以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施の形態における電子打楽器1について説明する。図1は本発明の第1実施の形態における電子打楽器1の平面図であり、図2は電子打楽器1の底面図である。なお、図2の紙面右側を奏者側とする。
図1及び図2に示すように、電子打楽器1は、アコースティックシンバルを模した電子打楽器である。電子打楽器1は、表面が打撃される円板状のパッド10と、パッド10の振動を検出する振動センサ2と、圧力変化を検出するシート状の圧力センサ20と、圧力センサ20を押圧する錘部材30とを備えている。なお、パッド10は円板状に限らず、扇板状や、板の平面形状が多角形状、楕円形状のパッド10を用いることは当然可能である。
パッド10は、アコースティックシンバルの形状を模して形成された青銅製の部材であり、中心に設けられる支持孔10aでスタンド(図示せず)に揺動可能に支持される。パッド10は、中心部分に形成される椀状のベル部12(中央部)と、ベル部12の外縁から鍔状に延びて設けられる円環状のボウ部14(中央部)と、ボウ部14の外周端部分を構成するエッジ部16(外周端部)とからなる。なお、本明細書では、パッド10の外周端から少なくとも圧力センサ20のベル部12側の端部までの範囲をエッジ部16とする。
振動センサ2は、ピエゾセンサであり、ベル部12の裏面の支持孔10aよりも奏者側に装着される。圧力センサ20は、エッジ部16の裏面の奏者側の半周に亘って円弧状に設けられて(パッド10の外周に沿って延びて)エッジ部16の裏面に装着される。錘部材30は、圧力センサ20のベル部12側を覆うように圧力センサ20の形状に沿ってエッジ部16(圧力センサ20)の周方向へ連続的に設けられる。パッド10の表面には、センサ等が装着されていないので、外観をアコースティックシンバルに近づけることができる。
次に、図3を参照して、圧力センサ20及び錘部材30について説明する。図3は、図2のIII−III線における電子打楽器1の切断端面図である。圧力センサ20は、特定の演奏動作が行われたことを検出するセンサである。その特定の演奏動作とは、エッジ部16を打撃する操作、及び、エッジ部16を手で掴んで発生した楽音をミュートするチョーク奏法を指す。
図3に示すように、圧力センサ20は、圧力変化を検出するシート状のメンブレンスイッチであり、裏面がエッジ部16の裏面に接着される。圧力センサ20は、円弧状に形成される一対のフィルム22と、一対のフィルム22の周縁に沿って一対のフィルム22同士を連結するスペーサ24と、フィルム22とスペーサ24とに囲まれた円弧状の空間に沿って各フィルム22にそれぞれ設けられる一対の電極26とを備えている。
なお、圧力センサ20の裏面の全面をエッジ部16の裏面に接着すると、奏者により強く打撃されたパッド10が大きく変形したときに、圧力センサ20がエッジ部16から剥がれたり、電極26が断線したりするおそれがある。圧力センサ20に生じる応力を抑制するために、エッジ部16の裏面に圧力センサ20を部分的に接着することが好ましい。また、エッジ部16に圧力センサ20を接着する場合に限らず、圧力センサ20の両端をリベット等でエッジ部16に部分的に固定することも可能である。
圧力センサ20は、スペーサ24の厚さ(フィルム22の対向方向の寸法)の2分の1よりも電極26の厚さが小さいので、一対の電極26が互いに所定間隔空けて対向する。圧力センサ20は、ベル部12側のスペーサ24と、パッド10の外周端側のスペーサ24との間の範囲であり、フィルム22が変形可能な範囲(変形可能範囲D)の表面が押圧されることで、表面側のフィルム22が変形する。その変形により一対の電極26が互いに接触することで、圧力センサ20から電気信号が出力されて、圧力センサ20はフィルム22に加えられる(圧力センサ20自身が受ける)圧力変化を検出する。
錘部材30は、硬度(JISK6253−3:2012に基づく硬さ)が70度に設定されたゴム製の円弧状の部材であり、圧力センサ20の変形可能範囲Dの表面に非接着状態で接触する錘部32と、圧力センサ20よりもベル部12側の位置でパッド10に接着されて固定されると共に錘部32に連結される連結部34とを備えている。錘部32及び連結部34は錘部材30の周方向に亘って設けられる。なお、錘部材30を構成するゴムの硬度は70度に限らず、50度以上(又は50度よりも高く)かつ90度以下(又は90度未満)であることが好ましい。さらに好ましくは、錘部材30を構成するゴムの硬度が60度以上(又は60度よりも高く)かつ80度以下(又は80度未満)である。
錘部32は、圧力センサ20へ向かって変形可能範囲Dよりも小さい幅で径方向断面が矩形状に張り出す張出部33が圧力センサ20の変形可能範囲Dと接触する。なお、張出部33の径方向断面は矩形状に限らず、張出部33の径方向断面を三角形状や円弧形状等に形成することが可能である。錘部32は、張出部33とは反対側に向かって(圧力センサ20から離れるように)膨らんで形成され、この膨らみ量を適宜設定することで錘部32の質量が設定される。
連結部34は、パッド10の裏面から略垂直に延びる厚肉部35と、厚肉部35から錘部材30の径方向外側へ向かって延びて錘部32と連結される、厚肉部35よりも厚さ(フィルム22の対向方向の寸法)が小さい薄肉部36とを備えている。薄肉部36により連結部34を曲げ易くできる。
次に図4を参照して、パッド10が打撃されたときの動作について説明する。図4は、電子打楽器1のパッド10のエッジ部16が打撃された状態を示す電子打楽器1の切断端面図である。図4に示すように、エッジ部16がスティックSで打撃されると、パッド10が振動して振動センサ2(図2参照)が振動を検出する。パッド10(エッジ部16)は青銅製なので、打撃の感触をアコースティックシンバルに近づけることができる。
さらに、エッジ部16を打撃したときには、パッド10が支持孔10aを中心に揺れて、打撃された側のエッジ部16が錘部32側(図4紙面下側)へ移動する。一方、錘部32と圧力センサ20とが非接着であり、錘部材30(連結部34)がゴム製であるので、連結部34が曲げ変形する片持ち状態の錘部材30の自由端である錘部32は、慣性によりその場に留まろうとする。これにより、圧力センサ20の表面からパッド10の裏面へ向かう慣性力が錘部32に作用し、錘部32が圧力センサ20の変形可能範囲Dを押圧できる。エッジ部16を弱く打撃した場合(エッジ部16の弱打時)であっても錘部32には所定の慣性力が作用して錘部32が圧力センサ20を押圧するので、エッジ部16の弱打時でも圧力センサ20は圧力変化を検出できる。従って、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
錘部32が圧力センサ20に接着される場合、フィルム22の変形が錘部32の剛性に影響されるので、フィルム22の変形が妨げられて圧力センサ20の検出感度が低下するおそれがある。さらに、圧力センサ20と錘部32との間に接着剤が硬化した接着層が生じるので、接着層により圧力センサ20の検出感度が低下するおそれがある。これに対し、本実施の形態では、圧力センサ20と錘部32とが非接着なので、錘部32の剛性や接着層による圧力センサ20の検出感度の低下を防止できる。その結果、錘部32が圧力センサ20に接着される場合と比べて、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
片持ち状態の錘部材30の連結部34が曲がり難い場合には、パッド10と連結部34とが一体に動き易く、パッド10及び圧力センサ20と錘部32とが同時に動き易くなる。この場合、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力が小さくなる。これに対し、本実施の形態では、薄肉部36により連結部34を曲げ易くできる。その結果、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力が連結部34により低下することを抑制できるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
また、錘部材30を構成するゴムの硬度が90度よりも高い場合、連結部34が曲がり難く、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力が小さくなるので、打撃に対する圧力センサ20の検出感度が悪くなる。一方、錘部材30を構成するゴムの硬度を90度以下(本実施の形態では70度)に設定することで、連結部34を曲げ易くして、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力を大きくできるので、打撃に対する圧力センサ20の検出感度が向上して圧力センサ20の検出精度をより向上できる。なお、錘部材30を構成するゴムの硬度が低い程、連結部34を曲げ易くできるので、連結部34の曲げ易さによる打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
錘部材30を構成するゴムの硬度が50度よりも低い場合には、錘部32が圧力センサ20を押圧するときに、錘部32に作用する慣性力の方向に対して略垂直な方向へ錘部32(張出部33)が比較的大きく潰れるおそれがある。この場合、打撃後に錘部32の収縮・膨張による振動が収束するまでの時間が長くなり圧力センサ20が誤検出を起こし、打撃に対する圧力センサ20の検出精度が悪くなるおそれがある。一方、錘部材30を構成するゴムの硬度を50度以上に設定することで、錘部32(張出部33)の潰れを抑制して、錘部32の振動が収束するまでの時間を短くできるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。なお、錘部材30を構成するゴムの硬度が高い程、錘部32の潰れを抑制できるので、錘部32の振動による打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
支持孔10aを中心に揺動する円形状のパッド10のエッジ部16の所定位置を打撃すると、支持孔10a及び打撃位置を通る直線上に位置する部分のエッジ部16が最も大きく揺れて、そのエッジ部16の裏面に位置する部分の錘部32には最も大きい慣性力が作用する。ゴム製の錘部32により錘部32の周方向の一部を弾性変形させることができるので、最も大きい慣性力が作用する部分の錘部32を弾性変形させて圧力センサ20を押圧できる。その結果、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。さらに、錘部32を構成するゴムの硬度が低い程、錘部32は周方向の一部を弾性変形させ易いので、錘部材30を構成するゴムの硬度を90度以下に設定することで、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
圧力センサ20の変形可能範囲Dを押圧する張出部33の幅が変形可能範囲Dよりも小さいので、張出部33の押圧によるフィルム22の変形がスペーサ24により妨げられることを防止できる。張出部33により圧力センサ20の変形可能範囲Dを確実に押圧できるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
ベル部12又はボウ部14がスティックSで打撃されると、パッド10が振動して振動センサ2が振動を検出する。さらに、ベル部12又はボウ部14を打撃した場合、打撃する強さが同じであればエッジ部16を打撃した場合と比べてエッジ部16の揺れが小さいので、錘部32に作用する慣性力を小さくできる。そのため、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力を小さくでき、圧力変化を圧力センサ20が検出し難くできるので、ベル部12又はボウ部14を打撃した場合の圧力センサ20の誤検出を抑制できる。なお、ベル部12又はボウ部14を打撃した場合でも、打撃する強さによって圧力センサ20が圧力変化を検出することがある。
上述したようにパッド10を打撃したとき、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力により圧力センサ20が圧力変化を検出するので、錘部32の質量が大きい程、打撃に対する圧力センサ20の検出感度を向上できる。しかし、錘部32の質量を大きく設定すると、エッジ部16を打撃した場合だけでなく、ベル部12又はボウ部14を打撃した場合も同様に、打撃に対する圧力センサ20の検出感度が向上する。そのため、エッジ部16を打撃した場合の圧力センサ20の検出感度と、ベル部12又はボウ部14を打撃した場合の圧力センサ20の検出感度とのバランスを考慮して錘部32の質量が設定される。これにより、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
また、電子打楽器1の演奏時、打撃により振動するパッド10のエッジ部16を手で掴むチョーク奏法が行われる。チョーク奏法では、エッジ部16を手で掴んだときに圧力センサ20が検出する圧力変化に基づいて、発生した楽音をミュートする。圧力センサ20の変形可能範囲Dの表面に錘部32が設けられるので、奏者がエッジ部16を掴むチョーク奏法を行うときに手が錘部32に当たる。そのため、錘部32を介して圧力センサ20を確実に押圧できる。さらに、圧力センサ20から離れるように膨らんで錘部32が形成されるので、錘部32を認識し易くでき、より確実に圧力センサ20を押圧できる。
なお、パッド10の所定箇所を打撃したときから、振動センサ2まで振動が伝達するのに要する時間(以下「振動伝達時間」と称す)と、圧力センサ20に圧力変化を与えるための押圧力が圧力センサ20に加わるまでに要する時間(以下「圧力伝達時間」と称す)とは異なる。振動伝達時間は、パッド10(ボウ部14及びエッジ部16)を構成する材質の振動伝達時間、及び、打撃位置から振動センサ2までの距離によって決定される。なお、パッド10を構成する材質の振動伝達時間は打撃の強弱に依存しない。一方、圧力伝達時間は、パッド10が傾く速度(打撃の強弱)、錘部32に作用する慣性力や、錘部32(錘部材30)の変形や運動を妨げる力の大小に依存する。振動伝達時間と圧力伝達時間との時間差によって、エッジ部16を打撃した場合、打撃位置に近い圧力センサ20が圧力変化を検出するよりも先に、振動センサ2が振動を検出することがある。
そのため、電子打楽器1は、振動センサ2及び圧力センサ20の出力値に基づいて、打撃位置検出装置40aにより打撃位置を検出して楽音を発生するための音源装置40を備えている。図5を参照して、電子打楽器1に適用される音源装置40の詳細構成について説明する。図5は音源装置40の電気的構成を示すブロック図である。
音源装置40は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、操作パネル44と、入力部45と、音源46と、デジタルアナログコンバータ(DAC)47とを備え、各部41〜47がバスライン48を介して互いに接続される。なお、打撃位置検出装置40aは、CPU41と、ROM42と、RAM43とから構成される。入力部45には、パッド10に装着される振動センサ2及び圧力センサ20が接続される。
CPU41は、ROM42に記憶される固定値やプログラム、RAM43に記憶されているデータなどに従って、音源装置40の各部を制御する中央制御装置である。CPU41は、クロック信号を計数することにより、時刻を計時するタイマ(図示せず)を内蔵している。
ROM42は、書き替え不能な不揮発性メモリであって、CPU41や音源46に実行させる制御プログラム42aや、この制御プログラム42aが実行される際にCPU41により参照される固定値データ(図示せず)などが記憶される。なお、図9〜11のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム42aに基づいて実行される。
RAM43は、書き替え可能な揮発性メモリであり、CPU41が制御プログラム42aを実行するにあたり、各種のデータを一時的に記憶するためのテンポラリエリアを有する。RAM43のテンポラリエリアには、リングバッファ43aと、ピークホールド中フラグ43bと、ピークホールド値メモリ43cと、ピークホールド用カウンタ43dとが設けられている。RAM43に設けられている上記各部43a〜43dは、いずれも音源装置40に電源が投入されたときに初期化される。
リングバッファ43aは、圧力センサ20の出力値を時系列に記憶するバッファである。リングバッファ43aへの書き込みは、リングバッファ43aの格納位置の先頭から順に行われ、その書き込みがリングバッファ43aの格納位置の終端へ至ると、再度リングバッファ43aの格納位置の先頭に戻って、その格納位置の先頭から書き込みが継続される。なお、リングバッファ43aは、本実施の形態では9個分のデータを保持可能に構成され、リングバッファ処理(音源制御処理)の実行周期が400μsecであるので、圧力センサ20の出力値は3.2msecに亘りリングバッファ43aに保持される。
ピークホールド中フラグ43bは、ピークホールド用カウンタ43dによるピークホールド時間Tp(図6〜8参照)の計時中であるか否かを示すフラグであり、初期状態はオフに設定される。具体的に、ピークホールド中フラグ43bがオンに設定されている場合には、ピークホールド時間Tpの計時中であることを示す。ピークホールド中フラグ43bは、ピークホールド用カウンタ43dによる計時が開始されるときにオンに設定され、当該計時が終了するとオフに設定される。なお、本実施の形態ではピークホールド時間Tpは2msecに設定される。
ピークホールド値メモリ43cは、入力部45を介して振動センサ2から入力された振動センサ2の出力値のピークレベルを保持するメモリである。入力部45を介して振動センサ2の出力値の入力が開始されると、所定のピークホールド時間Tp内において、CPU41がサンプリングした振動センサ2の出力値が最大値を更新する毎に、その値がピークホールド値メモリ43cに記憶される。ピークホールド時間Tpの終了時におけるピークホールド値メモリ43cの値が、振動センサ2の出力値のピークレベル(最大値)とされる。
ピークホールド用カウンタ43dは、振動センサ2の出力値のピークレベルを得るためのピークホールド時間Tpを計時するカウンタであり、初期値は0に設定される。ピークホールド用カウンタ43dは、振動センサ2の出力値の入力が開始された後、振動センサ2の出力値が所定値Vを超えた場合に初期化され、音源制御処理の実行周期毎に1が加算される。即ち、ピークホールド時間Tpの計時が開始されてから音源制御処理を行った回数をカウントする。なお、所定値Vは、振動センサ2の出力値に対して設けられる閾値であり、振動センサ2の出力値がノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値である。計時開始後、予め設定されているピークホールド時間Tpが経過すると、計時が停止される。
操作パネル44は、音量などの各種パラメータを設定する操作子と、その操作子により設定されたパラメータの値などを表示する表示器とが設けられたパネルであり、ユーザインタフェイスとして使用される。入力部45は、パッド10に装着された振動センサ2及び圧力センサ20を接続するインターフェイスである。振動センサ2から出力されたアナログ信号波形は、入力部45を介して音源装置40に入力される。入力部45には、アナログデジタルコンバータ(図示せず)が内蔵されている。振動センサ2及び圧力センサ20から入力されるアナログ信号波形は、アナログデジタルコンバータによって所定時間毎にデジタル値に変換される。CPU41は、入力部45において変換されたデジタル値に基づいて、パッド10の打撃位置の判断を行う。
音源46は、CPU41から楽音の発音指示を受けた場合に、その発音指示に従う音色および音量の楽音を発生する。音源46には、波形ROM(図示せず)が内蔵される。この波形ROMには、パッド10に対応する音色のデジタル楽音が記憶されている。また、音源46には、フィルタやエフェクトなどの処理を行う、図示されないDSP(Digital Signal Processor)が内蔵される。音源46は、発音指示がCPU41から入力された場合に、その発音指示に従う音色のデジタル楽音を波形ROMから読み出し、DSPにおいてフィルタやエフェクトなどの所定の処理を行い、処理後のデジタル楽音をDAC47へ出力する。DAC47は、入力されたデジタル楽音をアナログ楽音に変換し、音源装置40の外部に設けられるスピーカ4へ出力する。これにより、パッド10の打撃に基づく楽音がスピーカ4から放音される。
次に、図6、図7及び図8を参照して、打撃位置および打撃の強さによる振動センサ2からの出力波形と、圧力センサ20からの出力波形との関係について説明する。図6はエッジ部16を強打(比較的強く打撃)したときの振動センサ2及び圧力センサ20の出力波形を示すグラフであり、図7はベル部12又はボウ部14(中央部)を強打したときの振動センサ2及び圧力センサ20の出力波形を示すグラフであり、図8はエッジ部16を弱打(比較的弱く打撃)したときの振動センサ2及び圧力センサ20の出力波形を示すグラフである。
図6〜8に示す波形グラフは、縦軸が振動センサ2及び圧力センサ20それぞれの出力値を示し、横軸が時間を示す。但し、横軸は図6〜8の全てのグラフで同じスケールであるが、縦軸は図8のグラフが図6,7のグラフよりも小さいスケールとなっていると共に、図7の圧力センサ20の出力値のグラフが図6の圧力センサ20の出力値のグラフよりも小さいスケールとなっている。また、縦軸である振動センサ2の出力値と圧力センサ20の出力値とではスケールが異なる。図6〜8は、振動センサ2の出力値が所定値Vを超えたとき(振動センサ2が打撃に反応したとき)が時刻t0であり、時刻t0からピークホールド時間Tp(本実施の形態では2msec)経過後がt2である。
図6に示すように、エッジ部16の強打時では、圧力伝達時間および振動伝達時間の関係によりt0以前に圧力センサ20の出力値が立ち上がる(圧力センサ20が打撃に反応する)。図7に示すように、ベル部12又はボウ部14の強打時では、圧力伝達時間および振動伝達時間の関係によりt0後に圧力センサ20の出力値が立ち上がる。
図8に示すように、エッジ部16の弱打時では、圧力伝達時間および振動伝達時間の関係によりt0後に圧力センサ20の出力値が立ち上がる。また、図示はしないがベル部12又はボウ部14の弱打時では、圧力センサ20が打撃に反応せずに振動センサ2のみが打撃に反応する。
従来、ベル部12又はボウ部14を打撃したときには圧力センサ20が打撃に反応せずに振動センサ2のみが打撃に反応し、エッジ部16を打撃したときには振動センサ2及び圧力センサ20が打撃に反応していた。さらに、エッジ部16を打撃したときには振動センサ2が打撃に反応するよりも先(時刻t0以前)にエッジ部16に設けた圧力センサ20が打撃に反応していた。そのため、従来の音源装置では、振動センサ2が打撃に反応して圧力センサ20が打撃に反応したときにエッジ部16が打撃されたと判定し、振動センサ2が打撃に反応して圧力センサ20が打撃に反応していないときにベル部12又はボウ部14が打撃されたと判定していた。
一方、本実施の形態では、図7のグラフによれば、ベル部12又はボウ部14を強打した場合、振動センサ2だけでなく圧力センサ20が打撃に反応している。また、図8のグラフによれば、エッジ部16を弱打した場合、時刻t0後に圧力センサ20が打撃に反応している。そのため、従来の音源装置ではエッジ部16を打撃した場合でもベル部12又はボウ部14が打撃されたと判定されることがあった。
そこで、本実施の形態における音源装置40では、時刻t0後に圧力センサ20が反応したときの打撃がベル部12又はボウ部14への打撃によるものか、エッジ部16への打撃によるものかを判定するために、圧力伝達時間および振動伝達時間に基づいてTminを設定する。音源装置40では、振動センサ2よりも先に圧力センサ20が打撃に反応した場合、及び、時刻t0からTmin経過後の時刻t1以前に圧力センサ20が打撃に反応した場合にエッジ部16が打撃されたと判定し、時刻t1後に圧力センサ20が打撃に反応した場合にベル部12又はボウ部14が打撃されたと判定する。
次に、図9、図10及び図11を参照して、上記構成を有する音源装置40(打撃位置検出装置40a)のCPU41が実行する処理について説明する。図9は音源制御処理を示すフローチャートであり、図10はリングバッファ処理を示すフローチャートであり、図11は打撃位置判断処理を示すフローチャートである。
音源制御処理は、音源装置40に電源が投入されている間、CPU41に内蔵されるタイマ(図示せず)により周期的(本実施の形態では400μsec毎)に実行される。図9に示すように、CPU41は、音源制御処理に関し、リングバッファ処理を行った後(S10)、打撃位置判断処理を行い(S20)、本処理を終了する。
図10に示すように、CPU41は、リングバッファ処理(S10)に関し、そのときの圧力センサ20の出力値をリングバッファ43aの現在の格納位置に記憶する(S11)。次に、CPU41は、次回に実行されるリングバッファ処理(S10)での圧力センサ20の出力値の記憶に備えて、リングバッファ43aの格納位置を次に進め(S12)、S12において進められたリングバッファ43aの格納位置が終端を超えたか否かを判断する(S13)。
S13において、リングバッファ43aの格納位置が終端を超えたとCPU41が判断した場合(S13:Yes)、CPU41は、リングバッファ43aの格納位置を先頭に戻し(S14)、本処理を終了する。一方、リングバッファ43aの格納位置が終端を超えていないとCPU41が判断した場合(S13:No)、S14の処理をスキップして本処理を終了する。
図11に示すように、CPU41は、打撃位置判断処理(S20)に関し、ピークホールド中フラグ43bがオンであるか否かを判断する(S21)。S21において、ピークホールド中フラグ43bがオフであるとCPU41が判断した場合(S21:No)、ピークホールド時間Tpの計時中でないので、CPU41は、振動センサ2の出力値が所定値V(振動センサ2の出力値がノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値)以上であるか否かを判断する(S32)。
S32において、振動センサ2の出力値が所定値V未満であるとCPU41が判断した場合(S32:No)、CPU41は振動センサ2の出力値がノイズに基づくものであるとみなし、本処理を終了する。一方、S32において、振動センサ2の出力値が所定値V以上であるとCPU41が判断した場合(S32:Yes)、CPU41は振動センサ2の出力値が打撃に基づくものであるとみなす。次に、CPU41は、ピークホールド中フラグ43bをオンに設定し(S33)、ピークホールド値メモリ43cに振動センサ2の出力値を記憶し(S34)、ピークホールド時間Tpの計時を開始するためにピークホールド用カウンタ43dを初期化して(S35)、本処理を終了する。具体的に、S35においてCPU41はピークホールド用カウンタ43dを0にする。
一方、S21において、ピークホールド中フラグ43bがオンであるとCPU41が判断した場合には(S21:Yes)、ピークホールド時間Tpの計時中であるので、CPU41は、そのときの振動センサ2の出力値がピークホールド値メモリ43c(ピークホールド値メモリ43cに記憶された振動センサ2の出力値)よりも大きいか否かを判断する(S22)。
S22において、振動センサ2の出力値がピークホールド値メモリ43cよりも大きいとCPU41が判断した場合(S22:Yes)、CPU41はピークホールド値メモリ43cに振動センサ2の出力値を上書きして記憶し(S23)、処理をS24へ移行する。一方、S22において、振動センサ2の出力値がピークホールド値メモリ43c以下であるとCPU41が判断した場合(S22:No)、S23の処理をスキップしてCPU41は処理をS24へ移行する。
S24において、CPU41はピークホールド用カウンタ43dを進めるためにピークホールド用カウンタ43dに1を加算する(S24)。次に、CPU41はピークホールド用カウンタ43dが所定回数N以上か否かを判断する(S25)。本実施の形態ではS25で用いる所定回数Nを5回に設定する。
S25において、ピークホールド用カウンタ43dが所定回数N未満であるとCPU41が判断した場合(S25:No)、本処理を終了する。一方、S25において、ピークホールド用カウンタ43dが所定回数N以上であるとCPU41が判断した場合(S25:Yes)、CPU41はピークホールド時間Tpが経過したとみなし、ピークホールド中フラグ43bをオフにし(S26)、処理をS27へ移行する。本実施の形態では、振動センサ2の出力値が所定値V以上である(振動センサ2の出力値が打撃に基づくもの)と判断されたときのピークホールド用カウンタ43dを0として、400μsec毎に実行される音源処理の実行毎に加算されるピークホールド用カウンタ43dが5に達した場合に、ピークホールド中フラグ43bをオフにする。即ち、振動センサ2の出力値が打撃に基づくものと判断されたときから2msec経過すると、CPU41はピークホールド時間Tpが経過したとみなし、ピークホールド中フラグ43bをオフにする。
S27において、CPU41は、リングバッファ43a中(リングバッファ43aに格納されている圧力センサ20の出力値のうち)の最大値が所定値P以上であるか否かを判断する(S27)。なお、所定値Pは、リングバッファ43a中の最大値がノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値であり、即ち、所定期間内(本実施の形態では3.2msec)における圧力センサ20の出力値の全てがノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値である。
S27において、リングバッファ43a中の最大値が所定値P未満であるとCPU41が判断した場合(S27:No)、CPU41はリングバッファ43a中の最大値がノイズに基づくものであるとみなし、ベル部12又はボウ部14(中央部)が打撃されたと判定して中央部発音処理を実行し(S31)、本処理を終了する。具体的に、S31においてCPU41は、発音指示を音源46に出力すると共に、ベル部12又はボウ部14が打撃された場合の発音を音源46に行わせるための音色制御パラメータや、ピークホールド値メモリ43cに記憶された振動センサ2の出力値に基づいた音量制御パラメータなどの各種パラメータを出力する。
一方、S27において、リングバッファ43a中の最大値が所定値P以上であるとCPU41が判断した場合(S27:Yes)、CPU41はリングバッファ43a中の最大値が打撃によるものであるとみなし、リングバッファ43a中の最大値を記憶した時点から現時点(本処理において圧力センサ20の出力値をリングバッファ43aに記憶した時点)までの時間をピークホールド時間Tp(本実施の形態では2msec)から減じた時間差を算出する(S28)。S28におけるリングバッファ43a中の最大値を記憶した時点から現時点までの時間とは、本処理において圧力センサ20の出力値をリングバッファ43aに記憶した格納位置から、リングバッファ43a中の最大値を記憶した格納位置まで格納位置を遡った数に実行周期を乗じることでCPU41が算出した時間である。この時間は、最小値が0msec、最大値が3.2msecである。
なお、S28において算出される時間差は、ピークホールド時間Tpの計時を開始したときと、リングバッファ43a中の最大値を記憶したときとの時間差、即ち、振動センサ2が打撃に反応した(S32において所定値V以上であるとCPU41が判断した振動センサ2の出力値を振動センサ2が出力した)ときと、圧力センサ20が打撃に反応した(S27において所定値P以上であるとCPU41が判断したリングバッファ43a中の最大値を圧力センサ20が出力した)ときとの時間差を示している。さらに、S28において算出される時間差は、振動センサ2よりも先に圧力センサ20が打撃に反応した場合に負の値となり、圧力センサ20よりも先に振動センサ2が打撃に反応した場合に正の値となる。
次に、CPU41は、S28で算出した時間差がTminより大きいか否かを判断する(S29)。なお、Tminは、振動伝達時間および圧力伝達時間に基づいて決定される閾値である。Tminは、エッジ部16を打撃したときに圧力センサ20よりも先に振動センサ2が反応することがあるため、振動センサ2が先に反応した場合でもエッジ部16が打撃されたと判断するための閾値であり、本実施の形態では正の値に設定される。
S29において、S28で算出した時間差がTminより大きいとCPU41が判断した場合(S29:Yes)、ベル部12又はボウ部14が打撃されたと判定して中央部発音処理を実行し(S31)、本処理を終了する。一方、S29において、S28で算出した時間差がTmin以下であるとCPU41が判断した場合(S29:No)、エッジ部16が打撃されたと判定してエッジ部発音処理を実行し(S30)、本処理を終了する。具体的に、S30においてCPU41は、発音指示を音源46に出力すると共に、エッジ部16が打撃された場合の発音を音源46に行わせるための音色制御パラメータや、ピークホールド値メモリ43cに記憶された振動センサ2の出力値に基づいた音量制御パラメータなどの各種パラメータを出力する。
以上のような音源装置40(打撃位置検出装置40a)によれば、ある時期(本実施の形態ではリングバッファ43aの保持期間である3.2msec)における、振動センサ2が打撃に反応したタイミングと、圧力センサ20が打撃に反応したタイミングとに基づいて打撃位置を判断できる。振動センサ2よりも先に圧力センサ20が打撃に反応した場合には、S28で算出した時間差が負の値であるので、振動伝達時間と圧力伝達時間との時間差に基づいて決定されるTmin(正の値)よりもS28で算出した時間差が小さい。S29の処理においてエッジ部16が打撃されたと判断できるので、打撃位置の検出精度を向上できる。
エッジ部16を打撃したとき、振動伝達時間と圧力伝達時間との時間差によって圧力センサ20よりも先に振動センサ2が反応することがあるが、S29の処理においてTminよりもS28で算出した時間差が小さければ、エッジ部16が打撃されたと判断できる。その結果、打撃位置の誤検出を抑制できる。
エッジ部16の弱打時、圧力センサ20のみが反応して振動センサ2が反応しない場合が考えられる。この場合、所定時間経過(例えば1sec)後に、ベル部12又はボウ部14を打撃して振動センサ2のみが反応すると、所定時間経過前の圧力センサ20が反応したときから、所定時間経過後の振動センサ2が反応したときまでの時間差が算出され、ベル部12又はボウ部14を打撃したにもかかわらずエッジ部16が打撃されたと判断されるおそれがある。しかし、本実施の形態では、リングバッファ43aの保持期間を3.2msecに設定しているので、3.2msec以前の圧力センサ20の出力値は上書きされている。そのため、上述した場合でもベル部12又はボウ部14を打撃すればベル部12又はボウ部14が打撃されたと判断できる。従って、リングバッファ43aを用いることで打撃位置の誤検出を抑制できる。
次に、図12〜17を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、錘部32が連結部34を介してパッド10に固定され、音源装置40(打撃位置検出装置40a)がリングバッファ43aを備えている場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、錘部32が圧力センサ20に接着され、音源装置40(打撃位置検出装置40a)がリングバッファ43aに代えて圧力センサ用カウンタ63bを備えている場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
まず、図12及び図13を参照して、電子打楽器50の錘部51(錘部材)について説明する。図12は第2実施の形態における電子打楽器50の底面図であり、図13は図12のXIII−XIII線における電子打楽器50の切断端面図である。図12及び図13に示すように、電子打楽器50は、円板状のパッド10と、振動センサ2と、圧力センサ20と、圧力センサ20を押圧する錘部51(錘部材)とを備えている。
錘部51は、硬度が70度に設定されたゴム製の部材であり、圧力センサ20の形状に沿ってエッジ部16(圧力センサ20)の周方向へ円弧状に連続的に設けられる断面半円形状の部材である。錘部51を構成するゴムの硬度は50度以上(又は50度よりも高く)かつ90度以下(又は90度未満)であることが好ましい。さらに好ましくは、錘部51を構成するゴムの硬度が60度以上(又は60度よりも高く)かつ80度以下(又は80度未満)である。なお、錘部51の断面形状は半円形状に限らない。例えば、多角形状や円形状、円弧形状、長円形状、楕円形状などが挙げられる。
錘部51は、断面半円形状の直線側を底面として圧力センサ20の変形可能範囲D内の表面に接着される。このように構成される錘部51は構造が単純であり、圧力センサ20への取り付けを容易にできる。
錘部51が圧力センサ20に接着されるので、パッド10を打撃したときに錘部51に慣性力が作用して錘部51が圧力センサ20を押圧できる。エッジ部16の弱打時であっても錘部51には所定の慣性力が作用するので、エッジ部16の弱打時でも圧力センサ20は圧力変化を検出できる。従って、錘部51の取り付けを容易にできると共に錘部51の構造を単純にしつつ、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
圧力センサ20の変形可能範囲D内に錘部51が接着されているので、錘部51の押圧によるフィルム22の変形がスペーサ24により妨げられることを防止できる。錘部51により圧力センサ20の変形可能範囲Dを確実に押圧できるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
錘部51はエッジ部16の周方向へ連続的に設けられるゴム製の部材なので、錘部51の周方向の一部を弾性変形させることができる。最も大きい慣性力が作用する部分の錘部51を弾性変形させて圧力センサ20を押圧できるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。錘部51を構成するゴムの硬度が低い程、錘部51は周方向の一部を弾性変形させ易いので、錘部51を構成するゴムの硬度を90度以下に設定して圧力センサ20の検出感度を調整することで、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
次に、図14を参照して電子打楽器50が備える音源装置60について説明する。図14は音源装置60の電気的構成を示すブロック図である。音源装置60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、操作パネル44と、入力部45と、音源46と、デジタルアナログコンバータ(DAC)47とを備え、各部44〜47,61〜63がバスライン48を介して互いに接続される。なお、音源装置60が備える打撃位置検出装置60aは、CPU61と、ROM62と、RAM63とから構成される。入力部45には、パッド10に装着される振動センサ2及び圧力センサ20が接続される。
CPU61は、ROM62に記憶される固定値やプログラム、RAM63に記憶されているデータなどに従って、音源装置60の各部を制御する中央制御装置である。CPU61は、クロック信号を計数することにより、時刻を計時するタイマ(図示せず)を内蔵している。
ROM62は、書き替え不能な不揮発性メモリであって、CPU61や音源46に実行させる制御プログラム62aや、この制御プログラム62aが実行される際にCPU61により参照される固定値データ(図示せず)などが記憶される。なお、図15〜17のフローチャートに示す各処理は、制御プログラム62aに基づいて実行される。
RAM63は、書き替え可能な揮発性メモリであり、CPU61が制御プログラム62aを実行するにあたり、各種のデータを一時的に記憶するためのテンポラリエリアを有する。RAM63のテンポラリエリアには、圧力検出フラグ63aと、圧力センサ用カウンタ63bと、ピークホールド中フラグ43bと、ピークホールド値メモリ43cと、ピークホールド用カウンタ43dとが設けられている。RAM63に設けられている上記各部43b〜43d,63a,63bは、いずれも音源装置60に電源が投入されたときに初期化される。
圧力検出フラグ63aは、圧力センサ20が打撃に反応したか否か、及び、圧力センサ用カウンタ63bによる計時中か否かを示すフラグであり、初期状態はオフに設定される。具体的に、圧力検出フラグ63aは、圧力センサ20の出力値が所定値Pを超えた場合にオンに設定され、ピークホールド用カウンタ43dによるピークホールド時間Tpの計時終了後にオンであればオフに設定される。なお、所定値Pは、圧力センサ20の出力値に対して設けられる閾値であり、圧力センサ20の出力値がノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値である。
圧力センサ用カウンタ63bは、圧力センサ20が打撃に反応したときからピークホールド時間Tpが終了したときまでを計時するカウンタであり、初期値は0に設定される。圧力センサ用カウンタ63bは、圧力センサ20が打撃に反応した(圧力検出フラグ63aがオンに設定された)場合に初期化され、音源制御処理の実行周期毎に1が加算される。即ち、圧力センサ20が打撃に反応したときから音源制御処理を行った回数をカウントする。圧力センサ用カウンタ63bは計時開始後、圧力検出フラグ63aがオフに設定されると計時が停止される。
次に、図15、図16及び図17を参照して、上記構成を有する音源装置60(打撃位置検出装置60a)のCPU61が実行する処理について説明する。図15は音源制御処理を示すフローチャートであり、図16は圧力検出カウント処理を示すフローチャートであり、図17は打撃位置判断処理を示すフローチャートである。
音源制御処理は、音源装置60に電源が投入されている間、CPU61に内蔵されるタイマ(図示せず)により周期的(本実施の形態では400μsec毎)に実行される。図15に示すように、CPU61は、音源制御処理に関し、圧力検出カウント処理を行った後(S110)、打撃位置判断処理を行い(S120)、本処理を終了する。
図16に示すように、CPU61は、圧力検出カウント処理(S110)に関し、圧力検出フラグ63aがオンであるか否かを判断する(S111)。S111において、圧力検出フラグ63aがオフであるとCPU61が判断した場合(S111:No)、圧力センサ用カウンタ63bによる計時中でないので、CPU61は、圧力センサ20の出力値が所定値P(圧力センサ20の出力値がノイズに基づくものであるか否かを判断するための閾値)以上であるか否かを判断する(S113)。
S113において、圧力センサ20の出力値が所定値P未満であるとCPU61が判断した場合(S113:No)、CPU61は圧力センサ20の出力値がノイズに基づくものであるとみなし、本処理を終了する。一方、S113において、圧力センサ20の出力値が所定値P以上であるとCPU61が判断した場合(S113:Yes)、CPU61は圧力センサ20の出力値が打撃に基づくものであるとみなす。次に、CPU61は圧力検出フラグ63aをオンに設定し(S114)、圧力センサ用カウンタ63bによる計時を開始するために圧力センサ用カウンタ63bを初期化して(S115)、本処理を終了する。具体的に、S115においてCPU61は、圧力センサ用カウンタ63bを0にする。
一方、S111において、圧力検出フラグ63aがオンであるとCPU61が判断した場合(S111:Yes)、圧力センサ用カウンタ63bによる計時中なので、CPU61は圧力センサ用カウンタ63bを進めるために圧力センサ用カウンタ63bに1を加算し(S112)、本処理を終了する。
図17に示すように、CPU61は、打撃位置判断処理(S120)に関し、S21〜S26の処理を実行後、圧力検出フラグ63aがオンであるか否かを判断する(S121)。S121において、圧力検出フラグ63aがオフであるとCPU61が判断した場合(S121:No)、圧力センサ20が打撃に反応していないので、ベル部12又はボウ部14(中央部)が打撃されたと判定してS31の処理を実行し、本処理を終了する。
一方、S121において、圧力検出フラグ63aがオンであるとCPU61が判断した場合(S121:Yes)、圧力センサ20が打撃に反応しているので、圧力検出フラグ63aをオフにする(S122)。圧力検出フラグ63aがオフに設定されることで、圧力センサ用カウンタ63bによる計時が終了し、次回以降の処理において圧力センサ20が打撃に反応したことを判断できるように備える。
次に、CPU61は、ピークホールド時間Tpから圧力センサ用カウンタ63bに実行周期を乗じたものを減じて時間差を算出する(S123)。S123における圧力センサ用カウンタ63bに実行周期を乗じたものとは、圧力センサ20が打撃に反応したときから現時点までの時間である。なお、S123において算出される時間差は、ピークホールド時間Tpの計時を開始したとき(振動センサ2が打撃に反応した)と、圧力センサ20が打撃に反応したときとの時間差を示している。本実施の形態と第1実施の形態とで時間差の算出方法は異なるが、本実施の形態のS123において算出される時間差と、第1実施の形態のS28において算出される時間差とは同一である。次に、CPU61は、S123で算出された時間差に基づいてS29の処理を実行し、S29の処理の結果に基づいてS30又はS31の処理を実行し、本処理を終了する。
以上のような音源装置60(打撃位置検出装置60a)によれば、ある時期における、振動センサ2が打撃に反応したタイミングと、圧力センサ20が打撃に反応したタイミングとに基づいて打撃位置を判断できる。振動センサ2よりも先に圧力センサ20が打撃に反応した場合には、S123で算出した時間差が負の値であるので、振動伝達時間と圧力伝達時間との時間差に基づいて決定されるTmin(正の値)よりもS123で算出した時間差が小さい。S29の処理においてエッジ部16が打撃されたと判断できるので、打撃位置の検出精度を向上できる。なお、ある時期とは、ピークホールド時間Tpである2msecに約1msec(振動センサ2よりも先に圧力センサ20が打撃に反応することが期待できる時間)を加えた時間である。
エッジ部16を打撃したとき、振動伝達時間と圧力伝達時間との時間差によって圧力センサ20よりも先に振動センサ2が反応することがあるが、S29の処理においてTminよりもS123で算出した時間差が小さければ、エッジ部16が打撃されたと判断できる。その結果、打撃位置の誤検出を抑制できる。
エッジ部16の弱打時、圧力センサ20のみが反応して振動センサ2が反応しない場合が考えられる。この場合、所定時間経過(例えば1sec)後に、ベル部12又はボウ部14を打撃して振動センサ2のみが反応すると、所定時間経過前の圧力センサ20が反応したときから、所定時間経過後の振動センサ2が反応したときまでの時間差が算出され、ベル部12又はボウ部14を打撃したにもかかわらずエッジ部16が打撃されたと判断されるおそれがある。
これを防止するため、本実施の形態では、S122の処理とS123の処理との間に、圧力センサ用カウンタ63bが所定回数(約3msecに相当する数)以上であるか否かを判断する処理を設けても良い。この処理により、圧力センサ用カウンタ63bが所定回数以上である(圧力センサ20の反応から3msec以上経過している)と判断された場合、S123,S29の処理をスキップしてS31の処理を実行し、本処理を終了する。一方、圧力センサ用カウンタ63bが所定回数未満である(圧力センサ20の反応から3msec以上経過していない)と判断された場合、S123,S29の処理を実行し、S29の処理の結果に基づいてS30又はS31の処理を実行し、本処理を終了する。これにより、エッジ部16の弱打時、圧力センサ20のみが反応して振動センサ2が反応しない場合でもベル部12又はボウ部14を打撃すればベル部12又はボウ部14が打撃されたと判断でき、誤検出を防止できる。
次に、図18を参照して第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、錘部51がエッジ部16の周方向へ連続的に設けられる場合について説明した。これに対し、第3実施の形態では、錘部71がエッジ部16の周方向へ断続的に設けられる場合について説明する。なお、第1,2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図18は、第3実施の形態における電子打楽器70の底面図である。図18に示すように、電子打楽器70は、円板状のパッド10と、振動センサ2と、圧力センサ20と、圧力センサ20を押圧する錘部71(錘部材)とを備えている。
錘部71は、硬度が70度に設定されたゴム製であり、圧力センサ20の形状に沿ってエッジ部16(圧力センサ20)の周方向へ断続的に設けられる断面半円形状の部材である。なお、錘部71の断面形状は半円形状に限らず、適宜変更可能である。錘部71は、断面半円形状の直線側を底面として圧力センサ20の変形可能範囲D内の表面に接着される。このように構成される錘部71は構造が単純であり、圧力センサ20への取り付けを容易にできる。
錘部71が圧力センサ20に接着されるので、パッド10を打撃したときに錘部71に慣性力が作用して錘部71が圧力センサ20を押圧できる。錘部71がエッジ部16の周方向へ連続的に設けられる場合、錘部71の一部が弾性変形するときに、その周囲の錘部71に引っ張られて錘部71の一部の弾性変形が妨げられる。一方、本実施の形態では、錘部71が断続的に設けられるので、最も大きい慣性力が作用する部分の錘部71の変形が、隣り合った錘部71によって妨げられることを抑制できる。従って、エッジ部16の周方向へ錘部71が連続的に設けられる場合と比べて、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
また、錘部71が断続的に設けられるので、錘部71の一部を弾性変形させなくとも、錘部71の一部に慣性力が作用して錘部71が圧力センサ20を押圧し、圧力センサ20の検出感度の低下を抑制できる。そのため、錘部71はゴム製に限らず、合成樹脂製や金属製の錘部71を用いることも可能である。この場合、錘部71の比重を大きくできるので、錘部71に作用する慣性力を大きくできる。これらの結果、圧力センサ20の検出感度の低下を抑制しつつ、錘部71に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力を大きくできるので、打撃に対する圧力センサ20の検出精度をより向上できる。
次に、図19を参照して第4実施の形態について説明する。第1実施の形態では、圧力センサ20よりもベル部12側の位置でパッド10に固定される連結部34が錘部32に連結される場合について説明した。これに対し、第4実施の形態では、圧力センサ20よりもベル部12側の位置でパッド10に固定される第1連結部82aに加えて、圧力センサ20よりもパッド10の外周端側の位置でパッド10に固定される第2連結部82bが錘部32に連結される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図19は、第4実施の形態における電子打楽器80の切断端面図である。図19に示すように、電子打楽器80は、円板状のパッド10と、振動センサ2(図示せず)と、圧力センサ20と、圧力センサ20を押圧する錘部材81とを備えている。
錘部材81は、硬度が70度に設定されたゴム製の部材であり、圧力センサ20の形状に沿ってエッジ部16(圧力センサ20)の周方向へ円弧状に連続的に設けられる部材である。錘部材81は、圧力センサ20の変形可能範囲Dの表面に非接着状態で接触する錘部32と、圧力センサ20よりもベル部12側の位置でパッド10に接着されて固定されると共に錘部32に連結される第1連結部82aと、圧力センサ20よりもパッド10の外周端側の位置でパッド10に接着されて固定されると共に錘部32に連結される第2連結部82bとを備えている。錘部32、第1連結部82a及び第2連結部82bは錘部材81の周方向に亘って設けられる。
第1連結部82aは、パッド10の裏面から略垂直に延びる第1厚肉部83aと、第1厚肉部83aから錘部材81の径方向外側へ向かって延びて錘部32と連結される、第1厚肉部83aよりも厚さ(フィルム22の対向方向の寸法)が小さい第1薄肉部84aとを備えている。第2連結部82bは、パッド10の裏面から略垂直に延びる第2厚肉部83bと、第2厚肉部83bから錘部材81の径方向内側へ向かって延びて錘部32と連結される、第2厚肉部83bよりも厚さが小さい第2薄肉部84bとを備えている。
パッド10が打撃されると錘部32に慣性力が作用し、圧力センサ20を押圧できる。第1薄肉部84a及び第2薄肉部84bにより第1連結部82a及び第2連結部82bをそれぞれ曲げ変形し易くできるので、錘部32に作用する慣性力による圧力センサ20への押圧力が第1連結部82a及び第2連結部82bにより低下することを抑制できる。その結果、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
錘部32の径方向外側および径方向内側に第1薄肉部84a及び第2薄肉部84bがそれぞれ設けられるので、圧力センサ20の周方向に亘って圧力センサ20を錘部材81により覆うことができる。従って、錘部材81により圧力センサ20を保護しつつ、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。また、錘部材81は、錘部32の径方向外側および径方向内側が第1連結部82a及び第2連結部82bにより支持されているので、第1実施の形態における片持ち状態の錘部材30と比べて、錘部材81を構成するゴムを疲労し(へたり)難くできる。従って、錘部材81の耐久性を向上できる。
次に図20を参照して第5実施の形態について説明する。第2実施の形態では、圧力センサ20の変形可能範囲D内に錘部51(錘部材)が接着される場合について説明した。これに対し、第5実施の形態では、圧力センサ20を錘部材91により覆うようにして圧力センサ20に錘部材91が接着される場合について説明する。なお、第1,2実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図20は、第5実施の形態における電子打楽器90の切断端面図である。図20に示すように、電子打楽器90は、円板状のパッド10と、振動センサ2(図示せず)と、圧力センサ20と、圧力センサ20を押圧する錘部材91とを備えている。
錘部材91は、硬度が70度に設定されたゴム製の部材であり、圧力センサ20の形状に沿ってエッジ部16(圧力センサ20)の周方向へ円弧状に連続的に設けられる部材である。錘部材91は、圧力センサ20の変形可能範囲Dの表面に接着される断面半円形状の錘部92と、錘部92から延びると共に圧力センサ20に接着されて圧力センサ20を覆う、圧力センサ20よりも薄く形成される膜状の被膜部93とを備えている。錘部92及び被膜部93は錘部材91の周方向に亘って設けられる。
錘部材91により圧力センサ20を覆うことができるので、錘部材91により圧力センサ20を保護できる。また、錘部92が断面半円形状である(圧力センサ20から離れるように膨らんでいる)ので、錘部92に慣性力が作用して錘部92が圧力センサ20を押圧できる。被膜部93が圧力センサ20よりも薄い膜状なので、フィルム22の変形を妨げることを抑制できる。これらの結果、錘部材91により圧力センサ20を保護しつつ、打撃に対する圧力センサ20の検出精度を向上できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態では、電子打楽器1,50,70,80,90がアコースティックシンバルを模した電子打楽器である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、アコースティックのハイハットシンバルを模した電子打楽器を用いることは当然可能である。この場合、上側のパッドに錘部材(錘部)を設け、下側のパッドと錘部材(錘部)とが接触しないように錘部材(錘部)の形状や位置を調整する。例えば、錘部材(錘部)を薄くすること、錘部材(錘部)をエッジ部のベル部側に設けることが挙げられる。
上記各実施の形態では、振動センサ2がピエゾセンサであり、圧力センサ20がシート状のメンブレンスイッチである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、振動を検出できる他のセンサ、圧力変化を検出できる他のセンサをそれぞれ用いることは当然可能である。例えば、ピエゾセンサ以外の振動を検出できるセンサとしては、圧電型のセンサや動電型のセンサ、静電容量型のセンサなどが挙げられる。また、シート状のメンブレンスイッチ以外の圧力変化を検出できるセンサとしては、導電ゴムセンサやケーブルセンサなどが例示される。
上記各実施の形態では、錘部材30,81,91(錘部51,71)がゴム製の部材である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、錘部材(錘部)の素材に弾性を有する熱可塑性エラストマ等の合成樹脂を用いることは当然可能である。また、上記第1,4実施の形態における錘部材30,81全体がゴム製である必要はなく、ゴム製や弾性を有する熱可塑性エラストマ等の合成樹脂製の連結部と、金属製の錘部とを備えた錘部材を用いることは可能である。
上記各実施の形態では、パッド10が青銅製の部材である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、青銅以外の金属製のパッドや、合成樹脂などの非金属のパッドを用いることは当然可能である。また、パッドの表面から少なくとも裏面のエッジ部までをゴムや合成樹脂等で覆うことも可能である。パッドを覆う素材と、錘部材を構成する素材とが同一である場合、パッドを覆う素材の一部を錘部材とすることも可能である。
上記各実施の形態では、圧力センサ20がエッジ部16の裏面の奏者側の半周に亘って円弧状に設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エッジ部16の裏面の全周に圧力センサを設けることも、エッジ部16の裏面の一部に圧力センサを設けることも可能である。また、エッジ部16の周方向に沿って断続的に圧力センサを設けることも可能である。圧力センサの周方向に沿って電極とスペーサとを交互に設けることで、圧力センサが圧力変化を検出する部分を断続的に設けることも可能である。また、圧力センサが設けられる部分全体に錘部材(錘部)を設けることも、圧力センサが設けられる部分の一部に錘部材(錘部)を設けることも可能である。
上記第1,4実施の形態では、連結部34(第1連結部82a及び第2連結部82b)が錘部材30,81の周方向に亘って設けられる(エッジ部16の周方向へ連続する)場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エッジ部16の周方向へ断続的に連結部34(第1連結部82a及び第2連結部82b)を設けることは当然可能である。これにより、連結部34(第1連結部82a及び第2連結部82b)を曲げ変形し易くできる。また、厚肉部35(第1厚肉部83a及び第2厚肉部83b)及び薄肉部36(第1薄肉部84a及び第2薄肉部84b)のいずれか一方をエッジ部16の周方向へ断続的に設けることも可能である。
上記第1,4実施の形態では、連結部34(第1連結部82a及び第2連結部82b)がパッド10に接着されて固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、パッド10と連結部との固定には、嵌め合い機構やボルトを用いることは当然可能である。
上記第1,2実施の形態では、音源装置40,60(打撃位置検出装置40a,60a)のCPU41,61が実行する処理において、中央部(ベル部12又はボウ部14)若しくはエッジ部16のどちらが打撃されたかを判断する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、中央部のうちベル部12又はボウ部14のどちらが打撃されたかを判断する処理を設けることは当然可能である。この場合、振動センサ2及び圧力センサ20とは別のセンサを設け、その別のセンサの出力値に基づいた処理を設けることも可能である。
上記第1,2実施の形態では、音源装置40,60(打撃位置検出装置40a,60a)のCPU41,61が実行する処理において、振動センサ2の出力値が所定値V以上であると判断したとき(振動センサ2の出力値の波形が大きいとき)に、振動センサ2が打撃に反応したとみなす場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その他の処理を追加することも可能である。例えば、振動センサ2の出力値の波形の形状を検出して、その波形がノイズに基づくものか、打撃に基づくものかを判断する処理を設けることが可能である。なお、圧力センサ20が打撃に反応したか否かを判断する処理も同様に、圧力センサ20の出力値が所定値P以上であるか否かを判断する処理に加えて、その他の処理を設けることが可能である。
なお、上記第1,2実施の形態の音源装置40,60(打撃位置検出装置40a,60a)は、振動センサ及び圧力センサを備えている種々の電子打楽器に適用可能であり、錘部に作用する慣性力によって圧力センサが錘部に押圧される本発明の電子打楽器に限らず、打撃位置により振動センサが反応するタイミングと、圧力センサが反応するタイミングとが異なるその他の電子打楽器にも適用することが可能である。例えば、錘部を設けず、圧力センサであるメンブレンスイッチの一対のフィルムのうちエッジ部16から離れた側のフィルムに作用する比較的小さな慣性力により圧力センサを打撃に反応させる電子打楽器が挙げられる。
また、上記各実施の形態のいずれかの一部または全部を、他の実施の形態の一部または全部と組み合わせることは可能である。また、上記各実施の形態のうちの一部の構成を省略することも可能である。例えば、上記第3実施の形態におけるエッジ部16の周方向へ断続的に設けられる錘部71(錘部材)を、上記第1,4,5実施の形態における錘部(錘部材)に適用することは当然可能である。上記第3実施の形態における錘部71(錘部材)を上記第1,4実施の形態に適用したとき、連結部および錘部を断続的に設ける場合と、エッジ部16の周方向へ連続的に設けられる連結部に錘部を断続的に設ける場合とが選択可能である。また、上記第4実施の形態における第1連結部82aを省略して、第2連結部82bのみで錘部32を支持することは当然可能である。また、上記第1実施の形態における音源装置40と上記第2実施の形態における音源装置60とをそれぞれ入れ替えることも可能である。