JP6679496B2 - ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)およびその製造方法、並びに当該PVA系重合体フィルムから製造した偏光フィルム等の光学フィルムに関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶などとともに液晶表示装置(LCD)の重要な構成要素である。この液晶表示装置の適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広い範囲に拡がっており、特に液晶モニターや液晶テレビなどでは大画面化が進んでいる。
偏光板は、一般に、PVA系重合体フィルムを一軸延伸した後にヨウ素や二色性染料を用いて染色処理する方法、PVA系重合体フィルムを染色して一軸延伸した後にホウ素化合物で固定処理を行う方法、前記いずれかの方法において染色と同時に固定処理を行う方法などによって偏光フィルムを製造し、それにより得られた偏光フィルムの片面または両面に三酢酸セルロースフィルムや酢酸・酪酸セルロースフィルムなどの保護膜を貼り合わせて製造される。
近年、液晶表示装置の用途の拡大などに伴って、表示品質の高級化に加えて、一層のコストダウンや、取り扱い性の更なる向上が求められている。コストダウンの面からは、偏光フィルムを製造する際の生産スピードを向上させること、PVA系重合体フィルムを延伸する際の延伸切れ(破断)を防いで破断ロスを低減して歩留まりを向上させると共にフィルムの破断に伴う延伸作業や延伸・染色作業の中断を防ぐことなどが必要である。
また、偏光フィルムを製造する際の生産性の向上の1つとして、偏光フィルムを製造する際の乾燥時間の短縮化が求められており、かかる点から、偏光フィルム製造用の原反フィルムとして、従来は厚みが75μm程度のPVA系重合体フィルムが一般に用いられてきたが、近年、厚みが70μmよりも薄い、一層薄膜化したPVA系重合体フィルムが求められている。
しかしながら、PVA系重合体フィルムが薄くなるほど、高倍率で延伸したときに破断が生じ易いという問題があり、かかる点から、薄くても、破断を生ずることなく高倍率で延伸することができ、それによって従来品と同等以上の偏光性能を有する偏光フィルムを、良好な作業性で、高い歩留りで、低コストで、生産性よく製造することのできるPVA系重合体フィルムが求められている。
従来、PVA系重合体フィルムの延伸性の向上や延伸時の均一性の向上、PVA系重合体フィルムを延伸して得られる偏光フィルムにおける偏光性能や耐久性の向上などを目的として、PVA系重合体を含む原液を用いて乾燥しながら製膜するに当って、製膜ドロー(製膜に用いるロール間におけるPVA系重合体膜の搬送速度の比)の調整、製膜時のPVA系重合体膜の水分率の調整などが行われてきた。
そのような従来技術としては、例えば、ドラム製膜機を用いてPVA系重合体フィルムを製造する際に、[得られたPVA系重合体フィルムの巻き取り速度]/[製膜原料が供給される最上流に位置するドラムの速度]を、0.8〜1.3にする方法(特許文献1)などが知られている。
また、延伸する際に破断しにくく、従来品と同等以上の光学性能を有する偏光フィルムなどの延伸フィルムを、良好な作業性で、高い歩留まりで、低コストで、生産性よく製造することのできるPVA系重合体フィルムとして、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値(Δn(MD)Ave)およびPVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値(Δn(TD)Ave)が特定の関係を満たすPVA系重合体フィルムが知られている(特許文献2および3を参照)。
特開2001−315141号公報 国際公開第2012/132984号 国際公開第2013/137056号
ところで、近年、得られる偏光フィルムにおける偏光性能等の光学性能の向上などのため、偏光フィルムを製造する際の染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用されることがあり、また、本延伸と呼ばれるメインの延伸においても比較的高い温度が採用されることがある。しかしながら、特許文献1〜3に記載されたPVA系重合体フィルムでは、上記のような場合であっても高い限界延伸倍率を発現させるという点において、更なる改良の余地があった。また、特許文献1〜3に記載されたPVA系重合体フィルムでは、高い倍率まで延伸することで、フィルム幅が狭くなり、最終的に得られる偏光フィルム面積が小さくなってしまう課題があった。
本発明の目的は、染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合や比較的高い延伸温度が採用される場合であっても限界延伸倍率が高くて、破断を生ずることなく高倍率で延伸することができ、また、延伸時のフィルム幅の減少を抑えることで、偏光フィルムなどの延伸フィルムを、良好な作業性で、高い歩留りで、低コストで、生産性よく製造することのできるPVA系重合体フィルムを提供することである。また、本発明の目的は、前記した優れた特性を有するPVA系重合体フィルムを高い生産性で円滑に連続して製造することのできる方法を提供することである。更に、本発明の目的は、前記PVA系重合体フィルムから製造した偏光フィルム等の光学フィルムを提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向(長さ方向)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値、および、PVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値をそれぞれ特定の範囲にすると、染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合や比較的高い延伸温度が採用される場合であってもフィルムの限界延伸倍率が高くなって、高倍率で延伸してもフィルムの破断が生じにくく、また、延伸時のフィルム幅の減少を抑えて、偏光性能などの光学性能に優れる偏光フィルムなどの延伸フィルムを、延伸作業を中断することなく、高い歩留まりで、低コストで、生産性よく製造できることを見出した。
特に、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向(長さ方向)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値、および、PVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値がそれぞれ特定の範囲にある前記したPVA系重合体フィルムは、当該フィルムの厚みが、偏光フィルムの製造に従来一般に用いられてきたPVA系重合体フィルムの厚みよりも薄い、10〜65μm程度の厚みであっても、高い限界延伸倍率を有しているために、破断を生ずることなく、高倍率で円滑に一軸延伸することができ、それによって偏光フィルムの製造時の一層の薄膜化が可能で、偏光フィルムを製造する際の乾燥時間を一層短縮できることを見出した。
そして、本発明者らは、高い限界延伸倍率を有する前記したPVA系重合体フィルムは、PVA系重合体を含む製膜原液を複数の乾燥ロールを備える製膜装置の第1乾燥ロール上に吐出した後、当該複数の乾燥ロールで順次乾燥して製膜し、その際に、第1乾燥ロールの周速に対する最終乾燥ロールの周速の比を特定の範囲にし、且つ揮発分率が特定の値になったときのPVA系重合体膜の膜幅より計算される収縮率を特定の範囲にすることによって、高い生産性で円滑に連続して製造できることを見出した。
また、本発明者らは、上記の方法で限界延伸倍率の高いPVA系重合体フィルムを製造するに当っては、PVA系重合体膜の揮発分率が特定の範囲にあるときの各乾燥ロールの表面温度について、これらの平均値を特定の範囲にすることが好ましいこと、製膜原液の揮発分率が特定の範囲にあることが好ましいこと、および、第1乾燥ロールの周速を特定の範囲にすることが好ましいことを見出した。
本発明者らは、上記の知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]下記の式(I)および(II)を満足することを特徴とするPVA系重合体フィルム、
Δn(MD)Ave ≦ 1.3×10−3 (I)
Δn(TD)Ave ≦ 1.3×10−3 (II)
[上記式中、Δn(MD)Aveは、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示し、Δn(TD)Aveは、PVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示す。]
[2]厚みが10〜65μmの範囲内にある、前記[1]のPVA系重合体フィルム、
[3]光学フィルム製造用原反フィルムである、前記[1]または[2]のPVA系重合体フィルム、
[4]光学フィルムが偏光フィルムである、前記[3]のPVA系重合体フィルム、
[5]PVA系重合体フィルムの製造方法であって、
(a) 回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、当該製膜装置の第1乾燥ロール上にPVA系重合体を含む製膜原液を膜状に吐出して部分乾燥した後にそれに続く乾燥ロールで更に乾燥して製膜し;その際に、
(b) 第1乾燥ロールの周速(S)に対する最終乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)を0.955〜0.980にし;
(c) 揮発分率が20質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H20)および揮発分率が9質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H)より計算される収縮率((1−H/H20)×100)(%)を1%以上にする;ことを特徴とする製造方法、
[6]PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロールから、PVA系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの乾燥ロールまでの各乾燥ロールの表面温度について、これらの平均値を85℃以上にする、前記[5]の製造方法、
[7]製膜原液の揮発分率が60〜75質量%である、前記[5]または[6]の製造方法、
[8]第1乾燥ロールの周速(S)を8〜25m/分にする、前記[5]〜[7]のいずれか1つの製造方法、
[9]前記[3]のPVA系重合体フィルムから製造した光学フィルム、
[10]偏光フィルムである、前記[9]の光学フィルム、
に関する。
本発明のPVA系重合体フィルムは、染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合や比較的高い延伸温度が採用される場合であっても高い限界延伸倍率を有しているため、延伸フィルムを製造する際に、高倍率で一軸延伸しても、フィルムの破断が生じにくく、それによって、偏光フィルムなどの延伸フィルムを、延伸作業を中断することなく、高い歩留まりで、低コストで、生産性よく製造することができる。
特に、本発明のPVA系重合体フィルムは、フィルムの厚みが、偏光フィルムなどを製造するために従来一般に用いられてきたPVA系重合体フィルムの厚みよりも薄い、10〜65μm程度の厚みであっても、高い限界延伸倍率を有しているために、破断を生ずることなく、高倍率で円滑に一軸延伸することができ、それに伴って延伸フィルムを製造する際の一層の薄膜化が可能になり、偏光フィルムなどを製造する際の乾燥時間の一層の短縮化およびそれによる生産性の向上が可能になる。
また、近年、偏光フィルム製造用の原反フィルムとして、長さが5000mを超えるPVA系重合体フィルムも用いられているが、本発明のPVA系重合体フィルムは高い限界延伸倍率を有しているため、従来のものよりも一層高倍率で延伸することができ、それによってPVA系重合体フィルムからの偏光フィルムの取得量を従来よりも多くすることができる。
更に、本発明の製造方法を採用することによって、上記した優れた特性を有する本発明のPVA系重合体フィルムを高い生産性で円滑に連続して製造することができる。
図1は、PVA系重合体フィルムのΔn(MD)Aveを測定する際の試料の採取方法を示す概略図である。 図2は、PVA系重合体フィルムのΔn(TD)Aveを測定する際の試料の採取方法を示す概略図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
一般に、PVA系重合体などの透明なポリマーを用いて製造した透明なフィルムでは、ポリマー鎖がずり応力による塑性変形や歪みなどによって流れ方向(機械流れ方向:長さ方向)に配向してポリマーを構成する原子団の分極方向がマクロ的に揃い、それによってポリマー特有の複屈折が生ずる。
PVA系重合体フィルムにおける機械流れ方向の複屈折率[Δn(MD)]は下記の式
[i]から求められ、また幅方向の複屈折率[Δn(TD)]は下記の式[ii]から求められる。
Δn(MD)=nMD−nz [i]
Δn(TD)=nTD−nz [ii]
[式中、nMDはフィルムの機械流れ方向(長さ方向)の屈折率、nTDはフィルムの幅方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率を示す。]
本発明のPVA系重合体フィルムは、下記の式(I)および(II)を満足するという点で、従来のPVA系重合体フィルムとは異なっている。
Δn(MD)Ave ≦ 1.3×10−3 (I)
Δn(TD)Ave ≦ 1.3×10−3 (II)
[上記式中、Δn(MD)Aveは、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示し、Δn(TD)Aveは、PVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示す。]
すなわち、上記の式(I)および(II)にみるように、本発明のPVA系重合体フィルムでは、PVA系重合体フィルムの機械流れ方向(PVA系重合体フィルムを連続製膜する際のライン方向)[以下「長さ方向(MD)ということがある」の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値である「Δn(MD)Ave」、および、PVA系重合体フィルムの幅方向(長さ方向と直角の方向)[以下「幅方向(TD)」ということがある]の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値である「Δ(TD)Ave」が、それぞれ、上記範囲にあるという特徴を有している。
本発明のPVA系重合体フィルムは、上記の式(I)および(II)を満足することによって、染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合や比較的高い延伸温度が採用される場合であっても高い限界延伸倍率を有し、それによって、偏光フィルムなどの延伸フィルムの製造時に高倍率で一軸延伸してもフィルムの破断が生じにくくなり、フィルムの破断に伴う延伸作業の中断を招くことなく、偏光性能などの光学性能に優れる、薄膜化した延伸フィルムを、高い歩留まりで生産性よく製造することができる。
本発明のPVA系重合体フィルムは、本発明の効果がより顕著に奏されることや、その製造のし易さなどの観点から、Δn(MD)Aveが1.3×10−3未満であることが好ましく、1.0×10−3以下であることがより好ましく、0.9×10−3以下であることが更に好ましく、0.8×10−3以下であることが特に好ましく、また、0.7×10−3以上であることが好ましく、0.75×10−3以上であることがより好ましい。
また、本発明のPVA系重合体フィルムは、本発明の効果がより顕著に奏されることや、その製造のし易さなどの観点から、Δn(TD)Aveが1.2×10−3以下であることが好ましく、1.15×10−3以下であることがより好ましく、1.1×10−3以下であることが更に好ましく、また、1.0×10−3以上であることが好ましく、1.05×10−3以上であることがより好ましい。
なお、PVA系重合体フィルムでは、フィルムの幅方向(TD)でΔn(MD)Aveおよび/またはΔn(TD)Aveの値に変動があることが多く、特に幅方向の両端部ではΔn(MD)Aveが高くなり易いが、少なくともPVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部で式(I)および(II)を満たしていればよく、PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中心部を中心とする幅方向(TD)の8割以上の部分の全域で式(I)および(II)を満たすことが好ましい。式(I)および(II)を満たさないPVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の両端部は、PVA系重合体フィルムを長さ方向(MD)に延伸する前に切断して除去(耳取り)することができる。
PVA系重合体フィルムの「Δn(MD)Ave」[PVA系重合体フィルムの長さ方向(MD)の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値]および「Δn(TD)Ave」[PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値]は、以下の方法で測定することができる。
《1》Δn(MD)Aveの測定法:(ここでは、PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部におけるΔn(MD)Aveの測定法を例示する。)
(i) PVA系重合体フィルムの長さ方向(MD)の任意の位置で、図1の(a)に示すように、フィルムの幅方向(TD)における中央部からMD×TD=2mm×10mmの大きさの細片を切り出し、その細片を厚み100μmのPETフィルムで両側を挟み、それを更に木枠に挟んでミクロトーム装置に取り付ける。
(ii) 次に、前記で採取した細片を、図1の(b)に示すように(PETフィルムおよび木枠は図示せず)、細片の長さ方向(MD)と平行に10μm間隔でスライスし、図1の(c)に示す観察用のスライス片(MD×TD=2mm×10μm)を10個作製する。このスライス片の中から、スライス面が平滑で且つスライス厚み斑のないスライス片5個を選び、それぞれをスライドガラス上に載せてマイクロスコープ(キーエンス社製)でスライス厚みを測定する。なお、観察は接眼10倍、対物20倍(トータル200倍)の視野で行う。
(iii) 次いで、スライス面が観察できるように、スライス片を図1の(d)のように倒してスライス面を上向きとしてスライドガラス上に載せてカバーガラスとシリコーンオイル(屈折率1.04)で封じ、二次元光弾性評価システム「PA−micro」(株式会社フォトニックラティス製)を用いてスライス片5個のレタデーションを測定する。
(iv) 各スライス片のレタデーション分布を「PA−micro」の測定画面に表示した状態で、スライス片を横切るように当初のフィルムの表面に垂直な線αを引き、その線分α上でライン解析を行ってフィルムの厚み方向のレタデーション分布データを取得する。なお、観察は接眼10倍、対物20倍(トータル200倍)の視野で行う。また、スライス片上で線分αの通る位置が変わることによる誤差を抑えるため、線幅を300画素としてレタデーションの平均値を採用する。
(v) 上記で得られたフィルムの厚み方向のレタデーション分布の値をマイクロスコープで測定した厚みで除してフィルムの厚み方向の複屈折率Δn(MD)分布を求め、当該フィルムの厚み方向の複屈折率Δn(MD)分布の平均値を採る。スライス片5個について求めたそれぞれのフィルムの厚み方向の複屈折率Δn(MD)分布の平均値を更に平均して、「Δn(MD)Ave」とする。
《2》Δn(TD)Aveの測定法:
(ここでは、PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部におけるΔn(TD)Aveの測定法を例示する。)
(i) PVA系重合体フィルムの長さ方向(MD)の任意の位置で、図2の(a)に示すように、フィルムの幅方向(TD)における中央部からMD×TD=10mm×2mmの大きさの細片を切り出し、その細片を厚み100μmのPETフィルムで両側を挟み、それを更に木枠に挟んでミクロトーム装置に取り付ける。
(ii) 次に、前記で採取した細片を、図2の(b)に示すように(PETフィルムおよび木枠は図示せず)、細片の幅方向(TD)と平行に10μm間隔でスライスし、図2の(c)に示す観察用のスライス片(MD×TD=10μm×2mm)を10個作製する。このスライス片の中から、スライス面が平滑で且つスライス厚み斑のないスライス片5個を選び、それぞれをスライドガラス上に載せてマイクロスコープ(キーエンス社製)でスライス厚みを測定する。なお、観察は接眼10倍、対物20倍(トータル200倍)の視野で行う。
(iii) 次いで、スライス面が観察できるように、スライス片を図2の(d)のように倒してスライス面を上向きとしてスライドガラス上に載せてカバーガラスとシリコーンオイル(屈折率1.04)で封じ、二次元光弾性評価システム「PA−micro」(株式会社フォトニックラティス製)を用いてスライス片5個のレタデーションを測定する。
(iv) 各スライス片のレタデーション分布を「PA−micro」の測定画面に表示した状態で、スライス片を横切るように当初のフィルムの表面に垂直な線βを引き、その線分β上でライン解析を行ってフィルムの厚み方向のレタデーション分布データを取得する。なお、観察は接眼10倍、対物20倍(トータル200倍)の視野で行う。また、スライス片上で線分βの通る位置が変わることによる誤差を抑えるため、線幅を300画素としてレタデーションの平均値を採用する。
(v) 上記で得られたフィルムの厚み方向のレタデーション分布の値をマイクロスコープで測定した厚みで除してフィルムの厚み方向の複屈折率Δn(TD)分布を求め、当該フィルムの厚み方向の複屈折率Δn(TD)分布の平均値を採る。スライス片5個について求めたそれぞれのフィルムの厚み方向の複屈折率Δn(TD)分布の平均値を更に平均して、「Δn(TD)Ave」とする。
本発明のPVA系重合体フィルムの厚みは、5〜150μmの範囲にすることができるが、偏光フィルム製造用の原反フィルムとして用いる場合などにおいては、10〜65μmにすることが好ましい。本発明のPVA系重合体フィルムは染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合や比較的高い延伸温度が採用される場合であっても高い限界延伸倍率を有しているため、フィルム厚を、従来偏光フィルム製造用原反フィルムとして用いられることの多かった厚みが75μm程度のPVA系重合体フィルムよりも薄い、前記10〜65μmにした場合に、フィルムの破断を生ずることなく高倍率で延伸することができ、それによって従来品と同等以上の偏光性能などの光学特性を有する延伸フィルムを高い歩留りで、円滑に生産性よく製造することができ、しかも厚みが10〜65μmのPVA系重合体フィルムを高倍率で延伸することによって、延伸後のフィルムの厚みを従来よりも一層薄くすることができるとともに、偏光フィルムを製造する際の乾燥時間を短くすることができ、偏光フィルムの製造速度を向上させることができる。上記のような観点から、PVA系重合体フィルムの厚みは、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましく、40μm以下、更には30μm以下であってもよい。
一方、PVA系重合体フィルムの厚みが薄すぎると、偏光フィルムを製造するための一軸延伸時にフィルムの破断が生じ易くなる傾向があることから、PVA系重合体フィルムの厚みは15μm以上であることがより好ましく、18μm以上であることが更に好ましく、20μm以上であることが特に好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムの幅は特に制限されないが、近年、液晶テレビやモニターが大画面化しているので、それらに有効に用い得るようにするために幅は2m以上であることが好ましく、3m以上であることがより好ましく、4m以上であることが更に好ましい。また、現実的な生産機で偏光板を製造する場合に、フィルムの幅が大き過ぎると均一な一軸延伸が困難になることがあるので、PVA系重合体フィルムの幅は8m以下であることが好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムは、その質量膨潤度が180〜250%であることが好ましく、185〜240%であることがより好ましく、190〜230%であることが更に好ましい。PVA系重合体フィルムの質量膨潤度が低すぎると、延伸しにくくなり、光学性能に優れる延伸フィルムを製造することが困難になる傾向があり、一方、質量膨潤度が高すぎると、延伸時の工程通過性が悪化することや、高耐久性の偏光フィルムが得られなくなることがある。
ここでいう質量膨潤度とは、PVA系重合体フィルムを30℃の蒸留水中に30分間浸漬した際の質量を、前記浸漬後105℃で16時間乾燥した後の質量で除して得られる値の百分率を意味し、具体的には以下の実施例に記載する方法により測定することができる。
本発明のPVA系重合体フィルムを形成するPVA系重合体としては、例えば、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステルをけん化して得られるPVA、PVAの主鎖にコモノマーをグラフト共重合させた変性PVA系重合体、ビニルエステルとコモノマーを共重合させた変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造した変性PVA系重合体、未変性PVAまたは変性PVA系重合体の水酸基の一部をホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類で架橋したいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
本発明のPVA系重合体フィルムを形成するPVA系重合体が変性PVA系重合体である場合は、PVA系重合体における変性量は15モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
PVA系重合体の製造に用いられる前記のビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バレリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどを挙げることができる。これらのビニルエステルは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらのビニルエステルのうち、酢酸ビニルが生産性の観点から好ましい。
また、前記したコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどの炭素数2〜30のオレフィン類(α−オレフィンなど);アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸の炭素数1〜18アルキルエステル);メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸の炭素数1〜18アルキルエステル);アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールアクリルアミドまたはその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、その塩またはそのエステルなどの誘導体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル;不飽和スルホン酸またはその誘導体などを挙げることができる。これらの中でもα−オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムを形成するPVA系重合体の平均重合度は、得られる偏光フィルムの偏光性能および耐久性などの点から、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が更に好ましい。一方、PVA系重合体の平均重合度の上限は、均質なPVA系重合体フィルムの製造の容易性、延伸性などの点から8000以下が好ましく、特に6000以下が好ましい。
ここで、本明細書におけるPVA系重合体の「平均重合度」とは、JIS K6726−1994に準じて測定される平均重合度をいい、PVA系重合体を再けん化し、精製した後に30℃の水中で測定した極限粘度から求められる。
本発明のPVA系重合体フィルムを形成するPVA系重合体のけん化度は、得られる偏光フィルムの偏光性能および耐久性などの点から、95.0モル%以上が好ましく、98.0モル%以上がより好ましく、99.0モル%以上が更に好ましく、99.3モル%以上が最も好ましい。
ここで、本明細書におけるPVA系重合体の「けん化度」とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。PVA系重合体のけん化度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
本発明のPVA系重合体フィルムの製法は特に限定されず、上記した式(I)および(II)を満たすPVA系重合体フィルムを製造し得る方法であればいずれの方法で製造してもよいが、本発明のPVA系重合体フィルムは、
(a) 回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、当該製膜装置の第1乾燥ロール上にPVA系重合体を含む製膜原液を膜状に吐出して部分乾燥した後にそれに続く乾燥ロールで更に乾燥して製膜し;その際に、
(b) 第1乾燥ロールの周速(S)に対する最終乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)を0.955〜0.980にし;
(c) 揮発分率が20質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H20)および揮発分率が9質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H)より計算される収縮率((1−H/H20)×100)(%)を1%以上にする;
本発明の製造方法によって、高い生産性で円滑に連続して製造することができる。
上記した本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法について、以下により具体的に説明する。
PVA系重合体フィルムを含む製膜原液は、PVA系重合体を液体媒体と混合して溶液にしたり、液体媒体などを含むPVA系重合体ペレットなどを溶融して溶融液にしたりすることによって調製することができる。
PVA系重合体の液体媒体への溶解、液体媒体などを含むPVA系重合体ペレットの溶融は、撹拌式混合装置、溶融押出機などを使用して行うことができる。
その際に用いる液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらの液体媒体は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも水、ジメチルスルホキシド、または両者の混合物が好ましく用いられ、特に水がより好ましく用いられる。
PVA系重合体の液体媒体への溶解や溶融の促進、フィルム製造時の工程通過性の向上、得られるPVA系重合体フィルムの延伸性向上などの点から、製膜原液に可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては多価アルコールが好ましく用いられ、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらの可塑剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも延伸性の向上効果に優れる点から、グリセリン、ジグリセリンおよびエチレングリコールのうちの1種または2種以上が好ましく使用される。
可塑剤の添加量は、PVA系重合体100質量部に対して0〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。可塑剤の添加量がPVA系重合体100質量部に対して30質量部を超えると、得られるPVA系重合体フィルムが柔らかくなりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
PVA系重合体フィルムを製造する際の乾燥ロールからの剥離性の向上、得られるPVA系重合体フィルムの取り扱い性などの点から、製膜原液に界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。
また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型のノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の添加量は、PVA系重合体100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.3質量部が特に好ましい。0.01質量部より少ないと、製膜性、剥離性の向上効果が現れにくくなることがあり、一方、1質量部より多いと、界面活性剤がフィルム表面に溶出してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
製膜原料は、本発明のPVA系重合体フィルムの特性を阻害しない範囲で、各種添加剤、例えば、安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、相溶化剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、流動化剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
PVA系重合体フィルムの製造に用いる製膜原液の揮発分率は、60〜75質量%が好ましく、65〜70質量%がより好ましい。製膜原液の揮発分率が60質量%より小さいと、製膜原液の粘度が高くなって濾過や脱泡が困難となる他、製膜自体が困難となる場合がある。一方、製膜原液の揮発分率が75質量%より大きいと、粘度が低くなり過ぎてPVA系重合体フィルムの厚みの均一性が損なわれる場合がある。
ここで、本明細書でいう「製膜原液の揮発分率」とは、下記の式[iii]により求めた揮発分率をいう。
製膜原液の揮発分率(質量%) = {(W−W)/W}×100[iii]
[式中、Wは製膜原液の質量(g)、WはW(g)の製膜原液を105℃の電熱乾燥機中で16時間乾燥した後の質量(g)を示す。]
PVA系重合体フィルムの製造に用いる、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置では、乾燥ロールの数は3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましく、5〜30個であることが更に好ましい。複数の乾燥ロールは、例えば、ニッケル、クロム、銅、鉄、ステンレススチールなどの金属から形成されていることが好ましく、特にロール表面が腐食しにくく、しかも鏡面光沢を有する金属材料から形成されていることがより好ましい。また、乾燥ロールの耐久性を高めるために、ニッケル層、クロム層、ニッケル/クロム合金層などを単層または2層以上組み合わせてメッキした乾燥ロールを用いることがより好ましい。
複数の乾燥ロールにおける各乾燥ロールのロール表面温度は65℃以上であることが好ましく、75℃以上であることがより好ましく、85℃以上であることが更に好ましい。また、各乾燥ロールのロール表面温度は、最終工程またはそれに近い工程で熱処理ロールとして用いることのできる乾燥ロールのロール表面温度については90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃であることがより好ましいが、それ以外の乾燥ロールのロール表面温度は100℃以下であることが好ましい。
上記の製造方法で使用する製膜装置は、必要に応じて、複数の乾燥ロールに続いて、熱風炉式の熱風乾燥装置、熱処理装置、調湿装置などを有していてもよい。
製膜装置の第1乾燥ロール上にPVA系重合体を含む製膜原液を膜状に吐出するに当っては、例えば、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイなどの既知の膜状吐出装置(膜状流延装置)を使用して、PVA系重合体を含む製膜原液を第1乾燥ロール上に膜状に吐出(流延)する。
第1乾燥ロール上に膜状に吐出したPVA系重合体を含む製膜原液は、第1乾燥ロール上で乾燥して、PVA系重合体膜の揮発分率が好ましくは16〜30質量%、より好ましくは17〜29質量%、更に好ましくは18〜28質量%になった時点で第1乾燥ロールから剥離する。
第1乾燥ロールから剥離する際のPVA系重合体膜の揮発分率が上記下限以上であることにより、Δn(MD)Aveの値が大きくなりすぎるのを抑制することができる。一方、第1乾燥ロールから剥離する際のPVA系重合体膜の揮発分率があまりに高すぎると、第1乾燥ロールからの剥離が困難になる傾向があり、場合によっては破断したりムラが発生し易くなったりすることがある。
ここで、本明細書における「PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率」とは、下記の式[iv]により求めた揮発分率をいう。
A(質量%) = {(W−W)/W}×100 [iv]
[式中、Aは、PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率(質量%)、WはPVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムから採取したサンプルの質量(g)、Wは前記サンプルW(g)を温度50℃、圧力0.1kPa以下の真空乾燥機中に入れて4時間乾燥した時の質量(g)を示す。]
PVA系重合体、グリセリンなどの多価アルコール(可塑剤)、界面活性剤および水を用いて調製した製膜原液から形成されるPVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムでは、前記した「温度50℃、圧力0.1kPa以下で4時間」という条件下で乾燥したときには主として水のみが揮発し、水以外の他の成分の殆どは揮発せずにPVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルム中に残留するので、PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率は、PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルム中に含まれている水分量(水分率)を測定することにより求めることができる。
第1乾燥ロールでの乾燥に当っては、均一乾燥性、乾燥速度などの点から、第1乾燥ロールのロール表面温度は80〜120℃であることが好ましく、当該表面温度は、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、また、105℃以下であることがより好ましく、99℃以下であることが更に好ましい。第1乾燥ロールの表面温度が120℃を超えるとフィルムが発泡し易くなる傾向があり、一方、80℃未満では第1乾燥ロール上での乾燥が不十分となる傾向があり、剥離不良の原因となり易い。
第1乾燥ロールの周速(S)は、均一乾燥性、乾燥速度およびPVA系重合体フィルムの生産性などの他、本発明のPVA系重合体フィルムの製造がより容易になることなどから、8〜25m/分であることが好ましく、当該周速(S)は、10m/分以上であることがより好ましく、12m/分以上であることが更に好ましく、また、23m/分以下であることがより好ましく、22m/分以下であることが更に好ましい。第1乾燥ロールの周速(S)が8m/分未満であると生産性が低下するとともに、複屈折率が大きくなる傾向がある。一方、第1乾燥ロールの周速(S)が25m/分を超えると第1乾燥ロール上での乾燥が不十分となる傾向がある。
膜状に吐出したPVA系重合体を含む製膜原液の第1乾燥ロール上での部分乾燥は、第1乾燥ロールからの熱のみによって行ってもよいが、第1乾燥ロールで加熱すると同時に第1乾燥ロールに接触していない膜面(以下「第1乾燥ロール非接触面」ということがある)に熱風を吹き付けて、PVA系重合体膜の両面から熱を与えて乾燥を行うことが、均一乾燥性、乾燥速度などの点から好ましい。
第1乾燥ロール上にあるPVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に熱風を吹き付けるに当っては、第1乾燥ロール非接触面の全領域に対して風速1〜10m/秒の熱風を吹き付けることが好ましく、風速2〜8m/秒の熱風を吹き付けることがより好ましく、風速3〜8m/秒の熱風を吹き付けることが更に好ましい。
第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が小さ過ぎると、本発明で目的としている限界延伸倍率の高いPVA系重合体フィルムが得られにくくなるとともに、第1乾燥ロール上での乾燥時に水蒸気などの結露が発生し、その水滴がPVA系重合体膜に滴下して最終的に得られるPVA系重合体フィルムにおける欠陥が生じ易くなる。一方、第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が大き過ぎると、本発明で目的としている限界延伸倍率の高いPVA系重合体フィルムが得られにくくなるとともに、最終的に得られるPVA系重合体フィルムに厚み斑が発生し、それに伴って染色斑の発生などのトラブルが発生し易くなる。
PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度は、乾燥効率、乾燥の均一性などの点から、50〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましく、80〜95℃であることが更に好ましい。またPVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の露点温度は10〜15℃であることが好ましい。PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度が低すぎると、乾燥効率、均一乾燥性などが低下し易く、一方、高すぎると発泡が生じ易くなる。
PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に熱風を吹き付けるための方式は特に制限されず、風速が均一で且つ温度が均一な熱風をPVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面、好ましくはその全体に均一に吹き付け得る方式のいずれもが採用でき、そのうちでもノズル方式、整流板方式またはそれらの組み合わせなどが好ましく採用される。PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面への熱風の吹き付け方向は、第1乾燥ロール非接触面に対向する方向であっても、PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面の円周形状にほぼ沿った方向(第1乾燥ロールのロール表面の円周にほぼ沿った方向)であっても、またはそれ以外の方向であってもよい。
また、第1乾燥ロール上でのPVA系重合体膜の乾燥時に、乾燥によってPVA系重合体膜から発生した揮発分と吹き付けた後の熱風を排気することが好ましい。排気の方法は特に制限されないが、PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速斑および温度斑が生じない排気方法を採用することが好ましい。
第1乾燥ロール上で好ましくは揮発分率16〜30質量%にまで乾燥したPVA系重合体膜を第1乾燥ロールから剥離し、今度は、PVA系重合体膜の第1乾燥ロール非接触面を第2乾燥ロールに対向させて第2乾燥ロールで乾燥するのが好ましい。
第1乾燥ロールの周速(S)に対する第2乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)は、1.005〜1.090であることが好ましく、1.010〜1.080であることがより好ましい。比(S/S)が1.005未満であると、第1乾燥ロールからのPVA系重合体膜の剥離点が不均一となり易く、幅方向の複屈折率斑が大きくなる傾向がある。また、比(S/S)が1.090を超えると、後述する比(S/S)を満足するのが困難になる傾向がある。
第2乾燥ロールでの乾燥に当っては、均一乾燥性、乾燥速度などの点から、第2乾燥ロールのロール表面温度は65〜100℃であることが好ましく、75〜98℃であることがより好ましく、85〜96℃であることが更に好ましい。
第2乾燥ロールで乾燥したPVA系重合体膜を、第2乾燥ロールから剥離し、製膜装置に設けた乾燥ロールの数などに応じて、第3乾燥ロール、第4乾燥ロール、第5乾燥ロール、・・・などの複数の乾燥ロールによって順次乾燥する。
上記の製造方法では、第1乾燥ロールの周速(S)に対する、最終乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)が0.955〜0.980になるようにして、PVA系重合体膜にかかる張力を調節しながら乾燥を行う。比(S/S)を前記した範囲にすることによって、PVA系重合体膜の乾燥工程において、フィルムのたるみや巻き付きなどのトラブルを発生することなく、長さ方向(MD)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値[Δn(MD)Ave]および幅方向(TD)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値[Δn(TD)Ave]が、上記の式(I)および(II)を満足する本発明のPVA系重合体フィルムを円滑に製造することができる。
PVA系重合体フィルムを製造する際の前記した比(S/S)は、0.975以下であることが好ましく、0.970以下であることがより好ましく、0.960以下であることが更に好ましい。
上記の製造方法では、第1乾燥ロール上に膜状に吐出された製膜原液を複数の乾燥ロールで順次乾燥するにあたり、PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの当該PVA系重合体膜の膜幅(H20)およびPVA系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの当該PVA系重合体膜の膜幅(H)より計算される収縮率((1−H/H20)×100)(%)を1%以上にする。これにより、長さ方向(MD)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値[Δn(MD)Ave]および幅方向(TD)の複屈折率をフィルムの厚み方向に平均化した値[Δn(TD)Ave]が、上記の式(I)および(II)を満足する本発明のPVA系重合体フィルムを円滑に製造することができる。本発明のPVA系重合体フィルムをより円滑に製造する観点から、当該収縮率は、1.5%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましい。一方、当該収縮率があまりに高すぎるとフィルムのたるみや巻きつきが生じ易くなって工程通過性が劣る傾向があることから、当該収縮率は4%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましい。収縮率を上記範囲にする方法に特に制限はなく、例えば、隣り合う乾燥ロール間においてPVA膜の端部を保持しながら膜幅を徐々に狭める方法、乾燥ロール表面の滑りを向上させるなどして乾燥ロール上で幅方向に収縮するようにする方法、隣り合う乾燥ロール間の距離を比較的長くする方法などが挙げられる。
また、本発明のPVA系重合体フィルムをより円滑に製造することができることから、PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロールから、PVA系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの乾燥ロールまでの各乾燥ロール(当該区間に存在する全ての乾燥ロール)の表面温度について、これらの平均値を85℃以上にすることが好ましく、87℃以上にすることがより好ましく、90℃以上にすることが更に好ましく、93℃以上にすることが特に好ましく、また、100℃以下にすることが好ましく、95℃以下にすることがより好ましい。ここで「PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロール」および「PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロール」とは、PVA系重合体膜の揮発分率が、それぞれ、20質量%および9質量%になったときにそのPVA系重合体膜が位置していた乾燥ロールを意味する。複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用してPVA系重合体フィルムを製膜する際には、PVA系重合体膜は、通常、乾燥ロール上でその揮発分率が低下するが、乾燥ロール間で揮発分率が20質量%または9質量%になった場合には、上流側の乾燥ロールを、それぞれ、「PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロール」または「PVA系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの乾燥ロール」とみなせばよい。
上記の製造方法において、最終乾燥ロールまたは最終に近い乾燥ロールと最終乾燥ロールは、その表面温度を高くして熱処理ロールとして用いてもよい。乾燥ロールを熱処理ロールとして使用する場合は、ロール表面温度は90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃であることがより好ましい。
上記の乾燥処理を行ったPVA系重合体フィルムは、必要に応じて、熱処理、調湿処理などを行い、最後に所定の長さでロール状に巻き取ることにより本発明のPVA系重合体フィルムを得ることができる。
上記した一連の処理によって最終的に得られるPVA系重合体フィルムの揮発分率は1〜5質量%の範囲にあることが好ましく、2〜4質量%の範囲にあることがより好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムの用途に特に制限はないが、本発明のPVA系重合体フィルムは高い限界延伸倍率を有し、それによって、延伸フィルムの製造時に高倍率で一軸延伸してもフィルムの破断が生じにくくなり、フィルムの破断に伴う延伸作業の中断を招くことなく、光学性能に優れる、薄膜化した延伸フィルムを、高い歩留まりで生産性よく製造することができることから、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルム製造用の原反フィルムとして用いることが好ましい。このような光学フィルムは、例えば、本発明のPVA系重合体フィルムを用いて一軸延伸などの処理を施すことにより製造することができる。
本発明のPVA系重合体フィルムから偏光フィルムを製造するには、本発明のPVA系重合体フィルムを用いて染色および一軸延伸すればよく、例えば、本発明のPVA系重合体フィルムを用いて、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、更に必要に応じて熱処理を行えばよい。染色と一軸延伸の順序は特に限定されず、一軸延伸処理の前に染色処理を行ってもよいし、一軸延伸処理と同時に染色処理を行ってもよいし、または一軸延伸処理の後に染色処理を行ってもよい。また、一軸延伸、染色などの工程は複数回繰り返してもよい。特に一軸延伸を2段以上に分けると均一な延伸を行い易くなるため、好ましい。
PVA系重合体フィルムの染色に用いる染料としては、ヨウ素または二色性有機染料(例えば、DirectBlack 17、19、154;DirectBrown 44、106、195、210、223;DirectRed 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;DirectBlue 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;DirectViolet 9、12、51、98;DirectGreen 1、85;DirectYellow 8、12、44、86、87;DirectOrange 26、39、106、107などの二色性染料)などが使用できる。これらの染料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。染色は、通常、PVA系重合体フィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うことができるが、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
本発明のPVA系重合体フィルムは、染色時に比較的高い延伸倍率まで延伸する方法が採用される場合であっても高い限界延伸倍率を有しているため、本発明のPVA系重合体はこのような場合に特に好ましい。染色終了時の延伸倍率としては、得られる偏光フィルムの偏光性能の向上などの観点から、当初のPVA系重合体フィルムの長さに基づいて3倍以上であることが好ましく、3.4倍以上であることがより好ましく、3.5倍以上であることが更に好ましく、また、5倍以下であることが好ましい。
一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法のいずれで行ってもよいが、得られる偏光フィルムの性能および品質の安定性の観点から湿式延伸法が好ましい。湿式延伸法としては、PVA系重合体フィルムを、純水、添加剤や水性媒体等の各種成分を含む水溶液、または各種成分が分散した水分散液中で延伸する方法が挙げられ、湿式延伸法による一軸延伸方法の具体例としては、ホウ酸を含む温水中で一軸延伸する方法、前記した染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中で一軸延伸する方法などが挙げられる。一軸延伸はPVA系重合体フィルムの長さ方向(MD)に行うのが好ましい。
一軸延伸処理の際の延伸温度は特に限定されないが、湿式延伸法の場合は、30〜90℃の範囲内であることが好ましく、40〜70℃の範囲内であることがより好ましく、45〜65℃の範囲内であることが更に好ましく、また、乾熱延伸法の場合は、50〜180℃の範囲内であることが好ましい。
一軸延伸処理の延伸倍率(多段で一軸延伸を行う場合は合計の延伸倍率)は、偏光性能の点からフィルムが切断する直前までできるだけ延伸することが好ましく、具体的には4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、5.5倍以上であることが更に好ましい。延伸倍率の上限はフィルムが破断しない限り特に制限はないが、均一な延伸を行うためには8.0倍以下であることが好ましい。
延伸後のフィルム(偏光フィルム)の厚みは、1〜35μm、特に5〜25μmであることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当っては、一軸延伸されたフィルムへの染料の吸着を強固にするために、固定処理を行うことが多い。固定処理は、ホウ酸および/またはホウ素化合物を添加した処理浴中にフィルムを浸漬する方法が一般に広く採用されている。その際に、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
一軸延伸処理、または一軸延伸処理と固定処理を行ったフィルムを次いで乾燥処理(熱処理)するのが好ましい。乾燥処理(熱処理)の温度は30〜150℃、特に50〜140℃であることが好ましい。乾燥処理(熱処理)の温度が低過ぎると、得られる偏光フィルムの寸法安定性が低下し易くなり、一方、高すぎると染料の分解などに伴う偏光性能の低下が発生し易くなる。
以上のようにして得られた偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にすることができる。その場合の保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、保護膜を貼り合わせるための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などが一般に使用されており、そのうちでもPVA系接着剤が好ましく用いられる。
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせて液晶ディスプレー装置の部品として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどを同時に貼り合わせてもよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、製膜原液の揮発分率、PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率(水分率)、および、PVA系重合体フィルムの各物性は以下の方法により測定した。
(1)製膜原液の揮発分率:
上記した方法にしたがって、上記の式[iii]により求めた。
(2)PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率(水分率):
上記した方法にしたがって、上記の式[iv]により求めた。なお、PVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの揮発分率(水分率)の測定は、乾燥ロールから取り出したPVA系重合体膜またはPVA系重合体フィルムの幅方向(TD)中央部から採取したサンプルを用いて行った。
(3)PVA系重合体フィルムのΔn(MD)Ave
PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部におけるΔn(MD)Aveを「《1》Δn(MD)Aveの測定法」の項目において上記した方法により求め、これをPVA系重合体フィルムのΔn(MD)Aveとした。
(4)PVA系重合体フィルムのΔn(TD)Ave
PVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部におけるΔn(TD)Aveを「《2》Δn(TD)Aveの測定法」の項目において上記した方法により求め、これをPVA系重合体フィルムのΔn(TD)Aveとした。
(5)PVA系重合体フィルムの質量膨潤度:
PVA系重合体フィルムを1.5gとなるようにカットし、30℃の蒸留水1000g中に30分間浸漬し、30分間浸漬後にPVA系重合体フィルムを取り出し、濾紙で表面の水を吸い取った後、その質量(W)を測定した。続いてそのPVA系重合体フィルムを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後、その質量(W)を測定した。得られた質量WおよびWから、以下の式[vi]によって、PVA系重合体フィルムの質量膨潤度を求めた。
質量膨潤度(%) = (W/W)×100 [vi]
(6)PVA系重合体フィルムの限界延伸倍率と偏光フィルム幅:
以下の実施例または比較例で得られた延伸前のPVA系重合体フィルムの幅方向(TD)の中央部から長さ方向(MD)×幅方向(TD)=10cm×5cmの試験片を採取し、当該試験片の長さ方向の両端を、延伸部分のサイズが長さ方向(MD)×幅方向(TD)=5cm×5cmとなるように延伸治具に固定し、30℃の水中に38秒間浸漬している間に12cm/分の延伸速度で元の長さの2.2倍に長さ方向(MD)に一軸延伸(1段目延伸)した後、ヨウ素を0.03質量%およびヨウ化カリウムを3質量%の濃度で含有する温度30℃のヨウ素/ヨウ化カリウム水溶液中に90秒間浸漬している間に12cm/分の延伸速度で元の長さの3.5倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(2段目延伸)し、次いでホウ酸を3質量%およびヨウ化カリウムを3質量%の濃度で含有する温度30℃のホウ酸/ヨウ化カリウム水溶液中に約20秒間浸漬している間に12cm/分の延伸速度で元の長さの3.9倍まで長さ方向(MD)に一軸延伸(3段目延伸)し、続いてホウ酸を4質量%およびヨウ化カリウムを約5質量%の濃度で含有する温度約63℃のホウ酸/ヨウ化カリウム水溶液中に浸漬しながら12cm/分の延伸速度で試験片が破断するまで長さ方向(MD)に一軸延伸し、試験片が破断したときの延伸倍率(元の長さに対する破断時の長さの比)と、破断時の試験片幅を読み取った。
同じPVA系重合体フィルムについて、上記した延伸試験を5回行って、その平均値をとってPVA系重合体フィルムの限界延伸倍率(倍)と、偏光フィルム幅とした。
(7)PVA系重合体フィルムのネックイン度
上記の方法で採取したサンプルより得られた限界延伸倍率、偏光フィルム幅、延伸前フィルム幅(5cm)から、以下の式[vii]によって、PVA系重合体フィルムのネックイン度を求めた。
ネックイン度 = 偏光フィルム幅 ÷(延伸前フィルム幅 ÷ √限界延伸倍率) [vii]
ここで、ネックイン度の数値が高くなる程、限界延伸倍率に対する偏光フィルム幅が広いことを示しており、採取できる偏光フィルム面積が大きくなることを表す。
[実施例1]
(1)PVA系重合体フィルムの製造:
(i) ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部、グリセリン12質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液をTダイから、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置の第1乾燥ロール(表面温度93℃、周速(S)16.0m/分)上に膜状に吐出し、当該第1乾燥ロール上で、第1乾燥ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率21質量%になるまで乾燥し、次いで第1乾燥ロールから剥離して、第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥し、その後、表面温度102℃の乾燥ロール(熱処理ロール)で熱処理を行った後、巻き取ってPVA系重合体フィルム(厚み60μm、幅3m、揮発分率3質量%)を得た。
この実施例1では、第1乾燥ロールの周速(S)に対する最終乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)を0.958とし、揮発分率が20質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H20)および揮発分率が9質量%になったときのPVA系重合体膜の膜幅(H)より計算される収縮率((1−H/H20)×100)を2.03%とし、PVA系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロールからPVA系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの乾燥ロールまでの各乾燥ロールの表面温度について、これらの平均値を90.0℃とした。
(ii) 上記(i)で得られたPVA系重合体フィルムのΔn(MD)Ave、Δn(TD)Ave、質量膨潤度、限界延伸倍率およびネックイン度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
[実施例2、3および比較例1〜3]
(1) 実施例1において、PVA系重合体フィルムを製造する際の製膜条件を、下記の表1に記載するように変えて、実施例1の(1)と同様にしてPVA系重合体フィルムを製造した。
これにより得られた各PVA系重合体フィルムのΔn(MD)Ave、Δn(TD)Ave、質量膨潤度、限界延伸倍率およびネックイン度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
Figure 0006679496
上記の表1にみるように、実施例1〜3のPVA系重合体フィルムは、Δn(MD)Ave[PVA系重合体フィルムの機械流れ方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値]およびΔn(TD)Ave[PVA系重合体フィルムの幅方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値]が式(I)および(II)を満たしていることにより、染色時に比較的高い延伸倍率3.5倍まで延伸し、さらに3段目延伸終了後の延伸時における温度を比較的高い約63℃としたにもかかわらず、いずれも、高い限界延伸倍率を示すと共に、高いネックイン度を示しており、当該PVA系重合体フィルムを用いることにより、偏光性能などの光学性能に優れる偏光フィルムなどの延伸フィルムを、延伸作業を中断することなく、高い歩留まりで、低コストで、生産性よく製造できることが分かる。
それに対して、比較例1〜3のPVA系重合体フィルムは式(I)および(II)を満たしていないために、実施例1〜3のPVA系重合体フィルムに比べて、いずれも、限界延伸倍率およびネックイン度が低かった。

Claims (10)

  1. 下記の式(I)および(II)を満足することを特徴とするポリビニルアルコール系重合体フィルム。
    Δn(MD)Ave ≦ 1.3×10−3 (I)
    Δn(TD)Ave ≦ 1.3×10−3 (II)
    [上記式中、Δn(MD)Aveは、ポリビニルアルコール系重合体フィルムの機械流れ方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示し、Δn(TD)Aveは、ポリビニルアルコール系重合体フィルムの幅方向の複屈折率を当該フィルムの厚み方向に平均化した値を示す。]
  2. 厚みが10〜65μmの範囲内にある、請求項1に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  3. 光学フィルム製造用原反フィルムである、請求項1または2に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  4. 光学フィルムが偏光フィルムである、請求項3に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルム。
  5. ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法であって、
    (a) 回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、当該製膜装置の第1乾燥ロール上にポリビニルアルコール系重合体を含む製膜原液を膜状に吐出して部分乾燥した後にそれに続く乾燥ロールで更に乾燥して製膜し;その際に、
    (b) 第1乾燥ロールの周速(S)に対する最終乾燥ロールの周速(S)の比(S/S)を0.955〜0.980にし;
    (c) 揮発分率が20質量%になったときのポリビニルアルコール系重合体膜の膜幅(H20)および揮発分率が9質量%になったときのポリビニルアルコール系重合体膜の膜幅(H)より計算される収縮率((1−H/H20)×100)(%)を1%以上にする;
    ことを特徴とする製造方法。
  6. ポリビニルアルコール系重合体膜の揮発分率が20質量%になったときの乾燥ロールから、ポリビニルアルコール系重合体膜の揮発分率が9質量%になったときの乾燥ロールまでの各乾燥ロールの表面温度について、これらの平均値を85℃以上にする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 製膜原液の揮発分率が60〜75質量%である、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 第1乾燥ロールの周速(S)を8〜25m/分にする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 請求項3に記載のポリビニルアルコール系重合体フィルムから製造した光学フィルム。
  10. 偏光フィルムである、請求項9に記載の光学フィルム。

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