JP2018058109A - 下注ぎ造塊設備 - Google Patents

下注ぎ造塊設備 Download PDF

Info

Publication number
JP2018058109A
JP2018058109A JP2017154260A JP2017154260A JP2018058109A JP 2018058109 A JP2018058109 A JP 2018058109A JP 2017154260 A JP2017154260 A JP 2017154260A JP 2017154260 A JP2017154260 A JP 2017154260A JP 2018058109 A JP2018058109 A JP 2018058109A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
runner
molten steel
branch
mold
ingot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017154260A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6818980B2 (ja
Inventor
上田 直樹
Naoki Ueda
直樹 上田
宏忠 新井
Hirotada Arai
宏忠 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Publication of JP2018058109A publication Critical patent/JP2018058109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6818980B2 publication Critical patent/JP6818980B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

【課題】1本の湯道から複数の鋳型に対して下注ぎで注湯を行う場合において、鋳型の注入口での偏流発生と型内材の巻き込みを効果的に抑制でき、健全且つ高清浄な鋼塊を簡便な設備構成を用いて低コストで製造する。
【解決手段】本発明の下注ぎ造塊設備1は、湯道3からT字状に分岐した分岐路4に溶鋼を導き入れて、当該分岐路4の先にある鋳型5に溶鋼を注入して造塊を行う造塊設備であって、湯道3から分岐路4が上方に向かってT字状に分岐している分岐部10には、上方に向かって曲面状に凹んだ凹部11が形成されており、凹部11の曲面の曲率半径をXとし、湯道3の内径をdとした際に、曲率半径Xと内径dとの間に、所定の関係が成り立つことを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、型内剤の巻込みを防止して、介在物欠陥の発生が抑えられた鋼塊を鋳造する下注ぎ造塊設備に関するものである。
従来より、鋳型を用いて鋼塊を製造する造塊には、溶鋼の注入方向の違いから「下注ぎ造塊」と「上注造塊」の2種類がある。「上注ぎ造塊」は、取鍋の溶鋼を、鋳型の上部より直接鋳型内に注ぎ込むものである。これに対して、「下注ぎ造塊」は、取鍋の溶鋼を、水平方向に沿って形成された湯道、及び上下方向に沿って垂直に設けられた注入管や注湯管などを経由して、鋳型の底部に設けられた注入口、つまり取鍋の下側から鋳型内に注ぎ込むものとなっている。
ところで、上述した「下注ぎ造塊」では、通常、溶鋼の酸化防止や鋳片肌を改善する目的で、鋳型内にパウダー状の型内剤が使用される。このとき、鋳型の底部の注入口から上向きに噴出された溶鋼が、鋳型内で注入流を発生させる。特に、鋳造初期には、この注入流によって鋳型内に添加された型内剤が溶鋼中に巻き込まれ、鋼塊内に捕捉されてしまうことがある。このような溶鋼への型内剤の巻き込みが生じると、鋼塊側面の凝固殻に捕捉された型内剤が介在物欠陥を生じさせる可能性がある。
このような型内剤の巻き込みを防止するために、従来の下注造塊方法では、以下の特許文献1〜特許文献3に示すような手段を設けている。
例えば、特許文献1には、鋳型の底部に設けられた吐出口から溶融金属を鋳型内に吐出する下注ぎ方式の注湯方法に使用される注湯管に関する発明であって、先端部が前記吐出孔に連通している注湯管において、前記吐出口から下方へ長さLまでの領域内の注湯管の内孔の形状が、横方向断面(溶融金属進行方向に垂直な方向の断面をいう)の径が前記吐出口たる起点から下方向に向かって漸次曲線で縮径し、かつその漸次縮径する曲線が、注湯管の中心軸を通過する縦方向断面において所定の式によって表される形状を有することを特徴とするものが開示されている。この特許文献1の注湯管を用いれば、溶融金属の下注ぎ方式の注湯方法において、注湯速度を低下させることなく、複雑な装置を設置する等の生産性低下やコスト上昇等を招来することのない簡易な方法で、注湯中の鋳型内溶融金属の湯面方向(直上方向)の流速を低減させ、非金属介在物や酸化に伴う金属鋳塊の品質低下を低減することできるとされている。
また、特許文献2には、湯道形状を変更することで、鋳込流量を変更することなく、吐出圧を低減させ、型内材巻き込みを低減する下注ぎ造塊の技術が開示されている。つまり、下注ぎ造塊において吐出圧が大きい場合、溶鋼表面の型内材が外周部に追いやられ、目玉と呼ばれる裸湯ゾーンが形成されることで、再酸化や水素ピックアップ、溶鋼温度低下などの問題が発生する。そのため、裸湯ゾーンの形成を抑制できるように型内材を多量に添加する必要があるが、型内材の多量添加は型内材の巻き込みを増長する。吐出圧を減少させて型内材の巻き込みを低減することもできるが、吐出圧の減少は製造効率の観点から鋳込流量を減少させることができない。
さらに、特許文献3には、2つ以上並設された鋳型への下注ぎ造塊する際に、従来から注入管寄りの鋳型において観察されることが多かった鋳造欠陥に対して、この鋳造欠陥の発生を防止することができる造塊技術が開示されている。つまり、2つ以上並設された鋳型に下注ぎ造塊を行う場合、溶鋼注入初期においては鋳型内の静水圧抵抗が少ないので注入管に近い鋳型ほど勢いよく溶鋼が流れ込んで鋳型内の溶鋼の乱れが大きくなり、溶鋼表面が溶鋼被覆剤で完全に覆われなくなり、大気接触によって再酸化が生じたり、溶鋼被覆剤が溶鋼に巻き込まれたりするといった問題があった。そこで、特許文献3の技術では、鋳型下部に形成される湯道断面積を上流ほど大きく形成することで吐出圧を低減し、注入管寄り鋳型において観察されることの多かった鋳造欠陥を防止するとともに、溶鋼被覆剤を節約することを可能にしている。
特開2012−086233号公報 特開平9−239494号公報 特開昭61−023555号公報
ところで、従来より、造塊における生産性向上の要求から、1本の湯道から複数の鋳型に対して注湯を行う造塊設備が採用されている。このような1本の湯道から複数の鋳型に注湯を行う造塊設備では、湯道の溶鋼の一部が湯道に対してT字状に分岐した分岐路に分流され、分岐路を経由してそれぞれの鋳型に注湯が行われる。
しかしながら、湯道の途中にT字状に分岐した分岐部を設けると、分岐部では溶鋼の流れに偏りが発生しやすいため、この溶鋼の流れの偏り(以降、偏流という)が注入口での溶鋼の流れにも大きな偏りを発生させることになる。上述した偏流が大きくなるかどうかは湯道から分岐路に流れ込む溶鋼の流入速度に影響されるものであり、分岐路に流れ込む溶鋼の流入速度は取鍋に近い鋳型ほど大きくなるため、偏流の発生状態も鋳型によって異なったものとなる。
つまり、上述した特許文献1や特許文献2の技術は、鋳型ごとに異なる偏流の発生状態を考慮したものとなっておらず、1本の湯道から複数の鋳型に対して注湯を行う造塊設備に対応したものとはなっていない。当然、特許文献1や特許文献2の技術を用いても、十分な吐出圧低下効果が得られる可能性は低い。
また、特許文献3の造塊技術は、上流側から下流側に欠けて断面積が段階的に小さくなる湯道を用いたものである。このような湯道を設ければ、取鍋に近い上流側の湯道での溶鋼の流速を低減することができ、上流側の鋳型で大きな偏流が発生することを抑制でき、溶鋼被覆剤の巻き込み低減も可能となる。しかし、上述した断面積が段階的に小さくなる湯道を設けると、造塊設備の構成が複雑となり、初期設置コストやランニングコストも大きいものとなる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、1本の湯道から複数の鋳型に対して下注ぎで注湯を行う場合において、鋳型の注入口での偏流発生と型内材の巻き込みを効果的に抑制でき、健全且つ高清浄な鋼塊を簡便な設備構成を用いて低コストで製造することができる下注ぎ造塊設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の下注ぎ造塊設備は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の下注ぎ造塊設備は、湯道からT字状に分岐した分岐路に溶鋼を導き入れて、当該分岐路の先にある鋳型に溶鋼を注入して造塊を行う造塊設備であって、前記湯道から分岐路が上方に向かってT字状に分岐している分岐部には、上方に向かって曲面状に凹んだ凹部が形成されており、前記凹部の曲面の曲率半径をX(該Xの中心は湯道と分岐路の交点)とし、前記湯道の内径をdとした際に、前記曲率半径Xと内径dとの間に、以下の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする。
[数1]
d×0.1≦X≦d×0.7 ・・・(1)
好ましくは、前記湯道には、当該湯道における溶鋼の流れ方向に沿って少なくとも2基以上の鋳型が並んで配設されており、前記凹部が、前記溶鋼の流れ方向における上流側に配設された鋳型に溶鋼を分岐する分岐部に形成されているとよい。
好ましくは、前記凹部は、前記湯道における溶鋼の流れ方向に対して、前記分岐部における流れ方向の下流側に形成されているとよい。
また、本発明の下注ぎ造塊設備は、湯道からT字状に分岐した分岐路に溶鋼を導き入れて、当該分岐路の先にある鋳型に溶鋼を注入して造塊を行う造塊設備であって、前記湯道から分岐路が上方に向かってT字状に分岐している分岐部には、当該分岐部の上隅が上方に向かって角箱形状に凹んだ角箱部と、角箱部と分岐路との角が丸面取りされた丸面取部と、が形成されており、前記角箱部の湯道に沿った寸法をX、前記丸面取部の曲率半径をR、前記湯道及び分岐路の吐出口側の内径をdとした際に、前記角箱部の寸法X、前記丸面取部の曲率半径R、前記内径dとの間に、以下の式(2)の関係が成り立つことを特徴とする。
[数2]
d×0.2≦X≦d×0.7
d×0.1≦R≦d×0.5・・・(2)
好ましくは、前記湯道には、当該湯道における溶鋼の流れ方向に沿って少なくとも2基以上の鋳型が並んで配設されており、前記角箱部及び丸面取部が、前記溶鋼の流れ方向における上流側に配設された鋳型に溶鋼を分岐する分岐部に形成されているとよい。
好ましくは、前記角箱部及び丸面取部は、前記湯道における溶鋼の流れ方向に対して、前記分岐部における流れ方向の下流側に形成されているとよい。
本発明の下注ぎ造塊設備によれば、1本の湯道から複数の鋳型に対して下注ぎで注湯を行う場合において、鋳型の注入口での偏流発生と型内材の巻き込みを効果的に抑制でき、健全且つ高清浄な鋼塊を簡便な設備構成を用いて低コストで製造することができる。
第1実施形態の下注ぎ造塊設備を模式的に示した図である。 第1実施形態の下注ぎ造塊設備の湯道配置を示した図である。 図2のA部分を拡大して示した断面図である。 分岐管内部に発生する溶鋼の流動状態を、従来の分岐管と第1実施形態の分岐管とで比較して示した図である。 図1の拡大図である。 第1実施形態の下注ぎ造塊設備において湯道平均流速と吐出口最大流速との関係をグラフとして示したものである。 従来の下注ぎ造塊設備の鋳型内に発生する溶鋼の流れを示した図である。 第2実施形態の下注ぎ造塊設備を示した図である。 第2実施形態の下注ぎ造塊設備の分岐部を拡大して示した図である。 従来の下注ぎ造塊設備に設けられた分岐管内部に発生する溶鋼の流動状態を示した図である。 分岐部に角箱部のみを形成した分岐管内部に発生する溶鋼の流動状態を示した図である。 分岐部に角箱部及び丸面取部を形成した第2実施形態の分岐管内部に発生する溶鋼の流動状態を示した図である。 第2実施形態の下注ぎ造塊設備における湯道平均流速と吐出口最大流速との関係を、角箱部の寸法ごとに比較して示したグラフである。 第2実施形態の下注ぎ造塊設備における湯道平均流速と吐出口最大流速との関係を、丸面取部の曲率半径ごとに比較して示したグラフである。
[第1実施形態]
以下、本発明の下注ぎ造塊設備1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
一般的に鋼塊を造塊する方法としては、鋳型内で溶鋼を凝固させて鋼片を製造する際の溶鋼の注入方法によって、下注ぎ造塊と上注ぎ造塊の2種類が知られている。上注ぎ造塊は取鍋の溶鋼を鋳型の上部の開口部から直接鋳型にを注ぎ込んで鋳造するのに対し、下注ぎ造塊は、ロート状の注ぎ口が上端に設けられた注入管2と呼ばれる垂直の管に溶鋼を注ぎ込み、注入管2の下端に接続された湯道3を介して溶鋼を水平方向に流通させ、湯道3から注湯管を介して溶鋼を鋳型5の下側から注湯できるようになっている。下注ぎ造塊は上注ぎ造塊よりも良好な鋳肌が得られるという利点があり、品質が重視される高級鋼の製造などに適用される。また、一度の造塊で1本の鋼片(鋼塊)しか生産できない上注ぎ造塊と比較して、下注ぎ造塊は一つの注入管2から湯道3(ランナー3)を介して溶鋼を分岐させることで、複数の鋳型5で鋼片(鋼塊)を同時に鋳込むことができる。そのため、上注ぎ造塊よりも生産性が高い下注ぎ造塊は連続鋳造法で鋳造できない鋼種や大断面の鋼塊製造において広く行われている。なお、第1実施形態及び第2実施形態の下注ぎ造塊設備1は、上述した2つの造塊法のうち、下注ぎ造塊を対象するものとなっている。
図1に示すように、上述した下注ぎ造塊を行う本実施形態の下注ぎ造塊設備1は、鋳造に用いる溶鋼が装入された取鍋6と、取鍋6の下方に設けられると共に上下方向に沿って垂直に起立した注入管2と、を備えている。この注入管2の上端は取鍋6に繋がっており、取鍋6内の溶鋼を注入管2の内部を通して下方に案内できるようになっている。また、注入管2の下側には、溶鋼を水平方向に送る湯道3が配備されており、湯道3の中途側には複数本の分岐路4が設けられていて、湯道3及び分岐路4を経由して複数の鋳型5のそれぞれに溶鋼を注入可能となっている。
具体的には、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1は、床面などに対して水平方向に移動可能とされた定盤上に台盤7を配置し、台盤7上に上述した鋳型5(モールド)が配置されている。また、定盤と台盤7の双方を上下方向に貫通するように湯道3用の貫通孔8が形成されている。この貫通孔8の内壁には耐火煉瓦が内張りされていて、丸孔状の湯道3が形成されている。また、取鍋6の下部には注入ノズル9が設置されており、注入ノズル9から上述した注入管2のロート状の注ぎ口に溶鋼を注ぎ込み、注入管2の下側に接続された湯道3を経由して、鋳型5側に溶鋼が送られる。このようにして鋳型5側に送られてきた溶鋼は、鋳型5の底部の注入口から鋳型5内に下方から流し込まれ、流し込まれた溶鋼を凝固させることで鋼片(鋼塊)が製造される。
なお、上述した下注ぎ造塊法では、鋳込み時の溶鋼の大気酸化や溶鋼温度の低下などを防ぐために、鋳型5内の溶鋼表面を型内材(溶鋼被覆剤)で覆うようにして造塊が行われる。
また、図2に示すように、上述した湯道3は、注入管2の下端から外側に向かって水平方向に沿って形成されており、注入管2の下端から左右もしくは前後の多方向に向かって複数に分岐された湯道3を経由して取鍋6の溶鋼が流通されている。そして、複数の湯道3の溶鋼は、それぞれの湯道3に設けられた分岐路4を通って各鋳型5に導かれ、各鋳型5の底の注入口から当該鋳型5に溶鋼が注湯される。第1実施形態の下注ぎ造塊設備1の場合、1本の注入管2の下端に、注入管2の下端を起点として放射状に伸びるように4本の湯道3が形成されている。つまり、これら4本の湯道3のそれぞれはランナー3とも呼ばれており、それぞれのランナー3には5基の鋳型5が配備されていて、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1は4本のランナー3と合計で20基の鋳型5を有したものとなっている。
なお、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1は、大量の鋼片(インゴット)を効率よく鋳造工場から搬出するため、鋳造した鋼片を鋳型5、注入管2、湯道3ともども運搬用列車の台車に積載して移動させる構成とされている。また、鋳造工場の省スペース化の観点から、湯道3は、台車の長手方向、すなわち図1の紙面における左右方向に沿った配列となっている。
上述した複数のランナー3のそれぞれには、複数の鋳型5が配備されている。例えば、図2の右上(Aで示された部分)に位置するランナー3を拡大して示したものが図3である。図3に示すように、1本のランナー3(湯道)には、ランナー3の伸長方向に沿って複数(図例では5本)の鋳型5が並んで配備されている。これら複数の鋳型5は、隣り合う鋳型5同士が接触しない程度の距離をあけて配備されている。また、これらの鋳型5は、ランナー3の上側に位置する台盤7上に起立した状態で設けられている。
上述したランナー3と鋳型5との間には、上下方向に沿って伸びる分岐路4がそれぞれ形成されており、それぞれの分岐路4を介して湯道3の溶鋼を鋳型5に流通可能となっている。この分岐路4の下端はランナー3に対して正面から見るとT字状となるように直交状態で交差しており、それぞれの分岐路4は湯道3に沿って流れてきた溶鋼の流通方向を90°切り換えて鋳型5に流通可能となっている。このようにして分岐路4に流し込まれた溶鋼は、分岐路4を通って鋳型5に送られ、鋳型5の底部に設けられた注入口から鋳型5内に注入される。
ところで、上述した分岐路4が湯道3と交差する部分、つまり湯道3の分岐部10においては、湯道3を流れる溶鋼の向きが大きく切り替わるため、どうしても分岐路4の入り口側で溶鋼の流れに偏りが発生する。このような溶鋼の偏った流れは、分岐路4の終端、言い換えれば鋳型5の注入口においても残ってしまうため、鋳型5内での溶鋼の流速も平滑とはならず、鋳型5内の湯面が乱れる(暴れる)などして型内材の巻き込まれなどが起きやすくなる。このようにして巻き込まれた型内材(溶鋼被覆剤)は鋼塊の凝固界面に補足され、鋼塊中に残存してしまう。そのため、鍛造、機械加工後の超音波探傷(UT)検査や磁粉探傷検査によって欠陥として検出されることがあり、欠陥とされた部分は切り捨てられることから型内材の巻き込まれは鋼塊の歩留まりを悪化させる主たる要因となっている。
特に、図2に示すように1本のランナー3から複数の鋳型5に溶鋼を注入する場合には、注入管2(取鍋6)に近い側の鋳型5において、型内材の巻き込みが非常に多いことがわかっていた。発明者らは、鋭意研究の結果、鋳型5モールドに型内材の巻き込みが発生する理由は、ランナー3(湯道3)から分岐路4が分岐する分岐部10で分岐路4に分流される際に発生する溶鋼の流れの偏りが鋳型5内での湯面の暴れに繋がり、ひいては型内材の巻き込みの原因となることを知見した。また、ランナー3に設けられる複数の鋳型5のうち、特に注入管2(取鍋6)に近い側の鋳型5(モールド)の分岐部10において、溶鋼の流れの偏りが大きくなり、型内材の巻き込みが起きやすくなることを知得した。
すなわち、型内材の巻き込みは、鋳型5内の溶鋼界面の流速がある臨界値を越えると生じるようになる。ここで、溶鋼界面の流速は鋳型5底部の注入口から吐出される溶鋼の吐出流速と相関があり、鋳込み速度、つまり吐出流速が大きいほど、溶鋼界面の流速も大きくなり、型内材の巻き込みも起きやすくなる。
また、従来の下注ぎ造塊法では鋳型底部の注入口から吐出される溶鋼の平均吐出流速(注入管2からの鋳込流量を湯道の断面積で除した流速)を用いて型内材の巻き込みが発生の可否を判断していた。しかし、1本のランナーから複数の鋳型に鋳込みを行う際には、上述した分岐部において溶鋼流に偏りが発生する場合があり、溶鋼流の偏りによって注入口において局部的に強い溶鋼の流れが発生した場合にも、型内材の巻き込みが発生していることがわかった。つまり、型内材の巻き込みに対しては、溶鋼の最大吐出流速を考慮する必要がある。
なお、鋳込み時の溶鋼の吐出速度を低減すれば、溶鋼の最大吐出流速を小さくすることは可能である。しかし、溶鋼の吐出速度を絞りすぎると取鍋6の鋳込みノズル閉塞や、湯道3内での溶鋼凝固による閉塞、鋳造時間が長くなり過ぎることによる生産性の低下、さらには鋳込み終了時の温度が下がりすぎて沈降性介在物が発生しやすくなるといったリスクを招く可能性もある。
そこで、本発明の下注ぎ造塊設備1は、湯道3から分岐路4が上方に向かってT字状に分岐している分岐部10に、上方に向かって曲面状に凹んだ凹部11を形成している。この凹部11の曲面は、曲率半径をXとし、湯道3の内径をdとした際に、曲率半径Xと内径dとの間に、以下の式(1)の関係が成り立つものとなっている。第1実施形態の場合、この曲率半径Xは、湯道の内周面のうち、最も上部に位置する部分を結んだ線と、分岐路の内周面のうち、凹部11が設けられた側の分岐路の内周面を上下に結んだ線と、が交わる交点(図5において点「S」で示される点)を、曲率の起点としたものとなっている。なお、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1に設けられる凹部11は、必ずしも上述した交点Sを曲率の起点としなくても良い。例えば、交点Sから多少離れた位置にある点を起点として曲率半径を設定していても良い。つまり、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1は、分岐部10で発生した溶鋼の流れの偏りを解消するために、分岐路4の入り口側に上述した凹部11を形成したものとなっている。
[数3]
d×0.1≦X≦d×0.7 ・・・(1)
上述した分岐部10に上方に向かって曲面状に凹むと共に、式(1)の関係を満足する凹部11を設けた場合には、分岐部10から鋳型5底部の注入口にかけての分岐路4において偏りが生じていた溶鋼の流れを分散させることが可能となる。つまり、注入口において偏流が発生しにくくなるので、局部的に吐出流速が大きくなることがなくなり、最大吐出流速を低減することも可能となる。それゆえ、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1を用いた場合には、型内材の巻き込みを効果的に抑制することができる。
次に、第1実施形態の造塊設備に設けられる分岐部10、及びこの分岐部10に形成される凹部11について説明する。
図3に示すように、上述した分岐部10は、水平方向に沿って配備された湯道3と、鋳型5に溶鋼を送る分岐路4とが、正面から見てT字状に交差する部分である。図例のように、取鍋6が設けられた側(内側)から外側に向かって5つの鋳型5が設けられている場合は、最も取鍋6から遠い側(反取鍋6側または外側)に位置する鋳型5を除く、内側の4基の鋳型5に溶鋼をそれぞれ分配している分岐路4との交差部分はいずれもT字状であり、本発明の分岐部10と考えることができる。このような分岐部10では、湯道3と分岐路4とが側方視でT字状に交差しており、上述した溶鋼の流れの偏りが発生する可能性がある。
なお、湯道3と分岐路4とが正面視でT字状に交差している部分をすべて分岐部10とし、全ての分岐部10に上述した凹部11を設ける必要はない。最も型内材の巻き込みが顕著な取鍋6に近い側の分岐部10のみに凹部11を形成しても良い。
また、図3の例では、取鍋6から最も遠い側に位置する鋳型5と湯道3との交差部分は「分岐部10」として扱っていない。これらは、取鍋6から最も遠い側の交差部分がL字状に湯道3と分岐路4が交差しているから(T字状に交差していないから)である。しかし、取鍋6から最も遠い側の交差部分であっても、湯道3と分岐路4とが正面視でT字状に交差している場合には、本発明の分岐部10として扱い、この分岐部10に凹部11を形成しても良い。
さらに、上述した湯道3及び分岐路4は、直径が40mm〜80mmとされている。なお、第1実施形態では、湯道3と分岐路4とは同じ内径とされていても良いが、上述した内径の範囲で異なる内径に形成されていてもよい。
以降の説明では、取鍋6から最も近い鋳型5に湯道3から溶鋼を送る分岐部10のみに凹部11を設けた例を挙げて、第1実施形態の造塊設備を説明する。
図4及び図5は、上述した分岐部10で発生する溶鋼の流れ方向や流速の分布を、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1での場合と、従来の下注ぎ造塊設備の場合とで比較した結果である。図4及び図5の左側は従来の下注ぎ造塊設備1の結果であり、右側は第1実施形態の下注ぎ造塊設備1の結果である。
図4及び図5に示すように、第1実施形態の造塊設備に設けられる凹部11は、耐火物の表面を上方に向かって曲面状に凹ませた部分(お椀を伏せた形状部)であり、上方に向かって凹んだ状態に欠肉状に形成された部分であって、この凹んだ部分で溶鋼を反転し、分岐路4の内周面に沿った偏った流れを剥離・分散させることで溶鋼の流れに偏りが発生することを抑制可能となっている。
つまり、図4及び図5の左側に示された従来の下注ぎ造塊設備1の分岐部10では、湯道3から分岐路4に流れ込んだ溶鋼は、まず分岐路4の内周面のうち、溶鋼の流れ方向の下流側に位置する部分に衝突し、それから分岐路4の内周面に沿って上方に移動して鋳型5に注湯される。このとき、分岐路4の下流側の内周面に衝突した溶鋼は、分岐路4の内周面に貼り付いたまま上方に移動し、注入口に運ばれる。
ところが、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1の分岐部10では、凹部11が設けられているため、湯道3から分岐路4に流れ込んだ溶鋼は凹部11の内周面に衝突する。そして、凹部11で反転し、分岐路4内周面に交差した角度で分岐路4に入り込む。その結果、分岐路4の内部で溶鋼が内周面から剥離した流れとなり、内周面から離れた分岐路4の中央側に流れが形成される。さらに、この分岐路4の中央側に形成された流れは鋳型5に達するまでに分散され、吐出口から鋳型5内に注湯されるときには溶鋼の流れに偏りが殆ど見られなくなる。そのため、第1実施形態の造塊設備では偏流が抑制され、鋳型5内で溶鋼の均等な流れを実現可能となるのである。
なお、上述した凹部11は、湯道3における溶鋼の流れ方向に対して、分岐部10における流れ方向の下流側に少なくとも形成されている必要がある。つまり、図4や図5に示すように流れ方向の上流側と下流側の双方に凹部11を形成しても良いが、少なくとも流れ方向の下流側に凹部11(半椀状部)を形成しておけば十分な偏流抑制の作用効果を得ることができる。
また、上述した凹部11については、上述した式(1)に示すように、凹部11の曲面の曲率半径をXとし、湯道3または分岐路4の内径をdとした際に、曲率半径Xと内径dとの間に、以下の式(1)の関係が成り立つような形状とするのが良い。式(1)の関係が成り立つような形状の凹部11を設ければ、分岐路4の内周面から引き離された中央側に溶鋼の流れを形成することができ、鋳型5内に溶鋼を均等に注湯することが可能となる。
なお、上述した式(1)の関係は、内径がφ40〜80mmの湯道3または分岐路4に対して成立するものとなっている。また、ランナー3の1本当りの鋳込流量が0.3t/min〜2t/minであって、鋼塊の重量範囲が0.5ton〜50tonとされた場合に成立するものとなっている。
[第2実施形態]
次に、本発明の下注ぎ造塊設備1の第2実施形態を説明する。
図8及び図9に示すように、第2実施形態の下注ぎ造塊設備1は、第1実施形態の下注ぎ造塊設備1が分岐部10に凹部11を形成していたのに対し、分岐部10の上隅が上方に向かって角箱形状に凹んだ角箱部12と、角箱部12と分岐路4との角が丸面取りされた丸面取部13と、を分岐部10に形成したものであり、第1実施形態の凹部11の替わりに角箱部12及び丸面取部13を用いて偏流抑制を行うものとなっている。つまり、第2実施形態の下注ぎ造塊設備1では、角箱部12と丸面取部13とを組み合わして用いており、双方を用いて初めて偏流抑制の効果が得られるものとなっている。
具体的には、角箱部12は、分岐路4と湯道3とが逆T字状に交差した分岐部10に対して、上方に向かって角枡状に抉るように形成された部分である。そして、この角箱部12は、前後左右及び上側の5つ方向に配備された壁面で形成されている。これら5つの壁面のうち、前後左右に形成される側面(側壁面)は、いずれも上下方向に沿うような平坦面として形成されている。前後の側面及び左右の側面はそれぞれ水平方向に距離をあけてほぼ平行に配備されていて、これら4つの側面で四方を囲まれた内部に溶鋼を貯溜可能な空間を形成可能としている。また、これら5つの壁面のうち、上側に形成される上面(上壁面)は、前後左右の4つの側面で囲まれた内部空間の上方を覆うように配備されている。そして、この上面の中央に、角箱部と連通するように分岐路4が上下方向に配備されている。
つまり、上述した5つの壁面で形成される角箱部12は、湯道3が存在する下側のみが下方に向かって開放されており、湯道3を流れてきた溶鋼を下方から内部に引き入れることができる。
上述した丸面取部13は、角箱部12の上面と分岐路4の下端部とが交差しあう部分に形成された曲面状の部分であり、角箱部12に流れ込んだ溶鋼をスムーズに分岐路4に導入(案内)できるようになっている。具体的には、丸面取部13は、角箱部12の上面と分岐路4とが直交する部分に対して、交差部分の角をなくした丸面状の曲面に形成したものとなっている。
ところで、上述した角箱部12及び丸面取部13をどの程度の寸法に形成するかは、偏流を効果的に抑制する上で重要となる。例えば、分岐路4や湯道3の内径に比して角箱部12の寸法Xや丸面取部13の曲率半径Rが相対的に小さすぎると偏流抑制の効果が小さくなってしまう。つまり、角箱部12の寸法Xや丸面取部13の曲率半径Rには、偏流を効果的且つ効率的に抑制する為の最適値が存在する。
具体的には、第2実施形態の下注ぎ造塊設備1では、角箱部12の寸法X、丸面取部13の曲率半径Rを、湯道3及び分岐路4の吐出口側の内径をdとした際に、以下の式(2)のように設定している。
[数4]
d×0.2≦X≦d×0.7
d×0.1≦R≦d×0.5・・・(2)
なお、「角箱部12の寸法X」とは、図9に示すように、分岐路4の内壁面から左右方向(湯道3の形成方向)に沿って離れた角箱部12の側面までの距離である。また、「丸面取部13の曲率半径R」とは、丸面取部13を構成する曲面の曲率半径の中心であり、図例の丸面取部13の場合であれば右側の丸面取部13のさらに右上方に位置している。
上述した式(2)の関係が成り立つような形状の角箱部12及び丸面取部13を設ければ、分岐路4の内側における内周面から引き離された中央側に溶鋼の流れを形成することができ、鋳型5内に溶鋼を均等に注湯することが可能となる。また、角箱部の幅方向の厚み(湯道の伸長方向と直交する方向に沿った幅)については、基本的に湯道径を同じであり、湯道径がφ40〜80mmであるのに対して、角箱部の幅方向の厚みが40〜80mmとそれぞれの湯道径と基本的に対応する。したがって、角箱部の幅方向の厚みが、湯道径よりも幅が大きくなることはないが、逆に小さくなったとしても本発明が奏する作用効果の発現に変化はない。
なお、上述した式(2)の関係も、式(1)と同様に、内径がφ40〜80mmの湯道3または分岐路4に対して成立するものとなっている。また、ランナー3の1本当りの鋳込流量が0.3t/min〜2t/minであって、鋼塊の重量範囲が0.5ton〜50tonとされた場合に成立するものとなっている。
また、丸面取部13の曲率半径Rは、原則として角箱部12の寸法Xを超えることはない。つまり、角箱部12の寸法Xと丸面取部13の曲率半径Rとの間には、X≧Rなる関係が成立する。
さらに、本実施形態の角箱部12は、左右方向の寸法Xと、上下方向の寸法とが等しい例を示すものであるが、左右方向の寸法Xに対して、上下方向の寸法がZ(≠X)となるような形状に形成することもできる。
次に、実施例及び比較例は、容量が40tonの交流アーク式の電気炉でスクラップを溶解し、溶解した溶鋼をEBT方式(偏芯炉底出鋼方式)で出鋼し、出鋼した溶鋼をLF法で成分調整すると共に介在物除去した。さらに、成分調整及び介在物除去が終了した溶鋼については、取鍋6内に装入し脱ガス処理を行った。この取鍋6は蓋で覆われており、内部が70Pa程度の真空状態とされている。また、この取鍋6内部の溶鋼に対しては、Arガスプラグ(底吹き用プラグ)からArガスを吹き込んで、20分間に亘って真空脱水素処理を行っている。このようにして真空脱水素処理が行われた取鍋6の溶鋼は、湯道3及び分岐路4を通って複数の鋳型5に下注ぎ造塊の方式で鋳込まれる。
また、上述した下注ぎ造塊設備1は、注入管2から放射状に4本のランナー3を有しており、それぞれのランナー3には5基の鋳型5が設けられていて、合計で20基の鋳型5で鋳造を行う構成とされている。それぞれの鋳型5内には、型内材(溶鋼被覆剤)が入った袋が吊下状態で設けられている。つまり、溶鋼が鋳型5内に注入され溶鋼の深さが深くなっていくと、湯面が上昇して袋との距離が近くなっていく。
やがて、両者の距離が所定の距離に達した際に、鋳型5内に吊るしてある型内材が入った袋が輻射熱で燃えることで、型内材が溶鋼表面に落下し、溶鋼の湯面に型内材が散布される。この型内材の添加方法は、従来の下注ぎ造塊設備1でも本発明の下注ぎ造塊設備1でも同じである。このようにして添加・散布された型内材は、鋳込中に鋳型5と鋼塊との間に侵入してスラグスキンとなり消費されていくため、溶鋼表面に裸湯が見えた場合には、型内材を追加で装入する場合がある。
このようにして溶鋼が押湯部まで達した際、溶鋼表面(型内材の上部)にボード状の保温材を配備する。そして、所定の位置(湯面高さ)まで鋳込みが終了した後、鋳塊が完全凝固するまで静置し、完全凝固後に脱型して鍛造工程に移行する。
上述した鍛造工程においては、鋼塊を加熱し、所定の丸棒寸法となるまで鍛造、加熱を繰り返し実施する。そして、鍛造後、旋盤にて表層を深さ2mm旋削実施し、黒皮(酸化スケール)を除去した。最後に、超音波探傷試験により、製品形状の介在物検査(皮下介在物検査)を実施した。
上述したように1本のランナー3に5基の鋳型5を備える下注ぎ造塊設備1で鋳造された鋳塊に対して皮下介在物を超音波探傷試験にて調査したところ、取鍋6からの距離が近い側(注入管2側)の鋳塊で皮下介在物が存在することを示すピークが多数検出された。このように超音波探傷試験でピーク検出があった鋳塊は、注入管2側から3本目までの鋳型5であり、それよりも遠い側(注入管2側より4本目以降)の鋳型5で鋳造された鋳塊からはピークの検出が見られなかった。このとき、注入管2側から3本目の鋳型5では、注入口から溶鋼が最大吐出流速0.60m/sで吐出していた。このことから、注入口での溶鋼の最大吐出流速としては0.60m/s以下に制御されるのが好ましいと判断され、これにより鋼塊での介在物の発生、つまり型内材の巻き込みが抑制可能と判断される。
次に、湯道3と分岐路4とがT字状に交差した分岐部10に対して、シミュレーションで分岐部10に発生する溶鋼流動状態の解析を行った。なお、流体解析を行った分岐部10は、ランナー3に設けられる分岐部10のうち、最も取鍋6に近い位置に設けられた鋳型5に溶鋼を分配しているものとなっている。また、流体解析の条件は、以下の表1に従うものとなっている。
また、流体解析の計算条件及び物性値は表2及び表3に示すようなものとなっている。
「第1実施形態の下注ぎ造塊設備に対応した実施例(実施例1〜実施例28)」
上述した流体の解析の条件に基づいて、凹部11を設けていない分岐部10の注入口で発生する溶鋼の最大吐出流速を比較例として求めると共に、曲率半径Xを分岐路4の内径dの0.1倍〜0.7倍に変化させた凹部11を有する分岐部10で発生する溶鋼の最大吐出流速を第1実施形態の実施例として求めた。また、溶鋼の最大吐出流速は、ランナー3を流れる鋳込流速(ランナー鋳込流速)によっても変化するため、通常の鋳込み流量(以降、ベース流量という)を基準として、上述したランナー鋳込流速がベース流量の0.5倍〜3.0倍となるように流速を変えて溶鋼の最大吐出流速を求めた。
なお、溶鋼の最大吐出流速は、湯道3の上面から上方に向かって湯道径Dの2.54倍の位置、実寸であれば127mmの鋳型底部注入口位置で計測されたものを用いた。なお、この最大吐出流速の計測位置は、湯道3の上面から100mm〜200mmの範囲の鋳型底部注入口位置で選ぶのが好ましい。
結果を表4に示す。
表4では、凹部11を備えていない比較例1〜比較例4の分岐部10で発生する最大吐出流速に比して、凹部11を備えた実施例1〜実施例28の分岐部10で発生する最大吐出流速がどの程度の割合になるかを「丸孔最大吐出流速/R付与最大吐出流速」で示した。
表4の結果を見ると、凹部11の曲率半径Xが内径dの0.1倍〜0.7倍とされた実施例1〜実施例28では、「丸孔最大吐出流速/R付与最大吐出流速」は30〜75となっており、最大吐出流速が比較例に比して大きく下がっていることがわかる。
また、湯道を流れる溶鋼の流速に対して、鋳型5の注入口で吐出される最大吐出流速が増加する率も小さくなる。例えば、図6に示すように、湯道を流れる溶鋼の流速を「湯道平均流速」として横軸に採ると伴に、注入口で吐出される最大吐出流速を「吐出口最大流速」として縦軸に採用すると、凹部11が設けられていない比較例1〜比較例4では湯道平均流速に対する最大吐出流速の増加率が大きく、少しでも湯道を流れる流速が大きくなると注入口で吐出される溶鋼の流速も大きくなることがわかる。ところが、凹部11が設けられた実施例1〜実施例28では、最大吐出流速の増加率が小さく、湯道を流れる流速が大きくなっても注入口で吐出される溶鋼の流速はあまり大きくならないことがわかる。
なお、図6に用いた「湯道平均流速」及び「吐出口最大流速」は、図7に示す位置での溶鋼の流速であり、表5に示すような定義に従うものとなっている。
以上のことから、凹部11の曲率半径Xが内径dの0.1倍〜0.7倍となるような形状の凹部11を分岐部10に設けた場合には、鋳型5の注入口での偏流発生と型内材の巻き込みを効果的に抑制でき、健全且つ高清浄な鋼塊を簡便な設備構成を用いて低コストで製造することができると判断される。
なお、最大度出流速が0.60m/s以上の範囲であっても、最大吐出流速を従来よりも低減することにより、従来切り捨てられていた鋼塊底部の溶鋼被覆剤巻き込み範囲の切捨て重量を少なくできる効果がある。つまり、最大吐出流速の低減は下注ぎ造塊によって非常に重要であり、最大度出流速が0.6m/s以下でなくとも、極力低減することで鋼材の歩留まり向上効果がある。そこで、表に関しては0.60m/s以上の範囲も本願発明に含まれるものと扱っている。
「第2実施形態の下注ぎ造塊設備に対応した実施例(実施例29〜実施例52)」
上述した流体の解析の条件に基づいて、角箱部12及び丸面取部13を設けていない分岐部10の注入口で発生する溶鋼の最大吐出流速を比較例として求めると共に、角箱部12の寸法Xを分岐路4の内径dの0.2倍〜0.7倍、丸面取部13の曲率半径Rを内径dの0.1倍〜0.5倍に変化させた分岐部10で発生する溶鋼の最大吐出流速を第2実施形態の実施例として求めた。
なお、溶鋼流動状態の解析条件、計算条件、及び物性値などは第1実施形態と同様に表1〜表3に従うものとなっている。溶鋼の最大吐出流速は、第1実施形態の実施例1〜実施例28と同様に、通常の鋳込み流量(以降、ベース流量という)を基準として、上述したランナー鋳込流速がベース流量の0.5倍〜3.0倍となるように流速を変えて溶鋼の最大吐出流速を求めた。
また、溶鋼の最大吐出流速は、湯道3の上面から上方に向かって湯道径Dの2.54倍の位置、実寸であれば127mmの鋳型底部注入口位置で計測されたものを用いた。なお、この最大吐出流速の計測位置は、湯道3の上面から100mm〜200mmの範囲の鋳型底部注入口位置で選ぶのが好ましい。
結果を表6に示す。
表6では、角箱部12も丸面取部13も備えていない比較例5〜比較例8の分岐部10、及び角箱部12は備えていても丸面取部13は備えていない比較例9〜比較例20の分岐部10でそれぞれ発生する溶鋼の最大吐出流速に比して、角箱部12と丸面取部13との双方を備えた実施例29〜実施例52の分岐部10で発生する最大吐出流速がどの程度の割合になるかを「丸孔最大吐出流速/R付与最大吐出流速」で示している。
表6の結果を見ると、角箱部12の寸法Xが内径dの0.2倍〜0.7倍とされると共に、丸面取部13の曲率半径Xが内径dの0.1倍〜0.5倍とされた実施例29〜実施例52では、「丸孔最大吐出流速/R付与最大吐出流速」は30〜75となっており、最大吐出流速が比較例に比して大きく下がっていることがわかる。
また、湯道3を流れる溶鋼の流速に対して、鋳型5の注入口で吐出される最大吐出流速が増加する率も小さくなる。
例えば、図12に示すように、湯道3を流れる溶鋼の流速を「湯道平均流速」として横軸に採ると伴に、注入口で吐出される最大吐出流速を「吐出口最大流速」として縦軸に採用すると、角箱部12も丸面取部13も備えていない比較例5〜比較例8(図の凡例の「丸孔」)、及び角箱部12は備えていても丸面取部13は備えていない比較例9〜比較例20(図の凡例の「15角」、「25角」、「35角」)では湯道平均流速に対する最大吐出流速の増加率が大きく、少しでも湯道3を流れる流速が大きくなると注入口で吐出される溶鋼の流速も大きくなることがわかる。ところが、角箱部12と丸面取部13との双方を備える実施例29〜実施例52(図の凡例の「15角R10」、「25角R10」、「35角R10」)では、湯道平均流速に対する最大吐出流速の増加率が小さく、湯道3を流れる流速が大きくなっても注入口で吐出される溶鋼の流速はあまり大きくならないことがわかる。
また、図13に示すように、寸法Xが25と一定にされた角箱部12において、丸面取部13の曲率半径Rを「R5(図中の「25角R5」に相当)」〜「R20(図中の「25角R20」に相当)」とした場合を考える。この場合には、丸面取部13が設けられていない、言い換えれば曲率半径が「R0(図中の「25角」に相当)」の比較例5〜比較例20に対して、最大吐出流速の増加率が小さく、湯道3を流れる流速が大きくなっても注入口で吐出される溶鋼の流速はあまり大きくならないことがわかる。
なお、表6に用いた「湯道平均流速」及び「吐出口最大流速」も、表5に示す第1実施形態と同様な定義に従うものとなっている。
以上のことから、上述した実施例29〜実施例52に示すように、寸法Xが内径dの0.2倍〜0.7倍となるような角箱部12と、曲率半径Xが内径dの0.1倍〜0.5倍となるような丸面取部13を分岐部10に設けた場合には、鋳型5の注入口での偏流発生と型内材の巻き込みを効果的に抑制でき、健全且つ高清浄な鋼塊を簡便な設備構成を用いて低コストで製造することができると判断される。
なお、最大度出流速が0.60m/s以上の範囲であっても、最大吐出流速を従来よりも低減することにより、従来切り捨てられていた鋼塊底部の溶鋼被覆剤巻き込み範囲の切捨て重量を少なくできる効果は、第1実施形態同様に発揮される。つまり、最大吐出流速の低減は下注ぎ造塊によって非常に重要であり、最大度出流速が0.6m/s以下でなくとも、極力低減することで鋼材の歩留まり向上効果がある。そこで、表6に関しても表5と同様に0.60m/s以上の範囲も本願発明に含まれるものと扱っている。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 下注ぎ造塊設備
2 注入管
3 湯道
4 分岐路
5 鋳型
6 取鍋
7 台盤
8 貫通孔
9 注入ノズル
10 分岐部
11 凹部
12 角箱部
13 丸面取部

Claims (6)

  1. 湯道からT字状に分岐した分岐路に溶鋼を導き入れて、当該分岐路の先にある鋳型に溶鋼を注入して造塊を行う造塊設備であって、
    前記湯道から分岐路が上方に向かってT字状に分岐している分岐部には、上方に向かって曲面状に凹んだ凹部が形成されており、
    前記凹部の曲面の曲率半径をXとし、前記湯道の内径をdとした際に、前記曲率半径Xと内径dとの間に、以下の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする下注ぎ造塊設備。[数1]
    d×0.1≦X≦d×0.7 ・・・(1)
  2. 前記湯道には、当該湯道における溶鋼の流れ方向に沿って少なくとも2基以上の鋳型が並んで配設されており、
    前記凹部が、前記溶鋼の流れ方向における上流側に配設された鋳型に溶鋼を分岐する分岐部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の下注ぎ造塊設備。
  3. 前記凹部は、前記湯道における溶鋼の流れ方向に対して、前記分岐部における流れ方向の下流側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の下注ぎ造塊設備。
  4. 湯道からT字状に分岐した分岐路に溶鋼を導き入れて、当該分岐路の先にある鋳型に溶鋼を注入して造塊を行う造塊設備であって、
    前記湯道から分岐路が上方に向かってT字状に分岐している分岐部には、当該分岐部の上隅が上方に向かって角箱形状に凹んだ角箱部と、角箱部と分岐路との角が丸面取りされた丸面取部と、が形成されており、
    前記角箱部の湯道に沿った寸法をX、前記丸面取部の曲率半径をR、前記湯道及び分岐路の吐出口側の内径をdとした際に、前記角箱部の寸法X、前記丸面取部の曲率半径R、前記内径dとの間に、以下の式(2)の関係が成り立つことを特徴とする下注ぎ造塊設備。
    [数2]
    d×0.2≦X≦d×0.7
    d×0.1≦R≦d×0.5・・・(2)
  5. 前記湯道には、当該湯道における溶鋼の流れ方向に沿って少なくとも2基以上の鋳型が並んで配設されており、
    前記角箱部及び丸面取部が、前記溶鋼の流れ方向における上流側に配設された鋳型に溶鋼を分岐する分岐部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の下注ぎ造塊設備。
  6. 前記角箱部及び丸面取部は、前記湯道における溶鋼の流れ方向に対して、前記分岐部における流れ方向の下流側に形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の下注ぎ造塊設備。
JP2017154260A 2016-09-29 2017-08-09 下注ぎ造塊設備 Active JP6818980B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191109 2016-09-29
JP2016191109 2016-09-29

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018058109A true JP2018058109A (ja) 2018-04-12
JP6818980B2 JP6818980B2 (ja) 2021-01-27

Family

ID=61909313

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017154260A Active JP6818980B2 (ja) 2016-09-29 2017-08-09 下注ぎ造塊設備

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6818980B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114082893A (zh) * 2020-08-24 2022-02-25 本田技研工业株式会社 铸造用模具

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114082893A (zh) * 2020-08-24 2022-02-25 本田技研工业株式会社 铸造用模具
CN114082893B (zh) * 2020-08-24 2024-04-26 本田技研工业株式会社 铸造用模具

Also Published As

Publication number Publication date
JP6818980B2 (ja) 2021-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101168195B1 (ko) 강의 연속 주조 방법
JP4772798B2 (ja) 極低炭素鋳片の製造方法
EP2092998B1 (en) Molten metal continuous casting method
JP2007090424A (ja) 連続鋳造用タンディッシュ
JP2018058109A (ja) 下注ぎ造塊設備
JP5867531B2 (ja) 連続鋳造による高清浄度鋼鋳片の製造方法
JP2018051598A (ja) 下注ぎ造塊設備
JP2017177178A (ja) 連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法
CN203030884U (zh) 一种连铸用多孔式浸入式水口
JP6188632B2 (ja) 下注ぎ造塊方法
JPH04224060A (ja) 連続鋳造用誘導加熱タンディッシュ
JP7332885B2 (ja) 溶融金属の連続鋳造方法及び連続鋳造装置
JP5206591B2 (ja) 連続鋳造用タンディッシュ
JP5206584B2 (ja) 連続鋳造用タンディッシュ及び連続鋳造方法
JP6188642B2 (ja) 下注ぎ造塊方法
JP6497200B2 (ja) ストリップ鋳造装置用浸漬ノズルおよびストリップ鋳造装置
JP5673162B2 (ja) 連続鋳造方法および連続鋳造装置
Gushchin et al. Technical solutions for controlling flows of melts in the tundishes of continuous casters.
JP3573096B2 (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
WO2023190017A1 (ja) 浸漬ノズル、鋳型および鋼の連続鋳造方法
KR102033642B1 (ko) 용융물 처리 장치
JP6192604B2 (ja) 取鍋操業方法
JPH04238658A (ja) 連続鋳造用浸漬ノズル
KR101969105B1 (ko) 노즐
JP6668567B2 (ja) 連続鋳造用タンディッシュ、及びそのタンディッシュを用いた連続鋳造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200904

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6818980

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150