JP6672549B2 - 連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、注入室とストランド室とを仕切る仕切堰に、注入室からストランド室へ溶鋼を流通させる湯道(堰孔)が設けられた連続鋳造用のタンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法に関する。
従来より、連続鋳造装置では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給することで、溶鋼を連続的に鋳造している。
連続鋳造を効率よく操業を行うためには、タンディッシュ内において、注入室からストランド室へ溶鋼をスムーズに流通させる際に、スラグの逆流を抑制し、且つ各ストランド間における溶鋼温度を均一化させることが必要となる。
このようなタンディッシュ内において、溶鋼の温度を均一化させるための手段として、例えば、特許文献1〜6に開示されているものがある。
特許文献1は、コンパクトでありながら多ストランドに適用でき、且つ、鋳片への品質を維持しつつストランド間での溶鋼温度のバラツキを十分に小さくすることができるタンディッシュを提供することを目的としている。
具体的には、特許文献1のタンディッシュ3は、注入室10と、ストランド室11と、仕切堰12と、堰孔21とを備え、ストランド室11には、第1番目〜第6番目の注入口22a〜22fが順に形成されており、仕切堰12に形成した堰孔21a、21bのうち一方の湯道21aを、第2番目の注入口22bと第3番目の注入口22cの間に向けて配置し、他方の湯道21bを、第4番目の注入口22dと第5番目の注入口22eの間に向けて配置するものである。
特許文献2は、タンディッシュからモールドへ溶鋼を分配する際、大型介在物の流出を抑制し、清浄度の高い鋼を製造する経済的で実用的な連続鋳造方法とその装置を提供することを目的としている。
具体的には、連続鋳造用のタンディッシュ1に堰4を配設して注入槽2と分配槽3に区分し、タンディッシュ底壁に接する堰4の下部に注入槽2から分配槽3に溶鋼を噴流する1個または2個の堰穴5を開口し、分配槽3において堰穴5から噴流する溶鋼の噴流域7と浸漬ノズル流出域8が互いに交差することのない位置関係を保って堰穴5と浸漬ノズルの排出口6が配設されているものである。
特許文献3は、プラズマ加熱装置を備えた3ストランドを有するタンディッシュの各ストランドの出鋼温度が均一化するように制御することを目的としている。
具体的には、プラズマ加熱装置を備えた3ストランドを有するタンディッシュにおいて、溶鋼流路に設けた堰の開口面積とプラズマ加熱装置の設置位置とを制御して各ストランドからの出鋼温度を均一化することとしている。
特許文献4は、従来の誘導加熱タンディッシュの欠点である鋳片品質の差異の解消と鋳込み作業性の向上、及び、誘導加熱部の多数回使用を可能とすることを目的としている。
具体的には、受湯室1と出湯室3と誘導加熱部2とを直列状に配置し、誘導加熱部2に受湯室1と出湯室3とを接続するスリーブ状の溶湯通路2bを設け、更に、出湯室1に設けた複数の出湯孔3a,3b,3cを溶湯通路の延長線上から直交した位置に設けているものである。
特許文献5は、タンディッシュをコンパクトに形成することで、連続鋳造設備のストランド間隔を狭くすることを目的としている。また、この技術は、ストランド間隔の狭い連続鋳造設備に適用できるものとされている。また、溶湯を保熱すると同時に、出湯室内の溶湯の均熱化を行うことで、溶湯過熱温度(ΔT)を低くした低温鋳造を効果的に行い、連続鋳造における鋳片の品質および操業改善を図ることを目的としている。
具体的には、一つの受湯室と二つの出湯室を有する連続鋳造用タンディッシュであって、二つの出湯室間に誘導加熱堰が設けられ、且つこの誘導加熱堰内に受湯室と出湯室、および出湯室間に貫通する溶湯通路が設けられているものである。また、出湯室間に貫通する溶湯通路が受湯室に貫通して形成されている。
特許文献6は、介在物を浮上させることが容易であるT型タンディッシュを用いた上で、溶鋼スループットを考慮することで確実に介在物を浮上させることを目的としている。
具体的には、連続鋳造装置の鋳造方法において、連続鋳造装置1に具備されるタンディッシュを、取鍋9からの溶鋼2を装入する注入室10と注入室11の溶鋼2を鋳型4に装入する分配室11とを備えたT型タンディッシュ3とし、このT型タンディッシュ3に注入室10と分配室11とを仕切る仕切堰19を設け、この仕切堰19の形状を最適化する。これらの形状を有するT型タンディッシュに応じて溶鋼スループットを制御しながら鋳造を行うこととしている。
特許文献7は、タンディッシュの整備時間を短縮することを目的としている。また、湯落ち部において溶湯全てに一定の滞留時間を与え、当該湯落ち部における介在物の浮上分離をより確実なものとすることも目的としている。
具体的には、内部に堰で区切られた湯落ち部とノズル部とを有するタンディッシュであって、湯落ち部とノズル部とが、それぞれの鉄皮に設けた係止手段を介して分離可能に結合され、かつ、湯落ち部内に、溶湯を蛇行させてノズル部側に導く手段を設けているものである。
また、タンディッシュ内において、スラグの逆流を抑制するための手段として、例えば、特許文献8、9に開示されているものがある。
特許文献8は、介在物の浮上分離を目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られ、堰孔が底部で繋がり且つ、ストランド室側の孔が低くなっているものである。また、堰孔内で介在物を浮上分離させるためにArガスを吹き込むこととしている。
特許文献9は、残鋼の低減を目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られ、堰孔が底部で繋がり且つ、ストランド室側の孔が低くなっているものである。また、堰部に加熱装置が備えられている。
特開2014−113634号公報 特開2005−131661号公報 特開平06−142855号公報 実開平06−086849号公報 実開平03−106243号公報 特開2010−167457号公報 実開平01−118848号公報 特開2005−000957号公報 特開平05−104212号公報
さて、特許文献1は、鋳片の品質を維持しつつストランド間での溶鋼温度のバラツキを十分に小さくすることができる技術であり、堰孔を注入口の間に向けて配置することが記載されている。しかしながら、同文献には、堰孔と注入口との距離についての記載が無いため、堰孔からの吐出流が注入口に近づく場所(例えば、同文献の図2中のP1と22b、P2と22e)では、直送流(吐出された溶鋼がショートカットするように直接注入口へ流れ込むこと)が発生することが考えられる。
特許文献2では、堰穴5からの吐出流がノズル排出口6に直接流れることを避ける配置にしているが、端部に配置されたノズル排出口までの距離に関する条件が記載されて無いため、ノズル排出口が同文献の図3のような配置である場合、溶鋼が端部のノズル排出口までに到達するまでの時間、すなわち端部における溶鋼の滞留時間が、中央部における滞留時間よりも非常に長くなり、溶鋼の温度低下が大きくなる虞がある。
特許文献3では、段落[0017]においては、同文献の図3に示すタンディッシュは、理想的な形状であるが、工業的には使用不可能な形状である、と記載されている。また、吐出孔とストランドの位置関係が図のみの開示であり、本文中には明記されていない。
なお、本願発明は、プラズマ加熱処理なしでも適用可能な技術である。つまり、本願発明は、プラズマ加熱装置の有無は問わない。
特許文献4は、2つの出湯孔を結ぶ直線と、溶湯通路の延長線が直交するように、当該溶湯通路を設ける必要があるが、出湯孔の間隔が広い場合、受湯室を大きくする必要があるので、実現させることは困難である。
なお、本願発明は、特許文献4のように、平面視で、溶湯通路が前方へ真っ直ぐ向いていてもよいが、斜め方向を向いていてもよい。また、溶鋼加熱処理なしでも適用可能な技術である。
特許文献5では、溶鋼通路13,14と、出湯孔10との位置関係が明記されていないため、出湯孔から流出した吐出流が直接出湯される可能性がある。
なお、本願発明は、溶鋼加熱処理なしでも適用可能な技術であるので、特許文献5のような、出湯室間の堰および貫通孔は不要となる。
特許文献6では、同文献の図2に示すように、平面視で、2つの湯道が水平方向内側を向いているため、各湯道からの吐出流がストランド室で衝突するので、その衝突後の流れの向きが不安定となる可能性がある。この技術を、注入口が複数配置されたタンディッシュに適用した場合、吐出流を均一な流れとすることが難しいと考えられる。そもそも、この技術は、2つの注入口を備えたタンディッシュを対象としたものと考えられるので、注入口を3個以上備えたタンディッシュの場合の作用効果は不明である。
特許文献7は、堰孔からノズル部への直送流が発生する虞があり、溶湯の温度偏差が増大する可能性がある。また、同文献の第2図に示すように、タンディッシュは、複雑な堰形状であるので、施工することが難しいものであると考えられる。
特許文献8は、同文献の図1に示すように、溶鋼流路が直線で無いため、タンディッシュ整備時において、溶鋼流路内を酸素洗浄する時に、周囲の堰耐火物を溶損させる虞がある。
特許文献9は、同文献の図2に示すように、注入室と堰孔が底面で繋がっておらず、つまり堰孔の底面がスリーブ煉瓦の厚みだけ、注入室の底面より高い位置となっているので、注入室に残鋼が少し生じる虞がある。操業条件によっては、異鋼種連々時に注入室へスラグが逆流すると推定される。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、T型多ストランドタンディッシュにおいて、異鋼種連々時にストランド室内のスラグが注入室に逆流することを抑制し且つ、後チャージの取鍋開口時に逆流スラグを巻き込むことを抑制するとともに、各ストランド間の温度バラツキを抑制することができる連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる連続鋳造用タンディッシュは、取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔が左右方向に3以上6以下、列設されているストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰の下部に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、前記湯道は、平面視で、当該湯道の中心軸が前記タンディッシュの幅方向中央で前後を向く線を基準として水平方向外側に向くように2本設けられていて、前記湯道の中心軸上における当該湯道の出口から、対向する前記ストランド室内の側壁までの距離LPPが式(1)を満たし、平面視で、前記湯道の出口における左右方向一端から、対向する前記ストランド室内の側壁まで延長した直線を一の仮想線とし、前記湯道の出口における左右方向他端から、対向する前記ストランド室内の側壁まで延長した直線を他の仮想線とした場合、前記一対の仮想線に囲まれる領域の左右方向外側に、前記鋳型注入孔が設けられており、前記領域の外側であって且つ、隣り合う2つの前記鋳型注入孔の重心を結ぶ線分の中点が、前記領域内に重複し、前記湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(2)〜式(8)を満たしていることを特徴とする。
LPP<10×D ・・・(1)
0.08≦D (円相当径) [m] ・・・(2)
d1≦0.3 [m] ・・・(3)
0.115≦(x1 2+y1 2)0.5≦1 [m] ・・・(4)
0.05≦y1/x1≦1 [-] ・・・(5)
0≦y3/x3≦0.36 [-] ・・・(6)
x3≧0.5 [m] ・・・(7)
B≦-0.7tanh(3.5A-2.3)+1.1 ・・・(8)
ただし、D:湯道の円相当径
A=(x1 2/(x1 2+y1 2))2・(x3 2/(x3 2+y3 2))3・(x2/x3)0.4
B=y2/x1
d1:湯道の縦径
x1:湯道の水平方向の長さ
x2:注入室底部の水平方向の長さ
x3:注入室底部に設けられた傾斜部の水平方向の長さ
y1:湯道の上下方向の傾斜高さ
y2:湯道のストランド室側の上端と、注入室の底部前端の上下方向の距離
y3:注入室底部に設けられた傾斜部の上下方向の高さ
上記のタンディッシュを用いた連続鋳造方法は、上記の連続鋳造用のタンディッシュを用いて連続鋳造を行うに際し、前記ストランド室側の溶鋼の湯面が前記湯道の上端より上方に位置しているときに、前チャージの溶鋼を注入室に注入することを終了し、式(9)を満たしながら、前記前チャージにおける溶鋼の湯面を、前記湯道の傾斜高さy以下に低下させた後、後チャージの溶鋼における前記注入室への注入を開始することを特徴とする。
S(US)≦x1 ・・・(9)
ただし、
S(US)=124.5d2b(t/T)0.7(x1 2/(x1 2+y1 2))2(x3 2/(x3 2+y3 2))3(x2/x3)0.4(1-Fr)3
T=98901(d2b)4/3
Fr=UL/(9.8d1)0.5
t=y2/US
S(US):湯道内をスラグが逆流する距離
d1: 湯道の縦径
d2:湯道の横径
U S :湯面降下速度
U L :湯道内の平均溶鋼速度
b:スラグの厚み
Fr:フルード数
t:湯面が湯道のストランド室側の上端に達してから、湯道の注入室側の下端に達するまでの時間
本発明によれば、T型多ストランドタンディッシュにおいて、異鋼種連々時にストランド室内のスラグが注入室に逆流することを抑制し且つ、後チャージの取鍋開口時に逆流スラグを巻き込むことを抑制するとともに、各ストランド間の温度バラツキを抑制することができる。
本発明の連続鋳造用タンディッシュの平面図である。 仕切堰の湯道の貫通形状が直線状とされている場合におけるタンディッシュの整備状況を示した図である。 仕切堰の湯道の途中で屈曲した貫通形状とされている場合におけるタンディッシュの整備状況を示した図である。 ストランド室の底部の形状を示す第1図である ストランド室の底部の形状を示す第2図である。 ストランド室の底部の形状を示す第3図である。 本発明のタンディッシュに形成された湯道の形状を示した平面図である。 本発明のタンディッシュに形成された湯道の出口形状を示した正面図である。 本発明にかかる湯道の形状を示す側方断面図であり、第1図である(y3=0)。 本発明にかかる湯道の形状の一例を示す側方断面図であり、第2図である(y3≧0)。 本発明にかかる湯道の形状の一例を示す側方断面図であり、第3図である(y3≧0)。 湯道の垂直角度θを示す側方断面図である。 スラグの逆流抑制に関するグラフである。 湯道内をスラグが逆流する距離S(U)を示す側方断面図である。 本発明の連続鋳造用タンディッシュを用いた連続鋳造方法を示した図である。 水モデル実験で用いるタンディッシュの概略図である。 水モデル実験の方法を示す図である。 水モデルの実測値及び計算値の関係を示すグラフである。 タンディッシュ内における溶鋼温度の測定位置を示す図である。 スラグが逆流した場合の様子を示す図である。 スラグの逆流によるクロップ等を示す図である。 湯道よりも上方で後チャージの溶鋼を注入した図である。 前チャージと後チャージとの混合よるクロップ等を示す図である。 数値計算をする際に用いたタンディッシュの概要を示す模式図である。 本発明のタンディッシュに形成された湯道の平面視での概要、及び、ストランドの位置関係を示した拡大図である。 湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との位置関係を示したグラフである。 各鋳型注入孔における注入温度を示すグラフである。 数値計算をする際に用いた形状Aのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Bのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Cのタンディッシュを示す図である。 形状Aのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 形状Aのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである(距離LPPは異なる)。 形状Aのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである(距離LPPは異なる)。 形状Bのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 形状Cのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 数値計算をする際に用いた形状Dのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Eのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Fのタンディッシュを示す図である。 形状Dのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 形状Dのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである(距離LPPは異なる)。 形状Eのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 形状Fのタンディッシュにおける、湯道の水平方向の向きと、湯道近傍の鋳型注入孔との関係を示したグラフである。 本発明の連続鋳造用タンディッシュが適用される連続鋳造装置の概念図である。
以下、本発明にかかる連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて、詳細に説明する。
図1、図34に示すように、連続鋳造用タンディッシュ1は、溶鋼14を鋳型17に装入する鋳型注入孔6(ストランド)が設けられた底部2a,2bと、その底部2a,2bの周縁から立ち上がる周壁3とを備えている。なお以降、単にタンディッシュ1と呼ぶこともある。
また、本発明のタンディッシュ1は、取鍋16内の溶鋼14が注入される注入室4と、注入室4の前方であって、且つ底部2bに溶鋼14を鋳型17に装入するストランド6を複数有し、溶鋼14をストランド6を介して鋳型17に鋳込むストランド室5と、注入室4とストランド室5とを仕切る仕切堰8と、を有していて、ストランド室5は注入室4より左右方向に長尺のものとされている。
すなわち、本発明の対象としては、平面視でT字状とし、且つストランド室5の底部2bに3個以上6個以下のストランド6を左右方向に列設されているタンディッシュ1である。言い換えると、1ストランド及び2ストランドのタンディッシュは、本発明の対象ではない。
また、連続鋳造装置15で鋳造される鋳片19の形状は、限定されず、スラブ、ブルーム、ビレット等であってもよい。
さて、注入室4は、ストランド6が設けられていない底部2aと、底部2aの3つ周縁それぞれから上方に向かって立設された3つの周壁3と、ストランド室5に対して分割するように仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。
一方、ストランド室5は、ストランド6が複数設けられた底部2bと、底部2bの周縁それぞれから上方に向かって立設された周壁3と、当該ストランド室5と注入室4とを仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。
なお、仕切堰8を有さないタンディッシュや、定常の溶湯容量のとき、仕切堰8の上端が湯面よりも下に位置することとなるタンディッシュは、本発明の対象としていない。
次いで、図1、図3A、図3Bを参照しながら、本発明のタンディッシュ1に備えられている湯道9(堰孔)の概要について、説明する。
図3A、図3Bは、注入室4及びストランド室5の断面図(図1のA−A断面)である。なお、図3Cも注入室4及びストランド室5の断面図であり、図1のA−A断面に相当するものである。
図1、図3A、図3Bに示すように、注入室4とストランド室5を仕切る仕切堰8には、注入室4からストランド室5へ直線状に貫通する湯道9が設けられている。すなわち、注入室4とストランド室5は、仕切堰8の下部に開口された湯道9によって繋げられている。
タンディッシュ1の仕切堰8には、注入室4とストランド室5とを連通させる複数の湯道9が形成されている。本発明は、湯道9が2孔以上のものを対象としている。つまり、湯道9が1孔のものは本発明の対象としていない。
本発明においては、注入室4からストランド室5へ向かう湯道9は、平面視で、その中心軸が水平方向で且つ左右方向に放射状となるように2つ設けられている。つまり、2つの湯道9は、前方に移行するにつれて、離れる方向となっている。
ところで、タンディッシュ1の整備を行う際には、タンディッシュ1を略90度傾動させた後、酸素パイプ20から酸素等を吹き込むことにより、酸素の燃焼熱によって、湯道9(底部孔)に付着した地金等を溶融して地金を除去する。
図2Aに示すように、湯道9が注入室4からストランド室5へ直線状に貫通する形状であれば、仕切堰8を溶損させることなく、湯道9内の地金を除去することができる。
ところが、図2Bに示すように、注入室4とストランド室5とを繋ぐ湯道9が途中で屈曲した貫通形状である場合、整備状況によっては、仕切堰8を溶損させてしまう虞がある。
したがって、湯道9は、仕切堰8内を注入室4からストランド室5へ直線的に貫通していることが必要である。
さて、湯道9は、平面視で、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって、水平方向斜め左側に移行し、且つ側面視で注入室4の底部2a側、仕切堰8の内壁面下端(仕切堰8の後壁面下端)からストランド室5の上部側、仕切堰8の内壁面(仕切堰8の前壁面)に向けて、直線状に貫通する湯道9(第1湯道9a)と、平面視で、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって、水平方向斜め右側に移行し、且つ側面視で注入室4の底部2a側、仕切堰8の内壁面下端からストランド室5の上部側、仕切堰8の内壁面に向けて、直線状に貫通する湯道9(第2湯道9b)と、を有している。
ここで、ストランド室5の底部2bであって、各湯道9a,9bの出口10a,10bと繋がる底部2bを見たとき、当該底部2bの内面は、各湯道9a,9bの出口10a,10bの下端以下に位置している。
すなわち、本発明においては、各湯道9a,9bの出口10a,10bと繋がるストランド室5の底部2bは、各湯道9a,9bの出口10a,10bの最下端部と同じ高さ(図3A参照)、或いは、各湯道9a,9bの出口10a,10bの最下端部よりも低い位置である(図3B参照)。
以上より、本発明は、図3A、図3Bに例示している構造のタンディッシュ1を対象としている。
一方、図3Cは、仕切堰8に湯道9を形成した場合であって、湯道9の出口と繋がる底部2bを見たとき、当該底部2bが湯道9の出口の下端よりも上方に位置する場合のタンディッシュを示している。
しかしながら、本発明では、図3Cに示す構造のタンディッシュは対象外である。つまり、本発明においては、ストランド室5の底部2bが各湯道9の出口の最下端部よりも高いものを対象としていない。
以下、さらに、タンディッシュ1の構成について詳しく説明する。
湯道9の形状については、右側の湯道9(第2湯道9b)に着目して、説明する。以降の説明において、第2湯道9bを、単に湯道9と呼ぶこともある。
なお、左側の湯道9(第1湯道9a)は、右側の湯道9bを左右方向に反転させたものであり、以下に詳細に述べる条件が適用される。
本発明においては、湯道9の中心軸上における当該湯道9の出口10から、対向するストランド室5内の側壁7(前側壁面)までの距離LPPが式(1)を満たすこととしている。
LPP<10×D ・・・(1)
ただし、Dは、湯道9の内径であり、円相当径である。
すなわち、距離LPPは、図4中の一点鎖線で示す距離(A点〜B点)のことであり、この距離が(10×D)未満となるようにしている。
本発明においては、参考文献「”噴流工学 -基礎と応用-”森北出版,2004年,1-1-1章」より、距離LPPの閾値を求めた。
湯道9から流れ出す吐出流は、平面視で、進行するに伴って拡散する(水平方向に広がる)ようになる。このような吐出流の拡散が進行すると、吐出流の中心流速が低下してしまい、流れの向きが不安定になる。
そのため、吐出流が周辺の流体を巻き込みながら拡散して流れの向きが不安定になる領域(下記に示す参考文献における噴流の発達領域)に達するまでに、吐出流を、ストランド室5内であって、湯道9に対向する前側壁面7(正面壁)に衝突させる必要がある。
そのため、3次元自由噴流(吐出流)において、流速が低下しない領域、すなわち上記の参考文献におけるコア領域が存在するように、湯道9の形状を設定する必要がある。
上記の式(1)は、吐出流にコア領域を存在させるための条件である。本発明においては、上記の参考文献より、吐出流が周辺の流体を巻き込まずに且つ、直進する初期領域は湯道9の円相当径の10倍であり、この結果より、距離LPPの閾値(10×D)を設定した。
ところで、図4に示すように、平面視で、湯道9の出口10における左右方向一端から、対向するストランド室5内の前側壁面7まで延長した直線を一の仮想線とし、湯道9の出口10における左右方向他端から、対向するストランド室5内の前側壁面7まで延長した直線を他の仮想線とした場合、一対の仮想線に囲まれる領域の左右方向外側に、それぞれストランド6が設けられている。
つまり、ストランド室5の底部2bに複数配備されているストランド6のうち、領域外の左外側にストランド6が1個設けられ、且つ領域外の右外側にストランド6が1個設けられている。
また、領域外の左外側及び右外側に設けられている、2つのストランド6の重心を結ぶ線分の中点が、その領域内に重複することとしている。なお、一対の仮想線に囲まれる領域は、湯道9からの吐出流が流れる範囲ともいえる。
理由としては、領域内にストランド6が存在すると、湯道9から流れ出した吐出流がそのストランド6に直接流れ込む、つまり短絡流が発生する虞がある。短絡流が発生してしまうと、そのストランド6における溶鋼温度が、他のストランド6の溶鋼温度より、高くなってしまう虞がある。
以上より、領域の外側であって、隣接する2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点を、領域の内側に存在させることとしている。
本発明においては、湯道9の内径Dは、式(2)に示すように、0.08m以上としている。
0.08≦D (円相当径) [m] ・・・(2)
湯道9の内径が0.08m未満とした場合は、鋳造中に湯道9内に介在物等が詰まってしまい鋳造できなくなる可能性がある。
さて、図5は、仕切堰8を幅方向で且つ垂直に断面した場合(図1のB−B断面)の断面図である。図5に示すように、仕切堰8に形成する湯道9の断面視の形状は、円形であっても、楕円形であっても、四角形であっても、扁平した円であってもよい。
つまり、本発明においては、湯道9は楕円形や四角形も含むため、式(1)で示したように湯道9の内径は、円に換算したときの円相当径としている。
本発明においては、湯道9の縦径d1は、式(3)に示すように、0.3m以下である。
d1≦0.3 [m] ・・・(3)
湯道9の縦径d1が0.3mを超えている場合、取鍋16のノズルの開口時に当該ノズルから落下した砂等の大部分が湯道9を通ってストランド室5に流入し易くなる。取鍋16の開口時における多量の砂がストランド室5に入ってしまうと、介在物の欠陥になり易い。
つまり、湯道の縦径d1を0.3m以下にすることによって、ストランド室5ではなく注入室4側で砂を浮上させることができる。なお、湯道の縦径d1は、図5に示すように、湯道9を垂直に断面した場合の垂直方向の径である。
さて、本発明においては、図6Aに示すように、注入室4側の湯道9の入口12と、ストランド室5側の湯道9の出口10との水平距離(湯道9の水平方向の長さ)を「x1」とし、湯道9の出口10と湯道9の入口12との高低差(湯道の上下方向の高さ)を「y1」とした場合、湯道9の長さである「(x1 2+y1 2)0.5」は、式(4)を満たすこととしている。
0.115≦(x1 2+y1 2)0.5≦1 [m] ・・・(4)
湯道9の長さ((x1 2+y1 2)0.5)が式(4)の下限値を下回る場合、仕切堰8の前後方向の厚みが薄くなりすぎてしまい、当該仕切堰8が割れてしまう虞がある。
一方、湯道9の長さ((x1 2+y1 2)0.5)が式(4)の上限値を上回る場合、湯道9が長くなりすぎてしまうために、鋳造中等に湯道9が詰まる虞がある。特に、湯道9の内径(円相当径)Dが小さい場合には、詰まりが顕著になる。
以上より、本発明においては、式(4)の範囲となるようにしている。
なお、図6B、図6Cは、注入室4の底部2aに設けられた傾斜部11の上下方向の高さである「y3」の違いを示した図である。
また、本発明においては、湯道9の傾きを表す「y1/x1」は、式(5)を満たすこととしている。
0.05≦y1/x1≦1 [-] ・・・(5)
湯道9の傾き(y1/x1)が式(5)の下限値を下回る場合、湯道9が緩やか過ぎて、鋳造終了時に、注入室4や湯道9内の溶鋼14がストランド室5に排出され難い。また、溶鋼14が注入室4や湯道9に残留してしまうと、歩留が低下する上に、タンディッシュ1を整備する際に、溶解するための酸素洗浄の負荷が大きくなる。なお、式(5)の下限値を、湯道9の角度に変換すると、3degである。
一方、湯道9の傾き(y1/x1)が式(5)の上限値を上回る場合、図7に示すように、湯道9を構成する仕切堰8の端部(湯道9の出口10上端)が鋭利になり過ぎてしまい、その鋭利になった部分が欠損する虞がある。なお、式(5)の上限値を、湯道9の角度に変換すると、45degである。
以上より、本発明においては、式(5)の範囲となるようにしている。
図6Bに示すように、注入室4の底部2aを側方から見たとき、当該底部2aは、湯道9の入口12に繋がり且つ、湯道9の傾斜角度と同じ傾斜角度を有していたとする。つまり、図6Bにおいては、注入室4の底部2aは、湯道9の底部と連続して繋がっている傾斜部11としている。
また、図6Cに示すように、注入室4の底部2aを側方から見たとき、当該底部2aは、湯道9の入口12に繋がり且つ、水平である平坦部2aと、平坦部2aに繋がっていて傾斜する傾斜部11とを有していたとする。
この場合、傾斜部11の開始から終わりまでの高低差(注入室4の傾斜高さ)を「y3」とし、傾斜部11の開始から終わりまでの水平長さ(注入室4の傾斜長さ)を「x3」としたとき、注入室4の傾斜部11の傾き(y3/x3)は、式(6)を満たしている。
0≦y3/x3≦0.36 [-] ・・・(6)
なお、図6Bにおいては、「y3」は、湯道9の入口12までの底部2a(傾斜部11)の高低差である。また、「x3」は、湯道9の入口12までの底部2a(傾斜部11)の水平長さであり、x2=x3である。また、図6Aにおいては、y3=0、すなわち底部2aは平坦部2aのみであり、x2=x3である。 「x2」は、注入室4底部2aの水平方向の長さである。
傾斜部11の傾き(y3/x3)が式(6)の下限値を下回る場合、傾斜部11は下方に傾斜していることになり、鋳造終了時に、注入室4に溶鋼14が残留し易くなる。溶鋼14が注入室4に残留してしまうと、歩留が低下する上に、タンディッシュ1を整備する際に、溶解するための酸素洗浄の負荷が大きくなる。
一方、傾斜部11の傾き(y3/x3)が式(6)の上限値を上回る場合、傾斜部11の傾斜が大き過ぎてしまうこととなる。そのため、取鍋16から溶鋼14を注入した場合、溶鋼14の仕切堰8に向かう流れが強すぎてしまい、湯道9の入口12側の仕切堰8の前側壁面7に沿って、溶鋼14の湯面が一気に上昇することとなり、タンディッシュ1の上方の開口を閉鎖する蓋にまで達してしまう虞がある。
このように、タンディッシュ1の上方の開口を閉鎖する蓋に溶鋼14が到達してしまった場合は、蓋とタンディッシュ1との隙間から溶鋼14が漏れ出てしまう危険性がある。なお、式(6)の上限値を、傾斜部11の角度に変換すると、20degである。
以上より、本発明においては、式(6)の範囲となるようにしている。
また、本発明においては、注入室4の傾斜部11の傾斜長さx3は、式(7)に示すように、0.5m以上である。
x3≧0.5 [m] ・・・(7)
注入室4の傾斜部11の傾斜長さx3が下限値を下回る場合、取鍋16のノズルから注入した溶鋼14が平坦部2aと傾斜部11との境界に直接当たり易くなり、境界部分が溶損する虞があると共に、溶鋼14の流れが不安定になり易い。
また、取鍋16のノズルは、溶鋼14の注入量を調整するために、100mm程度芯がズレる可能性があるため、傾斜部11に直接、溶鋼14を安定して当てるためにも、注入室4の傾斜部11の傾斜長さx3は0.5m以上あることが望ましい。
上述した実施形態では、注入室4の底部2aが傾斜部11を有し(y3≧0, x3≧0)且つ平坦部2aを有する(x2≧x3)ことを前提として説明したが、図6Aに示すように、注入室4の底部2aが平坦部2aのみを有し(y3=0、x2=x3)の場合がある。この場合は、式(6)の値は、零となるが、条件を満たしているため、図6aの形状も適用可能である。また、式(7)は、x3=x2≧0.5になるため平坦部2aの長さが式(7)を満たせばよい。
また、図6Bに示すように、注入室4の底部2aが傾斜部11のみを有する(y3≧0、x3≧0)場合がある。この場合も、傾斜部11は、式(6)及び式(7)を満たせばよく、図6Bの形状も適用可能である。
以下の説明では、図6A〜Cに示したタンディッシュ1の全てに適用するとして説明を続ける。図6Aのタンディッシュ1の場合は、y3=0、x2=x3を満たし、図6Bのタンディッシュ1の場合は、y3≧0,x2=x3を満たし、図6Cのタンディッシュ1の場合は、y3≧0, x2≧x3を満たすものとする。
さて、前チャージ(前ヒート)での鋳造を終了する場合は、取鍋16のノズルから注入室4への溶鋼14の注入を停止しつつ、タンディッシュ1内の溶鋼14を鋳型17に供給する。即ち、前ヒートでの鋳造を終了する場合は、タンディッシュ1内の溶鋼14の湯面を定常状態から徐々に低下させて、タンディッシュ1内の前チャージの溶鋼14をできるだけ鋳型17に供給する。このとき、注入室4及びストランド室5の湯面は徐々に下降して行き、湯道9の高さになった場合には、ストランド室5の湯面上のスラグが注入室4へと逆流する虞がある。
そこで、発明者は、湯道9の形状及び注入室4の形状について検証を行い、湯道9の形状及び注入室4の形状を、後述するように指数A及び指数Bに指数化したうえで、これら指数A及び指数Bが式(8)を満たすようにすることによって、ストランド室5の湯面上のスラグが注入室4へと逆流しない形状を見出した。
B≦-0.7tanh(3.5A-2.3)+1.1 ・・・(8)
A=(x1 2/(x1 2+y1 2))2・(x3 2/(x3 2+y3 2))3・(x2/x3)0.4
B=y2/x1,y2=d1(1+y1 2/x1 2)0.5-y1
次に、式(8)で示されたパラメータ、指数A、指数Bについて説明する。
図6に示すように、式(8)の「y2」は、湯道9のストランド室5側の出口10と、湯道9の注入室4側の入口12との高低差(湯道9の上下方向の重なり度合)である。
指数Aは、「湯道9と注入室4の底部2aの形状の指数」である。即ち、指数Aにおいて、(x1 2/(x1 2+y1 2))2は、湯道9の形状であって傾斜の指数であり、x3 2/(x3 2+y3 2)は、傾斜部11の傾斜の指数であり、(x2/x3)0.4は、平坦部2aの長さ及び傾斜部11の長さの指数である。指数Aの数値が小さいほど、湯道9と注入室4の底部2aの形状が急になり、スラグの逆流抑制を図ることができる。
指数Bにおいて、「y2」は、湯道9の上下方向の重なり度合であるが、鋳造終了時に湯面を降下させ、湯面が湯道9に到達した場合の状況を考えると、この「y2」は「湯面下降時における注入室4とストランド室5とを湯面が繋がる上下距離」と見ることができる。
また、指数Bの「x1」は、湯道9の水平方向の長さであるが、湯面が湯道9に到達した場合の状況を考えると、この「x1」は湯道9内をスラグが注入室4へ向けて流れる距離(スラグ逆流可能距離)と見ることができる。
つまり、指数Bが小さいほど、スラグが注入室4に到達し難い。また、指数Bが大きくても、指数Aが小さいと、スラグが注入室4に到達し難い。
なお、上記の式(8)の範囲は、図8に示す範囲となる。式(8)を満たす場合、スラグが注入室4に入り難く、鋳造停止後、溶鋼14の湯面を下降させた場合に、ストランド室5のスラグが注入室4に逆流することを防止することができる。なお、y3=0のとき、x2=x3であり、B<0も含むものとする。
以上、本発明によれば、タンディッシュ1を、式(1)〜式(8)を満たす構造にすることによって、前チャージにおいて、ストランド室5内における溶鋼14の湯面を降下させる場合に、溶鋼14の湯面上に存在するスラグが、ストランド室5と注入室4とを貫通する湯道9を介して注入室4に逆流することを抑制することができる。
さて、上述した構造を有するタンディッシュ1を異鋼種連々鋳造に用いることによって、前チャージと後チャージの切替時におけるスラグの逆流を十分に防止することができるが、さらに、下記に示す方法に従って連続鋳造を行うことで、よりスラグの逆流を防止することができる。
図10を用いて、異鋼種連々鋳造における前チャージと後チャージとの切替について説明する。まず、異鋼種連々鋳造においては、前チャージの溶鋼14と、後チャージの溶鋼14との成分が異なるため、溶鋼14同士が混ざることによる成分変化を防止するため(成分まじりを防止するために、前チャージの溶鋼14を出来る限り少なくしてから後チャージの溶鋼14を注入する。
異鋼種連々鋳造の繋ぎ方としては、図10のS1〜S3に示すように、鋳造をそのまま続ける希釈鋳造と、図10のS4〜S6に示すように、前チャージの鋳造を一旦終了して前チャージ側の鋳片トップにシーケンスブロックを挿入して後チャージの溶鋼14を注入するシーケンスブロック連々鋳造が挙げられる。なお、シーケンスブロックには、鋳片19内での前チャージと後チャージの溶鋼14を遮断して、成分混じりを抑制する役割を有する。
図10のS1に示すように、鋳造をそのまま続ける稀釈鋳造では、前チャージの溶鋼14の注入終了のタイミングは、タンディッシュ1内の湯面がストランド室5の湯道9よりも上方で行う。即ち、ストランド室5側の溶鋼14の湯面が湯道9の出口10の上端より上方に位置しているときに、前チャージの溶鋼14を注入室4に注入することを終了する。
図10のS2に示すように、前チャージの溶鋼14の注入終了後も、タンディッシュ1内の溶鋼14は鋳型17に供給されるため、湯面は次第に低下して行き、湯面は湯道9の出口10の上端に達する。湯面が湯道9の出口10の上端に達すると、ストランド室5側に留まっていた湯面上のスラグが、次第にストランド室5側から注入室4側へ移動するようになる。
ここで、図9に示すように、スラグが湯道9を移動する距離(逆流距離)を「S(US)」としたとき、スラグの逆流距離S(US)が湯道9の水平方向の長さx1を超えないようにすれば、湯面降下時において、ストランド室5内のスラグが湯道9内を逆流したとしても、注入室4にまで移動しない。
即ち、式(9)を満たしながら、前チャージにおける溶鋼14の湯面を、湯道9の傾斜高さy1以下に低下させる。
つまり、式(a)で求められる逆流距離S(US)が湯道9の水平方向の長さx1に到達してしまう前に、湯面を湯道9の傾斜高さy1以下まで低下させる。
S(US)≦x1 ・・・(9)
ただし、S(US)=124.5d2b(t/T)0.7(x1 2/(x1 2+y1 2))2(x3 2/(x3 2+y3 2))3(x2/x3)0.4(1-Fr)3 …(a)
T=98901(d2b)4/3,Fr=UL/(9.8d1)0.5,t=y2/USである。
なお、逆流距離S(US)の始点は、ストランド室5内のスラグが湯道9に入り始める地点であるため、湯道9の出口10の上端である。また、逆流距離S(US)の始点から注入室4側の水平方向を逆流距離S(US)の正としている。また、逆流距離S(US)は、式(a)により求めることができるが、y2>0である場合は式(a)を適用し、y2≦0である場合は、逆流距離S(US)=0とする。また、y3=0のとき、x2/x3=1となる。
なお、「d1」は湯道9の縦径であり、「d2」は湯道9の横径である。「UL」は湯道9内の平均溶鋼速度であり、「US」は湯面降下速度である。「b」はスラグの厚みである。「Fr」はフルード数である。
そして、図10のS3に示すように、湯面を湯道9の傾斜高さy1以下まで低下させた後は、後チャージの溶鋼14を注入室4に注入する。即ち、後チャージの注入を開始する。
なお、湯面を湯道9の傾斜高さy1以下まで低下させない場合は、注入室4にスラグが逆流してしまうこととなる。また、注入室4にスラグが逆流して残存した状態で、後チャージの溶鋼14を注入すると、注入室4内でスラグが叩き込まれて微細に分散し、介在物性欠陥となってしまう虞がある。
なお、ストランド室5内のスラグは、溶鋼14の酸化防止のために残留させている。
シーケンスブロック連々鋳造においても、上述した稀釈鋳造と同じである(図10のS4)。次に、図10のS5に示すように、湯面を湯道9の傾斜高さy以下まで低下させた後は、シーケンスブロックを鋳型17に挿入し(図10のS5)、その後、後チャージの溶鋼14を注入室4に注入する(図10のS6)。
[実験例]
さて、上述したスラグの逆流距離S(US)の式(a)は、水モデルの実験で求めたものである。
以下に、水モデルの実験による式(a)の導出について説明する。
タンディッシュ1について、水モデル実験では、実機を相似的に1/3にした、1/3モデルのもので実験を行った。また、図11に示すように、水モデル実験用のタンディッシュ1は、T型タンディッシュとした。ストランド数は5ストランドとした。
また、水モデル実験用のタンディッシュ1において、仕切堰8に設けた湯道9は、ストランド室5から注入室4へ向けて延びる直線状とした。湯道9の出口10と繋がるストランド室5の底部2bは、湯道9の出口10下端以下に位置させた。
図11の1/3モデルのタンディッシュ1の仕切堰8は、水の流れが分かるように、透明のアクリル樹脂を用いた。水モデルでは、水を溶鋼14と仮定し、オイルをスラグと仮定して実験を行った。水及び実機における溶鋼14の流体の物性の関係は、表1に示す通りである。また、オイル及び実機におけるスラグの物性の関係は、表2に示す通りである。
図12に示すように、水モデル実験では、タンディッシュ1内に溶鋼14のモデルである水を満たし、ストランド室5側の水面には、スラグのモデルであるオイルを成層させた。一定の流量で水をストランド室5のノズルから抜き、その様子をタンディッシュ1の上方に設けたビデオカメラで撮像した。ビデオカメラの撮像では、オイルが湯道9を逆流する様子を中心に撮像した。そして、オイルが湯道9の出口10から入口12までに到達する時間を計測した。水モデル実験の結果は、表3の通りである。なお、表3は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割して上下に配置している。
発明者らは、水モデル実験の結果に基づき、湯道9を通るスラグ(オイル)の移動距離S(US)について検証を行った。検証を行うにあたって、水面上の油膜の広がりに関しての文献(高橋照男ら:化学工学論文集、第5巻第5号(1979)pp.526-531)によって導出された式(b)を参考にした。参考文献に記載の式(b)は、油膜の広がりに対する液体の物性値の影響を考慮した油膜の広がり距離Sに関する実験式である。
S=1.19M(1.25+μLU)0.5(t/T)0.7 ・・・(b)
ただし、M=5d2b/4(2(σLUUL)/ρU(1-ρUL)g)0.5
T=(8.3ρU(1-ρUL)g(d2b)2LμL)0.5/16(σLUUL)2)2/3
g:重力加速度
t:湯面が湯道の出口(ストランド室側)上端に達してから、入口(注入室側)の下端に達するまでの降下時間
なお、ρLは下層(数値計算:溶鋼、水モデル実験:水)の密度であり、ρUは上層(数値計算:スラグ、水モデル実験:オイル)の密度である。μLは下層(数値計算:溶鋼、水モデル実験:水)の粘度であり、μUは上層(数値計算:スラグ、水モデル実験:オイル)の粘度である。σUは下層(数値計算:溶鋼、水モデル実験:水)の表面張力であり、σLは上層(数値計算:スラグ、水モデル実験:オイル)の表面張力である。σULは上層と下層の界面張力である。
ところで、上述した式(b)では、タンディッシュ1の底面2a,2bの形状の影響、湯道9におけるスラグの逆流等の影響が考慮されていない。そこで、水モデルの実験結果と式(b)を基にして、タンディッシュ1の底面2a,2bの形状の影響、湯道9におけるスラグの逆流等が考慮された回帰式(c)を導出した。
S(US)=0.2M(1.25+μLU)0.5(t/T)0.7(x1 2/(x1 2+y1 2))2(x3 2/(x3 2+y3 2))3(x2/x3)0.4(1-Fr)3 ・・・(c)
ただし、Fr=UL/(9.8d1)0.5
t=y2/US
d1: 湯道の縦径
d2:湯道の横径
Us:湯道内の平均溶鋼速度(水の平均速度)
UL:湯面(水面)の降下速度
b:オイル厚(スラグ厚)
そして、式(b)の液体の物性値に実機の値を代入して整理すると、上述した式(a)になる。
S(US)=124.5d2b(t/T)0.7(x1 2/(x1 2+y1 2))2(x3 2/(x3 2+y3 2))3(x2/x3)0.4(1-Fr)3 ・・・(a)
ただし、T=98901(d2b)4/3
Fr=UL/(9.8d1)0.5
t=y2/US
スラグ(オイル)の逆流距離S(US)の実測値と計算値とをまとめると、図13に示すようになった。
図13に示すように、スラグ(オイル)の逆流距離S(US)の実測値と計算値とは相関関係があることを確認できる。したがって、式(9)を満たすように、連続鋳造を行うことによって、異鋼種連々鋳造における前チャージと後チャージとの切替時、即ち、湯面の降下時に注入室4にストランド室5からのスラグが逆流することを防止することができる。
ところで、鋳型17へ注入される溶鋼14の温度が高すぎると、鋳型17下方で凝固シェルが破断して、未凝固溶鋼が下方に漏れてしまうブレークアウトが発生する虞がある。
ブレークアウトが発生すると、漏れてきた地金が連続鋳造装置15のロールスタンドに付着してしまい、それを除去する作業が発生する。また、地金除去が困難な場合は、ロールスタンドの交換等を実施しなければならなくなる。このような、余計な作業をしなければならない問題が発生すると、連続鋳造装置15の多大な復旧費用がかかってしまい、鋳片19の生産に大きな影響を与えてしまう。
従って、上記したブレークアウトを抑制するために、タンディッシュ1内の溶鋼温度を、鋼の液相線温度に対して、+20℃〜40℃の範囲に制御している。
一方で、多ストランドタンディッシュを用いた連続鋳造では、各ストランド6から各鋳型17へ注入される溶鋼14の温度に偏差が発生する。それ故、ブレークアウトを防止するために、溶鋼14の温度偏差の高温側を基準にして、タンディッシュ1内の溶鋼温度を制御している。
例えば、ストランド室5の底部2bに設置された各ストランド6から流出する溶鋼温度の偏差が大きいと、溶鋼14の温度偏差の低温側において、ストランド6の下方に設置された浸漬ノズル13内で溶鋼14が凝固し、ノズル詰りが発生する虞がある。
このように、ノズル詰りが発生したストランド6においては、連続鋳造を停止しなければならず、鋳片19の生産に大きな影響を及ぼす。
以上より、溶鋼14の温度偏差を小さくすること、すなわちタンディッシュ1内における溶鋼温度を制御する必要がある。
図14は、タンディッシュ1内における溶鋼温度の測定位置を示す図である。図14に示すように、本実施形態においては、ストランド6のほぼ真上であって、溶鋼14の湯面から0.3mの深さにおける溶鋼温度の測定を行った。
表4に、測定されたタンディッシュ1内における溶鋼温度の偏差と、温度が低くなった溶鋼14の影響により発生する浸漬ノズル13内のノズル詰りとの関係を示す。
表4からわかるように、タンディッシュ1内のストランド6上方であって、湯面より0.3mの深さにおいて測定した溶鋼14の温度偏差を7℃以下に制御すると、温度が低くなった溶鋼14の影響による、浸漬ノズル13内のノズル詰りが発生しないことが確認できる。
さて、図15に示すように、前チャージの鋳造終了後、湯面を降下させた場合にストランド室5のスラグが湯道9を通って注入室4に逆流することがある。この場合には、注入室4に逆流したスラグと後チャージの溶鋼14とが混ざってしまう。即ち、スラグ叩き込みが発生する。
このようなスラグ叩き込みが発生した場合、スラグが微細に分断されて長時間に渡って注入室4内に滞留しながら、少しずつストランド室5を経由して、鋳型17内に流出する虞がある。スラグが流出してしまうと、後チャージ側の製品において介在物性の欠陥が発生し、歩留まりが悪くなる虞がある。
例えば、図16に示すように、従来の手法では、稀釈連続鋳造であっても、シーケンスブロックを挿入して連続鋳造する場合であっても、前チャージと後チャージとを繋ぐ鋳片19では、スラグ系介在物により増加した長いクロップが発生する。このように、スラグが注入室4まで逆流してしまった場合は、図示したように、長いクロップが発生するため、スラグ逆流抑制の評価は不良となる。
一方、本発明のように、スラグが湯道9を通過したものの、注入室4内に入らなかった場合は、稀釈連続鋳造であっても、シーケンスブロックを挿入して連続鋳造する場合であっても、前チャージと後チャージとを繋ぐ鋳片19の一部は、成分規格外れクロップが発生するものの、スラグ系介在物によるクロップよりも長さは非常に短い。この場合は、スラグの逆流抑制ができているため、スラグ逆流抑制の評価は良好となる。
なお、図17に示すように、前チャージと後チャージとの切替において、前チャージの湯面を低くせずに、即ち、スラグを叩き込まないように、湯面が湯道9より高い位置のときに後チャージの溶鋼14の注入を開始した場合、図18に示すように、稀釈連続鋳造であっても、シーケンスブロックを挿入して連続鋳造する場合であっても、前チャージの溶鋼14と後チャージの溶鋼14とが大量に混ざり、成分が規格から外れる長いクロップが発生してしまう虞がある。
一方、本発明のようにすれば、稀釈連続鋳造であっても、シーケンスブロックを挿入して連続鋳造する場合であっても、成分が規格から外れるクロップの長さが非常に短くなる。
つまり、本発明によれば、後チャージ側の製品歩留まりを向上させることができる。
次いで、数値計算(数値シミュレーション)について説明する。
まず、数値計算による溶鋼14の温度偏差について説明する。
数値計算の条件は実機条件に相当するものであり、その計算条件として、熱流体解析ソフト:ANSYS,Fluent16、計算モデル:Realized,K-ε,単相流乱流、定常伝熱,(Bousineq)モデル、介在物はEuler移流モデルで行った。
この数値計算では、実機とほぼ同じ1/1モデルで行った。数値計算で用いたタンディッシュ1は、図19に示すT型タンディッシュとした。また、ストランド数は5ストランドとし、図19の左側からNo.1ストランド〜No.5ストランドとした。湯道9は2つとし、図19の左側から第1湯道9a、第2湯道9bとした。また、物性値及び境界条件は、表5に示す通りである。
また、温度偏差についての実施条件は、以下に示す通りである。
平均滞留時間は、(タンディッシュ容量:m3)/(取鍋から溶鋼流入量m3/s)から導出することとした。なお、タンディッシュ1内の流れは、平均滞留時間で規格化して評価することとした。
図20に、湯道9に関する座標の位置を示す。
第1湯道9a(K=1)の場合、ストランド室5側での円相当直径を、D(1)とする(図20中の(1))。第1湯道9aから流れ出す吐出流を、挟み込むストランド6の番号を、I1(例えば、No.2ストランド)、J1(例えば、No.3ストランド)とする(図20中の(2))。平面視において、2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点座標を、PcLS(I1,J1)とする(図20中の(3))。
第1湯道9aの一方端部(I1側)の座標を、PoI(1)とする(図20中の(4))。吐出流の外縁(一方端側)を示す直線LPoIと、耐火物壁(前側壁面7)RRの交点の座標を、PrI(1)とする(図20中の(5))。吐出流の外縁を示す(他方端側)直線LPoJと、耐火物壁(前側壁面7)RRの交点の座標を、PrJ(1)とする(図20中の(6))。
以上の第1湯道9aに関する座標は、第1湯道9aの他方端部(J1側)PoJ(1)を、原点(0,0)とした場合の相対座標である。
また、第2湯道9bの座標については、以下の通りである。
第2湯道9b(K=2)の場合、ストランド6室側での円相当直径を、D(2)とする(図20中の(1))。第2湯道9bから流れ出す吐出流を、挟み込むストランド6の番号を、I2、J2とする(図20中の(2))。平面視において、2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点座標を、PcLS(I2,J2)とする(図20中の(3))。
第2湯道9bの一方端部(ストランドI2側)の座標を、PoI(2)とする(図20中の(4))。吐出流の外縁(一方端側)を示す直線LPoIと耐火物壁(前側壁面7)RRの交点の座標を、PrI(2)とする(図20中の(5))。吐出流の外縁を示す(他方端側)直線LPoJと耐火物壁(前側壁面7)RRの交点を、PrJ(2)とする(図20中の(6))。
以上の第2湯道9bに関する座標は、第2湯道9bの他方端部(ストランドJ2側)PoJ(2)を、原点(0,0)とした場合の相対座標である。また、第2湯道9bに関する座標は、第1湯道9aに関する座標を、左右方向に反転させたものであるので、各座標位置は一致する。
図21に示すように、PrJ(1,2)、つまり原点(0,0)と(6)の点PrJ(1)を結ぶ直線、及び、(4)の点PoI(1)と(5)の点PrI(1) を結ぶ直線に囲まれる範囲に、(3)の中点PcLS(I1,J1)が存在するようにしておくと、ストランド6間の溶鋼温度の偏差が小さくなり、溶鋼温度のバラツキが抑制される。
なお、数値計算の結果、つまり温度偏差の評価するにあたっては、上述の数値計算により導出された、各ストランド6における溶鋼14の流出温度の最大値Tomaxと、最小値Tominの差(Tomax-Tomin)を、各鋳型17への注入温度の偏差量として定義した。図22に、その各ストランド6と、鋳型17への注入温度との関係を示す。
また、湯道9が仕切堰8に3個以上設けられていて、3個目の以降の湯道9についても、座標の位置関係は上述したものと同じである。
以下に、溶鋼14の温度偏差に関する数値計算の結果を示す。
図23Aに示すタンディッシュ1は、本発明の形状・構成を有するものであり、注入室4とストランド室5を明確に仕切る仕切堰8が設けられ、その仕切堰8に湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)が2つ設けられている。また、各湯道9a,9bの向きは、2つのストランド6間となっている。また、ストランド数は5ストランドである。
また、仕切堰8に設けられた第1湯道9a及び第2湯道9bについては、注入室4からストランド室5へ向けて、左右方向外側を向いて延びる直線状としている。第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、当該各湯道9a,9bの出口10a,10b下端以下に位置させている。これを、溶鋼14の温度偏差に関する実施例の形状Aとする。
図23Bに示すタンディッシュ1は、本発明の形状・構成を有するものであり、注入室4とストランド室5を明確に仕切る仕切堰8が設けられ、その仕切堰8に湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)が2つ設けられている。また、各湯道9a,9bの向きは、2つのストランド6間となっている。また、ストランド数は4ストランドであり、右側が長いストランド室5を有している。
これを、溶鋼14の温度偏差に関する実施例の形状Bとする。なお、各湯道9a,9b及び底部2bの構成については、図23Aのタンディッシュ1と同様である。
図23Cに示すタンディッシュ1は、本発明の形状・構成を有するものであり、注入室4とストランド室5を明確に仕切る仕切堰8が設けられ、その仕切堰8に湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)が2つ設けられている。また、各湯道9a,9bの向きは、2つのストランド6間となっている。また、ストランド数は3ストランドである。
これを、溶鋼14の温度偏差に関する実施例の形状Cとする。なお、各湯道9a,9b及び底部2bの構成については、図23Aのタンディッシュ1と同様である。
表6、表7に、本発明のタンディッシュ1を用いた場合における、溶鋼14の温度偏差に関する数値計算の結果を示す(本実施例)。なお、表6、表7は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
表6、表7の実験番号1について、ストランド6は5個であり、3個以上6個以下を満たす。また、湯道9は2つであり、各湯道9a,9bからの吐出流線は交差しない。つまり、図23Aに示す形状Aの構造を有するタンディッシュ1である。
第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPP(1)が1256.1mmであり、且つ10×D(1)が2500mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たす。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPP(2)が1051.44mmであり、且つ10×D(2)が2500mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たす。
さらに、2つのストランド6は領域外に存在しているとともに、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在している(図24参照)。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が5.3℃であり、7℃以下に収まり、良好な結果となった。
表6、表7の実験番号2について、ストランド6は5個であり、3個以上6個以下を満たす。また、湯道9は2つであり、各湯道9a,9bからの吐出流線は交差しない。つまり、図23Aに示す形状Aの構造を有するタンディッシュ1である。
第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1187.3mmであり、且つ10×D(1)が2500mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たす。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1122.2mmであり、且つ10×D(2)が2500mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たす。
さらに、2つのストランド6は領域外に存在しているとともに、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在している(図25参照)。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が5.2℃であり、7℃以下に収まり、良好な結果となった。
表6、表7の実験番号3について、ストランド6は5個であり、3個以上6個以下を満たす。また、湯道9は2つであり、各湯道9a,9bからの吐出流線は交差しない。つまり、図23Aに示す形状Aの構造を有するタンディッシュ1である。
第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1418.1mmであり、且つ10×D(1)が2500mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たす。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1154.07mmであり、且つ10×D(2)が2500mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たす。
さらに、2つのストランド6は領域外に存在しているとともに、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在している(図26参照)。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が4.5℃であり、7℃以下に収まり、良好な結果となった。
表6、表7の実験番号4について、ストランド6は4個であり、3個以上6個以下を満たす。また、湯道9は2つであり、各湯道9a,9bからの吐出流線は交差しない。つまり、図23Bに示す形状Bの構造を有するタンディッシュ1である。
第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1256.1mmであり、且つ10×D(1)が2500mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たす。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1051.44mmであり、且つ10×D(2)が2500mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たす。
さらに、2つのストランド6は領域外に存在しているとともに、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在している(図27参照)。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が4.9℃であり、7℃以下に収まり、良好な結果となった。
表6、表7の実験番号5について、ストランド6は3個であり、3個以上6個以下を満たす。また、湯道9は2つであり、各湯道9a,9bからの吐出流線は交差しない。つまり、図23Cに示す形状Cの構造を有するタンディッシュ1である。
第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1256.1mmであり、且つ10×D(1)が2500mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たす。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1051.44mmであり、且つ10×D(2)が2500mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たす。
さらに、2つのストランド6は領域外に存在しているとともに、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在している(図28参照)。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が3.6℃であり、7℃以下に収まり、良好な結果となった。
次に、本発明と比較するために行った、数値計算による溶鋼温度の偏差の結果について述べる。
表8、表9に、数値計算による溶鋼温度の偏差の結果を示す(比較例)。なお、表8、表9は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
表8、表9の実験番号10について、ストランド6は5個であり、湯道9は2つである。つまり、図29Aに示す形状Dの構造を有するタンディッシュである。
しかし、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在していない(図30参照)。各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が7.1℃であり、7℃以上となり、不良な結果となった。
表8、表9の実験番号11について、ストランド6は5個であり、湯道9は2つである。つまり、図29Aに示す形状Dの構造を有するタンディッシュである。
しかし、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在していない(図31参照)。各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が7.6℃であり、7℃以上となり、不良な結果となった。
表8、表9の実験番号12について、ストランド6は4個であり、湯道9は2つである。つまり、図29Bに示す形状Eの構造を有するタンディッシュである。
しかし、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点が、図20における直線LPoIと直線LPoJに囲まれる領域に存在していない(図32参照)。各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が8.2℃であり、7℃以上となり、不良な結果となった。
表8、表9の実験番号13について、ストランド6は5個であり、湯道9は2つである。この湯道9は非常に細いものである。つまり、図29Cに示す形状Fの構造を有するタンディッシュである。
しかし、領域外の2つのストランド6の重心を結んだ直線の中点は満たされているが、式(1)LPP(K)<10×D(K)を満たしていない(図33参照)。
具体的には、第1湯道9aの中心軸上における当該第1湯道9aの出口10aから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが1258.5mmであり、且つ10×D(1)が900mmであるので、式(1)、LPP(1)<10×D(1)を満たさない。
また、第2湯道9bの中心軸上における当該第2湯道9bの出口10bから、対向するストランド室5内の前側壁面7までの距離LPPが979.93mmであり、且つ10×D(2)が900mmであるので、式(1)、LPP(2)<10×D(2)を満たさない。
以上より、各ストランド6間の温度偏差[Δ℃]が7.8℃であり、7℃以上となり、不良な結果となった。
続いて、数値計算によるスラグ逆流の抑制について説明する。
この数値計算を行う際の実施の条件については、上述した温度偏差における計算条件の通りである。つまり、実機条件に相当するもので行った。
表10、表11に、本発明のタンディッシュを用いた場合における、スラグ逆流の抑制に関する数値計算、式(a)の結果を示す(本実施例)。なお、表10、表11は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
スラグが注入室4まで逆流してしまった場合は、長いクロップが発生するため、スラグ逆流抑制の評価は不良「×」となる。一方、スラグが湯道9を通過したものの、注入室4内に入らなかった場合は、クロップの長さは非常に短い。この場合は、スラグの逆流抑制ができているため、スラグ逆流抑制の評価は良好「〇」となる。
なお、操作性の不良とは、湯道9の詰まり等が発生する虞があり、耐火物の耐久性が低下すること、取鍋16の砂がストランド室5へ流出することなどを示している。
表10、表11の実験番号1(本実施例)について、このタンディッシュは湯道9が円形状であり、2個備えている。そして、式(2)〜式(8)を満たしている。また、湯道9の水平方向の長さx1は、650mmであり且つ、湯道9内をスラグが逆流する距離S(US)が0.515mであるので、式(9)、S(US)≦x1を満たす。その結果、スラグ逆流抑制及び操作性も良好であった。
表10、表11の実験番号10について、このタンディッシュは湯道9が円形状であり、2個備えている。そして、式(2)〜式(8)を満たしている。また、湯道9の水平方向の長さx1は、300mmであり且つ、湯道9内をスラグが逆流する距離S(US)が0.274mであるので、式(9)、S(US)≦x1を満たす。その結果、スラグ逆流抑制及び操作性も良好であった。
表10、表11の実験番号18について、このタンディッシュは湯道9が扁平形状であり、2個備えている。そして、式(2)〜式(8)を満たしている。また、湯道9の水平方向の長さx1は、600mmであり且つ、湯道9内をスラグが逆流する距離S(US)が0mであるので、式(9)、S(US)≦x1を満たす。その結果、スラグ逆流抑制及び操作性も良好であった。
表10、表11の実験番号19について、このタンディッシュは湯道9が四角形状であり、2個備えている。そして、式(2)〜式(8)を満たしている。また、湯道9の水平方向の長さx1は、600mmであり且つ、湯道9内をスラグが逆流する距離S(US)が0.299mであるので、式(9)、S(US)≦x1を満たす。その結果、スラグ逆流抑制及び操作性も良好であった。
次に、本発明と比較するために行った、数値計算、式(a)によるスラグ逆流の抑制の結果について述べる。
表12、表13に、スラグ逆流の抑制に関する数値計算の結果を示す(比較例)。なお、表12、表13は、一続きのものであり、説明しやすくするため、2分割としている。
表12、表13の実験番号1について、このタンディッシュは湯道が円形状であり、2個備えている。しかし、式(5)を満たしていないため、操作性が不良である。
表12、表13の実験番号7について、このタンディッシュは湯道が円形状であり、2個備えている。しかし、式(4)及び式(7)を満たしていないため、操作性が不良である。
表12、表13の実験番号8について、このタンディッシュは湯道が円形状であり、2個備えている。しかし、式(8)を満たしていない。また、湯道の水平方向の長さx1は、300mmであり且つ、湯道内をスラグが逆流する距離S(US)が0.381mであり、式(9)、S(US)≦x1を満たしていない。その結果、スラグ逆流抑制が不良であった。
表12、表13の実験番号11について、このタンディッシュは湯道が円形状であり、2個備えている。しかし、湯道の水平方向の長さx1は、200mmであり且つ、湯道内をスラグが逆流する距離S(US)が0.266mであり、式(9)、S(US)≦x1を満たしていない。その結果、スラグ逆流抑制が不良であった。
以上、本発明によれば、タンディッシュ1の形状や連続鋳造の鋳造方法を適正に設定することにより、操業性を確保しつつ、異鋼種連々時にストランド5室内のスラグが逆流して注入室4に入ることを抑制し且つ、後チャージの取鍋16開口時に逆流スラグを巻き込むことを抑制するとともに、タンディッシュ1内における各ストランド6間の溶鋼温度のバラツキを抑制することが可能である。
また、本発明によれば、低ΔT側のストランド6における浸漬ノズル13のノズル詰りを抑制するとともに、高ΔT側のストランド6におけるブレークアウトを抑制することができる。
以上述べた、本発明の連続鋳造用タンディッシュ1は、図34に示されるような連続鋳造装置15を用いた連続鋳造方法に適用可能である。
図34に示すように、連続鋳造装置15は、例えば、二次精錬処理後の溶鋼14を連続的に鋳造する装置であり、取鍋16内の溶鋼14が注入されるタンディッシュ1と、当該タンディッシュ1内の溶鋼14を鋳込む鋳型17と、鋳型17によって形成された鋳片19を支持するサポートロール18を備えている。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 タンディッシュ
2a 底部(注入室)
2a 平坦部
2b 底部(ストランド室)
3 周壁
4 注入室
5 ストランド室
6 鋳型注入孔(ストランド)
7 側壁(前側壁面、正面壁)
8 仕切堰
9 湯道(堰孔、底部孔)
9a 第1湯道
9b 第2湯道
10 湯道の出口
10a 第1湯道の出口
10b 第2湯道の出口
11 傾斜部
12 湯道の入口
13 浸漬ノズル
14 溶鋼
15 連続鋳造装置
16 取鍋
17 鋳型
18 サポートロール
19 鋳片
20 酸素パイプ

Claims (2)

  1. 取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔が左右方向に3以上6以下、列設されているストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰の下部に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、
    前記湯道は、平面視で、当該湯道の中心軸が前記タンディッシュの幅方向中央で前後を向く線を基準として水平方向外側に向くように2本設けられていて、
    前記湯道の中心軸上における当該湯道の出口から、対向する前記ストランド室内の側壁までの距離LPPが式(1)を満たし、
    平面視で、前記湯道の出口における左右方向一端から、対向する前記ストランド室内の側壁まで延長した直線を一の仮想線とし、前記湯道の出口における左右方向他端から、対向する前記ストランド室内の側壁まで延長した直線を他の仮想線とした場合、
    前記一対の仮想線に囲まれる領域の左右方向外側に、前記鋳型注入孔が設けられており、
    前記領域の外側であって且つ、隣り合う2つの前記鋳型注入孔の重心を結ぶ線分の中点が、前記領域内に重複し、
    前記湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(2)〜式(8)を満たしていることを特徴とする連続鋳造用のタンディッシュ。
    LPP<10×D ・・・(1)
    0.08≦D (円相当径) [m] ・・・(2)
    d1≦0.3 [m] ・・・(3)
    0.115≦(x1 2+y1 2)0.5≦1 [m] ・・・(4)
    0.05≦y1/x1≦1 [-] ・・・(5)
    0≦y3/x3≦0.36 [-] ・・・(6)
    x3≧0.5 [m] ・・・(7)
    B≦-0.7tanh(3.5A-2.3)+1.1 ・・・(8)
    ただし、D:湯道の円相当径
    A=(x1 2/(x1 2+y1 2))2・(x3 2/(x3 2+y3 2))3・(x2/x3)0.4
    B=y2/x1
    d1:湯道の縦径
    x1:湯道の水平方向の長さ
    x2:注入室底部の水平方向の長さ
    x3:注入室底部に設けられた傾斜部の水平方向の長さ
    y1:湯道の上下方向の傾斜高さ
    y2:湯道のストランド室側の上端と、注入室の底部前端の上下方向の距離
    y3:注入室底部に設けられた傾斜部の上下方向の高さ
  2. 請求項1に記載された連続鋳造用のタンディッシュを用いて連続鋳造を行うに際し、
    前記ストランド室側の溶鋼の湯面が前記湯道の上端より上方に位置しているときに、前チャージの溶鋼を注入室に注入することを終了し、
    式(9)を満たしながら、前記前チャージにおける溶鋼の湯面を、前記湯道の傾斜高さy以下に低下させた後、後チャージの溶鋼における前記注入室への注入を開始することを特徴とする連続鋳造方法。
    S(US)≦x1 ・・・(9)
    ただし、
    S(US)=124.5d2b(t/T)0.7(x1 2/(x1 2+y1 2))2(x3 2/(x3 2+y3 2))3(x2/x3)0.4(1-Fr)3
    T=98901(d2b)4/3
    Fr=UL/(9.8d1)0.5
    t=y2/US
    S(US):湯道内をスラグが逆流する距離
    d1: 湯道の縦径
    d2:湯道の横径
    U S :湯面降下速度
    U L :湯道内の平均溶鋼速度
    b:スラグの厚み
    Fr:フルード数
    t:湯面が湯道のストランド室側の上端に達してから、湯道の注入室側の下端に達するまでの時間
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