JP7375042B2 - 光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法 - Google Patents

光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学用ポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)の製造方法に関する。より詳細には、幅が広い光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ラップトップパソコン、ワープロ、液晶プロジェクター、車載用ナビゲーションシステム、液晶テレビ、パーソナルホンおよび屋内外で用いられる計測機器などへと広範囲に広がっている。このようなLCDの適用分野の広がりに伴い、従来品以上に偏光性能が高く、かつカラー表示品位の向上のため色相に優れたニュートラルグレー色の偏光板が求められている。
偏光板は、一般に、PVAフィルムを一軸延伸して染色するか、または染色して一軸延伸した後、ホウ素化合物で固定処理を行うことにより(場合によっては、染色、延伸および固定処理のうちの2つ以上の操作が同時に行われることがある)得られた偏光フィルムに、三酢酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルムなどの保護膜を貼り合わせた構成となっている。
ところで、中央部と端部との間の透過率のムラの少ない偏光フィルムを製造することのできるPVAフィルムを提供する目的で、これまで主として、偏光フィルムの製造原料であるPVAやPVAフィルムの構造、および偏光フィルムの製造条件などの観点から検討が行われてきた。例えば、特許文献1には、乾燥ロールとして、中央部の外径が両端部の外径より特定量大きい乾燥ロールを用いる方法が記載されている。当該方法によれば、幅方向の両端部側における水中での長さ方向への伸び量が中央部における当該伸び量よりも特定量多い、従来にないPVAフィルムを円滑に連続して製造することができ、当該PVAを用いると、中央部と端部との間の透過率のムラの少ない偏光フィルムを容易に製造することができると記載されている。
国際公開第2013/146146号
近年、LCDの大型化に伴い、より幅が広い偏光フィルムの需要が高まっているため、偏光フィルムの原料となるPVAフィルムのさらなる広幅化が求められている。
そこで本発明は、幅が広い光学用PVAフィルムを製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、当該製膜装置の最上流側に位置する第1乾燥ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥し、得られたフィルムを当該第1乾燥ロールの下流側に続く第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥してPVAフィルムを製造する際に、第2乾燥ロール以降の乾燥ロールとして、乾燥ロールに接するPVAフィルムの両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置の少なくとも一部の外径が幅方向中央部の外径より1.0mm~3.0mm大きい乾燥ロールを用いると、乾燥ロールとPVAフィルムの密着面積が低減し、従来よりも幅が広いPVAフィルムを円滑に連続して製造することができることを見出し、これらの知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、前記製膜装置の最上流側に位置する第1乾燥ロール上にポリビニルアルコールを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥し、得られたフィルムを該第1乾燥ロールの下流側に続く第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥し、前記第2乾燥ロール以降の乾燥ロールの少なくとも一つが異径乾燥ロールであり、前記異径乾燥ロールに接する前記フィルムの幅方向両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置の少なくとも一部の領域における前記異径乾燥ロールの外径が、幅方向中央部の外径より1.0mm~3.0mm大きいことを特徴とする、光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法;
[2]幅2m以上のポリビニルアルコールフィルムを得る、前記[1]に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法;
[3]前記外径が大きい領域の幅が10~55mmである、前記[1]または[2]に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法;
[4]前記異乾燥ロールがフッ素系樹脂製テープを金属ロールに貼ることにより、前記外径が大きい領域を設けてなるものである前記[1]~[3]に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法;
[5]前記製膜装置が同じ幅の複数の前記異径乾燥ロールを備え、下流側の異径乾燥ロールほど、前記外径が大きい領域の位置が幅方向中央側である、前記[1]~[4]に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法;
に関する。
本発明によれば、幅が広い光学用PVAフィルムを円滑に連続して製造することができる製造方法が提供される。
本発明の製造方法における、異径乾燥ロールとそれに接するフィルムの一例の模式図である。
PVAフィルムを形成するPVAとしては、例えば、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステルをけん化して得られるPVA(未変性PVA)、PVAの主鎖にコモノマーをグラフト共重合させた変性PVA、ビニルエステルとコモノマーを共重合させた変性ポリビニルエステルをけん化することにより得られる変性PVA、未変性PVAまたは変性PVAの水酸基の一部をホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類で架橋したいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。PVAフィルムを形成するPVAが変性PVAである場合は、PVAにおける変性量は15モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
PVAの製造に用いられる前記のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、ラウリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを挙げることができる。これらのビニルエステルは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらのビニルエステルのうち、酢酸ビニルが生産性の観点から好ましい。
また、前記したコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテンなどの炭素数2~30のオレフィン類(α-オレフィンなど);アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸の炭素数1~18アルキルエステル等);メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸の炭素数1~18アルキルエステル等);アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N-メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N-メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン等のN-ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、その塩またはそのエステル等の誘導体;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル;不飽和スルホン酸またはその誘導体などを挙げることができる。これらの中でもα-オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
PVAフィルムを形成するPVAの平均重合度は、得られる偏光フィルムの偏光性能および耐久性などの点から、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が更に好ましい。一方、均質なPVAフィルムの製造の容易性、延伸性などの点から、当該平均重合度は8000以下が好ましく、特に6000以下が好ましい。ここで、本明細書におけるPVAの「平均重合度」とは、JIS K6726-1994に準じて測定される平均重合度をいい、PVAを再けん化し、精製した後に30℃の水中で測定した極限粘度から求められる。
PVAフィルムを形成するPVAのけん化度は、得られる偏光フィルムの偏光性能および耐久性などの点から、95.0モル%以上が好ましく、98.0モル%以上がより好ましく、99.0モル%以上が更に好ましく、99.3モル%以上が最も好ましい。ここで、本明細書におけるPVAの「けん化度」とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。PVAのけん化度は、JIS K6726-1994の記載に準じて測定することができる。
本発明の光学用PVAフィルムの製造方法は、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロール(最上流側から下流側に向かって、順次、第1乾燥ロール、第2乾燥ロール・・・と称する)を備える製膜装置を使用し、前記製膜装置の最上流側に位置する第1乾燥ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥し、得られたフィルムを該第1乾燥ロールの下流側に続く第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥し、前記第2乾燥ロール以降の乾燥ロールの少なくとも一つが異径乾燥ロールであり、前記異径乾燥ロールに接する前記フィルムの幅方向両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置の少なくとも一部の領域における前記異径乾燥ロールの外径が、幅方向中央部の外径より1.0mm~3.0mm大きいものである。本発明の製造方法によれば、光学用PVAフィルムを円滑に連続して製造することができる。
本発明の製造方法では、回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、当該製膜装置の最上流側に位置する第1乾燥ロール上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥し、得られたフィルムを当該第1乾燥ロールの下流側に続く第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥することにより、PVAフィルムを製膜する。
当該製膜装置では、乾燥ロールの数(第1乾燥ロール(キャストロール)を含めた乾燥ロールの本数)は9~30本であることが好ましく、12~26本であることがより好ましい。なお本発明でいう乾燥ロールとは、接触するフィルムを加熱するロールのことである。加熱機能がないガイドロールやフィルムを巻き取るための巻き取りロールとは区別される。
前記乾燥ロールは、例えば、ニッケル、クロム、銅、鉄、ステンレススチールなどの金属から形成されていることが好ましく、特に乾燥ロールの表面が、腐食しにくく、しかも鏡面光沢を有する金属材料から形成されていることがより好ましい。また、乾燥ロールの耐久性を高めるために、メッキにより、ニッケル層、クロム層、ニッケル/クロム合金層などが単層または2層以上組み合わせて形成された乾燥ロールを用いてもよい。
第1乾燥ロールから最終乾燥ロールに至る過程におけるフィルムを乾燥する際の加熱方向については特に制限はないが、フィルムをより均一に乾燥することができることから、フィルムの任意の部分において、第1乾燥ロールと接触する膜面(以下、「第1乾燥ロール接触面」ということがある)と、第1乾燥ロールと接触しない膜面(以下、「第1乾燥ロール非接触面」ということがある)とが、第1乾燥ロールから最終乾燥ロールまでの各乾燥ロールに交互に対向するように乾燥するのが好ましい。
製膜装置の第1乾燥ロール(キャストロール)上にPVAを含む製膜原液を膜状に吐出するに当っては、例えば、T型スリットダイ、ホッパープレート、I-ダイ、リップコーターダイなどの既知の膜状吐出装置(膜状流延装置)を使用して、PVAを含む製膜原液を第1乾燥ロール上に膜状に吐出(流延)すればよい。
PVAフィルムを含む製膜原液は、PVAを液体媒体と混合して溶液にしたり、液体媒体などを含むPVAペレットを溶融して溶融液にしたりすることなどによって調製することができる。その際に用いる液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらの液体媒体は、1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。これらの中でも水、ジメチルスルホキシド、または両者の混合物が好ましく用いられ、水がより好ましく用いられる。
PVAの液体媒体への溶解や溶融の促進、PVAフィルム製造時の工程通過性の向上、得られるPVAフィルムの延伸性向上などの点から、製膜原液に可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては多価アルコールが好ましく用いられ、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらの可塑剤は、1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。これらの中でも延伸性の向上効果に優れる点から、グリセリン、ジグリセリンおよびエチレングリコールのうちの1種または2種以上が好ましい。
可塑剤の添加量は、PVA100質量部に対して0~30質量部が好ましく、3~25質量部がより好ましく、5~20質量部が特に好ましい。可塑剤の添加量がPVA100質量部に対して30質量部以下であることにより、得られるPVAフィルムが柔らかくなりすぎず、取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
PVAフィルムを製造する際の乾燥ロールからの剥離性の向上、得られるPVAフィルムの取り扱い性などの点から、製膜原液に界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などのアニオン性界面活性剤が好適である。
また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤は1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、PVA100質量部に対して0.01~1質量部が好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましく、0.05~0.3質量部が特に好ましい。界面活性剤の添加量がPVA100質量部に対して0.01質量部以上であることにより、製膜性、剥離性などの向上効果が現れやすくなる。一方、1質量部を超える場合、界面活性剤がフィルム表面に溶出してブロッキングの原因になったり、取り扱い性が低下し易くなったりする。
製膜原液は、上記の成分の他、各種添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、相溶化剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、流動化剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
PVAフィルムの製造に用いる製膜原液の揮発分率は、50~90質量%が好ましく、55~80質量%がより好ましく、60~75質量%が更に好ましく、65~70質量%が特に好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%未満の場合、製膜原液の粘度が高くなりすぎて濾過や脱泡が困難になる、または製膜自体が困難になることがある。一方、製膜原液の揮発分率が90質量%を超える場合、粘度が低くなりすぎてPVAフィルムの厚みの均一性が損なわれることがある。ここで、本発明でいう「製膜原液の揮発分率」とは、下記の式(I)により求めた揮発分率をいう。
製膜原液の揮発分率(質量%)={(Wa-Wb)/Wa}×100 (I)
(ここで、Waは製膜原液の質量(g)を表し、WbはWa(g)の製膜原液を105℃の電熱乾燥機中で16時間乾燥した後の質量(g)を表す。)
第1乾燥ロールでの乾燥にあたっては、均一乾燥性、乾燥速度などの点から、第1乾燥ロールのロール表面温度は80~120℃であることが好ましく、85~105℃であることがより好ましい。
膜状に吐出された製膜原液の第1乾燥ロール上での乾燥は、第1乾燥ロールからの加熱のみによって行ってもよいが、第1乾燥ロールで加熱すると同時に第1乾燥ロール非接触面に熱風を吹き付けて、フィルムの両面から熱を与えて乾燥を行うことが、均一乾燥性、乾燥速度などの点から好ましい。
第1乾燥ロール上にあるフィルムの第1乾燥ロール非接触面に熱風を吹き付けるに当っては、第1乾燥ロール非接触面の全領域に対して風速1~10m/秒の熱風を吹き付けることが好ましく、風速2~8m/秒の熱風を吹き付けることがより好ましく、風速3~8m/秒の熱風を吹き付けることが更に好ましい。第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が小さすぎると、第1乾燥ロール上での乾燥時に水蒸気などの結露が発生し、その水滴がフィルムに滴下して最終的に得られるPVAフィルムに欠陥が生じるおそれがある。一方、第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速が大きすぎると、最終的に得られるPVAフィルムに厚み斑が発生し、それに伴って染色斑の発生などのトラブルが発生しやすくなる。
フィルムの第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度は、乾燥効率、乾燥の均一性などの点から、50~150℃であることが好ましく、70~120℃であることがより好ましく、80~95℃であることが更に好ましい。フィルムの第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の温度が低すぎると、水蒸気などの結露が発生し、その水滴がフィルムに落下して最終的に得られるPVAフィルムに欠陥が生じるおそれがある。一方、当該温度があまりに高すぎると、熱風の風向に沿って乾燥斑が発生して、最終的に得られるPVAフィルムの厚み斑が発生するおそれがある。
またフィルムの第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の露点温度は5~20℃であることが好ましく、10~15℃であることがより好ましく、11~13℃であることが更に好ましい。フィルムの第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の露点温度が低すぎると、乾燥効率、均一乾燥性などが低下しやすく、一方、露点温度が高すぎると発泡が生じやすくなる。
フィルムの第1乾燥ロール非接触面に熱風を吹き付けるための方式は特に制限されず、風速が均一で且つ温度が均一な熱風をフィルムの第1乾燥ロール非接触面、好ましくはその全体に均一に吹き付け得る方式のいずれもが採用でき、そのうちでもノズル方式、整流板方式またはそれらの組み合わせなどが好ましく採用される。フィルムの第1乾燥ロール非接触面への熱風の吹き付け方向は、第1乾燥ロール非接触面に対向する方向であっても、フィルムの第1乾燥ロール非接触面の円周形状にほぼ沿った方向(第1乾燥ロールのロール表面の円周にほぼ沿った方向)であっても、またはそれ以外の方向であってもよい。
また、第1乾燥ロール上でのフィルムの乾燥時に、乾燥によってフィルムから発生した揮発分と吹き付けた後の熱風を排気することが好ましい。排気の方法は特に制限されないが、フィルムの第1乾燥ロール非接触面に吹き付ける熱風の風速斑および温度斑が生じない排気方法を採用することが好ましい。
第1乾燥ロール上に膜状に吐出された製膜原液は、第1乾燥ロール上で乾燥され、得られるフィルムは第1乾燥ロールから剥離される。第1乾燥ロールからの剥離時のフィルムの揮発分率があまりに低すぎるとPVAフィルムの生産性が低下しやすくなる傾向がある。一方、第1乾燥ロールからの剥離時のフィルムの揮発分率があまりに高すぎると、第1乾燥ロールからの剥離が困難になりやすく、場合によっては破断したり、斑が発生しやすくなったりする。
上記のような観点から、第1乾燥ロールからの剥離時のフィルムの揮発分率は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、18質量%以上であることが更に好ましく、また、30質量%以下であることが好ましく、29質量%以下であることがより好ましく、28質量%以下であることが更に好ましく、27質量%以下であることが特に好ましい。ここで、本明細書における「フィルムの揮発分率」とは、下記の式(II)により求めた揮発分率をいう。
M(質量%)={(Wc-Wd)/Wc}×100 (II)
(ここで、Mはフィルムの揮発分率(質量%)、Wcはフィルムから採取したサンプルの質量(g)、Wdは前記サンプルWc(g)を温度50℃、圧力0.1kPa以下の真空乾燥機中に入れて4時間乾燥した後の質量(g)を示す。)
なお、PVA、グリセリンなどの多価アルコール(可塑剤)、界面活性剤および水を用いて調製した製膜原液から形成されるフィルムでは、前記した「温度50℃、圧力0.1kPa以下で4時間」という条件下で乾燥したときには主として水のみが揮発し、水以外の他の成分のほとんどは揮発せずにフィルム中に残留するので、フィルムの揮発分率は、フィルム中に含まれている水分量(水分率)を測定することにより求めることができる。
第1乾燥ロール上で乾燥したフィルムを第1乾燥ロールから剥離し、その後フィルムの第1乾燥ロール非接触面を第2乾燥ロールに対向させて、第2乾燥ロールでフィルムを乾燥する。さらに必要に応じ、第3乾燥ロール以降の乾燥ロールでフィルムを乾燥する。この時、直前の乾燥ロールにおけるフィルムの非接触面を次に接触する乾燥ロールに対向させてフィルムを乾燥することが好ましい。
本発明の製造方法では、第2乾燥ロール以降の乾燥ロールのうちの少なくとも一つの乾燥ロールが異径乾燥ロール1である。図1は、異径乾燥ロール1とそれに接するフィルム2の一例の模式図である。図1に示されるように、異径乾燥ロール1として、前記異径乾燥ロール1に接するフィルム2の両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置3(図1の斜線部分)の少なくとも一部の領域4における、前記異径乾燥ロール1の外径tが前記幅方向中央部の外径tより1.0mm~3.0mm大きい乾燥ロールを用いる。一般に乾燥ロールとしては、中央部の外径と両端部の外径とが同じである円筒形状の乾燥ロール(フラットロール)が使用される。本発明の製造方法においては、上記のような異径乾燥ロール1を用いることにより、本発明のPVAフィルムを円滑に製造することができる。本発明を何ら限定するものではないが、この理由としては、異乾燥ロール1に接するフィルム2の両端部からやや幅方向中央部における、前記異乾燥ロール1の外径tが大きい場合、フィルム2の両端が持ち上がる。その結果、前記異乾燥ロール1とフィルム2の密着面積が低減し、密着に伴うフィルム2の欠陥の発生が抑制されるために、製品として使用可能なPVAフィルムの幅(製品有効幅)が増加すると考えられる。
上記異径乾燥ロール1において、外径tが大きい領域4の幅tは10~55mmであることが好ましい。この範囲内であると本発明の効果が特に高い。前記外径tが大きい領域4の好ましい幅tは10~40mmである。
また異径乾燥ロール1は、外径が均一である金属ロールに、前記金属ロールに接するPVAフィルムの両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置の少なくとも一部の領域にフッ素系樹脂製テープを貼ることにより、前記外径が大きい領域を設けてなるものであることが好ましい。このように、前記金属ロールの所定の位置にフッ素系樹脂製テープを貼ることにより外径tが大きい領域4を設けることが好ましい。このような方法によれば、外径tが大きい領域4の位置、幅、及び外径tを容易に調整できる。
上記のとおり本発明の製造方法では、第2乾燥ロール以降の乾燥ロールのうちの少なくとも1つに本発明の異径乾燥ロールを用いる。ここで、第2乾燥ロールから最終乾燥ロールのうちの1つのみが本発明の異径乾燥ロールであってもよいし、2つ以上が本発明の異径乾燥ロールであってもよい。第2乾燥ロールが本発明の異径乾燥ロールであることが好ましく、第2乾燥ロールおよび第3乾燥ロールから最終乾燥ロールまでの乾燥ロールの1つ以上の合計2つ以上が本発明の異径乾燥ロールであることがより好ましい。第2乾燥ロールから最終乾燥ロールまでの全ての乾燥ロールが本発明の異径乾燥ロールであることも好ましい。なお、第1乾燥ロールの形状は、通常の円筒形状、すなわち中央部の外径と両端部の外径とが同じ形状であることが好ましい。
本発明PVAフィルムの製造において、前記フィルムは乾燥が進むにつれて幅方向中央側に向かって収縮する。一方、本発明においては異径乾燥ロールの外径が大きい領域の位置はフィルムの端部からの距離で定義される。従って、本発明の異径乾燥ロールを複数用い、全ての異径乾燥ロールの幅が同じである場合、異径乾燥ロールの端部を基準とした前記外径が大きい領域の位置はフィルム流れ方向の下流側の乾燥ロールほど幅方向中央側寄りであることが好ましい。
第2乾燥ロール以降の乾燥ロールの表面温度は、本発明のPVAフィルムの生産時の搬送性、および製品としての剛性を担保する点から50~100℃が好ましく、60~95℃がより好ましい。
第2乾燥ロール以降の乾燥ロールのうち最終乾燥ロールのみ、または第1乾燥ロールよりも最終乾燥ロールに近い1つもしくは2つ以上の乾燥ロールと最終乾燥ロールとは、その表面温度を他の乾燥ロールより高くして熱処理ロールとして用いてもよい。すなわち、上記の製膜装置における乾燥ロールとは、熱処理ロールを使用する場合には当該熱処理ロールをも含めたものである。乾燥ロールを熱処理ロールとして使用する場合は、当該乾燥ロールの表面温度は90~120℃が好ましく、100~110℃がより好ましい。このような温度で熱処理を行うことにより、PVAの結晶化が適度に進行して耐熱水性が向上する。
第1乾燥ロールの周速(S1)は、均一乾燥性、乾燥速度およびPVAフィルムの生産性などの点から、5~30m/分であることが好ましく、7~25m/分であることがより好ましい。第1乾燥ロールの周速(S1)が5m/分未満であると生産性が低下するとともに、得られるPVAフィルムの延伸性が低下する傾向がある。一方、第1乾燥ロールの周速(S1)が30m/分を超えると、第1乾燥ロールからの剥離が不均一となって欠点が発生しやすくなる傾向がある。
本発明のPVAフィルムをより円滑に製造するために、第1乾燥ロールの周速(S1)に対する最終乾燥ロールの周速(ST)の比(ST/S1)は、0.960~1.100であることが好ましい。比(ST/S1)があまりに低すぎると、乾燥ロール間でフィルムがたるみやすくなり、またあまりに高すぎると、レタデーションが大きくなり、幅方向の位相差斑が大きくなりやすい。一方、比(ST/S1)は、1.050以下であることがより好ましく、1.030以下であることが更に好ましい。
上記の製膜装置は必要に応じて熱風炉式の熱風乾燥装置、熱処理装置、調湿装置などを有していてもよく、例えば、上記乾燥ロールによる乾燥(熱処理ロールによる熱処理を含む)後にこれらの装置を用いて調湿処理を施すことができる。また必要に応じてフィルム両端部(耳部)をカットしてもよい。
上記した一連の処理によって最終的に得られるPVAフィルムの揮発分率(典型的には水分率)は通常1~5質量%の範囲にある。当該揮発分率が高すぎると水中寸法変化量が高くなりやすい。得られたPVAフィルムは所定の長さでロール状に巻き取るのが好ましい。
PVAフィルムは、上記のPVAの他、本発明の製造方法において使用されるものとして上述したような可塑剤、界面活性剤、それら以外の各種添加剤などを、例えば上述した量で更に含有してもよい。
本発明の製造方法により得られるPVAフィルムは、光学用、特に偏光フィルム製造用の原反として好適に用いられる。PVAフィルムの厚みは、特に限定されないが、5~80μmが好ましい。このような厚みであるPVAフィルムは、偏光フィルム製造用の原反等として好適に用いられる。より好適な厚みは20~80μmである。PVAフィルムの厚みが上記上限以下であることにより、偏光フィルムを製造する際の乾燥が速やかに行われやすくなり、一方、PVAフィルムの厚みが上記下限以上であることにより、偏光フィルムを製造するための一軸延伸時にフィルムの破断の発生をより効果的に抑制することができる。
PVAフィルムの幅は特に制限されないが、近年、液晶テレビやモニターが大画面化しているので、それらの用途に有効に用い得るようにするためには、幅は2m以上であることが好ましく、3m以上であることがより好ましく、4m以上であることが更に好ましい。PVAフィルムの幅が広いほど本発明の効果がより顕著になり、大面積の偏光フィルムを得ることができるので好ましい。一方、現実的な生産機で偏光板を製造する場合に、フィルムの幅が広すぎると均一な一軸延伸が困難になることがあるので、PVAフィルムの幅は7.5m以下であることが好ましく、7m以下であることがより好ましい。PVAフィルムの長さに特に制限はなく、例えば、50~30000mとすることができる。
PVAフィルムのレタデーション値は特に限定されないが、レタデーション値が小さいほど得られる偏光フィルムの幅方向の位相差斑が改善する傾向となる点からは、40nm以下であることが好ましい。
本発明のPVAフィルムから偏光フィルムを製造するには、例えば、PVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、更に必要に応じて熱処理を行えばよい。染色と一軸延伸の順序は特に限定されず、一軸延伸処理の前に染色処理を行ってもよいし、一軸延伸処理と同時に染色処理を行ってもよいし、または一軸延伸処理の後に染色処理を行ってもよい。また、一軸延伸、染色などの工程は複数回繰り返してもよい。特に一軸延伸を2段以上に分けると均一な延伸を行いやすくなるため、好ましい。
PVAフィルムの染色に用いる染料としては、ヨウ素または二色性有機染料(例えば、DirectBlack 17、19、154;DirectBrown 44、106、195、210、223;DirectRed 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;DirectBlue 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;DirectViolet 9、12、51、98;DirectGreen 1、85;DirectYellow 8、12、44、86、87;DirectOrange 26、39、106、107などの二色性染料)などが使用できる。これらの染料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。染色は、通常、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うことができるが、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
PVAフィルムを長さ方向(MD)等に延伸する一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法のいずれで行ってもよいが、得られる偏光フィルムの性能および品質の安定性の観点から湿式延伸法が好ましい。湿式延伸法としては、PVAフィルムを、純水、添加剤や水性媒体等の各種成分を含む水溶液、または各種成分が分散した水分散液中で延伸する方法が挙げられ、湿式延伸法による一軸延伸方法の具体例としては、ホウ酸を含む温水中で一軸延伸する方法、前記した染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中で一軸延伸する方法などが挙げられる。また、吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で一軸延伸してもよいし、その他の方法で一軸延伸してもよい。
一軸延伸する際の延伸温度は特に限定されないが、湿式延伸する場合は好ましくは20~90℃、より好ましくは25~70℃、更に好ましくは30~65℃の範囲内の温度が採用され、乾熱延伸する場合は好ましくは50~180℃の範囲内の温度が採用される。
一軸延伸処理の延伸倍率(多段で一軸延伸を行う場合は合計の延伸倍率)は、偏光性能の点からフィルムが切断する直前までできるだけ延伸することが好ましく、具体的には4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、5.5倍以上であることが更に好ましい。延伸倍率の上限はフィルムが破断しない限り特に制限はないが、均一な延伸を行うためには8.0倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造に当っては、一軸延伸されたフィルムへの染料の吸着を強固にするために、固定処理を行うことが多い。固定処理は、ホウ酸および/またはホウ素化合物を添加した処理浴中にフィルムを浸漬する方法が一般に広く採用されている。その際に、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
一軸延伸処理、または一軸延伸処理と固定処理を行ったフィルムを次いで乾燥処理(熱処理)するのが好ましい。乾燥処理(熱処理)の温度は30~150℃、特に50~140℃であることが好ましい。乾燥処理(熱処理)の温度が低すぎると、得られる偏光フィルムの寸法安定性が低下しやすくなり、一方、高すぎると染料の分解などに伴う偏光性能の低下が発生しやすくなる。
上記のようにして得られた偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にすることができる。その場合の保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、保護膜を貼り合わせるための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などが一般に使用されており、そのうちでもPVA系接着剤が好ましく用いられる。
上記のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせて液晶ディスプレイ装置の部品として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどを同時に貼り合わせてもよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、PVAフィルムの製品有効幅は以下の方法により測定または評価した。
(1)製品有効幅
PVAフィルムの両端に存在するフッ素系樹脂製テープの跡、および密着に伴い発生した密着跡、偏光斑などの欠陥が発生した部分を除いた部分の幅を製品有効幅とした。製品有効幅はPVA系重合体フィルムの製膜原液の乾燥ロールへのキャスト幅に対して、80%以上である場合を合格とした。
実施例1
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(けん化度99.9モル%、平均重合度2400)100質量部、グリセリン10.5質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.04質量部および水からなる揮発分率67質量%の製膜原液を作製した。次いで、Tダイ(キャスト幅6380mm)から、回転軸が互いに平行で長さが同じである複数の乾燥ロールを備える製膜装置の第1乾燥ロール(表面温度93℃、周速(S1)14.5m/分)上に前記製膜原液を膜状に吐出し、第1乾燥ロール上で、第1乾燥ロール非接触面の全体に90℃の熱風を5m/秒の風速で吹き付けながら揮発分率18質量%になるまで乾燥し、次いで第1乾燥ロールから得られたフィルムを剥離して、フィルムの任意の部分における表面と裏面とが各乾燥ロールに交互に接触するように第2乾燥ロール以降の乾燥ロールによる乾燥を行った。
本実施例では、外径が幅方向に一定である乾燥ロール(金属ロール)の両端よりも幅方向中央部側の位置(ロール端からテープ端までの距離を表1に示す)にフッ素系樹脂製テープ(幅40mm)を円周方向に複数回巻き、高さが1.26mmとなるように貼り付けることで異径乾燥ロールとした。前記テープを貼る位置は、フィルムの端部からテープのロール端部側までの距離が85mmになるよう、それぞれの異径乾燥ロールについて調整した。前記テープを貼った位置では、貼らなかった位置と比べ、乾燥ロールの外径は2.52mm大きかった。また表1に示すように、第2乾燥ロールから第13乾燥ロールまでの12本を前記異径乾燥ロールとした。第14乾燥ロールから最終乾燥ロールである第18乾燥ロールまでの5本は前記テープが貼付けられていないフラットロールを用いた。第2~13、15、17乾燥ロールの表面温度は75~95℃とした。第14乾燥ロールと第16乾燥ロールについては、その表面温度を105℃にして熱処理ロールとした。また、最終乾燥ロールである第18乾燥ロール(熱処理ロール、表面温度105℃)の周速(S18)は14.1m/分とした。その後、ロール状に巻き取ってPVAフィルム(厚み60μm、幅6080mm)を得た。このPVAフィルムの製品有効幅は5800mmであり、キャスト幅の91%であるため、合格と判定した。
Figure 0007375042000001
実施例2
実施例1において、Tダイのキャスト幅(4900mm)、乾燥ロールの本数を24本とし、フッ素系樹脂製テープを貼付した乾燥ロールを第2乾燥ロールから第17乾燥ロールまでの16本とし、前記テープの幅と貼付位置を下記の表2に示すように変更し、第2~19、22~23乾燥ロールの表面温度を75~95℃とし、第20乾燥ロールと第21乾燥ロールについては、その表面温度を105℃にして熱処理ロールとし、最終乾燥ロールである第24乾燥ロール(熱処理ロール、表面温度105℃)の周速(S24)は15.6m/分としたこと以外は実施例1と同様にしてPVAフィルムを得た。このPVAフィルムの製品有効幅は4250mmであり、キャスト幅の87%であるため、合格と判定した。
Figure 0007375042000002
比較例1
実施例1において、フッ素系樹脂製テープを乾燥ロールに貼付しないこと以外は同様にして、PVAフィルムを得た。このPVAフィルムの製品有効幅は4720mmであり、キャスト幅の74%であるため、不合格と判定した。
上記のとおり、本発明のPVAフィルム製造方法を用いることにより、製品有効幅の広いPVAフィルムを製造することができた。当該PVAフィルムは特に大面積の偏光フィルム製造用の原反フィルムとして有用である。
1 異径乾燥ロール
2 フィルム
3 位置
4 領域
、t 外径

Claims (5)

  1. 光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法であって、
    回転軸が互いに平行な複数の乾燥ロールを備える製膜装置を使用し、前記製膜装置の最上流側に位置する第1乾燥ロール上にポリビニルアルコールを含む製膜原液を膜状に吐出して乾燥し、得られたフィルムを該第1乾燥ロールの下流側に続く第2乾燥ロール以降の乾燥ロールで更に乾燥し、
    前記第2乾燥ロール以降の乾燥ロールの少なくとも一つが異径乾燥ロールであり、
    前記異径乾燥ロールに接する前記フィルムの幅方向両端部から幅方向中央部側に50mm以上250mm以下の位置の少なくとも一部の領域における前記異径乾燥ロールの外径が、幅方向中央部の外径より1.0mm~3.0mm大きいことを特徴とする、光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  2. 幅2m以上のポリビニルアルコールフィルムを得る、請求項1に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  3. 前記外径が大きい領域の幅が10~55mmである、請求項1又は2に記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  4. 前記異乾燥ロールがフッ素系樹脂製テープを金属ロールに貼ることにより、前記外径が大きい領域を設けてなるものである、請求項1~3のいずれかに記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。
  5. 前記製膜装置が同じ幅の複数の前記異径乾燥ロールを備え、下流側の異径乾燥ロールほど、前記外径が大きい領域の位置が幅方向中央側である、請求項1~4のいずれかに記載の光学用ポリビニルアルコールフィルムの製造方法。

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