣を「天裏紙幣」と定義し、天方向と反対の地方向が順搬送方向を向き且つ表面が上方向を向く方向パターンの紙幣を「地表紙幣」と定義し、地方向が順搬送方向を向き且つ裏面が上方向を向く方向パターンの紙幣を「地裏紙幣」と定義する。
識別部150は、メイン搬送路141の上側のループの後部に設けられる。識別部150は、搬送部140を流れる紙幣の属性を識別し、識別結果を後述する制御部に出力する。識別される属性には、紙幣の真偽および金種、紙幣の表裏の方向の他、紙幣の天地の方向が含まれる。また、識別部150は、紙幣の枚数を計数する機能を有する。
第1紙幣揃え部160は、識別部150の前方、即ち、識別部150よりも出金時の紙幣の流れの下流側に配置される。第1紙幣揃え部160は、メイン搬送路141の一部を構成する第1反転部161および第1非反転部162を含む。第1反転部161は、例えば、特開平2−286562号公報に開示されるようなスイッチバック方式により紙幣を折り返すようにして表裏反転させる搬送路を含む。第1反転部161を通過した紙幣は、図2(b)に示すように、紙幣の短手方向、即ち天地方向に沿って表裏反転し、表裏と天地が入れ替わる。第1非反転部162は、第1反転部161とほぼ同じ経路長を有し、紙幣を現状の方向のまま通過させる。
第2紙幣揃え部170は、筐体10内の後部に、その長手方向が上下方向となるように設けられる。第2紙幣揃え部170は、識別部150よりも入金時の紙幣の流れの下流側に位置する。第2紙幣揃え部170を、このような配置とすることにより、第1紙幣揃え部160と長手方向が前後方向となる第2紙幣揃え部170とを識別部150の前方に並べて配置する場合に比べて、貨幣入出金機1のサイズを前後方向にコンパクトにすることができる。
第2紙幣揃え部170は、メイン搬送路141の一部を構成する第2反転部171および第2非反転部172を含む。第2反転部171は、例えば、特開昭63−267640号公報に開示されるように、上下方向に延びるようにスパイラル状に形成され紙幣を左右に捩じるようにして表裏反転させる搬送路を含む。第2反転部171を通過した紙幣は、図2(c)に示すように、紙幣の長手方向、即ち左右方向に沿って表裏反転し、表裏と左右が入れ替わる。第2非反転部172は、第2反転部171とほぼ同じ経路長を有し、紙幣を現状の方向のまま通過させる。
2つのカセット180と3つのスタッカ200は、筐体10内において、搬送部140の下方に、前後に並ぶように設けられる。2つのカセット180が3つのスタッカ200の前方に設けられる。最後尾のスタッカ200の後方に第2紙幣揃え部170が位置する。
カセット180は、筐体10から着脱可能であり、筐体10の前面下部に設けられたドア(図示せず)を開放することにより、筐体10の内部に出し入れすることができる。カセット180は、主に、スタッカ200から回収された紙幣やスタッカ200へ補充される紙幣を収納するために利用される。また、カセット180は、入金部110に投入された紙幣を計数し所定枚数のまとまりにして出金部120に払い出す計数整理処理やスタッカ200内の紙幣の自動精査を行う自動精査処理の際、紙幣を一時的に収納するために利用される。カセット180内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、カセット180内に昇降ステージ180aが設けられる。なお、前側のカセット180が第1カセット181となり、後側のカセット180が第2カセット182となる。
本実施形態では、第2カセット182が、2千円券、旧券、損券(市場流通に適さない紙幣)等の収納に利用される。また、第2カセット182には、後述するように、折り目によるシワが強く第2反転部171を経由させることが適当でない紙幣が収納される。
カセット180用の一時保留部190は、対応するカセット180の上方に配置される。一時保留部190は、カセット180に収納される紙幣を一時的に保留する。一時保留部190の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、カセット180内の紙幣を、一時保留部190を通じてカセット搬送路145に繰り出すことができる。
スタッカ200は、入金された紙幣を金種別に収納するために利用される。たとえば、3つのスタッカ200のそれぞれに対し、一万円、千円および5千円の金種が割り当てられ得る。スタッカ200内には、紙幣が上下に積まれるように収納される。収納された紙幣を昇降するため、スタッカ200内に昇降ステージ200aが設けられる。
スタッカ200用の一時保留部210は、対応するスタッカ200の上方に配置される。一時保留部210は、スタッカ200に収納される紙幣を一時的に保留する。一時保留部210の出入口側には繰出機構(図示せず)が設けられ、スタッカ200内の紙幣を、一時保留部210を通じてスタッカ搬送路146に繰り出すことができる。
画像読取部220は、第2紙幣揃え部170よりも入金時の紙幣の流れの上流側に配置される。画像読取部220は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサを含み、搬送部140(メイン搬送路141)を流れる紙幣の画像を読み取って、その画像データを後述する制御部に出力する。
図3は、本実施形態に係る、貨幣入出金機1の主たる構成を示すブロック図である。
貨幣入出金機1は、上述した紙幣入出金ユニット11および硬貨入出金ユニット12の他、制御部13、記憶部14および操作表示部15を備える。
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部14に記憶された動作プログラムに従って、紙幣入出金ユニット11の各構成部(入金繰出機構111、搬送部140、識別部150、第1紙幣揃え部160、第2紙幣揃え部170、カセット180、一時保留部190、スタッカ200、一時保留部210、画像読取部220等)および硬貨入出金ユニット12の各構成部を制御する。記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部13の動作プログラムを記憶し、また、制御部13の制御処理の際にワーク領域として利用される。
操作表示部15は、ディスプレイとタッチセンサとからなるタッチパネルで構成される。操作表示部15は、ディスプレイに各種の画像(画面)を表示するとともに、ディスプレイに対するユーザのタッチ操作をタッチセンサにより検出する。操作表示部15は、たとえば、筐体10の上面の前端部に設けられる。
<入金処理および出金処理>
次に、貨幣入出金機1により行われる入金処理および出金処理について、図4ないし図8を参照して説明する。本実施形態の貨幣入出金機1は、入金処理および出金処理が行われる結果、出金された複数の紙幣の表裏および天地が揃えられる。なお、本実施形態では、出金された紙幣が天表紙幣に揃えられる。
図4は、本実施形態に係る、入金処理の制御動作を示すフローチャートである。図5(a)は、本実施形態に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図であり、図5(b)は、本実施形態に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での天表紙幣および地裏紙幣の流れを示す図であり、図5(c)は、本実施形態に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での折り目によるシワの強い紙幣の流れを示す図である。図6(a)は、本実施形態に係る、出金処理の制御動作を示すフローチャートであり、図6(b)は、本実施形態に係る、戻し処理の制御動作を示すフローチャートである。図7(a)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での地裏紙幣の流れを示す図であり、図7(b)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での天表紙幣の流れを示す図であり、図7(c)は、本実施形態に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図である。図7(d)は、本実施形態に係る、戻し処理における貨幣入出金機1内での地表紙幣および天裏紙幣の流れを示す図である。図8は、本実施形態に係る、入金処理および出金処理が行われたときの紙幣の状態の遷移を示す図である。
テラーにより、入金する紙幣が入金部110に投入された後、入金処理のための操作が行われると、入金処理が開始される。
図4を参照して、制御部13は、入金部110から一枚ずつ紙幣(バラ紙幣)を繰り出させて搬送部140に搬送させ(S101)、搬送部140を流れる紙幣の属性(金種、表裏の方向、天地の方向等)を識別部150により識別する(S102)。さらに、制御部13は、画像読取部220から取得した紙幣の画像データに基づいて、その紙幣に生じ得る折り目によるシワの強さを算出(検出)する(S103)。
折り目によるシワの強さは、たとえば、特開2002−373357号公報に記載された手法により算出される。この手法では、紙幣の画像において、折り目が生じやすい紙幣の中央部に汚損判定領域が設けられ、汚損判定領域の画像値を折れ目の着く方向(画素列の方向)に累積した累積値が、画素列毎に求められる。汚染領域内で累積値が描く軌跡には、折り目の部分にある程度の深い谷が生じる。折り目が強く付けられる程、即ち、折り目によるシワが強いほど、累積値による谷は深くなる。累積値の谷は、累積値の最大値と最小値の差分値であり、この差分値が折り目によるシワの強さとして算出される。
制御部13は、算出したシワの強さ(累積値の差分値)が予め定められた閾値よりも小さいか否かを判定する(S104)。折り目によるシワが強いと、紙幣が折り目で折れて変形しやすい。このような紙幣が第2反転部171を経由した場合、第2反転部171の内部で紙幣に反転動作が加えられる際、内部機構に紙幣が引っ掛り易く、これにより、紙幣の詰まり(ジャム)や損傷が生じやすい。そこで、第2反転部171での紙幣の詰まりや損傷のリスクを考慮して、閾値が設定される。
S103で算出したシワの強さが閾値よりも小さい場合は(S104:YES)、紙幣の詰まりや損傷のリスクが小さいため、その紙幣が第2反転部171を経由することに支障がない。そこで、この場合、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、その紙幣が地表紙幣または天裏紙幣であるか否かを判定する(S105)。紙幣が地表紙幣または天裏紙幣である場合(S105:YES)、制御部13は、その紙幣を第2反転部171に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S106)、対応するスタッカ200の一時保留部210に収納する(S107)。一方、紙幣が地表紙幣でも天裏紙幣でもない、即ち天表紙幣または地裏紙幣である場合(S105:NO)、制御部13は、その紙幣を第2反転部171に通さず第2非反転部172に通して対応するスタッカ200の一時保留部210に収納する(S107)。
S103で算出したシワの強さが閾値以上の場合は(S104:NO)、紙幣の詰まりや損傷のリスクが大きいため、その紙幣が第2反転部171を経由することに支障がある。そこで、この場合、制御部13は、その紙幣が天表紙幣でなければ(S108:NO)、その紙幣を、第2非反転部172を通して第2カセット182の一時保留部190に収納する(S109)。なお、制御部13は、その紙幣が天表紙幣である場合は(S108:YES)、その紙幣を第2反転部171に通さず第2非反転部172に通して対応するスタッカ200の一時保留部210に収納する(S107)。
制御部13は、入金部110から紙幣が全て繰り出されるまで、S101からS109の処理を繰り返す。紙幣が全て繰り出されると(S110:YES)、制御部13は、承認操作を待つ(S111)。承認操作がなされると(S111:YES)、制御部13は、一時保留部190および210から紙幣を落下させて第2カセット182およびスタッカ200に収納する(S112)。こうして、入金処理が終了する。
なお、承認操作がなされる前に返却操作がなされた場合(S111:NO→S113:YES)、制御部13は、一時保留部190および210から紙幣を排出させて出金部120に返却する(S114)。
このような入金処理が行われることにより、入金部110に入金された紙幣のうち、地表紙幣および天裏紙幣は、図5(a)のように、第2反転部171を経由して対応するスタッカ200に収納され、天表紙幣および地裏紙幣は、図5(b)のように、第2反転部171を経由することなく対応するスタッカ200に収納される。図8に示すように、地表紙幣は、第2反転部171により地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣は、第2反転部171により天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。また、天表紙幣および地裏紙幣は、その状態のままスタッカ200に収納される。こうして、入金後、スタッカ200内には、天表紙幣および地裏紙幣のみが収納された状態となる。
さらに、入金部110に入金された紙幣の中に、折り目によるシワが強く、第2反転部171での詰まりや損傷のリスクが高い紙幣が存在した場合、図5(c)に示すように、このような紙幣は、第2反転部171を経由することなく第2カセット182に収納される。
テラーにより、出金処理のための操作が行われると、出金処理が開始される。
図6(a)を参照して、制御部13は、スタッカ200から一枚ずつ紙幣を繰り出させて搬送部140に搬送させ(S201)、搬送部140を流れる紙幣の属性(金種、表裏の方向、天地の方向等)を識別部150により識別する(S202)。次に、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、その紙幣が地裏紙幣であるか否か、および、その紙幣が天表紙幣であるか否かを判定する(S203、S204)。紙幣が地裏紙幣である場合(S203:YES)、制御部13は、その紙幣を第1反転部161に通して、その紙幣の表裏および天地を入れ替えた後に(S205)、出金部120に投出する(S206)。
上述の通り、入金処理によってスタッカ200内には天表紙幣または地裏紙幣のみが収納される。よって、通常の場合、出金される紙幣は、地裏紙幣でなければ天表紙幣となる。しかしながら、たとえば、出金時に搬送部140でジャム等のエラーが発生し、テラーの手により搬送部140に残った紙幣がスタッカ200に戻されるなど、スタッカ200内の紙幣が外部から触れられるような状況となった場合、スタッカ200内に地表紙幣または天裏紙幣が混ざり込んでしまうことが生じ得る。こうした場合に、出金処理の際、地表紙幣または天裏紙幣が搬送部140を流れ得る。
紙幣が天表紙幣である場合(S204:YES)、制御部13は、その紙幣を第1反転部161に通さず第1非反転部162に通して出金部120に投出する(S206)。一方、上述の要因により、地表紙幣または天裏紙幣が搬送部140を流れた場合、S204で紙幣が天表紙幣でないと判定され得る。このような判定がなされた場合(S204:NO)、制御部13は、その紙幣、即ち地表紙幣または天裏紙幣を、出金部120に投出せずに、第1非反転部162を経由させて第1カセット181に収納する(S207)。
制御部13は、出金操作で指定された枚数、即ち、出金枚数の紙幣が出金部120に投出されるまで、S201からS207の処理を繰り返す。出金枚数の紙幣が出金部120に投出されると(S208:YES)、制御部13は、出金処理を終了させる。
このような出金処理が行われることにより、スタッカ200から出金された紙幣のうち、地裏紙幣は、図7(a)のように、第1反転部161を経由して出金部120に投出され、天表紙幣は、図7(b)のように、第1非反転部162を経由して出金部120に投出される。また、地表紙幣または天裏紙幣が存在した場合、これら紙幣は、図7(c)のように、第1非反転部162を経由して第1カセット181に収納される。図8に示すように、地裏紙幣は、第1反転部161により天表紙幣に変換されて出金部120に投出され、天表紙幣は、その状態のまま出金部120に投出される。こうして、出金後、出金部120には、天表紙幣のみが投出された状態となる。即ち、紙幣は、表裏および天地が揃えられた状態で出金部120に投出される。
なお、出金処理では、紙幣が第1反転部161を経由し得る。第2反転部171の場合と同様に、折り目によるシワが強いと、第1反転部161で紙幣に反転動作が加えられる際、内部機構に紙幣が引っ掛り易く、紙幣の詰まり(ジャム)や損傷が生じやすい。しかしながら、本実施形態では、入金処理の際に折り目によるシワの強さが調べられ、シワの強くない紙幣がスタッカ200に収納される。このため、通常の場合、出金処理の際にはシワの強くない紙幣が第1反転部161を経由することとなり、第1反転部161で紙幣の詰まりや損傷が生じるリスクは小さい。
出金処理において、第1カセット181に地表紙幣または天裏紙幣が収納された場合、出金処理が終了した後、自動的に、あるいは、テラーの操作に基づいて、第1カセット181の紙幣をスタッカ200に戻すための戻し処理が行われる。
図6(b)を参照して、制御部13は、第1カセット181から一枚ずつ紙幣を繰り出させ(S301)、繰り出された紙幣を第2反転部171に通して、その紙幣の表裏および左右を入れ替えた後に(S302)、対応するスタッカ200に収納する(S303)。制御部13は、第1カセット181から紙幣が全て繰り出されるまで、S301からS303の処理を繰り返す。紙幣が全て繰り出されると(S304:YES)、制御部13は、戻し処理を終了させる。
このような戻し処理が行われることにより、第1カセット181から繰り出された地表紙幣および天裏紙幣は、図7(d)のように、第2反転部171を経由してスタッカ200に収納される。これにより、地表紙幣は地裏紙幣に変換されてスタッカ200に収納され、天裏紙幣は天表紙幣に変換されてスタッカ200に収納される。
なお、地表紙幣および天裏紙幣の収納に、第1カセット181に対応する一時保留部190が用いられてもよい。また、旧券、損券等や折り目によるシワの強い紙幣の収納に第1カセット181が用いられ、地表紙幣および天裏紙幣の収納に第2カセット182が用いられてもよい。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
表裏および天地が揃った紙幣を出金部120に投出させることができるので、これら紙幣の見栄えが良い上に取扱いやすい。
入金処理の際に、紙幣の折り目によるシワの強さを調べ、折り目によるシワが強い紙幣については、第2反転部171を経由させることなく第2カセット182に退避させるようにしているので、第2反転部171(スパイラル状の搬送路)で紙幣の詰まりや損傷が生じるリスクを低減できる。また、出金処理の際に第1反転部161(スイッチバック方式の搬送路)で紙幣の詰まりや損傷が生じるリスクも低減できる。
入金処理において紙幣を第2紙幣揃え部170に通して紙幣の一部の方向を揃え、出金処理において紙幣を第1紙幣揃え部160に通して最終的に紙幣の表裏および天地を揃えるようにしているので、表裏および天地を揃えるために要する時間を入金処理と出金処理とに分散させることができ、入金処理または出金処理に偏った時間の増加を抑制できる。なお、たとえば、入金処理の際に表裏および天地を揃える場合は、紙幣を揃えるための時間増加が入金処理に偏ってしまい、入金処理に時間が掛かってしまうことが懸念される。
エラーの発生等が原因で、スタッカ200内に、通常収納されるべき正しい向きの紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)とは向きの異なる誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)が混在していても、これら誤った向きの紙幣を出金部120へ投出させないので、表裏および天地の揃った紙幣のみを出金部120に投出させることができる。
戻し処理によって、誤った向きの紙幣(地表紙幣および天裏紙幣)を、正しい向きの紙幣(天表紙幣および地裏紙幣)に変換してスタッカ200に戻すことができ、スタッカ200内を適正な収納状態に戻すことが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、以下に示す通り、上記以外に種々の変更が可能である。
<変更例1>
図9(a)は、変更例1に係る、出金処理の制御動作を示すフローチャートであり、図9(b)は、変更例1に係る、出金処理における貨幣入出金機1内での折り目によるシワの強い紙幣の流れを示す図である。なお、本変更例の出金処理は、図6(a)に示す上記実施形態の出金処理にS221ないしS224の処理が付加されたものである。
図1に示すように、画像読取部220は、第1紙幣揃え部160よりも出金時の紙幣の流れの上流側に位置するため、第1紙幣揃え部160を通過する前に、紙幣の画像を読み取ることができる。そこで、本変更例では、入金処理時だけでなく、出金処理時において紙幣が第1紙幣揃え部160、即ち、第1反転部161に至る前にも、紙幣の折り目によるシワの強さが調べられる。なお、本変更例において、スタッカ200が特許請求の範囲に記載の「繰出部」に対応し、出金部120が特許請求の範囲に記載の「排出部」に対応する。
図9(a)を参照し、制御部13は、識別部150による識別処理の後(S202)、識別部150を通る前に画像読取部220で読み取った画像データに基づいて、その紙幣の折り目によるシワの強さを算出する(S221)。そして、制御部13は、算出したシワの強さが予め定められた閾値よりも小さいか否かを判定する(S222)。出金処理における閾値は、入金処理における閾値と同じ値に設定されてもよいし、第1反転部161での紙幣の詰まりや損傷のリスクを考慮し、入金処理時の閾値とは異なる値に設定されてもよい。
S221で算出したシワの強さが閾値よりも小さい場合は(S222:YES)、紙幣の詰まりや損傷のリスクが小さいため、その紙幣が第1反転部161を経由することに支障がない。そこで、この場合、制御部13は、識別部150での識別結果に基づいて、その紙幣が地裏紙幣であるか否か、天表紙幣であるか否かを判定する(S203、S204)。
一方、S221で算出したシワの強さが閾値以上の場合は(S222:NO)、紙幣の詰まりや損傷のリスクが大きいため、その紙幣が第1反転部161を経由することに支障がある。そこで、この場合、制御部13は、その紙幣が天表紙幣でなければ(S223:NO)、図9(b)のように、その紙幣を、第1非反転部162を通して第2カセット182に収納する(S224)。
本変更例の構成によれば、第1反転部161に至る前にも紙幣の折り目によるシワの強さが調べられ、シワが強いと判定された紙幣については、第1反転部161を経由せずに第2カセット182へ退避されるので、第1反転部161での紙幣の詰まりや損傷が発生するリスクをより低減させることができる。
なお、本変更例のように、入金処理と出金処理の双方において、紙幣の折り目によるシワの強さが判定される場合、入金処理において、地表紙幣または天裏紙幣と判定された紙幣、即ち、第2反転部171を経由させるべき紙幣のみを対象として折り目によるシワの強さが判定されてもよく、出金処理において、地裏紙幣と判定された紙幣、即ち、第1反転部161を経由させるべき紙幣のみを対象として折り目によるシワの強さが判定されてもよい。
<変更例2>
図10(a)は、変更例2に係る、入金処理の制御動作を示すフローチャートであり、図10(b)は、変更例2に係る、入金処理における貨幣入出金機1内での折り目によるシワの強い紙幣の流れを示す図であり、図10(c)は、変更例2に係る、案内画面の一例を示す図である。なお、図10(a)では、S110以降の処理の図示が省略されている。
本変更例の入金処理は、図4に示す上記実施形態の入金処理のS108の処理がS121およびS122の処理に置き換えられたものである。即ち、上記実施形態では、折り目によるシワが強いと判定された紙幣が第2カセット182に収納されたが、本変更例では、折り目によるシワが強いと判定された紙幣が一旦返却されるとともに、その紙幣を入金部110へ再投入するときの投入方向が案内される。なお、本変更例において、制御部13が特許請求の範囲に記載の「表示制御部」に対応し、操作表示部15が特許請求の範囲に記載の「表示部」に対応する。
図10(a)を参照して、制御部13は、S104において、紙幣の折り目によるシワの強さが閾値以上であると判定すると(S104:NO)、その紙幣が天表紙幣でなければ(S108:NO)、図10(b)に示すように、その紙幣を、第2非反転部172を通してリジェクト部130に返却する(S121)。次に、制御部13は、返却された紙幣が、出金部120に投出される方向パターン(たとえば、天表紙幣の方向パターン)で入金部110に投入されるように、紙幣の投入方向を操作表示部15により案内する(S122)。たとえば、操作表示部15には、図10(c)に示すような案内画面が表示される。
なお、本変更例では、S112において、一時保留部190内の紙幣を第2カセット182に収納する処理は行われず、S114において、一時保留部190内の紙幣を出金部120に返却する処理は行われない。
本変更例の構成によれば、第1反転部161や第2反転部171を経由させることが望ましくない紙幣を、第1反転部161や第2反転部171を経由させなくてもよい方向で収納できるため、反転させることが望ましくない紙幣であっても、出金紙幣としてリサイクルすることができ、他の紙幣と表裏および天地を揃えて出金部120に払い出すことが可能となる。
<変更例3>
図11は、変更例3に係る、貨幣入出金機1の主たる構成を示すブロック図である。図12は、変更例3に係る、入金処理の制御動作を示すフローチャートである。
上記実施形態では、折り目によるシワの強さ(シワの深さ)が判定された。これに対し、本変更例では、折り目によるシワ以外のシワも含めた、紙幣に生じたシワの強さ(シワの深さ)が判定される。
本変更例では、紙幣入出金ユニット11に、画像読取部220に替えてシワ情報出力部230が配置される。シワ情報出力部230と制御部13とにより特許請求の範囲に記載の「状態検出部」が構成される。
シワ情報出力部230は、入金部110から第2紙幣揃え部170へと向かう紙幣から、折り目によるシワを含むシワの強さの指標となる情報(以下、「シワの強さ情報」と称する)取得し、制御部13へ出力する。
たとえば、特開平5−97283号公報に記載された手法が用いられる場合、シワ情報出力部230は、搬送部140を流れる紙幣に向けて一定周期で音波を送信する送信素子と、紙幣の表面で反射した音波を受信する受信素子と、音波の送信から受信までに要する時間、即ち、シワ情報出力部230から紙幣の表面までの距離を一定周期で測定する測定部とを含み、測定部が測定した時間、即ち距離に応じた信号をシワ強さ情報として出力する。紙幣にシワ、即ちシワとなる凹凸がある場合、その凹凸によって測定距離が変動し、その変動幅は、凹凸が大きいほど、即ちシワが強いほど大きくなる。そこで、この構成の場合、制御部13は、測定距離の変動幅を、紙幣に生じたシワの強さとして算出(検出)する。
あるいは、特開平10−213581号公報に記載された手法が用いられる場合、シワ情報出力部230は、入金繰出機構111が有する、紙幣を繰り出すための一対のローラーの振動を検出する振動センサを含み、振動波形信号をシワの強さ情報として出力する。一対のローラーは、その間に紙幣を挟むようにして繰り出す。このため、紙幣にシワ、即ちシワとなる凹凸がある場合、その凹凸によって一対のローラーが振動し、その振幅は、凹凸が大きいほど、即ちシワが強いほど大きくなる。そこで、この構成の場合、制御部13は、信号波形信号の振幅を、紙幣に生じたシワの強さとして算出(検出)する。
本変更例の入金処理では、図4に示す上記実施形態の入金処理のS103の処理がS131の処理に置き換えられる。
図12を参照し、制御部13は、識別部150による識別処理の後(S102)、シワ情報出力部230から取得したシワの強さ情報に基づいて、その紙幣における、折り目によるシワ以外のシワを含めたシワの強さを算出する(S131)。そして、制御部13は、算出したシワの強さが予め定められた閾値よりも小さければ(S104:YES)、識別部150での識別結果に基づいて、その紙幣が地表紙幣または天裏紙幣であるか否かを判定する(S105)。
一方、S131で算出したシワの強さが閾値以上の場合は(S104:NO)、その紙幣が天表紙幣でなければ(S108:NO)、その紙幣を、第2非反転部172を通して第2カセット182の一時保留部190に収納する(S109)。
本変更例の構成によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<その他の変更例>
上記実施形態および上記変更例1ないし3では、紙幣のシワの強さ(折り目によるシワの強さ、折り目以外のシワも含むシワの強さ)により、紙幣が第2反転部171や第1反転部161を経由することの可否が判定された。しかしながら、紙幣に生じるシワの数(量)が多い場合も、第2反転部171や第1反転部161での紙幣の詰まりや損傷のリスクが生じやすいと考えられる。よって、紙幣に生じるシワの数(量)より、紙幣が第2反転部171や第1反転部161を経由することの可否が判定されてもよい。たとえば、上記変更例3のシワ情報出力部230が、入金繰出機構111の一対のローラーの振動を検出する振動センサを含む構成の場合、一枚の紙幣において振動センサが検出する振動波形の頂点の数の多少によってシワの数の多少を判定することが考えられる。
また、シワが強かったりシワの数が多かったりする場合だけでなく、たとえば、紙幣に折れが生じている場合や、紙幣に損券とならない程度のわずかな破れが生じている場合も、第2反転部171や第1反転部161で紙幣の詰まりや損傷が生じやすいと考えられる。よって、紙幣に生じるシワの状態に限られず、シワ以外の紙幣の状態、たとえば、紙幣に折れや僅かな破れを検出し、折れや破れに応じて紙幣が第2反転部171や第1反転部161を経由することの可否が判定されてもよい。紙幣の折れや僅かな破れは、たとえば、上記実施形態の画像読取部220が読み取った画像データを解析することにより制御部13で検出され得る。
なお、上述した方法のほかに種々の手段を用いて紙幣のシワや折れ、わずかな破れ等の状態を取得することとしてもよい。
さらに、上記実施形態では、貨幣入出金機1において、識別部150を挟んで、順搬送方向(図1の実線矢印)の上流側に第1紙幣揃え部160が設けられ、下流側に第2紙幣揃え部170が設けられた。しかしながら、これと反対に、貨幣入出金機1において、識別部150を挟んで、順搬送方向の上流側に第2紙幣揃え部170が設けられ、下流側に第1紙幣揃え部160が設けられてもよい。この場合、図4の入金処理のS105で紙幣が地表紙幣または地裏紙幣であるか否かが判定され、YESと判定された場合に、S106でその紙幣の表裏および天地が入れ替えられる。これにより、シワの強くない紙幣が、第1紙幣揃え部160によって天地のみが揃えられてスタッカ200に収納される。さらに、図6(a)の出金処理のS203で天裏紙幣であるか否かが反転され、YESと判定された場合に、S205でその紙幣の表裏および左右が入れ替えられる。これにより、スタッカ200から繰り出された、天地のみが揃えられた紙幣が、第2紙幣揃え部170よって表裏および天地が揃えられて出金部120に投出される。この変更例では、第1反転部161が特許請求の範囲に記載の「反転部」および「入金紙幣反転部」に対応することとなり、第2反転部171が特許請求の範囲に記載の「出金紙幣反転部」に対応することとなる。
さらに、識別部150および画像読取部220の順搬送方向の下流側に第1紙幣揃え部160と第2紙幣揃え部170の双方が配置されてもよい。この場合、上記実施形態と同様、入金処理の際、紙幣のシワの強さが判定され、シワの強くない紙幣が、表裏および天地が揃えられてスタッカ200に収納されることとなる。反対に、識別部150および画像読取部220の順搬送方向の上流側、即ち、逆搬送方向の下流側に第1紙幣揃え部160と第2紙幣揃え部170の双方が配置されてもよい。この場合、上記変更例1と同様、出金処理の際、紙幣のシワの強さが判定され、シワの強くない紙幣が、表裏および天地が揃えられて出金部120に投出されることとなる。
さらに、第1紙幣揃え部160および第2紙幣揃え部170のうち、何れか一方の紙幣揃え部のみが貨幣入出金機1に備えられるようにしてもよい。第1紙幣揃え部160または第2紙幣揃え部170が、識別部150および画像読取部220の順搬送方向の下流側に配置される場合、上記実施形態と同様、入金処理の際、紙幣のシワの強さが判定され、シワの強くない紙幣が、表裏のみが揃えられてスタッカ200に収納されることとなる。第1紙幣揃え部160または第2紙幣揃え部170が、識別部150および画像読取部220の順搬送方向の上流側、即ち、逆搬送方向の下流側に配置される場合、上記変更例1と同様、出金処理の際、紙幣のシワの強さが判定され、シワの強くない紙幣が、表裏のみが揃えられて出金部120に投出されることとなる。
さらに、上記変更例1において、折り目によるシワが強いと判定された紙幣が第2カセット182に収納されたが、これに替えて、折り目によるシワが強いと判定された紙幣がリジェクト部130に搬送されるとともに、出金処理の終了後にその紙幣を入金部110へ再投入するときの投入方向が案内されるようにしてもよい。本構成によれば、出金時に第1反転部161を経由させることが望ましくない紙幣を、第1反転部161を経由しない方向で収納できるため、シワが強い紙幣であっても出金に使用することが可能となる。
さらに、上記実施形態において、第1反転部161が、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の天地の向き(左右の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、入金処理において、シワの強くない紙幣が、第2紙幣揃え部170によって表裏のみが揃えられてスタッカ200に収納される。そして、スタッカ200から繰り出された、表裏のみが揃えられた紙幣が、第1紙幣揃え部160によって表裏および天地が揃えられて出金部120に投出される。また、上記実施形態において、第2反転部171が、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の左右の向き(天地の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合は、上記実施形態と同様、入金処理において、シワの強くない紙幣が、第2紙幣揃え部170によって左右のみが揃えられてスタッカ200に収納され、出金処理において第1紙幣揃え部160によって表裏および天地が揃えられた紙幣が出金部120に投出される。
さらに、第1紙幣揃え部160と第2紙幣揃え部170とを、識別部150の下流側と上流側とに入れ替えた場合に、さらに、第2反転部171が、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の左右の向き(天地の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合、入金処理において、シワの強くない紙幣が、第1紙幣揃え部160によって表裏のみが揃えられてスタッカ200に収納される。そして、スタッカ200から繰り出された、表裏のみが揃えられた紙幣が、第2紙幣揃え部170によって表裏および天地が揃えられて出金部120に投出される。また、同じく、第1紙幣揃え部160と第2紙幣揃え部170とを、識別部150の下流側と上流側とに入れ替えた場合に、第1反転部161が、紙幣を同一面内で180度回転させることにより、紙幣の天地の向き(左右の向き)を入れ替えるが表裏の向きを入れ替えない構成とされてもよい。この場合は、入金処理において、シワの強くない紙幣が、第1紙幣揃え部160によって天地のみが揃えられてスタッカ200に収納され、出金処理において第2紙幣揃え部170によって表裏および天地が揃えられた紙幣が出金部120に投出される。
さらに、上記実施形態において、識別部150が、イメージセンサ等を有していて画像を読み取ることができる構成である等の場合に、画像読取部220やシワ情報出力部230が設けられず、替わりに、識別部150が紙幣の画像データやシワ情報等を制御部13に出力してもよい。すなわち、紙幣のシワや折れ、わずかな破れ等の状態を検出するための手段は識別部150に一体的に設けられていてもよい。この場合、識別部150は、特許請求の範囲の「識別部」のみならず「状態検出部」としても機能することとなる。
さらに、上記実施形態では、出金された紙幣が、4つの方向パターンのうち、天表紙幣となるように表裏および天地が揃えられた。しかしながら、出金された全ての紙幣が、天裏紙幣、地表紙幣または地裏紙幣となるように表裏および天地が揃えられてもよい。
さらに、貨幣入出金機1に備えられるスタッカ200およびカセット180の個数は、上記実施形態の個数に限られるものでなく、いくつであってもよい。
さらに、上記実施形態の貨幣入出金機1では、カセット180毎およびスタッカ200毎に一時保留部190、210が設けられた。しかしながら、貨幣入出金機1は、カセット180毎およびスタッカ200毎に一時保留部190、210が設けられる構成ではく、一つの一括一時保留部が設けられる構成とされてもよい。
さらに、上記実施形態において、操作表示部15は無線または有線で貨幣入出金機1に接続された端末であってもよい。
さらに、上記実施形態において、搬送される紙幣は、その長手方向(左右方向)が搬送方向を向くようにして搬送部140により搬送されるようにしてもよい。
さらに、本発明が紙幣処理装置は、上記実施形態に挙げた貨幣入出金機1に限られるものではない。たとえば、本発明の紙幣処理装置は、バラ紙幣の入出金処理を行うバラ硬貨処理ユニットとバラ紙幣を帯封で結束して束紙幣を生成する束紙幣処理ユニットとからなる紙幣処理機であってもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。