JP5794969B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1のタンディッシュは、取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュであって、取鍋からの溶鋼が装入される注入室と、この注入室の溶鋼を鋳型に装入する分配室と、注入室と分配室とを仕切る仕切堰と、仕切堰に設けられて注入室の溶鋼を分配室に流す湯道とを有している。
特許文献3の連続鋳造方法では、湯落ち部の溶鋼の湯面にスカムを浮上させ、該スカムの浮上した湯面をタンディッシュの分配部との境界の大堰に設けた通路に設けた通路より高く位置させることにより、湯落ち部の湯面に浮上したスカムが溶鋼と共に分配部へ移動することを阻止し、溶鋼のみを分配部に移動させることにより、分配部からモールドへ注湯する溶鋼中へのスカムの巻き込みをなくしつつ、溶鋼をモールドに鋳込んでいる。
即ち、本発明の連続鋳造方法は、取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュを用いて鋳造を行う連続鋳造方法であって、
前記T型タンディッシュは、前記取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記溶鋼を鋳型に装入する分配室と、前記注入室からの溶鋼を滞留させると共に前記分配室に溶鋼を装入する滞留室と、前記注入室と滞留室とを仕切る第1仕切堰と、前記滞留室と分配室とを仕切る第2仕切堰とを備え、前記第1仕切堰には、前記注入室から滞留室へ溶鋼を通す第1流通孔を設け、前記第2仕切堰には、前記滞留室から分配室に溶鋼を通す第2流通孔を設けており、前記第1流通孔に関し、当該第1流通孔の上端を基準深さの0.4以下の位置に設定し、第1仕切堰の基準深さ面積に対する当該第1流通孔の断面積の比を0.04以上0.15以下とし、第1流通孔の穿孔角度を、水平方向を基準として流通方向に対して下向きに20deg以上45deg以下としておき、前記第2流通孔に関し、前記第2流通孔の上端を基準深さの0.6以下の位置に設定し、第2流通孔の下端を基準深さの0.2以上の位置に設定し、第2仕切堰の基準深さ面積に対する当該第2流通孔の断面積の比を0.03以上0.09以下とし、第2流通孔の穿孔角度を水平方向を基準として流通方向に対して上向きに20deg以上45deg以下としておき、前記T型タンディッシュにおけるストランドの合計スループットを、3.5〜4.0ton/minで鋳造することを特徴とする。
本発明の連続鋳造方法は、取鍋内の溶鋼をT型タンディッシュに装入(注入)し、当該T型タンディッシュに装入した溶鋼を鋳型に装入することによって鋳造を行うものである。
図1は、T型タンディッシュ及び鋳型を備えた連続鋳造設備を示したものである。まず、連続鋳造設備について説明する。図1に示すように、連続鋳造装置1は、溶鋼を連続的に鋳造する鋳造装置であって、溶鋼2を一時的に貯留するT型タンディッシュ3と、このT型タンディッシュ3からの溶鋼2が供給される鋳型4と、この鋳型4により成型された鋳片を引き出すと共に、鋳片をサポートする複数のサポートロール5とを有している。
図2に示すように、T型タンディッシュ3は、取鍋9からの溶鋼2が注入される注入室10と、溶鋼2を鋳型4に装入する分配室11と、注入室10からの溶鋼2を滞留させると共に分配室11に溶鋼2を装入する滞留室12とを備えている。T型タンディッシュ3において、注入室10は、左右方向の略中央部に位置し、この注入室10の前側に滞留室12が位置し、滞留室12の左右両側に分配室11が位置している。
次に、第1仕切堰30及び第2仕切堰31について詳しく説明する。
図2〜5に示すように、第1仕切堰30は、正面視で(前側から視て)、上端が左右方向に長く下端が左右方向に短い台形状に形成されたものである。この第1仕切堰30には、注入室10の溶鋼2を滞留室12へ通す第1流通孔33が複数設けられている。
詳しくは、図3(a)に示すように、第1仕切堰30を正面視したとき、当該第1仕切堰30の下側であって左右方向(幅方向ともいう)に、3つの第1流通孔33aが並べて穿設されている。また、第1流通孔33aの上側に、他の3つの第1流通孔33bが左右方向に並べて穿設され、第1流通孔33aと第2流通孔33bとは、千鳥状(中心が左右方向にずれて)に設置されている。
また、第1流通孔33a、33bが上向きであると、図4(b)に示すように、第1流通孔33を通って滞留室12に入った溶鋼2は、上向きに上昇しながら進み前壁16に当たってさらに上側に進むもの(矢印A1)と、上向きに上昇しながら進み前壁16に当たって下側に向きを変えて進むもの(矢印A2)とに分かれてしまい、特に、下向きに流れる溶鋼(A2)の介在物は、浮上し難くなる。このようなことから、第1流通孔33a、33bは、下向きにしている。
さらに、本発明では上述したように、第1流通孔33a、33bの上端の位置及び穿孔角度θ1を設定するのに加えて、第1仕切堰30の面積(溶鋼浸漬面積、後述する基準深さ面積)に対する第1流通孔33(33a、33b)の総断面積の比を所定範囲内にしている。詳しくは、図5(a)に示すように、第1仕切堰30を正面視した状態において、当該第1仕切堰30が溶鋼に浸漬する浸漬部の面積、即ち、第1仕切堰30の下端部から基準高さまでの面積[(図5(a)のグレーの面積)]をS0(基準深さ面積)とし、図5(b)に示すように、第1仕切堰30を正面視した状態において、第1流通孔33の総断面積[各第1流通孔33の断面積を積算した値であって図5(b)のグレーの面積]をS1とし、これら総断面積をS1と基準深さ面積S0との比(S1/S0)を断面積比としたとき、断面積比は0.04以上0.15以下としている。
次に、第2仕切堰31について説明する。
図2、6に示すように、第2仕切堰31は、側面視で(図2(b)の右側乃至は左側から視て)上端が左右方向に長く下端が左右方向に短い台形状に形成されたものである。この第2仕切堰31には、滞留室12の溶鋼2を分配室11へ通す第2流通孔35が複数設けられている。係る構造は第1仕切堰30と略同様である。
複数の第2流通孔35a、35bのうち、最も上側に位置する第2流通孔35bの高さは、所定以下に設定されている。詳しくは、図6(a)に示すように、第2流通孔35の上端(最も上側に位置する第2流通孔35bの上側の縁)は、基準深さの0.6以下の位置に設定している。また、第2流通孔35の上端(最も下側に位置する第2流通孔35bの上側の縁)は、基準深さの0.2以上の位置に設定している。
以上をまとめると、第2流通孔35の上端を基準深さの0.6以下とし、且つ、第2流通孔35の下端を基準深さの0.2以上とし、第2流通孔35の水平方向に対する穿孔角度θ2を流通方向に対して上向きであって20deg以上45deg以下としている。
本発明の鋳造方法では、従来の技術(例えば、特開2008−264859号公報)に比べて、合計スループットが大きな場合であっても、T型タンディッシュ3を上述した構成としたうえで、合計スループットを3.5〜4.0ton/minにすることにより、タンディッシュ3で十分に介在物を浮上分離し、介在物の少ない鋳片を鋳造することができる。
実施例1〜40では、第1流通孔33の上端を、基準深さの0.4以下の位置に設定し(孔上端/溶鋼高さの欄)、第1仕切堰33の基準深さ面積S1に対する第1流通孔33の断面積比を、0.04以上0.15以下とし(断面積/流路面積の欄)、第1流通孔33の穿孔角度θ1を下向きに20deg以上45deg以下としている(孔角度の欄)。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 溶鋼
3 T型タンディッシュ
4 鋳型
5 サポートロール
7 浸漬ノズル
8 スライドバルブ
9 取鍋
10 注入室
11 分配室
12 滞留室
15 底壁
16 前壁
17 第1側壁
18 第1後壁
19 第2側壁
20 第2後壁
30 第1仕切堰
31 第2仕切堰
33 第1流通孔
34 底部
35 第2流通孔
Claims (1)
- 取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュを用いて鋳造を行う連続鋳造方法であって、
前記T型タンディッシュは、前記取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記溶鋼を鋳型に装入する分配室と、前記注入室からの溶鋼を滞留させると共に前記分配室に溶鋼を装入する滞留室と、前記注入室と滞留室とを仕切る第1仕切堰と、前記滞留室と分配室とを仕切る第2仕切堰とを備え、
前記第1仕切堰には、前記注入室から滞留室へ溶鋼を通す第1流通孔を設け、前記第2仕切堰には、前記滞留室から分配室に溶鋼を通す第2流通孔を設けており、
前記第1流通孔に関し、当該第1流通孔の上端を基準深さの0.4以下の位置に設定し、第1仕切堰の基準深さ面積に対する当該第1流通孔の断面積の比を0.04以上0.15以下とし、第1流通孔の穿孔角度を、水平方向を基準として流通方向に対して下向きに20deg以上45deg以下としておき、
前記第2流通孔に関し、前記第2流通孔の上端を基準深さの0.6以下の位置に設定し、第2流通孔の下端を基準深さの0.2以上の位置に設定し、第2仕切堰の基準深さ面積に対する当該第2流通孔の断面積の比を0.03以上0.09以下とし、第2流通孔の穿孔角度を水平方向を基準として流通方向に対して上向きに20deg以上45deg以下としておき、
前記T型タンディッシュにおけるストランドの合計スループットを、3.5〜4.0ton/minで鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
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