JP6701517B2 - 連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
連続鋳造を効率よく操業を行うためには、タンディッシュ内において、注入室からストランド室へ溶鋼をスムーズに流通させる際に、各ストランド間における溶鋼温度を均一化させることが必要となる。
特許文献1は、多ストランドタンディッシュおいて、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減することを目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られたT型タンディッシュにおいて、堰には二つの孔(湯道)が開口されており、孔の向きを所定のストランド間を向かせることで、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減させている。
このようなタンディッシュ内の介在物の流出を防止するための手段として、特許文献4〜6に開示されているものがある。
特許文献4は、溶鋼を分配する際に、タンディッシュ内の大型介在物が鋳型へ流出するのを防止することを目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られたタンディッシュにおいて、その堰には1つないしは2つの孔が開口されている。この堰孔の向きは、溶鋼が鋳型注入孔へ直接流入する、溶鋼の鋳型注入孔への直送流が発生しやすい流出域を外した向きとしている。このような堰孔の向きにすることにより、大型介在物の流出を防止している。
ところが、この文献においては、堰孔の向きを溶鋼が所定のストランド間に流れるような向きとなるように狙う、とのみの規定であるので、非常に稀ではあるが、実操業の条件によっては鋳型注入孔への溶鋼の直送流発生することが考えられる。それ故、可能性としては低いが、溶鋼温度がばらついてしまうことが考えられる。
それ故、溶鋼温度のバラツキが大きくなる可能性が大である。たとえ、プラズマ加熱装置を用いても、溶鋼流の向きを適正化しない限りは、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキが大きくなる虞がある。
ところが、左右のストランド室間に設けられた堰の堰孔においては、溶鋼の流れが弱いため、その堰孔に流入した介在物が滞留してしまうので、その堰孔の内径が段々と細くなってゆき、滞留した多くの介在物により内部が詰まってしまう可能性がある。
以上の技術では、多ストランドタンディッシュにおいて、注入室からストランド室へ流出した溶鋼は、直送流を含めて、注入室に近い鋳型注入孔(ストランド)に優先的に流れ込むこととなり、注入室に近い鋳型注入孔においては、溶鋼温度が高くなる。一方で、注入室から遠い鋳型注入孔においては、温度が低くなった溶鋼が流れ込むこととなる。つまり、多ストランドタンディッシュ内における溶鋼温度のバラツキが大きくなってしまう虞がある。
さて、特許文献4は、鋳型注入孔への溶鋼の直送流を防いでいるものの、実操業の条件によっては、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキが大きくなる虞がある。また同文献の技術においては、堰孔からの噴流が堰近くの鋳型注入孔を超える条件でないために、特に4ストランド以上のタンディッシュに適用させた場合、そのタンディッシュおける溶鋼温度のバラツキを低減させることは不可能である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、注入室と鋳型注入孔を複数有するストランド室とを有する、平面視でT字状のタンディッシュにおいて、各鋳型注入孔に流れる溶鋼の到達時間の差を制御することで、そのタンディッシュ内における各ストランド間の溶鋼温度のバラツキを抑制することが可能な連続鋳造用タンディッシュと、そのタンディッシュを用いた連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる連続鋳造用タンディッシュは、取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔を複数有するストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、前記湯道は、前記注入室から前記ストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め左側に移行する第1湯道と、前記注入室からストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め右側に移行する第2湯道とを有し、前記注入室の前方であって、前記ストランド室の底部から前側壁面にかけて立ち上がる傾斜面を有する傾斜部が備えられていて、前記鋳型注入孔は、前記第1湯道の水平方向を向く中心軸の延長線、前記第2湯道の水平方向を向く中心軸の延長線より左右方向外側の領域に位置し、前記第1湯道の出口及び前記第2湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該第1湯道の出口及び当該第2湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(1)〜式(5)を満たしていることを特徴とする。
h≧d1 [m] ・・・(2)
0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
d1:湯道の縦径
d2:湯道の横径
x1:水平方向を向く湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、鋳型注入孔の上下方向を向く中心軸を通過する水平方向を向く延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との距離
x2:第1湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、第2湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との間の距離
H:溶鋼の深さ
W:ストランド室の前後方向の長さ
z:湯道の軸心の延長線上におけるストランド室の長さ
h:傾斜部の高さ
y:傾斜部の前後方向の長さ
L:傾斜部の幅
θ:湯道の中心軸と、ストランド室の正面壁とがなす角度であり、ストランド室幅方向の中心側の角度
本発明にかかる連続鋳造方法は、上記の連続鋳造用タンディッシュを用いて、連続鋳造
を行うことを特徴とする。
図14に示すように、連続鋳造用タンディッシュ1は、溶鋼14を鋳型17に装入する鋳型注入孔6(ストランド)が設けられた底部2a,2bと、その底部2a,2bの周縁から立ち上がる周壁3とを備えている。なお以降、単にタンディッシュ1と呼ぶこともある。
注入室4は、ストランド6が設けられていない底部2aと、底部2aの3つ周縁それぞれから上方に向かって立設された3つの周壁3と、ストランド室5に対して分割するように仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。一方、ストランド室5は、ストランド6が複数設けられた底部2bと、底部2bの周縁それぞれから上方に向かって立設された周壁3と、当該ストランド室5と注入室4とを仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。
図2A、図2B、図3A、図3Bに示すように、注入室4とストランド室5を仕切る仕切堰8には、注入室4からストランド室5へ直線状に貫通する湯道9が設けられている。すなわち、注入室4とストランド室5は、仕切堰8の下部に開口された湯道9(底部孔)によって繋げられている。
湯道9は、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって水平もしくは徐々に下方に移行し、且つ水平方向において斜め左方向を向く湯道9a(第1湯道)と、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって水平もしくは徐々に下方に移行し、且つ水平方向において斜め右方向を向く湯道9b(第2湯道)とを有している。
すなわち、本発明においては、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bの最下端部と同じ高さ(図3A参照)、或いは、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bの最下端部よりも低い位置である(図3B参照)。以上より、本発明は、図3A、図3Bに例示している構造のタンディッシュ1を対象としている。
ところで、タンディッシュ1の整備を行う際には、タンディッシュ1を略90度傾動させた後、酸素パイプ20から酸素等を吹き込むことにより、酸素の燃焼熱によって、湯道9(堰孔)に付着した地金等を溶融して地金を除去する。
ところが、図5Bに示すように、注入室4とストランド室5とを繋ぐ湯道9が途中で屈曲した貫通形状である場合、整備状況によっては、仕切堰8を溶損させてしまう虞がある。
以下に、本発明のタンディッシュ1の構成について、図を参照しながらさらに詳しく説明する。
図2A、図2Bに戻って、本発明のタンディッシュ1に設けられているストランド6は、平面視で、第1湯道9aの水平方向を向く中心軸の延長線より左方向外側の領域に位置している。また、ストランド6は、第2湯道9bの水平方向を向く中心軸の延長線より右方向外側の領域に位置している。すなわち、第1湯道9aの中心軸の延長線、及び、第2湯道9bの中心軸の延長線より外側に備えられている。
「x1」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸が、対面するストランド室5の前側壁面7(正面壁)と交わる点と、仕切堰8から最も近いストランド6の中心を通過する前後方向を向く直線が、ストランド室5の正面壁7と交わる点との距離である。すなわち、「x1」は、交点a1と交点a2との距離、又は、交点a3と交点a4との距離である。
「x4」は、仕切堰8から最も近いストランド6の中心を通過する前後方向を向く直線と、傾斜部11の左右方向端部との間の距離である。
「W」は、湯道9から最も近いストランド6の中心軸上におけるストランド室5の長さ(幅)である。「z」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸線上における、湯道9の出口からストランド室5の正面壁7までの距離である。「θ」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸と、ストランド室5の正面壁7とがなす角度であり、ストランド室5幅方向の中心側の角度を表現している。
「tmin」は、注入室4の注入位置(図1中の×印)にトレーサー(墨汁)を投入してから、ストランド6に到達するまでの最短滞留時間である。「tmax」は、注入室4の注入位置にトレーサー(墨汁)を投入してから、ストランド6に到達するまでの最長滞留時間である。「Δt」は、トレーサーの最長滞留時間と最短滞留時間との差(tmax-tmin)である。
図4に示すように、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の縦径d1は、湯道9を垂直に断面した場合における垂直方向の内径である。この湯道9の縦径d1は、式(1)に示すように、0.3m以下である。
湯道9の縦径d1が0.3mを超えている場合、取鍋16のノズルの開口時に当該ノズルから落下した砂等の大部分が湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)を通ってストランド室5に流入し易くなる。
取鍋16の開口時における多量の砂が湯道9を経てストランド室5に入ってしまうと、介在物欠陥になり易い。つまり、湯道9の縦径d1を0.3m以下にすることによって、ストランド室5ではなく注入室4側で砂を浮上させることができる。
傾斜部11は、側方断面視で、略三角形状とされている。
図6Aに示すように、傾斜部11の高さhは、式(2)に示すように、湯道9の縦径d1以上である。
h≧d1 [m] ・・・(2)
図6Bに示すように、傾斜部11の高さhが湯道9の縦径d1より低い(h<d1)場合、湯道9の出口から流出した噴流(図中の実線矢印)の主流部が、傾斜部11の上部やその上の内壁面に当たることとなるので、噴流が湯面上部に向かわなくなる。すなわち、噴流が傾斜部11の傾斜面12の下方から上方に沿わないものとなるので、噴流の上昇流が小さくなる。
それ故、図6Aに示すように、傾斜部11の高さhを湯道9の縦径d1以上と規定することで、湯道9の出口から流出した噴流(溶鋼14)が、傾斜部11の傾斜面12の下方から上方に沿って上昇して、仕切堰8に近いストランド6を乗り越えるような、左右方向を向いた螺旋状の流れとなるので、直送流の発生を抑制することができる。
0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
なお、式(3)は、湯道9の出口から流出する噴流と、仕切堰8に最も近いストランド6の位置との関係を表す式である。また、「0.1z」は、噴流の広がり幅(片側)の理論式であり、「N.ラジャラトナム著、野村安正訳:「噴流」森北出版(1985)p.43」に記載されている。
このような位置関係となると、流出して広がった噴流が、傾斜部11で上昇流になる前に、傾斜部11より左右方向に逸れてしまうこととなる。その結果、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。
このような位置関係となると、傾斜部11で上昇流になった噴流が、その上昇した位置で反転(回転)してしまうこととなる(図中の破線矢印)。つまり、噴流が、仕切堰8近くのストランド6の上方で反転しなくなる。
なお、図3に示す実施例、図6B、図7A、図7Bなどに示す比較例においては、湯道9とストランド6の位置関係が、タンディッシュ1の前後方向を向く軸線上で左右対称(鏡像)となっているが、左右非対称でも構わない。従って本発明は、距離x1が左右方向で異なった距離でも実現可能である。
L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
なお、「0.2z」は、「0.1z」を2倍したもの(左右(両側)分)である。
図8に示すように、傾斜部11の幅Lが「x2+0.2z+d2」を下回る(L<x2+0.2z+d2)場合、湯道9の出口から流出した噴流の広がりが、傾斜部11の左右方向両端からはみ出してしまい、噴流全体が上昇流にならない。その結果、ストランド室5の正面壁7で衝突した噴流が左右方向に広がってゆき、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。それ故、傾斜部11の幅Lを「x2+0.2z+d2」以上としている。
0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
図9Aに示すように、傾斜部11における比(h/y)が0.58より小さい場合、傾斜面12の傾斜角度が小さすぎることとなり、湯道9の出口から流出した噴流が傾斜部11の傾斜面12に到達したときに、上昇流になりにくい。その結果、流出した噴流が左右方向に広がってゆき、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。なお、この場合、傾斜面12の傾斜角度に換算すると30deg.となる。
ブレークアウトが発生すると、漏れてきた地金が連続鋳造装置15のロールスタンドに付着してしまい、それを除去する作業が発生する。また、地金除去が困難な場合は、ロールスタンドの交換等を実施しなければならなくなる。このような、余計な作業をしなければならない問題が発生すると、連続鋳造装置15の多大な復旧費用がかかってしまい、鋳片19の生産に大きな影響を与えてしまう。
一方で、多ストランドタンディッシュを用いた連続鋳造では、各ストランド6から各鋳型17へ注入される溶鋼14の温度に偏差が発生する。それ故、ブレークアウトを防止するために、溶鋼14の温度偏差の高温側を基準にして、タンディッシュ1内の溶鋼温度を制御している。
このように、ノズル詰りが発生したストランド6においては、連続鋳造を停止しなければならず、鋳片19の生産に大きな影響を及ぼす。
図10は、タンディッシュ1内における溶鋼温度の測定位置を示す図である。図10に示すように、本実施形態においては、ストランド6のほぼ真上であって、溶鋼14の湯面から0.3mの深さにおける溶鋼温度の測定を行った。
以上述べた本発明のタンディッシュ1を用いれば、溶鋼14の温度偏差を小さくすること、すなわち多ストランドタンディッシュ内における各ストランド6間の溶鋼温度のバラツキを抑制することができるので、温度が低い溶鋼14が流れ込む(低ΔT側)ストランド6におけるノズル詰まりと、温度が高い溶鋼14が流れ込む(高ΔT側)ストランド6による鋳型17下方のブレークアウトを抑制することができる。
[実施例]
まず、水モデル実験について説明する。
また、水モデル実験のタンディッシュ1において、仕切堰8に設けた第1湯道9a及び第2湯道9bについては、注入室4からストランド室5へ向けて、左右方向外側を向いて延びる直線状としている。第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、当該各湯道9a,9bの出口10a,10bの下端以下に位置させている。
水モデル実験の方法においては、以下のようにした。
1)溶鋼14のモデルとした水を、タンディッシュ1内に満たしておき、フルード数近似で水を通水させる。
なお、この各ストランド6へ到達するまでの時間の差が大きいと温度偏差が大であり、ストランド6の到達時間の差が小さいと温度偏差が小である。
数値計算条件として、熱流体解析ソフト:Fluent、計算モデル:k-εで行った。この数値計算では、実機とほぼ同じ1/1モデルで行った。数値計算で用いたタンディッシュ1は、図12A〜Cに示すT型タンディッシュとした。また、ストランド6の数は4つとした。
図12Bに示すタンディッシュは、仕切堰を設けているが、高さが低いものであるので、注入室4とストランド室5が明確に仕切られていない。また、その仕切堰には、湯道9は設けられていない。すなわち、図12Bに示すタンディッシュおいては、注入室4に注入された溶鋼14は、低い仕切堰を乗り越えて、ストランド室5へ流れ込むようになっている(比較例、形状B)。
また、仕切堰8に設けられた第1湯道9a及び第2湯道9bについては、注入室4からストランド室5へ向けて、左右方向外側を向いて延びる直線状としている。第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、当該各湯道9a,9bの出口下端以下に位置させている。
トレーサーは、溶鋼14と同密度の粒子を設定して、注入室4の注入位置(図12A〜C中の×印)に投入した。
表5に示すように、実測した結果、ΔT(=Tmax-Tmin)が8℃と算出され、数値計算の結果、ΔTが10℃と算出された。このように、溶鋼温度の数値計算の結果は、実測した結果との差が小さく、実機の現象を精度良く反映できていることが確認できる。
なお、(Δt/tr)の値が大きいほど、トレーサーが各ストランド6に到達するタイミングの差が大きくなる。
次に、本発明における連続鋳造用タンディッシュ1の実施例及び比較例について、説明する。
なお、これら表7の実施例、表9の比較例は、表8、表10に示す水モデルによる結果に基づいて、実機に換算したものである。
表7、表8のNo,1(実施例)を参照すると、湯道9の断面形状が円形状とされている。縦径d1が0.3mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.35mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.27m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.64m)。(h/y)が1.17となり、式(5)を満たしている。
表7、表8のNo,2(実施例)を参照すると、湯道9の断面形状が扁平した円形状(楕円形状)とされている(例えば、図4参照)。縦径d1が0.2mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.3mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.27m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.64m)。(h/y)が1.73となり、式(5)を満たしている。
表7、表8のNo,10(実施例)を参照すると、ストランド6の数が6つとされ、且つ湯道9の断面形状が四角形状(例えば、図4参照)とされている。縦径d1が0.2mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.25mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.25m〜「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.59m)。(h/y)が1.25となり、式(5)を満たしている。
一方、表9、表10のNo,2(比較例)を参照すると、湯道9の断面形状が扁平した円形状とされている(例えば、図4参照)。(h/y)が1.76となり、式(5)を満たしていない。(Δt/tr)が0.2となり、0.18を超えているので、温度偏差が大きく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていない。
また、本発明によれば、低ΔT側のストランド6における浸漬ノズル13のノズル詰りを抑制するとともに、高ΔT側のストランド6におけるブレークアウトを抑制することができる。
図14に示すように、連続鋳造装置15は、例えば、二次精錬処理後の溶鋼14を連続的に鋳造する装置であり、取鍋16内の溶鋼14が注入されるタンディッシュ1と、当該タンディッシュ1内の溶鋼14を鋳込む鋳型17と、鋳型17によって形成された鋳片19を支持するサポートロール18を備えている。なお、連続鋳造装置15で鋳造される鋳片19の形状は、限定されず、スラブ、ブルーム、ビレット等であってもよい。
2a 底部(注入室)
2b 底部(ストランド室)
3 周壁
4 注入室
5 ストランド室
6 鋳型注入孔(ストランド)
7 前側壁面(正面壁)
8 仕切堰
9 湯道(堰孔、底部孔)
9a 第1湯道
9b 第2湯道
10a 第1湯道の出口
10b 第2湯道の出口
11 傾斜部
12 傾斜面
13 浸漬ノズル
14 溶鋼
15 連続鋳造装置
16 取鍋
17 鋳型
18 サポートロール
19 鋳片
20 酸素パイプ
Claims (2)
- 取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔を複数有するストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、
前記湯道は、前記注入室から前記ストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め左側に移行する第1湯道と、前記注入室からストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め右側に移行する第2湯道とを有し、
前記注入室の前方であって、前記ストランド室の底部から前側壁面にかけて立ち上がる傾斜面を有する傾斜部が備えられていて、
前記鋳型注入孔は、前記第1湯道の水平方向を向く中心軸の延長線、前記第2湯道の水平方向を向く中心軸の延長線より左右方向外側の領域に位置し、
前記第1湯道の出口及び前記第2湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該第1湯道の出口及び当該第2湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(1)〜式(5)を満たしていることを特徴とする連続鋳造用のタンディッシュ。
d1≦0.3 [m] ・・・(1)
h≧d1 [m] ・・・(2)
0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
d1:湯道の縦径
d2:湯道の横径
x1:水平方向を向く湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、鋳型注入孔の上下方向を向く中心軸を通過する水平方向を向く延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との距離
x2:第1湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、第2湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との間の距離
H:溶鋼の深さ
W:ストランド室の前後方向の長さ
z:湯道の軸心の延長線上におけるストランド室の長さ
h:傾斜部の高さ
y:傾斜部の前後方向の長さ
L:傾斜部の幅
θ:湯道の中心軸と、ストランド室の正面壁とがなす角度であり、ストランド室幅方向の中心側の角度 - 請求項1に記載された連続鋳造用タンディッシュを用いて、連続鋳造を行うことを特徴とする連続鋳造方法。
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