JP6497200B2 - ストリップ鋳造装置用浸漬ノズルおよびストリップ鋳造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、双ロール鋳造装置を用いてアルミニウムや鉄等の薄肉鋳片を連続鋳造する装置に関するものである。
双ロール鋳造装置とは、相反方向に回転する水平な一対の鋳造用冷却ロール間に高温の溶融金属を導くことによって、動いている鋳造用冷却ロールの表面に凝固シェルを形成させて、当該凝固殻をロール間隙出口から薄肉鋳片として取り出す装置である。
従来の双ロール鋳造装置について図5を用いて詳細に説明する。
図5は、従来のストリップ鋳造装置用注湯ノズルを装備したストリップ鋳造装置を説明する図である。
図5において、100は従来の浸漬ノズル、21は溶融金属、22は凝固シェル、23は薄肉鋳片、3はタンディッシュ、4はサイド堰、5はスカム堰、6は鋳造用冷却ロール、8はベンダーロール、9は双ロール鋳造装置である。
高温の溶融金属はタンディッシュ3とタンディッシュ3の下方に取り付けられた従来の浸漬ノズル100を通して溶融金属21は鋳造用冷却ロール6の間に導かれ、凝固シェル22を形成したのちに薄肉鋳片23となる。
双ロール鋳造法における溶融金属の注入方法や装置について概略を説明する。
簡易な装置として、溶融金属を鉛直下方に注入する浸漬ノズル(以下、「鉛直下方注入浸漬ノズル」という。)がある。
しかしながら、鉛直下方注入浸漬ノズルを使用した場合には、ロール表面で凝固する凝固シェルに直接溶融金属の注入流があたることにより鋳片幅中央で凝固シェルが薄くなり、サイド堰側で溶融金属が低温化して凝固シェルが厚くなり、鋳片全体の凝固均一度が悪化するとともに、凝固不均一起因での鋳片表面が割れるという問題が発生する。
非特許文献1には、サイド堰方向に注入する2吐出口浸漬ノズル(以下、「サイド堰方向注入浸漬ノズル」という。)が開示されている。
しかしながら、サイド堰方向注入浸漬ノズルを使用した場合には、次のような3つの問題がある。
第1に、サイド堰への溶融金属からの熱供給により地金の生成は抑制されるが、逆に鋳片端部の凝固シェルが薄くなるという問題である。
第2に、溶融金属の流動がサイド堰側からロール幅中央方向となり、幅中央部での凝固シェル厚が厚くなり全体に凝固が不均一となる問題である。
第3に、溶融金属に含まれる酸化鉄やアルミナ等の非金属介在物、双ロール鋳造時の湯面での金属元素の酸化による非金属酸化物などが湯面に浮遊する膜(以下、「スカム」という。)が形成され、これが幅中央部に堆積し、凝固シェルとロール間に侵入し、凝固中の抜熱抵抗となることにより幅中央の凝固遅れや鋳片表面割れ等表面疵を発生させるという問題である。
特許文献1には、これらの3つの問題を解決すべく、鋳造用冷却ロール方向(以下、「ロール方向」という。)に注入する幅広浸漬ノズル(以下、「ロール方向注入幅広浸漬ノズル」という。)が使用される。
ロール方向注入幅広浸漬ノズルにより注入された溶融金属は、ロール面の中央からサイド堰側に流れ、さらにサイド堰に衝突後にプール中央部のノズル脇に廻り込むことにより表面に浮遊するスカムを湯面とロール間の凝固開始部分から遠ざけ、前記の欠陥を抑制する。
但し、注入された溶融金属が湯面に大きな波立ちを生ずると、凝固開始点が幅方向にばらつくことにより凝固が不均一となり割れ等の原因となるため、幅広浸漬ノズルの吐出口はノズル全幅に対して薄いスリット状の形状を使用する等の対策をとる。
特許文献2には、ロール方向注入幅広浸漬ノズルを用いる際に、ロール幅の方向に平行に設置した耐火物堰(以下、「スカム堰」という。)を使用して、ロールに沿う湯面とスカム堰間の湯流れを調整し、スカムのプール中央部ノズル脇への累積を促進する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1ないし特許文献2に開示されるような従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルには次のような問題がある。
以下、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルの問題について図3を用いて説明する。
図3は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。
従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズル構造は、タンディッシュからのインナーノズル101とそれを取り囲み、ロールに平行に下広がりとなるアウターノズル102から構成されている。
さらに、アウターノズル101下部に設けられた鋳造幅方向に広がる吐出口105に均等な溶融金属流を配分するために、多孔質体103の耐火物を内部に装着する等複雑な構造をしている。
したがって、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルは高重量であり、次のような2つの問題を有していた。
第1は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルはハンドリングが困難で迅速な設置のためにはロボット導入等をする必要があり、高価なものとなるという問題である。
第2は、サイド堰のロール近傍接触部に成長する地金は、時折剥がれて溶融金属プールに巻き込まれ、凝固シェル間に挟まれて鋳片のなかに取り込まれ、その結果鋳片端部のみ鋳片厚みが瞬間的に厚くなり、幅中央部の未凝固部がそのままロール下方に引き出され、外見で赤熱した部分(以下、「ホットバンド」という。)を形成し、その部分で鋳片が破断し、あるいは、鋳片厚みが著しく不均一で製品とならないという問題である。
第2の問題が生じているときは、湯面レベルの変動が大きいことがわかっている。
図4は、図3に示す、従来の扁平形状のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用した鋳造装置を用いたときの湯面の様子を説明する。
図4(a)は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置の断面を描いた図である。
図4(b)は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置における湯面レベルを描いた図である。
図4において、100は従来の浸漬ノズル、4はサイド堰、7はスカム集積箇所、105は吐出口、矢印は溶融金属の流れを示している。
湯面レベルの変動が大きくなることの原因について説明する。
シミュレーションなどで検討したところ、図3に記載されるような従来形状ノズルでは、図4(a)に記載吐出口105から流れ出た溶融金属は、一旦はサイド堰方向に向かった後、スカム集積箇所7の方向に向かい、スカム集積所近辺に渦流が形成されるために溶融金属流に偏りが生じ、湯面レベルの変動が大きくなる。その結果、図4(b)に示すように湯面レベルの変動は大きくなる。
したがって、図3に示す、従来の扁平形状のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用してストリップ鋳造することは考えられてこなかった。
特許文献3には、ノズルの浸漬部分が逆T字型である、幅広薄板連続鋳造装置が開示されている。
特許文献4には、冶金製品の連続鋳造法で用いられる従来の浸漬ノズルよりも安定且つより均一な状態で金属を鋳型に流すことが可能とすることを目的として、管状の第1部分と、中空な第2部分とを逆T字型に組み合わせ、第1部分の一端は液体金属を収容した容器と連通し、その他端は第2部分の内部で開口し、第2部分の内部空間の少なくとも1部は第1部分に対してほぼ直角な方向を向き且つ両端に鋳型の鋳造空間内に開口した少なくとも一つの開口を有する形式の金属の連続鋳造用鋳型に液体金属を導入するためのノズルにおいて、第1部分の内側またはその延長上の液体金属の通路に配置された障害物を有し、この障害物が金属をノズル内部の好ましい軌道からそらすための少なくとも1つの孔を有する部品を有することを特徴とするノズルを開示されている。
しかしながら、特許文献3、4に開示される逆T字型の浸漬ノズルでは、鉛直方向の管の内部の溶融金属の落下時に流れは縮硫し、細くなっており、溶融金属の流れにふらつきが起こりやすい。そのため、逆T字ノズル底部において、分岐流溶融金属の流れに脈動流や偏流ができてしまい、ノズルから吐出される溶融金属の流れに偏りができてしまう。さらに、溶融金属流に渦が発生してしまい、ノズル吐出流の不安定さが増す。
そのため、製造される鋳造板には、割れや皺等が発生しやすいという問題がある。
さらに、特許文献4に開示される逆T字型の浸漬ノズルでは、鉛直管内の流れのふらつきを抑えるために鉛直管の下端にフィルター状の多孔質体を配置することで、流れを減速し、溶融金属で鉛直管内を充満させて吐出流の安定化を計っているために、多孔質体の目詰まりによる生産性の低下の懸念や、多孔質体が均一に経時変化しないことによる、吐出流の偏りや不安定性が解消されない懸念がある。
特開平06−126395号公報 特開平08−164448号公報 特開昭60−021171号公報 特開平09−108794号公報
"Mathematical and physical modelling of steel flow and solidification in twin-roll/horizontal belt thin-strip casting machine", R.I.L. Guthrie and R.P. Tavares, Applied Mathematical Modelling 22 (1998) pp851-872
本発明は、スカムハンドリング機能を維持し、均一な製品を製造しうる安価で単純な構造を有する浸漬ノズルおよび当該浸漬ノズルを用いたストリップ鋳造装置を提供することにある。
発明者らは、スカムハンドリング機能を維持し、均一な製品を製造しうる安価で単純な構造を有する浸漬ノズルを実現すべく鋭意研究開発を行い、「単純構造のノズルを使用する場合には、タンディッシュから供給される溶融金属を溶融プール直上までストレート管で供給し、それに接続した横方向、即ちロール軸に平行な方向の鋳造幅に対して十分な長さを有するストレートなノズルを組み合わせ、該横方向ノズルにスリット状あるいは多数の吐出口を設けて複雑ノズルと同様の注入を行えばよい。」という知見を得た。
しかしながら、発明者らは、この単純な組み合わせを行う場合にはノズル内を溶融金属により充満状態としなければ、幅中央付近からの注入流が強くなり、また、幅方向の対称性が崩れて鋳型内の湯面変動を発生する等、吐出口から均一な流れをつくるのは困難であるという問題に直面した。
また、ノズル内が溶融金属で充満されたとしても、ノズルから吐出する流れは、均一性が悪く、鋳片にホットバンドや、割れが生じる場合が多く、鋳片の歩留まりの低下が見られた。
これは、注入初期のノズル内部が充満されるまでの期間であっても、ノズル内が溶融金属で充満してからでも、不均一な流れが存在することで、溶融金属プールにおける湯面が不均一となるからである。その結果、鋳片のホットバンド等が発生する。
ここで、溶融金属プールとは、ロール間の溶融金属の湯だまりの部分であり、連続鋳造法における鋳型と同じ働きをするものである。
発明者らは、さらに、ノズル内の溶融金属の挙動の流体力学シミュレーションを含め、鋭意研究開発の結果、前記ストレートノズルにサイド堰方向吐出口(以下、「第1の吐出口」あるいは「サイド堰向吐出口」という。)、および、ロール方向吐出口(以下、「第2の吐出口」あるいは「ロール方向吐出口」という。)があり、かつ、すべての吐出口が概略水平面内に向いていることにより、図3に記載されるような従来形状ノズルを用いたときにスカム集積所近辺に形成される渦流を抑制できるという知見を得た。なお、ロール方向を「スカム堰方向」という場合がある。
さらに、ロール方向吐出口とサイド堰方向吐出口とを有するストリップ鋳造装置用浸漬ノズル併用することにより、鋳造空間内への注入流速を適正化でき、凝固均一化も図れるという知見を得た。
また、第1の吐出口であるサイド堰方向吐出口および第2の吐出口であるロール方向吐出口下端位置のノズル内面下端からの位置hと、ノズル内面の高さHとが、予め決められた関係にあるときには、当該ノズル内部において注入開始時に、ノズル水平部下部が最初に溶融金属で満たされ、その後全体にノズル内の湯面が上がりながら溶融金属が吐出しつつ内部のガスをノズル外に追い出し、その後溶融金属によりノズル内部が完全に充満し、吐出口から均等に近い状態でロール方向に吐出されるという知見を得た。
加えて、第1の吐出口であるサイド堰方向吐出口と第2の吐出口であるロール方向吐出口との面積が予め定められた関係を有する場合には、スカム巻き込み現象の抑制効果が向上するという知見を得た。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)水平方向に配置した中空ストレートノズルと、前記中空ストレートノズルの長手方向中央部分から鉛直方向に向けて突出する中空ストレート管とを備え、
前記水平方向に配置した中空ストレートノズルの幅方向表面(以下、「ノズル幅方向表面」という。)には第1の吐出口を有し、
前記水平方向に配置した中空ストレートノズルの長手方向表面(以下、「ノズル長手方向表面」という。)には第2の吐出口を有し、
第1吐出口および第2の吐出口の全ての吐出口についてのノズル内面下端からの高さhと、ノズル内面の高さHとの間には、
0.1 ≦ h/H …(式1)
の関係を有し、
さらに、少なくとも1つ以上の第1の吐出口の断面積の合計値をS とし、
少なくとも1つ以上の第2の吐出口の断面積の合計値をS とし、
0.1 ≦ S /(S +S ) ≦ 0.3 …(式2)
を満足することを特徴とするストリップ鋳造装置用浸漬ノズル。
)()に記載のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを有するストリップ鋳造装置。
本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルは、スカムハンドリング機能を維持し、均一な製品を製造しうる安価で単純な構造を有する浸漬ノズルであり、当該ストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを用いることにより、スカムハンドリング機能を維持し、均一な製品を製造しうる安価なストリップ鋳造を実現できるという顕著な効果を奏する。
本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。図1(a)は、はロール方向からみた本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルであり、図1(a)のA−A断面図が図1(b)である。 本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用したときの湯面の様子を説明する図である。図2(a)は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置の断面を描いた図である。図2(b)は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置における湯面レベルを描いた図である。 従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。図3(a)のB−B断面図が図3(b)である。 従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用したときの湯面の様子を説明する図である。図4(a)は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置の断面を描いた図である。図4(b)は、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置における湯面レベルを描いた図である。 従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用したストリップ鋳造装置の湯面の様子を説明する図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態はストリップ鋳造装置用浸漬ノズルである。
図1を用いて、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルについて説明する。
図1は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。
図1(a)はロール方向からみた本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。図1(b)はサイド堰方向からみた本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを説明する図である。
図1において、1はストリップ鋳造装置用浸漬ノズル、11は吐出口のノズル内面下端からの高さh、12はノズル内面の高さH、13はロール方向吐出口(第2の吐出口)、14はサイド堰方向吐出口(第1の吐出口)である。溶融金属としては、溶融した鋼が用いられる。
図1(a)に示すように、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルは、水平方向に配置した中空ストレートノズルと、前記中空ストレートノズルの長手方向中央部分から鉛直方向に向けて突出する中空ストレート管とを備えている。このような形状を逆T字型という場合がある。
図1(a)に示すように、前記水平方向に配置した中空ストレートノズルのノズル長手方向表面にはロール方向吐出口13を有し、前記水平方向に配置した中空ストレートノズルのノズル幅方向表面にはサイド堰方向吐出口14を有している。
[全吐出口の下端位置]
ロール方向吐出口13(第2の吐出口)およびサイド堰方向吐出口14(第1の吐出口)の全て(以下、「全吐出口」という。)について次のような関係が満たされる。
図1(a)において、11は全吐出口のノズル内面下端からの高さhであり、12はノズル内面の高さHであり、これらhとHとの間には、
0.1 ≦ h/H …(式1)
の関係を有している。
これは、吐出口下端が下方に寄りすぎると、ノズル幅方向中央から供給された溶融金属が分散されにくくなり、幅中央に近い吐出口からプールに吐出され易くなり幅方向の吐出流の均一性が損なわれるが、ノズル内面底から若干上方に吐出口を配置することにより、ノズル幅中央から供給された溶融金属は、ノズル内面底部を通過してノズル幅方向に広がり、ノズルに流れ込んだ溶融金属が分散され、各吐出口から均等に近く吐出されることになるからである。h/Hは、0.1以上、より望ましくは、0.125以上が好ましい。また、h/Hが0.5以上では吐出流が不安定となり効果が薄れる。
更に、各吐出口の下端位置は、溶融金属注入初期の吐出流の安定化のためには、ノズル下端部の位置が同じ高さにあることが重要である。しかしながら、製造時の誤差などの発生によって、各吐出口下端部位置に高低差ができる場合がある。1/1スケールの水モデル実験等によればこれらの高低差は、その標準偏差を高さhの平均値を割った値が、0.5以内であれば問題が生じないことが分かった。
なお、ノズルの内面の高さHは、ノズルが円筒の場合その内径に一致する。30m/分〜300m/分の平均鋳造速度において、溶融金属流の均一性を維持するためには、Hは、10mm〜50mmであることが好ましい。
1/1スケールの水モデル実験によれば、吐出口の下端位置にこのような条件を課すことによって、ノズルの吐出口より下にある空間で流れが広がり、前記空間内で圧力の均一性が高まるため、鉛直管内の溶融金属流のふらつきが吸収され、吐出流の偏りが抑制されることが分かった。更に、ノズル端部水平向きの吐出口のみの場合や、ノズル端部水平向き吐出口は設けられおり、更にノズル底部に鉛直向きに吐出口がある場合に比べると著しく偏流が抑制されることが分かった。
また、各吐出口の形状は、特に限定されないが、各々同一形状であると加工コストを低くすることができる。
[吐出口断面積比]
少なくとも1つ以上のサイド堰方向吐出口(第1の吐出口)の断面積の合計値をSとし、少なくとも1つ以上のロール方向吐出口(第2の吐出口)の断面積の合計値をSとし、
0.1 ≦ S/(S+S) ≦ 0.3 …(式2)
なる関係を有している。
ここで、(式2)の下限0.1は、鋳片の凝固を阻害せずかつサイド堰側の地金生成を抑えることを主眼としたものであり、0.1未満ではこの効果が得られないので0.1以上とした。
また、(式2)の上限0.3は湯面波立ちを抑制する制約を主眼としたものであり、0.3以上ではサイド堰に衝突して反転する流れが強くなり、ロール方向への吐出流が作る流れと干渉し、ロール幅方向で淀みを形成し、スカムがロールとシェル間に入り込みやすくなるため0.3以下とした。なお、凝固不均一による割れが起きやすい湯面高さの幅方向偏差は±5mm即ち10mmより大きい場合であることが判っている。前記平均鋳造速度を安定的に実現するためには、吐出口の総面積S+Sは、50mm〜500mmであることが好ましい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを有するストリップ鋳造装置である。
具体的には、図5において、従来のストリップ鋳造装置用浸漬ノズル100に代えて、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズル1を使用することで実現できる。
[湯面レベル]
図2を用いて、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用したストリップ鋳造装置を用いたときの湯面の様子を説明する。
図2(a)は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置の断面を描いた図であり、図2(b)は、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを装備したストリップ鋳造装置における湯面レベルを描いた図である。
図2において、1は本発明の浸漬ノズル、4はサイド堰、7はスカム集積箇所、13はロール方向吐出口(第2の吐出口)、14はサイド堰方向吐出口(第1の吐出口)、矢印は溶融金属の流れを示している。
図2(a)に描かれるように、溶融金属はロール方向吐出口(第2の吐出口)13およびサイド堰方向吐出口(第1の吐出口)14から規則正しく流れ出ており、その結果、図2(b)に示すように湯面レベルの変動、即ち湯面差は少ない。
これより、本発明のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを使用したストリップ鋳造装置を用いると、湯面レベルが安定することが確認できる。
[使用設備]
幅400mm、直径600mmの鋳造用冷却ロールを用いた双ロール鋳造装置を使用して鋼の薄肉鋳造を実施する。
[鋳造条件]
鋳造速度を60m/分とし、厚み3mmの薄肉鋳片を鋳造する。凝固シェルとロールの接触弧角は45度とした。溶融金属としては、溶融した鋼を使用した。
[ノズル条件]
本発明例のノズルは外径100mm、内径70mmの鉛直方向のストレート耐火物管の下端に、外径60mm内径40mm長さ260mmの両端を閉じたストレートの円筒耐火物をねじ込み式で組み立てたものを用い、ノズルの長手方向表面およびノズルの幅方向表面に水平向きに吐出口を機械加工して製作した。
ロール方向の吐出口の大きさは、一辺10mmの正方形とし、サイド堰向吐出口は両端に1個ずつ設け、ロール方向の吐出口は複数個設け、断面積の合計値を変化させて評価するが、吐出口の合計面積(S1+S2)は、一律3600mm2とした。
比較例のノズルとして、従来幅広ノズルと、従来逆T字ノズルを準備した。従来幅広ノズルは、多孔質体を用いて流れを均等化し、吐出口はロール方向のものである。従来逆T字ノズルは、スカム堰方向の端部吐出口は前記同様とし、ノズル底部表面の水平方向(ロール方向)吐出口を設けず、鉛直下向きに吐出口を設けたものも準備した。
但し、一個の吐出口形状は、前記のノズルの長手方向表面の水平向きものと同じであり、鉛直方向のみに吐出口を設けてある。
[評価方法]
ホットバンドの発生がなく、油面差が12[mm]以下であれば、合格(○)である。
ホットバンドの発生がなく、油面差が12[mm]以下であり、かつ、地金付着がなければ優良合格(◎)である。
合格(○)、優良合格(◎)でなければ、不合格(×)である。
[本発明例]
本発明例としては、(式1)のみを満足するNo.6、10、11、(式1)および(式2)を満足するNo.7、8、9、12、13、14を用意した。
[比較例]
比較例は、(式1)を満足しないNo.1〜No.5である。
また、従来幅広ノズル、従来逆T字ノズルについての場合の比較例は、それぞれ、No.16、No.17である。
Figure 0006497200
本願においては、図2(a)に示されるように、ノズル底部からサイド堰方向に吐出される流れがサイド堰で反射し、ノズルの長手方向表面からの吐出流で、向きを変えてサイド堰方向に流れ込んでくる流れと干渉しあい、渦流の発生が抑制され溶融金属流が均一になり湯面高低差の発生が抑制される。
No.16においては、前述のように、図4(a)に示すような流れが発生するため、スカム集積箇所近傍にて渦流が発生するために湯面高低差が発生しやすくなる。
No.17は、従来逆T字ノズルであり、前記したように、流れの高低差は、大きくなり、地金付着、ホットバンドともに発生する。
[評価]
本発明例については、(式1)のみを満足するNo.6、10、11、15は、合格(○)であり、(式1)および(式2)を満足するNo.7、8、9、12、13、14は優良合格(◎)であった。
しかし、比較例であるNo.1〜5およびNo.16、17は不合格(×)であった。
No.16の比較例の場合には、湯面差は10mmであったが、地金付着は発生し、時折ホットバンドの発生が見られた。
No.17の比較例においては、湯面差は18mmあり、地金付着、ホットバンドのいずれも発生した。
また、各吐出口の下端位置がばらついた場合の影響を調べるために、吐出口の下端位置に高低差をつけたものを準備した。高低差のばらつきについての結果は、表2に示した。
No.13における本発明例のノズル条件
h=5mm …(式10)
h/H=0.125 …(式11)
/(S+S)=0.2 …(式12)
において、ノズル下端部位置高さhの平均値を5mmに保ったまま高低差のばらつきをつけた例は、表2のNo.18〜23である。
No.18〜No.22は本発明例であり、高低差の標準偏差を高さの平均値で割った値が0.5以下である。
No.23は、比較例であり、高低差の標準偏差を高さの平均値で割った値が0.5超である。
Figure 0006497200
本発明例のように、高低差の標準偏差を高さの平均値で割った値が0.5以下の場合には、ホットバンドが発生しない。
比較例のように、高低差の標準偏差を高さの平均値で割った値が0.5を超えると、ホットバンドが発生してしまう。
概ね、吐出口の形状やノズル下端部の平均値にあまり依存せず、前記の高低差の標準偏差を高さの平均値で割った値が0.5以上では、ホットバンドが発生しやすくなる傾向があることが確認できる。
本発明は、双ロール鋳造装置を用いてアルミニウムや鉄等の薄肉鋳片を連続鋳造する場合に利用可能である。
1…ストリップ鋳造装置用浸漬ノズル、11…吐出口のノズル内面下端からの高さh、12…ノズル内面の高さH、13…ロール方向吐出口(第2の吐出口)、14…サイド堰方向吐出口(第1の吐出口)、21…溶融金属、22…凝固シェル、23…薄肉鋳片、3…タンディッシュ、4…サイド堰、5…スカム堰、6…鋳造用冷却ロール、7…スカム集積箇所、8…ベンダーロール、9…双ロール鋳造装置、100…従来の浸漬ノズル、101…インナーノズル、102…アウターノズル、103…多孔質体、104…補強材、105…吐出口。

Claims (2)

  1. 水平方向に配置した中空ストレートノズルと、前記中空ストレートノズルの長手方向中央部分から鉛直方向に向けて突出する中空ストレート管とを備え、
    前記水平方向に配置した中空ストレートノズルの幅方向表面には第1の吐出口を有し、 前記水平方向に配置した中空ストレートノズルの長手方向表面には第2の吐出口を有し、
    前記第1吐出口および第2の吐出口の全ての吐出口についてのノズル内面下端からの高さhと、ノズル内面の高さHとの間には、
    0.1 ≦ h/H …(式1)
    の関係を有し、
    さらに、少なくとも1つ以上の第1の吐出口の断面積の合計値をS とし、
    少なくとも1つ以上の第2の吐出口の断面積の合計値をS とし、
    0.1 ≦ S /(S +S ) ≦ 0.3 …(式2)
    を満足する
    ことを特徴とするストリップ鋳造装置用浸漬ノズル。
  2. 請求項1に記載のストリップ鋳造装置用浸漬ノズルを有するストリップ鋳造装置。
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