JP6685835B2 - 電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真用部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は電子写真装置に用いられる電子写真用部材、該電子写真用部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真用部材は様々な用途、例えば、現像剤担持体(例えば、現像ローラ)、現像剤供給ローラ、転写ローラ、帯電部材(例えば帯電ローラ)、クリーニングブレード、現像剤層厚規制部材(例えば現像ブレード)として使用されている。このような電子写真用部材は、電気抵抗値が10〜1010Ω・cmであるものが一般的に用いられている。
ところで、上記したような電子写真用部材には、より一層の耐久性を持たせるために、表面層が設けられることがある。
ここで、特許文献1には、表層が、イソシアネート基と反応する官能基を備える環状分子を有するポリロタキサンが、少なくとも両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物によって架橋された架橋構造を有している電子写真用部材が開示されている。
具体的には、特許文献1には、該特許文献1に係る該架橋構造が、
架橋を形成する一方の該ポリロタキサンにおける該環状分子の該官能基と、該イソシアネート化合物における一方の該イソシアネート基との反応によって形成された第一架橋部と、
架橋を形成する他方の該ポリロタキサンにおける該環状分子の該官能基と該イソシアネート化合物における他方の該イソシアネート基との反応によって形成された第2架橋部とを含むことが記載されている。そして、特許文献1にかかる表層は、従来と比べて良好な耐久性を発現でき、使用温度範囲において低硬度かつ硬度の温度依存性が小さい、という効果を奏することが記載されている。
また、特許文献2は、第1のポリロタキサンの環状分子と、第2のポリロタキサンの環状分子とを化学結合させてなる化合物を導電性の表面層に含有させてなる帯電部材を開示している。そして、特許文献2には、このような帯電部材によれば、電子写真画像への圧縮永久歪みに起因するスジ状の濃度ムラの発生を抑制し得るという効果を奏することが記載されている。
特開2014−66857号公報 国際公開第2013/094127号
近年、電子写真用装置は、さらなる印刷スピードの高速化が進んでいる。印刷スピードの増大により、部材間の摺擦により発生する熱が大きくなり、稼働時と非稼働時の部材の温度の差が大きくなってきている。そのため、電子写真用部材には、このような、従来よりもより一層過酷な使用環境においても、高い耐久性を維持し得ることが必要となってきている。
本発明者らは、特許文献1および特許文献2に記載されているように、耐久性向上および圧縮永久歪みに起因する電子写真画像への濃度ムラの発生の抑制に資する、ポリロタキサンを含む表面層を備えた電子写真用部材について検討を重ねてきた。
その結果、環状分子同士を結合させてなるポリロタキサンを含む表面層を備えた電子写真用部材は、高温高湿環境および常温常湿環境に繰り返し曝された場合に、電気抵抗が低下する場合があった。
本発明は、多様な環境下に置かれた場合においても電気抵抗が変動し難く、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真用部材の提供に向けたものである。
また本発明は、高品位な電子写真画像を安定して得ることのできるプロセスカートリッジ及び電子写真装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性の基体と、導電性の表面層とを有する電子写真用部材であって、該表面層が、導電性付与剤と、第1のポリロタキサンと第2のポリロタキサンとが結合してなる結合ポリロタキサンを含み、
該第1のポリロタキサンは、
第1の環状分子の環の内部を第1の直鎖状分子が貫通し、
該第1の直鎖状分子は2つのブロック基を有し、該ブロック基は該第1の直鎖状分子の両末端に配置され、該第1の直鎖状分子から該第1の環状分子が脱離できない構造を有し、
該第2のポリロタキサンは、
第2の環状分子の環の内部を第2の直鎖状分子が貫通し、
該第2の直鎖状分子は2つのブロック基を有し、該ブロック基は該第2の直鎖状分子の両末端に配置され、該第2の直鎖状分子から該第2の環状分子が脱離できない構造を有し、
該第1の環状分子及び該第2の環状分子は共に少なくとも1つの水酸基を有し、
該第1のポリロタキサンと該第2のポリロタキサンとは、該第1の環状分子が有する水酸基に由来する酸素原子と、該第2の環状分子が有する水酸基に由来する酸素原子とが、下記構造式(1)で表される構造によって結合されている電子写真用部材が提供される。
上記構造式(1)中、
Zは、連結基を表し、
記号「*」および「**」は各々、該第1の環状分子の水酸基に由来する酸素原子および該第2の環状分子の水酸基に由来する酸素原子との結合部位を表す。
およびRは各々独立に、下記構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造を表す。
上記構造式(2)中、Rは水素またはメチル基を示し、n1およびn2は各々独立に、1〜4の整数を表す。
上記構造式(3)中、mは、0または1を表す。
上記構造式(5)中、p1およびp2は各々独立に0または1を表す。
上記構造式(6)中、q1は、0または1を表す。
上記構造式(7)中、
は炭素数5〜47の炭化水素基または、総炭素数5〜47のポリエーテル構造を有するアルキル基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。
なお、本発明において、電子写真用部材には、現像剤担持体(例えば、現像ローラ)、現像剤供給ローラ、転写ローラ、帯電部材(例えば、帯電ローラ)、クリーニングブレード、現像剤層厚規制部材(例えば、現像ブレード)等が含まれる。
また、本発明の他の態様によれば、電子写真装置に着脱可能なプロセスカートリッジであって、帯電部材、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材の少なくとも1つを有し、これらの少なくとも1つが上記の電子写真用部材であるプロセスカートリッジが提供される。
さらに本発明の他の態様によれば、帯電部材、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材の少なくとも1つが本発明に係る電子写真用部材であって、電子写真感光体を具備している電子写真装置が提供される。
本発明の一態様によれば、多様な環境に曝された場合にも、電子抵抗の変動が小さく抑えられ、その結果として、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真用部材を得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得ることができる。
本発明に係る結合ポリロタキサンの一例を示す概念図である。 本発明の電子写真用部材の一例を示す概念図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概念構成図である。 本発明の電子写真装置の一例を示す概念構成図である。 本発明の電子写真用部材の一例である導電性ローラの電流値を測定する測定装置の概略構成図である。 ローラの摩擦帯電量の測定装置の一例を示す概念構成図である。
本発明者らは、多様な環境で使用された場合にも、電気抵抗の変動が小さく抑えられる電子写真用部材を得るべく、特許文献1および特許文献2に記載のポリロタキサンについて鋭意検討を重ねた。
その結果、第1のポリロタキサンおよび第2のポリロタキサンの各々が有する環状分子を、特定の構造を有する連結基で結合してなる、第1のポリロタキサンと第2のポリロタキサンとの結合ポリロタキサンを含む表面層を備えた電子写真用部材が、高温高湿環境下および常温常湿環境下といった多様な環境に繰り返し曝された場合であっても、電気抵抗の変動が小さいこと見出し、本発明を為すに至った。
該結合ポリロタキサンは、上記した通り、第1のポリロタキサンおよび第2のポリロタキサンが、各々のポリロタキサンが有する環状分子において、特定の構造を有する連結基によって結合してなる構造を有する。
図2は、本発明の一実施態様に係る、ローラ形状を有する電子写真用部材(以降、「導電性ローラ」ともいう)の、軸に直交する方向の断面図である。
図2(a)に係る導電性ローラ11は、導電性の基体12とその外周に設けられた弾性層13とを有する。この構成においては、弾性層13が、本発明に係る導電性の表面層であり、当該弾性層13が、後述する本発明に係る特定の構造を有する結合ポリロタキサンを含む。
また、図2(b)に係る導電性ローラ11は、導電性の基体12と、基体12の外周面上の弾性層13と、弾性層13の外周面上の導電性樹脂層14とを有する。表面層を構成する導電性樹脂層14が、本発明に係る、特定の構造を有する結合ポリロタキサンを含む。なお、この構成においては、弾性層13は、該結合ポリロタキサンを必ずしも含む必要はない。
<基体>
図2(a)および図2(b)に係る導電性ローラ11において、基体12は、電子写真用部材などの導電性ローラ11の中実または中空の電極及び支持部材として機能する。基体12は、アルミニウム、銅などの金属または、ステンレス鋼などの合金;クロム、またはニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂などの導電性の材質で構成される。
<弾性層>
<図2(a)における弾性層>
図2(a)に係る構成を有する導電性ローラ11において、弾性層13は、導電性ローラと電子写真感光体(以下、感光体という)との当接部において、所定の幅のニップを形成するために必要な弾性を導電性ローラに与えるものである。上述の通り、導電性ローラを図2(a)に示す構成とする場合、弾性層13が最外層を構成し、この弾性層を、特定の構造を有する結合ポリロタキサンを含む導電性樹脂層とする必要がある。
また、弾性層13は、さらに、ゴム材料を含むことが好ましい。ゴム材料としては、例えば、以下のものが挙げられる。これらは、いずれか1種またはこれらから選択される少なくとも2種の組み合を用いることができる。
エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。
これらのゴム材料の中でも圧縮永久歪み、柔軟性の観点から特にシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体が挙げられる。
<図2(b)における弾性層>
図2(b)に係る導電性ローラ11において、弾性層13には、本発明に係る結合ポリロタキサンを含む必要はなく、上記したゴム材料を含有させればよい。
弾性層13の中には、導電性付与剤、非導電性充填剤、架橋剤、触媒などの各種添加剤が、これらを配合する目的を達成し、かつ本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合される。
導電性付与剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅などの導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの導電性金属酸化物の微粒子;第4級アンモニウム塩等のイオン導電性付与剤を用いることができる。このうち、カーボンブラックは比較的容易に入手でき、導電付与性と補強性の観点から特に好ましい。
非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛または炭酸カルシウムが挙げられる。
架橋剤としては、特に限定されるものはないが、例えば、テトラエトキシシラン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンまたはジクミルパーオキサイドが挙げられる。
<図2(b)における導電性樹脂層>
図2(b)に係る導電性ローラにおいて、導電性樹脂層14は、本発明に係る特定の構造を有する結合ポリロタキサンと、バインダー樹脂と、導電性付与剤とを含む。
バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものが挙げられ、これらの1種、あるいは2種以上の組み合わせを用いることができる。
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂。
これらの中でも、耐摩耗性、柔軟性の観点から、ウレタン樹脂が特に好ましい。
さらに、樹脂の配合剤として一般的に用いられている充填剤、導電性付与剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、発泡剤等を、これらを配合する目的を達成し、かつ本発明の効果が損なわれない程度に添加することができる。
導電性付与剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅などの導電性金属;酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの導電性金属酸化物の微粒子;第4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、イオン液体の如きイオン導電性付与剤を用いることができる。
中でも、カーボンブラックと、イオン導電性付与剤は、高温高湿環境下において、多量の印刷を繰り返した際の抵抗変動の抑制の観点で特に好ましい。
導電性微粒子であれば、表面層を形成する樹脂固形分100質量部に対し、10質量部以上30質量部以下であることが硬度と分散性、導電性の観点から好ましい。イオン導電性付与剤であれば、同樹脂固形分100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であると、ブリードアウトと導電性の観点から好ましい。
なお、導電性樹脂層14中に、先に述べた弾性層13と同様に、非導電性充填剤、架橋剤、触媒などの各種添加剤を、これらを配合する目的を達成し、かつ本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合することができる。これらの添加剤の具体例としては、先に弾性層13用として挙げたものも利用できる。これらの導電性樹脂層は、熱もしくは、電子線、紫外線等の光による重合反応により硬化させて形成する。
なお、上記添加剤のほかに、用いるモノマーにより選択されるが、例えば、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤、を配合しても良い。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ホウ酸塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
なおこれらの重合開始剤は単独でも複数種を混合して用いてもよい。光ラジカル重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下の範囲で使用することが好ましい。また、必要に応じて、n−ブチルアミンやトリエチルアミン等の光増感剤を添加しても良い。熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物を用いることができる。
<結合ポリロタキサン>
次に、本発明に係る電子写真用部材の表面層が含有する、特定の構造を有する結合ポリロタキサンについて、図1を用いて説明する。
ポリロタキサンは、環状分子の環の内部を、直鎖状分子が貫通してなる構造を有する化合物である。
図1において、直鎖状分子2−1は、環状分子1−1の環の内部を貫通しており、環状分子1−1は直鎖状分子2−1の上を移動可能である。また、直鎖状分子2−1の両端部にはブロック基3が存在し、環状分子1−1が直鎖状分子2−1から抜け出ることがない。
同様に、直鎖状分子2−2は、環状分子1−2の環の内部を貫通しており、環状分子1−2は直鎖状分子2−2の上を移動可能である。また、直鎖状分子2−2の両端部にはブロック基3が存在し、環状分子1−2が直鎖状分子2−2から抜け出ることがない。以降、直鎖状分子2−1および環状分子1−1を有するポリロタキサンを第1のポリロタキサン、直鎖状分子2−2および環状分子1−2を有するポリロタキサンを第2のポリロタキサンと称する。
そして、図1に示す、本発明の一態様に係る結合ポリロタキサンにおいて、直鎖状分子2−1が貫通してなる第1の環状分子1−1と、直鎖状分子2−2が貫通してなる第2の環状分子1−2とは、第1の環状分子および第2の環状分子の各々が有する水酸基に由来のする酸素原子同士が、下記構造式(1)で示される構造によって結合されている。
上記構造式(1)中、
Zは、連結基を表し、
記号「*」および「**」は各々、該第1の環状分子の水酸基に由来する酸素原子および該第2の環状分子の水酸基に由来する酸素原子との結合部位を表す。
およびRは各々独立に、下記構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造を表す。中でも、下記構造式(2)〜(4)の何れかで示される構造であること、更には、下記構造式(2)または構造式(3)で示される構造であることが好ましい。本発明に係る電子写真用部材に対して、多様な環境下に曝されたときの電気抵抗の安定性のより一層の向上が図られるためである。
上記構造式(2)中、Rは水素またはメチル基を示し、n1およびn2は各々独立に、1〜4の整数を表す。
上記構造式(3)中、mは、0または1を表す。
上記構造式(5)中、p1およびp2は各々独立に0または1を表す。
上記構造式(6)中、q1は、0または1を表す。
上記構造式(7)中、
は炭素数5〜47の炭化水素基、または、総炭素数5〜47の、ポリエーテル構造を有するアルキル基を表し、
は水素原子またはメチル基を表す。
なお、総炭素数が5以上、47以下の、ポリエーテル構造を有するアルキル基とは、例えば、下記構造式(7−1)で示される構造が挙げられる。
構造式(7−1)
−R41−(OR42)n4−OR43
上記構造式(7−1)中、R41およびR42は各々独立にアルキレン基を表し、R43はアルキル基を表す。また、n4は、0または1以上の整数を表す。そして、構造式(7−1)において、炭素数の合計が、5以上、47以下である。
このような構成を有するポリロタキサンは、架橋点や結合点が多数存在するゴムやエラストマー等と比較して柔軟性を有する。
また、導電性の表面層に、上記したような、特定の構造を有する結合ポリロタキサンを含有させることにより、高温高湿環境と常温常湿環境に繰り返しさらされても表面層の電気抵抗の変動が小さくなる。かかる効果を奏する理由について、本発明者らは以下のように推測している。
ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を貫通する直鎖状分子からなり、この直鎖状分子の両末端を、環状分子が脱離しないようにキャップした構造を持つ化合物である。なお、この直鎖状分子は、複数の環状分子を貫通している。このポリロタキサンは、高温高湿環境下において、一本の直鎖状分子で串刺し状にされた隣り合う環状分子同士の距離が近接し、環状分子中の水酸基同士の水素結合の如き相互作用により、環状分子同士が束縛され、環状分子の運動が制限される性質がある。このような場合になったとしても、温度を低下させると、これらの拘束が解かれ、隣り合う環状分子が再び自由に動ける状態に戻ることが知られている。また、第1のポリロタキサンの環状分子と第2のポリロタキサンの環状分子とが結合した結合ポリロタキサンにおいても、同様の傾向を示す。
環状分子同士の連結部分に、ウレタン結合のように、水素結合相互作用を示す結合を有する基や、ベンジル基の如き芳香族性を有する基が存在すると、異なる環状分子の置換基同士で相互作用を生じ、環状分子同士を束縛する。そのため、これらの置換基を有する環状分子を含むポリロタキサンでは、例え温度を低下させたとしても、環状分子の拘束は解けず、環状分子の運動は制限されたままとなる。ポリロタキサンの環状分子が拘束されると、電気抵抗が低下することについては、以下のように推測している。
第1のポリロタキサン及び第2のポリロタキサンの各々の環状分子が結合してなる結合ポリロタキサンにおいて、各々のポリロタキサンの直鎖状分子を包摂する環状分子同士に水素結合の如き相互作用が働いた場合、結合ポリロタキサン中の結合点が密に存在する部分と疎に存在する部分とが形成される。このとき、導電剤として導電性粒子を含む表面層においては、結合点の密度が疎な部分に導電性粒子が存在し易くなる結果、導電性粒子同士の距離が近くなり、表面層の電気抵抗が低下するものと考えられる。一方、導電剤としてイオン導電性付与剤を含む表面層においては、結合点が粗の部分をイオンが移動し易くなり、電気抵抗が低下するものと考えられる。
本開示に係る結合ポリロタキサンは、ポリロタキサンの環状分子が、構造式(1)で表される化学結合を介して結合しており、該構造式(1)中のR、Rが、構造式(2)〜(7)である。これらの結合は、分子鎖が自由に運動でき、芳香族性を持った分子同士によるπ―πスタッキングや、ウレタン結合のように架橋鎖間で水素結合を生成しないため、たとえ架橋鎖同士が接近したとしても、架橋鎖でつながっている環状分子を拘束する力は弱い。そのため、たとえ高温高湿環境下で環状分子が多少拘束されたとしても、その拘束力は非常に弱いものであると考えられる。その結果、高温高湿環境と、常温常湿環境とに繰り返しさらされても、架橋の粗密が生じ難く、電気抵抗の変動が小さく抑えられるものと考えられる。
さらに、結合ポリロタキサンの環状分子の水酸基を炭素数5以上の脂肪族炭化水素基(環状構造を有していても良い)で置換すると、抵抗変動をさらに小さくする点で好ましい。環状分子に大きな置換基が結合していると、高温高湿環境下において、ポリロタキサンの環状分子の運動性が向上したとしても、立体障害により環状分子同士が相互作用するほど近接することができない。その結果、架橋点の局在化が生じず、高温高湿度環境下でも抵抗が低下しにくくなり、繰り返し環境を変化させても抵抗の変動を抑制する効果をさらに高めているものと考えられる。
以下に本発明に係る結合ポリロタキサンの調製方法を示す。
<結合ポリロタキサンの調製>
結合ポリロタキサンの調製方法としては特に限定されるものではないが、例えば次のような工程を経て調製することができる。
1)環状分子と直鎖状分子とを混合して、環状分子の環の内部を直鎖状分子が貫通する擬ポリロタキサンを調製する工程
2)擬ポリロタキサンの環状分子が直鎖状分子から脱離しないように、直鎖状分子の両末端をブロック基で封鎖し、ポリロタキサンを調製する工程
3)少なくとも二分子のポリロタキサンの各々の環状分子同士を構造式(1)で表される化学結合を介して結合して、少なくとも二分子のポリロタキサンを結合する結合工程
さらに、以下の工程を行うことが好ましい。
4)環状分子の一部の水酸基を、炭素数5以上の直鎖または、分岐の炭化水素基または、脂肪族炭化水素基(脂肪族環状構造を有していても良い)で置換する工程
なお、上記1)の工程において、1つの直鎖状分子に貫通される環状分子は、少なくとも2つ以上である。1つの直鎖状分子に貫通される環状分子が最大限に貫通される数を基準として、1個数%以上50個数%以下の割合で貫通されていることが環状分子の自由度を確保する観点から好ましい。
上記3)の工程は、特に限定されないが、例えば、以下のような工程3−1)、3−2)によりポリロタキサン同士を架橋することができる。
・3−1)
ポリロタキサンの環状分子の水酸基を、片末端に、構造式(2)〜(7)の構造を形成させることができる反応基と、ビニル基やチオール基等の反応性基を他方の末端に有する化合物とを反応させ、
水酸基を構造式(2)〜(7)の構造で置換した後、該反応性基と反応可能な架橋剤とを反応させて調製する方法。
・3−2)
水酸基を有する環状分子を持ったポリロタキサンと、両末端に、例えばハロゲン原子を持つ架橋剤とを反応させて調製する方法。
なお、4)の工程は、1)の工程の前であっても、1)と2)の工程の間であっても、2)と3)の工程の間であっても、3)の工程の後であっても良い。特に反応の観点から、2)と3)の工程の間に4)の工程を行うことが好ましい。
また、3)の工程と、4)の工程で得られる架橋と、置換基は、未修飾の環状分子の水酸基が修飾され得る最大値を100%としたときに、20%以上80%以下であると、環状分子同士の自由度を阻害しないため好ましい。置換率が20%以上であれば、置換基の環状分子同士の接近を抑制する効果が得られ、逆に置換率が80%以下であれば、置換基同士の立体障害に起因する斥力が大きくなりすぎず、常温常湿時における環状分子の移動を制限したりしないものと考えている。
以下に本発明に係るポリロタキサンの調製に用いる材料を示す。
<ポリロタキサンの環状分子>
ポリロタキサンの環状分子は、水酸基を有し、実質的に環状であれば十分であり、滑車のように直鎖状分子鎖に沿って自由に移動する事ができれば、略「C」字状のように、必ずしも完全に閉じた環状である必要はない。環状分子として、具体的には、種種のシクロデキストリン類、例えば、α‐シクロデキストリン(α−CD)、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、及びこれらの誘導体や変性体、カルボキシベンゾクラウン等のベンゾクラウン誘導体や変性体などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていて良い。これらの環状分子のうち、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリンおよび、これらの誘導体や変性体が比較的入手が容易で、直鎖状分子を包摂する能力に優れるため好ましい。α‐シクロデキストリン及びこれらの誘導体や変性体が、反応性の観点から特に好ましい。
これらの環状分子は、その環の外側に水酸基を少なくとも1つ以上有しているものが好ましい。さらに、例えば、ビニル基やチオール基等の反応基を有していても良い。また、構造式(2)〜(7)に示される構造を有し、末端にビニル基やチオール基、イソシアネート基を有していても良い。ただし、以下に述べるブロック化反応の際にブロック基と反応しない基を用いるのが良い。
具体的には、例えば、α―シクロデキストリンの水酸基を変性した、アルケニル基変性シクロデキストリン、例えばビニル基で置換したシクロデキストリンや、アルキルチオール変性のシクロデキストリン、例えば、エチルスルファニル基で置換したシクロデキストリン、末端イソシアネート基変性のシクロデキストリン、例えば、イソシアン酸オクチルに置換したシクロデキストリン、が挙げられる。
さらに、他のポリロタキサンの環状分子との結合に関与していない水酸基が、アセチル基や、炭化水素基等の疎水性基で置換されていることが好ましい。
さらに、第1のポリロタキサンの第1の環状分子および第2のポリロタキサンの第2の環状分子の少なくとも一方の環状分子が有する水酸基の少なくとも一部は、下記構造式(8)で示される基で置換されていることが好ましい。
環状分子の水酸基を、下記構造式(8)に示す基で置換せしめることによって、環状分子同士が近付くことを有効に抑制し得る。その結果、本発明に係る電子写真用部材の電気抵抗の安定性をより一層改善することができる。
構造式(8)
−O−R
上記構造式(8)中、Rは、
炭素数が5〜6個の脂肪族炭化水素基、
総炭素数が5〜6個のアルコキシ置換アルキル基、または、
総炭素数が5〜6個のチオエーテル置換アルキル基を表す。
ここで、Rが、総炭素数が5〜6個のアルコキシ置換アルキル基が結合してなる上記構造式(8)の構造は、下記構造式(8−1)で示されるものである。
構造式(8−1)
−O−R61−O−R62
上記構造式(8−1)中、R61はアルキレン基を表し、R62はアルキル基を表す。そして、R61中の炭素原子数とR62中の炭素原子数の和は5または6である。また、Rが、総炭素数が5〜6個のチオエーテル置換アルキル基が結合してなる上記構造式(8)の構造は、下記構造式(8−2)で示されるものである。
構造式(8−2)
−O−R63−S−R64
上記構造式(8−2)中、R63はアルキレン基を表し、R64はアルキル基を表す。そして、R63中の炭素原子数とR64中の炭素原子数の和は5または6である。
ポリロタキサンの任意の環状分子の水酸基の一部が、上記構造式(8)で示される基によって置換されると、複数の水酸基の内の一部の水酸基が、
置換前は「−OH」であったが、置換後は「−OR」となるか、または
置換前は「−CHOH」であったが、置換後は「−CHOR」となる。
<ポリロタキサンの直鎖状分子>
ポリロタキサンの直鎖状分子鎖は、環状分子に包接され、共有結合を介さずに一体化することができる分子または物質であって、直鎖状であれば特に限定されない。
「直鎖」とは、実質的に「直鎖」であることを意味する。即ち、環状分子が直鎖状分子上で摺動または移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、環状分子が直鎖状分子上で摺動または移動可能であれば、屈曲していても螺旋状であっても構わない。また、「直鎖」の長さは、環状分子が直鎖状分子上で摺動または移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
直鎖状分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールなどのポリエーテル類や、ポリテトラヒドロフラン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等を挙げることができる。このうち、柔軟性の観点から、ポリエーテル類、ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
これらのポリロタキサンの直鎖状分子の両末端には、直鎖状分子から環状分子が脱離することを防止するブロック基が配置される。ここで、ブロック基は、環状分子が脱離しないストッパーの役割を有していれば良く、特に構造は限定されない。脱離を防止する方法としては、嵩高い基を用いて物理的に防止する方法と、イオン性を有する基を用いて電気的に防止する方法が挙げられる。これらの末端基として、具体的には、例えば、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、並びにこれらの誘導体または変性体を挙げることができる。
<結合剤>
結合剤は、環状分子の反応性基と反応可能な反応性基を末端に二つ以上有していれば良く、構造は特に限定されない。結合剤の反応性基以外の構造は、炭化水素鎖や、任意の樹脂構造をとることができる。樹脂構造の具体例としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらのうちのいずれか一種または複数の構造を有していても良い。結合剤の反応性基は、環状分子の反応性基により選択されるが、例えば、チオール基やビニル基、水酸基が挙げられる。
具体的には、以下のとおりである。
(メタ)アクリル酸系モノマーと、例えば、1,8オクタンジチオールのようなチオール基を少なくとも2つ以上有する過剰量の化合物とを、マイケル付加反応により反応させ、末端をチオール基に変性したプレポリマー、
イソシアネート基を複数有するプレポリマーと、例えば3ブテン−1オールや、5ヘキセン−1オールのような一方の末端に水酸基を有し、他方の末端にビニル基を有する化合物を反応させ、末端をビニル基変性させたウレタンプレポリマー、
イソシアネート基を複数有するプレポリマーと、例えば3ブチニルアミンや、5ヘキシルアミンのような一方の末端にアミノ基を有し、他方の末端にビニル基を有する化合物を反応させたプレポリマー。
イソシアネート基を複数有するプレポリマーの構造は特に規定されないが、ポリエーテル成分と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート成分を反応させたものであると、柔軟性と強度の観点から好ましい。
電子写真用部材の表面に凸部を形成する必要がある場合は、最外層を構成する導電性樹脂層に、表面粗さを制御するための微粒子を添加しても良い。表面粗さ制御用の微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmである微粒子が好ましい。また、最外層に添加する微粒子の添加量が、最外層のバインダー樹脂固形分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。粗さ制御用の微粒子の構成材料としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂を挙げることができる。異なる材質の微粒子を組み合わせて用いることもできる。
導電性樹脂層の形成方法としては特に限定されるものではないが、塗料を用いるスプレー法、浸漬法、またはロールコート法が挙げられる。中でも、特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、樹脂層を形成する方法として簡便で生産安定性に優れている。
本発明の電子写真用部材は、磁性一成分現像剤や非磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置及び接触型現像装置や、二成分現像剤を用いた現像装置等いずれにも適用することができる。
以下、本発明にかかる電子写真用部材を適用し得るプロセスカートリッジ及び電子写真装置について説明する。
プロセスカートリッジは、帯電部材、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材の少なくとも1つを有する。
図3は、プロセスカートリッジの一例を示す断面図である。図3に示したプロセスカートリッジ17は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。また、図3に示すプロセスカートリッジ17は、現像ローラ16、現像ブレード21、及び現像装置22、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、および、帯電ローラ24を有する。また、現像装置22は、トナー容器20を有し、トナー容器20中にはトナー15が充填されている。トナー容器20中のトナー15は、トナー供給ローラ19によって現像ローラ16の表面に供給され、現像ブレード21によって、現像ローラ16の表面に所定の厚みのトナー15の層が形成される。
図4は、電子写真装置の一例を示す断面図である。図4の電子写真装置には、現像ローラ16、トナー供給ローラ19、トナー容器20および現像ブレード21からなる現像装置22が脱着可能に装着されている。また、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電ローラ24を含むプロセスカートリッジ17が脱着可能に装着されている。
また、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電ローラ24は電子写真装置本体に配備されていてもよい。感光体18は矢印方向に回転し、感光体18を帯電処理するための帯電ローラ24によって一様に帯電され、感光体18に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光23により、その表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体18に対して接触配置される現像装置22によってトナー15を付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
この電子写真装置では、露光部にトナー像を形成する所謂反転現像を行っている。可視化された感光体18上のトナー像は、転写部材である転写ローラ29によって記録媒体である紙34に転写される。紙34は、給紙ローラ35および吸着ローラ36を経て装置内に給紙され、エンドレスベルト状の転写搬送ベルト32により感光体18と転写ローラ29の間に搬送される。転写搬送ベルト32は、従動ローラ33、駆動ローラ28、テンションローラ31により稼働している。転写ローラ29および吸着ローラ36には、バイアス電源30から電圧が印加されている。トナー像が転写された紙34は、定着装置27により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
一方、転写されずに感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体18び「表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ廃トナー収容容器25に収納され、クリーニングされた感光体18は上述作用を繰り返し行う。現像装置22は、一成分現像剤としてトナー15を収容したトナー容器20と、トナー容器20内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光体18と対向設置された現像剤担持体としての現像ローラ16とを備えている。この現像装置22は感光体18上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
上記のプロセスカートリッジ及び電子写真装置の現像ローラ、転写ローラ、帯電ローラなどの導電性ローラ、現像ブレード及びクリーニングブレードの少なくとも1種に、本発明にかかる電子写真用部材を用いることができる。プロセスカートリッジ及び電子写真装置における現像ローラには、使用環境が変化した場合においても均一で安定した導電性が特に求められ、本発明の電子写真用部材は、かかる現像ローラとして好ましく用いられる。
以下に本発明に係る具体的な実施例及び比較例について示す。
<未修飾ポリロタキサンの合成>
(擬ポリロタキサンの調製)
下記の化合物を、温度80℃の水40mLに加え、攪拌混合して溶解させた。
・α―シクロデキストリン(商品名、α-Cyclodextrin;東京化成工業(株)製)3.5g;
・両末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(商品名、Poly(ethylene glycol)bis(amine);Sigma―Aldrich社製、Mw=20000)14.0g。
得られた溶液を冷却し、温度5℃で16時間静置し、生成した白いペースト状の沈殿を分取し、凍結乾燥処理を行って、水分を除去し、擬ポリロタキサンを調製した。なお、混合時間と混合温度を変化させることで、1本の直鎖状分子を包摂する環状分子の量を調整することができる。
また、本明細書において、α−シクロデキストリンを、「α―CD」と記すことがある。また、ポリエチレングリコールを「PEG」と記すことがある。
(ポリロタキサン PR‐01 の調製)
上記で得られた擬ポリロタキサン 13.7gを、
・ジイソプロピルエチルアミン(東京化成工業(株)製) 2.6mL、
・アダマンタン酢酸(東京化成工業(株)製) 2.9g、
・1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(東京化成工業(株)製) 2.1g、および、
・ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)(和光純薬工業(株)製)6.2gを、
乾燥ジメチルホルムアミド(DMF) 102.2mLに溶解させた溶液、
と混合し、アルゴン封入下、温度5℃で24時間反応させた。
その後、混合物にメタノール75mLを加え、遠心分離を行った。さらに、メタノールとDMFを等量混合した溶媒とメタノール100mLで各2回ずつ洗浄、遠心分離操作後、真空乾燥した。得られた固体を、ジメチルスルホキシド(DMSO) 75mLに溶解し、水500mLに滴下して沈殿を生じさせ、遠心分離を実施し、上澄みを除去した。さらに、水200mL、メタノール200mLで洗浄、遠心分離後、真空乾燥し、両末端をアダマンタン基で封鎖したポリロタキサン(PR‐01)5.0gを得た。
得られたポリロタキサンPR−01について、NMR測定を実施し、α−CDの包括量を算出したところ、包接数は約61個であった。一方、計算により求めた、用いたPEGのα−CDの最大包接量は230個であったため、本実施例で用いたポリロタキサンのα−CDの量は、最大包接量の0.27であることが分かった。
<修飾ポリロタキサン PR‐02 の合成>
上記で得られたPR−01 1.0gを10mLの脱水DMSOに溶解し、ナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液)1.9g(ポリロタキサン中のα−CD分子の水酸基18等量に対して、12等量に相当)を加えた。メタノールを減圧除去しながら、懸濁液を6時間攪拌した。求電子剤として、ヨードヘキサン(E−1)1.8gを加え、24時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥し、α−CDのOH基の一部がO(CHCHに置換されたポリロタキサンPR−02を得た。収量は1.25gであった。PR−02のNMR測定を実施し、ヘキシル基の導入量を計算したところ、59%であった。
<修飾ポリロタキサン PR−03〜PR−09の合成>
表1に記載の合成に用いる求電子剤及び配合量を、表2に記載の通り変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−02の場合と同様にして、修飾ポリロタキサンPR−03〜PR−09を合成した。
<修飾ポリロタキサン PR−10の合成>
上記で合成したポリロタキサンPR−09 1gを、ベンゼン20mLに溶解させ、さらに、1−プロパンチオール(東京化成工業(株)製)0.6gを加えた溶液を、窒素雰囲気下、80℃で3時間攪拌して反応させた。得られた反応溶液をメタノールに滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を、さらに、水200mLで洗浄し、乾燥させて、ポリロタキサンPR−09のα−CDのアリル基の一部が、プロパンチオール基で置換されたポリロタキサンPR−10を得た。収量は0.94gであった。PR−09のアリル基を100%としたときのプロパンチオール導入量は13%であった。
<修飾ポリロタキサン PR−11の合成>
ポリロタキサンPR−01 1.0gを、塩化リチウムの濃度が8%のN,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに無水酢酸 6.5g、ピリジン 5.1g、N,N−ジメチルアミノピリジン99mgを加え、室温にて一晩攪拌して反応させた。得られた反応溶液を、エタノールに滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を真空乾燥にて乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離し、分離した固体をさらに、水200mLで2回、洗浄し、乾燥させた。こうして、ポリロタキサンPR−01のα−CDのOH基の一部がOCOCHに置換されたポリロタキサンPR−11を得た。収量は1.12gであった。ポリロタキサンPR−01の環状分子が有する全水酸基量を100%としたときの導入量は73%であった。
<修飾ポリロタキサン PR−12〜PR−14、PR−17、PR−24〜PR−32、PR−39〜42の合成>
合成に用いるポリロタキサンの種類と、表1に記載の求電子剤を、表3に記載の通りに変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−02と同様にして、修飾ポリロタキサンPR−12〜PR−14、PR−17、PR−24〜PR−32、PR−39〜42を合成した。なお、導入量は、修飾ポリロタキサン前駆体の環状分子が有する全水酸基量を100%として算出した。
<修飾ポリロタキサンPR−15の合成>
ポリロタキサンPR−06 1.0gを10mLの脱水DMSOに溶解し、ナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液)1.6g(ポリロタキサン中のα−CD分子の水酸基18等量に対して、12等量に相当)を加えた。メタノールを減圧除去しながら、懸濁液を6時間攪拌した。求電子剤として、3−ブテニルクロリド(E−6)1.0gを加え、24時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥した後、ベンゼン20mLに溶解させた。その後、1,4ブタンジチオール(東京化成工業(株)製)0.8gを加えた溶液を、窒素雰囲気下、70℃で3時間攪拌した。反応溶液をメタノールに滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を、さらに、水200mLで洗浄し、乾燥させて、ポリロタキサンPR−06の水酸基の一部が、ジメルカプトブチル基で置換されたポリロタキサンPR−15を得た。収量は1.01gであった。ポリロタキサンPR−06の水酸基を100%としたときのジメルカプトブチル基の導入量は23%であった。
<修飾ポリロタキサンPR−16の合成>
ポリロタキサンをPR−07 1.0g、求電子剤の添加量を3.0gに変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−15と同様にして修飾ポリロタキサンPR−16を合成した。なお、ジメルカプトブチル基の導入量は、31%であった。
<修飾ポリロタキサンPR−18の合成>
ポリロタキサンPR−02 1.0gを20mLの脱水ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、水素化ナトリウム0.34g(ポリロタキサン中のα−CD分子の水酸基18等量に対して、18等量に相当)を加えた。DMSOを減圧除去しながら、懸濁液を4時間攪拌した。求電子剤として1−ブロモ2‐プロパノール(E−7)を1.2g加え、12時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥し、ポリロタキサンPR−18前駆体を得た。その後、10mLの脱水DMSOに再度溶解し、水素化ナトリウム0.34gを加え懸濁液を4時間攪拌した。求電子剤として、塩化アリル(E−5)を0.7g加え、12時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。前駆体の精製方法と同様に、透析、乾燥を実施し、ポリロタキサンPR−02のα−シクロデキストリンのOH基の一部が、−OCHCH(CH)OCHCH=CHで置換された修飾ポリロタキサンPR−18を得た。収量は1.03g、導入量は14%であった。
<修飾ポリロタキサンPR−19〜PR−23の合成>
合成に用いるポリロタキサンの種類を表4に記載の通りに変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−18と同様にして、修飾ポリロタキサンPR−19〜PR−23を合成した。修飾ポリロタキサンPR−21は、求電子剤1を添加した後の攪拌時間を36時間に、求電子剤2を添加した後の攪拌時間を24時間に変更した。なお、導入量は、修飾ポリロタキサン前駆体の環状分子が有する全水酸基量を100%として算出した。
<修飾ポリロタキサンPR−33の合成>
修飾ポリロタキサンPR−06 1.0gと、ε‐カプロラクトン(キシダ化学社製)4.3g中に80℃に加熱しながら溶解させた。この混合液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキサン酸錫(II)の50wt%キシレン溶液を0.03g加え、130℃で6時間攪拌した。その後、反応溶液を、エタノールに滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を真空乾燥にて乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離し、分離した固体をさらに、水200mLで2回、洗浄し、乾燥させて、10mLの脱水DMSOに溶解し、ナトリウムメトキシド(25%メタノール溶液)0.8gを加えた。メタノールを減圧除去しながら、懸濁液を6時間攪拌した。求電子剤として、3−ブテニルクロリド(E−6)0.5gを加え、24時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥した。こうして、修飾ポリロタキサンPR−06のα−CDのOH基の一部が、−OCO(CHCOCHCH=CHで置換されたポリロタキサンPR−33を得た。収量は1.02gであった。修飾ポリロタキサンPR−06の環状分子が持つ全水酸基量を100%としたとき、導入量は13%であった。
<修飾ポリロタキサンPR−34,PR−35の合成>
合成に用いるポリロタキサンの種類を表5に記載の通りに変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−33と同様にして、修飾ポリロタキサンPR−34、PR−35を合成した。
<修飾ポリロタキサンPR−36の合成>
修飾ポリロタキサンPR−12 1gを脱水DMSO 30mLに溶解させた。この溶液に、ヨウ化カリウム1.0gを加え、80℃で3時間加熱攪拌を行った。その後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥し、PR−36前駆体を得た。ペンテン酸(E−10)6.5gと、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLを攪拌混合させた溶液中に、ポリロタキサンPR−36前駆体を加え、12時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。前駆体の精製方法と同様に、透析、乾燥を実施し、ポリロタキサンPR−12のα−シクロデキストリンに結合しているアリル基の一部が、−OCH(CH)OCOCHCH=CHで置換された修飾ポリロタキサンPR−36を得た。収量は0.97g、導入量は11%であった。なお、導入量は、PR−12の全アリル基量を100%として、算出した。
<修飾ポリロタキサンPR−37の合成>
ポリロタキサンPR−05 1gを、塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに求電子剤として塩化アリル(E−5) 5.5g、ピリジン 5.1g、N,N−ジメチルアミノピリジン99mgを加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液を、エタノールに滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を真空乾燥にて乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に滴下し、析出した固体を遠心分離にて分離し、分離した固体をさらに、水200mLで2回、洗浄、遠心分離、乾燥させることで、α−CDのOH基の一部が、−OCHCH=CHで置換されたポリロタキサンPR−37前駆体を得た。この時の導入率は15%であった。その後、脱水DMSO 30mLに溶解させ、ヨウ化カリウム1.0gを加えて、80℃で3時間加熱攪拌を行い、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。希釈した溶液を透析チューブ(分画分子量10000)にて48時間、水道水の流水下で透析した。さらに500mLの精製水中で、4時間の透析を2回行った後、凍結乾燥した。ペンテン酸(E−10)6.5gと、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLを攪拌混合させた溶液中に、得られた固体を加え、12時間攪拌後、反応溶液を精製水で100mLに希釈した。前駆体の精製方法と同様に、透析、乾燥を実施し、ポリロタキサンPR−05のα−シクロデキストリンに結合しているアリル基の一部が、−OCHCH(CH)OCOCHCHCH=CHで置換された修飾ポリロタキサンPR−37を得た。収量は0.97g、導入量は11%であった。なお、導入量は、PR−37前駆体の全アリル基量を100%として、算出した。
<修飾ポリロタキサンPR−38の合成>
合成に用いるポリロタキサンの種類を表6に記載の通りに変更した以外は、修飾ポリロタキサンPR−37と同様にして、修飾ポリロタキサンPR−38を合成した。なお、導入量は、ポリロタキサンPR−38前駆体の全アリル量100%として、算出した。
(基体12の調製)
ステンレス鋼(SUS304)製の直径6mmの芯金にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布し、温度180℃に加熱したオーブンで20分間焼きつけを行い、軸心としての基体12を得た。
(弾性ローラD−1の調製)
表7に示す液状シリコーンゴム材料とカーボンブラックを混合し、液状シリコーンゴム材料中にカーボンブラックを分散させて弾性層形成用の液状材料を調製した。先に用意した基体12を金型に配置し、金型内に形成されたキャビティにこの液状材料を充填し、温度140℃に加熱したオーブンで20分間加熱して硬化させた。金型を冷却後、シリコーンゴム層が形成された軸芯体を金型から取り出し、温度190℃に加熱したオーブンで3時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体12の外周にシリコーンゴム弾性層が形成された直径12mmの弾性ローラD−1を作製した。
(弾性ローラD−2の調製)
表8に示す材料を加圧式ニーダーで混合し、A練りゴム組成物1を得た。
さらに、該A練りゴム組成物1の77質量部と、表9の材料をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物1を得た。
未加硫ゴム組成物1をクロスヘッド押出機により、基体12上に未加硫ゴム弾性層2を設け、温度160℃に加熱したオーブンで70分間加熱して未加硫ゴム弾性層2の硬化反応を完了させた。その後、弾性層の表面を回転砥石で研磨した。これによって中央部直径が8.5mm、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mmの弾性ローラD−2を得た。
(表面層層形成用塗料T−1の調製)
以下に、本願発明の電子写真用部材の製造法について説明する。
導電性樹脂層14を形成するための材料として、以下の各成分を攪拌混合して混合物を調製した。
・修飾ポリロタキサン PR−12: 100質量部;
・ジチオール(商品名:カレンズMT BD1;昭和電工(株)製):19.7質量部
・両末端アクリレート (商品名:A−BPP−3;新中村化学工業(株)製)33.7質量部;
・ラジカル型光重合開始剤(商品名:IRGACURE184;BASF社製):5.1質量部;
・カーボンブラック(商品名:MA230;三菱化学(株)製):23.2質量部;
・ウレタン樹脂微粒子(商品名:アートパールC−800;根上工業(株)製):10.0質量部。
次に、得られた混合物に対して、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加えた後、サンドミルにて混合し、メチルエチルケトンをさらに適量添加して混合物の粘度を10〜12cpsに調整して表面層形成用塗料T−1を得た。
(表面層形成用塗料T−2〜T−52の調製)
修飾ポリロタキサン、表10に記載の架橋剤、表11に記載の重合開始剤、表12に記載の導電性付与剤、およびウレタン樹脂粒子の配合量を、表13A〜表13Dに記載の通りに変更した。これらの変更以外は、表面層形成用塗料T−1と同様にして、表面層形成用塗料T−2〜T−52を調製した。
<実施例1>
先に作製した弾性ローラD−1を、表面層形成用塗料T−1に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製)を用いて、ローラを回転させながら、距離10cm、照度800mW、照射時間60秒間の条件で紫外線を照射することで、厚さ15μmの表面層を設け、実施例1に係る導電性ローラを作製した。こうして得られた実施例1に係る導電性ローラについて、以下の項目について評価を行った。なお、以下の評価において、常温常湿環境(N/N環境)として温度23.0℃相対湿度50%の環境を用い、高温高湿度環境(H/H環境)として、温度32.5℃、相対湿度85%の環境を用いた。
・導電性ローラとしての評価
<電気抵抗値評価>
電気抵抗値の測定は、N/N環境、H/H環境中に6時間以上導電性ローラを静置し、下記手順に従って、測定を行った。
(初期電気抵抗値の測定)
図5に、本発明に係る電気抵抗値変動評価冶具の概略構成図を示す。
図5(a)において、導電性の軸受け38を介して導電性の軸芯体52の両端を、各々4.9Nの荷重で押しながら直径30mmの円柱形金属37を回転させ、導電性ローラ51を60rpmの速度で従動回転させる。
次に、図5(b)に示すように、高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗(導電性ローラの電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(FLUKE社製 189TRUE RMS MULTIMETER)を用いた。測定した電位差と抵抗器の電気抵抗から、導電性ローラ51を介して円柱形金属に流れた電流を計算により求める。印加電圧50Vを、得られた電流で割ることにより導電性ローラ51の電気抵抗値を求めた。
ここで、該電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値を初期電気抵抗値とした。
(環境変動サイクル後の電気抵抗値の測定)
導電性ローラをN/N環境中に8時間静置した後、H/H環境中に8時間静置することを1サイクルとし、このサイクルを10回実施した後、初期電気抵抗値評価と同じ測定方法で環境変動後ローラの抵抗値を求めた。
<ローラの摩擦帯電量>
ローラ摩擦帯電量の測定は、H/H環境中に6時間以上導電性ローラを静置してから、下記手順に従って行った。
図6に示した測定部を、カスケード式表面帯電量測定装置TS−100AT(商品名、京セラケミカル(株)製)に接続して測定に使用した。図6のように絶縁支持棒48に導電性ローラ42を設置し、キャリア43を粉体投入口41に投入して10秒間落下させてキャリア43に接触帯電を生じさせた。キャリアは、標準キャリアN−01(日本画像学会)を使用した。絶縁板45上に設置された受け皿44内に落下したキャリア43の総帯電量を、コンデンサ46と並列に接続された電位計47で測定し、帯電量Q〔μC〕とした。さらに、受け皿44内に落下したキャリアの質量(g)を測定し、これらの値から、単位質量あたりの帯電量Q/M(μC/g)を初期摩擦帯電量とした。なお、本測定での導電ローラによって得られる摩擦帯電量を、初期摩擦帯電量1とした。
(環境変動サイクル後ローラの摩擦帯電量)
初期ローラ摩擦帯電量1の測定後、同じローラに環境変動サイクル後の電気抵抗の測定と同様に、環境変動サイクルを実施した。その後、初期ローラ摩擦帯電量1の測定と同様にして、環境変動後の摩擦帯電量1を測定した。
・現像ローラとしての評価
<かぶり画像評価>
評価対象としての導電性ローラを、図4に示す構成を有するレーザープリンター(商品名、LBP7700C;キヤノン(株)製)に現像ローラとして装填してかぶりの評価を行った。先ず、評価対象の現像ローラを装填したレーザープリンターをH/H環境中に設置後6時間以上静置した。次いで、黒色で、印字率1%の画像を所定枚数のコピー用紙に対して、100枚ごとに10分の休止時間を設けながら、間欠出力した後に、新しいコピー用紙に白ベタ画像を出力し、白ベタ画像の出力中にプリンターを停止した。この時、感光体上に付着した現像剤をテープ(商品名、CT18;ニチバン(株)製)ではがし取り、反射濃度計(商品名、TC−6DS/A;(有)東京電色製)にて反射率を測定した。テープの反射率を基準としたときの反射率の低下量(%)を測定し、これをかぶり値とした。
印字率1%の画像を100枚出力した後に測定したかぶり値を初期かぶり値、印字率1%の画像を10000枚出力した後に測定したものを耐久後かぶり値とした。
<現像剤の摩擦帯電量>
現像剤に対する現像ローラの帯電付与性を評価するために、摩擦帯電量を測定した。
上記かぶり画像評価の際に、現像ローラの、現像ブレードと、感光体当接位置とに挟まれた部分のうち範囲が狭い部分に担持された現像剤を、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際、金属円筒管を通じてコンデンサに蓄えられた電荷量(測定機 商品名、8252;(株)エーディーシー製)と、吸引された現像剤の質量とを測定した。これらの値から、単位質量あたりの電荷量(μC/g)を算出した。負帯電性の現像剤を用いる場合、単位質量あたりの電荷量の符号が負であり、絶対値が大きいほど、現像ローラの帯電付与性が高いと言える。本測定において測定された値を摩擦帯電量2とし、かぶり値の評価と同様に、100枚出力後に測定した値を初期摩擦帯電量2とし、10000枚出力後に測定した値を耐久後摩擦帯電量2とした。
(実施例2〜3、6〜10、15、17、19、21、24、26、28、29)
表面層形成用塗料を表14に記載の通り変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3、6〜10、15、17、19、21、24、26、28、29の導電性ローラを作製した。
(実施例4)
先に作製した弾性ローラD−1を、表面層形成用塗料T−4に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、温度150℃にて1時間加熱処理することで、厚さ約20μmの表面層を設け、実施例4に係る導電性ローラを作製した。
(実施例5、11〜13、18、20)
表面層形成用塗料を表14に記載の通り変更した以外は実施例4と同様にして、実施例5、11〜13、18、20の導電性ローラを作製した。
(実施例14)
表面層形成用塗料T−14を使用し、UVランプの照射時間を90秒に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例14に係る導電性ローラを作製した。
(実施例16、22、23、25、27、30〜32)
表面層形成用塗料を表14に記載の通り変更した以外は実施例14と同様にして、実施例16、22、23、25、27、30〜32の導電性ローラを作製した。
(比較例1)
先に作製した弾性ローラD−1を、表面層形成用塗料T−33に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、温度130℃に1.5時間加熱処理することで、厚さ約15μmの表面層を設け、比較例1に係る導電性ローラを作製した。
(比較例2、5、6)
表面層形成用塗料を表14に記載の通り変更した以外は比較例1と同様にして、比較例2、5、6に係る導電性ローラを作製した。
(比較例3)
先に作製した弾性ローラD−1を、表面層形成用塗料T−35に浸漬して、弾性ローラD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、2時間室温で反応させた。さらに、温度80℃にて1時間加熱処理することで、厚さ約15μmの表面層を設け、比較例3に係る導電性ローラを作製した。
(比較例4)
表面層形成用塗料を表14に記載の通り変更した以外は比較例3と同様にして、比較例4に係る導電性ローラを作製した。
上記実施例2〜30および比較例1〜6に係る導電性ローラについて、実施例1と同様にして評価した。導電性ローラとしての評価の結果を表15、現像ローラとしての評価の結果を表17に示す。なお、表15及び表17における電気抵抗の表記に関して、例えば、「1.25*10^8」は、「1.25×10」を意味する。
表16に、実施例1〜49及び比較例1〜6における、第1のポリロタキサンの環状分子と第2のポリロタキサンの環状分子との間の化学結合の構造等を示す。
なお、表16Aおよび表16Bにおいて「R6主鎖の置換基」が「シクロヘキシル基」であるとは、前記構造式(8)において「R6」が「シクロヘキシル基」であることを意味する。
また、表16Aおよび表16Bにおいて「R6に含まれる結合」が「エーテル結合」であるとは、前記構造式(8)に係る構造として、前記構造式(8−1)に係る構造を有することを意味する。また、「R6に含まれる結合」が「スルフィド結合」であるとは、前記構造式(8)に係る構造として、前記構造式(8−2)に係る構造を有することを意味する。
各実施例の導電性ローラとしての評価において、N/N環境下での初期の電気抵抗とH/H環境下での初期の電気抵抗との間での変動が小さく、また、初期の電気抵抗と環境変動サイクル後の電気抵抗との間での変動も小さかった。また、初期の摩擦帯電量に対する環境変動サイクル後の摩擦帯電量の変化率、すなわち、初期の摩擦帯電量と環境変動サイクル後の摩擦帯電量の差の絶対値を初期の摩擦帯電量で除した値、も小さい。
特に、実施例1〜5、7〜11、13〜15,17,18,20,21,24,26,28,29においては、N/N環境下での初期の電気抵抗とH/H環境下での初期の電気抵抗との間での変動、および、初期の電気抵抗と環境変動サイクル後の電気抵抗との間での変動が、特に小さく抑えられている。また、初期の摩擦帯電量に対する環境変動サイクル後の摩擦帯電量の変化率も特に小さく抑えられている。
実施例1〜5、7〜11、13〜15,17,18,20,21,24,26,28,29においては、環状分子の水酸基の一部が構造式(8)で示される基で置換されているためと考えられる。
さらに、実施例1〜5、7〜11、13〜15、17に係る結合ポリロタキサンは、構造式(2)〜(4)で示される構造を含む結合を有しており、より抵抗の安定性と、摩擦帯電量の安定性に優れる。
中でも、置換基が、ポリロタキサンの環状分子の全水酸基のうち、20〜80%が構造式(1)または構造式(8)で置換されている、実施例1、4、5、7〜9、11、13〜15,17は、環境変動サイクル後でも抵抗の変動がさらに抑えられている。また、耐久前後の摩擦帯電量の差も、0.2以下と安定性に特に優れる。
それに対し、構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造を含む結合を有する結合ポリロタキサンを含有しない比較例1〜6に係るポリロタキサンにおいては、環境変動サイクル後の抵抗変動が大きいため、ローラ抵抗が低く、さらに、環境変動後の摩擦帯電量1も低い。
比較例1、3では、結合ポリロタキサンのα−CDの水酸基とイソシアネート基が結合し、ウレタン結合を生成しているため、ウレタン結合同士の水素結合力により、ポリロタキサン中のα−CDが拘束されている。このため、環境変動サイクル後に抵抗が低下したものと考えられる。
比較例2では、芳香族性を持つシアヌル基で結合しているため、π−πスタッキング効果により、α−CDが拘束され、環境変動サイクル後に抵抗が低下したものと考えられる。
各実施例の現像ローラとしての評価において、実施例1〜30におけるポリロタキサンは、構造式(2)〜(7)の構造を有しているため、耐久後の摩擦帯電量1の値が大きい。さらに、H/H環境下のかぶりが5%未満である。
特に、実施例1〜5、7〜11、13〜15,17,18,20,21,24,26,28,29は、耐久後でも、H/H環境下かぶりが3%未満と、良好な結果を示している。
さらに、実施例1〜5、7〜11、13〜15、17は、構造式(2)〜(4)の構造を有しており、より耐久後の摩擦帯電量が高く、H/H環境下かぶりが2.5%未満である。
さらに、実施例1、4、5、7〜9、11、13〜15,17は、耐久前後の摩擦帯電量の差も、2以下と安定性に特に優れ、H/H環境下かぶりの値も2.0%未満と特に優れる。
それに対し、構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造からなるポリロタキサンを含有しない比較例1〜6においては、初期摩擦帯電量は良好であるが、耐久後の摩擦帯電量が低く、かぶりも耐久により悪化した。
<帯電ローラとしての評価>
(実施例33)
先に作製した弾性ローラD−2を、表面層形成用塗料T−39に浸漬して、弾性ローラD−2の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。以下、実施例1と同様にして実施例33に係る導電性ローラを作製した。
<ローラ抵抗値評価>
実施例1に係る導電ローラの代わりに、実施例33に係る帯電ローラを用い、印加する電圧を200Vに変更した以外は実施例1に記載の[ローラ抵抗値評価]と同様にして初期ローラ抵抗値を測定した。なお、帯電ローラもN/N、H/H環境下に6時間以上静置したものを用いて測定した。
(環境変動サイクル後ローラ抵抗の測定)
実施例1に記載の(環境変動サイクル後ローラ抵抗の測定)と同様にして、環境変動サイクル後のローラ抵抗を測定した。
(H/H環境での横スジ画像評価)
帯電ローラの抵抗が低下し、ベタ白画像に細かいスジ状の画像が印字されるがある。これを横スジ画像と呼ぶ。この横スジ画像はローラ抵抗が低下するほど悪化する傾向にあり、長期利用に伴い目立つ傾向がある。そこで、本発明の電子写真用部材を帯電ローラとして組込み以下の評価を行った。
電子写真式のレーザープリンター(商品名:HP Color Laserjet Enterprise CP4515dn HP社製)に実施例33で得られた導電性ローラを帯電ローラとして装填した。この帯電ローラを装填したレーザープリンターを、H/H中に設置後2時間静置した。次いで黒色印字濃度4%画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅2ドット、間隔50ドットの横線を描く画像)を連続画像出力する耐久試験を行った。なお、現像ローラの評価と同じく、100枚描画毎に10分間の休止時間を設けた。また、100枚、10000枚の画像出力後に画像チェックのためにベタ白画像を出力した。得られた画像を目視にて観察し、横スジを以下の基準により評価した。また、それぞれ100枚出力後を初期、10000枚出力後を耐久後とした。
・A:横スジが全く発生しないレベル
・B:横スジが画像端部のみに軽微に発生するレベル
・C:横スジが画像のほぼ半分の領域に発生し、目立つレベル
(実施例34〜40)
表面層形成用塗料を表18に記載の通り変更した以外は実施例33と同様にして、実施例33〜40の導電性ローラを作製した。なお、実施例34、35は、実施例3と同様にして硬化させた。
(比較例7〜9)
表面層形成用塗料を表18に記載の通り変更した以外は実施例33と同様にして、比較例7〜9に係る導電性ローラを作製した。なお、比較例7,9の硬化方法は、比較例1と同様に、比較例8の硬化方法は比較例2と同様にして行った。
上記実施例33〜40、および比較例7〜9に係る導電性ローラについて、実施例33と同様にして評価した。結果を表19に示す。
各実施例において良好な画像品質が得られた。実施例33〜40では、表面層に、構造式(2)〜(5)の構造を有しているため、環境変動サイクル後の抵抗の低下が少なく、H/H環境下でも画像品質は良好である。
中でも、実施例33〜39は、構造式(2)〜(4)の構造を有し、さらに、環状分子の水酸基の一部が構造式(8)で置換されているため、環境変動サイクル後のローラ抵抗が高く、耐久後の横スジの発生が認められなかった。
また、実施例33〜37は、環境変動後のローラ抵抗の変動がより低く抑えられていた。
それに対し、構造式(2)〜(4)のいずれかで示される構造を有するポリロタキサンを含有しない比較例7〜9では、高温高湿度環境下において、横スジの発生が認められた。これは、高温高湿度環境下において、抵抗が低下し、感光体との間でリークが発生し、静電潜像に乱れが生じたため、横スジが発生したものと思われる。
<現像ブレードとしての評価>
(実施例41)
支持基材として、厚さ0.08mmのSUSシート(日新製鋼社製)を、長さ200mm、幅23mmの寸法にプレス切断した。次に切断したSUSシートの長手側端部から1.5mmを、実施例34の表面層形成用塗料に浸漬して、当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに、高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製)を用いて、距離10cm、照度800mW、照射時間40秒間の条件で紫外線を照射することでSUSシートの長手側端部表面に膜厚約15μmの樹脂層を設け、実施例41に係る現像ブレードを作製した。
<ブレード抵抗の測定>
ブレード抵抗の測定は図5に示すローラ抵抗値変動評価冶具を用いて、次のように行った。図5において、導電性の軸受け38を介してブレード両端の、樹脂層を形成していない支持基材部分を、各々4.9Nの荷重で押しながら、直径40mmの円柱形金属37を回転させずに、ブレードを固定する。次に高圧電源39によって電圧50Vを印加し、円柱形金属37とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗(ブレードの電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低いもの)を有する抵抗器の両端の電位差を計測した。当該電位差の計測には、電圧計40(FLUKE社製 189TRUE RMS MULTIMETER)を用いた。測定した電位差と抵抗器の電気抵抗から、導電性ブレードを介して円柱形金属に流れた電流を計算により求める。印加電圧50Vを得られた電流で割ることにより導電性ブレードの電気抵抗値を求めた。
ここで、該電位差の計測は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値を初期ブレード抵抗値とした。
なお、現像ブレードもN/N、H/H環境下に6時間以上静置したものを用いて測定した。
(環境変動サイクル後ブレード抵抗の測定)
実施例1に記載の(環境変動サイクル後ローラ抵抗の測定)と同様に環境変動サイクルを実施した。その後、ブレード抵抗の測定と同様にして、環境変動サイクル後のブレード抵抗の測定を実施した。
<かぶり画像評価>
本発明に係る現像ローラに変更せず(つまり、従来の現像ローラを使用。)、従来の現像ブレードに代えて本実施例に係る現像ブレードを装填した以外は、実施例1に記載の<かぶり画像評価>と同様にして、かぶり画像評価を実施した。
(実施例42〜47)
表面層形成用塗料を表20に記載の通り変更した以外は実施例41と同様にして、実施例42〜49の現像ブレードを作製した。なお、実施例42、43は、実施例3と同様にして硬化させた。
(比較例10〜12)
表面層形成用塗料を表20に記載の通り変更した以外は実施例41と同様にして、比較例10〜12に係る現像ブレードを作製した。なお、比較例10における硬化方法は比較例1と同様にして行った。比較例12における硬化方法は、比較例3と同様にして行った。また、比較例11における硬化方法は比較例2と同様にして行った。
上記実施例41〜49および比較例10〜12に係る現像ブレードについて、実施例39と同様にして評価した。その結果を表21に示す。
実施例41〜49は、表面層に、構造式(2)〜(4)の構造を有しているため、初期と、環境変動サイクル後のブレード抵抗の変動が少なく、さらに、耐久後のH/H環境下かぶりが5%未満である。
中でも、実施例41〜44,46〜48における現像ブレードは、構造式(2)〜(4)の構造を有するポリロタキサンを含むため、環境変動サイクル後でもブレードの抵抗が高く保たれている。
さらに、実施例41〜44,46〜48における現像ブレードは、耐久後のH/H環境下かぶりが3%未満と、良好な結果を示している。
さらに、実施例41〜44、46、47は耐久後のH/H環境下かぶりが2.0%未満と、耐久後でもかぶりに特に優れる。
それに対し、構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造を有するポリロタキサンを含有しない比較例10〜12では、環境変動サイクル前後のブレード抵抗の変動が大きい。また、環境変動サイクル後のブレード抵抗が低いため、H/H環境下かぶりが耐久により悪化した。ブレードの抵抗が耐久により低下したことで、現像ローラと同様に、帯電付与性が低くなり、トナーを所定の帯電量に帯電することができなかったために生じたものと考えられる。
11:導電性ローラ
12:基体
13:弾性層
14:導電性樹脂層

Claims (7)

  1. 導電性の基体と、導電性の表面層とを有する電子写真用部材であって、
    該表面層が、導電性付与剤と第1のポリロタキサンと第2のポリロタキサンとが結合してなる結合ポリロタキサンを含み、
    該第1のポリロタキサンは、
    第1の環状分子の環の内部を第1の直鎖状分子が貫通し、
    該第1の直鎖状分子は2つのブロック基を有し、該ブロック基は該第1の直鎖状分子の両末端に配置され、該第1の直鎖状分子から該第1の環状分子が脱離できない構造を有し、
    該第2のポリロタキサンは、
    第2の環状分子の環の内部を第2の直鎖状分子が貫通し、
    該第2の直鎖状分子は2つのブロック基を有し、該ブロック基は該第2の直鎖状分子の両末端に配置され、該第2の直鎖状分子から該第2の環状分子が脱離できない構造を有し、
    該第1の環状分子及び該第2の環状分子は共に少なくとも1つの水酸基を有し、
    該第1のポリロタキサンと該第2のポリロタキサンとは、該第1の環状分子が有する水酸基に由来する酸素原子と、該第2の環状分子が有する水酸基に由来する酸素原子とが、下記構造式(1)で表される構造によって結合されていることを特徴とする電子写真用部材:
    上記構造式(1)中、
    Zは、連結基を表し、
    記号「*」および「**」は各々、該第1の環状分子の水酸基に由来する酸素原子および該第2の環状分子の水酸基に由来する酸素原子との結合部位を表す。
    およびRは各々独立に、下記構造式(2)〜(7)のいずれかで示される構造を表す。
    上記構造式(2)中、Rは水素またはメチル基を示し、n1およびn2は各々独立に、1〜4の整数を表す。
    上記構造式(3)中、mは、0または1を表す。
    上記構造式(5)中、p1およびp2は各々独立に0または1を表す。
    上記構造式(6)中、q1は、0または1を表す。
    上記構造式(7)中、
    は炭素数5〜47の炭化水素基、または、総炭素数5〜47の、ポリエーテル構造を有するアルキル基を表し、
    は水素原子またはメチル基を表す。
  2. 前記環状分子の水酸基の一部が下記構造式(8)で示される基で置換されている請求項1に記載の電子写真用部材:
    構造式(8)
    −O−R
    構造式(8)中、Rは、炭素数が5〜6個の脂肪族炭化水素基、総炭素数が5〜6個のアルコキシ置換アルキル基、または、総炭素数が5〜6個のチオエーテル置換アルキル基を表す。
  3. 前記RおよびRが各々独立に、前記構造式(2)または前記構造式(3)で示される基のいずれかである請求項1または2に記載の電子写真用部材
  4. 前記環状分子の全水酸基のうち、20〜80%が前記構造式(1)または前記構造式(8)で示される基で置換されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用部材。
  5. 前記導電性付与剤が、カーボンブラックまたはイオン導電性付与剤のうち少なくとも一方である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用部材。
  6. 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 電子写真感光体と、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用部材とを有することを特徴とする電子写真装置。

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