JP6701517B2 - 連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法 Download PDF

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本発明は、注入室とストランド室とを仕切る仕切堰に、注入室からストランド室へ溶鋼を流通させる湯道(堰孔)が設けられた連続鋳造用のタンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法に関する。
従来より、連続鋳造装置では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給することで、溶鋼を連続的に鋳造している。
連続鋳造を効率よく操業を行うためには、タンディッシュ内において、注入室からストランド室へ溶鋼をスムーズに流通させる際に、各ストランド間における溶鋼温度を均一化させることが必要となる。
このようなタンディッシュ内の溶鋼の温度を均一化させるための手段として、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1は、多ストランドタンディッシュおいて、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減することを目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られたT型タンディッシュにおいて、堰には二つの孔(湯道)が開口されており、孔の向きを所定のストランド間を向かせることで、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減させている。
特許文献2は、3ストランドタンディッシュにおいて、各ストランド間における溶鋼温度バラツキを低減することを目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られたタンディッシュにおいて、堰には溶鋼流路が設けられ、且つ溶鋼を加熱するプラズマ加熱装置が備えられており、そのプラズマ加熱装置により、出鋼温度を均一化させている。
特許文献3は、多ストランドタンディッシュおいて、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減することを目的としている。具体的には、注入室と2つのストランド室から成るタンディッシュであって、注入室と2つのストランド室の間と、2つのストランド室それぞれの間が堰で仕切られており、2つのストランド室間の堰孔には誘導加熱装置が設置されていて、その誘導加熱装置により、2つのストランド室の溶湯を均熱化させている。
また、連続鋳造を効率よく操業を行うためには、タンディッシュ内の介在物が鋳型への流出してしまうことを防止することも必要となる。
このようなタンディッシュ内の介在物の流出を防止するための手段として、特許文献4〜6に開示されているものがある。
特許文献4は、溶鋼を分配する際に、タンディッシュ内の大型介在物が鋳型へ流出するのを防止することを目的としている。具体的には、注入室とストランド室が堰で仕切られたタンディッシュにおいて、その堰には1つないしは2つの孔が開口されている。この堰孔の向きは、溶鋼が鋳型注入孔へ直接流入する、溶鋼の鋳型注入孔への直送流が発生しやすい流出域を外した向きとしている。このような堰孔の向きにすることにより、大型介在物の流出を防止している。
特許文献5は、溶鋼が注入されたタンディッシュ内での介在物の浮上分離を向上させることを目的としている。具体的には、溶鋼鍋からの注入位置と鋳型注入室の間の底部に、高さの低い堰を設置したタンディッシュにおいて、堰には鋳型注入室を向いた1つの孔(溶鋼流路)が開口されている。その堰孔の手前には、溶鋼鍋からの流れが堰孔に直送しないように、底部から鋳型注入室側に向かって上昇した傾斜面を有する衝突部材が設置されていて、その衝突部材により溶鋼がタンディッシュ上部に流れるようになることで、介在物の浮上分離を促進させている。
特許文献6は、溶鋼が注入されたタンディッシュ内での介在物の浮上分離を向上させることを目的としている。具体的には、溶鋼鍋からの注入位置と鋳型注入室の間の内壁面側に、底部から鋳型注入室側に向かって上昇した面を有する傾斜部が設けられていて、溶鋼を傾斜部に沿わすことで、溶鋼の上昇流を促進させている。
特開2014−113634号公報 特開平6−142855号公報 実開平3−106243号公報 特開2005−131661号公報 特開2003−245757号公報 特開2008−254028号公報
特許文献1は、堰孔(湯道)の向きを所定のストランド間に向かせているので、溶鋼をスムーズに流通させることができ、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減させている。
ところが、この文献においては、堰孔の向きを溶鋼が所定のストランド間に流れるような向きとなるように狙う、とのみの規定であるので、非常に稀ではあるが、実操業の条件によっては鋳型注入孔への溶鋼の直送流発生することが考えられる。それ故、可能性としては低いが、溶鋼温度がばらついてしまうことが考えられる。
一方、特許文献2は、溶鋼がストランド室内でスムーズに流通するような、ストランド室内での溶鋼流の狙い位置が明確に規定されていないので、実操業の条件によっては、鋳型注入孔への溶鋼の直送流が発生してしまう虞がある。
それ故、溶鋼温度のバラツキが大きくなる可能性が大である。たとえ、プラズマ加熱装置を用いても、溶鋼流の向きを適正化しない限りは、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキが大きくなる虞がある。
特許文献3は、誘導加熱装置により、2つのストランド室の溶湯を均熱化させて、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキを低減させている。
ところが、左右のストランド室間に設けられた堰の堰孔においては、溶鋼の流れが弱いため、その堰孔に流入した介在物が滞留してしまうので、その堰孔の内径が段々と細くなってゆき、滞留した多くの介在物により内部が詰まってしまう可能性がある。
また、注入室とストランド室間の堰孔の向きによっては、一方側の鋳型注入孔に溶鋼が流れてしまう、溶鋼の直送流が生じてしまう虞がある。それ故、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキが大きくなる可能性がある。
以上の技術では、多ストランドタンディッシュにおいて、注入室からストランド室へ流出した溶鋼は、直送流を含めて、注入室に近い鋳型注入孔(ストランド)に優先的に流れ込むこととなり、注入室に近い鋳型注入孔においては、溶鋼温度が高くなる。一方で、注入室から遠い鋳型注入孔においては、温度が低くなった溶鋼が流れ込むこととなる。つまり、多ストランドタンディッシュ内における溶鋼温度のバラツキが大きくなってしまう虞がある。
また、注入室から遠い鋳型注入孔の内部では、流れ込んだ温度の低い溶鋼が固まってゆくので、その鋳型注入孔の内径が細くなってゆくこととなり、ノズル詰まりを引き起こす虞がある。
さて、特許文献4は、鋳型注入孔への溶鋼の直送流を防いでいるものの、実操業の条件によっては、各ストランド間における溶鋼温度のバラツキが大きくなる虞がある。また同文献の技術においては、堰孔からの噴流が堰近くの鋳型注入孔を超える条件でないために、特に4ストランド以上のタンディッシュに適用させた場合、そのタンディッシュおける溶鋼温度のバラツキを低減させることは不可能である。
特許文献5、6は、鋳型注入孔への溶鋼の直送流を防いでいるが、各ストランド室に1つの鋳型注入孔が備えられているタンディッシュに適用可能な技術であって、3つ以上の多ストランドタンディッシュに適用させた場合、必ずしも溶鋼温度のバラツキを低減させることはできないと考えられる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、注入室と鋳型注入孔を複数有するストランド室とを有する、平面視でT字状のタンディッシュにおいて、各鋳型注入孔に流れる溶鋼の到達時間の差を制御することで、そのタンディッシュ内における各ストランド間の溶鋼温度のバラツキを抑制することが可能な連続鋳造用タンディッシュと、そのタンディッシュを用いた連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる連続鋳造用タンディッシュは、取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔を複数有するストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、前記湯道は、前記注入室から前記ストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め左側に移行する第1湯道と、前記注入室からストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め右側に移行する第2湯道とを有し、前記注入室の前方であって、前記ストランド室の底部から前側壁面にかけて立ち上がる傾斜面を有する傾斜部が備えられていて、前記鋳型注入孔は、前記第1湯道の水平方向を向く中心軸の延長線、前記第2湯道の水平方向を向く中心軸の延長線より左右方向外側の領域に位置し、前記第1湯道の出口及び前記第2湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該第1湯道の出口及び当該第2湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(1)〜式(5)を満たしていることを特徴とする。
d1≦0.3 [m] ・・・(1)
h≧d1 [m] ・・・(2)
0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
d1:湯道の縦径
d2:湯道の横径
x1:水平方向を向く湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、鋳型注入孔の上下方向を向く中心軸を通過する水平方向を向く延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との距離
x2:第1湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、第2湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との間の距離
H:溶鋼の深さ
W:ストランド室の前後方向の長さ
z:湯道の軸心の延長線上におけるストランド室の長さ
h:傾斜部の高さ
y:傾斜部の前後方向の長さ
L:傾斜部の幅
θ:湯道の中心軸と、ストランド室の正面壁とがなす角度であり、ストランド室幅方向の中心側の角度
本発明にかかる連続鋳造方法は、上記の連続鋳造用タンディッシュを用いて、連続鋳造
を行うことを特徴とする。
本発明によれば、注入室と鋳型注入孔を複数有するストランド室とを有する、平面視でT字状のタンディッシュにおいて、各鋳型注入孔に流れる溶鋼の到達時間の差を制御することで、そのタンディッシュ内における各ストランド間の溶鋼温度のバラツキを抑制することが可能である。
本発明の連続鋳造用タンディッシュの平面図である。 本発明のタンディッシュの一部分を拡大した図であり、仕切り堰の形状及び、ストランド室の底部に設けられた傾斜部の形状を示す平面図である。 本発明のタンディッシュの一部分を拡大した図であり、ストランド室の底部に設けられた傾斜部の形状を示す側方断面図である。 ストランド室の底部の形状を示す第1図である ストランド室の底部の形状を示す第2図である。 ストランド室の底部の形状を示す第3図である。 本発明のタンディッシュに形成された湯道の形状を示した図である。 仕切堰の湯道の貫通形状が直線状とされている場合におけるタンディッシュの整備状況を示した図である。 仕切堰の湯道の途中で屈曲した貫通形状とされている場合におけるタンディッシュの整備状況を示した図である。 ストランド室内における溶鋼の流れの一例を示す図である(h≧d)。 ストランド室内における溶鋼の流れの一例を示す図である(h<d)。 ストランド室内における溶鋼の流れの一例を示す図である。 ストランド室内における溶鋼の流れの一例を示す図である。 ストランド室内における溶鋼の流れの一例を示す図である。 ストランド室の底部に設けられた傾斜部の形状の一例を示す図である。 ストランド室の底部に設けられた傾斜部の形状の一例を示す図である。 タンディッシュ内における溶鋼温度Tの測定位置を示す図である。 水モデル実験をする際に用いたタンディッシュの形状を示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Aのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Bのタンディッシュを示す図である。 数値計算をする際に用いた形状Cのタンディッシュを示す図である。 タンディッシュ内におけるΔTの計算結果を示した図であり、到達時間差の指数(Δt/t)に対するタンディッシュ内における溶鋼温度の差(ΔT)の関係を示す図である。 本発明の連続鋳造用タンディッシュが適用される連続鋳造装置の概念図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて、詳細に説明する。
図14に示すように、連続鋳造用タンディッシュ1は、溶鋼14を鋳型17に装入する鋳型注入孔6(ストランド)が設けられた底部2a,2bと、その底部2a,2bの周縁から立ち上がる周壁3とを備えている。なお以降、単にタンディッシュ1と呼ぶこともある。
また、タンディッシュ1は、取鍋16内の溶鋼14が注入される注入室4と、注入室4の前方であって、且つ底部2bに溶鋼14を鋳型17に装入するストランド6を複数有し、溶鋼14をストランド6を介して鋳型17に鋳込むストランド室5と、注入室4とストランド室5とを仕切る仕切堰8と、を有していて、ストランド室5は注入室4より左右方向に長尺のものとされている。
すなわち、本発明の対象としては、平面視でT字状とし、且つ複数のストランド6を有する多ストランドタンディッシュとしている。なお、ストランド6の個数としては、4つ以上の偶数個としている。
注入室4は、ストランド6が設けられていない底部2aと、底部2aの3つ周縁それぞれから上方に向かって立設された3つの周壁3と、ストランド室5に対して分割するように仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。一方、ストランド室5は、ストランド6が複数設けられた底部2bと、底部2bの周縁それぞれから上方に向かって立設された周壁3と、当該ストランド室5と注入室4とを仕切る仕切堰8とで囲まれた部分で構成されている。
図2Aは、本発明のタンディッシュ1の構成を示す図であり、仕切堰8によって仕切られた注入室4とストランド室5の一部分を拡大した平面図である。図2Bは、ストランド室5の部分断面図(図1のA−A断面の一部分)である。また、図3A、図3Bは、注入室4及びストランド室5の断面図(図1のA−A断面)である。なお、図3Cも注入室4及びストランド室5の断面図であり、図1のA−A断面に相当するものである。
まず、図2A、図2B、図3A、図3Bを参照しながら、本発明のタンディッシュ1に備えられている湯道9(堰孔)の概要について、説明する。なお、図2A、図2Bに示す、湯道9や傾斜部11の形状・寸法などの規定、つまり本発明のタンディッシュ1の特徴的な構成については、後ほど詳細に説明する。
図2A、図2B、図3A、図3Bに示すように、注入室4とストランド室5を仕切る仕切堰8には、注入室4からストランド室5へ直線状に貫通する湯道9が設けられている。すなわち、注入室4とストランド室5は、仕切堰8の下部に開口された湯道9(底部孔)によって繋げられている。
タンディッシュ1の仕切堰8には、注入室4とストランド室5とを連通させる複数の湯道9が形成されている。
湯道9は、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって水平もしくは徐々に下方に移行し、且つ水平方向において斜め左方向を向く湯道9a(第1湯道)と、注入室4からストランド室5に向かうにしたがって水平もしくは徐々に下方に移行し、且つ水平方向において斜め右方向を向く湯道9b(第2湯道)とを有している。
ここで、ストランド室5の底部2bであって、第1湯道9aのストランド室5側の出口10a、及び、第2湯道9bのストランド室5側の出口10bと繋がる底部2bを見たとき、当該底部2bの内面は、第1湯道9aの出口10a、及び、第2湯道9bの出口10bの下端以下に位置している。
すなわち、本発明においては、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bの最下端部と同じ高さ(図3A参照)、或いは、第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bの最下端部よりも低い位置である(図3B参照)。以上より、本発明は、図3A、図3Bに例示している構造のタンディッシュ1を対象としている。
一方、図3Cは、仕切堰8に湯道9を形成した場合であって、湯道9の出口と繋がる底部2bを見たとき、当該底部2bが湯道9の出口の下端よりも上方に位置する場合のタンディッシュを示している。しかしながら、本発明では、図3Cに示す構造のタンディッシュは対象外である。つまり、本発明においては、ストランド室5の底部2bが湯道9の出口の最下端部よりも高いものを対象としていない。
さて、図4は、仕切堰8を幅方向で且つ垂直に断面した場合(図1のB−B断面)の断面図である。図4に示すように、仕切堰8に形成する湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の断面視の形状は、円形であっても、楕円形であっても、四角形であっても、扁平した円であってもよい。
ところで、タンディッシュ1の整備を行う際には、タンディッシュ1を略90度傾動させた後、酸素パイプ20から酸素等を吹き込むことにより、酸素の燃焼熱によって、湯道9(堰孔)に付着した地金等を溶融して地金を除去する。
図5Aに示すように、湯道9が注入室4からストランド室5へ直線状に貫通する形状であれば、仕切堰8を溶損させることなく、湯道9内の地金を除去することができる。
ところが、図5Bに示すように、注入室4とストランド室5とを繋ぐ湯道9が途中で屈曲した貫通形状である場合、整備状況によっては、仕切堰8を溶損させてしまう虞がある。
したがって、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)は、仕切堰8内を注入室4からストランド室5へ直線的に貫通していることが必要である。
以下に、本発明のタンディッシュ1の構成について、図を参照しながらさらに詳しく説明する。
図2A、図2Bに戻って、本発明のタンディッシュ1に設けられているストランド6は、平面視で、第1湯道9aの水平方向を向く中心軸の延長線より左方向外側の領域に位置している。また、ストランド6は、第2湯道9bの水平方向を向く中心軸の延長線より右方向外側の領域に位置している。すなわち、第1湯道9aの中心軸の延長線、及び、第2湯道9bの中心軸の延長線より外側に備えられている。
ここで、本発明のタンディッシュ1に関するパラメータの定義について、図を参照しながら説明する。
「x1」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸が、対面するストランド室5の前側壁面7(正面壁)と交わる点と、仕切堰8から最も近いストランド6の中心を通過する前後方向を向く直線が、ストランド室5の正面壁7と交わる点との距離である。すなわち、「x1」は、交点aと交点aとの距離、又は、交点aと交点aとの距離である。
「x2」は、第1湯道9aの中心軸の延長線が、ストランド室5の正面壁7と交差する点と、第2湯道9bの中心軸の延長線が、ストランド室5の正面壁7と交差する点との間の距離である。すなわち、「x2」は、交点aと交点aとの距離である。
「x4」は、仕切堰8から最も近いストランド6の中心を通過する前後方向を向く直線と、傾斜部11の左右方向端部との間の距離である。
「y」は、傾斜部11の前後方向における長さ(奥行き)である。「h」は、傾斜部11の高さである。「L」は、傾斜部11の左右方向における長さ(幅)である。「H」は、ストランド室5内の溶鋼深さである。「d1」は湯道9の縦径であり、「d2」は湯道9の横径である。
「W」は、湯道9から最も近いストランド6の中心軸上におけるストランド室5の長さ(幅)である。「z」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸線上における、湯道9の出口からストランド室5の正面壁7までの距離である。「θ」は、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の中心軸と、ストランド室5の正面壁7とがなす角度であり、ストランド室5幅方向の中心側の角度を表現している。
「tr」は、タンディッシュ1内における溶鋼14の平均滞留時間(タンディッシュ1の容量/スループット)である。
「tmin」は、注入室4の注入位置(図1中の×印)にトレーサー(墨汁)を投入してから、ストランド6に到達するまでの最短滞留時間である。「tmax」は、注入室4の注入位置にトレーサー(墨汁)を投入してから、ストランド6に到達するまでの最長滞留時間である。「Δt」は、トレーサーの最長滞留時間と最短滞留時間との差(tmax-tmin)である。
「Tmin」は、ストランド6の上方(湯面から0.3m深さ)における溶鋼14の温度のうち、溶鋼14の最低温度である。「Tmax」は、ストランド6の上方(湯面から0.3m深さ)における溶鋼14の温度のうち、溶鋼14の最高温度である。「ΔT」は、溶鋼14の最高温度と最低温度との差(Tmax-Tmin)である。
図4に示すように、湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)の縦径d1は、湯道9を垂直に断面した場合における垂直方向の内径である。この湯道9の縦径d1は、式(1)に示すように、0.3m以下である。
d1≦0.3 [m] ・・・(1)
湯道9の縦径d1が0.3mを超えている場合、取鍋16のノズルの開口時に当該ノズルから落下した砂等の大部分が湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)を通ってストランド室5に流入し易くなる。
取鍋16の開口時における多量の砂が湯道9を経てストランド室5に入ってしまうと、介在物欠陥になり易い。つまり、湯道9の縦径d1を0.3m以下にすることによって、ストランド室5ではなく注入室4側で砂を浮上させることができる。
図2A、図2Bに戻って、本発明のタンディッシュ1においては、注入室4側の前方であって、ストランド室5の前側内壁面(正面壁7)側には、当該ストランド室5の底部2bから正面壁7にかけて立ち上がるように形成された傾斜面12を有する傾斜部11が設けられている。
傾斜部11は、側方断面視で、略三角形状とされている。
以降、ストランド室5の前後方向を奥行き方向とし、ストランド室5の左右方向を幅方向とする。これはタンディッシュ1の前後方向及び左右方向と一致する。
図6Aに示すように、傾斜部11の高さhは、式(2)に示すように、湯道9の縦径d1以上である。
h≧d1 [m] ・・・(2)
図6Bに示すように、傾斜部11の高さhが湯道9の縦径d1より低い(h<d1)場合、湯道9の出口から流出した噴流(図中の実線矢印)の主流部が、傾斜部11の上部やその上の内壁面に当たることとなるので、噴流が湯面上部に向かわなくなる。すなわち、噴流が傾斜部11の傾斜面12の下方から上方に沿わないものとなるので、噴流の上昇流が小さくなる。
その結果、湯道9の出口から流出した噴流が、ストランド室5の正面壁7に当たって、ストランド室5の左右方向に広がってゆくこととなる。この左右方向の流れの広がりにより、溶鋼14の直送流が生じることとなる。この直送流は、仕切堰8(湯道9)に近いストランド6へ流入することとなり、当該ストランド6の溶鋼温度が高くなる。
それ故、図6Aに示すように、傾斜部11の高さhを湯道9の縦径d1以上と規定することで、湯道9の出口から流出した噴流(溶鋼14)が、傾斜部11の傾斜面12の下方から上方に沿って上昇して、仕切堰8に近いストランド6を乗り越えるような、左右方向を向いた螺旋状の流れとなるので、直送流の発生を抑制することができる。
図2A、図2Bに戻って、距離x1(交点aと交点aとの距離、又は、交点aと交点aとの距離)は、式(3)を満たしている。
0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
なお、式(3)は、湯道9の出口から流出する噴流と、仕切堰8に最も近いストランド6の位置との関係を表す式である。また、「0.1z」は、噴流の広がり幅(片側)の理論式であり、「N.ラジャラトナム著、野村安正訳:「噴流」森北出版(1985)p.43」に記載されている。
図7Aに示すように、距離x1が「0.1z+d2/2」の値より下回る(0.1z+d2/2>x1)場合、湯道9の出口から流出した噴流が、ストランド室5の正面壁7に衝突する位置と、仕切堰8近く(上記した左右方向外側領域)のストランド6との距離が近くなりすぎることとなる。すなわち、交点aと交点a(交点aと交点a)の距離が短くなる。
このような位置関係となると、流出して広がった噴流が、傾斜部11で上昇流になる前に、傾斜部11より左右方向に逸れてしまうこととなる。その結果、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。
図7Bに示すように、距離x1が「(W+H)/tanθ」の値を超える(x1>(W+H)/tanθ)場合、湯道9の出口から流出した噴流がストランド室5の正面壁7に衝突する位置が、仕切堰8近くのストランド6に対して幅方向に離れすぎることとなる。すなわち、交点aと交点a、乃至は、交点aと交点aが遠い位置となる。
このような位置関係となると、傾斜部11で上昇流になった噴流が、その上昇した位置で反転(回転)してしまうこととなる(図中の破線矢印)。つまり、噴流が、仕切堰8近くのストランド6の上方で反転しなくなる。
その結果、反転し終えた噴流が仕切堰8近くのストランド6へ流れてしまうという、直送流の発生しやすい状態となる。すなわち、噴流が左右方向を向いた螺旋状の流れとならず、仕切堰8近くのストランド6を乗り越えることができないものとなる。
なお、図3に示す実施例、図6B、図7A、図7Bなどに示す比較例においては、湯道9とストランド6の位置関係が、タンディッシュ1の前後方向を向く軸線上で左右対称(鏡像)となっているが、左右非対称でも構わない。従って本発明は、距離x1が左右方向で異なった距離でも実現可能である。
傾斜部11の幅Lは、式(4)を満たしている。
L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
なお、「0.2z」は、「0.1z」を2倍したもの(左右(両側)分)である。
図8に示すように、傾斜部11の幅Lが「x2+0.2z+d2」を下回る(L<x2+0.2z+d2)場合、湯道9の出口から流出した噴流の広がりが、傾斜部11の左右方向両端からはみ出してしまい、噴流全体が上昇流にならない。その結果、ストランド室5の正面壁7で衝突した噴流が左右方向に広がってゆき、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。それ故、傾斜部11の幅Lを「x2+0.2z+d2」以上としている。
傾斜部11の高さhと長さyとの比(h/y)は、式(5)を満たしている。
0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
図9Aに示すように、傾斜部11における比(h/y)が0.58より小さい場合、傾斜面12の傾斜角度が小さすぎることとなり、湯道9の出口から流出した噴流が傾斜部11の傾斜面12に到達したときに、上昇流になりにくい。その結果、流出した噴流が左右方向に広がってゆき、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。なお、この場合、傾斜面12の傾斜角度に換算すると30deg.となる。
図9Bに示すように、傾斜部11における比(h/y)が1.73より大きい場合、傾斜面12の傾斜角度が大きすぎることとなり、湯道9の出口から流出した堰孔の噴流が傾斜部11に到達したときに、上昇流になりにくい。その結果、流出した噴流が左右方向に広がってゆき、仕切堰8近くのストランド6への直送流が発生しやすくなる。なお、この場合、傾斜面12の傾斜角度に換算すると60deg.となる。
ところで、鋳型17へ注入される溶鋼14の温度が高すぎると、鋳型17下方で凝固シェルが破断して、未凝固溶鋼が下方に漏れてしまうブレークアウトが発生する虞がある。
ブレークアウトが発生すると、漏れてきた地金が連続鋳造装置15のロールスタンドに付着してしまい、それを除去する作業が発生する。また、地金除去が困難な場合は、ロールスタンドの交換等を実施しなければならなくなる。このような、余計な作業をしなければならない問題が発生すると、連続鋳造装置15の多大な復旧費用がかかってしまい、鋳片19の生産に大きな影響を与えてしまう。
従って、上記したブレークアウトを抑制するために、タンディッシュ1内の溶鋼温度を、鋼の液相線温度に対して、+20℃〜40℃の範囲に制御している。
一方で、多ストランドタンディッシュを用いた連続鋳造では、各ストランド6から各鋳型17へ注入される溶鋼14の温度に偏差が発生する。それ故、ブレークアウトを防止するために、溶鋼14の温度偏差の高温側を基準にして、タンディッシュ1内の溶鋼温度を制御している。
例えば、ストランド室5の底部2bに設置された各ストランド6から流出する溶鋼温度の偏差が大きいと、溶鋼14の温度偏差の低温側において、ストランド6の下方に設置された浸漬ノズル13内で溶鋼14が凝固し、ノズル詰りが発生する虞がある。
このように、ノズル詰りが発生したストランド6においては、連続鋳造を停止しなければならず、鋳片19の生産に大きな影響を及ぼす。
以上より、溶鋼14の温度偏差を小さくすること、すなわちタンディッシュ1内における溶鋼温度を制御する必要がある。
図10は、タンディッシュ1内における溶鋼温度の測定位置を示す図である。図10に示すように、本実施形態においては、ストランド6のほぼ真上であって、溶鋼14の湯面から0.3mの深さにおける溶鋼温度の測定を行った。
表1に、測定されたタンディッシュ1内における溶鋼温度の偏差と、温度が低くなった溶鋼14の影響により発生する浸漬ノズル13内のノズル詰りとの関係を示す。
表1からわかるように、タンディッシュ1内のストランド6上方であって、湯面より0.3mの深さにおいて測定した溶鋼14の温度偏差を7℃以下に制御すると、温度が低くなった溶鋼14の影響によるノズル詰りが発生しないことが確認できる。
以上述べた本発明のタンディッシュ1を用いれば、溶鋼14の温度偏差を小さくすること、すなわち多ストランドタンディッシュ内における各ストランド6間の溶鋼温度のバラツキを抑制することができるので、温度が低い溶鋼14が流れ込む(低ΔT側)ストランド6におけるノズル詰まりと、温度が高い溶鋼14が流れ込む(高ΔT側)ストランド6による鋳型17下方のブレークアウトを抑制することができる。
[実施例]
まず、水モデル実験について説明する。
水モデル実験では、水を溶鋼14と見立てて、実機を相似的にした1/3モデルで実験を行った。水モデル実験で用いたタンディッシュ1は、図11に示すT型タンディッシュとした。ストランド6の数は4つ乃至は6つとした。
また、水モデル実験のタンディッシュ1において、仕切堰8に設けた第1湯道9a及び第2湯道9bについては、注入室4からストランド室5へ向けて、左右方向外側を向いて延びる直線状としている。第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、当該各湯道9a,9bの出口10a,10bの下端以下に位置させている。
表2に、水モデル実験における液体(水)の物性値を示す。
なお、水流量については、1ストランドあたりの単位時間の水流量を、9[L/min/str]とし、4ストランド(4str)における単位時間の水流量を、36[L/min] とし、6ストランド(6str)における単位時間の水流量を、54[L/min] とした。
水モデル実験の方法においては、以下のようにした。
1)溶鋼14のモデルとした水を、タンディッシュ1内に満たしておき、フルード数近似で水を通水させる。
2)注入室4の注入位置(図11中の×印)に墨汁50mlを添加し、墨汁が流れる様子をビデオカメラで撮影し、墨汁を添加した時から、ストランド室5の各ストランド6へ到達するまでの時間を測定する。
なお、この各ストランド6へ到達するまでの時間の差が大きいと温度偏差が大であり、ストランド6の到達時間の差が小さいと温度偏差が小である。
次いで、数値計算(数値シミュレーション)について説明する。
数値計算条件として、熱流体解析ソフト:Fluent、計算モデル:k-εで行った。この数値計算では、実機とほぼ同じ1/1モデルで行った。数値計算で用いたタンディッシュ1は、図12A〜Cに示すT型タンディッシュとした。また、ストランド6の数は4つとした。
図12Aに示すタンディッシュは、仕切堰8を設けていないものである(比較例、形状A)。
図12Bに示すタンディッシュは、仕切堰を設けているが、高さが低いものであるので、注入室4とストランド室5が明確に仕切られていない。また、その仕切堰には、湯道9は設けられていない。すなわち、図12Bに示すタンディッシュおいては、注入室4に注入された溶鋼14は、低い仕切堰を乗り越えて、ストランド室5へ流れ込むようになっている(比較例、形状B)。
図12Cに示すタンディッシュ1は、本発明の形状・構成を有するものであり、注入室4とストランド室5を明確に仕切る仕切堰8が設けられ、その仕切堰8に湯道9(第1湯道9a及び第2湯道9b)が2つ設けられている。また、ストランド室5内の正面壁7には、傾斜部11が設けられている(実施例、形状C)。
また、仕切堰8に設けられた第1湯道9a及び第2湯道9bについては、注入室4からストランド室5へ向けて、左右方向外側を向いて延びる直線状としている。第1湯道9aの出口10a及び第2湯道9bの出口10bと繋がるストランド室5の底部2bは、当該各湯道9a,9bの出口下端以下に位置させている。
表3に、数値計算における計算条件を示す。表4に、タンディッシュ1の形状A〜C(形状Cについては2種類)についての寸法、構成の詳細を示す。
水モデル実験における各ストランド6へのトレーサー(墨汁)到達時間の偏差から、各ストランド6間における溶鋼14の温度偏差を見積もるために、数値計算によりトレーサー到達時間と溶鋼14の温度偏差の関係を求めた。
トレーサーは、溶鋼14と同密度の粒子を設定して、注入室4の注入位置(図12A〜C中の×印)に投入した。
表5に、タンディッシュの形状Bにおける溶鋼温度の数値計算の結果と、実機(タンディッシュの形状B)内の溶鋼温度を実際に測定したときの結果を示す。
表5に示すように、実測した結果、ΔT(=Tmax-Tmin)が8℃と算出され、数値計算の結果、ΔTが10℃と算出された。このように、溶鋼温度の数値計算の結果は、実測した結果との差が小さく、実機の現象を精度良く反映できていることが確認できる。
表6と図13に、タンディッシュ1の形状A〜Cにおける(Δt/tr)とΔTの関係を示す。
表6、図13より、ΔTを表1に示す7℃以下にするには、各ストランド6間における(Δt/tr)を、0.18以下にする必要があることが分かる。
なお、(Δt/tr)の値が大きいほど、トレーサーが各ストランド6に到達するタイミングの差が大きくなる。
次に、本発明における連続鋳造用タンディッシュ1の実施例及び比較例について、説明する。
表7、表8に、本発明の連続鋳造用タンディッシュ1の実施例を示す。表9、表10に、タンディッシュの比較例を示す。表8、表10は、水モデルによる結果を示す。
なお、これら表7の実施例、表9の比較例は、表8、表10に示す水モデルによる結果に基づいて、実機に換算したものである。
表7〜表10に示すように、実施例(No,1〜No,9)、比較例において、ストランド6の数が4つであり、湯道9の数が2つである。なお、実施例(No,10)は、ストランド6の数が6つである。
表7、表8のNo,1(実施例)を参照すると、湯道9の断面形状が円形状とされている。縦径d1が0.3mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.35mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.27m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.64m)。(h/y)が1.17となり、式(5)を満たしている。
(Δt/tr)が0.15となり、0.18以下であるので、温度偏差が小さく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていることが分かる。また、鋳型17への介在物の流出も抑制されていることが分かった。以上、表7、表8のNo,1(実施例)は、優れているものであることが分かる。
表7、表8のNo,2(実施例)を参照すると、湯道9の断面形状が扁平した円形状(楕円形状)とされている(例えば、図4参照)。縦径d1が0.2mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.3mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.27m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.64m)。(h/y)が1.73となり、式(5)を満たしている。
(Δt/tr)が0.18となっているので、温度偏差が小さく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていることが分かる。また、鋳型17への介在物の流出も抑制されていることが分かった。以上、表7、表8のNo,2(実施例)は、優れているものであることが分かる。
表7、表8のNo,10(実施例)を参照すると、ストランド6の数が6つとされ、且つ湯道9の断面形状が四角形状(例えば、図4参照)とされている。縦径d1が0.2mであり、式(1)を満たしている。高さhが0.25mであり、式(2)を満たしている。距離x1が1.2mであり、式(3)を満たしている(「0.1z+d2/2」=0.25m〜「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが4.5mであり、式(4)を満たしている(「x2+0.2z+d2」=3.59m)。(h/y)が1.25となり、式(5)を満たしている。
(Δt/tr)が0.18となっているので、温度偏差が小さく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていることが分かる。また、鋳型17への介在物の流出も抑制されていることが分かった。以上、表7、表8のNo,10(実施例)は、優れているものであることが分かる。
一方、表9、表10のNo,2(比較例)を参照すると、湯道9の断面形状が扁平した円形状とされている(例えば、図4参照)。(h/y)が1.76となり、式(5)を満たしていない。(Δt/tr)が0.2となり、0.18を超えているので、温度偏差が大きく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていない。
表9、表10のNo,5(比較例)を参照すると、湯道9の断面形状が円形状とされている。距離x1が0.19mであり、式(3)を満たしていない(「0.1z+d2/2」=0.22m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが3.48mであり、式(4)を満たしていない(「x2+0.2z+d2」=3.54m)。(Δt/tr)が0.25となり、0.18を超えているので、温度偏差が大きく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていない。
表9、表10のNo,8(比較例)を参照すると、湯道9の断面形状が四角形状(例えば、図4参照)とされている。縦径d1が0.32mであり、式(1)を満たしていない。高さhが0.18mであり、式(2)を満たしていない。距離x1が1.52mであり、式(3)を満たしていない(「0.1z+d2/2」=0.22m、「(W+H)/tanθ」=1.49m)。幅Lが3.5mであり、式(4)を満たしていない(「x2+0.2z+d2」=3.54m)。(h/y)が0.36となり、式(5)を満たしていない。(Δt/tr)が0.28となり、0.18を超えているので、温度偏差が大きく、溶鋼14の温度のバラツキを抑制されていない。また、鋳型17への介在物の流出も抑制されていない。
以上、本発明によれば、注入室4とストランド6を複数有するストランド室5とを有する、平面視でT字状のタンディッシュ1において、各ストランド6に流れる溶鋼14の到達時間の差を制御することで、そのタンディッシュ1内における各ストランド6間の溶鋼温度のバラツキを抑制することが可能である。
また、本発明によれば、低ΔT側のストランド6における浸漬ノズル13のノズル詰りを抑制するとともに、高ΔT側のストランド6におけるブレークアウトを抑制することができる。
以上述べた、本発明の連続鋳造用タンディッシュ1は、図14に示されるような連続鋳造装置15を用いた連続鋳造方法に適用可能である。
図14に示すように、連続鋳造装置15は、例えば、二次精錬処理後の溶鋼14を連続的に鋳造する装置であり、取鍋16内の溶鋼14が注入されるタンディッシュ1と、当該タンディッシュ1内の溶鋼14を鋳込む鋳型17と、鋳型17によって形成された鋳片19を支持するサポートロール18を備えている。なお、連続鋳造装置15で鋳造される鋳片19の形状は、限定されず、スラブ、ブルーム、ビレット等であってもよい。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 タンディッシュ
2a 底部(注入室)
2b 底部(ストランド室)
3 周壁
4 注入室
5 ストランド室
6 鋳型注入孔(ストランド)
7 前側壁面(正面壁)
8 仕切堰
9 湯道(堰孔、底部孔)
9a 第1湯道
9b 第2湯道
10a 第1湯道の出口
10b 第2湯道の出口
11 傾斜部
12 傾斜面
13 浸漬ノズル
14 溶鋼
15 連続鋳造装置
16 取鍋
17 鋳型
18 サポートロール
19 鋳片
20 酸素パイプ

Claims (2)

  1. 取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記注入室の前方であって、当該注入室より左右方向に長尺とされ、且つ底部に前記溶鋼を鋳型に装入する鋳型注入孔を複数有するストランド室と、前記注入室と前記ストランド室とを仕切る仕切堰と、前記仕切堰に設けられ且つ前記注入室から前記ストランド室へ直線状に貫通する湯道と、を備えたタンディッシュにおいて、
    前記湯道は、前記注入室から前記ストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め左側に移行する第1湯道と、前記注入室からストランド室に向けて水平もしくは下方で且つ水平方向斜め右側に移行する第2湯道とを有し、
    前記注入室の前方であって、前記ストランド室の底部から前側壁面にかけて立ち上がる傾斜面を有する傾斜部が備えられていて、
    前記鋳型注入孔は、前記第1湯道の水平方向を向く中心軸の延長線、前記第2湯道の水平方向を向く中心軸の延長線より左右方向外側の領域に位置し、
    前記第1湯道の出口及び前記第2湯道の出口と繋がる前記ストランド室の底部は、当該第1湯道の出口及び当該第2湯道の出口の下端以下に位置し、且つ、式(1)〜式(5)を満たしていることを特徴とする連続鋳造用のタンディッシュ。
    d1≦0.3 [m] ・・・(1)
    h≧d1 [m] ・・・(2)
    0.1z+d2/2≦x1≦(W+H)/tanθ [m] ・・・(3)
    L≧x2+0.2z+d2 [m] ・・・(4)
    0.58≦h/y≦1.73 [-] ・・・(5)
    d1:湯道の縦径
    d2:湯道の横径
    x1:水平方向を向く湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、鋳型注入孔の上下方向を向く中心軸を通過する水平方向を向く延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との距離
    x2:第1湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点と、第2湯道の中心軸の延長線がストランド室の前側壁面と交差する点との間の距離
    H:溶鋼の深さ
    W:ストランド室の前後方向の長さ
    z:湯道の軸心の延長線上におけるストランド室の長さ
    h:傾斜部の高さ
    y:傾斜部の前後方向の長さ
    L:傾斜部の幅
    θ:湯道の中心軸と、ストランド室の正面壁とがなす角度であり、ストランド室幅方向の中心側の角度
  2. 請求項1に記載された連続鋳造用タンディッシュを用いて、連続鋳造を行うことを特徴とする連続鋳造方法。
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