JP2013091195A - 光学フィルムの製造方法及びそれにより製造された光学フィルム - Google Patents

光学フィルムの製造方法及びそれにより製造された光学フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】薄い膜厚の光学フィルムの製造の際に、擦り傷や端部のカールの発生を防止できる光学フィルムの製造方法を提供する。また、当該製造方法を用いて製造した光学フィルムを提供する。
【解決手段】流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であって、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、40μm以下の薄い膜厚の光学フィルムの製造方法及びそれにより製造された光学フィルムに関する。
現在、タブレット用途の液晶表示装置の要望がますます増加しており、構成する部材もより一層の薄膜化、軽量化が要望されている。
液晶の偏光子保護部材である光学フィルム分野においても、30μm、20μmなどのさらなる薄膜化の要望が出ており、様々な方法で薄膜化を進めるべく検討が行われている。
i−padに代表されるタブレット用途で高精細な画面では、従来のモニター用途では問題とならなかった擦り傷が存在することが、本発明者らの検討で明らかになった。この擦り傷の評価方法については、擦り傷の確認にポラリオン クリーンルーム ライト NP−1(シーズシー有限会社製)を使用した。このライトを斜めから当てることで従来の光源では確認できなかった傷を確認することができる。
これは小さい画面で高精細にするため液晶セルをより小さくしたことにより、従来ではセル中でわずかにぼやける程度の変形や異物が目立つようになったためと推測される。
傷の発生位置は、偏光板に存在することが確認され、発生部位を特定するため構成しているフィルムを個々にポラリオンランプ(短波長の光源を用いることで微細なものを確認できる。)を用いて評価したところ、偏光子保護フィルムに同形状のものが存在していたことが判明した。該当部位をマーキングしてタブレットに加工し、原因であることが確認された。
工程内で生産中のフィルムをポラリオンランプを用いることで確認していくと搬送中の膜厚が端部と中央部で異なる個所で発生、増加しているように観察され、発生原因を推測するに、フィルムの膜厚が幅手で大きく異なるため、ローラと接触できる個所が厚い部分だけとなり、それ以外の部分がわずかなばたつき、摩擦力の偏差などによりローラと接したり接しなかったりするために傷が発生したと推測される。
ピンテンターは、クリップテンターよりも残留溶媒が多い状態でも保持してムラのない乾燥をさせることができ、高速生産に適した乾燥形態であるが、ピンという保持形態をとるため、保持部分の膜厚が一定以上薄くすると破れてしまうため薄くすることができないという問題を抱えている。
上記問題の解決方法としては、端部の膜厚を任意で制御できるように端部のみ流量を調節できるようにする方法や、両端部の膜厚変化を抑制するための方法の検討がなされてきた(例えば、特許文献1及び2参照。)これらの方法を用いることで、確かに端部の膜厚制御は改善するが、前記特許文献1に開示されている方法は、ピンテンター保持部分だけでなく、その内側まで膜厚の変動影響が出てしまい、製品にできる幅が狭くなる。つまり生産効率が低下する問題があった。前記特許文献2に開示されている方法では、膜厚を変えた場合の端部の剥離残りは制御できるようになったが、このままでは乾燥時の端部膜厚と製品部膜厚が20μm以上異なる製膜を行うと搬送時に擦り傷が発生することが分かった。
また、特許文献3に記載の方法では、端部のカール部位が折れこむことはないが、膜厚に差のあるものを今回のような擦り傷なく搬送することができる方法ではなかった。
特開2005−279956号公報 特開2008−265271号公報 特許第3969646号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、薄い膜厚の光学フィルムの製造の際に、擦り傷や端部のカールの発生を防止できる光学フィルムの製造方法を提供することである。また、当該製造方法を用いて製造した光学フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において搬送ローラの形状と製膜時のフィルム(ウェブ)の膜厚との関係で擦り傷が発生することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であって、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記ローラ本体の径と当該ローラ本体の両側端部の径との差が、20μm以上であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記幅手方向において膜厚が変化する部分の長さが、5cm以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法により製造された光学フィルムであって、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする光学フィルム。
本発明の上記手段により、薄い膜厚の光学フィルムの製造の際に、擦り傷や端部のカールの発生を防止できる光学フィルムの製造方法を提供することができる。また、当該製造方法を用いて製造した光学フィルムを提供することができる。
光学フィルムの製造工程の概要を示す模式図 本発明に係る搬送ローラと樹脂フィルムとの位置関係を表す模式図 搬送ローラの形状と樹脂フィルムの膜厚等との関係を表す模式図 搬送ローラの形状と樹脂フィルムの膜厚等との関係を表す模式図 搬送ローラの形状と樹脂フィルムの膜厚等との関係を表す模式図
本発明の光学フィルムの製造方法は、流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であって、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記ローラ本体の径と当該ローラ本体の両側端部の径との差が20μm以上であることが、膜厚の厚い部分もローラと接触して応力が加えられることで搬送中の変形が見られなくなることから、好ましい。また、前記幅手方向において膜厚が変化する部分の長さが、5cm以下であることが、搬送位置の変動が抑制できることから、好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、セルロースエステル樹脂を含有する光学フィルムの製造方法として適している。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(光学フィルムの製造方法の概要)
本発明の光学フィルムの製造方法は、流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であることを特徴とする。当該製造方法による光学フィルムの製造工程の概要を図1に示す。
本発明においては、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とすることを特徴とする。
図2に、本発明に係るローラと樹脂フィルムとの位置関係を表す模式図を示す。
なお、本願において、「乾燥膜厚」とは、樹脂フィルム(ウェブ)中に含有されている有機溶媒や水分を5質量%以下にしたときの膜厚をいう。
また、「樹脂フィルムの端部」とは、当該樹脂フィルムの幅手方向の端から30cm以内の領域部分のことである。「保持部」とは、端部で幅方向の収縮を制御するための保持手段で固定する部分のことである。
〈ローラの形状と擦り傷との関係〉
本発明の光学フィルムの製造方法は、下記検討の過程において得た知見に基づき、発明として、完成させたものである。
(a)フィルム(ウェブ)膜厚が厚い部分に張力あるいは応力を集中させないことが擦り傷の改善につながると考え、幅手で太さの異なるローラを用いて改善を検討したが、当該膜厚が変化している個所の膜厚が容易に変化するため、連続的に太さが変化するローラでは、擦り傷が出てしまうことが分かった。
(b)そこで、搬送されるウェブの乾燥膜厚が製品部とピンテンター保持部分で20μm以上異なる場合に、ピンテンター保持部分に当たるローラ径が製品部分のローラの径と比べ、細いものを使用することで、擦り傷がなくなることが分かった。
(c)また、溶液製膜においては、前記特許文献3に記載されているように、長期生産時において折れこみとなり、搬送しているフィルムが破断して、生産がストップする懸念となるような端部がカールしてローラから浮きあがっている現象が確認されていた。しかし、本発明の製造方法で製膜した場合には、このカールが改善していることが分かった。
なお、擦り傷が改善していることを確認するため、製膜中にフィルム搬送位置を確認したところ、擦り傷は確認できなかったものの端部のローラとの接触力が経時で変化するためかフィルム搬送位置のずれが起きやすいことが分かった。
(d)そこで、検討を続け、膜厚が変化する部分の幅が5cm以下となるようにすることで、この搬送位置ずれも改善できることが分かった。
なお、前記特許文献1〜3に開示されている方法では、幅手の膜厚が連続的に変化するため、5cm以下という幅で膜厚を制御することは難しかった。
当該特許文献に開示されている方法よりも短い幅手での膜厚調整方法としては、ダイスのスリット間隙を幅手で変化させたものを用いる方法や、端部のみ逐次で流延する方法がある。膜厚が変化する部分の幅を5cm以下にできるなら、これらのうち、又は、これ以外のどのような方法を用いてもよい。
〈ピンテンターによる保持と膜厚との関係〉
(a)ピンテンターは、クリップテンターよりも残留溶媒が多い状態でも保持してムラのない乾燥をさせることができ、高速生産に適した乾燥形態である。しかし、薄膜のものを製造しようとした場合、ピンテンターでは、ある程度以上薄い膜厚のものは膜強度が足りず、保持できない。したがって、ピンテンターの保持部分と製品となる部分で膜厚差が生じざるを得ない。
(b)膜厚差を作る方法は既知であるが、その方法で製膜した場合はi−padに代表されるタブレット用途で高精細な画面では、従来のモニター用途では問題とならなかった傷が存在することが、本発明者らの検討により、見出された。これは、小さい画面で高精細にするため液晶セルをより小さくしたことにより、従来ではセル中でわずかにぼやける程度の変形や異物が目立つようになったためと推測された。
〈擦り傷の発生箇所と発生原因〉
(a)擦り傷の原因を確認すべく調査した結果、擦り傷は偏光板に存在していることが判明した。さらに、偏光板を構成しているフィルムを個々にポラリオンランプ(短波長の光源を用いることで微細なものを確認できる)を用いて評価したところ、当該擦り傷は偏光子保護フィルムに存在していることが判明した。
(b)光学フィルム製造工程内で、生産中のフィルムをポラリオンランプを用いることで確認していくと、擦り傷は、搬送中の膜厚が端部と中央部で異なる個所で発生し、増加しているように観察された。
上記事実より、擦り傷の発生原因は、フィルムの膜厚が幅手で大きく異なるため、ローラと接触できる個所が厚い部分だけとなり、それ以外の部分がわずかなばたつき、摩擦力の偏差などによりローラと接したり接しなかったりするために擦り傷が発生したと推測された。
〈ローラの形状の改善〉
(a)光学フィルムの製造方法を検討する過程において、当初、上述のように、膜厚が厚い部分に張力あるいは応力を集中させないことが改善につながると考え、図3に示すような幅手で太さの異なるローラを用いて改善を検討したが、このようなローラでは、幅手の膜厚が常に一定ではなく、経時でわずかに変動するためか、擦り傷の改善はほとんど見られなかった。
(b)そこで、多少の膜厚変動により、接触面積が変化しないようなローラ形状にする必要があると考え、図4に示すように、膜厚の厚い部分が接触するローラを製品部分が接触するローラよりも径を小さくすることで改善することを見出した。
この方法により、製品部分は均一に張力及び応力がかかるようにでき、擦り傷が改善した。ローラ径差が20μm以上ある場合は膜厚の厚い部分もローラと接触して応力が加えられることで搬送中の変形がみられなくなることが分かった。
(c)しかし、擦り傷が改善した状態でフィルムの搬送状態を確認したところ、フィルムの搬送位置が変動していることが分かり、確認できない擦り傷の懸念があるため更なる改善を検討した。
改善方法として、ローラが細くなっている個所の中で、フィルムの膜厚が変動する幅を5cm以下とすることでローラの太さが異なる個所との引っかかりが強くなるためか、搬送位置の変動が抑制できることが分かった。
(d)上述のように、本発明の光学フィルムの製造方法は、上記知見等を踏まえ、完成させたものであるが、好ましいローラの態様としては、ローラ本体の径と当該ローラ本体の両側端部の径との差(図5におけるローラ径差L1)が、20μm以上であることが好ましい。また、幅手方向において膜厚が変化する部分の長さ(図5における端部膜厚変化幅L2)が、5cm以下であることが好ましい。
〈光学フィルムの製造方法〉
本発明の光学フィルムの製造方法は、流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であって、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とする。
本発明の実施態様としては、前記ローラ本体の径と当該ローラ本体の両側端部の径との差が20μm以上であることが好ましい。より具体的には30〜60μmであることがより好ましい。この範囲にすると、膜厚の厚い部分もローラと接触して応力が加えられることで搬送中の変形が見られなくなる。また、前記幅手方向において膜厚が変化する部分の長さが、5cm以下であることが、搬送位置の変動が抑制できることから、好ましい。
以下、本発明の光学フィルムの製造方法の一例について詳細な説明をするが、本発明はこれに限定されるものではない。
(有機溶媒)
光学フィルムを溶液流延法で製膜する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂等のフィルム基材樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
光学フィルムを溶液流延法で製膜する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂等のフィルム基材樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂と、アクリル粒子の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
(溶液流延法)
溶液流延法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースエステル樹脂等の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜30質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、光学フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では、一般にローラ乾燥方式(上下に配置した多数のローラにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(延伸工程)
本発明の光学フィルムは少なくとも一方向に1.1倍以上1.5倍以下の延伸処理を行って位相差を制御することが好ましい。
本発明の光学フィルムは、下記式(I)により定義される面内リターデーション値Roが、温度23℃・相対湿度55%RHの環境下で、光波長590nmで測定したとき、0〜20nmの範囲内であり、下記式(II)により定義される厚さ方向のリターデーション値Rtが0〜20nmの範囲内であることが好ましい。
面内リターデーション値Roは、より好ましくは0〜10nmであり、厚さ方向のリターデーション値Rtは、より好ましくは0〜10nmの範囲内であることが好ましい。
式(I):Ro=(n−n)×d(nm)
式(II):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
(式中、Roはフィルム内の面内リターデーション値を表し、Rtはフィルム内の厚さ方向のリターデーション値を表す。また、dは光学フィルムの厚さ(nm)を表し、nはフィルムの面内の最大の屈折率を表し、遅相軸方向の屈折率ともいう。nはフィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率を表し、nは厚さ方向におけるフィルムの屈折率を表す。いずれも波長590nmにおける測定値である。)
上記リターデーション値は、例えばKOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
延伸は、フィルムの長手方向(MD方向)、及び幅手方向(TD方向)に対して、逐次又は同時に行うことができる。本発明の光学フィルムは少なくとも一方向に1.1倍以上1.5倍以下、より好ましくは1.2倍以上1.5倍以下の延伸処理を行って位相差を付与することが好ましく、例えばMD方向、又はTD方向の一方向に1.1〜1.5倍の範囲で行ったり、MD方向、TD方向の両方に1.1〜1.5倍の範囲で行ったりすることが好ましいが、少なくともTD方向に1.1〜1.5倍の範囲で行うことが長尺のロール状偏光板を製造する上で好ましい。
延伸は、複数のローラに周速差をつけ、その間でローラの周速差を利用してMD方向に延伸する方法、ウェブの両端をピン又はクリップで固定し、ピン又はクリップの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、あるいはMD/TD方向同時あるいは別々に広げてMD/TD両方向に延伸する方法などが挙げられる。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは幅手方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、本発明では、ピンテンターを用いることを特徴とする。
延伸後、フィルムの端部をスリッターにより製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング及びバックローラよりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻き取り機によって巻き取る。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
フィルム幅は1.2〜4mであることが好ましく、1.4〜3mであることがより好ましく、1.5〜2.5mであることが更に好ましい。
光学フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、インチは2.54cmを表す。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
(光学フィルムを構成する樹脂)
本発明に係る光学フィルムは、それを構成する材料として、従来、光学フィルムに用いられている種々の樹脂を用いることができる。
例えば、セルロースエステル樹脂(以下、「セルロースエステル」ともいう。)、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルエーテル樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む。)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレ−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。なかでも、一種にセルロースエステル樹脂を用いることが好ましい。また、総アシル置換度や置換基の異なる異種のセルロースエステルを組み合わせてもよいし、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類などのセルロース誘導体をセルロースエステルと組み合わせて使用することも好ましい。
《セルロースエステル樹脂》
本発明の光学フィルムを構成するセルロースエステル樹脂(以下、セルロースエステルともいう。)としては、位相差特性等の得られるフィルムの特性を鑑みると、セルロースの低級脂肪酸エステルを使用するのが好ましい。
本発明において、セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が5以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースピバレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましいものとして挙げられる。力学特性と溶融製膜性の双方を両立させるために、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等のように混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。
製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。
(その他添加剤等)
光学フィルムには、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、一般的な可塑剤を本発明の効果を阻害しない範囲で併用することもできる。可塑剤は光学フィルム100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。
光学フィルムは紫外線吸収剤を含有することもでき、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
さらに、光学フィルムには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、光学フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
本発明に係る光学フィルムは、滑り性や光学的、機械的機能を付与するためにマット剤を添加することができる。マット剤としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。
マット剤の形状は、球状、棒状、針状、層状、平板状等の形状のものが好ましく用いられる。マット剤としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の金属の酸化物、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。
中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。これらの微粒子は有機物により表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜14nmである。これらの微粒子は、光学フィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させるために好ましく用いられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600、NAX50等、日本触媒(株)製のKE−P10、KE−P30、KE−P100、KE−P150等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972V、NAX50、KE−P30、KE−P100である。これらの微粒子は二種以上併用してもよい。
光学フィルムは、「延性破壊が起こらないフィルム」であることが好ましい。ここで、延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じる破断のことであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。その破面には、ディンプルと呼ばれる窪みが無数に形成される特徴がある。
「延性破壊が起こらないフィルム」であるか否かは、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないことにより評価できる。
また、光学フィルムは、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
ここで欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。
かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を基点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
光学フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
また、製膜時のフィルム接触部(冷却ローラ、カレンダーローラ、ドラム、ベルト、溶液流延製膜における塗布基材、搬送ローラなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることや、アクリル樹脂の屈折率を小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
《偏光板》
本発明の光学フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明の光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の光学フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることができる。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UY、KC8UY、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。また、これらセルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。上記アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、同6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
液晶セルから遠い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能性層を配置することも可能である。例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイとしての公知の機能性層が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、セルロースエステル樹脂を含むため、セルロースエステル固有のケン化を活用してアルカリ処理工程を活用することができる特徴がある。これは、偏光子を構成する樹脂がポリビニルアルコールであるとき、従来の偏光板保護フィルムと同様に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて偏光板保護フィルムと貼合することができる。このために本発明は、従来の偏光板加工方法が適用できる点で優れており、特に長尺状であるロール状偏光板が得られる点で優れている。100m以上の長尺の巻物であることが好ましく、1500m、2500m、5000mとより長尺化する程、偏光板製造の製造的効果を得る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(ドープの調製)
まず、メチレンクロライド475質量部及びエタノール50質量部を入れた溶解タンクに、透明性樹脂としてセルローストリアセテート樹脂(アシル基置換度:2.8(酢化度:61%)、質量平均分子量Mw:300000、数平均分子量Mn:100000)85質量部を添加し、さらに、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5質量部、メチルメタクリレート−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体(80/20(質量比)、質量平均分子量Mw:8000、数平均分子量Mn:4000)8質量部、負の配向複屈折性を有する化合物としてメチルアクリレート重合体(質量平均分子量Mw:1000、数平均分子量Mn:800)5質量部を添加した。そして、液温が80℃以上になるまで昇温させた後、3時間攪拌した。そうすることによって、アクリル樹脂含有セルローストリアセテート樹脂溶液が得られた。その後、液温が43℃になるまで冷却した。そして、得られた樹脂溶液を、濾過精度0.005mmの濾紙を使用して濾過した。濾過後の樹脂溶液を一晩放置することにより、樹脂溶液中の気泡を脱泡させた。このようにして得られた樹脂溶液を、ドープとして使用して、以下のように、樹脂フィルム(アクリル樹脂含有セルローストリアセテートフィルム)を製造した。
なお、前記メチルアクリレート重合体は、特開2000−128911号公報に記載の実施例3に準じた方法で得られたものであって、ヒドロキシ(水酸基)価(OHV)が50mgKOH/gであった。
(光学フィルムの製造)
(実施形態1)
上記、ドープを無端支持体(ドラム)にドープ温度30℃、支持体温度15℃で流延し、流延にはダイスへのドープ供給口を三つ着けたものを使用し、幅手の流量を変化させることで中央部乾燥膜厚と端部膜厚の調整を実施した。
支持体上でウェブが形成され、剥離時に10℃以下まで冷却することでウェブ中の残溶が約200%となるように乾燥、剥離した。剥離後、ピンテンターに導入し、端部の膜厚部分のみにピンが刺さるようピンの幅などを調整したピンで保持しながら、乾燥させた。乾燥時は下側からの乾燥風を強めに供給し、自重によるたるみ、ウェブの伸びが発生しないよう調整した。
中央部分の残溶が100%以下となったところでピンテンターからはずし、ローラにて搬送しながら端部の切除を行った。
切除したフィルムは、適宜、延伸、乾燥などの追加処理を経て巻き取られ製品となる。
その際、支持体からの剥離から、膜厚の変化部分が製品部分から切除されるまでの搬送ローラを全て本発明で対象となるローラとし、本発明の効果の検討を行った。
ピンテンターでの乾燥の際、8時間の稼働中に破断しなかった端部の乾燥膜厚は60μm以上であり、端部膜厚は60μm以上として中央部乾燥膜厚、端部のローラ径差を変化させた。
膜厚の測定方法は、端部膜厚はスリット後に回収したスリットフィルムを120℃・20分乾燥後、中央部乾燥膜厚は最後に巻き取った後でSONY製デジタルマイクロメーター M−30 によって測定した。条件と結果を表1に示す。
Figure 2013091195
ピン保持状態の評価:製膜中に保持部分で破断しなかったものを○とした。
擦り傷評価:ポラリオン クリーンルーム ライト NP−1(シーズシー有限会社製)を使用して、下記基準に基づき評価を行った。
×:擦り傷を確認できる
○:擦り傷を確認できない
カール量の評価:搬送中のフィルムの折れこみにつながるような端部のカール量を評価した。なお、カール量の評価は、ローラにフィルムがラップ角180°以下の個所でローラにかかっている(重なっている)部分の長手方向中央部でフィルムの端部がローラから浮きあがっている長さを実測した。
Figure 2013091195
表2に示した結果から明らかなように、ローラ径差を大きくすることにより、カールの量が改善していることが分かる。
(実施形態2)
実施形態1と同様の方法で製膜するが、ドープを無端支持体(ドラム)にドープ温度30℃、支持体温度15℃で流延し、続けて両端部に端部から5%の幅にあたる部分で2度目の流延を実施し、膜厚が変化する部分の幅が3cmとなるよう製膜した。
この時、ローラ上でのフィルム搬送位置がずれている量を比較した。
Figure 2013091195
表3に示した結果から、端部の膜厚変化幅を小さくすると、位置変動幅も小さくなることが分かる。
1 流延ダイ
2 支持体
3 搬送ローラ
4 ピン
5 ピンテンター
6 搬送ローラ
7 巻き取り部
8 フィルム(ウェブ)
9 カール部分
10 他の図では図示していないピンテンター保持部分
11 搬送ローラ本体
12 搬送ローラ本体の端部
13 搬送ローラの軸
L1 ローラ径差(ローラ本体の径とローラ端部の径の差)
L2 端部膜厚変化幅

Claims (4)

  1. 流延ダイを用いてドープを支持体上に流延させ、これを樹脂フィルムとして剥ぎ取った後に、ピンテンターにより前記樹脂フィルムの両側端部を保持しながら搬送して加熱・乾燥し、前記樹脂フィルムの両側端部、保持部及び幅手方向において膜厚が変化する部分を裁断除去して製品フィルムとする光学フィルムの製造方法であって、前記搬送のためのローラとして、ローラ本体とこのローラ本体よりも小径の両側端部とからなる搬送用ローラを用いて、製品外となる前記樹脂フィルムの端部の乾燥膜厚が60μm以上であり、かつ中央部の乾燥膜厚が40μm以下となるように製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記ローラ本体の径と当該ローラ本体の両側端部の径との差が、20μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記幅手方向において膜厚が変化する部分の長さが、5cm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法により製造された光学フィルムであって、セルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする光学フィルム。
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