JP5777603B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュを用いて鋳造を行う連続鋳造方法に関する。
従来より、連続鋳造設備では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給することで、溶鋼を連続的に鋳造している。連続鋳造設備に用いられるタンディッシュとしては、平面視でT型形状を有するT型タンディッシュがあり、このT型タンディッシュは、アルミナ系介在物等の脱酸生成物や耐火物の剥離によって溶鋼内に混入した外来系介在物を浮上させる機能を有している。
このようなT型タンディッシュやT型タンディッシュを用いた鋳造方法として、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1のタンディッシュは、取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュであって、取鍋からの溶鋼が装入される注入室と、この注入室の溶鋼を鋳型に装入する分配室と、注入室と分配室とを仕切る仕切堰と、仕切堰に設けられて注入室の溶鋼を分配室に流す湯道とを有している。
特許文献2のタンディッシュは、内部に設けられた堰(タンディッシュ堰)が台形状をなし、耐火物で作られており、その底辺を上にしてタンディッシュ内に設置されていて、当該タンディッシュ堰の面(側壁)に複数の溶鋼流通孔が形成されている。
特許文献3の連続鋳造方法では、湯落ち部の溶鋼の湯面にスカムを浮上させ、該スカムの浮上した湯面をタンディッシュの分配部との境界の大堰に設けた通路に設けた通路より高く位置させることにより、湯落ち部の湯面に浮上したスカムが溶鋼と共に分配部へ移動することを阻止し、溶鋼のみを分配部に移動させることにより、分配部からモールドへ注湯する溶鋼中へのスカムの巻き込みをなくしつつ、溶鋼をモールドに鋳込んでいる。
上述した特許文献1〜3は、タンディッシュ内の溶鋼にガスを吹き込まずに鋳造を行うものであるが、溶鋼にガスを吹き込んで鋳造を行うものとして特許文献4、5に示すものがある。
特許文献4では、タンディッシュ底面のタンディッシュ側壁と前記仕切り壁に挟まれた実質的全面に複数の上向きの貫通孔を備えたガス分散体を設け、ガス分散体より均一な不活性ガスの気泡を溶鋼中に吹き込むこととしている。
特許文献5では、アルゴンと溶鋼に溶解可能な非酸化性ガスとの混合ガスをタンディッシュ内の溶鋼中に吹き込みながら、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型内に注湯している。
この特許文献4及び5の他に、タンディッシュの溶鋼にガスを吹き込んで鋳造する技術として、特許文献6及び7がある。
特開2008−264859号公報 特開昭63−072452号公報 特開2007−326118号公報 特開平06−007904号公報 特開2004−066335号公報 特開2002−011555号公報 特開昭58−058965号公報
特許文献1〜3に示すように、T型タンディッシュやT型タンディッシュを用いた連続鋳造方法が開示されているが、このような技術を用いて操業を行った場合でも、溶鋼内の介在物が鋳型に流入してしまうことが現場の実績として挙がってきており、T型タンディ
ッシュや当該T型タンディッシュを用いた連続鋳造方法について、改善や改良を行う必要があった。
そこで、特許文献4〜7に示すように、タンディッシュ内の溶鋼にガスを吹き込むことにより、介在物を浮上させて溶鋼中への介在物の巻き込みを抑制することも考えられるが、本発明が対象としているタンディッシュは、注入室、分配室に加え、溶鋼を滞留させる滞留室を備えるものであって、このような構成を有するタンディッシュにおけるガス吹き込みの条件を特許文献4〜7は開示するものとはなっていない。つまり、特許文献4〜7に開示されたいずれのタンディッシュは溶鋼を滞留させる滞留室を具備しておらず、特許文献4〜7の技術を用いて溶鋼にガスを吹き込んだとしても十分に介在物を浮上させることができないのが実情である。
そこで、本発明では、T型タンディッシュを用いて鋳造を行うに際し、介在物を十分に浮上することができる連続鋳造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明の連続鋳造方法は、取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュを用いて鋳造を行う連続鋳造方法であって、前記T型タンディッシュは、前記取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記溶鋼を鋳型に装入する分配室と、前記注入室からの溶鋼を滞留させると共に前記分配室に溶鋼を装入する滞留室と、前記注入室と滞留室とを仕切る第1仕切堰と、前記滞留室と分配室とを仕切る第2仕切堰とを備え、前記第1仕切堰には、前記注入室から滞留室へ溶鋼を通す第1流通孔を設け、前記第2仕切堰には、前記滞留室から分配室に溶鋼を通す第2流通孔を設け、前記滞留室の底部には、溶鋼にガスを吹き込むガス吹き込み部を設けており、前記第1流通孔に関し、当該第1流通孔の上端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.4以下の位置に設定し、第1仕切堰の基準深さ面積に対する当該第1流通孔の断面積の比を0.04以上0.15以下とし、第1流通孔の穿孔角度を、水平方向を基準として流通方向に対して下向きに20deg以上45deg以下としておき、前記第2流通孔に関し、前記第2流通孔の上端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.6以下の位置に設定し、第2流通孔の下端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.2以上の位置に設定し、第2仕切堰の基準深さ面積に対する当該第2流通孔の断面積の比を0.03以上0.09以下とし、第2流通孔の穿孔角度を水平方向を基準として流通方向に対して上向きに20deg以上45deg以下とし、前記ガス吹き込み部に関し、前記滞留室の前壁から前記第1仕切堰までの奥行き方向の距離x1と前記滞留室の前壁からガス吹き込み部の奥行き方向の端部までの距離x2との関係を「x2/x1≦0.25」とし、前記第2仕切堰間の幅方向の距離y1とガス吹き込み部の幅方向の距離y2との関係を「0.5≦y2/y1≦1.0」とし、前記第2仕切堰間の幅方向の距離y1とガス吹き込み部の幅方向の中心位置y3と前記第2仕切堰間の幅方向の中心位置y4との関係を「0≦|y3−y4|/y1≦0.1」としておき、前記ガス吹き込み部から溶鋼内へ吹き込むガス流量を式(1a)及び式(1b)を満たすようにし且つ、ガス吹き込み部の単位面積当たりの流量を0.0008NL/min以下とし、前記T型タンディッシュにおけるストランドの合計スループットを、3.5〜5.2ton/minで鋳造することを特徴とする。
本発明の連続鋳造方法によれば、T型タンディッシュを用いて鋳造を行うに際し、介在
物を十分に浮上させることが可能となる。特に、多くの溶鋼を短時間で鋳造する場合、即ち、溶鋼のスループットが大きい場合であっても、鋳型に流入する介在物を低減させることができる。
連続鋳造装置の概念図である。 T型タンディッシュの平面図及び正面断面図である。 第1仕切堰を説明する説明図である。 溶鋼の流れを示す説明図である。 第1仕切堰の基準深さ面積及び第1流通孔の断面積を説明する説明図である。 第2仕切堰を説明する説明図である。 T型タンディッシュの平面図及び正面断面図である。 ガス吹き込み部の拡大平面図である。 (a)はガス吹き込み部の拡大側面図であり、(b)は比較例とT型タンディッシュの拡大側面図である。 水モデルにおける実験結果を示した図である。 実機における溶鋼スループット量とArガスの吹き込み量との関係を示した図である。 第1仕切堰の第1流通孔、第2仕切堰の第2流通孔及びガス吹き込み部の配置を示した配置図である。
本発明の連続鋳造方法について図を基に説明する。
本発明の連続鋳造方法は、取鍋内の溶鋼をT型タンディッシュに装入(注入)し、当該T型タンディッシュに装入した溶鋼を鋳型に装入することによって鋳造を行うものである。
図1は、T型タンディッシュ及び鋳型を備えた連続鋳造設備を示したものである。まず、連続鋳造設備について説明する。図1に示すように、連続鋳造装置1は、溶鋼を連続的に鋳造する鋳造装置であって、溶鋼2を一時的に貯留するT型タンディッシュ3と、このT型タンディッシュ3からの溶鋼2が供給される鋳型4と、この鋳型4により成型された鋳片を引き出すと共に、鋳片をサポートする複数のサポートロール5とを有している。
T型タンディッシュ3は、平面視でT型の形状であって且つ全体として有底箱形となっており、T型タンディッシュ3の底部に溶鋼を注入する注入口6が設けられ、この注入口6に浸漬ノズル7が接続されている。浸漬ノズル7は、スライドバルブ8により開閉可能となっており、スライドバルブ8の開閉によりT型タンディッシュ3による鋳型4への溶鋼2の注入が停止又は再開できるようになっている。
連続鋳造装置1では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼2を取鍋によってT型タンディッシュ3まで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼2をT型タンディッシュ3へ注入後、スライドバルブ8を開くと共に、鋳型4内の溶鋼2を連続的に鋳造することができるようになっている。この連続鋳造装置1では、同じ鋼種の溶鋼2を連続的に数チャージ鋳造したり、鋼種の異なる溶鋼2を連続的に鋳造することができる。
次に、T型タンディッシュ3の構成について、詳しく説明する。説明の便宜上、図2(a)に示すように、T型タンディッシュを平面視した状態において、図2(a)の下側を前側といい、図2(a)の上側を後側といい、図2(a)の左右を左右という。また、左右方向を幅方向といい、前後方向を奥行き方向ということがある。
図2は、T型タンディッシュの平面図及び正面断面図を示したものである。
図2に示すように、T型タンディッシュ3は、取鍋9からの溶鋼2が注入される注入室10と、溶鋼2を鋳型4に装入する分配室11と、注入室10からの溶鋼2を滞留させると共に分配室11に溶鋼2を装入する滞留室12とを備えている。T型タンディッシュ3において、注入室10は、左右方向の略中央部に位置し、この注入室10の前側に滞留室12が位置し、滞留室12の左右両側に分配室11が位置している。
さらに詳しくは、T型タンディッシュ3は、平面視でT形状となる底壁15と、この底
壁15の前側から立ち上がる前壁16と、この前壁16の左右両端側であって底壁15から立ち上がる左右一対の第1側壁17,17と、前壁16の後側であって底壁15の前後中途部から立ち上がり第1側壁17,17に連結する左右一対の第1後壁18,18と、第1後壁18、18の左右方向内側の端部側であって底壁15から立ち上がる左右一対の第2側壁19、19と、各第2側壁19、19の間に配置され底壁15の後側から立ち上がる第2後壁20、20とから構成されている。
注入室10は、左右一対の第2側壁19、19と、第2後壁20、20と、底壁15とで囲むことにより構成されている。各第2側壁19、19の前側には、当該注入室10と滞留室12とを仕切る第1仕切堰30が設けられている。分配室11は、前壁16と、左右一対の第1側壁17、17と、第1後壁18、18と、底壁15とで囲むことにより構成されている。各第2側壁19、19の前側には当該分配室11と滞留室12とを仕切る第2仕切堰31が設けられている。この実施形態では、1つの注入室10につき、2つの浸漬ノズル7が設けられている。滞留室12は、第1仕切堰30と、第2仕切堰31と、前壁16と、底壁15とで囲むことにより構成されている。
本発明では、上述したT型タンディッシュ3において、特に、第1仕切堰30の構造、第2仕切壁31の構造を工夫したうえで、T型タンディッシュ3内の溶鋼2を鋳型4に装入(注入)するスループットを所定値にすることにより、当該T型タンディッシュ3内での介在物の浮上分離を促進することとしている。
次に、第1仕切堰30及び第2仕切堰31について詳しく説明する。
まず、第1仕切堰30について説明する。
図2〜5に示すように、第1仕切堰30は、正面視で(前側から視て)、上端が左右方向に長く下端が左右方向に短い台形状に形成されたものである。この第1仕切堰30には、注入室10の溶鋼2を滞留室12へ通す第1流通孔33が複数設けられている。
詳しくは、図3(a)に示すように、第1仕切堰30を正面視したとき、当該第1仕切堰30の下側であって左右方向(幅方向ともいう)に、3つの第1流通孔33aが並べて穿設されている。また、第1流通孔33aの上側に、他の3つの第1流通孔33bが左右方向に並べて穿設され、第1流通孔33aと第2流通孔33bとは、千鳥状(中心が左右方向にずれて)に設置されている。
さて、複数の第1流通孔33a、33bのうち、最も上側に位置する第1流通孔33bの高さは、所定以下に設定されている。詳しくは、図3(a)に示すように、T型タンディッシュ3の底部34(底壁15の上面)からの溶鋼の深さを「基準深さ=1.0」とした場合、第1流通孔33の上端(最も上側に位置する第1流通孔33bの上側の縁)は、基準深さの0.4以下の位置となるように設定している。
また、各第1流通孔33a、33bの水平方向を向く基準線に対する穿孔角度θ1を所定範囲とし、当該各第1流通孔33a、33bの向きを流通方向(注入室10から滞留室12へ溶鋼を流す方向)に対して下向きにしている。詳しくは、図3(b)に示すように、水平方向に引き伸ばした水平方向の基準線L1と、各第1流通孔33a、33bとのなす角(穿孔角度θ1)を20deg以上45deg以下とし、且つ、各第1流通孔33a、33bの向きを流通方向に対して下向きにしている。
このように、各第1流通孔33a、33bの穿孔角度θ1を20deg以上45deg以下とし、当該第1流通孔33a、33bを流通方向に対して下向きにした場合、同図の矢印Aに示すように、注入室10から第1流通孔33a、33bを通って滞留室12に入った溶鋼2は、同図の矢印Aに示すように、タンディッシュ3の底部34に向けて斜めに進みつつ、前壁16に当たって上昇するため、介在物は分離浮上し易くなる。
一方、各第1流通孔33a、33bの穿孔角度θ1が20deg未満であり、図4(a)に示すように、例えば、穿孔角度θ1が0degの場合、第1流通孔33a、33bを通って滞留室12に入った溶鋼2は、タンディッシュ3の前壁16に向けて直進し易くなると共に、側面視で第2仕切堰31に設けた第2流通孔35とオーバラップする部分を通過し易くなる。そのため、滞留室12に入った溶鋼2が当該滞留室12内で滞留せずに、第2流通孔35を通って分配室11に入り、介在物が分配室11に流出し易くなる。
また、各第1流通孔33a、33bの穿孔角度θ1が45degを超えている場合、穿孔角度θ1の角度が大きすぎるため、第1流通孔33a、33bにおいて溶鋼の入側や出側の耐火物の厚みが薄くなり(入側や出側の耐火物が尖った状態になる)、第1流通孔33a、33bを構成する耐火物が欠損し易くなる。
また、第1流通孔33a、33bが上向きであると、図4(b)に示すように、第1流通孔33を通って滞留室12に入った溶鋼2は、上向きに上昇しながら進み前壁16に当たってさらに上側に進むもの(矢印A1)と、上向きに上昇しながら進み前壁16に当たって下側に向きを変えて進むもの(矢印A2)とに分かれてしまい、特に、下向きに流れる溶鋼(A2)の介在物は、浮上し難くなる。このようなことから、第1流通孔33a、33bは、下向きにしている。
以上をまとめると、第1流通孔33の上端を基準深さの0.4以下の位置に設定し、第1流通孔33の垂直方向での穿孔角度θ1を流通方向に対して下向きに20deg以上45deg以下としている。
さらに、本発明では上述したように、第1流通孔33a、33bの上端の位置及び穿孔角度θ1を設定するのに加えて、第1仕切堰30の面積(溶鋼浸漬面積、後述する基準深さ面積)に対する第1流通孔33(33a、33b)の総断面積の比を所定範囲内にしている。詳しくは、図5(a)に示すように、第1仕切堰30を正面視した状態において、当該第1仕切堰30が溶鋼に浸漬する浸漬部の面積、即ち、第1仕切堰30の下端部から基準高さまでの面積[(図5(a)のグレーの面積)]をS0(基準深さ面積)とし、図5(b)に示すように、第1仕切堰30を正面視した状態において、第1流通孔33の総断面積[各第1流通孔33の断面積を積算した値であって図5(b)のグレーの面積]をS1とし、これら総断面積をS1と基準深さ面積S0との比(S1/S0)を断面積比としたとき、断面積比は0.04以上0.15以下としている。
言い換えれば、即ち、第1仕切堰30の基準深さ面積S0に対する当該第1流通孔の断面積S1の面積比S1/S0は、0.04以上0.15以下としている。なお、図5(a)に示すように、基準深さ面積S0は、第1流通孔33の断面積も含んだ値としている。
次に、第2仕切堰31について説明する。
図2、6に示すように、第2仕切堰31は、側面視で(図2(b)の右側乃至は左側から視て)上端が左右方向に長く下端が左右方向に短い台形状に形成されたものである。この第2仕切堰31には、滞留室12の溶鋼2を分配室11へ通す第2流通孔35が複数設けられている。係る構造は第1仕切堰30と略同様である。
図6(a)に示すように、第2仕切堰31を側面視したとき、当該第2仕切堰31の下側であって左右方向に3つの第2流通孔35aが並べて穿設されている。また、第2流通孔35aの上側に、他の3つの第2流通孔35bが左右方向に並べて穿設され、第2流通孔35aと第2流通孔33bとは、千鳥状に設置されている。
複数の第2流通孔35a、35bのうち、最も上側に位置する第2流通孔35bの高さは、所定以下に設定されている。詳しくは、図6(a)に示すように、第2流通孔35の上端(最も上側に位置する第2流通孔35bの上側の縁)は、基準深さの0.6以下の位置に設定している。また、第2流通孔35の上端(最も下側に位置する第2流通孔35bの上側の縁)は、基準深さの0.2以上の位置に設定している。
また、各第2流通孔35a、35bの水平方向を向く基準線に対する穿孔角度θ2は所定範囲であり、且つ、当該各第2流通孔35a、35bの向きは、第1流通孔33a、33bとは異なり、上向きにしている。詳しくは、図6(b)に示すように、水平方向の基準線L2と、各第2流通孔35a、35bとのなす角(穿孔角度θ2)は、20deg以上45deg以下であり、各第2流通孔35a、35bの向きは流通方向(滞留室12から分配室11へ溶鋼を流す方向)に対して上向きになっている。
図6(b)に示すように、各第2流通孔35a、35bの穿孔角度θ2を20deg以上45deg以下とし、当該第2流通孔35a、35bを上向きにした場合、滞留室12から第2流通孔35a、35bを通って分配室11に入った溶鋼2は、タンディッシュ3の幅方向に進みながら上側に向けて斜めに進む(浸漬ノズル7から離れるように進む)た
め、介在物は分離浮上し易くなる。即ち、分配室11に入った溶鋼2は、直ちに浸漬ノズル7に向かうのではなく、一旦浸漬ノズル7から離れた後に、当該浸漬ノズル7に到達する。
一方、各第2流通孔35a、35bの穿孔角度θ2が20deg未満である場合、第2流通孔35a、35bを通って滞留室12に入った溶鋼2は、分配室11内を左右方向に直線状に進みやすくなるため、浸漬ノズル7に直ちに入りやすくなり、介在物が鋳型4に入り易い。特に、第2流通孔35a、35bが下向きの場合は、第2流通孔35a、35bを通って滞留室12に入った溶鋼2は、浸漬ノズル7に直接入り易くなる。
また、各第2流通孔35a、35bの穿孔角度θ2が45degを超えている場合、第1流通孔33a、33bの穿孔角度θ1と同様に、穿孔角度の角度が大きすぎるため、第2流通孔35a、35bにおいて溶鋼の入側や出側の耐火物の厚みが薄くなり、第2流通孔35a、35bを構成する耐火物が欠損し易くなる。
以上をまとめると、第2流通孔35の上端を基準深さの0.6以下とし、且つ、第2流通孔35の下端を基準深さの0.2以上とし、第2流通孔35の水平方向に対する穿孔角度θ2を流通方向に対して上向きであって20deg以上45deg以下としている。
さて、第2流通孔35a、35bにおいても第1流通孔33a、33bと同様に、第2仕切堰31の面積(基準深さ面積)に対する第2流通孔35(35a、35b)の面積比を規定している。詳しくは、第2仕切堰31を正面視した状態において、当該第2仕切堰31が溶鋼に浸漬する浸漬部の面積、即ち、第2仕切堰31の下端部から基準高さまでの面積である基準深さ面積をS3とし、第2流通孔35の総断面積をS4としたとき、これら総断面積S4と基準深さ面積S3との断面積比は0.03以上0.09以下としている。即ち、第2仕切堰31の基準深さ面積S3に対する当該第2流通孔35の断面積S4の面積比S4/S3は、0.03以上0.09以下としている。なお、基準深さ面積S3は、基準深さ面積S0と同じように、第2流通孔35の断面積も含んだ値としている。
上述したように、本発明では、第1仕切堰30、第2仕切堰31及び滞留室12を設けたうえで、第1流通孔33及び第2流通孔35の配置を上述したようにすることにより、溶鋼内の介在物が浮上し易いようにしている。さらに、本発明では、滞留室12内に溶鋼にガスを吹き込むガス吹き込み部40を設けることにより、介在物の浮上を促進している。次に、ガス吹き込み部40について詳しく説明する。説明の便宜上、タンディッシュの幅方向をy軸方向(y軸)とし、幅方向に直交する奥行き方向をx軸方向(x軸)とする。
図7に示すように、ガス吹き込み部40は、方形或いは丸状に形成され、平面視で滞留室12の底壁15に設けられている。ガス吹き込み部40を平面視すると、当該ガス吹き込み部40は、図7(a)に示すように、滞留室12内であって左側の第2仕切堰31と右側の第2仕切堰31との間に設けられている。
ここで、第2仕切堰間31、31の幅方向の距離(滞留室12の幅)を「y1」、ガス吹き込み部40の左端(ガス吹き込み部40の幅方向の一端)からガス吹き込み部40の右端までの距離を「y2」とすると、これらの幅比(y2/y1)は、「0.5≦y2/y1≦1.0」を満たすように設定されている。言い換えれば、ガス吹き込み部40の幅方向の長さは、滞留室12の幅方向の長さの0.5倍以上1.0倍以下に設定されている。ガス吹き込み部40の幅方向の長さ(距離)y2と、滞留室12の幅方向の長さy1との幅比(y2/y1)が0.5未満である場合、ガス吹き込み部40の吹き込み幅が狭すぎるため、滞留室12の底部16からガスを吹き込んだとしても十分に介在物を浮上することができない。それゆえ、上述したように、ガス吹き込み部40の幅方向の長さを、滞留室12の幅方向の長さの半分以上、滞留室12の幅方向の長さまでとしている。なお、図7(c)に示すように、ガス吹き込み40を丸形で形成した場合、ガス吹き込み部40の幅方向の長さy2は、最も左側にあるガス吹き込み部40aから最も右側にあるガス吹き込み部40bまでの長さである。
また、図8に示すように、ガス吹き込み部40を平面視したとき、当該ガス吹き込み40の幅方向の中心(幅方向中心部)C1は、滞留室12の幅方向中心部(第2仕切堰31
間の中心)C2とずれていてもよい。具体的には、図8(a)に示すように、ガス吹き込み部40の幅方向中心部C1の位置(中心位置y3)と、滞留室12の幅方向中心部(第2仕切堰31間の幅方向の中心)C2の位置(中心位置y4)との差(絶対値)である「|y3−y4|」を、滞留室12の幅方向の長さy1で正規化し、正規化した値が「0≦|y3−y4|/y1≦0.1」の範囲に入るように、ガス吹き込み部40の幅方向中心部C1の位置は設定されている。言い換えれば、ガス吹き込み部40の幅方向中心部C1は、滞留室12の幅方向の長さy1の10%程度であれば、滞留室12の幅方向の幅方向中心部C2に対してずれていてもよい。図8(b)に示すように、ガス吹き込み部40の幅方向中心部C1が、滞留室12の幅方向中心部C2と大きくずれ、「|y3−y4|/y1>0.1」となってしまう場合、ガス吹き込み部40で吹き込んだガスと介在物との接触効率が悪くなり、ガスを吹き込んだとしても十分に介在物を浮上することができない。
さて、ガス吹き込み部40を側面視した場合、図7(b)に示すように、当該ガス吹き込み部40は、滞留室12を構成する前壁16側に設けられている。詳しくは、ガス吹き込み部40は、前壁16の直後から第1仕切堰30に向けて奥行き方向(前後方向)にも延設されており、滞留室12の前壁16から第1仕切堰30までの奥行き方向の距離を「x1」とし、滞留室12の前壁16からガス吹き込み部40の奥行き方向の端部までの距離を「x2」としたとき、これらの奥行き比(x2/x1)は、0.25以下となるように、ガス吹き込み部40における奥行き端部の位置を設定している。即ち、前壁16から第1仕切堰30へ向けて延びるガス吹き込み部40の状態を考えたとき、最も第1仕切堰30に近接するガス吹き込み部40の奥行き方向の端部は、滞留室12の奥行きの長さに対して1/4を超えない位置に設定されている。言い換えれば、ガス吹き込み部40の奥行き方向を見たとき、前壁16から滞留室12の奥行きの長さの1/4となる領域に、ガス吹き込み部40が設けられている。
図9(a)に示すように、「x2/x1≦0.25」を満たす場合、第1流通孔から滞留室12へ入り前壁16へと進む溶鋼は、前壁16の近傍でガス吹き込み部40から吹き込んだガス(例えば、Arなどの不活性ガス)の上昇に応じて、前壁16に沿って上昇する。そのため、溶鋼が第2流通孔35へ入るまえに、滞留室12内で介在物がさらに浮上し易くなる。一方、図9(b)に示すように、「x2/x1≦0.25」を満たさず、ガス吹き込み部40が第1仕切堰3近傍に位置する場合、第1流通孔から滞留室12に斜めに入り下側に向かおうとする溶鋼は、吹き込みガスによって強制的に上昇させられるため、図9(a)の如く溶鋼が前壁16に沿って時計回りに回転しにくくなり、介在物の浮上効果が低下してしまう。
以上のように、ガス吹き込み部40に関しては、幅比y2/y1を0.5以上1.0以下とし、奥行き比x2/x1を0.25以下とし、さらに、吹き込み部40の幅方向中心部C1と滞留室12の幅方向中心部C2とのズレを滞留室12の長さの10%以下としている。
このように、ガス吹き込み部40によってガスを吹き込むにあたっては、そのガス流量を、式(1a)及び式(1b)を満たすようにし且つ、ガス吹き込み部40の単位面積当たりの流量を0.0008NL/min以下とている。
式(1a)及び式(1b)は、水モデルの実験により求めたものである。水モデルは、
溶鋼の代わりに水を用い、介在物の代わりにフロービーズを用いて、介在物(フロービーズ)の流出を評価するものである。なお、水モデルの詳細については、後ほど説明する。
ガス吹き込み部40から溶鋼へ吹き込むガス流量を設定するに際し、ガス流量とガス吹き込み部40の形状との関係を明らかにすべく様々な実験を行った。実際のT型タンディッシュ3の大きさの1/3である実験用のT型タンディッシュを製作し、第1仕切堰30及び第2仕切堰31の形状等は、表1に示すものとした。
式(1a)及び式(1b)を導出する際に用いた第1仕切堰30は、図12の形状Bに示す形状とし、第2仕切堰31は、図12の形状Fを示すものとした。この水モデルの実験においては、形状が異なる複数のガス吹き込み部40を用意し、形状の異なるガス吹き込み部40を用いた場合でのタンディッシュからフロービーズが流出する流出率について求めた。ガス吹き込み部40と、フロービーズの粒子流出率との関係は、表2に示すものとなった。なお、空気流量は、ガス吹き込み部40からガスの代わりに空気を吹き込んだ流量のことである。
表2に示すように、水流量が36L/min、空気流量が1NL/minである場合、ガス吹き込み部が「長方形1」、「長方形2」、「長方形3」、「丸型3個」のいずれであっても、粒子流出率は6%前後であった。また、水流量はそのままで空気流量を2NL/minに増加させた場合では、粒子流出率が3.5%に低くなったものの、ガス吹き込み部の形状で、差異はなかった。
このように、水流量及び空気流量を変化させた場合では、粒子流出率が変化したものの、ガス吹き込み部40の形状による差異はなかった。すなわち、吹き込みガス流量と粒子流出率との関係は、ガス吹き込み部40の形状によらないことが明らかとなった。
そこで、ガス吹き込み部40に関して、奥行き比x2/x1を0.25に固定すると共に、幅比y2/y1を1.0に固定して、表2に示したものと同じ構成の水モデルを用いて、水流量、空気流量を変化させながら第2実験を行った。
表3は、第2実験の結果をまとめたものであり、図10は、第2実験における水流量と、粒子流出率との関係をまとめたものである。
表3及び図10に示すように、水流量が増加するにつれて粒子流出率が上昇した。ここで、実際の操業において、鋳片(鋼材)中の介在物が増加すると、その鋼材を伸線して線材としたときの断線率が増加する。過去の操業や水モデルの実験によって水モデルでの粒子流出率(フロービーズの流出率)と、線材の断線率との関係は分かってきている。表4は、例えば、鋼材(C-=0.72〜0.83質量%)を伸線して0.2mmの鋼材を製造した場合での鋼材5ton当たりの断線回数と、水モデルにおける粒子流出率との関係をまとめたものである。
表4に示すように、水モデルでの粒子流出率が8%よりも大きくなると、断線率が増加する。このようなことから粒子流出率は8%以下であることが望ましい。なお、表4は、C-=0.72〜0.83質量%の鋼材を伸線した場合の断線回数と粒子流出率とについてまとめたものであるが、他の鋼種や製品(線材、薄板)であっても粒子流出率を8%以下にすることにより、介在物を減少させることができる。図10に示すように、粒子流出率の上限値を8%として、各空気流量Qgと水流量との関係を計算すると、表5に示すものとなる。
次に、水モデルでの水流量、空気流量を、実際の溶鋼のスループット、Arガス流量に換算する。
T型タンディッシュ3内の溶鋼2の流動は低速であり重力場によってのみ支配されると考えられることからフルード数(Fr;重力と慣性力の比)を用いれば、水流量を溶鋼のスループットに換算することができる。このフルード数において、水モデルのものと実際のものとの相似則計算については、「R&D 神戸製鋼技報/vol.31 No4、1981」の文献に記載されている計算法を用いた。
具体的には、フルード数Fr、実験用タンディッシュにおける水の平均速度U、タンディッシュの長さ(幅)L、重力加速度gとの関係を用いると、式(2):「Fr=(U÷(L×g))0.5」という関係式が成りたつ。一方、流量Qは、式(3):「Q=U×L」で表すことができる。スケール1の流量をQL1とし、1/3スケールの水モデルの流量をQL2とし、代表長さをL/3として式(3)によりFr数が等しくなるように換算すると、式(4):「QL2=0.0642×QL1」となる。実機の溶鋼のスループットをQ[t/min]とし、溶鋼の比重を7とすると、「Q=QL1×7/1000」となるため、式(4)を整理すると、「Q=7×QL2/64.2」となる。
また、空気流量については、修正Fr数近似でAr流量に換算し、ボイルシャルルの法則で温度膨張と液体静圧による圧縮を修正した。修正Fr数は、M.Iguchi and H.Tokunaga: Met.Mat.Trans. 33B(2002)pp.695-702に示されているように、式(5):「Fr=ρ×Q /(ρ×g×L」で表される。ρは、ガス密度[kg/m]、Qは、ガス流量[L/min]、ρは液体密度[kg/m]、Lは代表長さ[m]である。
スケール1のガス流量、ガス密度、液体密度をそれぞれQg1、ρg1、ρL1とし、1/3スケールの水モデルのガス流量、ガス密度、液体密度をそれぞれQg2、ρg2、ρL2とし、代表長さをL/3としてFr数が等しくなるように換算すると、式(6):「Qg1=Qg2×[(ρL1×ρg2×L)/(ρL2×ρg1×(L/3))]0.5となる。ρL1は、溶鋼の比重の7000[kg/m]、ρL2は、水の1000[kg/m]、ρg1は、Arガスのガス密度の0.48[kg/m]、ρg2は、空気のガス密度の1.16[kg/m]である。ρL2、ρg1、ρg2の値は、「液体の熱物性値集:日本機械学会(1991)丸善」で示されているものを用いた。ρL1について、「吉田ら、鉄と鋼、Vol.87(2001)pp.529-535」で示されている値を代入すると、式(6)は、式(7):「Qg1=64×Qg2」となる。
次に、Ar流量Qg1をボイルシャルルの法則で補正を行う。実際の溶鋼深さの中心0.4mでの静圧は0.13MPa、水モデルにおける水深さ中心0.14mの静圧は0.1MPaである。実機において体積をV[m]、圧力をP[Pa]、溶鋼温度をT[K]とし、水モデルにおいて体積をV[m]、圧力をP[Pa]、溶鋼温度をT[K]とすると、ボイルシャルルの法則により、「V/V=(P×T)/(P×T)」となり、さらに、整理すると、「V=5×V」となる。この式を用いて、式(7)を整理すると、「Qg1=12.8×Qg2」となる。
以上のような計算式を用いて、水流量及び空気流量を、溶鋼のスループット及びArガス流量に換算し、介在物を十分に浮上させる(粒子流出率を8%以下)ための実機のスループットとArガス流量との関係をまとめると、図11の曲線に示すものとなる。この曲線は、ガス吹き込み部40からArガスを吹き込むととの最低流量の境界線であり、式で
表すと、式(1b)と同じ「55.7[tan(Qs−4.7)]+17」となる。
ここで、ガス吹き込み部40から吹き込んだガス流量を、式(1a)及び式(1b)で求めた値以上にすると、介在物を浮上させることができるが、余りにも、ガス流量が大きすぎると、例えば、タンディッシュ内の溶鋼表面がバブリングによって大きく乱れ、溶鋼の表面のスラグが巻き込まれたり、溶鋼の再酸化が発生する可能性がある。即ち、操業を行うにあたっては、タンディッシュ内の溶鋼の表面(湯面)上にフラックスや保温材を投入しているが、ガスを吹き込んだ時に裸湯(溶鋼表面)が見え続ける状態になると、溶鋼表面の酸化が進んだり、フラックスが溶鋼中に巻き込まれやすくなる。そこで、実際のタンディッシュを用いて、ガスを吹き込んだときの裸湯が見え続けるか否かについて第3実験を行った。この第3の実験では、タンディッシュの溶鋼深さを1m、吹き込みガスをArガス、ガス流量 Qg1を1〜8NL/min、ガス吹き込み部40の耐火物(ポーラス状)の径を80mm、フラックスの厚さを20mm、フラックス上の保温材の厚さを30mmとした。表6に示すように、ガス流量 Qg1が1〜4NL/minである場合、裸湯は見え続けることはなく良好「○」であった。一方、ガス流量 Qg1が5〜8NL/minである場合、裸湯は見え続けてしまい不良「×」であった。
上述した第3実験に基づいて、ガスを吹き込んだときの裸湯が見え続けないガス吹き込み部40の単位面積当たりの流量の上限値を求めると0.0008NL/minとなった。
まとめると、ガス吹き込み部40によってガスを吹き込む場合には、式(1)及び式(1b)を満たすようにガスを吹き込むと共に単位面積当たりのガスの流量を0.0008NL/min以下としている。
さて、T型タンディッシュ3を用いて鋳造する際には、分配室11の溶鋼2を注入口6(浸漬ノズル7)に注入する合計のスループットは、3.5以上5.2ton/min以下としている。即ち、連続鋳造を行うに際して、各注入口6(浸漬ノズル7)から各鋳型4へ注入するそれぞれのスループットを合計した値(合計スループット)が、3.5以上5.2ton/min以下となるように、スループットを設定している。合計スループットが3.5ton/min未満では、上述したT型タンディッシュ3であっても、鋳造後の介在物の減少の効果があまりなく、一方、合計スループットが5.2ton/minを超える場合には、介在物の流出が増加してしまう。なお、式(1a)及び(1b)における滞留室へ入る溶鋼のスループットQsは、上述した合計スループットと同じと考えてよい。
本発明の鋳造方法では、従来の技術(例えば、特開2008−264859号公報)に比べて、合計スループットが大きな場合であっても、T型タンディッシュ3を上述した構成としたうえで、合計スループットを3.5〜5.2ton/minにすることにより、タンディッシュ3で十分に介在物を浮上分離し、介在物の少ない鋳片を鋳造することができる。
表7及び表8は、水モデルの実験において、本発明の条件で水モデルでの模擬鋳造を行った実施例と、本発明の条件とは異なる条件で模擬鋳造を行った比較例とをまとめたものである。
水モデルでは、実験用のT型タンディッシュの下側にフロービーズを受ける容器(鋳型4に相当)を設けておき、T型タンディッシュの注入室10に、フロービーズを100g投入し、30分間で鋳型に相当する容器に流出したフロービーズの量(重量)を測定した。容器に入ったフロービーズ(流出したフロービーズ)の重量を、投入重量である100gで除すことにより、水モデルでの粒子流出率を求めた(粒子流出率=流出したフロービーズの重量/100g)。
一般的に溶鋼2含まれた介在物が溶鋼2から分離して浮上するのは、粒径で大凡60μmとされている(例えば、鉄と鋼;vol73,No12,1987,p216,fig6)ことから、介在物は60μmより大きなものを想定した。詳しくは、溶鋼2中の68〜78μmの介在物(比重3.8g/cm)と終末速度とが等価となるフロービーズ(φ173μm)を使用することとした。なお、使用する全てのフロービーズの粒径をφ173μmに合わせることは不可能であるため、φ173μmが略中心値となる100〜220μmにふるい分けしたポリエチレン製(エチレン・アクリル酸共合体)のフロービーズを用意した。
また、介在物の評価として、粒子流出率が8%以下では「良好、○」とし、粒子流出率が8%を超えると「不良、×」とした。
実施例及び比較例では、図12に示すような複数の第1仕切堰33、第2仕切壁35を製作し、第1仕切堰33や第2仕切堰31を変えながらて実験を行った。また、ガス吹き込み部も図12に示すような形状とした。なお、実施例1〜40は、ガス吹き込み部を設
けずに鋳造を行った結果である。
実施例1〜54では、第1流通孔33の上端を、基準深さの0.4以下の位置に設定し(孔上端/溶鋼高さの欄)、第1仕切堰33の基準深さ面積S1に対する第1流通孔33の断面積比を、0.04以上0.15以下とし(孔面積/流路面積の欄)、第1流通孔33の穿孔角度θ1を下向きに20deg以上45deg以下としている(孔角度の欄)。
また、実施例1〜54では、第2流通孔35の上端を、基準深さの0.6以下の位置に設定し(孔上端/溶鋼高さの欄)、第2流通孔35の下端を、基準深さの0.2以上の位置に設定し(孔下端/溶鋼高さの欄)、第2仕切堰31の基準深さ面積S3に対する第2流通孔35の断面積比を、0.03以上0.09以下とし(孔面積/流路面積の欄)、第2流通孔35の穿孔角度θ2を上向きに20deg以上45deg以下としている(孔角度の欄)。実施例41〜54では、奥行き比(x2/x1)を0.25以下とし、幅比y2/y1を0.5〜1.0とし、|y3−y4|/y1を0.1以下とし、ガス吹き込み部40のガス流量を、式(1a)及び式(1b)を満たすようにし(式(1a)、式(1b)の欄)、ガス吹き込み部40の単位面積当たりの流量を0.0008NL/min以下とし(単位面積当たりの空気流量)としている。
そのうえで、実施例1〜54では、T型タンディッシュ3におけるストランドの合計スループットを3.5〜5.2ton/minとしている(実機換算スループット)。このようなことから、実施例1〜54では、粒子流出率を8.0%以下にすることができた。
一方、比較例では、第1流通孔33及び第2流出孔35の上端の位置、第2流出孔35の下端の位置、第1仕切堰33の基準深さ面積S0に対する第1流通孔33の断面積比、第2仕切堰31の基準深さ面積S3に対する第2流通孔35の断面積比、第1流通孔33及び第2流通孔35の穿孔角度θ1、θ2、ガス吹き込み部40の配置、ストランドの合計スループットのいずれかが本発明の規定から外れているため、粒子流出率が大幅に増加し、8.0%よりも大きくなった。
以上述べたように、本願発明の連続鋳造方法を用いることで、溶鋼のスループットが大きい場合であっても、鋳型に流入する介在物を低減させることができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 連続鋳造装置
2 溶鋼
3 T型タンディッシュ
4 鋳型
5 サポートロール
7 浸漬ノズル
8 スライドバルブ
9 取鍋
10 注入室
11 分配室
12 滞留室
15 底壁
16 前壁
17 第1側壁
18 第1後壁
19 第2側壁
20 第2後壁
30 第1仕切堰
31 第2仕切堰
33 第1流通孔
34 底部
35 第2流通孔
40 ガス吹き込み部

Claims (1)

  1. 取鍋から装入された溶鋼を連続的に鋳造する連続鋳造設備に具備されたT型タンディッシュを用いて鋳造を行う連続鋳造方法であって、
    前記T型タンディッシュは、前記取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、前記溶鋼を鋳型に装入する分配室と、前記注入室からの溶鋼を滞留させると共に前記分配室に溶鋼を装入する滞留室と、前記注入室と滞留室とを仕切る第1仕切堰と、前記滞留室と分配室とを仕切る第2仕切堰とを備え、
    前記第1仕切堰には、前記注入室から滞留室へ溶鋼を通す第1流通孔を設け、前記第2仕切堰には、前記滞留室から分配室に溶鋼を通す第2流通孔を設け、前記滞留室の底部には、溶鋼にガスを吹き込むガス吹き込み部を設けており、
    前記第1流通孔に関し、当該第1流通孔の上端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.4以下の位置に設定し、第1仕切堰の基準深さ面積に対する当該第1流通孔の断面積の比を0.04以上0.15以下とし、第1流通孔の穿孔角度を、水平方向を基準として流通方向に対して下向きに20deg以上45deg以下としておき、
    前記第2流通孔に関し、前記第2流通孔の上端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.6以下の位置に設定し、第2流通孔の下端を前記T型タンディッシュの底部からの距離が基準深さの0.2以上の位置に設定し、第2仕切堰の基準深さ面積に対する当該第2流通孔の断面積の比を0.03以上0.09以下とし、第2流通孔の穿孔角度を水平方向を基準として流通方向に対して上向きに20deg以上45deg以下とし、
    前記ガス吹き込み部に関し、前記滞留室の前壁から前記第1仕切堰までの奥行き方向の距離x1と前記滞留室の前壁からガス吹き込み部の奥行き方向の端部までの距離x2との関係を「x2/x1≦0.25」とし、前記第2仕切堰間の幅方向の距離y1とガス吹き込み部の幅方向の距離y2との関係を「0.5≦y2/y1≦1.0」とし、前記第2仕切堰間の幅方向の距離y1とガス吹き込み部の幅方向の中心位置y3と前記第2仕切堰間の幅方向の中心位置y4との関係を「0≦|y3−y4|/y1≦0.1」としておき、
    前記ガス吹き込み部から溶鋼内へ吹き込むガス流量を式(1a)及び式(1b)を満たすようにし且つ、ガス吹き込み部の単位面積当たりの流量を0.0008NL/min以下とし、前記T型タンディッシュにおけるストランドの合計スループットを、3.5〜5.2ton/minで鋳造することを特徴とする連続鋳造方法。
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